ウルワツの波に乗る著者極上の波を求め、バリ島に初めて降り立ったのが10年前。それから何度バリを訪れただろか。最初はバリ屈指の繁華街、クタに宿をとりバイクでいろいろなポイントへと通っていた。いつしかお気に入りのポイントができ、そこに滞在するようになった。世界的に有名なレフトの波が立つ「ウルワツ・ポイント」だ。上から見たウルワツの波 (筆者撮影)ウルワツは2-3feet(日本でいう腰~腹サイズ)のコンパクトなサイズから、8-10feet(トリプルオーバーサイズ)以上までホールドする。すなわち、ファンな小波サイズから、ビッグなモンスターウェイブまでサーフィンできてしまうのだ。ひとたびモンスターウェイブが現れると、世界中のサーファーがその腕を試しにウルワツへと集まってくる。ウルワツの波(筆者撮影)5−7feetの波(筆者撮影)必死でドルフィンするサーファー(筆者撮影)初めて味わう、世界のウルワツ2014年、ある日のことである。その日のウルワツには5-6feet(頭半~ダブルオーバーサイズ)の波がたっていた。モンスターとまではいわないが、そこそこサイズのある波。夜が明ける前の薄暗い中、待ちきれないとばかりに数人のサーファーが沖へとパドルアウトしていく。いい波が立つと混雑必須であるウルワツの波を、いち早くゲットするためである。私も髪を一本に束ね、サーファーたちに続く。波が大きい時、私は髪を強く結わいて、気合いを入れるのである。ウルワツのエントリーである洞窟を抜けたら、そこからは川のように速い潮の流れと、襲ってくる大きな波、そして自分との戦いである。ここから先は誰も助けてくれない。アウト(沖)に出るのに20~30分近くかけ、100回近くのドルフィンスルー(ボードを沈めて波の下をくぐり抜ける技)が必要なときもある。この日はそこまでの状況ではなく、わりとあっさりとアウトに出ることができた。呼吸を整え、はやる気持ちを落ち着かせ、世界トップレベルの極上ウェーブに挑む。アウトからメラメラと育ってくるセットの波に、自分の位置を合わせていく。そして壁のように大きな波を一気にテイクオフ。サーファーが一番幸せを感じる瞬間であろう。この日は何本か記憶に残るいい波に乗ることができた。『この波で上がろう』と決めて選んだ、今日一番大きい波。ダブルオーバー(大人2人分超え)くらいのサイズの波であった。ピークから一気にテイクオフ。ボトムターンをしたところで、波が巻きあがり“チューブ”と呼ばれる水のトンネルを作る。ボードの速度を合わせ、そのチューブに入る……私が一番好きな波であり、心地のよいドキドキとした恐怖を感じ、そしてチェレンジングになる瞬間。……が、その次の瞬間、私は洗濯機の中にいるような状況に陥った。チューブの波を抜けられず、波に飲み込まれたのである。そしてさらに不運なことに、ボードと自分をつなぐ命綱ともいえるリーシュコードが切れてしまった。ボードはあっという間に流され、私自身も強いカレントに流されていく。そのカレントといったらまるで川のような速さの流れなのである。ウルワツの周囲は断崖絶壁で、流されたときには数十分以上の超ロングパドルを覚悟して洞窟に戻るか、500m以上離れたトーマスビーチまで泳ぎ上がるか、だ。必死に泳ぐが、その努力もむなしく一気に流されていく。急に大きな恐怖に襲われた。初めて感じる“死”の恐怖。そのときだ。一人のライフガードが私を救出しに来てくれた。私はライフガードのお陰で、無事に岸までたどり着くことができた。ここは「世界のウルワツ」である。『リーシュの管理もできずに、流されるなんて!自分の力量を理解しなさい』と罵倒されることを覚悟した。そしてそのライフガードがこう言ったのだ。 『また明日ウルワツで会おうね!』これでウルワツを諦めちゃだめだよ。ちゃんとウルワツに戻ってくるように、 と言ってくれているようで嬉しかった。ボードは失ってしまったけど、何か大きなものをもらった気がした。そして今年もウルワツの大波にチャレンジするのである。ウルワツの入り口世界中のサーファーがしのぎを削る(筆者撮影)ウルワツの波に挑むサーファー(筆者撮影)ウルワツの波に挑む著者ウルワツの波に乗る著者ウルワツの安全はライフガードによって守られている(Photo & text: 響子)サーフィンコラム「インドネシアの波に魅せられて……」その他の記事を読む>
