2011年10月21日より、北欧テイストを取り入れたプリントやナチュラルテイストな寝装品やファッション雑貨を展開する小泉ライフテックスが、株式会社ラクーンが運営する卸サイト「スーパーデリバリー」での販売を開始した。取り扱い商品は、全て素材開発と高品質な商品企画にこだわる専門スタッフが企画デザインをしたオリジナル商品。シーズンごとに数多くの新柄や新商品を企画し、シーズントレンドをいち早く製品に反映させることにより、他社との差別化を図っており、最新トレンドの布団カバー、枕カバー、クッションカバー等、トータルコーディネートが出来るインテリア雑貨を提案している。小泉ライフテックスは「スーパーデリバリー」を通し、話題性の高いファブリック、ファッション雑貨をタイムリーにお届けしたいとのこと。これから秋から冬にかけ、ホームパーティーが盛んとなる季節が訪れる。こんな可愛いインテリア雑貨に囲まれて楽しい夜を演出してみてはいかが。 小泉ライフテックス「スーパーデリバリー」販売ページ
2011年10月23日どういう神経をしているのか?と言うと言葉が悪いが、かつて妻だった女性と映画の中で夫婦役を演じるというのはどういうものなのだろう?永瀬正敏が(そしておそらく小泉今日子も)そんな周囲の喧騒を全く意に介さないタイプであろうことは予想がつくが、それでも問わずにはいられない。映画は西原理恵子の人気エッセイ漫画を実写化した『毎日かあさん』。つまり2人は、実際に夫婦であった西原さんちの2人(※夫の鴨志田譲氏は故人)を演じているのだが、なぜだか観ている内に、この物語が見たこともない「永瀬―小泉」家の物語のようにさえ見えてくるから不思議なもの…。もちろん、映画の見どころはそれだけではない。さて、永瀬さんの見解は?鴨志田さんの墓参りで許可取り永瀬さんが演じているカモシダは、アルコール依存症の元戦場カメラマン。永瀬さんの演技からは、彼のどこか憎めない人柄はもちろん、見ているこちらが辛くなるような人間の弱さや、業の深さというものが伝わってくる。永瀬さんは彼を「いろいろな“想い”を落としながら生きていかれた方」という独特の言葉で表現し、演技についてこう語る。「今回に関しては、上手いお芝居をしようとかではなく、なりたかったんですよね、鴨志田さんご本人に。普段は基本的に、頭の中の宇宙で作り出す人物像だけでなく、現場で動いて、監督の世界観も入れた上で膨らましていった方が面白そうだな、とか考えつつ、でもあれこれ考えすぎてしまうので、現場に入ったらできるだけゼロにする、という感じです。でも今回はそういう構築の仕方ではなく、まず皮膚感覚や空気感を大切にしたかった。実際に鴨志田さんが撮られた写真やご自身やご家族が写っている写真をあちこちに貼って、見るというでもなく、目に入るようにしたり。それから、クランクイン前にはひとりでこっそり鴨志田さんのお墓参りに行って“許可”を取ってきましたね。30〜40分くらい話しましたよ。内容?最初は『俺でいいすか?』って(笑)。それから『力を貸してください』ってお願いしたり、『そっちはどうすか?』とか普通の会話をね。カップ酒持ち込んで『もう、さんざん飲んでも大丈夫ですよ』って言いながら」。具体的に、カモシダの内面的な部分を表現する上で、どのような部分に取っ掛かりを見つけ、演じたのだろうか?「鴨志田さんが書かれたエッセイも読んだんですが、前半部分は西原さんが描かれる世界観の文章版という感じでよく似てるんです、表現するものが。この2人はものすごくガッチリとコネクトして生きてるんだなって思う。でも2人が離婚して、ある瞬間に文章が変わるんですよ。そこにはやはり大きな何かがあったんだな、と感じさせられて、演技の上でのひとつの大きなきっかけになりましたね。映画の中では編集でカットされてしまったんですが(苦笑)、離婚のシーンでカモシダは『まあしょうがねぇか』って感じのへっちゃらな顔してるんだけど、離婚届に判を捺すときだけ指が震えてるんです。