【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第44回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】このコロナ禍で、東京にある大学に戻ろうかどうか悩んでいます。私は今年の4月に東京の大学院に進学しました。でも、入学早々にコロナの影響で大学からは極力来ないでほしいとの連絡が……。私も感染するのが怖かったので、一週間も経たずに地元の浜松に戻ってきました。それから5カ月、私は今も浜松の実家にいます。修士1年である私は2年間の研究テーマを決めなければいけません。けれど、指導教員とはオンラインで一度しか話ができておらず、いまだに方向性を定められていません。また、専門書などがない実家ではできることも少なくなってきました。でも、東京に戻ることを考えると、どうしても感染することが頭にチラついて、なかなか一歩踏み出すことができません。玉置先生ならこんなとき、実家に残りますか。それとも研究を進めるためにリスクを取って東京に戻りますか。(23歳・女性・学生)【回答】2020年。今年がこんな年になるとは本当に思ってもいませんでしたよね。晴れて大学院に進学され、修士1年目の華々しいスタートだったはずなのに、出端をくじかれたお気持ちはいかばかりかとお察しいたします。さて、感染することが頭にチラついてなかなか一歩を踏み出すことができない、とのことですが、その根拠についてはもう調査済みでしょうか。あなたもこれから大学院で研究論文をまとめようという方ですから、立派な科学者の一員です。感染を怖れるにはその根拠がなくてはいけません。どうでしょう。新型コロナウイルスの感染者数は毎年流行しているほかの感染症と比べてどうですか。重症化率は?致死率は?後遺症の報告数は?もうすでに分析済みとは思いますけれど、結果はいかがでしたでしょうか。まさかとは思いますが、危険を煽るワイドショーの報道だけを根拠にしてはいませんよね?それとも、踏み出せない理由には回りの方の強い反対もあるのかしら。私たちはひとりで生きているわけではありませんから、周りの方の心情も慮らねばなりません。お父さまやお母さまのご心配もおありでしょうし、地域の人の目もあります。好き勝手にはできない、しちゃいけないってこともありますよね。でも、だからこそ、しっかりした根拠でもって安心させてあげるのがあなたの役割なんじゃないかなあ、とも思います。たったの2年しか時間がないのに、指導教員とも話せず、テーマも決まらないとあっては焦るでしょう。でも、その停滞をコロナのせいにばかりにしていては逃げになってしまうのではないかしら。大学院にいってまで研究したいことがあったから、進学したのでしょう?方向性を決めるのに重要なのは、専門書でも指導教員の助言でもなく、あなたのパッションですよ。それがあれば、今の時代、どこにいるかは何の障害にもならないはずです。「実家に残るかリスクをしょって東京に戻るか」なんて二者択一に自分を追い込まないで、もっと視野を広く持っていきましょうよ。ね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月18日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】上の階からの騒音に困っています。郊外のマンションに暮らし始めて20年目。今年の3月に、6歳と2歳の男の子を持つご夫婦がマンションの上階に引っ越してきました。子どもたちはとにかく元気なようで、朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音が響いてきます。一方こちらは夫婦ふたりの静かな生活。最初は緊急事態宣言もあって仕方ないと思っていたのですが、さすがに耐えかねて奥さんに今の状況をお伝えしました。しかし、宣言が解除されても相変わらず走り回る音は響きわたってきて……。どうにか穏便に解決できないでしょうか。(53歳・女性・主婦)【回答】朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音。いやあ、これは気になりますね。大変でしょう。人間の耳は選択透過性です。すべての音を聞いているのではなく、自分に必要な音だけを聞いています。でもこの選択は好ましい音だけを選ぶわけではなく、自分にとって嫌な音を積極的にピックアップしてしまうこともあります。例えば、耳鳴りの原因のひとつに“自分の血流の音”というのがあります。誰にもその音は発生しているのですが、ほとんどの人がその音をシャットアウトして生活することができています。でも、ひょんなことから気になりはじめてしまうと、今度は進んでピックアップしてしまい、つらい耳鳴りになってしまうのです。このように、一度気になりはじめてしまった音を私たちは積極的に聞いてしまうようにできているのです。厄介ですね。さて、本来、子どもというのは元気なものです。そして、そんな子ども、とくに我が子が走り回る様子などは見ていて幸せを感じませんか。ほかにも、ペットちゃんだって好きならその鳴き声も足音も気になりませんでしょう。ところが「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」で、負の回路が回りだすと笑い声も鳴き声も不快な雑音になってしまうのです。また、あなたの旦那さまはこのことについてどんな反応をしていらっしゃいますか?まったく気にならない様子? それともやはり気にしているご様子でしょうか。というのも、もし旦那さまが上階の物音で不機嫌になられるとしたら、あなたはその旦那さまの不機嫌が嫌で上階の物音に困っていらっしゃるのかもしれません。あれこれと言いましたが、ここでお伝えしたかったのは、困りごとの根本の原因は「上階の物音」ではないかもしれないということです。ご自分のもののとらえ方だったり、旦那さまの態度に対するご自分の気持ちだったり。つまりは「自分」なのです。私たちは他人を変えることは一切できません。上階の奥さまにいくら苦情を訴えても、あなたの思うようには改善しないでしょう。でも、自分の在りようならば、変えることができるのです。決して我慢をしろと言っているのではありません。自分をリセットする方が楽で、得で、確実だからご紹介いたしました。上階のドタバタもあと2〜3年でしょう。でも、大変ですよね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月11日9月14日、卓球の一大イベントが行われる。「2020 JAPANオールスタードリームマッチ」だ。男子は張本智和ら9名、女子は石川佳純ら7名の日本を代表する選手たちが参加を表明。豪華メンバーがそろった。豪華メンバーによるドリームマッチ。卓球界初のイベントを主催するのは国内リーグの「Tリーグ」。新型コロナウイルスの感染拡大は卓球界にも大きな打撃を与えた。東京オリンピックの開催延期にとどまらず、Tリーグも最後まで行うことはできなかった。さらに学生の大会なども、ことごとく中止に。そんな状況にあって、「“卓球”というスポーツが持つボーダーレス(国籍、年齢、性別を問わない)なチカラで、人々に少しでも元気を与えることができないかと考え」(宮崎義仁Tリーグ理事長補佐)、実施を決めたという。無観客で行われるが、誰もがテレビやYouTubeなどで、無料で観られるように準備するそうだ。開催にあたってはクラウドファンディングにも取り組んだ。集まった支援は1000万円を突破、目標の300万円を大きく上回った。この数字に、ファンの期待の大きさが分かる。それに応えるように、真剣勝負を追求しつつ、男子と女子の対戦など、ふだんなら不可能なゲームも検討が進められている。スポーツ界全般が、なかなか先の見通しがつきにくい中、卓球ファンのみならず楽しみなところ。当日を心待ちにしたい。張本智和(木下マイスター東京/木下グループ)「喜びをかみ締めながら(プレーするので)、久々の卓球観戦を楽しんでいただけたら」水谷 隼(木下グループ)「日々進化しているプレーを多くの方の心に刻めるようにプレーさせていただきます」石川佳純(全農)「このイベントを起点に一歩ずつ前に進んでいく象徴的な出来事になると思っています」平野美宇(日本生命レッドエルフ/日本生命)「微力ながら卓球を通じて皆様が元気になっていただけるよう全力でプレーいたします」「2020 JAPANオールスタードリームマッチ」9月14日(月)、リモートマッチとして都内体育館で無観客で行われ、17:58~20:00 BSテレ東で放送およびYouTube(テレビ東京 卓球チャンネル)にて配信。※『anan』2020年9月16日号より。写真・Getty Images文・松原孝臣(by anan編集部)
2020年09月09日元AKB48の前田亜美が、10月7日に『前田亜美1stフォトブック AMI』を発売する。11歳から芸能活動をはじめ、2016年にAKB48を卒業。女優やタレントとして活動する中、以前よりファンから「写真集を出してほしい」と熱望されてきたことから、今年25歳を迎えた節目のタイミングで初のフォトブック発売を決意した。タイトル、表紙から中面まですべての写真セレクト、配色から構成に至るまですべて自らプロデュース。様々な表情を見せながらすべてのシーンにおいて好きな花を添え、「最初で最後」というランジェリーカットにも挑んだ。また、これまで語ることのなかった「AKB48時代の葛藤やつらさ」「ファンや家族に対する思い」などを、「孤独」「悲しみ」「愛」「家族」「夢」という5つのエッセイに込めた。前田は、「11歳から芸能活動を始めて、今年で25歳。1stフォトブックで、産まれてから今に至るまでの過去や未来を赤裸々にお話します。華やかな世界にいながらも、誰にも言えなかったあんなことやこんなこと。花が好きなので花と共に作り上げた1冊になっております」とアピール。帯にはAKB48時代から前田をかわいがっていたという篠田麻里子が、「すっかり大人の色気も出てきた25歳の前田亜美ちゃん。様々なお花のような可愛らしさ・美しさ・儚さ・・・芯が強く魅力的な少女から大人になった渾身の一冊です」と絶賛コメントを寄せている。(C)KADOKAWA PHOTO/MAKINO SHOTA
