市村正親が主演する舞台『エンロン』の公開稽古が3月23日、都内で行われ、芸歴40周年を間近にした市村が作品への意気込みを語った。この舞台は、アメリカの総合エネルギー企業・エンロンが売上高全米第7位、世界第16位にまで成長したものの、巨額の不正経理とインサイダー取引が明るみになり、2001年に破たんした実際の事件を題材にしたもの。“現代の企業版マクベス”とも言われた本作は2009年に英国で初演され、今回の日本版ではデヴィッド・グリンドレーが演出を手がける。世界の経済界を揺るがせた“エンロン事件”の渦中の人物で、最高経営者ジェフ・スキリングに市村、経理担当役員に豊原功輔が扮し、ふたりの人間ドラマを描く。公開稽古では、スキリング(市村)に心酔する投資家と金融アナリストがエンロン株の高値に浮かされ、リズムに乗って「エンロン」と口ずさみながらスキリングを教祖のようにもてはやすシーンや、忙しいエンロン社内を長谷川寧振付によるダンスで表現する場面を披露。ストレートプレイだが、歌、ダンスも盛り込んだリズミカルなシーンに仕上がっていた。動くシーンはお手のものだが、市村は経済用語がオンパレードの膨大なセリフの量に少々苦戦中。「出ずっぱりなんです。ひとり芝居もやりましたが、セリフの量がひとり芝居の倍くらい」とこぼしながらも、「お金と権力ってどうしても結びついてしまうと思うんです。エンロンは結果的に良くないことをしたのですが、この作品ではジェフ・スキリングのエネルギーが凄いので、そのエネルギーを存分にお見せしたい」と、初めて挑む“貪欲で愚かな役”への意気込みを語った。ほかに香寿たつき、たかお鷹、秋山真太郎、伊礼彼方、末次美沙緒らが出演。公演は4月13日(金)から29日(日)まで、東京・天王洲 銀河劇場にて上演。その後、5月12日(土)・13日(日)の大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!、5月16日(水)愛知・名鉄ホールと各地を回る。チケットはいずれも発売中。なお、チケットぴあでは4月20日(金)13:30の公演を対象にした『エンロン』豪華東京湾クルージング付きチケットも発売中。
2012年03月26日井上芳雄が主演するミュージカル『ハムレット』が2月1日、東京・シアタークリエで開幕した。ミュージカル『ハムレット』公演情報はこちら世界中で上演されているシェイクスピア悲劇だが、今回上演されているのは1999年にチェコ・プラハで初演された作品。日本では珍しい“チェコ・ミュージカル”だが、チェコで最も有名なミュージシャンのひとり、ヤネック・レデツキーが生み出した本作は、これまでにブロードウェイや韓国でも上演されており、世界的にも注目度が高まっている。物語は、デンマーク王家を舞台に、王子ハムレットが父を殺し王座と母を奪った叔父に復讐を果たす――という、基本的には原作に忠実なもの。だが、物語の展開よりも登場人物の感情に重きを置き、ギュッと凝縮されたスピーディな展開に。そしてエレキギターのサウンドが印象的なロックナンバーや軽快なポップスなど、多彩な音楽が斬新で、新鮮な『ハムレット』になっている。栗山民也の演出も、城壁を思わせる高さのある壁を一面に配したセットの中、陰影を効果的に使いドラマチックに仕上げた。タイトルロールの井上はこれまでも“王子”的役柄を数多く演じてきており、その意味で彼にとって王道の役かと思ったが、意外にも今までにない新鮮さをもってハムレットを演じている。嘆き、憎しみなど強い“負”の感情を爆発させるハムレットは激しく生々しく、だが目が離せない魅力を放つ。その井上ハムレットを取り囲むメンバーも強力だ。美しく気品あり、そして愚かさも持つ王妃ガートルードを演じる涼風真世はこれ以上ないほどのハマリ役。敵役のクローディアスの村井國夫の重厚さや、ヒロイン・オフィーリア役の昆夏美の透明感、妹オフィーリアへ温かい愛情を注ぐレアティーズ役の伊礼彼方など、それぞれが納得の存在感だ。またハムレットの親友ホレーショー役の成河(ソンハ)の爽やかさ、時にコミカルな演技で作品のガス抜きもするポローニアス役の山路和弘らも印象的。この大劇場常連のキャスト陣が揃い、600席強のコンパクトな劇場で見せる熱演は圧巻だ。公演は2月22日(水)まで同所にて。その後2月25日(土)から28日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、3月3日(土)・4日(日)に愛知・中日劇場でも上演される。チケットは発売中。
2012年02月02日「考える人」など数々の作品を遺したフランス現代彫刻の巨匠、オーギュスト・ロダンと、その弟子であり愛人であったカミーユ・クローデル。このふたりの芸術家の関係を描いたミュージカル『GOLD~カミーユとロダン~』が、12月8日、東京・シアタークリエで開幕する。開幕に先立ち7日、出演する新妻聖子、石丸幹二、伊礼彼方、根岸季衣、西岡徳馬の5人が取材に応じた。ミュージカル『GOLD~カミーユとロダン~』チケット情報はこちら作品は、『ジキル&ハイド』『ルドルフ ザ・ラスト・キス』などを手がけ、日本でも高い人気を誇るフランク・ワイルドホーンが音楽を担当し、2003年にアメリカで初演されたもの。白井晃が演出を手がけ、今回が日本初演となる。女性彫刻家が存在しなかった時代に、溢れる才能と情熱を持って世間の荒波に立ち向かったカミーユ。ロダンとの不倫関係の末、最期は30年ものあいだ精神病院で過ごすという波乱の人生を辿ったこの女性を演じる新妻は「本当に大きな挑戦。でも私もわりとテンションが高めで感情表現が豊かな方なので(笑)、彼女を理解できます。また同じ表現者として、彼女がぶちあたった壁、置かれていた状況を思うとすごく心が連動する部分があるので、どっぷりカミーユになりきりたい」と意気込みを語った。カミーユを愛し、彼女の才能を誰よりも認め、しかし時に彼女の前に壁として立ちはだかるロダンに扮するのは石丸。「カミーユのことを心から愛している男としてのロダン、そして芸術にまっしぐらだったロダンを自分なりに表現していけたら。後世に残る作品をどんどん作っていた男としてのカリスマも出していきたいですね」と話す。またカミーユの父は当初、古谷一行がキャスティングされていたが病気治療のため降板、代役を西岡徳馬が務める。西岡は「一行さんとは古くからの友人ですから。彼の分も一生懸命頑張ってやりたい。早く良くなって一線に復帰していただきたいと祈念しています」と語った。公演は12月28日(水)まで同所にて。チケットは発売中。
2011年12月08日