2015年07月29日年齢を重ねていくと記憶力が低下して、物忘れがひどくなるんじゃないかと不安を感じている人もいるのではないでしょうか。物忘れを防ぐにはシータ波という脳波が良いといわれているのだとか。シータ波は、睡眠に関係しているという説があるそうです。記憶力の維持には睡眠が大切?睡眠は、身体の疲れを取るためのものだとお考えではありませんか?実は、睡眠は身体だけでなく、脳の疲れも緩和させる効果があるのだそうです。甲南大学の前田多章准教授によると、睡眠は記憶力に大きな影響を与えるそうです。なんでも、良質な睡眠には脳の中の情報を整理する効果があるのだとか。なお、浅い眠りのレム睡眠状態の間、脳波の中心はシータ波になっています。十分に睡眠を確保している方は、シータ波が出ている時間が長いため、若いときのような記憶力をキープできるかもしれません。シータ波と睡眠の関係性記憶力に大きく関係するといわれるシータ波ですが、そもそも、どのような脳波なのでしょうか。ここからは、シータ波の特徴について見てみましょう。人は「見よう」「覚えよう」という意欲が高いとき、シータ波が出ているのだとか。何事にも興味を示し行動すると、脳の働きのマンネリ化を防ぐことにもつながります。そのため、好きなことに熱中できる人は、ボケにくいといわれています。物忘れ防止に貢献するのはレム睡眠。これは、夢を見ているときの睡眠状態なのですが、夢をよく見るという人はシータ波が十分に出ているのかもしれませんね。レム睡眠でシータ波を出して物忘れ知らず!高齢化社会に伴い、加齢による物忘れを心配する人は少なくないはず。そのためには、さまざまな物事に意欲的に取り組み、熱中することが大切だといわれています。ただし、物事に取り組む姿勢だけではなく、睡眠習慣の改善も大切です。心地よい睡眠状態であればレム睡眠とノンレム睡眠のバランスが良くなり、シータ波の出現も多いかも知れません。頭のなかのアンチエイジングにも、きちんと取り組みたいというあなた。良い睡眠状態をキープして物忘れを予防しましょう。Photo by Slava Petrakina
2015年04月20日橋本愛と蒼波純がW主演を務める松居大悟監督の新作『ワンダフルワールドエンド』の先行上映が11月17日(月)に下北沢駅前劇場で行われる。本作は、松居監督がメガホンを執り、橋本と蒼波が出演したミュージシャン、大森靖子のミュージック・ビデオ『ミッドナイト清純異性交遊』と『君と映画』に、新たな撮り下ろし映像と大森の新曲を追加し、映画として再編集したもの。橋本、蒼波のほか映画監督の利重剛と町田マリーらが出演している。先行上映は11月17日(月)に下北沢駅前劇場で開催され、松居監督が登壇する。チケットは発売中。また下北沢駅前劇場では、松居監督が主宰を務める劇団ゴジゲンの新作公演『ごきげんさマイポレンド』が11月13日(木)から23日(日)まで上演される。(※先行上映の行われる17日は休演日)『ワンダフルワールドエンド』先行上映11月17日(月)会場:下北沢駅前劇場開場18:30/開映19:00登壇者(予定):松居大悟監督ほか料金:1800円(税込)チケット:発売中
