オリジナルミュージカル『のだめカンタービレ』の脚本・演出、翻訳ミュージカル『ファースト・デート』『High Fidelity』の訳詞・翻訳・演出、翻訳ミュージカル『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』の演出スーパーバイザー、『トッツィー』の演出補、『エブリ・ブリリアント・シング』の翻訳・演出、『カウントダウンミュージカルコンサート2023-2024』の構成・演出……。ここ1年の活動を取り出しただけでも目覚ましい活躍ぶりが分かる演出家、上田一豪が作・演出を務めるオリジナルミュージカル『Play a Life』が、本日2月7日(水)に東京・博品館劇場で幕を開ける。上田の主宰する劇団「Tip Tap」にて、2015年の初演以来繰り返し再演され、2023年にはテレビドラマ化もされた、劇団の代表作とも言える作品だ。上田一豪登場人物は、高校で非常勤講師を務める夫、元小学校教師の妻、夫が指導することになる教育実習生の3人だけ。夫婦はロビン・ウィリアムズ主演の映画『今を生きる』をきっかけに出会って結婚し、彼女は映画に憧れて教師となり、彼は俳優を志していた。だがいつの間にか妻は教師をやめ、夫は非常勤講師となり、二人の生活の間には一匹の猫。何が夫婦の生活を変えたのか? やはり『今を生きる』が好きだという実習生との関わりのなかで、その理由が少しずつ明かされていく――。出演は、佐藤隆紀(LE VELVETS)・平川めぐみ・屋比久知奈の「白猫チーム」と、相葉裕樹・松原凜子・豊原江理佳の「黒猫チーム」の2チーム制。平川は初演の実習生役から妻役への転身、ほかのメンバーは今回が初参加となる。1月に行われた稽古場取材会では、「黒猫チーム」が小澤時史作曲による美しいナンバーを披露した上で、「『生きる』というテーマは日常の中で考えることが少なくなっていると思いますが、この作品を観てそれを感じてもらえたら」(相葉)、「夫役の相葉さんと長年連れ添った夫婦の落ち着いた空気を出すことが重要」(松原)、「この作品との出会いが生きることに向き合うきっかけになれば」(豊原)とそれぞれにコメント。歌唱力にも演技力にも定評のある面々が織りなすドラマに期待が高まる。文:熊田音子<公演情報>ミュージカル『Play a Life』作・演出:上田一豪作曲:小澤時史【キャスト】白猫=佐藤隆紀(LE VELVETS)、平川めぐみ、屋比久知奈黒猫=相葉裕樹、松原凜子、豊原江理佳2024年2月7日(水)~2月12日(月・休)会場:東京・博品館劇場チケット情報:()公式サイト:
2024年02月07日撮影:鈴木健太 (C)プロジェクトラブライブ!スクールアイドルミュージカルラブライブ!シリーズのミュージカル作品『スクールアイドルミュージカル』の2024年公演が、2024年1月11日(木) に東京・THEATER MILANO-Zaで開幕した。本作は対立するふたつの伝統校を舞台に、アイドル活動を通して出会う10人の少女たちの夢への想いと変化を30曲以上の書き下ろし楽曲とともに描く、完全オリジナルストーリーの青春学園ミュージカル。2022年12月に東京、2023年1月に大阪で初演され、その後2023年8月に東京で上演された追加公演でも多くの評価を得て、今回の再演が決定した。さらなる可能性を広げるため、新たにWキャスト制度を採用した本公演の魅力を、公演前に行われたゲネプロの模様と合わせてレポートする。物語は、兵庫の進学校・椿咲花女子高校の理事長の娘で母親の期待に応えるために勉強を頑張りつつも密かにアイドルを応援している椿ルリカ(堀内まり菜)と、大阪の人気校・滝桜女学院の理事長の娘であり、芸能コース選抜アイドル部でセンターを務めながらも、まわりのプレッシャーから自分のやりたいことがわからなくなった滝沢アンズ(関根優那)の出会いが最初の大きな鍵となる。今回で3度目の公演ということもあり、初演から出演するオリジナルキャストたちの役への理解度がより深まったのか、芝居もさらなる進化が感じられた。特に本公演初日の出演キャストで行ったゲネプロでは、ルリカの椿咲花の仲良しメンバーたち、皇ユズハ(浅井七海)、北条ユキノ(杏ジュリア)、天草ヒカル(小山璃奈)、三笠マーヤ(佐藤美波)の4人も全員オリジナルキャストだからか、仲間同士でシンクロするような動きが見られたりと、これまで以上に仲の良い女子高生の雰囲気が見て取れた。ルリカがやりたいことを見つけ、みんなで夢中になっていくシーンでは、よりダイレクトに5人の楽しさが伝わってくる。コミカルなシーンもさらにのびのびとした表現になったことで、それぞれが演じるメンバーの愛らしさや魅力がアップしていた。新キャストが多い滝桜女学院メンバーのシーンでは、新キャストによる芝居のアプローチの変化を受けてオリジナルキャストの芝居も変化したのか、新たな発見があったシーンがいくつもあった。11日出演キャストのゲネプロのなかでは、新キャストの西田有愛が演じる来栖トアは、これまで以上にアンズへの憧れを感じさせ、第一幕序盤のアンズとのかけあいも先輩・後輩の絆が増しているように思えた。西田ひらりが演じるサヤカは爽やかな笑顔が印象的で、第二幕序盤の若槻ミスズ(西葉瑞希)や鈴賀レナ(三田美吹)と話すシーンでは、同級生同士ならではの気さくさが過去の公演よりも感じ取れた。その一方で、演者が変わっても、同じ人物を演じているからこそ変わらない魅力が見つけられることも。異なるキャストが演じることで、ルリカたち登場人物の個性がより浮き彫りになる印象を受けた。また、1月19日(金) までの本公演では、ペンライトやうちわを持ってメンバーたちのライブが楽しめる、恒例のカーテンコールスペシャルステージを実施。さらに公演最後の2日間、1月20日(土) と21日(日) は、スペシャルステージを拡大し、新規書き下ろし楽曲も披露される特別公演『文化祭&後夜祭スペシャル公演』の上演も行われる。■椿ルリカ役:堀内まり菜 コメントいよいよ初日を迎えます!一人ひとりのキャスト、関わってくださっている全員の力が合わさって、スクールアイドルミュージカルの世界がより鮮やかに進化したのを実感しています。初日から千秋楽まで、様々な組み合わせによる公演で、まさに一期一会の空間が生まれると思います。観に来てくださる皆様に、最高に幸せな時間をお届けできますように。観に行こうか迷っているという方も、ぜひ会いに来てください!“いま”の瞬間を一緒に過ごしましょう!■滝沢アンズ役:関根優那 コメント皆さんからの熱い応援をいただき、またスクミュの世界をお届けすることができて、感謝の気持ちでいっぱいです。そして、キラキラした夢のつまった特別な時間を皆さんともう一度過ごせることが本当に嬉しいです!さらにパワーアップした姿と、よりスクミュの世界を好きになっていただけるよう、みんなと、アンズちゃんと共に精一杯頑張ります。私たちの想いを、劇場で直接受け取ってください!撮影:鈴木健太<公演情報>THEATERMILANO-Zaオープニングシリーズ『スクールアイドルミュージカル』原作:矢立肇原案:公野櫻子脚本 / 演出 / 振付:岸本功喜作曲 / 編曲 / 音楽監督 / 歌唱指導:小島良太【出演】椿ルリカ:堀内まり菜皇ユズハ:浅井七海 / 鈴木まゆり(Wキャスト)北条ユキノ:杏ジュリア / 寺田光(Wキャスト)天草ヒカル:小山璃奈 / 春名真依(Wキャスト)三笠マーヤ:佐藤美波 / 松澤可苑(Wキャスト)滝沢アンズ:関根優那若槻ミスズ:西葉瑞希 / 南野巴那(Wキャスト)来栖トア:黒木美佑 / 西田有愛(Wキャスト)鈴賀レナ:三田美吹 / 加藤夕夏(Wキャスト)晴風サヤカ:西田ひらり / 山本愛梨(Wキャスト)椿 マドカ:蒼乃夕妃滝沢キョウカ:岡村さやか金子楓 / 藤本くるみ / 古沢朋恵 / 森田佳花 / 森本さくら / 森本めい / 渡辺七海 / 渡来美友【公演日程】2024年1月11日(木)~21日(日) 東京・THEATER MILANO-Zaチケット情報:()公式サイト:プロジェクトラブライブ!スクールアイドルミュージカル
2024年01月11日『カウントダウン ミュージカルコンサート 2023-2024』が、2023年12月31日、東京国際フォーラム ホールAにて開催された。甲斐翔真、木下晴香、sara、東啓介、平間壮一、三浦宏規、森崎ウィン、屋比久知奈、そして海宝直人の9名の次世代を担うミュージカルスターが、ともに年越しを過ごそうと集まった5000人の観客を魅了。新しい年の幕開けを、華やかに盛り上げた。最初のオーバーチュアで演奏されたのは耳馴染みのある楽曲ばかり。早速心が弾んでくる。続いて聴こえてきたのは、『レ・ミゼラブル』の「One Day More」だ。ひとりずつ登場しながら歌い、どんどん声を重ねていく様がワクワクさせる。楽曲の力強さも相まって、一気に会場の熱が上がった。今回の構成・演出を担ったのは、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『グリース』『ネクスト・トゥ・ノーマル』など、数多くの作品を手掛けている上田一豪。音楽監督を、井上芳雄などのアーティストに支持されている大貫祐一郎が務め、クリエイティブ陣も冒頭から手腕を見せた。全員がステージに揃ったところで、海宝がMCの口火を切る。「唯一の昭和生まれの自分が最初にしゃべるというお達しがあったので」と笑わせながらしっかり挨拶するも、「次の時代を担う若手スターというのがこのコンサートの主旨なので宏規くんに回していただこうと思います」とすぐに三浦にバトンタッチ。三浦が仕切って思い思いの自己紹介が始まった。しかし、カウントダウンに合わせなければならないためにタイムキープが厳しく、しゃべりすぎると大貫がピアノで合図。平間が「(0時を)超えちゃってもいいよね〜」と呟くなど、和気あいあいの空気が伝わってくる。このあとも曲の合間にMCが入り、今回が初共演の二人組でのトークもあったが、甲斐が木下に「どういう人なんですか」と聞いたり、森崎がsaraの苗字を聞き出してしまったり、笑いが絶えなかった。なかでも三浦の、「小学生のときに毎朝、『さぁ今日も俺の輝かしい人生が始まる』と言って学校へ行っていた」というエピソードには会場中が爆笑。歌はもちろんだが、MCから透けて見えるそれぞれの素顔も、観客は大いに楽しんだ。さて、MCのあとは、デュエットやソロで様々な楽曲を披露し、8名のダンサーたちが各曲の世界観を創り上げていく。それぞれが出演した作品からの楽曲では、東が『ジャージー・ボーイズ』の「Oh What a Night」を、甲斐が『デスノート THE MUSICAL』の「デスノート」を、三浦が屋比久とともに『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の「Suddenly Seymour」を、『ピピン』の「Corner of the Sky」を森崎が歌い、『ロミオ&ジュリエット』の「Aimer」を、21年に出演した甲斐と17年・19年に出演した木下が、主演作『赤と黒』より「赤と黒」を三浦が熱唱。