『カンダハール』のモフセン・マフマルバフ監督の最新作『独裁者と小さな孫』が今週末から公開になる。自国イランの検閲に抗議し、現在はヨーロッパを活動にしている監督は、幾度か暗殺されそうになる危険を乗り越えて、数年ぶりの長編劇映画を完成させた。その他の画像本作の舞台は独裁者がすべてを支配する国。大統領は民衆から搾取した金で裕福に暮らしているが、ある時にクーデターが勃発。大統領と幼い孫は国に残されてしまい、ふたりは安全な場所を求めて船が待つ海へと旅立つ。暴徒化した民衆が、大統領のクビに賞金をかける中、ふたりが旅の過程で目にしたものとは?本作は、何年にも渡って脚本が執筆されてきた。「最初に脚本を書いたのは9年前でした。アフガニスタンを訪問した際に、独裁者をモデルにしようと思ったのです。その後にイランで反政府デモが起き、アラブの春が起き、そのたびに脚本を書き直していったのですが、ある時に『これは私たちの地域固有の問題ではなく、どこでも起きる問題ではないか?』と思ったんです。そこで脚本から固有名詞を消して、政治の話から社会の話へと書き直しました。問いかけ続けたいのは『なぜ、独裁者が生まれてくるのか?』ということです。独裁者がいる国で革命が起きても、また独裁者が生まれてしまうのはなぜなのか? が問題でした」映画では、冷酷な独裁者の逃亡劇が描かれるが、暴徒と化した民衆も重要な役割を果たす。「独裁者と国民と反政府の三角を思い描いてみてください。日ごろ、独裁者に喝采をおくり、もちあげているのは国民です。でもある時に反政府が動いて独裁者を倒すと、国民は即座に反政府と同じように暴力をふるいます。反政府の人々は必ず『独裁者を捕まえて拷問しよう。なぜなら、自分たちが独裁者から拷問されたから』と言います。私たちの国の詩にこういうものがあります。“権力者の顔を見ると、その国の国民の顔が見える”」。映画は逃亡する独裁者の姿を中心に追い、やがて“憎き独裁者を殺せば、すべてが解決するのか?”という問いを観客に提示する。「リビアではカダフィが倒されましたが、あの国ではまだ平和が訪れていません。カダフィを殺した後に、次は民衆たちで殺しあったからです」マフマルバフ監督は本作に込めたメッセージを可能な限り多くの国々の観客に届けるため「セリフの意味がわからなくても、映画のメッセージが伝わるようなイメージを積み重ねていった」という。「すべての国の人々のために映画をつくれば作品は永遠に残ると思いますが、ある特定の国やグループのための作品であれば、それは残ることはないでしょう。たとえば携帯電話は、ある国のために作られたものではなく、地球のすべての人のために存在します。そういうものは残っていくものです」『独裁者と小さな孫』12月12日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町にて全国公開
2015年12月07日昨年度、東京フィルメックスにて「観客賞」を受賞した、イランの巨匠が平和への願いを込めた寓話『独裁者と小さな孫』が、いよいよ12月12日(土)より公開となる。老いた独裁者が幼い孫と逃亡の旅へ出る衝撃の本作で、キュートな魅力をふりまく孫の本編映像が解禁となった。独裁政権に支配される、どこかの国。ある日、クーデターが起こり、老いた独裁者は幼い孫と共に逃亡を余儀なくされる。彼は政権維持のため、多くの罪なき国民をに処刑してきた冷酷な男だった。変装で素性を隠しながら、独裁者と孫は海を目指す。2人が逃亡の旅で目の当たりにする驚くべき光景とは!? 彼らに待ち受けるのは、絶望か希望か――。ヨーロッパで亡命生活を続ける、『カンダハール』『パンと植木鉢』『ギャベ』などで知られるイランのモフセン・マフマルバフ監督の待望の最新作は、平和への渾身の願いを込め未来への希望を描くロードムービー。