会社員だからこそトク! という制度があるのを知っていますか? サラリーマンは社会保険料も年金も、税金も天引きされてソンな感じがする、といった不満も聞こえますが、逆に、サラリーマンだからこそ使える公的制度もあるのです。これは隠れた収入ともいえ、知らなかったでは、それこそ本当にソンをしてしまいます。代表的なものをご紹介しましょう。○会社員だからこそ使える公的制度って何?会社員が使える制度には、会社独自のものと、公の機関によるものがあり、次のようなものが挙げられます。会社独自の制度社内預金財形貯蓄制度確定拠出年金制度健康保険の制度健康保険組合など病気、ケガ入院での高額療養制度+付加金出産手当金+付加金傷病手当金雇用保険の制度失業給付金それぞれ、簡単に説明していきましょう。○非課税などの税制優遇や、提携割引などを使いこなすまず、会社の制度では社内預金を筆頭に、財形貯蓄制度、最近では確定拠出年金制度を導入する企業も増えてきました。いずれも社員の資産形成をバックアップするもので、財形貯蓄のうち住宅財形、年金財形は、元本550万円(貯蓄型)までの利子は非課税という特典があります。確定拠出年金制度は、国の年金を補完するものとして導入されたもので、掛け金は企業が負担し、運用商品は従業員が選択するというものです。また、従業員が掛け金を上乗せできる(マッチング拠出)場合は、その分が給与から天引きされますが、掛け金に税金はかからないので、実質的な所得控除となります。サラリーマンの住宅取得や老後資金づくりのための優遇制度ですから、勤務先で導入していれば、優先的に利用すべきものです。次に、健康保険制度の特典ですが、これは勤務先独自の健康保険組合なのか、業界団体で加入する健康保険組合なのかでも、少し変わってきますが、いずれの場合も、注目すべきなのは、保養所などの福利厚生施設です。提携しているホテルやアミューズメントパーク、スポーツジムなど利用しない手はありません。利用枠が決まっていたり、利用したい期間が集中したりして、予約が取りづらいということはありますが、健康保険料は、こうした福利厚生にも使われているので、使っただけトク! と言えます。健康保険の本来の役割である、病気、ケガでの治療に関しては、自己負担額3割というのが基本になります。自己負担3割は、自営業者が加入する国民健康保険と変わりはありませんが、独自の給付を設けているところも少なくありません。たとえば、国の制度で「高額療養費制度」というものがあり、これはある一定額を超えた自己負担額は払い戻されるというもので、会社員でも自営業者でも仕組みはほぼ同じです。しかし、会社員の場合は、さらに多くの払い戻しを受けられることがあります。これも健保組合によって異なります。同じように、「出産手当金」に関しても、産休中の収入保障のために、標準報酬日額の3分の2×休んだ日数分、受け取ることができます。これに付加金を上乗せする健保組合もあります。自営業者でも給付される「出産育児一時金」は赤ちゃん1人につき42万円ですが、やはりこれも会社員の場合、健保組合によってはプラスアルファされるところが多いのです(妻が専業主婦でも、夫が会社員なら会社から支給される)。○意外と知られていない「傷病手当金」で病気治療に専念するもうひとつ、健康保険で保障されているのが、業務外での病気やケガで仕事につくことができなくなった場合の収入の保障です。意外と知られていませんが、これを「傷病手当金」といいます。仕事につけなくなってから3日間(待期)ののち、4日目以降も仕事につけなかった日数に対して、標準報酬日額の3分の2が支給されます。この間、給料が支払われていても、傷病手当金より少なければ、その差額が支払われます。最長で1年6カ月です。最近、特に問題化しているメンタル疾患。入院、手術で完治する病気とは異なり、闘病期間も人それぞれで長期化する傾向にあります。メンタル疾患になった場合、復職するめどが立たないからと、早々に離職を決意してしまう人も少なくありません。しかし、会社員の場合は、健康保険で「傷病手当金」という制度がもうけられています。仕事ができない、退職をしなければならない、収入がなくなるという不安を持つことなく、治療に専念することができます。また、万一、会社を辞めることになれば、雇用保険から失業給付を受けることができます。病気などで、すぐに求職活動ができないような場合は、延長申請すれば、求職を開始したときに「失業給付」を受けることが可能です。こうした制度は、知っているのと知らないのでは、大きな違い。勤務先の制度や自分が加入している公的な制度を把握しておくことは、会社員ならではの特典を十分に生かすために、必要なことです。(※写真画像は本文とは関係ありません)<著者プロフィール>伊藤加奈子マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。
2015年05月11日地域の特産品などを実質2000円の負担だけで受け取ることができると、人気を集めている「ふるさと納税」。2015年の今年から納税制度の改正が発表され、制度が若干変更になりました。今回はその変更点についてご紹介します。○そもそも「ふるさと納税」って?「納税」と呼ばれていますが、その実体は特定の自治体に寄付することで税額の控除を受けられる寄付金控除の一種。また「ふるさと」と付いていますが出身地である必要はなく、寄付先は全国約1800の都道府県、市区町村から自由に複数を選ぶことができます。2008年にスタートした当初は、米や海産物、肉類といった地元の特産品が特典のほとんどでしたが、最近では宿泊券や体験ツアーなど内容がより多彩になったことも加わり利用者が急増しています。さらに充実した内容が、マネー雑誌だけでなくテレビでも大々的に取り上げられるなど認知度は急上昇。しかし、実際に行動に移している人は1割程度といわれ、さらに確定申告を行ってオトクを享受している人はその半分程度という調査結果もあります。その理由は、やり方がわからない、確定申告が面倒という声が多数。それを受けて今年から、(1)住民税からの控除額の上限が、これまでの1割から2割に引き上げ(2015年1月1日~適用)、(2)一定の条件を満たした会社員は確定申告が不要(2015年4月1日~適用)、と制度が変更されました。○変更点(1) - 負担が2000円で済む寄付金額が、ほぼ2倍に!ふるさと納税は、寄付額のうち2000円を超える部分について、一定の上限まで所得税と個人住民税から控除されます。これが、実質2000円で特典が受けられる理由です。この一定の上限が、これまでは住民税の約1割でしたが2015年1月1日から約2割へ拡充。これによって、控除の上限額がグンとアップしました。しかし、上限額は年収や家族構成、ふるさと納税以外の控除などによって異なります。負担を2000円に抑えたい場合は、自分の控除上限額を調べておく必要があります。チェックするのは、毎年6月に届く「住民税決定額通知書」の「都道府県民税(所得割)」と「市区町村民税(所得割)」欄。この合計額の約2割が目安です。ただし、これは前年の所得に対して今年かかる税額。今年ふるさと納税をする場合は、今年の所得をもとに計算されますから、今年の所得が昨年の所得より大きく増減する場合は考慮する必要があります。計算するのが面倒という人は、総務省が目安を公表しているので(下図)、まずはこれで確認してみてください。○変更点(2) - 給与所得のみ、寄付先が5自治体までなら確定申告が不要ふるさと納税をしたことのない理由として、多くの人が挙げるのが確定申告をしなくてはいけないことがあります。これが2015年4月1日から、確定申告が不要な給与所得者で寄付先が5団体までならば「ワンストップ特例申請書」を提出することで、確定申告が不要になりました(5団体を超える自治体にふるさと納税したり、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告が必要な人は、これまで通り確定申告が必要)。これまで確定申告をしないためにオトクを享受しきれていなかった人や、確定申告が面倒でふるさと納税を諦めていた人には大きな朗報です。この制度変更を受けて、新たにふるさと納税を導入したり内容のリニューアルを行う自治体が増えています。この機会にぜひチェックしてみましょう。<著者プロフィール>鈴木弥生編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。
2015年04月28日ビズリーチは4月1日から、エンジニア職やデザイナー職といったクリエイターがより業務に集中し、パフォーマンスを発揮するための「クリエイターズタイム」制度を導入した。同社では、社員の約4割がエンジニア職やクリエイター職が占めている。これまでも、作業に集中するために、基本的に会話を禁止にする「クワイエットルーム」などを設置してきたが、今回、さらに業務効率を向上させるため、まとまった作業時間を確保できる同制度を導入した。同制度を利用すると、連続して最大4時間まで業務に集中する時間をオフィス内で確保できる。時間内では、緊急かつ重要な以外は、他の社員も話しかけることはせず、本人の了解なしに社内外のミーティングも入れないことにしたという。取締役CTOの竹内 真氏も、エンジニアとして活動するなかで、「クリエイティブな作業は隙間時間にできるものではない」感じていたという。世の中に新しい価値を創造するにはエンジニアやクリエイターが業務に集中できる環境と時間は必要であるとし、今後もより作業しやすい環境向上に努めていくとコメントした。