『RENT』の「I’ll Cover You」では、平間が演じたエンジェル役を彷彿とさせるパフォーマンスを東と見せた。『モーツァルト!』の「ダンスはやめられない」を歌った木下、『ミス・サイゴン』の「命をあげよう」を歌った屋比久、『In the Heights』の「In the Heights」を歌った平間も役を思い起こさせる。海宝と木下の『アナスタシア』「In a Crowd of Thousands」はセリフもあり。『ネクスト・トゥ・ノーマル』の「I’m Alive」はダブルキャストだった海宝と甲斐で。『ヘアスプレー』の「You Can’t Stop the Beat」を三浦と平間が踊りまくり、海宝が『ノートルダムの鐘』の「Out There」をたっぷり聴かせた。本公演だけのスペシャルコラボとなったのは、saraの『CHICAGO』(All That Jazz)、森崎とsaraの『塔の上のラプンツェル』(輝く未来)、木下と屋比久の『Wicked』(あなたを忘れない)。そして、全員で歌った『RENT』の名曲「Seasons of Love」は、その歌声の豊かさが沁み入った。圧巻は2023年に上演された作品のメドレーだ。甲斐・木下・sara・屋比久による「Lady Marmalade」を皮切りに、『SPY×FAMILY』(森崎)『キングアーサー』(平間・屋比久)『エリザベート』(甲斐)『ザ・ビューティフル・ゲーム』(木下・東)『ドリームガールズ』(木下・sara・屋比久)『ジェーン・エア』(屋比久)『ザ・ミュージック・マン』(東)『ファインディング・ネバーランド』(森崎)『ラグタイム』(東・屋比久)『スクール・オブ・ロック』(甲斐)『のだめカンタービレ』(三浦)『クレイジー・フォー・ユー』(sara・平間)まで走り抜け、全員揃ったところでカウントダウンが始まり、0時とともに「ハッピーニューイヤー」の声が響く。まさしく2023年に楽しんだミュージカルを振り返りながら新しい年を迎えることができるとは。出演者にも観客にも、貴重な機会となったに違いない。フィナーレで『Rock of Ages』から「Don’t Stop Believin’」が歌われてさらに盛り上がったあと、アンコールで『コーラスライン』の「愛した日々に悔いはない」が披露された。その歌詞が、ここに集った、ミュージカルを、舞台を愛する者たちの思いに重なっていく。この次世代のスターたちがいれば、これからもきっと良き作品に出会えるはず。そんな期待を募らせながら幕は閉じた。レポート=大内弓子写真=福岡諒祠(株式会社 GEKKO)
2024年01月09日フィギュアスケートとミュージカルのエンターテインメントショー「プリンスアイスワールド東京公演」が来年1月19日(金)から開催される。「プリンスアイスワールド」は、1978年からスタートした日本でもっとも歴史の長いアイススケートショー。20人を超える個性豊かなプロスケーターからなる日本で唯一のフィギュアスケートのカンパニーショーで、多彩なゲストも登場する。2023-2024シーズンのテーマは“A NEW PROGRESS(新たなる前進)~BROADWAY CLASSICS~”。フィギュアスケートの枠を超えたパフォーマンスと構成、音と光の演出で新たなエンターテインメントショーを楽しめる。2006年以降プリンスアイスワールドにゲスト出演している高橋大輔はプリンスアイスワールドチームとの特別なコラボレーションを披露。荒川静香、村元哉中、宇野昌磨、織田信成、中田璃士、樋口新葉、本田真凜らも登場し、会場を盛り上げる。また、本公演は音楽面でもこだわりを感じられるプログラムになっており、新シーズンから生歌唱を楽しめるゲストが登場。東京公演では、島田歌穂、藤岡正明、福井晶一、屋比久知奈、山﨑玲奈、エリアンナ、福井晶一が日替わりで出演する。プリンスアイスワールド2023-2024A NEW PROGRESS~BROADWAY CLASSICS~東京公演■チケット情報()2024年1月19日(金)~21日(日)※3日間6公演1回目 11:30~14:002回目 16:00~18:30(開場は開演1時間前)ダイドードリンコアイスアリーナ(東京都西東京市東伏見3丁目1−25)出演者プリンスアイスワールドチームゲスト:荒川静香、高橋大輔&村元哉中、宇野昌磨、織田信成 ほか
2023年12月23日屋良朝幸が主演するミュージカル『The Agent』が12月7日(木)より有楽町よみうりホールにて開幕。初日に先駆け6日(水)、公開ゲネプロが開催された。『The Agent』は、ダンサーであり振付家としても活躍するTETSUHARUの演出、屋良の主演で2016年より4年連続で上演された人気シリーズ『THE CIRCUS!』のチームが再結集して贈るエンターテインメントショー。物語は元FBI捜査官であるレン(屋良)や国連の諜報機関U.N.I.S.の面々が、コスメブランドの新製品の影に隠された陰謀に立ち向かう中で、過去のトラウマや葛藤を乗り越えていく、といったもの。ファイトクラブでの闘いや、死の商人といった分かりやすい悪役、衝突しながらも補い合う“バディもの”の面白さなどを組み込んだストーリーをアクションたっぷりに、時にアメコミ風映像なども織り交ぜ派手に見せていく展開は、ハリウッドのアクション映画のような“てんこ盛り”の楽しさだ。中でも眼目はやはりダンスアクション。ブレイクダンスを軸としたスタイリッシュでキレのある振付を、身体能力の高い実力者たちが縦横無尽に踊り、バトルする。特に『THE CIRCUS!』シリーズでもタッグを組んでいた屋良と植木豪の技の応酬は、火花を散らしているようでありながらピッタリ息も合っていて、惚れ惚れするほど。また憎めないチャラさを持つT.J.に扮する寺西拓人と、生真面目なエリート・カートを演じる原嘉孝の凸凹バディ感も、屋良&植木のバディとはまた違う面白さがある。さらにレンの姉であるライラを演じる彩吹真央(愛加あゆとのWキャスト)は芝居心ある演技で全体を締め、U.N.I.S.のリーダー・ロジャーを演じた木内健人はカッコ良さとお茶目さを行き来し作品にテンポ感を加える。悪役に振り切った高橋駿一、北園涼の不気味な存在感とパワー系アクションも印象的。可知寛子とBON.井上(なかねかなとのWキャスト)が扮するローズ姉妹が背負うドラマも見応えがある。全員に見せ場がある、というのも“アベンジャーズ感”があって楽しい。取材会では「2023年ラストに、とんでもなくシビレる公演が来たなと思ってます。自分も40歳になるのですが、まだここまで動くのかとびっくり。最高に熱いステージをお届けしたい」と意気込みを話した屋良。さらに今年を表わす漢字一文字を問われ「決断の“決”。来年から新しい場所で再スタートを切るという決断をさせてもらいました。新しいスタートになりますが、もちろんゼロからではない。28年ずっとここで頑張ってきたものをブラッシュアップさせていきたい」と、来年1月末をもってSMILE-UP.からの退所をすることに関しての心境も語っていた。公演は12月24日(日)まで同劇場にて。取材・文:平野祥恵
2023年12月08日クリスマスの風物詩といえば『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』。2016年の初演から愛されてきたクリスマスショー、この演出バージョンは今年で見納め。16年から19年までゲストスケーターとして参加した、応援サポーター・本田望結が魅力を語る。クリスマスは家で過ごすイメージもあるが、欧米では劇場でショーを楽しむのが定番だ。「このショーはクリスマスの文化や新しい過ごし方を知るチャンスです。私はきょうだいで幼い頃からフィギュアスケートをやっていて、クリスマスは全日本選手権の時期なのでずっと緊張していました。でもこの作品に出演したことで、クリスマスのワクワク感に出会えました。今でもマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」を聞くと、もうすぐ自分の出番だ!と反射的に緊張します(笑)」フィギュアスケートのパートは、本田本人が創作していたという。「自分でテーマや振付、衣裳を考えていました。舞台上の樹脂のリンクは氷のリンクとは全く異なり、フィギュアというよりバレエをしている感覚です。今年も海外スケーターが素敵なパフォーマンスを見せてくれると思うので、ご期待ください」楽しませるのが上手な海外のキャストたちは、本田をも虜にしたという。「2019年に生歌でフィギュアスケートを披露した時は、シンガーの方達が演技中の私まで楽しませようとしてくれて、集中するのが大変でした(笑)。海外キャストの皆さんは「ヘイ!ミユ!」と気さくに声をかけてくださり、片言の英語と日本語でコミュニケーションをとっていました。楽屋裏は本当に渋谷?と思うくらいにインターナショナルな雰囲気で、ワクワクしましたね」劇中にはステンドグラスが輝くクリスマスタウン、おもちゃ工場、大きな熊のぬいぐるみなどが登場し、聖夜気分を盛り上げる。「個人的に好きなのはサンタさん!想像以上に機敏に踊るので、ぜひ注目していただきたいです。また大勢のキャストが一列に座って披露するハンドクラップも最高に楽しい。最前列のお客さまはハイタッチできそうな近さで迫力満点です。いつか私も参戦してみたいです」歌やダンスも盛り沢山で、本田は特別なひとときを約束する。「老若男女、誰も置いてきぼりになりません。サンタさんが通路に降りてきたりもして、どの場所の席から観ても、すごく楽しむことができます。このショーで幸せなクリスマスの思い出を作っていただきたいです」7年間の集大成となる『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2023』は、12/16(土)から25(月)まで、東京・東急シアターオーブにて開催。チケットは好評発売中。
