NTTドコモと韓国・SYSTRAN INTERNATIONAL、フュートレックの3社は9月29日、翻訳技術の開発とサービス提供を行なう合弁会社「株式会社みらい翻訳」の合弁契約を締結したと発表した。3社は新会社に社員を派遣し、10月に会社設立を行なう。ドコモでは、東京オリンピックが行なわれる2020年までに、外国人の来日が増えるほか、経済のグローバル化などによる企業の海外展開、海外渡航が増えるなどの翻訳需要が増加すると見込んでいる。また、機械翻訳技術も発展しつつあり、スマートフォン向けの翻訳アプリを活用した外国人との簡単なコミュニケーションや翻訳ソフトウェアを利用したWebサイトやビジネス文書などの簡易な翻訳も拡がっており、こうした経緯から新会社の設立に至ったという。ドコモでは、「はなして翻訳」のサービス提供実績がある一方で、SYSTRANは翻訳ソフトウェア業界大手、フュートレックは音声認識・翻訳システムの開発に豊富な実績を持つため、共同で合弁会社を設立することとなった。当初は、日本語を軸とした"言語バリアフリーの世界"を実現することを目的としており、英語や中国語、韓国語だけではなく、ベトナム語、タイ語、インドネシア語といったアジア言語も対象に、翻訳ソフトウェア、サービスを提供していく。合弁会社の出資比率はドコモが51.0%、SYSTRANが30.0%、フュートレックが19.0%で、資本金は9億9000万円。代表取締役社長には栄藤 稔氏が就任し、従業員数は15名程度を予定している。なお、技術エンジニアの募集を今後行なう予定で、体制の充実を早期に図るとしている。サービスの中心となる「みらい翻訳」は、情報通信研究機構(NICT)の多言語翻訳エンジンと日本電信電話(NTT)の日本語解析処理に基づいた機械翻訳技術をあわせて活用し、「世界最高レベルの機械翻訳精度を目指す」(ドコモ)という。なお、この事業会社は、法人顧客に対して直接、社内文書翻訳ソリューションやオンプレミスなソフトウェアを提供するほか、コンシューマー向けにサービスを提供する企業については、翻訳APIを活用したサービスの提供が可能となるB2B2Cのビジネスモデルを計画している。
2014年09月29日翻訳のお仕事というのは実際にはどんなものでしょうか。また、どうやって始めればいいものでしょうか。翻訳仕事のもろもろについて、翻訳家の金井哲夫さんにお話を伺いました。金井さんは漫画やイラストを描いても面白いという才人であります。――金井さんが翻訳の仕事を始めたのはいつからですか?金井さん僕が大学生だった時ですね。英文科の学生だったんだけど、当時コンピューター情報誌の『ログイン』という雑誌があって、そこから英語の記事を訳してくださいって頼まれたのがそもそもの始まり。英語の雑誌のコラム記事やニュース記事を訳していました。そのうち編集部に入らないかって話になって、編集者としてログイン編集部に入ったのね。編集部では英米の情報担当でした。――金井さんの記事は面白かったですねえ。金井さんありがとうございます(笑)。でも、このまま編集者の仕事をやってるのはとても続かないってことで編集部を辞めてね。体力的にきつかった、編集者の仕事は。それでフリーになったんですよ。海外からのゲームのマニュアルは随分翻訳しましたよ。――ゲームを主にやってらしたんですね。金井さん『ウルティマ』シリーズは2からはずっと僕がやったし、立ち上げのころの『ウルティマオンライン』、『ウォークラフト3』は僕が翻訳しましたよ。当時はゲームの黎明(れいめい)期でわかる人がほとんどいなかったからゲームの翻訳は本当にたくさんやりました。大分経ってからだけど、富士通さんがFMタウンズというパソコンを出した時には、海外から移植されたゲームが大挙してリリースされてね。例えばFMタウンズ版の『SimCity』のマニュアルは僕が翻訳しましたよ。先に出ていたPC-98版のSimCityのマニュアルがひどくてねえ。