そこから何かが少しずつ変わっていったんだろうな、という思いはありました」。では冒頭の問いに。映画の製作が発表された当初より、小泉さんとの共演については期待と驚きと好奇心でもって大きく報じられてきた。演じる側として、特別な思いはあったのだろうか?「大前提として知らない方ではないからね…“方”って言い方も変だな(笑)。ある時期を一緒に過ごした人だから、『はじめまして』って会って、『この人、どういう人なのかな?』と勘ぐり合いながら入っていくのとは違いますね。でも、何より一緒に現場に立ってみて、彼女は女優として素晴らしいんですよ。お互いいろいろな過去はありますが、何を置いてもそこですね。だから、最初に衣裳合わせで久々に会ったときくらいですね、『どうしようかな…?』って感じでちょっと恥ずかしかったのは(笑)」。「一本でも良い映画を遺したい」プライベートで一緒に過ごした時間があったからこそ、映画の中で夫婦を演じる上でそれが活かされた、という感覚は?「いや、それはどうだろう…。僕らとは過ごしてきたシチュエーションが違うから。繰り返しになりますが、それよりも小泉の女優としての素晴らしさによるところが大きいと思います。たぶん、僕らがこの映画で目指していたゴールは一緒で、演技の“色合い”や“濃度”が同じだったんでしょうね。それは、夫婦だったということとは関係ないと思います。だから少し残念な気もするんです。お互いもっと若いときに、俳優と女優としてもっともっと一緒に仕事ができていれば面白かったなって」。いやいや、共にまだ40代。夫婦役にとどまらず、これからもいろんな関係性の中での2人の絡みを見てみたいところ。ちなみに“若い頃”という言葉も出たが、永瀬さんは20代だった1980〜90年代の頃から、常にこれまでにない新しい俳優の在り方を体現してきた存在。30年近くにわたる俳優人生の中での自身の“変化”について尋ねるとこんな答えが返ってきた。「20代の頃はひとりで戦ってるという感覚が強かったですね。何とか面白い映画をいっぱい作って、映画館をいっぱいにしてやろうって。いろいろな“槍”や“言葉”で突かれて、傷つけられても、何でもいいから走ろうという気持ちでやってました。いまは、みんなが好きで、みんなでひとつの作品を作ろう、という思いが強いです。そう考えるようになったきっかけは、デビュー作(『ションベン・ライダー』)の相米慎二監督が亡くなられたことですかね。それまでは自分ひとりで行こうって気持ちが強かったけど、相米慎二という存在が映画界から失われたときに、自分の寿命がどれくらい残ってるのか分からないけど、一本でも良い映画を遺したいって思ったんですね。でも、立ち返ってみると、映画はひとりじゃできない。だから、確信的な“共犯者”をいっぱい作っていきたいんです(笑)」。(hairmake:KATSUHIKO YUHMI<THYMON>/stylist:yasuhiro watanabe/photo:Toru Hiraiwa)■関連作品:毎日かあさん 2011年2月5日より全国にて公開© 2011映画「毎日かあさん」製作委員会■関連記事:西原理恵子の娘『毎日かあさん』観て号泣、そのとき息子は…まさかの行動!小泉&永瀬16年ぶりの子連れ“ツーショット”披露小泉今日子元夫・永瀬正敏との共演に「同業者としてがっつり戦えた」【シネマモード】今年、映像界を賑やかにしてくれた人小泉今日子と永瀬の共演シーンがついに解禁!『毎日かあさん』予告編が到着