2023年12月06日歌や舞踊、豪華な衣裳と伝統芸能をふんだんに取り入れた、新年にふさわしい舞台、詩楽劇『沙羅の光』~源氏物語より~。紅ゆずるがついに宝塚時代から切望されていた光源氏を演じる。紅ゆずるに話を聞いた。源氏物語の印象について聞くと、「源氏物語の印象は、“パニック・ラブ・ストーリー”(笑)。光源氏は13人の女性の誰一人とも愛が完結せず、次から次へと移っていく。それって大パニックじゃないですか。私は宝塚を退団した時、男役を演じることは金輪際ないと思っていました。でも在団中に光源氏をやってほしいという声を多数いただき、和物なら光源氏をやりたいという思いはずっとありました。ただ、光源氏は私の中では中性的な存在です。妖艶で魔性の持ち主で、人間というよりユニコーンのようなイメージもあって。もちろん人間らしいから恋多き男なのでしょうが、六条御息所が生霊となるような要素を光源氏自身も持っていたかもしれない。そんな人を超えたような部分を表せたらと考えています。」と答えた。また、「もう一つ、光源氏の誰もが憧れる、際立った外見の美しさは大切にしたいです。」という。「いくら女性にうつつを抜かしても、顔が良かったら許せたりもする(笑)。その美しさなしにこの物語は成り立たないでしょう。所作を尾上菊之丞さんに教えていただいて、この世のものとは思えない美しさを醸し出せたら。」と意気込む。さらに、すでにビジュアルも解禁されているが、「お衣裳が素晴らしいです。金糸を使って再現された本物の装束で、とても重厚。実際に着てみるとかなり重みがあり、昔の人の感覚を体感できたりもします。私は役によって衣裳に重さを持たせたることもあり、『霧深きエルベのほとり』の船乗りの役では足元が重い靴をあえて履いていました。今回もこの装束の重さが光源氏の心情や時代背景と重ねればいいなと思っています。」とも。最後に、「和歌の朗読、和楽器の演奏、日本舞踊など、伝統芸能が取り入れられているのも素敵ですね。私は宝塚時代、三味線の成績がすごく良かったんです。だから源氏物語の時代にまだ三味線がないのが残念(笑)。ですが、いろんなことを教わりながら苦しみたい。お正月公演にふさわしい立ち振る舞いができるように頑張ります。」と締めた。2024年の抱負については、「舞台だけでなく映像でもお芝居したいです。そしてバラエティー番組にも出たいですね。バラエティーの現場って実はハードで、流れを読みつつ、いつ何時でも対応できる瞬発力が求められます。それでも初めて「踊る!さんま御殿!!」に出た時、とても楽しくやりがいを感じました。私は人に笑ってもらうことが大好きなので、チャンスがあればぜひ挑戦したいです。」と意気込んだ。取材・文:三浦真紀ヘアメイク:miura(JOUER)スタイリスト:鈴木仁美
2023年12月04日2006年にブロードウェイ初演、第61回トニー賞では全11部門でノミネートされ、うち8部門で受賞した傑作ミュージカル『春のめざめ』が東京・浅草九劇で12月3日(日)よりプレビュー公演、12月5日(火)より本公演が上演される。フランク・ヴェデキントの同名小説を原作にしたロックミュージカルで、日本では2009年に劇団四季が初演したが、今回は昨年上演され好評を博した奥山寛演出版。昨年同様、一般オーディションで選ばれたフレッシュな実力者たちをWEST/EASTの2チームに分け上演する。主人公メルヒオールを演じる有馬爽人(WEST)と東島京(EAST)に話を聞いた。現在有馬は23歳、東島は18歳。歌手に俳優にモデルにと多彩に活躍している有馬は今回が初ミュージカル。「自分にとっては新しいことを知るということが活力になっています。初ミュージカル、そして14歳の役ということで、どういう有馬爽人が出てくるのか。新しい自分に出会いたい」と意気込む。一方東島は、今年3月にはロンドンでミュージカルの舞台にも立った注目株。「ブロードウェイ版の音源を聴くと、とにかく曲がキャッチ―で耳に残り、どうしても出演したいと思いました」とオーディションに挑んだ理由を語った。物語は19世紀末のドイツを舞台に、性に対しての無知と大人たちの無理解が悲劇を引き起こしていく、思春期の少年少女たちの群像劇。「本当に繊細で美しいミュージカルです。登場人物一人一人に濃い人生があり、悩みが葛藤がある。生バンドが奏でる音楽の表現や照明、すべてが繊細です」と有馬。演じる上で大切にしているポイントは「メルヒオールはみんなから頼りにされている少年で、同性からも異性からも人気がある。僕は人見知りするタイプなのですが、この稽古場ではメルヒオールとして生きようと思い、一人一人とコミュニケーションをとることを大切にしています」(有馬)、「僕もこれまで辛いこともあったし、楽しいこともあった。そういった葛藤、目の奥にある叫びのようなパッションは大事にしたいです」(東島)とそれぞれ話した。「子どもたちの葛藤も生々しいのですが、そこにどう大人が関わってきているのかを見ていただけたら、原作である小説の出版から100年以上経っている今の時代に上演する意味も見えてくる。観て終わりではなく、4日くらい余韻に浸っていただけたら嬉しいです」と東島。公演は12月23日(土)まで同劇場にて。チケットは発売中。取材・文:平野祥恵
2023年12月04日明治座創業150周年、ももいろクローバーZ結成15周年を記念して「第2回 ももクロ一座特別公演」が明治座にて上演される。オリジナルミュージカルとライブの二部構成となるが、ミュージカルの座長を務めるのは玉井詩織。本番に向けて稽古が進む中で、玉井が意気込みを語った。当初、2021年に予定されていたがコロナ禍で延期となり、2年を経てようやく“玉井座長”が実現することに。「2019年の第1回公演では佐々木(彩夏)が座長を務めていて、その重みを横で見ながら感じていたので今回、自分がやるとなった時、正直、不安でした。学生時代も委員長になるようなタイプじゃなく、どちらかというと副委員長とかをやることが多かったので…(笑)。真ん中で自分が引っ張るのは得意じゃないですが、変に気負わず、みんなが良い雰囲気でできるように務められたらと思います。佐々木の姿と、外部の舞台で三宅裕司さんが座長をされているのを見ていて、2人に『(座長として)どうしたらいいのか?』と聞いたら、共通して『おいしいものを差し入れとけばいい』って(笑)。たしかに食べ物によるモチベーションってすごくあると思うので、みんなが『頑張ろう!』と思えるものを差し入れたいと思います!」“大江戸ミュージカル”と銘打たれた「CHANGE THE FUTURE!~未来を変えろ~」は全編オリジナル楽曲によるミュージカル。総合演出を務めるのは「踊る大捜査線」で知られる本広克行。映画「幕が上がる」をはじめ、ももクロの様々な初挑戦に寄り添ってきた存在であり「右も左もわからない未熟な私たちに芝居を教えてくれた」と全幅の信頼を寄せる。「今回のミュージカルもきっかけは私だったらしく、ある番組で『今後挑戦したいこと』を聞かれて、なんとなくいつかミュージカルをやってみたいと言ったら、いつの間にか明治座でミュージカルをやらせていただくことに決まってました…(笑)。監督から『しおりんがすごいこと言うから大変だよ!』って言われたけど、明治座でとは言ってないですから!」と苦笑しつつ「今回も『いつものしおりんじゃない部分を出したいんだよね』と言ってくださっていました」と語る顔は楽しそうだ。現在28歳。人生の半分以上の時間をももクロとして過ごしてきたが、この15年を「感覚としてはあっという間」とふり返る。「いろんな選択肢がある中で、『続ける』という選択したことは自分自身、誇れることだと思います」と胸を張り、公演に向けて「『2年待ってよかった』と思っていただける作品を届けられたらと思います!」と力強く意気込んだ。取材・文:黒豆直樹
2023年11月24日スタンダールの長編小説を原作とした“フレンチロックミュージカル『赤と黒』の公開稽古と取材会が行われ、主演の三浦宏規をはじめ、夢咲ねね、田村芽実、東山光明、川口竜也、東山義久、駒田一、演出のジェイミー・アーミテージが出席。3つの場面での歌唱シーンがお披露目された。ナポレオン帝政の崩壊後のフランスを舞台に、貧しい家に生まれながらも出世への野心を胸に成り上がっていくジュリアン・ソレルの姿を描く本作。ヘンリー8世の6人の妻の半生を現代のポップ・コンサートに置き換えた話題のミュージカル『SIX』の共同演出家のアーミテージが日本で初めて演出を務める。この日、最初に披露されたのは、裕福なブルジョワ階級のレナール家に家庭教師として雇われたジュリアン(三浦)が、レナール氏の妻・ルイーズ(夢咲)に恋焦がれ、彼女の寝室に忍び込むシーン。驚くルイーズにジュリアンはまっすぐに「あなたを愛しています!」と告白。貞淑なルイーズは拒否しようとするもジュリアンは「あなたが僕を狂わせた」と情熱的に迫り…。愛を確かめ合った2人は「禁じられた愛の言葉」を歌う。顔を近づけ、見つめ合いながら愛を歌い上げる2人の姿が官能的だ。続いて披露されたのは、ルイーズとの密会が露呈し、レナ―ル家を去ることになったジュリアンが、ルイーズの愛を失ったと思い込み、哀しみ、愛、憎しみ、怒り、そして野望を歌い上げる「赤と黒」。ジュリアンの内にある赤き情熱、黒い闇がロック調の歌とダンスで力強く表現される。最後に披露されたのは、2幕の冒頭で舞台はパリ。ジュリアンが秘書を務めるラ・モール侯爵(川口)の屋敷でのパーティの場面で、侯爵の娘・マチルド(田村)が社交界に飽き飽きしているさまを歌う「誰も彼も退屈」。このマチルドとの出会いもまた、ジュリアンの運命を大きく狂わせていくことに…。公開稽古を終えて、「凄い緊張感で、1公演が終わったような感じです」と語る三浦。デンジャラスでスリリングなジュリアンという主人公の魅力を表現する上で「内に秘めた思いと外にはそれを出さない部分――二面性を出したい」と語る。作品全体についても「迫力あるナンバーが多いので(楽曲が目立って)ショーのように見えかねないですが、そこに至るまでのストーリー、気持ちをつなげていく作業を丁寧にやっていきたい」と語った。ジュリアンが愛と欲望のはざまで揺れ、成りあがり、堕ちていくさまをどう表現するのか。完成を楽しみに待ちたい。取材・文:黒豆直樹