2014年の第15回東京フィルメックスで「観客賞」を獲得、ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門のオープニングを飾ったほか、ベイルート国際映画祭でも「観客賞」、シカゴ国際映画祭で「最優秀作品賞」に選ばれるなど、各国の映画祭を席巻した。届いた本編映像は、クーデターが勃発し、国外へ避難することになった大統領一家の幼い孫が、大好きな幼なじみのマリアと「離れたくない」と必死に抵抗するという別れのシーン。厳粛な空気の中、歩みを進める一家の先頭を凛々しく、颯爽と歩く幼い孫は、かっこ良くポーズを決め、マリアと並んで歩く2ショットは実にキュート。その後、マリアのもとへ駆け戻ろうとする孫を遮る執事たちの姿が、悲しい別れのシーンではあるものの、観る者を惹きつけるユーモアにあふれた映像となっている。観る者の魂に突き刺すほどの衝撃的な内容ながらも、人間愛とユーモアにあふれ、ロードムービーらしいスリルと冒険と希望が詰まった本作。自らの過去の罪に追われ老いた独裁者と、まだ小さな孫の逃亡の旅をスクリーンで目撃してみて。『独裁者と小さな孫』は12月12日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年12月01日好きな人から「いい香り」ってほめられたことはありますか?部屋に入ってきた瞬間、彼にそう言われたら、それだけでハッピーになりますよね。手軽に香りを取り入れるなら、やっぱりアロマ。アロマグッズは雑貨店で手頃な価格で購入できるし、なによりも簡単に気分転換できるため、ここ数年、女性を中心に人気を集めています。◆おうちデートのNGアロマ&勝負アロマ最近は、アロマ好きの男性も増え、夏場はさっぱりした香りを楽しむ人もいるそうです。そんなアロマオイルの香りも、チョイスひとつであなたの印象を良くも悪くも変えてしまう可能性大!肌寒い日に玄関を開けたとき、冷涼感強めの香りを漂わせるより、ぬくもりを感じる香りで出迎えられるほうが、遊びに来た彼の心も穏やかになるはず。今回は、彼を初めて自宅に招くときに失敗しないアロマオイル選びをご紹介します。◆これはNG:日中の自宅デートで避けたいアロマオイル香りの好き嫌いで選ぶ方も多いと思いますが、アロマオイルの特徴を活かし、TPOや体調にあわせてチョイスすると、もっと素敵な時間を過ごせるかも。彼とどんな雰囲気で自宅デートを楽しみたいか、彼にどういった気分でいてほしいのかをイメージし、シチュエーションにあったオイルで2人の気持ちをひとつにしてみましょう。また、香りは思っている以上に、深く記憶に残るもの。彼の脳に「あのとき、あなたの家で嗅いだ香りだ」とステキな思い出とともに刷り込むために、初めての自宅デートでは「避けたい」オイルをピックアップしました。×ベッドルームでの「イランイラン」はプロっぽすぎる!?エキゾチックで濃厚な香りが人気のイランイランには、緊張をほぐす効果があると言われています。女性ホルモンの調整にも良いと言われ、古くから女性に好まれているのですが、同時に有名なのが、セクシーな気分にさせる催淫特性です。海外ではベッドルームで使用されることが多いそうで、新婚カップルのベッドルームにイランイランの花が添えられる地域もあるとか。しっかりと眠りたいときなどにも効果的なのですが、ちょっと攻めすぎなイメージ…。女性はあまりピンとこないかもしれませんが、イランイランを嗅いでもらった知人男性が、こんなびっくりコメントを寄せてくれました。「夜のオトナのお店で嗅いだことがある!」つまり、主に男性をターゲットとしたお店を連想させてしまう可能性があるようです。そうしたお店にお世話になったことがある彼は、悪気はなくてもそのような場所を連想してしまうかもしれませんね…。似たような理由で遠慮したいアロマオイルがもうひとつ。×トイレの「パチョリ」は肉食すぎる!?