2011年02月01日女優の小泉今日子と俳優の永瀬正敏が1月20日(木)、東京・新宿区の新宿ピカデリーで行われた夫婦役を演じる映画『毎日かあさん』(小林聖太郎監督)の完成披露試写会に出席。約16年ぶりに公の場でツーショットを披露した。人気漫画家、西原理恵子さんが、夫で戦場カメラマンの鴨志田穣(ゆたか)さん(2007年逝去)と2人の子供との日常生活を綴った同名漫画の実写化。実生活で元夫婦の小泉さんらが、夫婦役で離婚以来初共演することで話題を呼んでいる。本作は昨年夏に撮影。小泉さんは「子供たちが自然に笑ってくれるのが目標だったので、ずっと一緒にいました」と“一家団欒”を楽しんだ様子。隣の永瀬さんは、アルコール依存症とガンに苦しむ役どころに12キロ減量して臨んだが「必要なことだったので役者として当たり前のことをしただけ」と表情を変えずに謙虚な言葉。だが子役の小西舞優が「お弁当を食べるとき、みんなご飯を食べていたのに、お父しゃん(=永瀬さん)だけ水を飲んでいてかわいそうでした」と話すと、恥ずかしそうに顔をほころばせた。ほかに、原作者の西原さんも出席。映画の感想を司会者から聞かれると、「1番ビックリしたのは永瀬さんが、私しか知らない鴨志田の表情や仕草を演じられていたこと。彼はいろんなことがあってやっと家に帰ってきたんですけど、またすぐ出て行かないといけなくて、困った表情をしたり、息子の靴下を写真に撮ったりしていたんですが、それが映画に出ていた」と大絶賛。小泉さんについても「私の知っている輝けるキョンキョンじゃなく、すっかりオカンになっていた。役者さんはばっちいヨゴレの役もできるんだなぁ、と」と感心しきりだった。小泉さんは、西原さんについて「本当に大好きでほとんどの作品を読んでいた。演じることになり、絶対かなわないので1つずつ組み立て直して役作りをした。それくらい素敵な人」と思い入れタップリに話していた。『毎日かあさん』は2月5日(土)より全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:毎日かあさん 2011年2月5日より全国にて公開© 2011映画「毎日かあさん」製作委員会■関連記事:小泉今日子元夫・永瀬正敏との共演に「同業者としてがっつり戦えた」【シネマモード】今年、映像界を賑やかにしてくれた人小泉今日子と永瀬の共演シーンがついに解禁!『毎日かあさん』予告編が到着小泉今日子×永瀬正敏『毎日かあさん』試写会に350組700名様ご招待『毎日かあさん』に大森南朋ら出演!母・小泉今日子、父・永瀬の姿も明らかに
2011年01月20日西原理恵子さんの傑作ベストセラーを実写映画化した『毎日かあさん』に主演する女優・小泉今日子が、現在テレビ東京で放送中の同名アニメに本人役でゲスト出演することになり、12月20日(月)に都内スタジオでアフレコを行った。実写版では元夫である永瀬正敏との“夫婦役”共演も話題を集めており、小泉さんは「どのツラ下げて共演してるんだという状況なんですけど(笑)、同業者としてがっつり戦えた」と誇らしげに語った。原作は2002年10月より「毎日新聞」朝刊に毎週日曜日、連載されている漫画で、単行本はシリーズ累計発行150万部を超えるベストセラー。西原さんの実人生を基に、主人公の漫画家と元戦場カメラマンの夫、6歳の息子と4歳の娘が織りなす驚きと喜びに満ちたエピソードをつづる。主人公のサイバラ役に小泉さん。永瀬さんは夫・カモシダを演じており、「以前から『いつかまた同じ現場に立てるといいね』と彼女(小泉さん)と話していたことが、この素敵な物語で実現することを、嬉しく思ってます」とコメントを寄せている。今回、“かあさん”役にチャレンジした小泉さんは「親になったことはありませんが、お母さんって本当に大変なんだなと疑似体験できた。一生をかける仕事なんですね」。サイバラを演じるにあたり、西原さんとはあえて会っていないそうで「もともと西原さんの漫画は大好きで、勝手に分かったつもりで演じました。漫画のキャラクターを演じる、といった難しいことは考えなかった。大切にしたのは、西原さんの気持ちを考えること」と役作りをふり返った。