上司や顧客を怒らせてしまった……。そんな状況になるのは避けたいところですが、ビジネスにミスやトラブルはつきものです。まずい対応で火に油を注がないよう、「怒っている相手にしてはいけない言動」について、ビジネスコミュニケーション講師の大嶋利佳さんにお話を伺いました。■ついしてしまいがちな3つのNG大嶋先生は、まず、「怒っている相手に対し、してはいけないことがある」と次の3つを挙げます。1.相手の言うことを否定する2.とにかく何度も謝る3.早く話を終えようとするそれぞれについて具体例を挙げて説明していただきましょう。<シーン例>顧客からの注文商品の個数を間違って送付してしまった。しかも、二度目のミス。先方からは、「また違うじゃないか!何やってるんだ!」と怒りの連絡が……。1.相手の言うことを否定する怒っている相手の言葉に対して「それは違う」、「そんなはずはない」などと否定したくなることもありますが、誰でも否定されるとますます腹が立つものです。上手に受け答えをしましょう。NG例「そんなことないですよ。確認はしています」OK例「確認はしておりますが、行き届かなかったようで申し訳ありません」言いたいことがあれば対立しないように、相手の気持ちを尊重しながら述べます。2.とにかく何度も謝る「こちらが悪いのだから誠意を持って謝らなければ」という気持ちは大切です。ですが、謝ってばかりでは「すみませんと言えば済むと思っているのか」、「口先だけでしのごうとしている」という印象を与えます。NG例「すみません、すみません」OK例「こちらの確認不足です」、「まったくお恥ずかしい限りです」謝罪の言葉以外で気持ちを伝えましょう。3.早く話を終えようとするこちらは「迅速に対処、解決しよう」というつもりでも、相手には、「面倒だからさっさと処理しようと思っているのだろう」、「ろくに話を聞いてくれない」との不満を持たれます。まず相手の不満をしっかり聞きましょう。NG例「すぐに不足分をお送りします」OK例「本当にご迷惑をおかけしました」解決策を出すのは相手の怒りが収まってからにします。■メールでの謝罪文は、フォーマルな表現に次に「怒っている上司にメールで謝罪する場合」について教えていただきます。「基本的には、言い訳を書かずに謝罪するようにします。やむを得ない理由がある場合は、反省を込めて言い訳がましくならないようにしましょう」(大嶋先生)NG例「電車が事故で遅れていまして、お約束の時間に間に合いませんでした。申し訳ありません」OK例「お約束の時間に間に合わず、お待たせして申し訳ございませんでした」NG例「パソコンに不具合があり、データが消えてしまったために確認ができませんでした」OK例「データによる確認ができませんでした。これは不具合でデータが消えてしまったためです。バックアップを取るべきだったと反省しております」また、「口頭で謝罪する場合よりも、フォーマルな文章にすることがポイント」(大嶋先生)とのことです。NG例「またミスをしてしまって、どうもすみませんでした」OK例「二度もミスをしてしまい、心よりおわびします」最後に大嶋先生は、こうアドバイスします。「普段よく顔を合わせる上司だからと言って口語的な書き方では真剣さは伝わりません。『わざわざ文書でわびた』というフォーマル感を出しましょう」面談でもメールでも、ちょっとした工夫で相手の気持ちを和らげることができます。まずい応対でますます怒られることがないようにしたいものです。監修:大嶋利佳氏。『営業のあなた、これだけは知りなさい』(河出書房新社)、『The Business Mail メール力』(産業能率大学)など30冊以上のビジネス書を刊行、最新刊は『ビジネス電話のマナー&技術』(同)。本を書きたい人のための『出版実現講座』(通信制)も主宰している。岩田なつき/ユンブル)
2012年05月31日なるべく怒られずに生きていきたいと思うのが世の常、人の常です。けど、生きていれば、誰かに怒られるシーンが必ずやってきます。そんなとき、自分に非があれば、まだ折り合いは付けられます。しかし、自分に非がない場合、言うなれば「理不尽な場合」にはとうてい納得などできません。理不尽にストレスがたまるばかりです。「STOP THE 理不尽!」そんなポスターをはりまくりたいほど、理不尽な怒りは、私たちのすぐ側にあるのです。カフェで働く25歳の女性は、お客さまからこんな理不尽な怒られ方をしたそうです。~~~~■うるさい!と何度も言われたあげく……私が働いているカフェに、あるカップルが来店したときのことです。