ムスクのような、ハーブのような、でもどこかスパイシーな濃厚な香りが人気のパチョリ。主に香水や精油として親しまれています。やはりオトナの魅力をパワーアップさせる効果があり、彼がヒートアップしてし過ぎてしまうかも!?なお、パチョリは漢方薬としても利用され、お腹の調子を健やかにするなどうれしい効能もあるのだとか。敏感な彼の場合はお腹を刺激されてしまい、ゆっくりお茶どころではなくなる可能性も…。日中の自宅デートでは、濃厚で独特、セクシーな香りは避けたほうが無難ですね。◆勝負アロマ:初心者でも安心、彼とリラックスアロマオイル先に難易度の高いアロマオイルを紹介したので、お次は本命のアロマオイルをピックアップしましょう。彼を自宅に招いたとき、アピールしたいポイントはなんですか?きっと「清潔感」が上位を占めるのではないでしょうか。部屋の中がキレイに整理されていても、湿気くさかったり、洗濯物の香りが漂っていては台無しです。それに、初めてあなたの自宅を訪れる彼は、きっと少しばかり緊張しているでしょう。そこで、女性らしいイメージを演出し、ゆったりとくつろげる空間をつくるために、初心者でも扱いやすいアロマオイルをオススメします。◎玄関の「ティーツリー」は綺麗好きを印象付けるさわやかで少しほろ苦い樹木系の香りが特徴。リラクゼーションサロンなどでよく使用されています。香りの印象から「ここは落ち着ける場所だ」と彼に感じてもらえるのではないでしょうか。また、ティーツリーは気持ちを穏やかに前向きにしてくれると言われ、抗菌・殺菌対策としても使用されています。風邪などが流行する秋冬には心強いアロマオイルと言えるでしょう。森林浴をしているような、心地良い空気感を演出してくれるので、日常使いとしてもオススメです。ウッディーな香りが苦手な方は、少しだけラベンダーやローズマリーなど、フローラル系のアロマオイルをブレンドしてみましょう。◎リビングの「ビターオレンジ」はゆったりとした会話の雰囲気を作るその名の通り、柑橘系の香りで気持ちを前向きにします。初めてのお家デートの緊張をほどよくほぐし、いつも通りのあなたで彼を迎えられそうです。秋冬はムスクなど甘みの強い香水を街中で嗅ぐことが増えると思いますが、ビターオレンジの適度な甘さが心も体も温めてくれるはず。飲み物や食べ物の香りを邪魔しないので、外でのデートとは違う、のんびりとした会話を楽しんでください。彼に好みを聞いて香りをアレンジしてみると、より仲が深まるかもしれませんね。◆基本のアロマも常備しておくと便利!アロマオイルといえば「ラベンダー」や「カモミール」「ローズマリー」も有名ですが、まったりしすぎてだらだらした時間を過ごしてしまう気がしたので、今回はオススメしませんでした。でも、ラベンダーは安眠、リラックスに欠かせません。アレンジもしやすいので1本備えておくとよいでしょう。初めての自宅デートは頑張りすぎず、寒い日も温かくゆったりとした気持ちになれるアロマオイルでお出迎えしてみましょう。(文=Riko)あの人とデートするならいつにするべき?【無料占い】
2015年11月27日アジア最大の短編映画の祭典『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2015』が6月15日に最終日を迎え授賞式が開催。イラン映画『キミのモノ』がグランプリを獲得した。その他の写真今年で17回目を迎える同映画祭は6月4日より渋谷、原宿、表参道、二子玉川、横浜などで12日間の日程で開催されてきた。コンペティション部門は作家の冲方丁、俳優で映画監督の奥田瑛二、映画作家の河瀬直美、俳優の要潤、女優の藤原紀香、韓国の人気俳優チョン・ウソンという豪華メンバーが審査員を務め、期間中に上映された85作品(応募総数は4559作品!)の中から、“インターナショナル部門”、“アジア インターナショナル部門”、“ジャパン部門”の優秀作品を選定。