2015年04月07日マイナンバー制度が2016年1月より施行される。経営や人事、会計などに関わる職種の人はしっかり準備を進めていると思われるが、それ以外の大多数の人にとって、この制度がどういうものなのか、どんな影響があるのかさっぱり分からないというケースが多いのが現状だ。そこで今回は、社会人のあなたに何が起こるかシミュレーションしてみたいと思う。なお、この記事は2015年3月16日現在の情報に基づいている。今後、制度が変更される可能性もあるので、ご了承いただきたい。○突然届くぞマイナンバーマイナンバー制度は、社会保障と税、そして災害対策の分野で利用されるもので、各行政機関ごとに管理されていた個人を識別する仕組みを一本化して情報管理を容易にし、国民の利便性を向上するという狙いがある。これによって、所得の把握や申告がシンプルになり、照合もしやすくなることから、税に関する不正や生活保護などの援助金の不正受給などを無くすという意味合いも強い。もちろん、大変なのは会社の総務や経理といった部署で、源泉徴収票や行政機関に提出する各種法定調書にもマイナンバーが記載されるようになるので、帳票レイアウトを変更するなどの対策はもちろん、そもそもマイナンバーを家族分を含めて社員からどうやって集めるのか、社内でどうやって管理するかで、現在頭をひねっている真最中だ。国民1人につき1つの割り与えられる12桁の番号は、2015年10月ごろから配布が開始される。何も知らなければ、ある日突然、紙の通知カードが届くことになるので、うっかり捨ててしまわないよう十分気を付けなければならない。個人番号カードの発行を市区町村に申請すると、2016年1月以降に写真付きで身分証明書としても利用できるカードが交付される予定となっている。今のところこの個人番号カードには電子証明書が搭載されたICチップが埋め込まれ、表面には氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーなどが記載され、本人の写真が添付される。このカードは住基カードに代わり、e-Taxなどの電子申請や印鑑登録証などの自治体が条例で定めたサービスにも利用できる予定だ。これは社長であろうが一般社員であろうが、住民票を持っている全ての人が対象となるので、「知らなかった」ということが無いよう、しっかり知識として身につけてほしい。○会社ではマイナンバーはどう扱われる?マイナンバーの適用分野は冒頭で述べたとおり、社会保障と税、災害対策になる。すなわち、会社に勤めているなら、厚生年金や健康保険、給与、賞与、年末調整などなど、社会人生活と切り離せないところと密接に関係してくることになる。とはいえ、こちらが会社に伝えない限り入力ができない。会社の総務なり、経理なり、担当になった人を通して、会社へマイナンバーを知らせるのだ。この際、単純にマイナンバーを伝えるというだけでなく、「本人確認」が必須となっている。マイナンバーとそれを所有している人が同一であることを確認するためのもので、いわゆる成りすまし防止のための措置だと思えばいいだろう。本人確認の方法や必須要件はまだ正式にかたまっているわけではないが、今のところ、マイナンバーカードに記載されている内容を、「番号確認」と「身元確認」に分けておこなうことが決まっている。例えば、最初に届いた通知カードで番号確認を行い、運転免許証やパスポートなど、顔写真が入ったもので身元確認をするといった方法が適切とされている。これらは、正社員だけでなく、パートやアルバイトも同様だ。「会社勤めの人は大変だな~」なんて思っている個人事業主のあなた。もし、社員やアルバイトを雇っていなくても、外注しているなら話しは別。これと同じ事を、外注の人に対してやらなければいけないのだ。こうした一例を聞いただけで、「えー」とならないこと。なぜかというとこれは扶養家族に対してもおこなうケースがあるからだ。あなたが会社員など厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者で、第3号被保険者の届け出(配偶者に扶養されることになった場合)をする場合、事業主が扶養家族に対しても本人確認をする必要がある。これとは逆に年末調整のときなどは、あなたが扶養家族のマイナンバーを提供する側になるため、本人確認もあなたが行い会社へ渡す。ただし、今例に挙げた中に出てきた「社会保障」の「年金」分野でのマイナンバー活用は遅れることが決まっている。しかし、「社会保障」の雇用保険などの労働分野は2016年より施行される予定なので、いずれにしても準備は必要。具体的にやらなくてはならないことは、ケースバイケースになるうえ、ややこしくはあるが、いずれにしても「本人確認」は、自分の身に降りかかってくるケースもある事はお分かりいただけたかと思う。○マイナンバーはどのような管理がなされるのか?マイナンバーが、所得や税、保険などに関係することは理解できたと思うが、一度預けたものがどのように管理されるか気になるだろう。そもそも、マイナンバーは先に挙げた3つの分野以外での使われ方は許されない。例えば、他人のマイナンバーを知っているからといって、その人の所得や税額を知ることもできないし、本人確認がされない限り、開示されることもない。会社が社員番号の代わりに利用したり、個人別の売り上げ管理で使用することもダメだ。さらにいうと、マイナンバーを預かっている会社が、うっかり漏えいさせた場合は、最高で「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」という、これまで以上に厳しい措置が待っている。これは個人情報保護法では適用外だった小規模事業主にも適用され、実刑を含む重罰が用意されている。我々が注意するべきことは、マイナンバーが生涯にわたって利用されるものであること、社会保障、税、災害対策以外の用途では、決して他人に教えないことが重要になる。マイナンバーカードの取り扱いに注意し、紛失しないように管理を徹底するように心がけていただいきたい(※漏洩等があれば再発行は可能)。○自分で確定申告する場合は?こうした注意事項の他にも、源泉徴収票や確定申告書、各種支払調書、各種被保険者届、それぞれマイナンバーがどこかに記載されることになるため、帳票類もサイズや様式の変更が予定されている。ちなみに税務関係書類への番号記載時期については国税庁のHPでは以下のようにアナウンスされている。①所得税:平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から②法人税:平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から③法定調書:平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る法定調書から(※)④申請書・届出書:平成28年1月1日以降に提出すべき申請書等から(※)法定調書の対象となる金銭の支払を受ける者等の番号も記載する必要がある。この変更は個人事業主や、社会人でも自分で確定申告をするようなケースで、かなり大きなインパクトとなる。手書きでの会計処理の場合は、いちいち関係各所へ出向いて新しい帳票を貰わなくてはならないし、古い業務ソフトを使っているケースでは新しい帳票印刷に対応できない可能性もあるなど、今のうちから備えておかないと面倒になることもあるだろう。また、Excelなどで管理している場合は、セキュリティ的な問題がある。備えるという意味で、一番良い方法はバージョンアップによるマイナンバー制度対応を約束してくれている製品を選ぶことだ。今後、数年に亘って制度改正が行われる可能性があり、それらにずっと追随していくのは、かなり負担だ。例えばソリマチは「給料王」や「会計王」シリーズでは対応プログラムの提供をアナウンスしている。自分にとっても会社にとっても、社会全体を巻き込んでのまったく新しい取り組みの始まりが、いよいよ間近に迫っている。今のうちから数年間に亘るマイナンバー制度への対応に備えた業務ソフトを利用して新しい環境に慣れておくとよいだろう。
2015年03月31日TBI JAPANは、2016年3月卒業予定の新卒採用において、学生が面接官を自由に選ぶことのできる「選べる社長面接制度」及び「面接官全員社長制度」を実施する。○求める人材は「未来の社長」「社員全員社長」を目指し、10年で100人の経営者を輩出することをビジョンに掲げている同グループ。新卒採用においても"未来の社長"以外は求めていないという。同社がこのたび実施する「選べる社長面接制度」は、採用面接時のミスマッチの解消と、採用時の学生の自主性を促すことを目的として実施するもの。学生は、各社長のプロフィールをもとに、面接官を選択。グループ面接となる一次面接、個別の二次面接を受けることができる。また「面接官全員社長制度」として、一次選考から最終面接まで全ての面接は、同グループ全23社のCEOやCOO等が直接実施。学生の自主性を主体的に引き出す採用フローを目指し、学生とのミスマッチを減らしていくという。
2015年03月10日オリエンタルランドは2月24日、「株式分割」「株式分割に伴う株主優待制度の配布基準変更」「長期保有株主向け優待制度の導入」について発表した。同社は、2015年3月31日を基準日として、2015年4月1日に1株を4株に分割する。これにより、株主優待制度の配布基準も変更される。同社は9月30日、3月31日の年2回を基準日とし、その時点における株主名簿に記録の所有株式数に応じて、株主用パスポート配布している。例えば、所有株式が100株以上の場合、3月末に株主用パスポートが1枚配布されることになる。長期保有株主向け優待制度としては、現行の株主優待制度に追加して、東京ディズニーリゾートの5周年ごとのアニバーサリーイヤーに株主用パスポートが配布される。「東京ディズニーリゾート35周年」のパスポートは、2015年9月30日から2018年9月30日までのすべての基準日(9月30日および3月31日)において、同一株主番号で同社株式を100株以上保有している株主に対し、2枚配布される。2018年12月に配布予定。「東京ディズニーリゾート40周年」のパスポートは、2018年9月30日から2023年9月30日までのすべての基準日(9月30日および3月31日)において、同一株主番号で同社株式を100株以上保有している株主に対し、4枚配布される。2023年12月配布予定。
2015年02月25日サイボウズは1月28日に、自社製品での「脆弱性報奨金制度」ついて説明会を開いた。脆弱性報奨金制度、いわゆるバグバウンティプログラム(BBP)は一般ユーザー(バグハンター)からの脆弱性の報告に対して、一定の報奨金を出す制度のこと。英語圏ではGoogleやMicrosoft・Facebookなどが実施しているが、同社によると国内ではサイボウズのみが現在実施しているものだ。サイボウズの報奨金制度を担当するCy-SIRTの伊藤彰嗣氏が、2014年の実績と2月2日からスタートしている2015年の制度変更について説明した。○220万円を獲得したバグハンターも。総額で約700万円の報奨金が発生サイボウズの脆弱性報奨金制度は、2013年の試行期間を経て、2014年6月から12月まで6ヶ月間行われた。サイボウズの各種クラウドサービス、各種製品を対象としたもので、共通脆弱性評価システムCVSS(Common Vulnerability Scoring System:米国家インフラストラクチャ諮問委員会が制定したもの)によって深刻度をはかり、それを元に報奨金が支払われるしくみだ。2014年の6月~12月にユーザーから報告された脆弱性は241件、認定したものは158件となっている。このうち最も深刻度の高い「深刻度III」が10件あった。報奨金の総額は700万円となっている(このうち400万円は公開待ちなどの理由で保留)。1件あたりの報奨金最高額は51万円、報奨金平均額は4万2787円だった。もっとも報奨金を多く獲得したバグハンターは、6ヶ月間で220万円もの報奨金を得たとのことだ。このしくみによって、2013年と比べるとサイボウズの脆弱性認定件数は大幅に増えている。認定件数で7倍、外部からの通報は約4倍に増えており、報奨金制度が大きな効果を出していることがわかる。