2023年11月22日ハローキティのショーと食事が楽しめるシアターレストラン「HELLO KITTY SHOW BOX」では、大人気カフェショー HELLO KITTY PIANIST DREAMの冬公演 『Snowful Christmas』を11月16日(木)から12月25日(月)まで開催しています。© 2023 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L640006本公演では、「Christmas Medley」や「ママがサンタにキスをした」など誰もが知っている冬の名曲や「パプリカ(Xmas Edition)」など人気J-POP、みんなで踊れる定番ソングまで、冬の訪れを感じさせる計6曲の楽曲をお届けいたします。また、当施設が提供するメニューは、全てが牛乳や卵、小麦粉を使用せず、植物性由来の食材のみで調理されたヴィーガン料理で身体に優しいお食事を提供。りんごを模ったかわいい“特製アップルパイ”や肉厚パティと濃厚チーズが堪らない“ヴィ―ガンチーズバーガー”に、14種類のスイーツもご用意しております。ここでしか味わえないヴィ―ガン料理を味わいながら、可愛いハローキティのクリスマスショーをお楽しみください。■新作カフェ公演『HELLO KITTY PIANIST DREAM 《Snowful Christmas》』概要公演日時:2023年11月16日(木)~ 12月25日(月)営業時間:カフェタイム/14:00~17:00※カフェタイムの入退場は自由第1部14:00~15:30(SHOWTIME/14:30~15:00)第2部15:30~17:00(SHOWTIME/16:00~16:30)※11月25日~26日、12月16日、23日~25日のカフェタイムは1部のみ公演曲目:くるみ割り人形 小序曲/すてきなホリディ/Everything/ママがサンタにキスをした/Christmas Medley/パプリカ(Xmas Edition)場所:兵庫県淡路市野島平林177-5料金:大人/2,500円(税込)子供/1,500円(税込)※スイーツ/フード・ショー・グリーティング・ハローキティ アップルハウス入場料金を含む問合わせ:HELLO KITTY SHOW BOXTEL 0799-70-9022hellokittyshowbox | AWAJI HELLO KITTY APPLE LAND : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年11月21日11月3日(金・祝)から有楽町よみうりホールにて、とびきりポップな青春ミュージカル『スライス・オブ・サタデーナイト』が開幕した。主演を務めるのは河下楽(AmBitious)。これまでにも主演舞台の経験はあるが、ミュージカルは初挑戦となる。30曲を超えるロックナンバーを生バンドが演奏する、底抜けに明るくてパワフルなゲネプロの様子をレポートする。1960年代イギリスの、とある地方都市。土曜日の夜がやってくると、地元の人気店「CLUB A Go-Go」に若者たちが集い、一夜のボーイミーツガールがはじまる。運命の相手を心待ちにしたティーンエイジャーたちが、店内で赤裸々な恋愛模様を繰り広げるストーリーだ。河下が演じる17歳の主人公リックは恋愛に奥手で、気になる女の子であるシャロン(熊谷彩春)になかなか声をかけることができない。河下は他の共演者から「素顔と役の境界線が見えない」と言われるほど、無邪気で愛嬌のあるリックを素直に演じている。やがてリックとシャロンが心をかよわせるデュエット曲では、運命の相手を見つけた二人のときめきが溢れており、観客をあたたかい気持ちにさせてくれる。そんな初々しい二人とは対照的に、他のカップルたちはセックスにドラッグにと問題が続出する。昨今のコンプラ重視の風潮はどこ吹く風とばかりに、思春期の暴走をかなり攻めた演出で笑いに変えている。ツイッギー風のレトロ可愛い衣装やヘアセットも見どころだ。ゲネプロ後の会見では、河下が「見に来てくださるお客様を絶対に後悔させない自信があります!」と意気込みを語った。写真撮影では、登壇したキャストみんなで河下をギュッと抱きしめるように集合し、カンパニーの誰からも愛される河下のキャラクターが垣間見えた。劇中でキャストが客席に降りてくるシーンが多く、観客にも大いに参加してもらう演出となっている。約30年前の上演時にリックを演じ、本公演で若者たちを見守るクラブオーナーのエリック役を演じている川平慈英が「あなたが私たちのメンバーになっているかもしれません。遠慮することなく、日頃のストレスを全部出し切ってほしい」と言うように、「CLUB A Go-Go」のにぎやかなサタデーナイトを楽しんでほしい。東京公演は11月3日(金・祝)~19日(日)、有楽町よみうりホールにて。取材・文:北島あや
2023年11月07日ミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageが10日6日(金)からTOKYO DOME CITY HALLで開幕した。人気漫画『テニスの王子様』でしのぎを削った強豪校のメンバーたちが、続編の『新テニスの王子様』ではU-17(アンダーセブンティーン)日本代表選手として共に世界の強敵に立ち向かう。シリーズ第3章となる本作では、ついに世界一をかけたU-17 WORLD CUP(アンダーセブンティーンワールドカップ)編に突入する。物語は主人公の越前リョーマ(今牧輝琉)がアメリカ代表、手塚国光(山田健登)がドイツ代表として出場するという波乱の幕開けから始まる。見どころは国際色豊かなキャストたちだ。アメリカ、ドイツ、フランス各チームの個性がぶつかり合う。一幕は日本代表による華やかなオープニング、それに続くアメリカ代表のポップで明るいナンバーが響きわたる。客席が明るい光に包まれるなか、黒いユニフォームのドイツ代表が現れると空気が一変した。厳格で威圧的なパワーを持つドイツ主将、ユルゲン・バリーサヴィチ・ボルク役をザック・コバヤシが眼光鋭く演じる。新天地で覚悟を決めた手塚国光役を演じる、山田健登の説得力ある歌唱もいい。激しいテニスバトルを繰り広げながらも、それぞれの成長にフィーチャーした構成で、跡部景吾(高橋怜也)や幸村精市(藤田浩太朗)など完全無欠と思われたキャラクターの苦悩や葛藤が描かれる。二幕のフランスチームとの対戦は、パリコレモデルさながらのパフォーマンスなど、コミカルな要素も取り入れながら展開する。越前リョーマがフランス代表の“王子様” プランス・ルドヴィック・シャルダール(DION)と対峙するシーンはファン必見なので、ぜひ劇場で楽しんでほしい。ゲネプロ前の囲み取材では、今牧輝琉(越前リョーマ役)、佐々木 崇(平等院鳳凰役)、ザック・コバヤシ(ユルゲン・バリーサヴィチ・ボルク役)、山田健登(手塚国光役)、DION(プランス・ルドヴィック・シャルダール役)が登場。今牧は「約2年ぶりの『新テニミュ』に帰ってくることができて嬉しい。お客様には作品世界の一人になったつもりで観ていただきたい」と熱い想いを語った。東京公演は10月15日(日)までTOKYO DOME CITY HALL。大阪公演は10月20日(金)~29日(日)までメルパルクホール大阪。東京凱旋公演は11月3日(金・祝)~11月12日(日)までTACHIKAWA STAGE GARDENで上演される。(c)許斐 剛/集英社・新テニミュ製作委員会取材・文:北島あや
2023年10月12日ステージ上手にはピアノ、下手にはソファー。ロレンツ・ハート(林翔太)の家で、彼はリチャード・ロジャース(寺西拓人)のメロディーに歌詞をつけ歌い出す。のちに大ヒットする「Manhattan」が生まれた瞬間だ。ふたりがブロードウェイで、ラジオで、ハリウッドで、数々のヒット曲を生み出す様子が小気味よいテンポで描かれていく。ロジャースはドロシー(壮一帆)に、ハートはペギー(凰稀かなめ)に、想いを寄せる。しかし、ふたりの恋は明暗が分かれる。ロジャースはドロシーと結ばれ、ハートの想いはペギーに拒まれたのだ。その切なさは、第一幕ラストの「My Romance」、第二幕ラストの「Blue Moon」で、ふたりのハーモニーとなって観る者の胸を打つ。2018年の初演から、大幅にブラッシュアップされた今回の公演。前回ロジャースを演じた林が今回はハートを、前回は4役を演じた寺西拓人がロジャースを演じ、これまで彼らが共演を重ねてきたなかで培ったコンビネーションで、魅力的なロジャース&ハートとなっていた。林はいたずらっ子な少年のような笑顔で、天才肌のハートを表現。その一方、「Why Can’t I?」で報われない恋の苦しさも十二分に表現してみせた。寺西も伸びやかな歌声で、まっすぐなロジャースの心情を届ける。ふたりがブロードウェイに戻ることを決めて歌う「I Gotta Get Back To New York」などで、彼らの歌声の魅力が存分に伝わってきた。ふたりを取り巻く人々は、上演台本・訳詞・演出を手がける玉野和紀はじめ、凰稀かなめ、壮一帆、藤岡正明、中河内雅貴らが複数の役柄を演じ分ける。藤岡のパワフルな歌声、中河内の艶やかな歌とダンス、そしてパフォーマンスはもちろん美しさも目を惹きつける凰稀・壮と、ゲネプロ終了後の取材会で「ミュージカル・モンスター」と林・寺西が称えた魅力が満載。非常に充実したステージだ。中でも、ラジオ番組でのドタバタとした展開、ハリウッドでのせわしない撮影所の模様と、コミカルさもロマンチックさもあるステージングは、キャストの歌とダンスの魅力が十二分に発揮されたシーンだったように感じる。ロジャース&ハートのコンビの終わりと共に幕は下りるが、とても温かなものが心に残る素敵なエンディングだった。東京公演は有楽町よみうりホールにて、10月18日(水)まで。取材・文:金井まゆみ
2023年10月10日林翔太、寺西拓人W主演によるブロードウェイ・ミュージカル「ロジャース / ハート」。9月30日(土)の幕開けを控えた9月下旬、稽古場の模様が公開された。1997年にアメリカで初演された本作。ニューヨークのブロードウェイで1920年代から40年代にかけて活躍した作詞家ロレンツ・ハートと作曲家リチャード・ロジャースのコンビの栄光の軌跡を描く。この日の稽古で行われていたのは第一幕の三場で1929年、2人が司会を務めるラジオ番組「ロジャース&ハート・アワー」の収録の模様を描いた場面。予定にはないゲストが飛び入りで歌ったかと思えば、来るはずの大物ゲストが到着せず、慌てて本人になりすました代役を立てて乗り切ろうとするなど、生収録のラジオ番組ならではのドタバタ模様がコミカルに描き出される。全編を通して実に39曲(!)もの楽曲が歌われるが、このラジオ収録の場面でも次々とヒットナンバーが登場。独身最後の夜を高らかに歌い上げる「This Is My Night To Howl」や彼らの人気と評価を決定づけた名曲「Manhattan」などが披露され、彼らの売れっ子ぶりがわかるシーンとなっている。続く四場は1932年。2人はハリウッド進出を控えており、ニューヨーク・ハーレムにあるハートの自宅で、ミュージカルの仲間たちを呼んでパーティを開いている。今年7月に亡くなったトニー・ベネットとレディ・ガガが2011年にデュエットで歌ったことでも話題を呼び、日本でも椎名林檎などがカバーしている、気まぐれな、強く生きる女性像を歌い上げる名曲「The Lady Is A Tramp」をはじめ、ここでも次々とヒットナンバーが登場し、男たち、女たちが入れ替わり立ち替わり、歌とダンスで魅せる。2018年に本作でロジャースを演じ、舞台初主演を務めた林が今回はハート役で、ロジャースとはまた違った、自由奔放に見えて、どこか心に陰を持つ天才作詞家を演じており、この三場では想いを寄せる女優のペギー(凰稀かなめ)に気持ちを伝えるのだが…。一方、寺西が演じるロジャースも、女優のドロシー(壮一帆)への恋心を自覚するが、ドロシーのほうは自らの胸の内にわき上がる思いを「恋のはずがない!」と打ち消そうとする。そんな2人が正反対の歌詞で歌うのが「This Can’t Be Love」。続く五場で、ロジャースとハートがしっとりと歌い上げる「My Romance」と共に前半の見せ場となっている。林、寺西をはじめ、今回から出演となる凰稀、壮ら、実力派のキャストによる名曲ぞろいの上質のミュージカルとなっており、幕開けが待ち遠しい。「ロジャース/ハート」は9月30日(土)より有楽町よみうりホールにて上演中。その後、金沢・大阪公演あり。