その3作品からさらに、グランプリが選ばれた。『キミのモノ』は手に入ることのない物を自分の物だと主張するふたりの少年の姿を描いた作品で、テヘランで映画制作を学んだイラン人監督のレザ・ファヒミ監督にとっては2作目のショートフィルムとなる。“アジア インターナショナル部門”に続き、最優秀賞にあたるグランプリの受賞を知らされたファヒミ監督は満面の笑みを浮かべ「夢を見ているよう。この作品に携わり、協力してくれたみなさん、そして子供たちに感謝したいです。撮影を行った7日間、私たちは子供の視線で世界を見ていました」と喜びと感謝を口にした。なお同作は来年の米アカデミー賞の短編部門のノミネート選考対象となる。審査員6名はいずれも子供の視点で現実を描いた同作を激賞。藤原は子供の所有欲を描きつつ「大人になっても所有や侵略が世界の平和を脅かしている。メッセージをダイレクトに感じました」と語り、海外映画祭常連の河瀬も「世界の縮図に思えて、刺激的で勉強させてもらいました」とうなずいた。“インターナショナル部門”優秀賞はチュニジア出身のロットフィ・アコー監督の『父親』、“ジャパン部門”優秀賞(東京都知事賞)は沖縄出身の岸本司監督の『こころ、おどる-Kerama Blue-』に贈られた。授賞式には音楽をテーマにした“ミュージックShort部門”にGLAYやKABA-BOONも来場。ネット上の投票でネスレアミューズ映画祭のアワードを受賞した園田俊郎監督がネスレ日本の支援を受けて制作した『恋する占女リータ!』もこの場でお披露目され、主演の浅見れいな、大和田健介、IVANらによる舞台あいさつも行われるなど、多彩なゲストに声援が送られた。取材・文・写真:黒豆 直樹
2015年06月17日「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2015」が6月15日(月)に最終日を迎え、アワードセレモニーが開催。イラン映画『キミのモノ』がグランプリに輝いた。今年で17回目を迎える映画祭は12日間の日程で開催され、コンペティション部門だけで85作品が上映されたほか、各種イベントも行われるなど、アジア最大の短編映画祭にふさわしく大きな盛り上がりを見せた。ちなみに、コンペ部門の審査員を務めたのは、作家の冲方丁、俳優で映画監督の奥田瑛二、海外映画祭の常連監督である河瀬直美、俳優の要潤、人気韓国人俳優のチョン・ウソン、そして女優の藤原紀香と超豪華な顔ぶれ。中でもつい最近、歌舞伎役者の片岡愛之助との熱愛が報じられた藤原さん目当ての報道陣も数多く会場に詰めかけたが、藤原さんはチャイナドレス風の真っ赤なドレスでスリットから素足をのぞかせながら笑顔でレッドカーペットを歩いた。このほか、楽曲を元に製作される「ミュージックShort」部門に楽曲「疾走れ!ミライ」を提供した「GLAY」や「生きていく」を提供し、俳優業にも挑戦した「KANA-BOON」なども来場し、大きな盛り上がりを見せた。85作品の中から「インターナショナル部門」、「アジア インターナショナル部門」、「ジャパン部門」の3部門の優秀賞が選定され、その中からさらにグランプリが決定するが、子供の視点で物語を紡いだ、イラン人レザ・ファヒミ監督の手による『キミのモノ』が「アジア インターナショナル部門」優秀賞に続き、グランプリを獲得!ファヒミ監督は「夢を見ているよう。撮影を行った7日間は子供の視点で世界を見ていました」と喜びを口にした。審査員の中でも藤原さんは、子供たちがあらゆるものを“自分の物”であると主張するさまを描いた同作に触れ「子供の世界を描いていますが、大人になっても所有や侵略により、世界の平和が脅かされている。メッセージがダイレクトに伝わってきました」と称賛。他の審査員からも、現実や大人の世界を感じさせつつ、子供の視点で世界を描いた本作への絶賛の声が寄せられた。グランプリ受賞はならなかったものの、「インターナショナル部門」優秀賞はチュニジア出身のロットフィ・アコー監督の『父親』、「ジャパン部門」優秀賞(東京都知事賞)は沖縄出身の岸本司監督の『こころ、おどる-Kerama Blue-』が受賞した。映画祭の創設者であり代表を務める別所哲也はあと3年で迎える記念すべき20回に向け、さらなる飛躍を誓い、盛況の中で映画祭は閉幕した。(text:cinemacafe.net)