伊藤彰嗣氏は「脆弱性発見の手段として報奨金制度は大きな効果があると実証できた。社内での脆弱性発見と、報奨金による発見が相互補完することで、サイボウズ製品のセキュリテイが向上している」と述べている。サイボウズ社内では製品全体の安全性を網羅的に見る必要があるが、報奨金制度ではバグハンターが一点突破で脆弱性を発見しようとする。そのため単純な作業量で比較すると、報奨金制度のほうが圧倒的に多くの脆弱性を発見できる。また報奨金制度によって、サイボウズ社内での意識が高まる効果もあるとのこと。伊藤彰嗣氏は「報告された脆弱性が、社内で他の脆弱性を発見するきっかけにもなっている。サイボウズ社内での脆弱性に対する意識が高まっているため、2015年は社内での脆弱性発見が多くなることを期待している」と分析した。○検証環境提供プログラムでシステムへの影響はなし。海外からの報告が予想外に多かったサイボウズはクラウドサービスを多く抱えているため、実際に動いているシステムを元に検証するには危険性が存在する。そこでサイボウズでは、脆弱性報奨金制度のために「検証環境提供プログラム」を提供している。検証環境提供プログラムは、サイボウズの実際のサービスとまったく同じものだが、テスト用として提供されているため、バグハンターが様々なテストを行える。実際のサービスに影響を与えることなく、テストできるのが最大のメリットだ。検証環境提供プログラムには、月間2万から3万リクエストがあったそうだ。2014年の脆弱性報奨金制度を実施してわかったことがいくつかある。まずは関係する脆弱性がリリースされると、バグハンターによって速やかに検証されること。たとえばShellshockの事例では、リリースされた2日後にはバグハンターによる検証のシグニチャーがテストされていた。また海外からの報告が予想外に多かったようだ。伊藤彰嗣氏は「英語の資料をまったく用意していなかったが、脆弱性報告のうちの24%が海外からだった。2015年は英語のルールブックを用意するようにしたい」と述べた。もう一つ、サイボウズが実施したバグハンティング合宿も大きな効果があったとのこと。実際に集まって合宿形式で行うことで、多くの検証が行われ、年間脆弱性情報報告数の20%が2日間に集中した。イベント形式で実際に集まり、バグハンター同士のコミュニケーションを活発になったことが良い結果につながっている。バグハンターとして参加する人のプロフィールは、学生、会社員、開発者のほか、脆弱性診断士が腕試しすることもあるとのこと。そして意外なことに法人の参加もあったそうだ。脆弱性診断ツールの開発会社も参加している。○2015年はXSSとSQLインジェクションの報奨金をアップするほか、支払いを早める施策もサイボウズでは参加したバグハンターにアンケートを取り、2月2日からスタートしている2015年の脆弱性報奨金制度に反映させている。アンケートでもっとも多かったのが報奨金の金額への要望で、たとえばXSS(クロスサイトスクリプティング)の報奨金が低いとの指摘があった。伊藤彰嗣氏は「報奨金のベースとなっている評価基準・CVSS(v2)自体に限界がある。CVSSではサーバー側の被害のみを評価し、クライアント側の被害は評価していないため、XSS脆弱性がどうしても低くなってしまう」と述べた。そこで2015年の脆弱性報奨金制度では、サイボウズ独自の基準でXSS脆弱性の評価額をアップさせた。2014年と比べて、最高で2倍の報奨金となる。またSQLインジェクションでも評価を変更し、特定のケースで評価を高めて報奨金をアップさせる。アンケートでのもう1つの要望は、報奨金の支払いが遅いという指摘だ。2014年の制度では「報告された脆弱性を一般に公開してから」の支払いだったため、平均で支払いまでに約10ヶ月かかっていた。「忘れてしまいそう」という声もあり、2015年は支払いを早めるように変更された。2015年の制度では「一般公開するか、脆弱性認定後に6ヶ月を経過したら支払う」という形になっている。このように昨年の反省点を元に、2015年のサイボウズの脆弱性報奨金制度は、2月2日からスタートしている(サイボウズ脆弱性報奨金制度について詳細説明とガイドライン)。12月25日までのおよそ10ヶ月間行われているので、興味がある人はチェックしてみるとよいだろう。国内の脆弱性報奨金制度は以前、他社でも開催していたものの、現在はサイボウズのみとなっている。他社からの問い合わせがあるか?という質問に対し伊藤彰嗣氏は「国内企業からの正式な問い合わせはないものの、勉強会などで興味を持っていただいている。サイボウズでは自社でコントロールしたいので独自のシステムで報奨金制度を持っているが、他社ではすでにある脆弱性報奨金のシステム、たとえば『HackerOne』などを利用する手もあるだろう」と述べた。最後に伊藤氏は脆弱性報奨金でのよい点と気にかかる点をまとめた。気にかかる点としては「日本のお客様の中には、バグバウンティの狩猟的要素、攻撃者を雇うということを文化として理解していただけない方もいらっしゃる」と述べた。脆弱性の公開や報奨金のことを知ると「御社のソフトにはそんなに問題があるのか?」と思ってしまう人もいるとのことだ。これは脆弱性報奨金の問題というより、セキュリティの知識が、日本で理解されていないことが原因といえるだろう。脆弱性報奨金のよい点としては「弊社製品のPRのためにセキュリティチェックシートを作っているが、ここで脆弱性報奨金のことを詳しく紹介している。脆弱性報奨金制度によって安全性を高める努力をしていることで、お客様になるほどと思っていただける」とした。このように自社製品の安全度をアピールする手段として、脆弱性報奨金制度が有効に使われている。日本ではあまりなじみのない脆弱性報奨金制度だが、サイボウズの成功例を元に、他社での導入も期待したい。
2015年02月19日富士通は1月21日、2016年1月のマイナンバー制度の施行に向け、自治体や民間企業向けにマイナンバー制度に対応した業務システムや運用プロセスの構築を支援するコンサルティング、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス、教育関連のサービス、アプリケーション、セキュリティなどの製品を体系化し、1月21日より順次提供していくと発表した。具体的には、従来から提供している、自治体向けのMICJETシリーズや民間企業向けのGLOVIAシリーズなど既存の業種業務アプリケーションのマイナンバー制度への対応内容・時期を明確化するとともに、自治体向けの「FUJITSU 自治体ソリューション MICJET番号連携サーバ」(以下、MICJET番号連携サーバ)や、マイナンバー制度対応業務を支援する「FUJITSU BPOサービス マイナンバーBPOサービス」(以下、マイナンバーBPOサービス)などの新ソリューションを提供する。また、同社は1月21日付で富士通グループ全体を横断する組織として「番号制度推進室」を設立した。同組織では、マイナンバー制度への対応ソリューション、商品・サービスの企画および将来に向けたマイナンバー利活用の企画、推進を行う。自治体ソリューション「MICJET番号連携サーバ」では、中間サーバへの業務データ(所得、資格など)連携をスムーズに行う機能や現行の宛名管理方式と運用を継承することができる宛名管理機能により、既存システムへの影響を最小化し、運用の負荷と改修コストの低減を実現。マイナンバーBPOサービスでは、マイナンバー制度に対応する新たな業務(マイナンバーの収集・本人確認・保管など)、および各法定調書申告、届出書へのマイナンバー記載といった一連の業務を、SaaS環境などのICTを活用したBPOサービスで提供する。そして、ラーニング「企業におけるマイナンバー制度の理解と対応」では、多人数に対する、個人番号や特定個人情報の取扱についての研修に適したeラーニングサービスを提供。マイナンバー制度に関する基本事項から、マイナンバーの正しい管理方法まで分かりやすく説明する教育コースを用意するほか、要望にあわせた個別の対応も実施する。販売価格(税別)は、「MICJET番号連携サーバ」、「マイナンバーBPOサービス」がいずれも個別見積り。eラーニング「企業におけるマイナンバー制度の理解と対応」が1ID(1カ月)につき4,000円(税別)~となっている。
2015年01月21日「マイナンバー」を知っていますか?住民票を持っている全ての人に1人1つの番号を付け、「社会保障」「税」「災害対策」分野の情報を紐付けて管理する制度のことです。なぜ導入することになったのか。私たちの生活はいつからどのように変わるのか。マイナンバー制度の背景と特徴について解説します。2015年10月から通知が始まる、マイナンバーって何?マイナンバーは、正式には「社会保障・税番号制度」といいます。社会保障、税、災害対策の分野で各機関が保有する個人情報を紐付けて、公平・公正な社会を実現することを目的に導入が決まりました。日本は従前、各行政機関において縦割りの個人情報管理を行っており、非効率な面があったために、今回の制度が導入されることとなりました。これまで、公的年金の基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、運転免許証番号、雇用保険被保険者番号など、各行政機関が個別に番号をつけていましたが、あらゆる行政サービスを包括する個人情報番号は存在していませんでした。そこで、1人1つのマイナンバーを付与し、各機関が管理している個人情報と紐付けて、必要に応じて相互に引き出すことができるようにします。2015年10月に配布される通知カードにより、原則として生涯変わらない、12桁の番号(マイナンバー)が届くことになります。この番号が使えるのは、2016年1月からになります。導入されると、次のようなメリットがあります。社会保障・税に係る行政手続きの添付書類の削減マイ・ポータル(お知らせサービス)等による国民の利便性の向上行政を効率化して、人員や財源を国民サービスに振り向けられる所得のより正確な捕捉により、きめ細やかな新しい社会保障制度が設計できるたとえば、毎年6月に児童手当の手続きをしますが、2016年からは、この手続きのときにマイナンバーの提示を求められることになります。これまでは、1月1日時点の居住地と6月1日時点の住所が異なる場合、1月1日に住んでいた自治体から「所得証明書」を入手し、それを現在居住している自治体に提出しなければ、児童手当の手続きができませんでした。しかし、マイナンバーによってこれらの情報が紐付けられるようになると、所得証明書の入手が不要になります。現在住んでいる自治体が、1月1日時点に居住していた自治体にマイナンバーを使って問い合わせをすることができるようになるからです。つまり、マイナンバーにより、国民は手続きにかかる時間・費用を削減でき、行政機関は事務コストが軽減され、国家としては公平で正確な給付ができるようになるといわれています。