ひどい訳だった。――ほかにはどんなゲームの翻訳をされましたか?金井さん当時は海外からの移植ゲームが花盛りの時代だったんで、メーカーでいうと、EIDOSさん、ローカスさん、ビクター音楽産業さん、ポニーキャニオンさん、EAさん、カプコンさん、随分使っていただきましたね。『トゥームレイダー』は僕が翻訳しましたよ。EAのSimシリーズでもいろいろやらせていただきました。――今もゲームの仕事が多いんですか?金井さん今はさっぱり(笑)。昔は攻略本を書きながらマニュアルの翻訳したりなんてこともやったけどね。――金井さんは随分特殊な例かもしれませんが、翻訳の仕事をしたい人ってどうやって仕事をとればいいんでしょうか。金井さんそうですね、翻訳会社っていうのがあって、そこに所属して仕事をしてる人もたくさんいますよね。――翻訳会社というのはどんなものですか?金井さん僕も一回だけ仕事したことあるんだけど、まずテストがあってそれに合格すると、そこから仕事がもらえるようになるんですよ。英語ができる主婦の人とかが副業でやってたりとか、アルバイト感覚で仕事できるんですね。――翻訳会社っていうのはたくさんあるものですか?金井さん無数にありますね。でもギャラが安いんですよ。英語の翻訳の仕事って通常は1語いくらっていう取り決めでやります。普通は1語10円とかなんだけど、僕が経験した翻訳会社では1語8円とか、ひどいところになると1語3円なんてのもあります。しかも機械的に「これをいついつまでにやってね」みたいに仕事が来るので、あまりクリエイティブにやろうっていう感じにはなりにくいんだよね。――金井さんは、その翻訳会社の仕事は結構やったのですか?金井さん安いし、ノれないんでスグ辞めちゃった(笑)。――小説とかはおやりにならないんですか?金井さん昔、あるミステリーをたくさん出してる出版社さんに聞いたことあるんだけど、これもギャラがあんまり良くないのよね(笑)。通常翻訳印税ってことでギャラが支払われるんだけど、その場合は○%×部数っていうギャラでしょ。これがあまり良くないの。ハリー・ポッターみたいなのになればまた別だけど。――そういった小説などの翻訳の仕事をしたい人ってどうすればいいんでしょうか。金井さんやっぱり誰かのお弟子さんから始めるとか、編集部にコネ作るとか、そういう努力が必要でしょうね。ある意味特殊な業界なので。――金井さんが今メインに手掛けている仕事はどんなものなんでしょうか?金井さん僕は、海外ゲームとかの翻訳をずっとやってきたので、その流れでアプリケーションのマニュアルとか多いですね。例えば3Dソフトで『modo』っていうのがあるんだけど、これは僕も参加しています。*……『modo』は非常に高機能な3D CGソフト。多くのCGスタジオで採用されている。――マニュアルを作るのは結構面倒な作業だと思うんですが……。金井さんもちろん英語版のマニュアルを元に訳すんだけど、アメリカのプログラマーやデザイナーと「ここはこう説明した方がいいよね」なんて言いながら作業しているので、機械的に翻訳してるんじゃなくて楽しいんですよ。クリエイティブな翻訳なんで、とてもいい仕事をさせてもらっていると思います。――翻訳の作業で心掛けている点を教えてください。金井さんちゃんとした日本語にすることですね。英語力よりもむしろ日本語力が必要とされる仕事なんですよ。仕上がったものが自然な日本語になっていること、これはとても重要なことです。日本語で文章が書けない人が訳すとおかしなものになっちゃうので。――詩人の谷川俊太郎さんが訳した『ピーナッツ』(スヌーピーの漫画)なんかはとても面白いですもんね。金井さんそうそう。ああいう語彙(ごい)が豊富で、表現もうまくて、日本語に長じた人が翻訳するととてもいいものに上がるよね。英語がわかるだけだといい翻訳にはならないんじゃないかなあ。僕はそう思っていますね。(高橋モータース@dcp)金井哲夫さんのサイト『(有)スカイロケット』