2015年06月15日「まだ見ぬデカ盛りはないものか……」とネットサーフィンに勤しんでいたデカ盛りファンの筆者。すると、「東京都の上板橋にデカ盛りのイラン料理居酒屋がある」との情報が目に飛び込んできた。イラン料理……のデカ盛り!? イラン料理にそもそもなじみがないので一体どんな店なのか想像もつかないが、胃袋的にワクワクする語感であることは間違いない。しかも、フードはすべて400円との噂!! 「イラン料理×デカ盛り×全フード400円」という魅惑的かつ摩訶不思議な組み合わせ。むむっ! こりゃ、実際に突撃してみるしかないですぜ!!○ダジャレ大好きな名物イラン人店主やって来たのは東武東上線の上板橋駅から徒歩8分ほどの場所にある「居酒屋 花門」。看板にはでかでかと「COME ON」の文字が。つまり、「花門」に「カモン」。あぁ、なるほど……。クセ者のマスターがいるような気配をビンビンと感じつつ、おじゃましますっ!「はい、いらっしゃい~」と、陽気に声をかけてくれたのは花門の名物マスターであり、イラン人のマンスさん。店内はいかにも日本的な雰囲気だが、ところどころに中東テイストが混じっている。……というか、そんなことよりもツッコミどころが多すぎる! まず、なんでこんなにたくさん時計があるんですか!?「そんなことは"ほっとけい"ってね」(マンスさん)。あああっ! 聞くんじゃなかった!! でも、ちょっと吹き出してしまった自分のバカバカッ! これ以上ツッコんでいたらキリがない気がするので、とりあえずデカ盛りをいただきたいですっ!! そこでさっそく「ポテトサラダ」と「イランの煮物」(各400円)を注文!○とある夫婦がキッカケで激安デカ盛りに!そして、運ばれてきたポテトサラダを見て驚愕!! もう山ですやん! ポテサラマウンテンですやんっ!! これで400円だというのだからゴイスー!!!だがしかし! 肝心なのはそのお味。では、いただきま~す! ……ウ、ウマい!! シンプルな味付けながら、茹で玉子とハムがゴロゴロと入っており、粗挽きのブラックペッパーがいいアクセントになっている!……と、ポテサラを食べ進めているうちにイランの煮物が運ばれてきた。って、これも量がハンパない! お味は、例えるならトマトベースのスープカレーといった感じ。スパイスが効いてはいるが、優しい味でこれまたウマい! イラン料理を食べるのは初めてだが、なんだか懐かしい味だ。味もさることながら、やっぱりこの量で400円は驚き! なんでこんなに安いんですか、マンスさん。「20年くらい前、とあるご夫婦が来店したんだけど、奥さんが妊婦でね。奥さんは800円ほどするサイコロステーキを注文しようとしてたんだけど、旦那さんが『予算がないから安いのにしよう』と言って、サイコロステーキではなく380円の料理を食べて帰ったんだ。そのとき『もし、サイコロステーキが380円だったら奥さんも食べられたし、お腹の赤ちゃんにも栄養がいったんじゃないか』と考えたら悲しくなって、翌日に全メニューを380円にしたんだよね。しかも、逆に料理の量を増やしてやった(笑)。お客さんがみんな笑顔になって帰ってくれるのが一番大事。人が笑ってくれると自分も幸せをもらえるから」。ううう……なんていい話なんだ!「私は周りの人に助けられながらお店をやってきたんだよ。