2023年10月06日これまでも映像化、アニメ映画、舞台化されてきた筒井康隆の傑作SF小説「時をかける少女」が初のミュージカル化をされる。10月6日に迎える初日に先駆けて、衣装付き通しを行っている稽古場を取材した。科学実験室で不思議なラベンダーの香りを嗅ぎ不思議な力を手に入れた主人公・芳山和音。その力を使い、未来から来たタイムトラベラー・深町一夫と時空を超える冒険に出た先で、織田信長、森蘭丸そして過去の家族に出会い……。原作「時かけ」のストーリーをアレンジしながら、新曲17曲で彩った新作ミュージカルとなる。この日は初の衣装付き通し稽古。冒頭キャッチ―なナンバーからスタート。総勢12名のアンサンブルを含めたフルメンバーでオープニングを盛り上げた。見学中、とにかく圧倒されるのはその楽曲のボリューム。上演時間2時間の内、新曲は17曲。和音、幼馴染の吾郎、友人の真理子と3人で恋について歌うかわいらしいナンバーから、信長・蘭丸で未来への希望を歌った壮大な楽曲、タイムトラベルで能力を手に入れたことで過去に向き合った和音が歌うバラードと、バラエティに富んだ構成で物語を飽きさせること無く進めていく。主演の田中梨瑚は、より現代の女子高生らしく描かれる主人公・和音を好演。過去・深町と関わりのあった戦国時代の娘・イサキとの二役と、ほぼ舞台に出ずっぱりながら、元気なキャラクターはもちろん、家族との関わり、初恋に揺れる様子を繊細に演じた。そしてこちらも実質二役となる蒼木陣。和音に振り回される深町、そして時間旅行を生み出した研究者ケン・ソゴルと、現在・過去・未来を行き来する、最も「時をかける」人物を確かな演技力で熱演した。和音の友人・真理子を演じるのは、特別出演となる天翔愛。これまでにないコミカルな演技に挑戦しながら、伸びやかな歌声を披露するソロナンバーは必見だ。和音に淡い想いを寄せる幼なじみ吾郎を演じる小川優の不器用でピュアなキャラにも注目してほしい。さらに物語を盛り上げるのは織田信長役・多田直人(演劇集団キャラメルボックス)、森蘭丸役・西井幸人。タイムトラベル中に出会う二人が知る歴史に隠された新真実…?ラストには映画版の主題歌「時をかける少女」も披露。どこか切ない記憶で終わる「時かけ」だが、ミュージカルだからこその爽やかなエンディングは今作ならでは。本番では映像演出も加わるという本作、ぜひ劇場でその完成形を確かめてほしい。公演は10月6日(金)から10日(火)まで日本橋劇場[日本橋公会堂]にて。チケット発売中。
2023年10月05日9月16日(土)、赤澤遼太郎、小南光司のW主演によるミュージカル「コードギアス 反逆のルルーシュ 正道に准ずる騎士」が京都劇場で幕を開けた。原作は、2006年から放送された同名タイトルのテレビアニメ。皇歴2010年、神聖ブリタニア帝国に支配され、自由と権利、そして名前を奪われた日本。「エリア11」と名付けられた敗戦国に生きる二人の少年、スザクとルルーシュの成長と友情を軸に、ブリタニア帝国と武装組織の黒の騎士団や旧政府軍が対立する7年後の世界を描いている。赤澤遼太郎は、まっすぐな視線でルールこそ正義と信じる枢木スザクを熱演。言葉にならない感情も眼力で強く訴えた。ゼロと名を偽り、黒の騎士団を束ねて暗躍するルルーシュ・ランペルージを演じるのは小南光司。時間が経つごとにダークな雰囲気を増幅させ、漆黒の闇を体に宿した。ルルーシュに絶対遵守の能力「ギアス」を授ける少女C.C.は小山璃奈が演じる。アンドロイドのような完璧な佇まいで、不老不死という謎めいたC.C.を見事に体現した。コーネリア・リ・ブリタニア役の齋藤千尋は堂々たる存在感でブリタニア帝国を統治。そんな彼女とは正反対の妹ユーフェミア・リ・ブリタニアは木下綾菜が演じ、スザクのみならず作品全体に癒しを与え、緊張感がみなぎる会場を和ませた。旧日本軍中佐の藤堂鏡志朗役の砂川脩弥は、ゆるぎない意思と決意を全身からにじませた。そのほか、主要キャストが個性豊かなキャラクターを巧みに演じ、世界観を膨らませた。人型自在戦闘装甲騎「ナイトメアフレーム」での戦闘シーンは、複数の視点を様々な方法で同時に見せることで、舞台ならではの臨場感と立体感を演出。リアルな映像と体に響く爆音でも戦いのすさまじさを表現した。どの戦いもアンサンブルキャストの身体能力がいかんなく発揮されており、見ごたえ十分だ。また、戦闘がすさまじいほどアッシュフォード学園での若者たちの生き生きとした姿がまばゆく、戦争のない世界の尊さを実感した。出演者全員による群舞も圧倒的で、この作品にかける熱量がそのままダンスにも注ぎ込まれているよう。物語を彩る楽曲にも注目だ。各々の心情を丁寧に歌いあげ、現在地や関係性が明確に。赤澤と小南によるハーモニーも心地よく、白と黒という彼らの衣装も相まって、対照的な生き方を選んだスザクとルルーシュの関係性がより美しく見えた。何が正しく、何が間違いだったのか。それぞれの正義を探す旅は、始まったばかりだ。取材・文:岩本和子
2023年09月27日2006年に放送開始となったTVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の舞台化が決定。ダブル主演を務める赤澤遼太郎に話を聞いた。「ナイトメアフレームの見せ方が大事」だと赤澤は言う。ナイトメアフレームとは、TVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』世界において使用される人型自在戦闘装甲騎。主人公のルルーシュ・ランペルージが超大国「神聖ブリタニア帝国」に反逆する姿を描いた物語は、放送当時大きな反響を呼んだ。その戦いを描くなかで、要となるのがナイトメアフレームでの戦闘描写というわけだ。「いろいろな人の心情やその時起こっていることの重大さも説明することになるだろうから、そこをどう表現するかが大事だし、楽しみでもあります」もともとこの作品が大好きだった赤澤。中学生の時、スタイリッシュなビジュアルと世界観、そしてカリスマ性にあふれたダークヒーロー・ルルーシュに魅了されたという。今回ルルーシュの幼なじみにして好敵手である枢木スザクとして、ルルーシュ役の小南光司とダブル主演を務めることも「ほかの誰でもなく自分がスザクを演じられることがすごく嬉しい」と満面の笑みを浮かべた。スザク役へのキャスティングは、キャラクターの顔や雰囲気を考えると納得だそう。ビジュアル撮影の際も、スタッフと相談して衣裳のウエストラインを絞るなど、積極的にキャラクターデザインに沿ったビジュアルを心がけた。「再現度がすべてではないけれど、お客様にとって観に行くかどうか決める重要な要素。だからビジュアル発表の時はドキドキします。『いい』っていう反応が大きかったので嬉しかったですね」と打ち明ける。ダブル主演の相棒となる小南とは共演経験もあり「台本や自分の演じるキャラクターの流れに沿って、いかにリアリティをもって演じるかにこだわって、嘘がないところがいい。僕がセリフをかむのが怖かった時期にそのことを話したら『かむことより、気持ちが伝わらないことの方が怖くない?』って言ったんですよ。小南さんらしいし、確かにその通りだと思った。彼とならお互いに言いたいことを言える、いいコンビでいられます」と語る。「座長として役者として、スザクの感情を保ちながらも周りのみんなをしっかり見ていきたい。これまでの経験を活かしながら、『コードギアス』が僕にとってこれまでの最高傑作にしたい。常に最新の出演作が一番いい作品でありたいんです」。そんな赤澤の挑戦を見届けたい公演は、京都公演を経て9月23日(土・祝)~10月1日(日)にサンシャイン劇場にて。取材・文:金井まゆみ
2023年09月11日ハローキティのショーと食事が楽しめるシアターレストラン「HELLO KITTY SHOW BOX」では、大人気カフェショー HELLO KITTY PIANIST DREAMの秋公演 『Autumn Scarlet』を9月1日(金)から11月14日(火)まで開催しています。©2023 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L640006本公演では、「Lemon」や「上を向いて歩こう」など誰もが知っている人気曲、「秋の童謡メドレー故郷の空~もみじ」など人気JPOPやクラシック、みんなで踊れる定番ソングまで、秋の訪れを感じさせる計6曲の楽曲をお届けいたします。また、当施設が提供するメニューは、全てが牛乳や卵、小麦粉を使用せず、植物性由来の食材のみで調理されたヴィーガン料理で身体に優しいお食事を提供しています。ここでしか味わえないヴィ―ガン料理を味わいながら、可愛いハローキティのショーをお楽しみください。■新作カフェ公演『HELLO KITTY PIANIST DREAM 《Autumn Scarlet》』概要公演日時:2023年9月1日(金)~11月14日(火)営業時間:カフェタイム/14:00~17:00※カフェタイムの入退場は自由第1部14:00~15:30(SHOWTIME/14:30~15:00)第2部15:30~17:00(SHOWTIME/16:00~16:30)場所:兵庫県淡路市野島平林177-5料金:大人/2,500円(税込)子供/1,500円(税込)※スイーツ/フード・ショー・グリーティング・ハローキティ アップルハウス入場料金を含む問合わせ: HELLO KITTY SHOW BOX TEL 0799-70-9022hellokittyshowbox | AWAJI HELLO KITTY APPLE LAND : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年09月04日『マンハッタン』『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』『ブルー・ムーン』など、1920~1940年代に多くのヒット曲を生んだ作曲家リチャード・ロジャースと作詞家ロレンツ・ハート。彼らの出会いと活躍を彼ら自身の楽曲で綴ったミュージカルが、この『ロジャース/ハート』だ。