2012年10月20日山本耕史が演出、翻訳、訳詞と主演を務めるミュージカル『チック、チック...ブーン!』の制作発表が8月21日都内で行われ、山本と共演のジェロ、すみれが登壇した。「チック、チック...ブーン!」 チケット情報本作は、社会現象とまでいわれた大ヒットミュージカル『RENT』の作者、ジョナサン・ラーソンが35歳の若さでこの世を去る前に遺したもうひとつのミュージカル。ニューヨークで貧乏暮らしをしていた30歳目前のジョナサン自身を主人公に、アーティストとしての葛藤や挫折を描き、ポップで躍動感あふれるロックと美しいバラードで構成される作品。今年35歳になった山本がジョナサン役を務め、演歌歌手として活躍しているジェロが彼の親友マイケルを、ミュージカル初出演のすみれがジョナサンの恋人・スーザンを演じる。2003年と2006年にもジョナサン役を演じている山本は「35歳でこの作品に携れるのは運命的なものを感じます」と話し、「心情的には30歳の時にやった時のリアリティには勝てないかもしれませんが、当時の自分はとても満たされていたと思う。この作品に出会って、葛藤というより喜びや期待が大きかった。今回は(4役を担当するので)背負うものも多く、『チック、チック...ブーン! 』の中のジョナサンには今のほうが近いと思っています。素晴らしいふたりに力を借りて、自分の見たい、見せたいものを具現化したいと思います」と抱負を語った。すみれは「才能のあるふたりと一緒に出させてもらって(私で)大丈夫かと思いますが、耕史さんは(演出するときも)俳優としての自分の気持ちも理解してくれて、安心して臨めます。日本に帰ってきて1年しか経っていないので日本語が難しいところもありますけど、ふたりに助けてもらって日本語のせりふも歌も頑張りたい」と意気込んだ。日本でのミュージカル出演は2回目となるジェロは「またミュージカルに挑戦したいと思っていたら嬉しいことに声をかけてもらいました。5歳から演歌を歌ってきて、ロックミュージカルはさっぱりわからへんジャンルなんですけれど、精一杯がんばっていきたい」とコメントした。山本はジョナサンの曲の魅力を「押し付けがましくないところ」と語り、「聴いていると、荒削りだけれどエネルギーと情熱が溢れていて共感できる。この作品の魅力はシンプルだからこそ見えるものが明確なんだと思う。正直、ミュージカルは苦手な意識があるが、自分がやるからには何か残るものを作りたい」と意欲をみせた。公演は9月13日(木)から30日(日)まで、東京・あうるすぽっとにて、10月11日(木)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。チケットは発売中。
2012年08月21日クロスランゲージは23日、人的翻訳を24時間365日提供する受託翻訳サービス「365翻訳」で、後払い決済が可能な「365翻訳法人向けサービス」を開始した。同サービスは1カ月間のサービス利用料金を、月末締め/翌月払いで決済。一般の企業向けには、1カ月上限30万円までの利用枠を設定し、同サービスにログインするだけで何度でも翻訳依頼ができるという。利用できるのは、日本国内で法人登記し、営業活動中の会社(法人)のみ。申し込みから利用開始までには、同社の営業時間をのぞき、最長1営業日が必要だという。申し込みには審査があるとのこと。同サービスは、ネットプロテクションズが提供する「企業間決済システム」との提携により実現した。サービス利用料金は、ネットプロテクションズが請求書および支払いの手続きを代行する。また、上場企業、官公庁、学校/社団/財団法人向けには、複数のIDをまとめての請求や、ID個別での請求、利用上限枠設定(ID別に対応)など、利用形態に合わせた細かな要望に対応しているという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月24日日本が誇るポップカルチャー、マンガ。