隣のお豆腐屋さんには豆腐を分けてもらうこともあるし、とある男性は『花門にカモン! 』というブログを毎日書いてくれている。そういう絆って大事だと思う。その恩返しじゃないけど、『今、私に何ができるか』を考えて、お客さんに笑顔になってもらうために頑張ってるんだ。実は私、画家としても活動しているから、絵の売り上げを東北に寄付したりもしてるしね」。実はマンスさん、「日展」に7度も入賞するほどの絵の腕前なのだ。ただのオヤジギャグ好きのイラン人だと思っていてすみません、素晴らしいです! ……と、感動していたのもつかの間、「私は林先生より前に『今でしょ! 』と言っていた」だの「さんまさんより前に『しょうゆうこと! 』っていうギャグを使っていた」だのと、また軽口をたたき始めたマンスさん。真面目な話をしたかと思えば、しょうもない話を挟んでくる。でも、いつの間にか時間を忘れて笑顔になっていたのは事実だ。マンスさんの愛情がこもったデカ盛りとしょうもないダジャレでお腹いっぱいになりたい方は、今すぐ花門にカモン!!※価格はすべて税込(文・A4studio千葉雄樹)
2015年04月02日イランの最高指導者ハメネイ師が、クリント・イーストウッド監督の最新作『アメリカン・スナイパー』を批判するコメントを出した。自分は映画を観ていないと認めながらも、同作品は「クリスチャンや、ムスリム以外の若者に、できるかぎりムスリムに嫌がらせをしろと奨励する映画だ」と国営の新聞に対して語ったもの。その他の画像『アメリカン・スナイパー』は、イラクに遠征した米戦士クリス・カイルの自伝にもとづく戦争ドラマ。R指定のシリアスな映画であるにも関わらず、北米では3億ドル以上という、まるでスーパーヒーロー映画のような大ヒットとなり業界を驚かせている。アラブ諸国でもヒットしており、すでに30万人が観たとされている。イラクでも7000人が観たとされるが、上映される地域は偏っており、バクダットでは暴動の可能性などを警戒し上映されていない。『アメリカン・スナイパー』2月21日(土) 全国公開文:猿渡由紀(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2015年02月18日イラン・イスラム共和国は2015年2月2日、人工衛星「ファジル」を搭載した「サフィール」ロケットの打ち上げに成功した。イランにとってこの打ち上げは前回から約3年ぶりの衛星打ち上げ成功となり、またファジルはイランが自力で開発した衛星としては4機目となった。○サフィール・ロケット、衛星ファジルを打ち上げファジルを搭載したサフィールは、イラン標準時2015年2月2日14時20分ごろ(日本時間2015年2月2日17時50分ごろ)、イラン北部のセムナーン州にある、ルーホッラー・ホメイニー宇宙センターから打ち上げられたとされる。イランは打ち上げ時刻については明らかにしていないため、この時刻は衛星が乗っている軌道の情報からの推定である。打ち上げ後、米戦略軍の統合宇宙運用センター(JSpOC)が運用する宇宙監視ネットワークによって、軌道上に2つの物体が乗ったことが検知されている。宇宙監視ネットワークとは、米国の本土をはじめとする世界のあちこちに設置された、数十基からなる望遠鏡やレーダーを使い、地球周辺の軌道を回る物体を検知、追跡するシステムで、軌道上にある物体を管理、監視し、人工衛星や宇宙ステーションに、他の衛星やデブリなどが衝突する可能性がある場合に警告を出したりといった役目を担っている。宇宙監視ネットワークの観測データによれば、物体のうち1つは、地球の地表に最も近い点(近地点高度)が224km、最も遠い点(遠地点)が470km、赤道からの傾き(軌道傾斜角)が55.53度の軌道に、もう1つは近地点高度224km、遠地点高度460km、軌道傾斜角55.54度の軌道に乗っているという。