マイナンバーが使われるシーンはこれだ!マイナンバーの通知は2015年10月に行われますが、実際に提出を求められるようになるのは2016年1月以降です。社会保障、税、災害対策の分野で、行政機関などにマイナンバーを提示することになります。たとえば、確定申告であれば、2017年(平成29年)2~3月に行う「平成28年分の確定申告」からマイナンバーを記載することになります。マイナンバーがどのような場面で使われるかについては、法律や条例で定められています。行政機関等でマイナンバーの提示を求められることになる手続きは次の通りです。【マイナンバーの提示が求められる手続き(例)】国民年金や厚生年金の給付に関する手続き国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法による年金給付に関する手続き確定給付年金、確定拠出年金の給付に関する手続き独立行政法人農業者年金基金法による、農業者年金事業の給付に関する手続き失業手当などの雇用保険の給付に関する手続き労災に関する手続き児童手当に関する手続き母子家庭自立支援給付金などの手続き障害者総合支援法による、自立支援給付に関する手続き特別児童扶養手当法による給付手続き生活保護の手続き介護保険法による保険給付の手続き、保険料の徴収に関する手続き健康保険や後期高齢者医療制度の保険給付の手続き、保険料の徴収に関する手続き日本学生支援機構による奨学金貸与に関する手続き公営住宅に関する手続き確定申告被災者生活再建支援金の手続きこれらに付随して、勤務先、金融機関などでマイナンバーの提出を求められることがあります。【民間事業者・金融機関でマイナンバーの提出を求められるケース(例)】年末調整就職するとき退職するとき原稿料などの報酬支払い時証券会社で特定口座を開くとき株取引等で配当金や売却益などを得たとき保険金等を受け取った場合セキュリティについてマイナンバーは使い方次第で便利な制度になり得ます。しかし、個人情報が外部に漏れるのではないか、他人のマイナンバーで成りすましが起こるのではないか、といった懸念を抱いた方も少なくないでしょう。このような不安を払拭するため、制度面とシステム面の両方から個人情報を保護する措置が講じられています。制度面では、法律に規定があるものを除いて、マイナンバーを含む個人情報を収集したり、保管したりすることを禁じています。また、「特定個人情報保護委員会」という第三者機関を設置し、監視・監督にあたります。法律に違反した場合の罰則も、従来より重くなっています。システム面としては、マイナンバーで個人情報の紐付けをしても、一元管理ではなく、情報を分散して管理することで外部への漏えいを防ぎます。従来通り、年金の情報は年金事務所、税の情報は税務署と分けて管理するのです。行政機関同士での情報のやりとりをするときも、マイナンバーを直接使わないようにしたり、システムにアクセスできる人を制限したり、通信する場合は暗号化を行ったりすることになっています。通知カードとともに送付される申請書を郵送するなどして、希望者には「個人番号カード」が通知カードと引き換えに付与されることになります。このカードに関しても、プライバシー性の高い個人情報を盛り込まないなどの工夫がされることになっています。個人番号カードとは、券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーなどが記載された写真付きのカードです。身分証明書として利用できるほか、カードのICチップに搭載された電子証明書を用いて、e-Tax(国税電子申告・納税システム)などの各種電子申請が行えたり、お住まいの自治体の図書館利用証や印鑑登録証など、各自治体が条例で定めるサービスが利用できたりするようになる予定です。ただし、個人番号カードのICチップには、病気の履歴や所得情報のようなプライバシー性の高い情報は記載されないことになっています。マイナンバーは、生涯にわたって利用する番号です。個人番号カードをうっかり置き忘れたり、盗まれたりしないように大切に保管してください。また、むやみにマイナンバーを教えないこと。前述した法律や条例で決められている、社会保障、税、災害対策の手続きで、行政機関や勤務先などに提示する場合以外は、他人に教えてはいけませんよ。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年01月20日2016年1月から施行される「マイナンバー制度」。非常にインパクトの高い制度であるにも関わらず、7割の企業がまだ未着手という話もあるほど、浸透率が低いのが難点だ。大企業や中小企業はもちろん、個人商店、個人事業主、SOHOといった法人、さらには全国民にとって、重大な変化をもたらすマイナンバー制度への備えに対する期間として、この1年は決して長いものではない。現在の状況から、今後どのような点に留意して事に当たれば良いか、会計、人事給与システムのベストセラーであるスーパーストリーム株式会社に話を伺ったので紹介しよう。○2016年に開始される「マイナンバー制度」スーパーストリームは、1995年にSuperStreamシリーズを販売開始して以来、20年間にわたって、会計、人事・給与の業務領域に特化した専業のERPベンダーとして活動してきた企業だ。現在では7,400社の企業に導入され、その存在は社会的にも大きな影響を持っている。そんなスーパーストリームに「マイナンバー制度」について話を伺う機会をいただいた。「マイナンバー制度は、日本の企業、国民すべてに関わってくる制度です。この1年の期間でどこまで備えることができるかという点では、2015年度における企業の経営テーマの中で最重要課題といっても過言ではありません」と語るのは、スーパーストリーム CTO(最高技術責任者)の山田誠氏だ。マイナンバー制度についてはすでにご存知だろうが、改めて概要を説明すると、住民票を有する全ての国民に対して1人1番号の個人番号、いわゆる「マイナンバー」が付番され、これを社会保障、税、災害対策の分野(将来的に適用分野は拡張される予定)で個人情報とマイナンバーを紐付けて効率的な管理を行うというもの。2015年10月からマイナンバーを記載した通知カードが、国民へ向けて送付され、2016年から利用が開始されるというものだ。「マイナンバーは結婚や転居をしても同一のものが使われ続けます。カード1枚あれば、年金手帳や健康保険証、介護保険、そういったものが統合的に生涯に渡って管理できるため、国民のメリットも高いです。社会保険や災害時の補助申請などもスムーズにできますから、国としても効率化ができる。自治体やその他行政機関単位で分散管理されていた個人情報が連携できるので、より正確な所得や他の行政サービスの受給状況も国が把握できるようになります」と山田氏はいう。マイナンバーひとつでそれだけのことができるという事は、逆に大変重要な情報ということになる。「企業側としてはプライバシー保護の観点から、どれだけ安全・安心な情報管理を保てるかという部分が大切になります」と山田氏。このマイナンバー制度には重い罰則が科せられることも大きな特徴のひとつで、万が一、漏えい事故などが起これば企業の信頼が失墜しかねない事態になることも予想できる。それだけにIDの管理徹底は企業の最重要課題になり得るのだ。○負担激増の人事部門「企業でいうと人事部門が最初に直接影響を受ける部署でしょう」と山田氏がいうように、マイナンバー制度が始まって、もっとも負担が大きくなる部門は人事給与業務だ。特にサービス業などを代表としたパート、アルバイトの雇用者が多い業種では、より顕著になる。「対象範囲は正社員のみならず契約社員、パート・アルバイトなどの全従業員分のマイナンバーを理解、同意を得て集める必要があります。社外研修で雇った講演者・弁護士なども対象です。業種によっては膨大な数のマイナンバーを取り扱わなければなりません」と山田氏は警鐘を鳴らす。マイナンバーはただ集めるだけでなく、本人に利用目的を明示し、個人番号の本人確認作業も発生する。さらに扶養家族がいれば、その分も含めて取り扱う必要があるので注意が必要だ。また、退職者の個人番号を適切に削除することが義務づけられるのも、マイナンバー制度の特徴だ。「企業は退職者を含めた労働者名簿や賃金台帳、そして源泉徴収票を、電子データや紙で一定期間保管する必要がありますが、マイナンバー情報に対しては、特定個人情報ガイドラインの安全管理措置の一環として退職後の一定期間で適切に廃棄又は削除する必要があります。詳細は未だ不透明な部分もありますが、いずれにせよ、企業にとってマイナンバーの情報管理については非常に頭を悩ます問題になり得ます」と山田氏。この他、マイナンバーに関わる企業の基本方針や取扱規程の策定および組織としての情報管理体制づくりも必要となる。例えば「誰が・どの業務に対して」マイナンバーを確認することができるのかといった部分にも取扱規程を設ける必要があり、給与業務でも社会保険担当者は閲覧できるが給与計算担当者は不可視にする、といったポリシー設定も必要となる。もちろん、システム自体のセキュリティ対策や堅牢性も重要になる。先ほど決めたポリシーに従い、それがきちんと運用されているかを可視化するログ監視も必要だ。ログに関しては入力、変更といったIDに直接関与したユーザーに対するだけでなく、閲覧した人も採取していかなくてはならない。登録・削除・更新のログ採取のみならず、参照も採取するとなるとその量は膨大に膨らむ。「システムの堅牢性を維持しつつこれに備えて改修しなければなりません。一部の企業ではクラウドサービスなどを利用して、マイナンバー情報を社外で管理することを検討されている企業もあります。仮にそのような考え方をとるならば、社内の人事・給与システムと密に情報を連携する仕組みが必要であり、また通信・ネットワークに対しても堅牢でセキュアな仕組みを作る必要があります。社外のサービスと自社の人事・給与システムを組み合わせるのは運用コストも鑑みると現実的に少し無理があるのではないか?と考えています」と山田氏は語る。○マイナンバー制度に備えるには信頼できるパートナー選びが重要ざっと教えていただいただけでも、これほど大きなインパクトと負担が起こるのが「マイナンバー制度」の導入だ。さらに言うなら2015年中にはシステムの改修が終わっていて、運用方法も決まっている必要がある。これを考えれば、残された時間が決して長いわけではないことがお分かりいただけるだろう。スーパーストリームの「SuperStream-NX」シリーズは、これらの課題をクリアし、的確なワークフローを実現できる製品となる。加えて特筆すべきは、既存顧客であれば、それらのアップデートは無償で供与される点だ。「2015年秋には標準機能としてマイナンバー制度対応のアップデートプログラムを提供します。既存ユーザーの方々には、標準の保守契約内で追加費用が発生することはありません。これは今後予定されているマイナンバー制度の拡張や消費税増税対応、軽減税率対応も含めて全て同じスタンスで対応します」と語る山田氏。法改正・税制対応の開発コストをユーザーに負担させないスタンスは、長年のノウハウと数多くの顧客の信頼を勝ち取った同社だからこそできるサービスといえるだろう。「日本国内で7000社を超える会計、人事・給与システムを提供している企業として、ユーザーの皆様のニーズを常に把握し、最適な形で安心できるサービスを提供し続けることが私達の使命と考えています」と最後に語ってくれた山田氏。マイナンバー制度への対策を早急に行いたい企業、あるいは人事システムのリプレースも視野に入れている企業は、一度同社に相談してみてはいかがだろう。