2014年10月24日作・演出の藤原文翁が2009年にスタートさせた、新感覚・音楽朗読劇「SOUND THEATRE」。その新作『eclipse』に、声優の寿美菜子と豊崎愛生が初参加する。そこで藤原含めた3人に、本作への思いを訊いた。SOUND THEATRE 『eclipse』チケット情報「SOUND THEATRE」が“新感覚”と称されるのはなぜか。すると藤沢は、ふたつの理由を挙げる。「まず僕たちは“音楽”をすごく大事にしています。これほど完全にストーリーと演出と音楽が融合している朗読劇は、ほかにはなかなかない。またSOUND THEATREでは、“聴く”とか“観る”ではなく、“体感”という表現を使っています。そしてお客さんそれぞれに、自分だけの舞台を持って帰って欲しい。その人たちだけの宝物をつくる、そんな余地のある舞台をつくりたいと思っているんです」。また藤沢が「世界トップクラスの文化であり、そのスキルを最大限に生かしたい」と語るのが、声優の存在。寿と豊崎は声優界の中でも特に人気の高いふたりだが、今回任されたのはWキャスト。その点について寿は、「逆に相手が愛生ちゃんで安心しました」とひと言。豊崎も「やっぱり一番好きで、魅力的だと思っているのは、自分がやらせていただくキャラクター。それを他でもない美菜ちゃんと共有出来るのは、とても楽しみです」と続ける。本作では、歌舞伎『蘆屋道満大内鑑』と能『殺生石』をベースに、安倍清明と“鬼”について描かれる。その中で寿と豊崎が演じるのは、藤沢によるオリジナルキャラクター・朱華(はねず)。すでに台本を読んだというふたりだが、あまり内容については話し合っていないらしい。というのも、「あまり先入観を持って、共通したキャラクター像をつくり出さない方がいいんじゃないかなと思って」とは豊崎。寿も「たぶん読み方次第、受け取り方次第で、何通りもの朱華がいるはず。だからそこまでの過程は知らずに、むしろ出来上がったものをお互いに観たいなと思います」と明かす。Wキャストというのは、藤沢にとっても新しい試み。「きっと性質の違うふたりがWキャストをやることで、他の方々の芝居も変わっていくと思うんです」と期待感を表すと、「共演者の皆さんとかけ合う中で、自分の答えも見つかると思います」と寿。その一方豊崎は、「私は匂いとか色、思い出とかから役を引っ張るタイプかな」と、寿とは違う、感覚派な一面を見せる。まったく異なるふたりが演じる、ふたつのキャラクター。劇場でその違いを見比べる、いや感じ比べてみてはいかがだろうか。公演は9月23日(火・祝)から29日(月)まで東京・シアタークリエにて。チケット発売中。取材・文:野上瑠美子
2014年09月22日波乃久里子が主演する初春新派公演『明治一代女』が1月2日(木)に開幕する。出演は波乃をはじめ、水谷八重子、市川春猿、佐藤B作。初春新派公演『明治一代女』チケット情報『明治一代女』は昭和10年に初演した川口松太郎の作品。花柳章太郎、水谷八重子(初代)らの名優が演じてきた新派の代表作だ。将来を誓い合う柳橋芸者の叶家 お梅(波乃久里子)と人気役者の沢村仙枝(市川春猿)。お梅への嫉妬に狂う芸者秀の家 秀吉、お梅を恋慕う箱家 巳之吉(佐藤B作)。かれら4人の男女の愛と情念を描いていく。15年ぶり3度となるお梅役の波乃。先月行われた会見では「15年ぶりとは思いませんでしたが、水谷八重子(初代)先生の形を踏襲しながら、新しい息吹を吹き込むことができたら」とコメント。共演する3人は「秀吉というのはちょっとしか出番はないが、敵役の中に悲しいストーリーが凝縮して入っている。短い間にどれだけ表現できるか。それが来年初めの私の冒険です」(水谷)、「立ち役をやることが少ないので、どこまでつとまるかわからないが気持ちを大事にして演じていきたい」(春猿)、「巳之吉は(自分と同じ)地方出身者。そこをよりどころに芝居を頑張りたい」(佐藤B作)とそれぞれ意気込みを話している。公演は1月2日(木)から26日(日)まで東京・三越劇場にて。チケット発売中。
2013年12月26日