2020年09月07日2020年9月5日に、俳優の前田敦子さんがInstagramを更新。いきすぎた取材や報道の在り方について、苦言を呈しました。前田敦子「面白おかしく物語を作らないで」「真剣な内容を失礼します」という1文とともに、前田さんは同日起きた出来事について投稿。幼い我が子を連れてスーパーマーケットへ行く道中、記者に後ろから突然声をかけられたといいます。取材を断っても記者はついてきて、前田さんの行く先にはカメラを持った人が待ち構えていました。今朝子供を抱っこしながらスーパーに向かって歩いていたら、記者の方に声をかけられました。後から突然でびっくりしましたし、お断りしてエスカレーターに乗っている間もずっとで、エスカレーターを降りた先にはカメラを構えた方がいて。。子供が一緒だったのでとにかく危ないなと冷や冷やしました。子供との写真はもちろんやめてほしいです。atsuko_maeda_officialーより引用 この投稿をInstagramで見る 前田敦子(@atsuko_maeda_official)がシェアした投稿 - 2020年 9月月5日午前1時27分PDT前田さんは、生活をおびやかされるような取材の在り方について、胸の内をつづっています。スーパーもコンビニもいきますし、毎日普通に生活しています。面白おかしく物語をつくらないでほしいな。。切実に思います。自分の心の奥の気持ちは言ったり書いたりしたことはありませんでしたが、、今日はとにかく悲しかったですし、危ない目に遭いかねないと危機感を感じましたので、今まで思っていた事を含めて初めて書きました。毎日安全に穏やかに過ごせますように。atsuko_maeda_officialーより引用前田さんはいきすぎた取材に対し「面白おかしく物語を作らないでほしい」「悲しいし、危ない目に遭いかねないと危機感を抱いた」と訴えました。切実な呼びかけに対し、ネット上では労わりの声が上がっています。・子供が一緒にいる時に、そういう取材は本当に控えるべき。・最低限の配慮は持ってほしい。プライベートはそっとしてあげて…。・ほかの芸能人も同じような被害に遭っていそうなので、前田さんが声を上げてくれてよかったと思う。いうまでもなく、芸能人も私たちと同じ人間です。プライベートな領域を侵すような過度の取材に、不安や恐れを抱くこともあるでしょう。この呼びかけが然るべき相手のもとに届き、芸能人を取り巻く状況が少しでも改善されることを願います。[文・構成/grape編集部]
2020年09月06日元AKB48で女優の前田敦子が5日、インスタグラムを更新し、過度な取材を控えるよう訴えた。前田は、「真剣な内容を失礼します」と切り出し、「今朝子供を抱っこしながらスーパーに向かって歩いていたら、記者の方に声をかけられました」と説明。「後から突然でびっくりしましたし、お断りしてエスカレーターに乗っている間もずっとで、エスカレーターを降りた先にはカメラを構えた方がいて。。子供が一緒だったのでとにかく危ないなと冷や冷やしました」とその状況を伝えた。「子供との写真はもちろんやめてほしいです。スーパーもコンビニもいきますし、毎日普通に生活しています。面白おかしく物語をつくらないでほしいな。。切実に思います」と吐露する前田。「自分の心の奥の気持ちは言ったり書いたりしたことはありませんでしたが、、今日はとにかく悲しかったですし、危ない目に遭いかねないと危機感を感じましたので、今まで思っていた事を含めて初めて書きました」と今回の投稿の経緯に触れ、「毎日安全に穏やかに過ごせますように」とつづっている。
2020年09月05日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】次女のスマホの使い過ぎをやめさせることができません。高校生の娘は本当に四六時中、スマホを片手に持っていて、トイレに行くときもお風呂に入るときも、スマホを手放すことができません。みかねて「我が家のスマホルール」を作ったのですが、守ってくれることはほとんどなく、友人家族のやり方を参考にしたり、インターネットで調べた方法を試したりもしましたが、まったく効果はありませんでした。この状況に妻はかなりイライラしているようで、私たちの目を盗んで娘がスマホを使っていることに気づくと、露骨に口数が減り、家の中がギクシャクします。ただ、娘にとってスマホが大事なコミュニケーションツールということもわかっているので、思春期の娘の気持ちもないがしろにしたくないと思っています。みんなが幸せになれる効果的な方法はないのでしょうか。(49歳・男性・会社員)【回答】うーん……四六時中スマホ。母としてご心配のあまり奥さまがイライラするお気持ち、察するに余りあります。そして、間に立ってなんとかみんなが幸せになれる効果的な方法はないかとお考えになっているあなたさまのご心労、いかばかりか。我が家にも娘さんと同じ年ごろの愚息がおりますが、やっぱり息をするように一日中スマホをいじっています。ただ、それは、時代が完全に変わったからだと私は思うのです。あなたさまも電車に乗ったときご覧になったことがあるでしょう。箱の中の9割の人間がスマホを見ています。良い悪いではなく、そういう時代になったのです。ひと世代前の私たちとしては、なかなかその変化に対応できない。朝から晩までスマホをいじっていることを真っ向から否定したくなります。なぜなら、自分の中にその文化が無いから。そこには、事の良し悪しの公平な判断ではなく、やみくもに自分の持っている文化を相手に押し付けようとしているところがないでしょうか。当然のことながら、共通の基盤を持たない者がつくった「ルール」というのは、得てして守られないものです。まずは、お嬢さんが身を置いている時代の波に私たちも乗ってみませんか。「すごいね。面白そうだね。何をやっているのか教えてよ」と。そうして、あなたの文化を認めているよ、共有したいと思っているんだということを伝えます。次に、「あなたはスマホばっかりいじって!」という言葉を「私は一日中スマホをいじっているあなたが心配なの」と言い換えて、お話をしてみてください。ポイントは「あなたは」を「私は」にすることです。「あなたは!」は相手に防御態勢をとらせてしまいます。まずは「私は」で壁を壊してこちらの思いが相手に届くようにしましょう。そして、ぜひ娘さんに、電源さえ落とせばあなたが見ている世界からいつでも離れることができると、脱出ルートを教えてあげておいてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月04日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】結婚して23年。会社員で3歳年上の夫と会話が成立しません。交際していたときは普通に話ができていたのですが、結婚してからというもの夫の口数はどんどん減るばかり……。子どもを挟まないとコミュニケーションが成り立たず、夫婦2人きりなったリビングは真空のように無音の状態で、地獄の時間が続きます。子どもが独立したあとの生活を考えると、今では熟年離婚も選択肢の一つとして真剣に考えるようになりました。これからの暮らしをより良くするために、私はどうすればいいのでしょうか。(52歳・女性・パート)【回答】真空状態とは一大事ですね。命に係わります。さて、「これからの暮らしをより良くするためにどうすればいいか」とのことですが、まずは、あなたさまにとって「より良い暮らし」とはどういった暮らしなのか、具体的に考えてみようではありませんか。会話が成立しない無音の状態を地獄と感じていらっしゃるのですから、少なくとも今より良くなるためには会話が必要そうですね。して、その会話の内容は何でもOKですか?たとえば、旦那さまが職場のことを一方的に話してくれるとか、旦那さまのご両親やご兄弟についてあれこれ話してくれるとか、旦那さまの趣味や得意分野のこととか。とにかく話をしてくれればいい?あなたさまがそれを興味深く熱心に微笑みながら聞いて相づちを打ってくだされば、きっと会話の絶えない幸せなリビングになりますよ。さあ、他にはどんなビジョンがあるでしょうか。どんどん具体的に「より良い暮らし」のイメージをふくらませてみてください。ところで、あなたさまが思い描く「より良い暮らし」があるように、旦那さまにも旦那さまの思い描く「より良い暮らし」が必ずあります。双方のすり合わせは、済んでいらっしゃいますか。他人は自分の鏡と申します。ご夫婦ならましてやのこと。つまり、相手の態度は自分の態度の“映し”なのです。旦那さまの口数は勝手にどんどん減っていったのではなく、あなたさまが減らさせたという捉え方もできるということです。若いころの情熱は沈静し、子育ても終わってしまって、なんの役割も期待もなくなってしまってからが「その人と一緒にいるかどうか」の正念場のような気がします。相手がひとりの人間として存在していることだけにOKが出せるかどうか。一緒にいたのではお互いにそれぞれの「より良い暮らし」を実現できないことが確定なら、離婚もいいでしょう。反りが合わなくなってしまった人と一緒にいるより、ひとりのほうがずっと「より良い暮らし」を実現しやすいと思いますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】遠く離れてひとりで暮らす母に介護が必要になりました。これからも母の要介護度が高くなることを考えると、いつかは帰郷して母の面倒を見たいと思っています。そんな折、私の勤務先の会社が早期希望退職の募集を開始。退職金も上乗せになるとのことで、いっそ会社を辞めて故郷に帰ろうかという気持ちが日増しに強くなっています。一方で上洛してから25年。