今や海外でもマンガブームだと言いますが、マンガを海外で出版するには、日本語のセリフを英語などに翻訳する必要があります。マンガの翻訳とは、一体どんな仕事なのでしょう。翻訳スクール「フェロー・アカデミー」にて、プロのマンガ翻訳家による公開講座を体験してきました。■アメリカのマンガ市場は少年マンガが中心講師は、米国留学、ソフトウェアエンジニアを経てマンガ翻訳家になり、今年で7年目という木村智子先生。「Tomo Kimura」という名前で翻訳されており、これまでに『スキップ・ビート!』、『NANA』、『黒執事』など、119冊のマンガの翻訳を手がけてきたそうです。まずは、アメリカのマンガ市場について解説がありました。へぇと思ったのは、日本では、少年マンガ、少女マンガのほか、青年マンガ、女性マンガなど幅広いジャンルのマンガが読まれていますが、アメリカでは、最初に出版されたのが少年マンガだったこともあり、現在でもマーケットの中心は『NARUTO』や『ONE PIECE』といった少年マンガだそうです。青年マンガ、女性マンガの市場はまだ広がっていないようで、例えば日本で大ヒットした『のだめカンタービレ』の英語版はヒットには至らず、巻の途中で出版が止まることもあるみたいです。■マンガ翻訳の演習。ガチャ、パシッなどの擬音は、どうやって訳す!?次は、いよいよマンガ翻訳の演習。マンガ翻訳の基本を説明した上で、事前に配布されていた課題(マンガ『黒執事』の中の数ページ)を、先生が一コマずつ英語に訳していってくれます。マンガを英語に翻訳する上での大きなポイントの一つが“擬音”の訳。マンガで多用される“ガチャ”、“バシッ”、“クル”といった擬音は、日本語に特有のもので、擬音の翻訳の仕方は出版社によって違うのですが、主に次の2つがあるそうです。・日本語の擬音をすべて英語に翻訳する場合。大抵の擬音は、英語では動詞になります。例)クル(振り向く音)→Fwipガチャ(ドアを開ける音)→Kachak・日本語の擬音はそのままにし、その擬音の近くの空白に、擬音の読み方と説明を挿入する場合例)クル→KURU(Fwip)ガチャ(ドアを開ける音)→GACHA(Kachak)■日本特有の敬語や文化をどう訳すかもポイントそのほか、日本語に特有の「さま」や「さん」といった敬称や「おそれながら……」といった敬語も特徴的で、状況やキャラクターに合わせて、例えば友達同士なら「さん」はとる、登場人物の関係性上どうしても必要なら「○○-sama」として最後に注釈を入れるなど、できる限り自然でリアルなセリフになるよう一つ一つ判断を下し、適切な英語に翻訳します。さらに、『黒執事』のような、19世紀のイギリスを舞台にした歴史物の場合、地名や歴史的な出来事を一つ一つ調べて確認しながら翻訳する必要があったり、神社でのお参りなど日本特有の文化・風習がマンガに登場する場合、翻訳家が英語で注釈を入れたりすることもあるそうです。マンガ好きにとっては夢のような仕事ですが、実際の作業内容を目の当たりにすると、細かい注意点がたくさんあってなかなか大変そう。英語力だけでなく、日本文化とアメリカ文化、両方に対する知識が必要とされる仕事です。■マンガ翻訳家の条件は「マンガが好きなこと」講座終了後、先生に、いくつか気になることを質問してみました。――アメリカにも、マンガ・アニメオタクの人たちが大勢いると聞きますが、日本のオタクとアメリカのオタクには何か違いが見られますか?「日本でマンガオタクと言うとちょっと恥ずかしいイメージがありますが、アメリカのオタクはもう少し明るくポジティブな気がします。例えば、アメリカで、いわゆるオタクの人が集まるイベントに行ったとき、みんながコスプレのまま堂々と会場の外に出て街を歩いたり、食事をしたりしていて驚きました」――マンガ翻訳の仕事は大変そうですが、先生のように続けていく秘訣(ひけつ)は?「この仕事をする人の第一の条件は、マンガが好きなことですね。