2015年01月14日トレンドマイクロは12月10日、「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」に対応したセキュリティ製品「Trend Micro マイナンバー向けサンドボックス」を、2015年第2四半期より地方公共団体などに向けて提供すると発表した。マイナンバー制度は、2015年10月より番号が通知され、翌2016年から行政手続き上の利用が開始される。運用においては、所轄官庁から中間サーバ接続時におけるセキュリティ対策が示されており、中間サーバへアクセスする端末を設置するセグメントに「サンドボックス装置の導入」が推奨されている。同製品は、ネットワーク上の不審な通信を検知し、ふるまい検知で見つかった不審ファイルをサンドボックスで解析させることにより、標的型サイバー攻撃からのリスク低減を実現する。具体的には、ネットワーク上の不審な通信を検知し、振る舞い検知で見つかった不審ファイルをサンドボックスで解析する。日本語を含むマルチランゲージOSに対応したサンドボックスを搭載しており、日本語アプリケーションである一太郎などもサポートしている。また、ファイル実行の結果発生する通信のふるまいや、ドロップするファイルの分析を行うエンジンを複数搭載しており、パターンファイルによる対策に依存せず、高い分析能力を備えたサンドボックスによって脅威検出ができるという。なお、トレンドマイクロでは、マイナンバー制度の運用に対応したセキュリティ製品として、「ウイルスバスター コーポレートエディション11」「Trend Micro Deep Security」「Trend Micro Safe Lock」なども提供する。
2014年12月11日平成27年から「子ども子育て支援新制度」がスタートします。多くのママたちからは、「聞いたことはあるけれど、実際この新制度によって自分たちの生活がどう変わるのかがわからない」という声が、大変多く聞こえてきます。今回は、数々の子育て専門資格を活かして、多くのママたちの子育てに寄り添う活動をする一方、行政の子育て専門委員や東京都足立区の子ども子育て新制度プロジェクトメンバーでもあるNPO法人子育てパレット代表 三浦りささんに、新しく始まるこの制度について、わかりやすく説明していただきました。■「子ども子育て支援新制度」は、どんなことを目的にした制度なの?現在、子育てを取り巻く課題が、数多く浮き彫りになっています。少子化問題、待機児童問題および子育てと仕事の両立の難しさ、子育てに対しての孤立感・負担感、児童虐待問題の深刻化、放課後児童クラブの不足などなど。こうした状況を打開するための策として、国をあげて「子育て支援の量を拡充、質を向上しよう!」ということを目的とした制度です。■「子ども子育て支援新制度」の開始によって、具体的にどの部分がどう変わるの?(1)保育・教育の場が増えます子ども子育て支援新制度が始まると、幼稚園、保育園・保育所、認定こども園(保育+教育)、地域型保育(小規模保育、保育ママなど)のいずれかが増えます。ただし、幼稚園が増えるのか? 保育園が増えるのか? 認定こども園が増えるのか? 地域型保育が増えるのか? はお住まいの市町村の事業計画によって遂行されます。場合によっては、現在通っている保育園・幼稚園の運営スタイルが変わることもあるかもしれませんし、新制度を選択しない私立幼稚園(※この場合は従来通りの利用手続き・利用料)もありますので、一度、市町村や園に確認してみるとよいでしょう。(2)新制度利用の幼稚園、保育園、保育所への入園・入所申込み方法が少し変わります今までは希望の幼稚園に直接申込みをして、園側から入園内定をもらい、入園という流れでしたが、子ども子育て支援新制度開始後は、入園内定を受けたら園を通して利用のための認定申請を管轄市町村に行い、認定通知を受け、幼稚園と正式入園契約となります。保育園や保育所の場合は、市町村に入所申込みをした後に認定証が交付されます (3)新制度利用の場合、保育料が変わります新制度における保育料は、国が定める上限額の範囲で各市町村が定めます。大きな変化でいいますと、幼稚園や認定こども園(短時間利用・保育必要なし)では所得に応じた保育料に変更し、兄弟利用の場合に第2子半額、第3子以降は無料が適用されます。保育園・保育所、認定こども園(長時間利用・保育必要あり)、地域型保育の場合は、所得割課税額と利用時間によって定められる上限額の範囲で決められます。(4)保育を必要とする該当事由が広がります従来の就労、妊娠・出産、保護者の疾病・障害、親族の介護・看護、災害復旧に加え、新たに求職活動、就学、虐待やDVのおそれがあること、育児休業取得中からすでに保育を利用している子どもがいて、継続利用が必要であること、という条件が加わりました(5)保育以外の部分についてその他については、子育て相談や一時預かりの場、放課後児童クラブ(学童保育)を、空き教室などを利用して増加する、かつ対象を小学校6年生までにする(※現在は小学校3年生まで)など、地域の子育てニーズに合わせた支援の場を増やしていきます。子ども子育て支援新制度とはどんな制度なのか、何となく理解できたでしょうか。お住まいの地域で実際にどのような変化があるのかはについては、自治体の取り組み方によって変わってきます。ぜひお住まいの市町村がどういう事業計画で遂行していこうとしているのか、情報を集めてみてくださいね。参考URL: 内閣府・子ども子育て新制度ページ
2014年11月21日イオンは18日、2015年2月期より、長期・大口保有株主を対象にした優待制度を新設すると発表した。これにより、同社株式への投資魅力を高めるという。新たな優待制度では、3年以上継続して同社株式を保有し、かつ毎年2月末時点で1,000株以上保有の株主に、イオンギフトカードを贈呈する。具体的には、保有株式数1,000~1,999株ではギフトカード2,000円分、2,000~2,999株では同4,000円分、3,000~4,999株では同6,000円分、5,000株以上では同1万円分を贈る。ギフトカードの発送は5月頃を予定している。第1回目は、2012年2月末から株式を継続して保有し、かつ2015年2月末の同社株主名簿に1,000株以上保有している株主が対象となる。なお、2015年2月末の権利付最終日は2015年2月24日となっている。現行のイオンオーナーズカードによる株主優待制度は今後も継続して実施する。同制度は、全国のイオンやマックスバリュなど、特典対象店舗の直営売場での買上金額に対してキャッシュバックするもの。対象となる支払金額合計に対し、持株数に応じた返金率を半期ごとにまとめて返金する。
2014年11月19日NECは、社会保障・税に関わる番号制度(以下、マイナンバー制度)において、地方公共団体がマイナンバー制度に対応するために、通信ネットワークのセキュリティ対策を行う「マイナンバー対応ネットワーク・セキュリティソリューション」を体系化し、10月3日より販売を開始すると発表した。マイナンバー制度は、2013年5月に公布された「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づいて施行されるもので、日本に居住する全ての人に、重複しない12桁の番号、いわゆる「マイナンバー」が付番され、これまで複数の行政機関で個別に管理されていた個人情報が紐付けられる。マイナンバーは、2015年10月から全ての対象者に通知され、2016年1月から社会保障・税・災害対策に関する行政手続きで利用開始。2017年1月から(地方公共団体は7月から)行政機関の間で情報連携が開始される。ソリューションは地方公共団体向けに、マイナンバー制度の特定個人情報を格納する「中間サーバ」へのネットワーク接続、地方公共団体内に複数あるネットワークの統合、特定個人情報へのアクセス管理、などにおけるセキュリティ対策を行う。また、マイナンバー制度への対応に向けたセキュリティ対策の簡易アセスメントを最初に実施し、先進のSDN(Software-Defined Networking)等を利用してきめ細かなアクセス制御を行うことで、高度なセキュリティ対策を実現する。NECが提供するソリューションメニュー一覧は次のとおり。各メニューにおいて、NECが地方公共団体のネットワーク環境に対して簡易アセスメントを実施。ネットワークのコンサルティングから、設計、構築、保守までトータルに提供。これらにより、地方公共団体がマイナンバー制度に対応するネットワークのセキュリティ対策を効率的に実現し、導入期間の短縮が可能となる。
2014年10月06日モスフードサービスは、7月8日より、全国のモスバーガー店舗(一部店舗除く)で、自社発行のチャージ式プリペイドカード「MOS CARD」に「MOSポイント」制度を導入する。「MOS CARD」は2012年4月に導入され、特典として入金金額に応じてボーナスポイントが上乗せして付与され、商品購入時には自動的にポイントが優先利用されていた。「MOSポイント」制度は、購入者の意思でポイントを利用でき、「ポイントが貯まる・利用できる」ことを実感してもらえるよう、入金金額と付与されたポイントを分けて管理し、レシートに表示するようにした。MOSポイントは、10ポイント単位で会計時に利用できる。有効期限は最終付与もしくは再修理用から1年間。7月19日~8月25日の期間限定で、「朝モス来店特典ポイント付与」が実施される。朝モスの時間帯(午前7時~午前10時30分)にモスカードで会計をすると、1会計につき来店特典として「MOSポイント」が5ポイント付与される。