子どもたちを育てた家は京都にあり、都会に深い愛着があるのも事実。ふん切りがつかない状態でいます。このような判断を迫られたとき、どのような基準で決断するのがよいのでしょうか。(58歳・男性・会社員)【回答】親の介護。頭の痛い問題ですね。あれこれ悩まれ、ふん切りがおつきにならないのも無理ありません。心中、お察し申し上げます。さて、そのようなとき、どのような基準で決断すればいいのかということですね。あくまでも私の感覚で申しますが、判断基準は「ケツを持てるか」です。人間は5秒で損得を考えだすそうです。行動を起こそうとしたとき、ほんの5秒間躊躇するだけでもう「どっちが有利だろう」「こうしたほうが得なんじゃないか」「世間体というのもある」「長男の立場としてはどうするべきか」と、まあ数えきれないくらいの損得を考えはじめてしまうそうです。それが「人間というものだ」とのことですから損得を考えるのはよいのですが、問題なのは損得に振り回されて本当のところ「自分はどうしたいのか」が抜けてしまうことだと思うのです。決断するということは、ひとつを選んで、そのほかを捨てるということです。そして、そのひとつを選んだことによって生じるすべての結果に対してケツを持つ覚悟をするということです。「自分はどうしたいのか」に忠実に従って選んだ末の結果でなければ、覚悟を持ち切らんでしょう。そして、そのケツを持つ覚悟があれば、自らが下した決断はすべて「最良の決断」になります。たとえすべてを失い、世間様には大失敗だとせせら笑われようともです。ここで今一度、ご自分が大切にしているもの、守りたいもの、失いたくないもの、貫きたいもの、譲れないもの、愛しているもの、それがなんなのかをすべての外界をシャットアウトして考えてみてください。あなたさまが「ケツを持つ」と覚悟できる方へ進めば、あなたさまの周りの方々もみな安定します。場が安定すれば、未来は開けます。私はそう思っています。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月21日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】会社の働き方がテレワーク中心になり、定年退職を自宅で迎えそうです。私は今年の11月、60歳になり、37年間勤めた会社を定年退職します。勤めている会社は去年、定年退職した人に退職の挨拶をしてもらったり、感謝状を渡したりと、小さなセレモニーを開いていました。しかし、今回のコロナ禍を受けて働き方はテレワークにシフト。通勤手当もなくなるという本気ようで、会社にはほとんど誰も行かなくなりました。私は目立つことが好きではないので、セレモニーがなくなりそうなことに関してはホッとしています。一方で同僚に全く気づかれずに職場を離れる寂しさやお世話になった人に直接挨拶することができないもどかしさは感じていて、会社をやめた実感がわかず、気持ちの区切りをうまくつけられない気もしています。どうしようもないことだとはわかっているのですが、どうすればこのモヤモヤを解消して退職できるでしょうか。(59歳・女性・会社員)【回答】37年間にもわたるご勤務。まさに偉業。まずは、心からリスペクト申し上げます。きちんと最後の区切りをつけたいと思っていらしたのに、このコロナ禍で出勤すらままならなくなってしまわれたのですね。いかんともしがたい複雑なお気持ちでしょう。「どうすればこのモヤモヤを解消して退職できるでしょうか」。ごもっともです。浅知恵ですがご提案させてください。まずは、ご自分のお気持ちを整理してごらんになってはいかがでしょうか。「セレモニーがなくなりそうなことに関してはホッとしている」とおっしゃっておいでですが、果たして本当にそうですか。どうも行間から「私にもセレモニーをやるのが当然でしょう」「37年間も勤め上げての晴れ舞台だったはずなのに」「私も感謝状と花束が欲しい」「同僚や上司から労いの言葉があるべき」という無念がにじみ出ていらっしゃるようにお見受けするのですが、いかがでしょう。そういうお気持ちになるほうが、私にはかえって自然なような気さえします。万一にでも、そのお気持ちを大人の自粛で抑え込んでしまわれているようなことがあると、もっとモヤモヤ度が増すことになると思うのです。残念無念は口に出して大っぴらに認めてしまった方が、お気持ちはすっきりするかもしれません。同時に、37年間も続けてこられた生活スタイルが変わるのですから、ある種の喪失感や虚脱感のようなものが芽生えてもおかしくありません。「さて、これからどうしよう」という漠然とした不安は、例年通りにセレモニーが開催されて同僚やお世話になった方々に直接ご挨拶することができたとしても生じるもので、いま抱えていらっしゃるモヤモヤの原因はそこではないかもしれません。長い年月を費やしてきたものから離れるとき、そうそう簡単には気分転換できないのが、私たちのような気がします。「モヤモヤを解消してすっきり退職」は理想ですが、現実ではないということです。次の生活スタイルに慣れていくまでに、モヤモヤするリハビリ期間がきっと必要なのでしょう。そんな気がいたします。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月14日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】先月、大切な人を亡くしました。彼とは38年前からお付き合いをしていました。ただ、彼には奥さまもお子さまもいて……。何度も別れようとしたのですが、どうしても無理でした。そんななか8年前に奥さまがお亡くなりになって、その数カ月後に彼もがんであることが発覚しました。抗がん剤治療や手術で入退院を繰り返す日々。でも、合い間には旅行に行ったり、食事に行ったりすることもできて、幸せなときでもありました。それに彼はいつも自分より私を心配してくれて、何度も籍を入れようと話をしてくれましたし、お墓も奥さまとは別にすると言ってくれました(一方で、当然のことながらお子さまは私とは会えないと言っていて、籍を入れたら彼もお子さまに会えなくなるのではと思い、このままでいいと返事をしました。お墓も最終的に彼は奥さまと同じ場所で眠っています)。ただ、最期の日はあまりにも急に来てしまった……。どんどん衰弱していき、ほとんど話をすることもできずに逝ってしまいました。あんなにも時間があったのに自分の思いを素直に伝えられなかった。今はそんな後悔ばかりが募っています。どう生きたらいいかも分からず、苦しくて辛くて。どうにかなりそうで毎日が怖いです。(60歳・女性・無職)【回答】38年……。長い、長い時間でしたね。人生の半分以上を一緒に過ごされたのですから、それはそれは、いろんなことがおありだったことでしょう。先月に看取られたばかりで、まだまだ怒涛のような想いの中にいらっしゃることだろうと思います。「自分の思いを素直に伝えられなかった」と思い悩まれているとのこと。どんな思いをお伝えできなかったのでしょうか。お時間があればゆっくりお聴きしたいところです。苦しくて辛くてどうにかなりそうな毎日をお過ごしのあなたさまに、今はかける言葉も見つからず、ただただどんなにお辛いだろうと、思い巡らせるのが精一杯です。それでも、ひとつお耳に入れておくことができるとすれば、この世は諸行無常であるということでしょうか。この世の中のすべては、なにひとつとして同じかたちで続いていくものはないのだという理です。抵抗することのできない別れで、幸せな時間はかたちを変えてしまいましたでしょうが、今のあなたさまの苦しさ辛さも、いずれかたちを変えていきます。いついつまでも続くものではありません。ただ、渦中にいらっしゃれば、そんなふうに考える余裕なども持てずにいらっしゃることでしょう。そんなときは、もがくよりも膝を抱えて縮こまっているほうが得策なような気がいたします。嵐はいずれ過ぎてゆき、雨もきっと上がります。ところで、あなたさまの大切なお方ですが、私はお墓になんかいらっしゃらないと思いますよ。あんな狭いところにはおさまってはいらっしゃらず、世界中を自由に飛んで回っておられることでしょう。間違いなく、あなたさまのおそばにもいらっしゃっていて、「ほれ、しっかりせい」と見てくださっておいでだと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月07日卓球選手の石川佳純(いしかわ・かすみ)さんが、2020年8月3日にインスタグラムを更新。大人な女性に変身した姿が「素敵!」「美しい」と話題になっています。石川佳純の『美女』姿に絶賛の声石川佳純さんは「取材のため、メイクをしてもらった」と報告。髪も巻いてもらったといい、イメチェンした姿を公開しています。 View this post on Instagram *** 今日は取材があったので、メイクをして頂き、取材後に髪の毛を巻いてもらい、ハッピーな気持ちで帰りました 大変な状況が続いてますが、ポジティブな気持ちを持つことは大切だなと改めて感じた一日になりました 明日も良い日になるように、練習頑張ります❗️ 皆さまもお身体ご自愛ください #写真のポーズのイメージは #歌舞伎です #イメージと全然違った。。 A post shared by Kasumi Ishikawa (@kasumi.ishikawa_official) on Aug 3, 2020 at 3:02am PDT競技に集中している時のイメージとは違い、大人な女性の雰囲気を醸し出している石川佳純さん。照れ隠しなのか、歌舞伎風のポーズを決め、お茶目な一面をのぞかせています。投稿を見た人たちからは「美しい!」「女優さんかと思った」といった絶賛のコメントが寄せられました。・佳純ちゃん、めっちゃかわいい!惚れ直した。・髪型がすごく似合ってます!ポーズがうける!!・お姉さん感がやばい!スタイルいいし、モデルでもいけそう…。卓球をしている時も素敵ですが、オフモードの石川佳純さんもとても魅力的ですね![文・構成/grape編集部]