作品に興味が持てないまま翻訳をしていても、編集者に見抜かれてしまいますし、最終的には読者にも伝わってしまいます。翻訳家自身が楽しみながら翻訳することが何より大切ですね」――マンガ翻訳家をしていて、得をしたことはありますか?「仕事上は、直接マンガ家の方に会う機会はないのですが、Twitterでコンタクトをとるうちにつながりができたり、イベントでお会いしたときに作品のマンガ翻訳をしていることを伝えると、サインをいただけたりすることも。一ファンとしても翻訳家としてもうれしい瞬間です」――ありがとうございました。アメリカを始めとした海外でのマンガ市場は、まだまだこれからも拡大しそうで、マンガ翻訳家の需要も高まりそうです。「マンガの知識、マンガへの愛には自信がある!」という人は、フェロー・アカデミーなどの翻訳学校で翻訳スキルを身に付けて、マンガ翻訳家を目指してみてもいいのではないでしょうか。(COBS ONLINE編集部)【関連リンク】翻訳学校「フェロー・アカデミー」で翻訳スキルを身につけてみる【コラム】ミステリー小説翻訳家に聞く、人を惹き付ける文章の秘訣とは?【コラム】きっと誰かに話したくなる、映画字幕の知られざる秘密とは?
2011年09月23日ユニクロや楽天の社内言語の英語化といったニュースは記憶に新しいですよね。世の中的に、高まりつつある英語化、英語熱の波。そんな中、翻訳スクールの人気もジワジワと高まっているそうです。ところで、そもそも翻訳って具体的に何をするんでしょうか。ということで、巷で噂の翻訳スクール「フェロー・アカデミー」で、体験授業を受けてきました。●事前課題を英訳、和訳しつつ授業は進むフェロー・アカデミーでは、入門/初級、中級、上級(ゼミ)といった具合にクラスが分かれており、今回体験したクラスは、中級の実務翻訳コース「ビジネス文書(契約・一般)」。このクラスでは、レターや契約書といった、ビジネス系文書の翻訳の方法を学びます。授業スタイルは、事前に配布された課題を、生徒が発表し、先生が解説するといった感じです。ちなみに、受講する生徒の方は、8割女性、2割男性と女性が多いです。学生風の人もいれば、20代のサラリーマン、実務をこなしていそうな30歳代後半のキャリア風美女もいらっしゃいました。●「believe」は信じる……ではない!?日本人の勘違いも合わせて教えてくれる授業がスタート。講師の森本先生は、直球の説明だけではなく、日本人が勘違いするポイントも合わせて教えてくれます。たとえば、「“believe”を“信じる”と訳していると思いますが、ビジネス文書では“~考える”、“~と思う”程度でbelieveを使っていいんです」とか「wrapとpack、同じ感覚で使ってしまうけど、荷物を包装するという場合はpackの方がいいわね」など。生きた英訳・和訳術がポンポンと先生の口から飛び出すたびに、「なるほど!」と感心してしまいました。●一石二鳥のビジネス知識も合わせて教えてくれる今回の課題は海外から航路でPC機器を受発注という設定だったため、契約、貿易、保険関係の単語も出てきましたが、英語の説明だけではなく、「債権は契約上の権利……」、「CIF保険っていうのは、他人のためにかけるかたちになる特殊な保険で……」など、ビジネス知識も合わせて教えてもらえました。先生曰く「ビジネス翻訳っていうのは、知識も知らないと訳すことができないから、合わせて教えるようにしています」とのこと。自分で勉強するのも必要だけど、翻訳もビジネス知識も教えてくれるって、一石二鳥ですよね。●結局、ビジネス英語は副業としていけるのか?授業も終了し、先生への質問タイムがあったので、いろいろと質問をしてみました。――先生、授業ありがとうございました。ところで、英語が苦手な人でも翻訳で稼げるようになりますかね?「大丈夫と言いたいところですが、高校卒業程度の基礎英語力は必要ですね。