現場では小泉さん、永瀬さん、そしてメガホンをとる小林聖太郎監督が積極的にディスカッションを交わしたといい「永瀬さんが『それ、監督に言った方がいいよ』って言うんで、『えっ、私が言うの?』みたいな(笑)。3人で話し合って作り上げたし、私と永瀬さんの意向も反映されている」。控室では小泉さんが子供たち(子役の矢部光祐と小西舞優)をガミガミ叱りつけ、その様子を永瀬さんが静かに眺める場面もあったとか。「撮影が進むにつれ、自然なアドリブができるようになった」と小泉さん。スクリーンに投影される“ありのまま”の家族像も大きな見どころとなりそうだ。小泉さんは、永瀬さんとの共演について「がっつり共演したのは実は初めてで。結婚して共演のチャンスがなくなり、離婚してさらに機会がなくなった。正直、すごく残念でしょうがないなと思っていた。でも時間は過ぎるもの。時間が過ぎたからチャンスが回ってきた」としみじみ語っていた。ちなみにアニメ版に登場する自分の姿は「似てないっちゃ、似てない。もうちょっとやせてるかな」とダメ出し!?「本人役なので楽しんでアフレコできました」と笑顔を見せた。小泉さんが本人役でゲスト出演するアニメ「毎日かあさん」は2011年2月2日(水)に放送される予定。『毎日かあさん』は2011年2月5日(土)から全国公開。■関連作品:毎日かあさん 2011年2月5日より全国にて公開© 2011映画「毎日かあさん」製作委員会■関連記事:【シネマモード】今年、映像界を賑やかにしてくれた人小泉今日子と永瀬の共演シーンがついに解禁!『毎日かあさん』予告編が到着小泉今日子×永瀬正敏『毎日かあさん』試写会に350組700名様ご招待『毎日かあさん』に大森南朋ら出演!母・小泉今日子、父・永瀬の姿も明らかに小泉今日子&永瀬正敏が西原理恵子原作『毎日かあさん』で夫婦役!
2010年12月20日映画『マザーウォーター』(松本佳奈監督)の完成披露試写会が10月21日(木)、東京・スペースFS汐留で行われ、小林聡美、小泉今日子、加瀬亮、永山絢斗ら主要キャスト7人が舞台挨拶に顔を揃えた。映画『かもめ食堂』、『めがね』などシンプルな人間ドラマを製作してきたプロジェクトシリーズの最新作で、京都を舞台にウイスキーだけ出すバーを営むセツコ(小林さん)、コーヒー屋のタカコ(小泉さん)、豆腐を売るハツミ(市川実日子)ら7人の男女の群像劇。同シリーズ初参加となった小泉さんだが「前からこのシリーズを見ていたし、それぞれお仕事してきた方も多かったので『いなかったっけ?いままでも』って感じで違和感なく入っていき『いままでもいましたよ』みたいな顔してやっていました」。シリーズの常連、もたいまさこさんから「全然オッケーでしたよ。小泉さん、全部仕切っていました」と“座長ぶり”を明かされ、「ヘルシンキ(『かもめ食堂』ロケ地)からずっとねぇ…」とおどけた。対照的に同じくシリーズ初参加の永山さんは「素敵なキャストのみなさんの中に僕が入っていいのかと思いましたがどうにか…」とコチコチだった。一方、冒頭で光石研が「みなさん楽しんでいってください」とオーソドックスな挨拶をすると、小泉さん、小林さん、加瀬さんらほかのキャスト陣が一様にニヤリとして意表を突かれたような表情を向け、光石さんが大テレする一幕も。セツコのバーに入り浸る青年・ヤマノハを演じた加瀬さんは「僕が(セツコを)養っていました」。もたいさんも自身の役どころについて「いつも通り謎の女で何やっているのか、フラフラしています。散歩の達人に見えたらいい」とそれぞれ軽快なトークを繰り広げ、会場の笑いを誘っていた。『マザーウォーター』は10月30日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:マザーウォーター 2010年10月30日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2010パセリ商会■関連記事:市川実日子インタビュー京都で心地よく演じた“豆腐のような人”人気フードスタイリスト飯島奈美が『マザーウォーター』クッキーを初プロデュース!『かもめ食堂』チームに小泉今日子、永山絢斗が参戦今度の舞台は“京都”