2020年08月06日グラビアアイドルの国友愛佳が26日、東京・秋葉原のソフマップで最新イメージDVD『すきにしていいよ…』(発売中 4,180円税込 販売元:イーネット・フロンティア)の発売記念イベントを行った。2015年に秋田書店主催のミスコン『ミスヤングチャンピオン』でファン賞を受賞するなど数々のミスコンで賞を獲得している国友愛佳。上からB90・W59・H88(cm)というグラマラスなボディーとFカップバストでグラドルファンの視線を釘付けにしている。そんな彼女の3枚目となる同DVDは、今年1月に海外ロケとなるタイのパタヤで撮影。自動車の販売員に扮した国友が、お客さんと店長を誘惑するというシチュエーションものとなっている。先日パーソナルカラーを診断して勧められたというパープルの水着姿で登場した国友は「今回の内容は車の販売員になってお客さんや店長を誘惑する感じのストーリーとなっています。お客さんには高い整備費を払ってもらうために一緒にプールに入ったりシャワーを浴びたりしました。シャワーのシーンでは眼帯ビキニを着ています」と内容について紹介。セクシーなシーンについては「目隠しをされて店長に言われるがままに恥ずかしい思いをするシーンです。店長に身体の色んなところを触られたり、マッサージをされました」とアピールした。目隠しはプライベートも含めて今回の撮影が初体験だという。「すごく恥ずかしかったですね。実際に目隠しをして周りが見えないからもうドキドキでした。目覚めちゃった感じかな(笑)。今回は目隠しのシーンも含めてどれも意地悪されるシーンが多くて、Mっぽい私が見られると思います。いつかプライベートでしたいことがいっぱい詰まっています」と告白。さらに、「30代前半でそういうことをしたいですね。コロナが収束したら(笑)。お酒を飲んで酔っ払ってテンションがあがって、その流れでイチャイチャしたいかも(笑)」と妄想を語っていた。
2020年08月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私はさまざまな死別経験から、遺族ケアや生・死について深く学び関わることが自分の使命であると思っています。これまでもグリーフケアをはじめ、いろいろ学び、民間資格の取得にも挑戦しました。しかし正直にいうと、十分に理解できていないです。どうしたら、そうしたことをもっと学べるのか?どうしたらもっと関わることができるのか?いま何をすべきなのかわからなくなっています。何かアドバイスや情報をいただけないでしょうか。(34歳・女性・看護師)【回答】「死について深く学び関わることが自分の使命」。ご自分のミッションをはっきりと自覚なさっている。尊敬します。そして、ミッション達成に向けて努力もしていらっしゃる。ぶれていませんね。すごいです。そして今、「どうしたら、そうしたことをもっと学べるのか?どうしたらもっと関わることができるのか?いま何をすべきなのかわからなくなって」いらっしゃる。壁にぶち当たっていらっしゃるのですね。学ぶとき、最善にして最短の方法は「経験すること」だと私は思っています。実際に体験することで得る経験値はどんな専門書にも勝る、と。でも、なかには自分で経験してみることができないこともありますね。「死」もそのひとつです。本当は一度死んでみるのがいいのでしょうが、死んだら今の状態にはもどってこられないルールのようなので、せっかく死んでみても経験値として活用できません。「死」だけに限らず、宇宙のことも、人間の体のことも、病気のことも、実はわからないことだらけなのが現状ではないでしょうか。私たちはそれを、いかにもわかっているようなふり、もしくは勘違いをして過ごしているだけです。「わからない」ものを「わからない」と言うことは、どんなに難しいことなのでしょう。「わからない」ものを「わからないまま」に見ていることは、どんなに我慢のならないことなのでしょう。その点、あなたさまは「十分に理解できていない」と認めていらっしゃる。天晴です。「わかった」と勘違いをして上っ面なことをしてしまうよりも、ずっと肝のすわった態度です。死について深く学び関わるためには、「わからない」「わかるわけがない」という自分に対する戒めと、それでも「わかりたい」「1ミリでも近づきたい」という真摯な、もはや祈りといってもいいような渇望が原動力になるような気がしています。この道には、決して満足できるシチュエーションはありません。そのことを忘れずに在り続けることが、今すべきことなのだと思っています。同志よ、共に学ぶ仲間として、日々粛々とやってまいりましょう。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月31日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】交際していた彼の人生を狂わせてしまいました。彼とは8年間も付き合っていて、最初は11歳という年の差に迷っていたんですが、占いをしている母に「その人はソウルメイトだ」と強く勧められて交際を始めました。でも時間が経つにつれ、気持ちが冷めてしまって……。彼はプロポーズまでしてくれましたが、私は友人から紹介された別の男性を好きになったり、出会いの場に自ら足を運んだりと、遊びを繰り返して今では別の彼がいます。でもこんな状況に、自分のせいとは重々承知ですが、自分だけが幸せになってしまったという罪悪感から精神的に不安定になってしまい心の病気に。体にもいろいろな症状が出てきて、生きた心地がしません。母には、なぜ私の人生を変えるようなことを言ったのかとフラストレーションが溜まるばかりです。以前付き合っていた彼はいま46歳ーー。いくら男性でも、この年齢で普通の出会いはなかなか難しいと思います。私は人の役に立つことを沢山したいと思って生きてきたのに、ひとりの男性の人生を狂わせてしまいました。この先、この思いを抱えてどういう風に生きていけばいいのでしょうか。(35歳・女性・受付)【回答】なんて大変な人生でしょう。「人の役に立つことを沢山したい」という崇高な志を持っておられるあなたさまが、どうしてこんなお辛い運命を背負わされなければならないのか。この世は本当にままならないことばかりですね。でも、あなたさまも人生始めて35年。そろそろこの澱みから脱出しないといけません。私はあなたさまよりだいぶ長く生きているので、少し先輩風を吹かせて2つお伝えしようと思います。1つ目は自分の人生船の船長たる覚悟を持つこと。「お母さまに勧められてお付き合い」。私たちは独りで生きているわけではありませんから、周りの方からアドバイスをいただいたり、本などのメディアから情報を得ることもあるでしょう。でもそれは、どちらに進むかを決めるための材料にすぎません。最終的にはその材料をもとに、自分で自分の人生船をどちらに進めるかを決めるのです。ここを勘違いしてはいけませんよ。お母さまに対して「なぜ私の人生を変えるようなことを言ったのか」なんて、もう片腹痛い。あなたさまはどこまで自分の船の舵取りを人さまにあずけてしまうおつもりなのでしょうか。しかも、自分の船が迷走している責任までも人さまに押し付けるなんて。あなたさまの船の舵取りをしているのは、他ならぬあなたさまです。どんな結果になろうと、人生船の船長たる覚悟を持ってください。すべてはその覚悟からはじまります。2つ目は自分の頭のハエを追うことに専念すること。「プロポーズまでしてくれた彼氏に見切りをつけ、別の男性を好きになったり、出会いの場に行ったりと遊びを繰り返して今の彼氏と巡り合った」のですよね。生きていればきれいごとだけでは片付かないこともあるでしょう。若いときはなおさらです。でも、そうやって本当の愛を見つけていくのですよね。だからそのプロセスを批判するつもりはまったくありませんが、「自分だけが幸せになってしまったという罪悪感から……」というくだりには噴飯しました。まずそのかつての彼氏さんに失礼でしょう。46歳の彼が今もあなたさまを想い続けていらっしゃるとでも?あなたさまと別々の人生を歩みはじめて、案外せいせいされていらっしゃるかもしれませんよ。人の役に立つことをしたいのであれば、まずは自分の心と体を良好に保つこと。あなたさまが心と体を壊していては、今の彼氏さんだって楽しくないでしょう。いらんことを考えてヒロインになっていないで、とっとと自分の頭のハエを追い払ってくださいませ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月24日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】3月末に母が他界しました。がんで腎臓と膵臓を摘出していたので苦しかったはずですが、本人の意志で最期も自宅で私と二人暮らしでした。日中は私が仕事で母は家で一人でしたが、それでもヘルパーの力は借りずに、ケンカしたり笑ったりしながら過ごす日々。母は何度も「自分の誕生日に旅立つわ」と言っていて、冗談だと思っていましたが、本当に旅立っていきました。でも、バタバタと家族葬の準備をしていたとき、母からの手紙が出てきて……。入院して手術になったときの不安な気持ち、日中に一人でいる寂しさ、遺品の処理を任せることへの謝罪、私のこれからの心配と応援などが書かれていたんです。最後には幸せだったとも書いてありましたが、母の気持ちを改めて知り、本当に母は幸せだったのか?母に何ができたのだろうか?と考えるようになり、喧嘩ばかりで優しくしてやれなかったと反省と後悔の念が押し寄せています。さらにコロナの影響で収入が下がるという別の不安もあって。他人に弱いところは見せるなと手紙には書いてあり、なんとか生きないと母にまた心配をかけると思いながらも泣いています。毎日、いろいろなことを思い出して、不安な気持ちと母への謝罪の気持ちでいっぱいです。(48歳・男性・自営業)【回答】お母さまを亡くされて、まだ間がないのですね。誕生日に逝くとおっしゃっていてその通りにされたとは、潔いというかお見事というか、とにかく天晴れなお姿でした。