2014年07月04日2006年、法律を扱う専門職である裁判官、検察官、弁護士の質を高め、法曹人口を増加させるために司法試験制度が変更になり、2012年には新たな試験制度へ完全移行した。現在では、法科大学院課程の修了または司法試験予備試験合格が義務づけられている。また、受験資格だけではなく、受験回数にも制限がある。法科大学院修了の日または司法試験予備試験の合格発表の日の後の、最初の4月1日から5年以内に3回しか受験することができない。これには、法科大学院や予備試験受験による教育効果が薄れないうちに法曹界へ進んでもらうという目的がある。しかしながら、難関である司法試験を突破しても簡単に就職できるわけではないという。また、閉校する法科大学院も増えており、そのあり方が見直されつつあるようだ。そこで今回は、変化の時期を迎えた法曹界の現状について調べてみた。司法試験の合格率は、2006年には48.25%だったが、2011年には23.53%まで落ち込んだ。これは、合格率の低い法科大学院既卒者の増加が原因といわれている。最難関といわれる司法試験に合格し、弁護士として活躍するにはどのような過程が必要なのだろうか。明治大学法科大学院出身の萩生田彩弁護士(65期)にお話をうかがった。――萩生田さんは、法科大学院を修了して司法試験の受験資格を得たとのことですが、従来の司法試験の受験や、司法試験予備試験の受験ではなく法科大学院への進学を選んだ理由を教えてください。萩生田弁護士「従来の司法試験はハードルが高く、合格率も高くありませんでした。また、私たちが法科大学院に進学したのは、まだ予備試験が創設されていないとき。そのため、多くの方は数年間の期間と学費を費やしてでも法科大学院への進学を選択するのですが、私もその一人でした」――法科大学院で学んでよかったと思うことについて教えてください。萩生田弁護士「司法試験委員を務める先生や、弁護士等の実務家の先生方に教えて頂けたこと、また、こうした先生方にいつでも質問できる環境にあったことが、司法試験合格に大変役立ちました。また、身近に司法試験の受験者が多いので、仲間同士で切磋琢磨することもできました。そのなかで、自分はどのように合格を目指せばいいかを模索することができ、この点においては、法科大学院で学んでよかったと思います」――試験に合格後、弁護士事務所に就職するためには、どのような活動をするのでしょうか?萩生田弁護士「出身法科大学院からの支援や、一般企業が開催するようなセミナーは特に印象にありませんが、弁護士会による合同説明会があるのでそれに参加する人が多いように思います。また、各事務所のホームページや、弁護士の求人などが掲載されている『ひまわり求人求職ナビ』というサイトで求人情報をチェックしたりします」――弁護士事務所の就職試験とは、どのようなものなのでしょうか?萩生田弁護士「これは事務所によってまちまちではないでしょうか。一般企業のようなSPI試験に類似した試験を行うところもあると聞いていますし、司法試験の成績・法科大学院の成績やTOEICのスコアなどの資料で判断するところ、筆記試験や口述試験を実施するところもあります」――弁護士でも就職難といわれていますが、実際にはどうでしょうか?萩生田弁護士「実際、本当に厳しいと思います。就職が決まらなくて弁護士会への一斉登録に間に合わない修習生もいます。もっとも、私の同期にも12月の登録に間に合わない者もいましたが、2月には就職先が決まっていました。今後はもっと厳しい状況になっていくと思います」弁護士といえども、就職難を実感することは少なからずあるようだ。また、司法試験の受験資格を得ると同時に、実務家による実務に即した指導を受けられる法科大学院への進学も一般的と言える。現在の司法試験の受験制度では、司法試験予備試験というものが新設された。司法試験予備試験では、「法律科目+一般教養」を問われる短答式試験、さらに法律実務基礎科目が加わる論文試験、法律実務基礎科目に関する口述試験が課せられる。これをクリアしてはじめて司法試験の受験資格を得ることができる。しかし、司法試験法では、司法試験の実施目的を「法科大学院課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に行うもの」と定めている。司法試験制度が変更になったときに、司法修習制度も変更になり、法科大学院で学んだことを前提に修習を実施している。いわば、法科大学院は司法修習の一部に位置付けられているのだ。もちろん、法科大学院は司法試験予備試験の一部の役割も果たしている。ゆえに、法科大学院とは、司法試験の受験資格を得るためだけに存在するのではなく、司法修了後すぐに実務にとりかかれる人材を育成する機関と言える。そのため、法科大学院修了生と、司法試験予備試験合格者では、司法修習に入る前に大きな差が生じることもあるようだ。法科大学院は、法曹の質の低下防止、そして法曹人口の拡大を目的に2004年に開設された。法曹に必要な学識や能力を培うために、主に以下の4つの項目について学習する。・法律基本科目群:憲法、民法、刑法など・法律実務基礎科目群:責任感や倫理観の教育、法文書作成や模擬裁判などの実務体験など・基礎法学・隣接科目群:法哲学、外国法など・展開・先端科目群:労働法、経済法、知的財産法など修学期間は2~3年(法学既修者課程は2年、法学未修者課程は3年)。修了後には法務博士(専門職)が授与される。法科大学院は決して簡単に入学できるわけではない。入学時には、共通試験である法科大学院適性試験や学校ごとの個別試験が課せられる。法科大学院のカリキュラムは、基本的に司法試験の受験および合格に十分有益となる内容となっている。また、実務科目・臨床科目(模擬裁判、リーガルクリニック、エクスターンシップ等)が質・量ともに充実しているので、実際の法曹の仕事のイメージをつかみやすい点にメリットがあると思われる。このように、法科大学院は新たな司法試験制度において重要な役割を果たしているが、具体的にはどのようなことを学ぶのだろうか。成蹊大学法科大学院の尾関幸美教授にお話をうかがった。――学生が司法試験に合格するために、どのようなカリキュラムを組んでいるか、どのようなサポートをしているか教えてください。「全体を通して、法律基本科目を着実に修得し、応用・発展へと段階的に実力を養成できるカリキュラムとなっています。本学では、1年次に法律基本科目を中心に学び、さらに別途、基本演習を設け、必修科目の授業を補いつつも、応用力の向上を目指します。実務科目も必修となり、実務家教員による実践的な授業を行います。法律を理論的に体系的に学べ、実務に必要な素養を身につけるという点で、法科大学院には予備試験の勉強では得られない利点があると言えるのではないでしょうか」――この学習内容について、学生の反応はいかがでしょうか。「学習環境、施設にはかなり満足しているように感じます。カリキュラムについては、実務を身につけられたことに加え、おおむね試験に役立ったと思われている修了者が多いようですね。とくに、演習科目に加え、リーガルライティング、クリニック、模擬裁判などの実務基礎科目に力をいれた学生は合格率が高い傾向にあります」――現在の制度では、予備試験に合格すれば司法試験を受験できますが、法科大学院出身者との違いはありますか。「予備試験の受験者は、実務科目・臨床科目を学ぶ機会はありません。ですので、具体的な裁判手続および、法曹の仕事のイメージをつかみにくいのではないでしょうか。理論と実務を架橋することで、生きた法律学を学ぶことこそが、法科大学院の最大の利点。司法修習の一部と位置づけられているのはそのためだと考えています」――「理論と実務を架橋した法学教育」とは、具体的にどのようなものでしょうか。「本学では、法学の基礎的な知識・理論と、実際にそれがどのように法曹の仕事の中で活用されているのか理解できるように、実務科目や、模擬裁判、リーガルクリニック等の臨床科目を充実させました。これを少人数クラスで実施し、つねに教員が学生と質疑応答することで、学生の理解度を計りながら、授業を進行しています」――予備試験の導入で司法試験制度が変ったことにより、法科大学院は今後どのように変わっていくと思いますか。「時間と金銭的負担を考えれば、短期的には予備試験の方が効率的と思えるかもしれません。しかし、合格後の就職や実務についてからのことを考えると、法科大学院で学んだことが役に立つはずです。幅広い人脈を築くこともできますし、単なる受験勉強に制限されない体系的な法律学の学習、実務科目によるイメージトレーニングなども学べます。ここに利点があることは間違いありません」ビジネスのグローバル化や企業法務のニーズが高まる中、弁護士の需要は拡大し、業務も細分化している。法科大学院が生き残るには、このようなニーズに応えられる学びの提供が必要。受験資格の獲得や法律理論だけではなく、実務を経験できる法科大学院はさらに重要視されるのではないだろうか。(本記事は、2013年6月時点の情報に基づき執筆されています)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年06月20日ローソンはこのほど、社員自らが健康を意識し、働きやすく能力を発揮できる体制を作ることを狙い、社員の健康をサポートする独自の社内制度を開始した同社では、社員が自らの健康を意識し今後も生き生きと働いていくため、社員の健康をサポートする独自の社内制度を開始。健康アクションプランの提供、職場への健康機器の設置、健康診断の受診率向上制度の実施の3つが、主な取り組みとなる。定期健康診断の結果で血糖・血圧・肥満のリスクが高かった社員に対して個人別に「健康アクションプラン」を提供。生活習慣改善にむけた食事と運動の内容を個別が提示される。また対象者には、専門家による個別健康指導が行われるほか、タニタ社製の通信対応(ローソン店頭のLoppiで簡単に記録可能)歩数計と、独自に開発したスマートフォン用の「健康アクションプランアプリ」を配布。体重・歩数データ・食事内容・摂取カロリーなどをアプリ内に記録し、体質改善に向けた指標として活用を促すという。全社員が健康診断受診ならびに体質改善に取り組むことを目的に、会社が実施する定期健康診断・人間ドックを受診できなかった社員には、年度内の受診を計3回通知。1年間受診しなかった社員と直属の上司には、翌年度5月末に支給される賞与から本人15%、直属の上司10%を減額するという。さらに受診後に再検査が必要と勧告された対象者が、再検査を受けない、もしくは数値改善に向けた取り組みを行わない場合、同様に本人の賞与から状況に応じて2~8%、直属の上司は10%を減額する。2013年度内に実施する健康診断から、同社の社員3,490名を対象に制度を開始するとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月28日せめて有給を消化したいのがホンネ?祝日のない6月。「もっと会社を休めたらいいのに……」と思う人は多いのでは?そこで、実現されたらうれしい休暇制度について、マイナビ会員の男性376名にアンケートしました。いますぐにでも導入してほしい、夢のような休暇がランキングされています。きっとあなたも共感するはず。>>女性編も見るQ.あったらうれしい休暇制度教えてください(複数回答)1位バースデー休暇37.8%2位アニバーサリー休暇(結婚記念日、恋人の誕生日など) 19.9%3位勉強休暇(資格試験の前日) 19.1%4位二日酔い休暇16.8%5位イベント休暇(ライブ、スポーツ観戦など) 15.7%■バースデー休暇・「忙しいと誕生日すら忘れてしまうが、休暇があれば誕生日を忘れずにすみそうだから」(29歳/食品・飲料/販売職・サービス系)・「ハッピーな日にしろ!