ただ、今回の授業「ビジネス文書」は、センスや表現力が大事なミステリーや映画字幕の翻訳よりも、フォーマッタブルなので、努力次第で誰でも稼げるようになります」――なるほど。あと、翻訳の需要ってどのくらいあるものなんでしょうか?「結論を言うと、今後ビジネスで使う翻訳需要は増えると思いますね。海外とのやり取りも年々増えてるし、企業の海外進出も増えてますし」――最後に、翻訳を身に付けるメリットをお願いします。「英語といえば、英会話がクローズアップされていますが、ビジネスシーンにおいては、正確な文法で文書が書けないとダメなんです。契約書や交渉の場でブロークンな言葉を喋っていたら、ちょっと引きますよね?それと同じです。あと、翻訳は英訳と和訳の両方のニーズがありますので、チャンスは2倍。身に付けていて損はないですね」――ありがとうございました。副業というよりも、まずはスキルアップや、結婚・出産後の女性のキャリアという意味で「翻訳」という能力を身に付けるのも悪くないというのが正直な感想です。ちなみに、「フェロー・アカデミー」では、会員制の翻訳者ネットワークも併設されていて、仕事に役立つ情報も入手できるそうです。センスというよりも努力が実を結ぶ「実務翻訳」。大学受験をコツコツ頑張った人、高卒程度の英語には自信がある人、英語力を身に付けたいけどおトクなのがいいという人など、門戸は広そうです。あと、6カ月~1年コースのほか、短期集中講座もあるので、お試しで受講してみるのもよいかもしれません。(藤本優子/エフスタイル)【関連リンク】【コラム】翻訳学校フェロー・アカデミー【コラム】ミステリー小説翻訳家に聞く、人を惹き付ける文章の秘訣とは?【コラム】きっと誰かに話したくなる、映画字幕の知られざる秘密とは?
2010年11月15日学生から大人まで、広く映画字幕翻訳の楽しさを伝える「字幕翻訳コンクール」(神田外語グループ・読売新聞社主催)の授賞式が11月3日(水・祝)、都内にて開催された。当日は審査委員長を務める、日本における映画字幕翻訳の先駆者、戸田奈津子と映画コメンテーターのLiLiCoを迎えて、映画業界の最前線にいる2人ならではのトークをはじめ、字幕翻訳のポイント講座が行われた。数多くの大物ハリウッドスターたちの通訳としても知られる戸田さんは、シルヴェスター・スタローンやクリント・イーストウッドらとの数々のエピソードと貴重な写真を披露し、会場を沸かせた。その中でも“いい男”と太鼓判を押すのがレオナルド・ディカプリオ。今年の来日時をふり返り「20年間ずっと見てますが、少年から別人のようになってて、成長したなとまざまざと感じた」と吐露した。一方、華麗な表舞台とは裏腹に、翻訳の現場では、何と映画1作に対して1週間というハードスケジュールの中で字幕翻訳をこなしているという戸田さん。「日本語は、10年前に使っていた言葉がいまは使われなかったり、新陳代謝が激しい言語なので、10年後も通じるかどうかも考えないといけない」と、日本語翻訳の難しさと奥深さを語った。今回の翻訳コンクールで課題作品となったのは、ジュリア・ロバーツ主演の『食べて、祈って、恋をして』。戸田さんが選んだ5つのシーンにオリジナルの日本語字幕をつけるという内容で、今年は過去最高の30,490件もの応募があり、海外からも100件以上の応募が寄せられた。昨年に続いてLiLiCoさんも翻訳にチャレンジしたが、この日は本人曰く“ホラーの時間”という、戸田さんによるチェックも。時に戸田さんから「どうしてこうなるの!?」との厳しいツッコミを受け、苦し紛れの言い訳も見せながら、LiLiCoさんは「日本語の美しさを感じました。もっともっと日本語を学びたいと思います!」とさらなる精進を誓っていた。そして、多数の応募作品の中から最優秀賞を受賞したのは、これが初めてのトライという大北晶子さん。戸田さんは「格言もちゃんと踏まえ、細かいところまで気を配っていたところに本当に関心しました」と称賛の言葉を贈った。