しかも、お手紙までしたためていらしたなんて。なかなかできることではありませんよ。よほど魂のレベルが高い方だったのでしょうね。「本当に母は幸せだったのか、母に何ができたのだろうか」と反省の日々を送られていらっしゃるとのことですが、まず、幸せだったかどうかを決めるのはお母さまご自身で、あなたさまではないということ。最後のお手紙のなかに「幸せだった」と書いてあったのでしょう?お母さまがそうおっしゃっているのに、「本当に幸せだったのか?」ってあなたが疑ってどうするんですか。それから、「母に何ができたのだろうか」ですけれど。私にも息子がいますのでね、思うところを申しますと、子どもが生まれてきてくれたときにはもう母はすべてをもらっているんですよ。完璧にfullなのです。その後の時間はたとえ喧嘩したって、いがみ合ったって、オマケみたいなもの。子どもという存在を得た完璧なfullは欠けることはありません。母親なんてそんなものですよ。だから、あなたが何もしてくれなかったとしても、それでどうこうなることはありませんね。人間はいつまでも生きているわけにはいかないものです。だから先に生まれた親の方が先に逝くようになっています。空の上から可愛いわが子を見下ろしたときに、毎日不安と謝罪の気持ちでいっぱいな様子を見たら、せっかく天国にいるのにのんびりもできやしない。いろいろなことを思い出してくれるなら「ありがとう」と「大好き」って気持ちでいてくれたら安心です。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月17日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私の家には代々続く家業があり、両親が亡くなったあとは私が継いだのですが、最近は人手が足りず、継続するのにも苦労しています。一方で、恥ずかしい話ですが、家族には無職の弟がいて。仕事をやらせる意味でも家業を手伝わせようとしたのですが、「興味がない」と断られてしまいました。このままでは家業の先々についても不安ですし、無職の弟の将来のことも心配です。なんとか彼をやる気にさせる方法はないのでしょうか。(40代・男性・自営業)【回答】家業の先々に、弟さんの将来。ご心労が絶えないご様子に胸がつまります。無職の弟さんになんとかやる気を出させる方法はないものかとのことですが、根も葉もない言い方をお許しいただければ「ない」です。そもそもやる気というのは他人から言われて生じるものではなく、自分のなかから湧き出てくるものだからです。高野山での修行で護摩行をやっていたときの話です。護摩木を組み上げて火を焚くのですが、簡単なようでこれがなかなか難しい。途中、もっと燃えよと油をかけたり、風を送ったりするのですが、炎と呼吸が合わないと助けたつもりが逆に勢いを削いでくすぶらせてしまいます。やみくもに油をかけてやればいいというわけではないのですね。どちらの方向に燃え広がりたいのか、ちょろちょろ燃えていたいのか、大きく燃えて火柱を上げたいのか、火の意向と合わないとうまくいかないのです。これまでにも幾人か「仕事しない」「何事にも興味がない」という方のご相談をお受けしてまいりましたが、不思議なことに、みなさんご相談にお見えになるのはご本人ではなくご家族なのです。困ったり心配したりしているのは周りで、ご本人のまったくどこ吹く風なご様子を拝見すると、いつも、護摩の火のことを思い出します。息が合っていないなあ、って。さあ、いかがでしょう。これまでに、弟さんが何かをなさろうとしているときに「ほれっ」と油をかけたり、ゆっくり歩こうとされているときに後ろから「ぷうっ」と風を送ったりなさったことはありませんでしたか?火はタイミングの合わないことを何回かやられるとふてくされて消えてしまうのですが、はてさて、人はどうでしょうか。簡単なことではないと思いますが、いま一度あなたさまからは何もしないことになさってみてはいかがでしょう。無職でいらっしゃるのにお腹をすかせているようにはお見受けしないのですが、もちろん、上げ膳据え膳をなさる必要もありません。火の意に任せるのも胆力のいることです。でも、火が燃えようと思わなければ、周りがなにをやったって燃え上がりはしないのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月10日元AKB48で現在女優の前田敦子さん(28)と夫で俳優の勝地涼さん(33)が別居中であると、7月1日発売の週刊文春が報じました。前田さんは2019年3月に第一子を出産。現在は子育てをしながら女優として復帰していますが、国民的アイドルの元センターは子どもを生んでも人気健在のようです。そんな彼女の尻に敷かれていることが夫の別居原因……と記事では書かれていましたが、個人的に1つ気になることがあります。それは前田さんと前田さんのお母さまがすごく仲良しで、ご実家が同じマンションの別フロアに住まうほどであるという点です。結婚後の実家との距離感は、一般的に両者の物理的な距離に比例する傾向があります。今回のように意図的に自分の親と距離を詰め、夫婦関係が悪くなるというのは、そこに何かしらの弊害が起きることもあります。母親と娘の距離感というのは、いくつになっても難しいものです。とさらりと書きましたが、ここで言う「難しい」に納得した方は今現在で自分の母親との関係にネガティブなモノを感じているか、はたまた好きすぎて依存的になっているかもしれません。前田さんのご家庭がどうか、記事には詳細は書かれていませんでした。ただ一般的に必要以上に実の母親と近すぎる距離に住もうとする場合、両者の間には共依存的な愛情のつながりが続いている可能性があります。いつまでも母娘が仲良しといった表現は一見すると微笑ましく思えますが、それも程度問題。本来、結婚したら妻が1番に優先していくべきは、夫との家族を築くことです。しかしここで母娘の距離が近すぎると、夫婦の関係性に母の存在が割って入ることになり、パワーバランスが崩れます。例えば夫と妻が話し合って決めるというシーンにおいて、母親が横から「こうした方がいいんじゃない?」と口出ししたとしましょう。その結果として夫の意見が不本意に押し込められるというのは、よくないやり取りの代表です。はたまた物理的な干渉が母親側になくとも、妻が何かと実家にばかり寄り付いているような関係は夫からすれば面白くない部分があるものです。三者でのやり取りが基本となると、夫は2人の依存関係を壊す要因になる。そうするとだんだんと関係性から排除されていくか、夫側が強引に抵抗してきます。具体的には空気のように扱われたり、いつも言いなり的な役割になったり……。逆に夫が妻に対して、モラハラにも似た強引な態度で自分をアピールしてくるなどもあるでしょう。どちらにせよ、母親が過剰に間に入った関係は健康的な夫婦円満とはなりにくいのです。母と娘の関係がべったりで、夫は傍観者としてそれを眺めている。それを「バランスが取れているんだし、良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、人間関係に近すぎて良いことはありません。ここでの本当の問題は、母も娘も相手を求め続けるあまり、いつまでも心の隙間が埋まらないことが問題です。例えば娘の中には、いつまでも母親からの愛への渇望があります。「母親にべったりなのに?」と疑問に思うかもしれませんが、ありのままに母から愛されている感覚がないため、それを欲して母親にいつまでも執着するのです。その根底には母親の期待に答えられない自分への罪悪感や、長年愛されてこなかったという感覚への後ろめたさなど、いろんなものが蓄積されています。べったりすればするほど心の穴が満たされるわけでもないから、娘としては辛い状態が続きます。ではそんな不憫に見える娘に対して母親はどうなのかというと、実は母親も心のどこかでは同じようにありのままに愛されることを渇望しています。つまり母と娘、お互いがお互いの目線で「私を愛して」というメッセージを発し続け、そして見当違いのエネルギーを出しまくっている。なので、いつまでも関係は発展しません。ああ辛い。前田さんと勝地さんご夫婦がどういう関係性で成り立っているかは、これから明らかになっていくのでしょう。現在、夫婦は別居中とのこと。ただ今回ご紹介したような母娘の依存関係が根っこにある場合、別居を続けても根本的な解決にはなりにくいものです。AKB48の“神7”としては初めて結婚したあっちゃん。神7で初の離婚も、やはりあっちゃんなのか……。それだけは、避けて欲しいところです。(文:おおしまりえ)