という感じで休みがほしい」(29歳/電力・ガス・石油/技術職)・「自分の誕生日くらい働きたくはないから」(25歳/学校・教育関連/事務系専門職)■アニバーサリー休暇(結婚記念日、恋人の誕生日など)・「プライベートを充実させたら、仕事の効率も上がりそう。誰にでもありうるイベントで、共感できるため」(24歳/商社・卸/事務系専門職)・「人間味にあふれていて、すごくいいと思う」(25歳/自動車関連/事務系専門職)・「そんな会社があれば、粋だなと思ってしまう」(27歳/その他/事務系専門職)■勉強休暇(資格試験の前日)・「平日のセミナー、カンファレンスに行くのに、有休をとらないといけない」(27歳/ソフトウェア/技術職)・「会社のために努力しているのであれば、休暇があってもよい」(25歳/金融・証券/営業職)・「資格試験の勉強をする時間が、なかなかとれないから」(29歳/生保・損保/事務系専門職)■二日酔い休暇・「二日酔いの次の日は、仕事の効率が愕然と下がるから」(25歳/金属・鉄鋼・化学/技術職)・「二日酔いも病気ではないでしょうか」(29歳/機械・精密機器/営業職)・「絶対に実現されないだろうが、すべての社会人はこれを認めるべきだと考えているに違いない」(26歳/商社・卸/営業職)■イベント休暇(ライブ、スポーツ観戦など)・「イベントに行きたくても、仕事の場合が多いから」(23歳/医薬品・化粧品/事務系専門職)・「WBCの試合を仕事で見られなかったから」(25歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)・「平日にライブがあると行きづらいから」(24歳/電機/技術職)■番外編:こんな休暇もあったらうれしい!・異業種交流会(合コン)休暇「職場では出会いがないから」(22歳/団体・公益法人・官公庁)・ペット休暇「外国ではペットが亡くなったときとか休みが取れるので、日本もそうしてほしい」(28歳/運輸・倉庫/技術職)・ボランティア参加休暇「ボランティア参加率も上がると思うので」(28歳/その他)総評1位はダントツで「バースデー休暇」でした。一年に一度、そして誰にでも平等にやってくる大切な誕生日。忙しい毎日だからこそ、この日くらいは仕事を忘れてのんびりしたいという人が多いのかもしれませんね。2位に選ばれた「アニバーサリー休暇(結婚記念日、恋人の誕生日など)」は、大切な人とゆっくり過ごしていただきたい日。仕事に集中するためには、プライベートも充実させたいですよね。「外国にはありそう」なんてコメントもありました。3位には、「勉強休暇(資格試験の前日)」がランクイン。キャリアアップへの意識が高いことがうかがえます。勉強したくても時間が作れない、そんなジレンマがあるのかもしれません。また、「休日出勤の振替日」「特別に作らなくても、有給を消化できたらいいと思う」など、まずは通常の休みをしっかりとりたいという声も数多く寄せられました。現状では、とにかく休みたいと願う男性が多いのかもしれませんね。(文・OFFICE-SANGA臼井むらさき)調査時期:2012年4月26日~2012年5月9日調査対象:マイナビニュース会員調査数:男性376名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【男性編】この会社にいてよいのか不安になる瞬間ランキング【男性編】仕事中に疲れたとき、自分を奮い立たせるためにしていることランキング【男性編】今の会社に改善してほしいことランキング完全版(画像などあり)を見る
2012年06月12日お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんの母親が生活保護費を受給していた件がさまざまなメディアでとりあげられている。では、「生活保護」の制度とは、そもそもどのようなものなのか。あらためて、同制度の仕組みをみておきたい。生活保護制度は、「資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する人に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」(厚労省)として、1950年に開始。現在の受給者は209万人を超えている。生活保護の相談・申請窓口は、現在住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当部署が行っている。生活保護を受けるための要件及び生活保護の内容については、生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提であり、また、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先する。具体的には、「預貯金、または生活に利用されていない土地・家屋などの資産があれば売却などし、生活費に充当する」、「働くことが可能であれば能力に応じて働く」、「年金や手当てなど他の制度を活用する」、「扶養義務者、または親族などから援助を受ける」、これらすべてを活用して、そのうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用される。保護費は、世帯の収入(給料、年金、仕送りなど)と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が支給される。生活扶助基準額の詳細は厚労省WebサイトのPDFを参照。保護の種類は、「生活扶助」(食費・被服費・光熱費等日常生活に必要な費用)、「住宅扶助」(アパート等の家賃)、「教育扶助」(義務教育を受けるために必要な学用品費)、「医療扶助」(医療サービスの費用)、「介護扶助」(介護サービスの費用)、「出産扶助」(出産費用)、「生業扶助」(就労に必要な技能の修得等にかかる費用)、「葬祭扶助」(葬祭費用)の8種類が用意されている。それぞれの支給内容を説明すると、「生活扶助」の基準額は食事等の個人的費用、および光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出(母子加算などあり)、「住宅扶助」は定められた範囲内で実費を支給、「教育扶助」は定められた基準額を支給、「医療扶助」は直接医療機関へ費用を支払、「介護扶助」は直接介護事業者へ費用を支払、「生業扶助」および「葬祭扶助」は定められた範囲内で実費を支給、となっている。また、生活保護の手続きの流れは以下の通りとなっている。生活保護の相談・申請窓口は、福祉事務所の生活保護担当部署が行っている。生活保護の利用希望者は、現在の居住地域にある該当部署を訪ねて、制度についての説明を受け、さらに生活福祉資金、各種社会保障施策等の活用について検討した上で、申請書を提出する。相談・申請の際に必要な書類は特にないが、制度の仕組みなどを十分に理解するためにも、事前の相談が大切になる。また、福祉事務所を設置していない町村に居住する人は、居住地域の町村役場にて申請手続きを行うことができる。申請書が提出された後は、申請者に対して、保護の決定のために調査を実施する。例えば、「生活状況などを把握するための実地調査(家庭訪問など)」、「預貯金、保険、不動産等の資産調査」、「扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査」、「年金等の社会保障給付、就労収入等の調査」、「就労の可能性の調査」など。なお、この調査において、世帯の収入・資産等の状況が分かる資料(通帳の写しや給与明細等)を提出する場合があるという。支給の可否は、申請日から原則14日以内(調査に日時を要する特別な理由がある場合は最長30日)に決定し、申請者に通知する。なお、申請から生活保護が開始されるまでの当座の生活費がない場合、社会福祉協議会による「臨時特例つなぎ資金貸付」を利用できる場合がある。保護費は毎月支給される。生活扶助基準額の例を見ると、標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)の場合、東京都区部等では17万2,170円、地方郡部等では13万5,680円、高齢者単身世帯(68歳)の場合、東京都区部等では8万820円、地方郡部等では6万2,640円となっている。なお、生活保護の受給中は収入状況を毎月申告する必要がある。また、世帯の実態に応じて、福祉事務所のケースワーカーによる年数回の訪問調査が行われるほか、就労の可能性のある人に対しては、就労に向けた助言や指導が実施される。以上が生活保護制度の概要だ。現行制度は受給認定の甘さが批判されるなど、改善点は多いが、安易に受給額を抑えるだけでは問題の根本的な解決にはつながらないだろう。国は、生活保護の前段階となるセーフティネットの確立、さらに生活保護から抜け出すための新制度の設立に向けて、早期に動き出す必要があるのではないだろうか。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月29日日本モーターボート競走会は4月より、現在の「選手持ちプロペラ制度」を廃止し、モーター1基につきプロペラを2枚ずつ配備する新制度へ改正する。現在の選手持ちプロペラ制度は、選手のプロペラ修整技術の向上により迫力あるレースを実現した反面、モーターと選手持ちプロペラがどのようにマッチングするかが複雑で、レースの勝敗の推理が難しいという声も多くあった。そこで今回、各モーターに備え付けのプロペラを使用する制度に改め、交換状況をシンプルでわかりやすくすることで、観客が推理しやすい情報提供の充実をはかる。各ボートレース場のモーター1基につき、ヤマト製およびナカシマ製の、メーカーの異なるプロペラを1枚ずつ、合計2枚を配備する。プロペラ使用期間は原則2年。出場選手が使用するプロペラのメーカー名(ヤマト/ナカシマ)を事前に発表し、観客への情報公開をはかる。また、選手はプロペラを破損した場合などに、競技委員長の判断により、予備(新)プロペラへの交換が認められる。実施時期は、浜名湖ボートレース場を4月12日からの先行実施とし、そのほかボートレース場は4月27日以降を初日として、順次開催される全レースに適用される。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月29日社内環境をよくするためにある社内の制度。その中でも、これはほかの会社にはないだろうと思われるユニークなものや、参考にしたいような制度はありませんか?そんな社内制度を探るべく、アンケートに答えていただきました。