好評を博した2018年の日本初演から5年、待望の再演を迎える。奔放なハートを演じるのは、林翔太。初演ではロジャースを演じ、「ミュージカルの右も左も分からないような状態」だったと話すが、この5年でさまざまな舞台に出演。いろいろな意味で難易度の高い作品を乗り越えてきて、今回の挑戦も「不安はない」とどっしり受け止めている。今回生真面目なロジャースを演じる寺西拓人は、初演ではウェイターなどさまざまな役を演じ分けた。しかし今回は配役が変わり、かつて林が演じたロジャースに。初演を思い返すとロジャースは「林くんの声で再生される」そうだが、自分のロジャースはどのようなものになるのか楽しみだと話す。今回は台本も書き直され、新たな曲が加わり、キャストも6人から12人へ、と単なる再演ではなく半分新作のようなもの。その分キャストも大変なのでは……と思いきや、「ボリュームは増えたけど、人数も増えたので、それほど負担が増えるわけじゃない。それより、“ミュージカル・モンスター”が揃っているのが楽しみ」とふたりは笑う。確かに、上演台本・訳詞・演出・振付と共に出演も果たす玉野和紀のほか、凰稀かなめ、藤岡正明、中河内雅貴、壮一帆など、強者ぞろい。彼らの競演は必見だ。事務所の先輩・後輩として、共演者として、互いを俳優として「なんでもできるし、歌もうまい」と認め合っているふたり。あえて「これは負けない」という自分の強みを聞くと、林は「セリフ覚えの早さ。大竹しのぶさんと『女の一生』(2020年)で共演した時、どれだけセリフ量が多くても台本を持たずに稽古している姿を見て、自分もそうなりたいと思って稽古前に絶対覚えていくようになった」と明かす。一方、寺西は「玉野さんの現場でもほかの現場でも、僕が一番いじられるんですよ。でもそれで共演者やスタッフさんと仲良くなれることも確か。そういうコミュニケーション力は武器にしていこうかな」と笑う。それぞれの持ち味を活かしながら臨む公演は、9月30日(土)~10月18日(水)有楽町よみうりホールにて。その後、金沢・大阪公演あり。取材・文:金井まゆみヘアメイク:国府田雅子(b.sun)スタイリスト:嶋岡 隆(Office Shimarl)衣裳協力:EYCK / guernika / UNFILO
2023年08月30日1987年の月組初演以降、度々再演されてきた大ヒットミュージカル『ME AND MY GIRL』。この人気作が宝塚歌劇星組公演として博多座に登場。ビル役およびジョン卿役を役替わりで演じる専科の水美舞斗と星組の暁千星、ヒロインのサリー役を演じる星組の舞空瞳に話を聞いた。「ワクワクと不安が入り混じった気持ち」と言うのは、これが専科異動後の初舞台となる水美。本作品には2016年花組時代にジェラルドとランベス・クイーンの2役で出演したことがある。「星組にはパワフルなイメージがあります。星組の『ME AND MY GIRL』がどう仕上がっていくか楽しみ」と意気込む。一方、月組配属時に初めて出演した作品ということで、暁にも特別な想いがあるそう。「当時はまだ舞台経験が少なく、ついていくのに必死という感じでした。今回はコメディの世界観を大切にしながら、ビルとジョン卿という2役を楽しみながら演じたいと思います」。「ファンとして何回も見てきた作品に出演させていただけるなんて夢のよう」と語るのは舞空。水美とは共に花組に在籍していた時期があり、「再び共演させていただけるご縁を嬉しく思う」と笑顔。1930年代のロンドンを舞台に、下町で育った名門貴族の跡継ぎである青年ウイリアム(ビル)が、一人前の紳士に成長するまでを、恋人サリーとの恋物語を絡めて描く物語。「見てハッピーになれる」(水美)、「人間味と愛に溢れた作品」(暁)、「思わず口ずさみたくなる曲が魅力的」(舞空)と3人が口をそろえる、とびきり明るくてハートフルなミュージカル。「ビルは、サリーを一途に思い続ける愛情の深さと男気を兼ね備えた人物。明るさの中に切なさも秘めています。対するジョン卿は茶目っ気がありながら、どこまでもダンディ。互いに刺激や影響を与え合いながら、暁と一緒に深い役作りをしていきたい」(水美)。「遊び心を忘れない自由なビルの感性を、いかに表現できるかが一つの課題。一方、ジョン卿は男役として成長できる役。水美さんからも役づくりのアイデアや発想を学ばせて頂きたい」(暁)と、役替わりでの出演に意欲を見せる2人。「サリーは、明るい笑顔とまっすぐにビルを思う心が印象的な役。水美さんと暁さんが演じられるビルの気持ちを全身に感じながら、サリーとして生きたいです」と舞空も共演への抱負を続けた。「一幕終わりの『ランベス・ウォーク』には、ぜひ一緒に参加してください!」と笑顔で締めくくった3人。とびきりハッピーな歌と踊りに酔いしれたい。公演は10月9日(月・祝)~11月2日(木)博多座にて。チケットは8月19日(土)より発売開始。
2023年08月17日コメディミュージカル『ミア・ファミリア』が2023年11月から東京芸術劇場ほかで日本初演される。「3LDK」というユニットを組む植原卓也・平間壮一・水田航生の3人がミュージカル初共演ということでも話題を呼びそうだ。舞台は1930年代のニューヨーク。失業者が急増し、禁酒令にもかかわらず人々はますます酒を求める。荒涼とした都市を密造酒事業で掌握したマフィアは勢力を広げ、建物を買い占めていた。イタリアの労働者たちの癒しの場である「アポロニア イン&バー」もマフィアの手に渡り、明日には閉店する。「アポロニア」に残った最後のボードビル俳優のリチャード(平間壮一)とオスカー(水田航生)は最後の公演準備をしている。そんなとき、マフィアの手下のスティーヴィー(植原卓也)がボスの自伝を上演しろと言い始めて......。6月下旬に行われたビジュアル撮影を見学した。煉瓦造りの壁を背景に、テーブルの上にはウイスキーボトルとショットグラス。撮影の直前まで談笑していた3人だが、いざカメラの前に立つと求められている表情とポージングをさらりと体現。スタッフ側からの立ち位置に関する指示はあれど、表情やポージングに関しての注文が少ないことが印象的。裏を返せば、それだけ3人の引き出しが多く、よく作品の世界観を理解しているということだろう。撮影について水田は「この3人で撮影するときはいつも楽しい。今回は、年を重ねて大人な感じが出せているのではないかな」と話す。実際、撮影カットを少し覗いてみたが、3人のスーツ姿は様になっていて、格好いいビジュアルに仕上がりそうだ。改めて本作に出演が決まった心情を尋ねると、植原は「僕ら3LDKがミュージカルで共演することに驚きましたが、きっと応援してくださっている方にとっては嬉しいニュースだったのでは」と話す。一方の平間は「この3人でできるんだという驚きと嬉しさと怖さが一気に来ました」と言い「役を演じるのが役者の仕事ですが、この3人が集まるとどうしても平間・植原・水田が勝手に出てしまって、舞台として成り立つのかどうか......(笑)そこが勝負です」。3LDKはどんな存在なのか。平間は「洋服みたいな感じ。なくてはダメだし、当たり前のようにある」と回答し、植原は「幻想ですね」と含蓄ある答え。水田は「いい意味で何も考えずに一緒にいられる人」と答えた。東京公演は11/24(金) ~ 12/3(日) 東京芸術劇場にて。取材・文:五月女菜穂
2023年08月17日明治座創業150周年記念『明治座9月純烈公演』が9月8日(金)から同劇場で上演される。開幕を前にした7月中旬、取材会が行われ、メンバーが公演に懸ける思いを語った。純烈が初めて明治座に立ったのは、2019年の『50周年記念 前川清特別公演』。当時はNHK紅白歌合戦への出場を果たした直後にメンバーのスキャンダルがあり「純烈最大の危機」だったが、リーダーの酒井一圭は「前川さんと明治座さんが救ってくださった」と話す。その後、2021年7月に初めて座長公演を開催。酒井は「苦しいコロナ禍でしたが、あのときの純烈公演は、稽古から千秋楽まで誰1人欠けることなく完走できた」と語った上で、「唯一の心残りといえば、本番期間中に白川(裕二郎)が生肉にあたって、腹を壊したこと」と振り返ると、白川裕二郎本人から「それは別に言わなくても!」と突っ込まれていた。今年1月1日(日)に加入した岩永洋昭が「観劇で訪れたことはありますが、こんなに大きくて由緒ある劇場の板の上に立つのは初めて。本当はアンサンブルぐらいから始めなくてはいけないのに......」と話すと、メンバーからは「アンサンブルかもしれないよ?」と意地悪なコメントが。それを受けて、岩永は「セリフがあろうがなかろうが、バーンとやります」と答えた。本公演は2本立て。第一部は「ハリウッドスターになりたくない!」というタイトルで、1930年代のハリウッドを舞台にした芝居を上演し、第二部ではおなじみのヒット曲から最新曲までをコンサート形式で披露する。本公演で楽しみにしていることを尋ねると、岩永は「(舞台の昇降装置である)セリをちゃんと使ったことがないので、セリを使った演出が楽しみ」。白川は、前回公演で使用した「純烈号」というセットを挙げ「今回も使わせてもらえるのか......もし使うのなら、どういった状況で使うのかが楽しみ」と言い、後上翔太は「明治座の楽屋にあるお風呂。前回公演では、公演後にお風呂に入るのがすごく気持ちよかったので、今回も湯船に体を沈める瞬間が楽しみです」。そして、酒井は「やっぱり握手ですね。今回純烈を初めてご覧いただく方や、コロナが怖くて前回観劇を諦めた方もいると思うのですが、そういった方々と握手をして、純烈のことをどんどん好きになってもらえればと思います」とリーダーらしいコメントをした。公演は10月1日(日)まで。取材・文:五月女菜穂