2020年07月08日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】父親の死をどう乗り越えればいいのかわかりません。病気もせずに、毎日元気に自分で運転して、母と一緒にゲートボールを楽しんでいた90歳の父。昨年6月、急に体調を崩して二度も救急車で運ばれました。されど、原因ははっきりせず……。母親と一緒に看病をしながら、どうしたらいいかと悩み、原因を追究するために総合病院で半日かけて検査をしてもらいました。それでも診断は水分不足と過呼吸のみ。検査後に点滴だけしてもらい、自宅に帰ることになりました。でも家に入った途端に苦しみながら倒れて。必死に心臓マッサージをしましたが、そのまま亡くなってしまいました。半日もかけて検査を受けさせたこと、今でも後悔していて、苦しい思いをさせてしまった父親に謝りたいですし、最近は父親が倒れてから亡くなるまでの状況を思い出すことが多くて悲しいです。どうしたらよいのかまったくわからず、相談させていただきました。(55歳・女性・会社員)【回答】親を亡くすのは、本当に寂しいものです。それまでお元気でいらしたのに急であれば、なおのことお気持ちの整理がつかないでしょう。半日もかけて検査を受けさせてしまったと後悔されているのですね。検査が長く苦しかったから、お父さまが逝ってしまわれたように感じていらっしゃるのでしょうか。あの検査さえ受けさせていなければお父さまはまだご存命だったかもしれない、苦しい思いをさせたうえに逝かせてしまったと。私たちには、どんなことにも“理由”を探してしまう癖があります。走ったから転んだ、落としたから壊れた、出かけたから交通事故に遭った…という具合に。なかには、その因果関係を断つことができる場合もありそうですが、こと「死」についてはどうだろうと考えることがあります。というのは、たとえば「餅を食べたから詰まらせて死んでしまった」けれど、「餅さえ食べなければ生き続けていられる」のかということです。たぶん違うでしょう。いずれ、どんな理由にせよ必ず死んでゆくのが人間です。ということは、「死」の究極の理由は、「生きているから」。この因果関係は、私たち人間ごときにはどうにも断つことができません。お父さまは、今ごろどうされていらっしゃると思われますか?痛んだり壊れたりするこの肉体は、じつは足枷です。脱ぎ捨てて自由になったお父さまには、もう苦しみも悲しみもありません。あなたの周りにいることもできるし、行きたいと思うだけで天の川にだって行くことができます。この世しか知らない私たちは「苦しい思いをさせた」「謝りたい」と負の感情で亡き人を拘束しようとしますが、どっこい、もうそんな次元にはいらっしゃらないのです。お父さまのために何かしてさしあげたかったと思われる? いまからでもできますよ。それが回向(えこう)です。私たちがこちらの世の中で徳を積むと、その徳があちらにいらっしゃるお父さまの活力になります。徳というのは、ボランティアをするとか、ゴミを拾うとか、そういった良いことをして積むこともできますが、なによりも貯まるのは「笑顔」と「感謝」です。お父さまを思い出されるときには、どうぞ「笑顔」と「感謝」で徳を積んでください。それがお父さまにとってなによりの活力になりますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年07月03日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】結婚して2年目になります。30代半ばにさしかかり、そろそろ子どもを生むかどうか決断しなくてはと感じているのですが、強く「子どもがほしい」と思えません。一方で、「生まなかったら後悔するのではないか」という気持ちがよぎることもあって。どうしても決めきることができません。授かるには不妊治療しかないかという状況……。周りの結婚している友達は、疑問なく子どもを生んでいるか、不妊治療に励んでいる人しかいなくて、あまり悩みも打ち明けられずにいます。どうやったら決断できるでしょうか。(34歳・女性・会社員)【回答】30代半ば。子どもを生むか生まないか、悩ましいですね。出産にはどうしたって年齢的な縛りがありますから、ぎゅっと突き詰めて考えないといけないところがあります。あなたのご参考になるかどうかわかりませんが、看護師として見てきたケースをいくつかお話しさせてください。まったく子どもに興味がなく望まない妊娠だったAさんは、いよいよ出産となって入院してきたときにも表情が硬く、子育て大丈夫かしら? と心配しましたが、いざ産まれたらメロメロなママになりました。妊娠出産でホルモンバランスも変わりますから、「欲しくなかったけど、産んでみたらもうかわいくて!」というママはけっこういらっしゃいます。ずっと授からないようにしてきたBさんは、やっぱり子どもをつくろう、年齢的にもそろそろリミットだしと解禁したのですが、結局コウノトリはやってきませんでした。長年不妊治療をがんばってきたCさんは、もうこれ以上は無理と30代最後の年に泣く泣く不妊治療をやめましたが、その半年後、自然妊娠で子宝に恵まれました。こんなふうに、生命誕生のドラマはいつだって神秘的です。本来、たかだか人間ごときにどうにかできるものではないのだという気がしています。だから、ひとつだけ覚えておいていただけると嬉しいのは、「あなたの心をいつもやわらかくしておいてほしい」ということです。子どもなんていてもいなくてもどっちでもいいや、という柔軟さを持ち続けてほしいのです。私たちは「絶対」とか「必ず」とか「どうしても」という言葉を使いはじめると、袋小路に追い込まれ逃げ道をなくして苦しくなります。どんな結果になっても「それが私の人生」と受け入れるやわらかいアタマとココロさえあれば、穏やかに過ごせるはずです。「何があっても良しとする」。それはある意味、“覚悟”でもあります。覚悟ができたら、運を天に任せてごらんになってみては?【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年2月に理髪店を独立開業したのですが、いきなりコロナの影響でお店の経営が非常に厳しくなっています。しかも、付き合っている彼女が同時期に九州から上京してきて、同棲しながら東京で働きだしたのですが、こちらもコロナ禍で失業してしまいました。結婚も考えていたのですが、日々の生活を送るだけでも精いっぱいでそれどころではなくなり、彼女との関係も微妙な感じに……。九州に一度帰る話まで出てきています。いったい、私たちは、今後どうすればいいのでしょうか。(40代・男性・自営業)【回答】ああ、なんと申し上げればよいのか……。本当にこのたびの新型コロナウイルス感染拡大はいろいろなことを引き起こしています。倒産、離婚、虐待……。2020年がこんな年になるなんて、いったい誰が予測していたでしょう。お店の経営が非常に厳しくなっていらっしゃるとのこと。とても心配です。なんとか持ちこたえられそうですか?国は救済処置をはじめているようですが、利用できそうでしょうか?せっかく彼女さんが上京されて一緒に暮らしはじめた矢先だというのに、最悪ですね。貧すれば鈍するで、こんな最悪な状況下では彼女さんとの関係がギクシャクしてしまうのも無理ありません。どんな言葉もあなたさまの慰めにすらならないとわかっています。でも、あえてひとつ、申し上げさせていただこうと思います。人の人生のうちには、脱皮のように爆発的なエネルギーでもって殻を破り次元上昇する“機”が何度かあります。“機を待つ”。わたしたちは人生のたいていの時間をこの“機を待つ”ことに費やしているのです。凍てつく冬の間は膝を抱え、縮こまってやり過ごす。春に芽を出すためには、冷たい土のなかでじっと待つ冬が必要です。つまり、“機”を迎えて大きく跳ね上がるためには、低く沈み込む時間が必要なのです。私たちはいま、この状況をどうすることもできません。でも、これを次元上昇のための“機”ととらえるか、すべてがだめになった“災難”ととらえるかは、あなたの自由です。「冬来たりなば春遠からじ」。冬のあとには春がやってきます。必ず。誰にでも平等にーー。いまこんなに厳しい冬が来ているのですから、春はもうじきだと信じて、いま少しふんばってみませんか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月19日株式会社ヨウジヤマモトのオフィシャルウェブストア「THE SHOP YOHJI YAMAMOTO (ザ ショップ ヨウジヤマモト)」より、「Tシャツ+マスク」第2弾として、「YOHJI YAMAMOTO +NOIR(ヨウジヤマモト プリュス ノアール)」とYOHJI YAMAMOTO FEMME, HOMME COLLECTIONのコラボレーションアーティストとしてお馴染みの画家「朝倉優佳」とのコラボレーションアイテムを6月17日より展開スタートいたします。墨と水彩でダイナミックに描かれた「ダリア」「薔薇」「百合」の花モチーフをプリントした「Tシャツ+マスク」を数量限定、オンライン限定にて発売いたします。■ アイテム数:「ダリア」1型、「薔薇」2型、「百合」1型(計4型)■ 価格: すべて「Tシャツ+マスク」セットで1万4,000円(税抜)■ 展開店舗・展開時期:6月17日よりYOHJI YAMAMOTO INC.オフィシャルウェブストア「THE SHOP YOHJI YAMAMOTO(ザ ショップ ヨウジヤマモト)www.theshopyohjiyamamoto.jp」にて<特典>THE SHOP YOHJI YAMAMOTOにて、YOHJI YAMAMOTO 商品を5万円(税込)以上ご購入いただいたお客様先着にて、「YOHJI YAMAMOTO オリジナル レザーミニトートバッグ」を差し上げます。※該当ブランド<YOHJI YAMAMOTO FEMME, HOMME, +NOIR, REGULATION, B, BLACK Scandal>企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年06月17日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】緊急事態宣言が解除されてからの会社の指示に少しモヤモヤしています。宣言が出されてから私の会社は全面的に在宅勤務となったのですが、解除された途端に会議のために出社しろと上司から連絡が入りました。自粛が一部緩和されたとはいえ、まだまだ新型コロナウイルス感染の不安は残っていますし、満員電車の日々に舞い戻れば感染リスクも高まる気がします。なので、個人的にはなるべく外出を控えたいのですが、どうしても上司や同僚の目が気になってしまう……。どうすれば正解なのでしょうか。(35歳・女性・会社員)【回答】いや、おっしゃる通りです。いったいどうすればいいのか、“正解”がわかりません。たぶん正解を知っている人は、この世の中にひとりもいないのじゃないかしら。でも、みんながわからないのだとすれば、最終的な判断は自分でするしかないのだと思います。上司や同僚の目を気にして自らの命をかけて会社に行くか。自分の命を守るために会社を捨てるか。今回の新型コロナウイルスは、それぞれの個人に究極まで突き詰めた選択を問うていると感じます。