調査期間:2011/9/14~2011/9/20アンケート対象:COBS ONLINE会員有効回答数 952件(ウェブログイン式)■社外の人脈作りに10万円!?まずは、仕事のモチベーションがあがるという社内制度をご紹介します。「愛の密告制度。周りのがんばってる人をピックアップして票が多い人を表彰する」(23歳/女性)、「四半期に1回、ビジネスで貢献した人を推薦し、その推薦された人がプレゼントをもらえる」(27歳/女性)がんばっている人を応援する制度があれば、確かに仕事にも力が入りますね。ほかにも、「英検2級の取得で7万円もらえます。英語に力を入れたい意向があるから」(27歳/男性)7万円もいただけるなら、嫌いな語学でも夜な夜な勉強できるかも!?さらに英語力も身について一石二鳥ですね。一方、「○○周年記念に食堂が無料開放になったけれど、バイキング形式だったのでなかなか取れず大変だった」(32歳/女性)というように、思いっきり満喫、というわけにはいかない制度もあるようです。同様に、「飲み会で3000円補助してもらえる制度がある。使えるのは年2回。『飲ミニュケーション』により会社や仕事のことを考えるため」(30歳/女性)というナイスなシステムでも、「どんなことを話したか書面で提出する必要があるので、それは面倒くさい」というものも。そして驚くことに、「社外交流で人脈作りの活動費10万円をもらった」(24歳/男性)という会社もありました。しかし実際には、「事務の女の子と毎晩ゴハンを食べに行った」と……。また、「社員が交代で毎日のトイレ掃除。掃除のおばちゃんがクビになったので始まりました」(25歳/女性)という効率的な(?)制度もありました。トイレを使用するとき、汚さないように気をつけるようになるかも!?■サイコロできまるボーナスお次は、自分の会社にはないけれど、他社の制度でうらやましいものを挙げていただきました。太っ腹な社長の好意で、「忘年会の出し物で1位の人には100万円。社長のポケットマネーより出されるそうです」(28歳/女性)。ポケットマネーの額が違います。複数の人から寄せられたのが、「失恋した人が会社を休める」(27歳/男性)という失恋休暇と「毎月サイコロでボーナスを決めるという会社があった」(22歳/女性)というもの。失恋休暇に関しては、プライベートを社内で報告するのは照れくさいですが、脱力状態で集中できないより、リフレッシュの時間をもらえた方がありがたいかもしれません。サイコロ「ボーナス」は「6」が出たら本当にラッキーですね。ただし、「サイコロを振って出た目が給料に反映される」(24歳/女性)と、毎月の「給料」に響いてくるのは、リスクも高いような……。ほかには、「14時から16時まではお昼寝タイムがある会社」(24歳/女性)。社長は外国の方でしょうか。でも、眠れたら、頭がすっきりして仕事がはかどりそうです。さらに、ユニークなパターンも数々あります。「うそをついてもおもしろければ休んでもいい」(28歳/女性)、「入社すると苗木を渡されて退社するまで自宅で育てさせられる」(29歳/女性) 、「会議中にうたたねしたらトランポリンをする」(25歳/女性)■みんながあこがれる夢の制度とは?それでは、こんな制度があればいいのに、という希望を挙げていただきましょう。「残業したら給料を減らす」(27歳/男性)、「付き合い残業、サービス残業で罰金。飲み会絶対禁止」(28歳/女性)、「有給を取りやすくする制度」(23歳/男性)、「有休がたまったら会社が買い取る制度があれば、公平だと思う」(29歳/女性)。残業に対する不満、有給を自由に取れない現状が伝わってきます。上司に関する悩みも多いようで、「FA制度上司を選べる制度」(29歳/男性)、「嫌いな上司の人形があって、ムカついたときに殴れる。ストレスがたまらずスッキリ!」(29歳/女性)、「部下が上司を査定。パワハラやセクハラが減ると思う」(31歳/女性)というアイデアが出ていました。また、「時間給制度。有給を1時間ごとに使えたらいいと思う」(31歳/男性)、「1カ月に1回、30分×5枚くらいの休憩時間を取れるチケットを配って、遅刻したときや私用で離席しなければならないときに使えるといいかなと思う」(27歳/男性)という案がありました。平日にも気軽に病院などに行けて便利になりそうですね。こうして見ると、大きな夢や無理な願いというよりは、もともとある権利を使用できない、主張できていない人が多いことが分かります。ぜひ、このような希望も取り入れていただきたいものです。(蘭景×ユンブル)【関連リンク】【コラム】会社選びのポイントは?コブス読者にアンケート!【コラム】「こんな電車はどうだろう?」鉄道会社に提案してみた!【コラム】こんなビジネスマンはイヤだ!身の回りのありえない会社員とは?
2011年11月05日日本医師会は11日、公的医療保険を段階的に全国一本化する「全国一つの医療保険制度」の方針を示すとともに、「国民の安心を約束する医療保険制度」(全文は下記にリンク)を発表した。<公的医療保険の全国一本化に向けての道筋:日医案>そして、厚労省が13年度の廃止とともに新たに検討している高齢者医療制度改革案については、「拙速」との批判もあるため、当面は現行の後期高齢者医療制度を存続させて対応すべきだとしている。日医は「地域保険」と「職域保険」に移行・統合を提案厚労省は新たな制度として、75歳以上を原則として市町村国民健康保険(国保)に加入させ、将来的に国保を全年齢で都道府県単位に広域化する方針を示しており、これを13年度にスタートさせるべく、関連法案を来年の通常国会に提出する考えでいる。これに対し日医案は、現行の後期高齢者医療制度と国保を「地域保険」に統合し、大企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合と公務員の共済組合を、中小企業向けの「全国健康保険協会」(協会けんぽ)に統合し「職域保険」に再編する。そのうえで、25年以降に地域保険と職域保険を一体化するとしている。これまで75歳以上は独立保険方式にする必要性を主張してきた日医だが、これまでの主張を撤回し大きく方向転換したことになる。
2010年11月14日内閣府が発表した「高齢者医療制度に関する世論調査」の結果、政府が進める平成25年度からの新制度については「知っている」が4割しかいなかったものの、これに「関心ある」割合はほぼ8割と多かったという。この調査は9月9日から19日までの間、全国20歳以上の男女3,000人を対象に無作為で実施し、1941人から有効回答を得たもの。これによると、後期高齢者医療制度については「知っている」が85%と高いものの、30歳以下の3割以上が「知らない」と答えている。広域連合の認知度では、「知らなかった」が7割を超えていた。新たな医療制度、過半が適切と。不適切理由は不公平検討中の新たな医療保険制度については、「適切である」(52%)が、「適切でない」(26%)、「わからない」(22%)を上回った。「適切でない」理由を複数回答で聞くと、「サラリーマンに扶養されている75歳以上の方々は保険料の負担がなくなり、高齢者間の不公平が生じるから」と、「安定的な財政運営ができるかどうか不安だから」が、ともに4割を占め、「高齢者によって加入する医療保険制度が異なることは適当でないから」が3割いた。負担のあり方は「税金で」が最多に新たな制度での負担のあり方を複数回答で聞くと、「税金による負担の割合を増やしていく」を挙げたのが43%と最も高く、 以下、「現在の仕組みと同じぐらいの負担割合で、「税金」「現役世代の保険料」「高齢者の保険料」それぞれの負担額を増やしていく」(33%)、「「高齢者の保険料」による負担の割合を増やしていく」(12%)などの順となっている。保険料軽減措置のあり方についてどうすべきかで一番多かったのが、「現在の後期高齢者医療制度のような手厚い軽減措置を継続すべき」と答えた35%、次いで「現在の後期高齢者医療制度のような手厚い軽減措置は必要ないが、徐々に国民健康保険(国保)と同様の軽減措置にすべき」と答えた27%などが多かったという。窓口負担が変わっても「受診頻度は変わらず」が多数医療機関窓口での負担割合が変わることでの受診行動の変化は、現状1割負担から2割負担になった場合「現在の受診頻度と変わらないと思う」(62%)「受診を控えるようになると思う」(38%)現状3割負担から2割負担になった場合「現在の受診頻度と変わらないと思う」(76%)「気軽に受診するようになると思う」(24%)となり、やや影響を受けるものの大部分は変わらないと答えた。このほか、国保保険料を全ての年齢で都道府県ごとに統一することを「適切である」と65%が答え、さらにその進め方については、「まずは65歳以上で統一し、最終的にすべての年齢で統一すべき」と答えの割合が37%と最多で、「まずは75歳以上で統一し、最終的にすべての年齢で統一すべき」と答えた割合が31%と続く結果だった。
2010年11月10日従業員持ち株制度を導入第一生命保険は保険会社で初となる、信託の仕組みを使った新しい従業員持ち株制度を導入する。米国で普及している従業員持ち株制度(ESOP)の日本版となる。「従業員持ち株会型」と「退職給付型」を同時導入同制度では、企業が設定した信託が株式を一括して取得する。第一生命は、「従業員持ち株会型」と「退職給付型」の両制度を同時に導入するとのこと。「従業員持ち株会型」では、取得した株式を毎月の従業員の拠出金に応じて信託から持株会に毎月移す。一方、「退職給付型」では企業側が従業員の退職時などに決まった株数を引き出して渡す。持ち株制度導入による利点に期待第一生命は4月に株式を上場したが、初値の16万から現在は10万円を割り込むなど低迷を続けている。持ち株制度の導入に伴う株式購入は数百億円規模で、同社は株価底上げや安定株主の確保につながる利点に期待しているようだ。
2010年11月01日政府が後期高齢者医療制度の代わりに検討している新制度(13年度導入予定)について、見直しした国民健康保険料見込み額の厚生労働省試算が20日、明らかになった。これは、読売新聞などが報じている。平均の国保料、現行の年6万3千円が年8万5千円にこれによると、現役世代の負担や公費負担増で75歳以上の保険料の伸びを抑えるものの、国民健康保険(国保)に移る75歳以上の約1,200万人の平均保険料は、20年度に年8万5千円となり、現在より2万2千円(35%)増える見通しだ。同省では、13年度から始める予定の新制度の中間取りまとめで、後期高齢者医療制度の1,400万人のうち1,200万人を国保に、200万人を財政の豊かな大企業の健保組合など被用者保険に移ってもらうことを決めている。現行制度では、75歳以上の平均保険料は年6万3千円で、このままでは、13年度に6万8千円に、また20年度には8万7千円になる見込みだが、新制度へ移行させた場合には、13年度は2千円増えるものの、20年度には2千円抑えられるとしている。
2010年10月21日