見た目は20代後半のフツーのカップル。注文を取りにテーブルへ行くと、女性から「店内の音楽がうるさい」と言われました。それほど大きいとは思いませんでしたが、一応音量を下げました。しばらくすると、またその女性から呼ばれました。今度は「店員が調理場にオーダーを通す声がうるさい」と言うのです。それほど声を張り上げているつもりはなかったので、「うるさいですか?」と聞くと、「そんな顔のくせに、よく言えるわね!」と一喝。今度は何の脈絡もなく私の顔について泣きながらクレームを述べ始めました。連れの男性からも「泣かせやがって!」と、さらに納得できない怒られ方をしました。結局、店長を呼んで対応してもらったのですが、終始意味がまったく分からず、かなりストレスがたまりました。~~~~お客さまからの理不尽なクレーム。接客業をされている方は一度や二度は必ず経験があるのではないでしょうか。最初から圧倒的優位に立つお客さまからの理不尽攻撃をかわすのは至難の業です。この女性のように、上の人間を呼んで対処してもらうのが賢明らかもしれません。続いては、上司から理不尽に怒られた23歳のデパ地下店員(男性)です。~~~~■うまいものはカロリーが高いんだよ!と怒られ……入社1年目のデパ地下の食料品売り場で、上司に当たるEさん(35歳)に品だしのやりかたを教えてもらっていたときのことです。カップめんの新商品が届いたということで、棚に陳列していました。そのカップめんが「濃厚バター肉みそ」という味付けのラーメンだったので、何気なくEさんに「確かにおいしそうですけど、これは食べたら太りそうですよねー」と言うと、普段は温和なEさんが「当たり前だろ!うまいものはカロリーが高いんだよ!とんかつ、焼き肉、みんなそうだろ!」と怒鳴られました。確かにEさんはちょっと丸い体形でしたが、僕はけっしてそんな皮肉として言ったつもりではありませんでした……。Eさんとはしばらく気まずいままでした。~~~~上司という生き物はどこにスイッチがあるのか、どうすればそのスイッチが入ってしまうのか。それを熟知するまでは、理不尽な怒りに付き合わなければなりません。新人の方は早くスイッチを見つけてください。それさえ見つかればなんとかなります。そして、友人から理不尽な怒りをぶつけられるパターンもあったりします。ミュージシャンを目指す26歳のある男性が、友人の結婚式の二次会に出席したときのことです。~~~~■これから良いこと言うから聞けや!とドヤ顔で言われ……就職をせずに音楽活動を続けている私は二次会の余興として新郎新婦のためにオリジナルの歌を一曲歌いました。列席者から大きな拍手をもらい、新郎新婦も喜んでくれました。意気揚々と席に戻ると、同じく二次会に呼ばれていた大学時代の友人Sが近づいて来ました。酔っているのか、足元は相当フラフラしています。学生のころ、Sは私と同じバンドで音楽をやっていましたが、卒業と同時に音楽の道をあきらめて公務員になっていました。会社の愚痴でも聞かされるのかと思っていると、今歌った自分の歌に対して批判を始めたのです。加速していく酔いに任せた根拠のない批判&説教タイム。内心、相当ムカつきましたが、反論することなく聞いていると、最後の最後、「おれ、これから良いこと言うから聞けや!」と言わんばかりのドヤ顔でこう言いました。「でっかいことしたけりゃさ……でっかいことしなきゃダメだよ。」Sよ、何も思い付かなかったんだね。それを聞いたら急に脱力してしまい、許すことができました。~~~~友人からの理不尽な怒りは、あまり気にしなくても良さそうです。理不尽なことを言う友人はだいたい酔っぱらっているからです。もしもしらふで理不尽な怒りをぶつけてくる友人がいたら、それはきっとあなたにとっての友人ではありません。世の中には、さまざまな理不尽があります。そんな理不尽な怒りに真正面から理屈で対抗することはあまり得策ではありません。私たちが気を付けるべきことは、人から受けた理不尽な怒りを自分が連鎖させないことです。理不尽は理不尽を生みます。どうか強い精神力で理不尽を飲み込んで、「なかったこと」にしてください。あまりにも理不尽が続くようであれば、その環境に見切りを付けることも大切です。理不尽がこの世から根絶することを祈りましょう。(フルタジュン/劇団フルタ丸×プレスラボ)【関連リンク】【口コミ】あいた口がふさがらない理不尽なクレーム【Q&A】必ず無理やりに説教してくる理不尽な先輩【コラム】ゆうきゆうの仕事の悩みクリニック「理不尽な注意をしてくる上司」
2010年11月09日