ただ、もちろん事の大小はありますが、じつはこれまでだってそうだったのです。道を歩けば、交通事故に遭うかもしれないし、犯罪に巻き込まれるかもしれないし、上から物が落ちてくるかもしれない。いつだって命の危険は決してゼロではありません。でも、日々の生活のなかで私たちはそんなことなど考えもせずに「この命は必ず明日も続いていくものだ」と根拠なく信じ込んできたでしょう?その根拠なき確信が崩されただけ。私たちはもともと「明日をも知れない命」を抱えているのだということを見せつけられただけなのです。これが、今回の新型コロナウイルスがもたらした大きな事象です。さあ、どう生きていきましょう。一切の危険を排除しつつ衣食住が足るという方法はないものでしょうか。それを見つけられたら万事OKなのですが、なかなかそうはいきません。どこかで折り合いをつけて、妥協して、ときに諦めて、覚悟して、事に及ばなければならないようです。あなたの大事な命がかかっているのですよ。他人の目なんて気にしている場合ではありません。最終的な判断は、あなた自身が全責任を負ってする。そしてそれが、あなたの“正解”となるのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネージャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月12日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】親が過干渉で困っています。私はもう40歳目前ですが、いまだに実家暮らしを強いられ、出かけるときには誰に会うのか、どこに行くのかを詳細に親に伝えなくてはなりません。夜にたまに出かけるだけで「また飲みに出かけるのか」などと小言ばかりを言われます。耐えかねて年末年始はゆっくりひとり旅でもしようと計画していましたが、「正月に家にいないのはどういうことだ」と怒られ、結局叶いませんでした。交際相手のことにもすべて口を出してくるので、なかなか上手くいかず、このままではずっと結婚できないのではないかと焦っています。(39歳・女性・公務員)【回答】さて、親御さんが過干渉で困っていらっしゃるとのことですが、あらまあ、40歳も近いというのに、どうしてご実家をお出にならないのかしら。なにかどうしてもご実家にいなくてはならない深いご事情がおありでしたらごめんなさい。公務員でいらっしゃるなら収入もしっかりしていらっしゃるでしょうし、普通にひとり暮らしができるだろうに…と思ってしまったのです。詳細をお聞きしていないので適当なことを申しますけれどね、世の中に「強いられて」どうにもならないことというのは、そうそうあるものじゃありません。○○のせいであれができない、これもできないというのは、たいていの場合、じつは自分の心の奥底に「そうしたくない」という気持ちがあるものなのです。私なんぞは育ちが雑ですから、「正月に家にいないとはどういうことだ」なんていくら小言を言われても、「はあ、さようでございますか」ってな感じで出かけちゃいますからね。こんなことを言われると、「そんなことありません!なにもかも親のせいで…!」というお気持ちがムクムクされるでしょう。そのお気持ちもわかります。でも、40歳近いということでいらっしゃいますから、そろそろ自分に「軸」を持ちましょう。いまのあなたさまは「軸」を親御さんに渡してしまっているのです。親御さんに「軸」を渡して被害者でいることのほうがラクなのかもしれないですよ。厳しいことを言いますが、そのラクさを結局はあなたさまが選んでいるのです。「四十にして惑わず」ともいいますから、自信を持って自分の思うとおりにしてみましょう。簡単です。このままご実家にいるにしろ、出るにしろ、すべて「自分で選択したこと」という覚悟を持つこと。それだけです。誰かのせいじゃなくてね。自分のお尻は自分で拭く。自分に「軸」を持つことで、毎日は見違えるように楽しくなりますよ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年06月05日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】実家の父は76歳なのですが、数年前に脳卒中を患い、歩行に不自由があります。最近は認知症かなと思うことも増えてきて、毎日椅子に座り、テレビを見ているだけの生活を送っています。昔は登山と読書が趣味だったのですが、もうひとりでは外に出られないので登山などはできず、目が悪くなったせいか、本も読まなくなってしまいました。2年ほど前までは母が車で外に連れ出したりしていましたが、お風呂に入るのも嫌がるのと、わがままな性格のために、母ももう一緒に外出するのが嫌になったようです。たまに帰省したときに、テレビと食べることだけにしか楽しみがない父の様子を見ると切なくなります。父になにか、ほかに楽しみがあればいいなと思うのですが……。(33歳・女性・会社員)【回答】あなたさまがどんなにお父さまのことを愛しておられ、大切に思っていらっしゃるかが伝わってきて、まず胸が熱くなりました。大好きだからこそ、今のお父さまを見ていられないのですよね。昔は登山と読書が趣味だったお父さまの楽しみが、今はテレビと食べることだけ。切ないですよね。お気持ちは痛いほどわかります。でも、その気持ちの根元にすこしでも「いきいきと趣味に没頭する父親を見て私が安心したい」というお気持ちがあるとしたら、そういうのを世間一般では「大きなお世話」というらしいのです。元気な私たちからすると一日中テレビばかりじゃ、さぞかしつまんないだろうと思ってしまいがちですが、それは自分の「ものさし」で物事を見てしまっているからです。脳卒中の後遺症を抱えるお父さまの「ものさし」で見なければ、本当のところはわかりません。とはいえ、お父様がどんな世界を見て、どんなふうに感じていらっしゃるのか、私たちにはわかるわけがありません。だから、インタビューしないとね。「お父さん、毎日どう?」「なにか困っていることはない?」「なにかやってみたいことはない?」「いま、どんな気分でいるの?」その答えのなかに、私たちにできるなにかがあるでしょう。往々にして、私たちは自分の「ものさし」で相手のあれこれを判断してしまいがち。最も賢い愛の伝え方は、自分の「ものさし」を捨てて、相手の「ものさし」を使ってゆっくり語り合うことなのです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月29日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】先日、ステージ2の乳がんと宣告を受けました。医師からは治療すれば大丈夫だと言われましたが、切除しなくてはいけないことがショックで……。まさか自分がこんなことになるなんてと、ずっと落ち込んでいます。また、治療をしながら仕事を続けられるのかどうかもまだ分からず、独り身なのでもし続けられないなら自分の今後の生活がどうなってしまうのか、とても不安です。(43歳・女性・会社員)【回答】あなたさまのショックを思うと、言葉もありません。夜は眠れていますか。ごはんは食べられていますか。心配なこと、不安なことで頭がいっぱいでしょう。ひとつひとつじっくりお聞きしたいのですが、それはいつかお目にかかることができたときにということにして、ここでは、ひとつの方法をご紹介させてください。私は仕事柄、これまでに大勢のがん患者さんとお話をさせていただいてきました。もちろん、乳がんの方もいらっしゃいました。どなたももれなく、ご自分がそうとわかったときにはショックだったとおっしゃいます。ボディイメージの変化、仕事、家族、恋人、これからの人生設計、手術、検査、抗がん剤、お金…雑多な心配や不安がもう、どばどばっと。この混沌が、ショックに輪をかけて患者さんを苦しくするのです。心配や不安をすぐに解決する神業はありませんが、せめて混沌を整理してみませんか。方法は簡単です。紙とペンを用意してください。用意した紙の真ん中に1本線を引いて、左側の上の方に「GOOD」、右側の上の方に「BAD」と書きます。「GOOD」側には、がんになって良かったと思えたこと、得たもの、うれしかったことなどを書き出します。「BAD」の側には、がんになって悪かったこと、失ったもの、悲しかったことを書き出します。こうやってあなたの心と頭の中を“見える化”することで、混沌の波をすこしずつ鎮めようとしてみてください。「GOOD」の側に書くことなんてあるわけないじゃない!そうだよね。おっしゃるとおりです。みなさんそうでした。でも、三カ月後、半年後にこの作業をしてみてもらえませんか。なにか変化があるかもしれません。私なんぞが簡単に言うことではありませんが、『禍転じて福と成す』という言葉があります。目の前に起きている事象はひとつですが、それをどう捉えるか。捉え方は無限です。いつかあなたさまに起こったことが転じて福と捉えられる日がきますように。毎日心からお祈りいたします。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月22日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私には40代前半の一人息子がいるのですが、息子の月収は低く、彼が結婚して一年後くらいに一軒家を新築するときはお金の援助をしました。その後も毎月仕送りをしています。しかし、息子の嫁はなかなか働いてくれず、何度かアドバイスはしたのですが、まったく仕事をする気がない様子。ついに私が今まで貯めてきたお金も底をついてきて困っているのですが、今後いったいどうしたらいいのでしょうか。(女性・68歳・専業主婦)【回答】まあ、あなたさま!動物は知能も仕組みも高度になればなるほど親離れが遅れる傾向にあるといいますが、現代社会はまさにその通りですね。親として、存分にすねをかじらせてやるというのも醍醐味のひとつでしょう。ただ、貯めたお金が底をついてしまうようでは、本当に困ります。