2023年08月16日8月11日(金・祝) より新宿FACEで上演されるミュージカル『ALTAR BOYZ 2023』のアフタートークショーに、東山義久と植木豪が出演することが決定した。『ALTAR BOYZ』は、2004年にニューヨークの47丁目劇場(Puerto Rican Traveling Theater)で初演された作品。ライブ感満載のこのミュージカルは日本でも2009年に初演され、キャストと組み合わせを変えながら再演を重ねている。今回は【Team GOLD】【Team SPARK】、そして新たに編成された【Team SAPPHIRE】の3チーム制となる。日本版オリジナルキャストである東山と植木は、今回Co-Producerとして名を連ねている。東山は8月13日(日) 13時公演、植木は8月14日(月) 19時公演のアフタートークショーに登場する。そのほか、演出を務める玉野和紀の登場回や、【Team SAPPHIRE】のメンバーと【Team GOLD】の大山真志を迎えてのトークなどが予定されている。また、『ALTAR BOYZ 2023』合同スペシャル公演が、9月2日(土)・3日(日) に恵比寿ザ・ガーデンホールで上演されることが発表された。本公演には3チームのキャストに加え、廣瀬真平と大音智海が出演する予定で、第9回目の『ALTAR BOYZ』を締めくくるに相応しい、集大成と言える2日間となりそうだ。■東山義久 コメントALTAR BOYZ 2023、開催おめでとうございます!今までを継承しつつも、新たなメンバーで新しいALTAR BOYZを創っていって欲しい。皆んな!!ALTAR GIRLZと素敵な時間をー!!■植木 豪 コメントALTAR BOYZアフタートークショーに出演させていただきます!募る想いを話せる事と大好きなALTAR GIRLZ の皆さんに会えるのがとても楽しみです!!!新しいチームもたくさん応援させていただきます。是非ともよろしくお願いします。■廣瀬真平 コメント長く愛されるALTAR BOYZの世界に今回もまた、関わらせて頂けることに嬉しく感謝しております。僕の言葉に全力で命と光を込め、皆様と共に最高の時間を過ごしたいと思います。■大音智海 コメントキリスト教系ボーカルグループ、ALTAR BOYZ のアブラハムとして東京に降臨します!ユダヤ人の彼と共に、皆様の魂を清めにきました。救いを求めるそこのあなた、僕らの歌とダンスを浴びに是非恵比寿へ。神のご加護があらんことを!■演出・玉野和紀 コメントいよいよ開幕のALTAR BOYZ 2023!声出し解禁となった今、MUSICAL でありながらLIVEパフォーマンスの際立った作品は待ちに待った舞台だと思います。どうぞ会場にお越しになって大いに盛り上がって下さい!そしてそして合同公演は本公演と違ってお祭り騒ぎの3チームが登場します。各チームが入れ替わりながら、そして時には3チームでガッツリのパフォーマンスは必見です!どうぞお楽しみに!<公演情報>『ALTAR BOYZ 2023』8月11日(金・祝)〜29日(火) 新宿FACE『ALTAR BOYZ 2023』ロゴ作:ケビン・デル・アギラ作詞・作曲:ゲイリー・アドラー&マイケル・パトリック・ウォーカー演出:玉野和紀台本・翻訳:北丸雄二Co-Producer:東山義久/植木 豪【出演】Team GOLD:大山真志 / 若松渓太 / 松浦司 / 石川新太 / 常川藍里Team SPARK:鍵本輝(Lead) / 米原幸佑 / 和田泰右 / 川原一馬 / 若松渓太Team SAPPHIRE:中山優貴 / 大野瑞生 / 中本大賀(円神) / 司波光星 / Rayshy【アフタートークショー】8月13日(日) 13:00【Team SAPPHIRE】ゲスト:玉野和紀、東山義久8月14日(月) 19:00【Team GOLD】ゲスト:植木豪8月17日(木) 19:00【Team GOLD】ゲスト:玉野和紀8月18日(金) 19:00【Team SPARK】ゲスト:玉野和紀8月19日(土) 13:00【Team SAPPHIRE】ゲスト:大山真志8月20日(日) 13:00【Team SPARK】※【Team SPARK】メンバーによるトークショーとなります。チケット料金:10,000円★Team SAPPHIRE プレビュー公演(8月12日(土) 17:00公演):9,500円※別途1ドリンク500円※全席指定・税込※未就学児童入場不可『ALTAR BOYZ 2023』合同スペシャル公演9月2日(土)・3日(日) 恵比寿ザ・ガーデンホール【出演】Team GOLD:大山真志 / 若松渓太 / 石川新太 / 常川藍里 / 廣瀬真平Team SPARK:鍵本輝(Lead) / 米原幸佑 / 川原一馬 / 若松渓太 / 大音智海Team SAPPHIRE:中山優貴 / 大野瑞生 / 中本大賀(円神) / 司波光星 / Rayshy※松浦司、和田泰右は合同スペシャル公演に出演いたしません。チケット料金:11,000円一般発売日:8月26日(土) 10:00〜チケット情報:公式サイト:
2023年08月10日世界中にファンをもつ人気ファンタジー小説『精霊の守り人』(上橋菜穂子作)が、日生劇場開場60周年記念公演として舞台化。皇子を守る用心棒バルサには明日海りおと梅田彩佳がWキャストで扮し、壮大な世界観はそのままに、音楽劇としてよみがえる。7月27日(木)、東京・日生劇場でゲネプロと取材会が行われた。凄腕の短槍使いバルサは、ひょんなことから新ヨゴ皇国の皇子チャグム(黒川想矢/込江大牙とWキャスト)の用心棒を務めることに。チャグムは恵みの雨をもたらす精霊の卵を宿しており、卵がかえらなければ干ばつに襲われてしまうという。バルサは幼なじみのタンダ(村井良大/山崎樹範とWキャスト)、呪術師トロガイ(雛形あきこ)と共に、魔物や帝の刺客からチャグムを守ろうとするが……。ゲネプロでのバルサ役・明日海(以下同)は、仲間を思いやり、温かい笑顔で皇子を守る用心棒を好演。短槍を携えて戦うシーンでは、一転して厳しい表情と鮮やかなアクションで見せ、バルサの人となりを陰影豊かに演じた。タンダ役の村井も、バルサを大切に想っている様子を繊細に表現。時に三枚目ぶりを交えつつ、物語を頼もしく引っ張る。チャグム役の黒川は瑞々しい役づくりで、運命に巻き込まれる幼い皇子に説得力をもたせた。その他、帝に仕えるジンを演じる渡部秀は、大柄な体躯と明瞭な声にジンの真っ直ぐな性格を感じさせ、後半の展開につなげる。星読博士のシュガ役・水石亜飛夢の葛藤する様子はジンと好対照で、2人のナンバーも見どころだ。その楽曲や歌、劇伴まで、音楽はすべて生演奏。美しい旋律が“守り人”ならではの深遠なストーリーを盛り上げていた。取材会では、「みんな健康でこの日を迎えられたことが幸せ。心を込めて演じていきたい」と話した明日海。ファミリー向け・学校向け公演が予定されていることもあり、梅田は「観た方に少しでも多くのものを持ち帰ってもらえれば」と意気込む。「観客が入って完成するのが“舞台”。反応が楽しみ」(村井)、「Wキャストの村井さんを見ていて、本当に面白い作品だな!と」(山崎)、「ぜひ素敵な音楽の生演奏にも注目して」(渡部)、「観ている方に何か夢を提示できたら」(水石)と、口々に抱負を語った出演者たち。怪しい呪術師トロガイに扮する雛形が「お子さんが悪いことをしたら、お母さんは『トロガイが来るよ!』と言ってください」と笑わせ、取材会は和やかな空気で終了した。取材・文:藤野さくら
2023年08月01日国内外で活躍するジャズ・ヴァイオリニストの寺井尚子が企画と原案を担当し、真琴つばさら宝塚歌劇OGが出演する、初のコラボレーション『ALL THAT ZZJAALL THAT ZZKA(オール・ザット・ズージャ/オール・ザット・ズカ)』。出演者から真琴のほか姿月あさと、湖月わたる、風花舞、そして昨年退団したばかりの天寿光希と晴音アキに本作への意気込みを聞いた。「ジャズの“扉”は開けられても“その先”に進むのが難しいと感じていたところだったので、出演できて嬉しい」と微笑むのは、昨年ジャズを歌うアルバムをリリースしたばかりの真琴だ。姿月も「自分のコンサートでジャズを歌うことは多いのですが、OG公演でシャンソンなどではなく、ジャズだけっていうのはなかなか無いですよね。それだけに、このメンバーでの共演が楽しみです」と話す。一方、ジャズダンスの魅力を「解放感」と表現するのは湖月。「そこにハマってたくさん踊ってきましたが、ジャズの歌のほうはまだまだ挑戦中。本作を通してさらに勉強できたら」と意気込む。「“ジャズ”と聞いて一番印象深いのは、歌劇団に在団中、NY公演(1992年)で踊ったベニー・グッドマン」という風花は、「今回は歌が多いので緊張しますが、寺井さんとご一緒できるのが何より嬉しい」と笑顔を見せる。さらに、意外にも在団中はジャズに触れる機会が少なかったという天寿は「他の組でジャズのシーンがあるとワクワクして観ていました(笑)。憧れの先輩たちからたくさん吸収したいです」と気合い充分。晴音もうなずきながら、「“宝塚とジャズ”ってたくさんの名場面が残っていますよね。退団後はジャズを勉強したいと思っていたので、出演できて夢のよう」と喜ぶ。2人とも在団中は“エトワール”(フィナーレでの独唱)経験者だけに、強力な助っ人となりそうだ。選曲については、「真琴さんたちと『せっかくだからハードルの高い曲に挑戦してみたいですよね』と相談しました」と茶目っ気たっぷりに明かす湖月。「まさかの選曲です」(姿月)、「女性同士でのデュエットも」(真琴)など、気になる発言が飛び出した。「宝塚歌劇出身者の声って独特だなと思うんですよ。そういう声を持った人たちが“ジャズ”という枠で歌ったときに新しいハーモニーが生まれる。ぜひ楽しみにしていてください」と語る真琴。「寺井尚子カルテット」の生演奏と、真琴らのパフォーマンスが融合して贈る新たなステージ。その開幕を楽しみに待ちたい。取材・文:藤野さくら【公演情報】ALL THAT ZZJA ALL THAT ZZKA東京:9/22(金)~9/24(日) 日本青年館ホール大阪:9/29(金)~10/1(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2023年08月01日『ビッグ・フィッシュ』などで知られるアンドリュー・リッパが、初めて手がけたミュージカル『ジョン&ジェン』。1幕ではジョンとジェン姉弟の、2幕ではジョンとジェン親子の絆と葛藤を描く。その日本初演が決定。劇団四季などを経て、世界を舞台に活躍中の市川洋二郎が、演出・翻訳・訳詞・ムーブメントを担う。そこで市川に現段階の構想を訊いた。本作の上演は、2016年ごろからの念願だったと切り出す市川。「ふたり芝居のミュージカルってそう多くないですし、テーマがとても深くていい話だったので、どうにかやりたいと思っていました。そんな中、2021年にロンドンで上演された改訂版を観たら、ベトナム戦争からイラク戦争を絡めた話に変わっていて。同じ時代を生きる僕たちにとても響きやすい、より身近な話になっていたので、ぜひ改訂版で上演したいと思ったんです」そこで市川は直接アンドリュー・リッパに連絡し、改訂版での上演が実現。Wキャストによる4人の俳優には、森崎ウィン、田代万里生、新妻聖子、濱田めぐみと、市川が信頼する実力派が顔を並べた。「ひとりの女性の人生を大きなうねりの中で描き切る本作では、濱田さんの繊細な芝居の作り方はすごく生きてくると思います。一方新妻さんはジェンと同い年ですし、お子さんのこともあり、ものすごくリアルにジェンを捉えてくださるんじゃないかと。そしてしっかり技術的に固めてくる万里生さんと、初々しいウィンくん。その対比がまた面白いものになりそうです」本作の大きな特徴が、姉のジェン役は6歳の少女から人生の問題に直面する母親までと、ひとりの人生を演じ切るのに対し、ジョン役は1幕では弟を、2幕では息子とふたりの人生を演じるという点。「1幕で人生のいろんな苦しさを経験し、そこから2幕が始まるジェンのジャーニーという構造も面白いですし、輪廻転生のように、2幕でもう一度生き直すジョンの視点というのも面白い。ただ結局生きていく上で負った傷と向き合うには、トライアンドエラーを繰り返していくしかない。そんなことをお客さんには感じていただければと思います」さらに市川の大きな強みは、翻訳・訳詞も担えること。「僕が訳詞で大事にしているのが“一音一文字”。作曲家が書いた音楽の形は、変えるべきではないと思っていて。それに日本語って音の数で言えば情報量が少ないと思われがちですが、それは言葉自体に漂っている“香り”みたいなもので埋めることが出来る。そんな力が日本語にはあると思っています」東京公演は12月9日(土)~12月24日(日)よみうり大手町ホールにて、大阪公演は12月26日(火)~12月28日(木)新歌舞伎座にて。取材・文:野上瑠美子