2010年10月21日宮藤官九郎が黒澤明を語る――。一見、意外なシチュエーションに見えるが、宮藤さんに言わせると黒澤作品は「ある意味、かなりパンク」であり、自身の手による舞台やドラマ作品において、多大なる影響を受けたという。特に、宮藤さんが愛してやまない作品が、黒澤監督が還暦を迎えた1970年に公開された、黒澤監督にとって初のカラー作品『どですかでん』。山本周五郎の「季節のない街」(新潮文庫刊)を原作に、とある町のはずれに暮らす人々の姿を、知的障害を持つ“六ちゃん”を中心に描き出す。日本映画専門チャンネルでは、「メモリーズ 我が心の黒澤明」と題して、生誕100周年を迎えた黒澤明について、ゲストがその思いを語る特別番組を放送中。7月は宮藤さんが先述の『どですかでん』をテーマに黒澤明の“凄まじさ”を語る。放送を前に、宮藤さんに話を聞いた。まずは単刀直入に、映画人・黒澤明の魅力とは?宮藤さんは「いびつでどこか壊れてる感じ」とまさに“パンク”な要素を挙げる。「『用心棒』から『椿三十郎』、比較的新しい作品で言うと『影武者』とか王道の娯楽映画を撮ってて、ああいうのはすごく“男子”の合戦願望とか、戦いたい欲望みたいなものを満たしてくれる部分があって、それはそれで好きです。でも、それとはまた違うタイプの作品、例えば『どん底』とか『羅生門』とか…すごく好きですね。どこか歪んでる…例えば『用心棒』の出だしの(居酒屋の親父役の)東野英治郎さんのセリフの聞き取れなさとか。説明してるセリフなのに聞き取れないってすごいなぁって。何となくは分かる。『この人、すごく怒ってる』ってことは分かるんだけど、とか。そういう部分での、『いいや、聞こえなくて』みたいな感じがすごく好きです。それは、黒澤さんの中でわりと最後まで一貫してそうだったのかな。『まあだだよ』もある意味、壊れてる映画ですからね。結局、猫が居なくなって、帰ってきたという話かって(笑)。そういうところもすごい好きですね。なんか、冷めてるのか、客観性がないのか、計り知れないんですよ」。続いて話題は黒澤映画の影響を受けた上での宮藤さんの創作について。黒澤作品に限らず、過去の様々な作品から多大なる影響を受けてきたという宮藤さん。これまで手がけてきた舞台、ドラマや映画においても“オマージュ”と見受けられる部分も多々あるが、宮藤さんは、他人の技術や手法をどのように自らの作品に取り込んでいくのか?「僕は結構、すぐやっちゃいます(笑)。見えるところ、見えないところ含めて。いま、自分が好きなもの、世の中でどうのっていう以前に、自分の中で勝手に気になっているものを入れることもあるし、それこそ『どですかでん』のようにずっと好きなものを入れちゃうときもあるし。正直、周囲が知ってるか知らないかも関係ない。少しでも周囲を気にすると、大抵は失敗するんです。演出のときも、『どですかでん』のあの感じでお願いします、っていうのはわりとすぐ言っちゃうんですよ。あと、多いのは『爆裂都市 BURST CITY』。そこで『ゴッドファーザー』みたいに、とか言えればいいんですけどね(苦笑)。最近、怖いのは自分で気づかずに自分の作品をマネしてることがあるとき。それ『マンハッタンラブストーリー』のあれだよね?とか、それって『キャッツアイ』のあれだねとか言われて『あぁ、それもうやってたね。どうりで面白いと思った』って(笑)」。