受賞に大北さんは、「本当にびっくりして、何かの間違いじゃないかと思いました」と驚きを含みながらも「来年も応募します」と喜びと共に新たな決意を語った。昨今では、若い世代の“活字離れ”も叫ばれているが、戸田さんは「これがきっかけで映画を観て、語学に対する興味を持っていただいて、自分たちの国の言語である日本語、日本人としての誇りに接触する機会に貢献できていれば嬉しいです」と、期待と希望を込めて映画字幕を志す人々、さらに映画業界にエールを贈った。『食べて、祈って、恋をして』字幕翻訳コンクール特集『食べて、祈って、恋をして』字幕翻訳コンクール公式サイト■関連作品:食べて、祈って、恋をして 2010年9月17日よりTOHOシネマズ有楽座ほか全国にて公開■関連記事:ペネロペ、バルデムと共にお出かけで大きくなったお腹を披露ハビエル・バルデム、沈黙を破り、父親になる喜びを激白旅したいロケ地を投票!『食べて、祈って、恋をして』Tシャツを5名様プレゼント字幕翻訳コンクール開催記念!『食べて、祈って、恋をして』鑑賞券を20組40名様プレゼントジュリア・ロバーツが「コンニチハ!」ジャパン・プレミアの模様を動画でお届け
2010年11月06日海外のビジネス関連の書籍を日本語に翻訳したものを「ビジネス翻訳本」と呼ぶそうです。この「ビジネス翻訳本」、外国ならではの発想や考え方を知ることができると今注目を集めています。『ザグを探せ! 最強のブランドをつくるために 』(マーティ・ニューマイヤー著/実務教育出版)、『買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界』(マーティン・リンストローム/早川書房)などの翻訳を手掛けた翻訳家の千葉敏生さんに、その魅力についてお話を聞きました。ちなみに千葉さんは2006年にフリーランスの翻訳者としてデビューしたばかり。どんなスタイルでお仕事をしているのかも聞いてみました。——ビジネス翻訳本ってどうなんですか?「おもしろいですね。海外の経営者の最新の考え方など、合理性や法則性の面で日本人にはない視点が詰まっています。もちろん日本より外国が優れているというわけではなく、あくまでも違う視点に触れることができるというところが魅力です。『ザグ』や『マインドマップ』など日本にはないキーワードも多く、読んでいて新鮮な感覚を得られることが多いです」——どういうのを読めばいいですか?「自分の知ってるビジネスに役立つ本を探すといいですね。ブランディング、マーケティングなどキーワードを決めて探してみてください。まるで取っ掛かりがつかめないという方は、僕が翻訳したものではありませんが、『アメリカCEOのベストビジネス書100 』(ジャック・コヴァート著/講談社)というガイド的な書籍もありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか」——千葉さんもいっぱい読むんですか?「仕事をするときはやはり読みますね。ただ、今後はいろいろな翻訳をしていきたいので、今は特にジャンルにこだわることなく幅広く読んでいますね。翻訳家って、読書が好きな人や、文章を書くのが好きな人にとっては最高の仕事なんです。知識の幅も広がるし、なにより自分で時間を管理しつつ、マイペースに作業を進めることができる」——でも締め切りとか大変じゃないですか?「僕の場合は始めにこれでもかっていうくらい、ものすごい勢いで作業します。とはいっても不思議と後半が楽になるということもなく、締め切り間際はいつもドタバタしますけど。ちなみに一冊を翻訳するのに三カ月ほどかかりますが、そのうちの二カ月半以上は大変です。図書館に三日間程こもって作業することもありますし、旅館に泊まって作業をすることもあります」(ふむふむ)——文豪みたいでかっこいいですね。「根を詰めてやるので、気分転換が必要になるんですよね。あと、この仕事は最後に通して読んでうまくいったときに、パズルが完成したような達成感があるのがいいんです。