2023年07月31日ミュージカル『天翔ける風に』が2023年9月29日(金)から東京芸術劇場 プレイハウスほかで上演される。出演する屋良朝幸と原嘉孝はそれぞれ人気舞台へのオファーが絶えない二人だが、意外にも舞台共演は今回が初めてだ。「ずっと共演したいと言い続けてきました」と原は思いを語り、「全身からエネルギーがあふれているというか、こちらも楽しくなるようなパフォーマンスをされますよね。こうなりたいと思う先輩の一人です!」と屋良を評する。一方の屋良は「実はプライベートで会う仲」と明かし、「初めて見たとき、面白いやついるなぁと。(原さんの)お芝居は見ているんですけど、歌ったり、踊っていたりする姿はそんなに知らない。今回はせっかくの機会だし、いろいろゆっくり話せたら」。舞台は幕末。原が「僕、歴史に本当に詳しくなくて......」と不安げにつぶやくと、屋良は「俺も全然分からない。一緒に勉強しよう」と笑う。いわゆる“和物”テイストの舞台が初めてだという屋良は「以前出演した舞台で日舞を少し踊って、先生に『君は日本の心がないね』と言われて(笑)。今回は自分の経験してきたダンススタイルとは違うパフォーマンスもあるかもしれないし、また新たな引き出しをつくるチャレンジができたら」と意気込んだ。原にとっても本作は“挑戦”が詰まっている。「血気盛んな役で、声を張り上げたりするでしょう。声の出し方やケアの方法などをいろいろ先輩方から学ぼうと思っています」。コロナ禍も終わりが見えてきた。屋良は「初日が開けて、千秋楽を迎えることが当たり前でないことを改めて感じた日々。どうやってその日のお客さんに楽しんでいただけるか、何をどう伝えるかをより考えるようになりました。確かに大変な時期だったけど、そういう風に思えたのはよかったかな」。原は「配信公演などはコロナ禍で生まれた新しい楽しみ方だと思うんですけど、それでもやっぱり生で観ていただきたい。早くコロナ禍が終わって、少しでも多くのお客さんに舞台を楽しんでほしいです」と語った。東京公演は10月9日(月・祝)まで。そのほか地方公演が予定されている。取材・文:五月女菜穂
2023年07月26日2023年8月11日より新宿FACEにて上演されるミュージカル「ALTAR BOYZ 2023」。オフ・ブロードウェイ・ミュージカルの決定打として、2004年にニューヨークの47丁目劇場(Puerto Rican Traveling Theater)にて初演されて以降、世界各地で人々を熱狂の渦に巻き込んできた。日本でも2009年に初演されると、キャストと組み合わせを変えながら再演を重ね、大勢の熱いファンを生んでいる。そしてこの夏、【Team GOLD】【Team SPARK】【Team SAPPHIRE】という3チームでの上演が決定。観る者を“救いの道”へと導く。先日行われたTeam SAPPHIREのスペシャルトークショーに続き、Team GOLDとTeam SPARKのスぺシャルトークショーの開催がそれぞれ決定しました!7月29日(土)に出演するのは、今回の公演を引っ張るTeam GOLD。今までの公演の裏話や稽古場での様々な秘話など…公演を控えたTeam GOLDメンバーの素顔にも迫ります。8月1日(火)は過去にも「ALTAR BOYZ」出演歴があるメンバーも多いTeam SPARK。本番や稽古場で培われた絆とそこで生まれた様々な逸話が聴ける!?Team SPARKメンバーの個性全開!ファン必見のトークショーです。熱く楽しいひとときをご一緒にお楽しみ下さい。チケットは7月25日(火)18時より販売開始。詳細はHP( )にて。<イベント概要>■ミュージカル「ALTAR BOYZ」Team GOLDスペシャルトークショー2023年7月29日 (土)開場12:00/開演12:30会場:ニッポン放送B2イマジンスタジオ(〒100-8439東京都千代田区有楽町1-9-3)出演者:Team GOLD:大山真志、法月康平、松浦司、石川新太、常川藍里MC:松村 蘭(らんねえ)チケット料金:4,000円チケット一般発売日:7月25日(火)18:00☆イベント終演後、会場限定!「ALTAR BOYZ」スペシャル特典付チケットを販売!座席も選べます!!※特典詳細1枚購入特典:推しキャストソロショットチェキ1枚2枚以上購入特典:購入者宛名付き!直筆サインチェキ1枚■ミュージカル「ALTAR BOYZ」Team SPARKスペシャルトークショー2023年8月1日 (火)開場18:30/開演19:00会場:ニッポン放送B2イマジンスタジオ(〒100-8439東京都千代田区有楽町1-9-3)出演者:Team SPARK:鍵本輝、米原幸佑、和田泰右、川原一馬、若松渓太MC:松村 蘭(らんねえ)チケット料金:4,000円チケット一般発売日:7月25日(火)18:00☆イベント終演後、会場限定!「ALTAR BOYZ」スペシャル特典付チケットを販売!座席も選べます!!※特典詳細1枚購入特典:推しキャストソロショットチェキ1枚2枚以上購入特典:購入者宛名付き!直筆サインチェキ1枚“アルターボーイ”とは、神と司祭に仕える「使徒」のこと。使徒である美しき男子5人はボーイズグループ(ダンスボーカルグループ)「ALTAR BOYZ」を結成。人々の魂を救うため、歌とダンスで愛を説きながら、魂を測る装置と共に世界中をツアーしていた。なぜ彼らはこの活動を始めたのか?それぞれが抱えていたのは、人種、移民、LGBT、家族などの問題。それらを原動力とユーモアの種にして、ALTAR BOYZはパフォーマンスを披露、観客の魂は徐々に浄化されていく。しかし、メンバー1人のために用意されたサプライズの誕生日プレゼント…、そこから雲行きが怪しくなり、どうしても救済されない魂があることが発覚する。なぜ救済されない魂が?果たしてALTAR BOYZは観客全員の魂を救うことができるのか!?<公演概要>「ALTAR BOYZ 2023」作:ケビン・デル・アギラ作詞・作曲:ゲイリー・アドラー&マイケル・パトリック・ウォーカー演出:玉野和紀台本・翻訳:北丸雄二Co-Producer:東山義久/植木 豪出演者【Team GOLD】大山真志 / 法月康平 / 松浦 司 / 石川新太 / 常川藍里【Team SPARK】鍵本 輝(Lead) / 米原幸佑 / 和田泰右 / 川原一馬 / 若松渓太【Team SAPPHIRE】中山優貴 / 大野瑞生 / 中本大賀(円神) / 司波光星 / Rayshy会場:新宿FACE(〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1丁目20−1 Humax Pavilion 新宿歌舞伎町 7F)公演期間:2023年8月11日(金・祝)〜8月29日(火)新宿FACE全29公演チケット料金:10,000円★Team SAPPHIREプレビュー公演(8月12日(土)17:00公演)9,500円※別途1ドリンク500円※全席指定・税込※未就学児童入場不可チケット一般発売日:7月 2日(日)10:00公式サイトURL: お問合せ先:キョードー東京0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月23日ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs六角が7月15日(土)からTACHIKAWA STAGE GARDENで開幕した。1999年7月から2008年3月まで「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載されていた同名漫画を舞台化し、「テニミュ」の愛称で知られる。青学(せいがく)の越前リョーマを演じる今牧輝琉は「テニミュ4thシーズンとして3回目の夏。どんどん新しい学校が増えてきて、テニミュとしてもいろんな色が出てきた」と話す。今年4月にテニミュは20周年を迎えたが「20周年記念最初の公演をみんなでできることを嬉しく思います」。その上で「皆さまに最高の夏をプレゼントしたい。カンパニーとして、越前リョーマとしてもっともっと上にいきたいなと思います」。青学(せいがく)の海堂 薫役・岩崎悠雅は「稽古で作り上げてきたものをやっと皆さまにお見せできることを嬉しく思っています。青学(せいがく)は手塚部長が不在の中、キャストも、役の一人ひとりもいろいろな場面で成長している姿が観られると思います」と見どころを語った。六角の佐伯虎次郎役の松永有紘は「稽古が始まってからあっという間に初日。今はワクワクとドキドキといろんな気持ちが混ざっています。20周年という記念すべき年に携われていることは幸せなことだと思うので、その気持ちを味わいながら楽しみたいと思います」と意気込んだ。「僕は夏にテニミュの公演をやるのは初めて。リアルに熱い夏になるのでは」と話すのは、氷帝の跡部景吾役の高橋怜也。「(今回、青学(せいがく)と対戦する)六角は氷帝とは真逆のチーム。公演自体も元気あふれる公演になっているので、僕も皆さまと一緒に楽しみながら公演できたら」とも話していた。第一幕1時間30分、休憩20分、第二幕1時間10分(予定)。関東大会準々決勝の青学(せいがく)vs緑山、準決勝の青学(せいがく)vs六角の熱い試合模様が全31曲の歌とダンスで繰り広げられる。往年のテニミュファンはもちろん、初めて2.5次元ミュージカルを観る方にもおすすめだ。東京公演は7月23日(日)まで。大阪、愛知、名古屋公演を経て、東京凱旋公演は8月26日(土)~9月3日(日)日本青年館ホール。(c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会取材・文:五月女菜穂
2023年07月20日