あなたさまもこれから、いわゆる「老後」をお迎えになるわけで、そのための備えも必要でしょう。かわいい一人息子さんはあてにできませんからね。さて、拝読していて思いましたこと、ふたつほどお伝えさせてください。ひとつめ、矛先が違う気がいたします。「息子の嫁がなかなか働いてくれず、まったく仕事をする気がない様子」とのことですが、あなたさま、まさかお嫁さんにまで息子さんにすねを差し出せというのではないですよね。親としてあなたがものを言うべき相手は息子さんですよ。それを飛び越えてお嫁さんに矛先を向けてしまうのは、いかがなものでしょう。ふたつめ、困っていらっしゃるなら、困らないようにいたしましょう。つまり、出て行くお金を抑える=息子さんへの月々の仕送りをやめる、です。私は高野山で修行をしたのですが、運がよいとごくたまーにチョコレートの差し入れをいただいたりしたものです。手に入れたときは、それはそれは大事に少しずつかじりました。人は、なければないなりになんとかするものです。毎月決まって援助なさっているあなたさまの優しさが、いまの息子さん、お嫁さんをつくっているのです。変化というのは伝播します。あなたが変われば、息子さんが変わる。息子さんが変われば、お嫁さんが変わる。こんなふうにじわじわと伝わっていくものです。あなたが変わらずに息子さん、お嫁さんが変わるものですか。さあ、思い切って、手を引いてみてください。子離れするのも親の醍醐味です。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月15日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】家族が新型コロナウイルスにかかると、お見舞いもできないし、死に目にも会えないと聞きます。火葬にも立ち会えません。こういう状況で、どのように感染してしまった家族に寄りそえばいいのでしょうか?また、どのように自らの心を整理すればよいのでしょうか?逆もまたしかりで、自分が患者になると、家族にも会えなくなります。もしかしたら、そのまま死んでしまうかもしれません。そういう状況で、どのように心の平安を保てばいいのでしょうか?(番外編・編集部から)【回答】おっしゃるとおりですね。私が勤務している緩和ケア病棟でもご家族の面会が制限されています。最後の時間を一緒に過ごせないというのは、本当になんと申し上げてよいか……。さて、あなたさまが今リアルにそういうご状況に面しておられるのか、もしそうなったらを想定してご心配なさっているのかによってお伝えすることが異なりますので、二通りにわけてお伝えいたします。いま、まさにそういうご状況でいらっしゃるとしたら、本当にお辛いことと思います。おかけする言葉が見つかりません。会うことすらできないのにどのように寄りそえばいいのか、胸が痛みます。私は、ご家族との面会ができなくなってしまったご本人さまとお話をさせていただいているので、そのご様子をご参考までに。みなさま病室でテレビをご覧になったり、スタッフから情報を聞いたりして世の中の状況をよく把握していらっしゃいます。そして、みなさんご自分のことより、ご家族のことを心配していらっしゃいます。見舞いに来る道中で感染したら大変だと。また、ご家族と直に会えないのならと携帯電話のビデオ通話でお話をされたり、手紙のやりとりをなさったりする方もいらっしゃいました。厳しい制限の下ではありますが、みなさま懸命に過ごしていらっしゃいます。そのお姿を拝見するにつけ、お見舞いに行くこと、死に目に会うこと、火葬場でたたずむこと、これらのことだけが「寄りそう」方法ではないと教えられる日々です。寄りそうとは、どういうことなのか。私たちは、あらためて真摯に考えるべきときを迎えたのかもしれません。また、ご自分が感染してしまった場合。ご家族にも会えない、そして、死んでしまうかもしれない。そうなれば当然、心は乱れます。平安を保ってなどいられないでしょう。現代医学は、精一杯奮闘してくれていますが、最期のジャッジがどうなるかは、もはや祈るしかないのが現実です。人間は無力ですね。本来、無力なのです。すべての人がその人の望みどおりに在ることができるように、心から祈るばかりです。さて、もしそうなったらどうしようという“たられば”でご心配されていらっしゃるのなら、即考えるのをやめましょう。いますぐに、です。そんなことを考える時間があったら、しっかり食べて、しっかり寝て、しっかり動いて、免疫力をあげていきましょう。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月08日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】非常事態宣言を受けて仕事が完全に在宅勤務となった夫がずっと家にいます。結婚してこのかた、平日も休日も、朝から晩まで家で一緒に過ごすということがなかったので、かなり疲弊しています。食事も朝昼晩と三食用意しなくてはならず、メニューを考えるのも億劫で……。いまこの状況なら、定年退職したあとはどうなってしまうのかと途方に暮れています。(女性・48歳・専業主婦)【回答】狭い犬小屋に多くの犬を閉じ込めておくと、次々と争いや病が生じるそうですよ。おっと、ワンちゃんの例えなんかで失礼。つまり、最初にお伝えしたいのは、平日も休日も朝から晩まで家で一緒に過ごすことになって、いまのような気分におなりになるのは、生物としてしごくあたりまえのことだということです。心の問題ではなく、物理的な環境の問題です。まずは、そこをしっかりとわかっておきましょう。べつに、お互いの愛が冷めたわけでもなんでもないってことをね。あとは、その物理的問題の解決策ですね。ふたつほどご提案させてください。ひとつめ。「定年退職したらどうなってしまうのか…」と途方に暮れていらっしゃるようですが、定年退職後までお二人ともお元気でずっと一緒にお過ごしだと保証書でも出ていますか?まだお若いから、定年はあと20年くらい先のお話かしら。いやいや、20年後は定年が80歳になっているかもしれませんよ。ね、いまと同じ世界が続いているかどうかですら、私たちにはわからないのです。自分勝手に作り上げた未来像に、勝手に途方に暮れるのは、なんだかいろんなものがもったいない気がします。ふたつめ。これはすぐにでも実行できますよ。食事も朝昼晩三食用意しなくてはならず、メニューを考えるのも億劫なら、一日やめてごらんになったら?「そんなことできるわけがないでしょう」って、怒られそうですけど、本当にできない?なぜ、できないのかしら?できないって思い込んでいるだけじゃない?お相手が0歳児だったらそりゃできませんけれど、旦那さまはおいくつかしら?あなたさまをがんじがらめにして追い詰めているのは、あなたさま自身かもしれないってことに気がついてください。でもすこし、安心もしています。非常事態宣言のなかで定年後の心配ができているのですもの。あなたさまのメンタルは、ある意味強靱です。非常事態宣言に負けてなんかいません。お互い、しっかりと乗り切りましょうね!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年05月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】83歳の父親についての相談です。父親は非常にしっかりしていて肉体的にも健康です。ただ、いつガタっと来るかわからないので、子供一同、車の運転は止めてほしいと思っており、それとなく伝えています。でも、本人は車の運転が好きで、かつ現状では心配なこともなにもないので、その気がありません。住んでいるのは首都圏で、徒歩圏内には店もあり、ターミナル駅まではバスで5分。車がなくても困ることはありません。ちなみに75歳の母親と2人暮らしで、買い物はおもに父親が担当しています。車の運転をやめてもらう、良い方法はないものでしょうか?(49歳・女性・会社員)【回答】いやあ、これは頭の痛い問題ですね。ご本人がしっかりなさっていらっしゃるのであれば、なおさらでしょう。これまでの生活スタイルを変えるというのは、なにかアクシデントがない限り本当にむずかしいものです。でも、アクシデントがあってからでは遅いですものね。自損事故も困りますけれど、人様の命を奪うようなことになったらそれこそ取り返しがつきません。83歳というご年齢を考えると、私も親に免許返納を進言します。さて、どう事を進めるかですが、「それとなく伝えて」いらっしゃるというのが、滞る原因では?私たちの耳は「選択的透過性」という特徴を持っています。「すべてを聞く」わけではなく、「聞きたいものを聞く」のです。つまり、それとなく「そろそろ車の運転をやめたら」と伝えている言葉は、お父さまには完全にスルーされていますね。どこにもひっかかっていません。望んでいないことを聞いてもらうためには、事実を示し、はっきり明確に、根気よく何回も、伝える必要があります。研究をするとき「事実は3つ並べよ」と教わりましたから、高齢者の運転事故の記事などを3件用意し、はっきり明確に「警察に行って返納するといいよ。かわりの身分証明書はくれるんだよ」と伝え、顔を見るたびに言ってみましょう。途中、ちょっと怒るかもしれませんが、それにつられて怒っちゃだめですよ。あくまでも、冷静に。そして、なによりも、運転を続けたいと思っていらっしゃるお父さまのお気持ちに耳を傾けてください。その理由は、単なる「不便になるから」だけではないはずです。なにかを捨てるって、どんなことでもなかなかできないものでしょう? たかだかお菓子の箱だってとっておきたいじゃないですか。運転免許なんて大きなもの、いろんな思いがあって当然です。その思いを、たっぷり聞いてさしあげてください。そして、それを捨てたところで、お父さまのなにも欠けはしないと、お伝えください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年04月24日