その達成感を得るためなら、どんなに作業が大変でもがんばることができる。ましてや翻訳という好きなことを仕事にできているのですから、不満なんてないですよね」——ありがとうございました。千葉さんのお話を聞いて、翻訳家はある種の「職人」的なかたぎを持っている方が向いているのかなといった印象を受けました。翻訳家のお仕事にちょっと興味が沸いてきたなあ、という方は専門学校もあるので気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。そこから新しい世界が広がることもあるかもしれません。(根岸達朗/プレスラボ)【関連リンク】翻訳学校 フェロー・アカデミー千葉さんの出身校ですよ先輩の体験談で分かるフェロー・アカデミー実際に受講した先輩の体験談やこぼれ話が満載ですこれから覚えると得な外国語って?たった一言の差でとんでもない意味になるそうです
2009年12月31日今年で3回目を迎える「字幕翻訳コンクール」(神田外語グループ主催)の授賞式が10月11日(日)に都内で開催された。審査委員長を務める映画字幕翻訳者の戸田奈津子とタレントのLiLiCoによるトークイベントなども行われ、会場は大きな盛り上がりを見せた。戸田さんは映画字幕、LiLiCoさんは映画コメンテーターとして同じ映画業界の仕事に携わりながらもじっくり話をするのは初めてという2人。戸田さんからはトム・クルーズにジョニー・デップ、ブラッド・ピットなどなど、ハリウッドの超大物スターとの仕事にまつわる数々のエピソードが明かされ、会場は興味津々で聞き入っていた。LiLiCoさんは「リチャード・ギアから話を聞きだすのが難しいんですが、今度インタビューする機会があったら『戸田さんと仲良しです』って言っていいですか?」と懇願。戸田さんは「いいわよ」と笑顔で応じていた。第2部では、LiLiCoさんの翻訳による英語字幕を戸田さんが採点。今回のコンクールの課題にも使われた『ナイトミュージアム2』の3シーンを戸田さんが解説したが、「意味が違うでしょ!」、「何でリンカーンのセリフが大阪弁なの(笑)!?」と遠慮なく鋭いツッコミを入れる戸田さんにLiLiCoさんはタジタジになる一幕も。LiLiCoさんは「いつか(母国である)スウェーデン映画の字幕を作りたいと思っているのですが、こんなにも壁があるんですね!でも頑張ります」と決意を新たにしていた。ちなみに今回のコンクールで27,322件もの応募作品の中から最優秀賞を受賞したのは14歳の中学生、山本さおりさん。戸田さんは「中学生だからといって差をつけたわけではありません。本当に立派な翻訳で、後で中学生と知ってびっくりしました」と称賛の言葉を贈った。壇上で表彰された山本さんは「字数制限や(劇中に登場する)リンカーンの役柄を考えるのが難しかったですが、映画が好きなので楽しんでやることが出来ました。最優秀賞をいただけるなんて全く思ってなかったのでびっくりです」と喜びを語った。戸田さんは今回のコンクールを総括し「入賞作はあのまま劇場で使えるレベルだと思います。キャリアを形成するのが厳しい時代ですが、語学や映画に興味がある方は夢をあきらめずに頑張ってほしい。若い人には、基本を勉強してくださいと言いたいですね」と語り、これから映画字幕を志す人々に激励の言葉を贈った。字幕翻訳コンクール特集映画字幕コンクール公式サイト■関連作品:ナイト ミュージアム2 2009年8月12日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 TWENTIETH CENTURY FOX■関連記事:大ヒットアドベンチャー第二弾!『ナイト ミュージアム2』試写会に15組30名様をご招待「日本語字幕翻訳コンクール」開催記念『ナイトミュージアム2』劇場鑑賞券を50組100名様にプレゼント『ナイトミュージアム2』ワールド・プレミアに出席のベン・スティラーは教育熱心
2009年10月15日