余談だが、宮藤さんの脚本・演出による刑事ドラマ「うぬぼれ刑事」がまもなくスタートするが、これまで、いろんなメディアでビートたけし主演の刑事ドラマ「刑事ヨロシク」への愛を訴えてきた宮藤さん。もしかしたら随所にオマージュも…?オマージュという言葉が出てきたところでもう一問。監督としてであれ、脚本家としてであれ、もしも好きな黒澤作品を自身の解釈でもう一度作り直せるとしたら?「リメイクは相当、難しいですよね、そのまま作るにしろ、思い切り変えるにしろ。『隠し砦の三悪人』を『スター・ウォーズ』に変換したというのがすごいし(※『スター・ウォーズ』はこの作品を元に着想されており、アンドロイドのC-3POとR2-D2のコンビも本作の人物をモチーフにしている)、『用心棒』に自分の解釈を入れて西部劇にした(※セルジオ・レオーネ監督『荒野の用心棒』)っていうのが凄まじいことですよね。自分でやるなら、全く違うエピソードで『どですかでん』作ってみるのとかはいいかも。(オリジナル同様に)“どですかでん”って言ってる登場人物はいるけど、全く別の話とかね。やっぱり黒澤映画は好きな人が多いだけに難しい。僕にとってはせいぜい飲み屋の話題で“いま、『七人の侍』やるなら誰で作るか”とかで…(笑)」。1998年に黒澤監督が亡くなったとき、宮藤さんは「もう、芝居の仕事はしてましたね」という。さらに「亡くなられたってことも驚きましたが、88歳という年齢にもびっくりしたのを覚えています」とも。黒澤監督をはじめ、この世代の“巨匠”たちのバイタリティに改めて感服したようにこう続ける。「新藤兼人さんとかもすごいですよね。僕、新人監督として“新藤兼人賞”いただいて、授賞式でお会いしたんですが、そのときで90歳は超えてらして、挨拶で『映画の95%は脚本です!』っておっしゃってました。(一昨年、亡くなった)市川崑監督も、すごい量のタバコ吸ってて、でも九十幾つまで映画撮り続けて。すごいですよね」。映画の話が続くうちに、“監督”としての本性、映画を撮りたいという願望がどうにも隠せずにニョッキリと顔を出してきたようだが…。「いや、やりたいとは言ってるんですけどね。もちろん、それだけじゃやらしてもらえない。『じゃあ書いてください』と。当然ですね(笑)。まぁ多分、自分で書くんだと思いますが」。飄々というか、ノラリクラリと言うべきか…。とは言え、最近観たというある映画を引き合いにこんな言葉も。「韓国の『息もできない』っていう映画がすごい面白くて。元々、監督ではなく役者さんが、どうしてもやりたいっていうことで始めて、途中でお金がなくなって、家を売ったりして作ったと。そういう話は観た後に聞いたんですけど、やっぱり強い思いによって撮られた映画っていうのはそれだけすごいパワーがあるんだなと思った。だからって家は売らないですけど(笑)。そういう人がドーンってああいう傑作を作っちゃうわけで、僕みたいに『次どうする?』ってを考えてること自体が不純なのかな、とも思って。『あ、これ映画になるんじゃないか?』っていう感じが早く来ないかな、と思って待ってます。なかなかそれが来ないんですが(笑)」。(photo:Ryusuke Suzuki)「メモリーズ 我が心の黒澤明」は日本映画専門チャンネルにて放送。※初回放送は7月3日(土)15:40〜日本映画専門チャンネル公式サイト■関連作品:少年メリケンサック 2009年2月14日より全国にて公開© 2009「少年メリケンサック」製作委員会■関連記事:国内賞レースも本格化『ヴィヨンの妻』『沈まぬ太陽』など日本アカデミー賞最多受賞DVD発売記念クドカン&「少年メリケンサック」メンバーから特別メッセージ到着!ユースケ、宮崎あおいの「胸の感触が忘れられない」主役を差し置きまたも独壇場宮藤官九郎の衝動!「子供以下のおっさん見て、若い人がどう思うか興味ありますね」クドカン、宮崎あおいからのチョコにほのかな期待「もらえなかったら悲しい…」
2010年07月02日