現在、暫定的に前者には2015-006A、後者には前者には2015-006Bという名前が与えられており、どちらかがファジルで、もう一方がロケットの最終段だと考えられる。イランにとってこの打ち上げは前回から約3年ぶりの衛星打ち上げ成功となり、またファジルはイランが自力で開発した衛星としては4機目となった。○衛星ファジル「ファジル(Fajr)」はイラン・エレクトロニクス・インダストリーズ社が開発した衛星で、「夜明け」、もしくは「オーロラ」といった意味だという。打ち上げ時の質量は52kgで、設計寿命は1年半ほどとされる。衛星にはカメラが搭載されており、地球を観測することが可能だという。またGPS機器も搭載しているとされるが、もちろんGPS衛星というわけではなく、位置の把握などに使われると考えられる。また「コールド・ガス・スラスター」を持ち、軌道を変えることができるともいわれる。コールド・ガス・スラスターとは、窒素ガスなどをあらかじめ掛けておいた圧力だけで噴射するエンジンで、その仕組み上、推力は弱いが、構造が簡単という利点がある。打ち上げから1週間が経った2月9日現在、軌道を変えた形跡は見られないが、今後の動きに注目される。ファジルはおそらく、カメラやスラスターなどの技術試験と、少しばかりの偵察を目的としていると思われる。現在の軌道では、地球上のある点を一定の周期で観測することはできないため、本格的な偵察衛星として使うことは難しいが、まったく役に立たないというわけでもない。○サフィール・ロケット「サフィール(Safir)」は2段式の液体燃料ロケットで、全長22m、直径1.25mの、比較的小型の機体だ。打ち上げ能力も、地球低軌道に50kgほどと小さい。サフィールとはペルシア語で「使者」という意味を持つ。ロケットの第1段には準中距離弾道ミサイル(MRBM)のシャハーブ3を改造したものを使用しているとされる。どの程度の改造が施されているか詳細は不明だが、少なくとも外見からは機体の全長が伸びており、推進剤の搭載量が増えていることがわかる。また第2段には2基のロケットエンジンを持っていることが、イランが公開している写真で確認されている。サフィールはこれまでに、知られているだけで5機、憶測も含めると7機が打ち上げられているが、その過程で改良が行われているらしく、例えば初期に打ち上げられた機体と今回の打ち上げに使われた機体とでは、推進剤が変更されるなどし、打ち上げ能力が大きく向上しているとされる。推進剤については、組み合わせは不明だが、初期のサフィールにはTM-185(ケロシン20%とガソリン80%)とAK-27と呼ばれる赤煙硝酸(27%の四酸化二窒素(N2O4)と73%の硝酸(HNO3)を、現在運用されているサフィールには非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)とAK-27を使用しているという説がある。また外見も白い塗装が施されていたり、材料の地色がそのまま出ていたりといった違いがあるが、いかなる理由で塗装するか否かを決めているかは不明だ。考えられる理由として、打ち上げ能力の都合で、余力のあるときは見栄えを重視して塗装し、そうではないときは塗装を削って軽量化を図っているのではないかということが挙げられる。また、白い塗装はタンク内の推進剤の温度をある程度保つ役割があり、特にイランは大陸性気候で、なおかつセムナーン衛星発射センターは砂漠地帯にあることから寒暖の差が大きいため、打ち上げる季節や気候によって塗装の有無を変えているということも考えられる。その他にも、アリッジ・モーターにも細かな改良が加えられている様子が、公開されている写真から見て取れる。アリッジ・モーターというのは、第1段と第2段の確実な分離のためと、第2段の推進剤をタンクの底に押し付け、確実にエンジンへ供給できるようにするための、小さなロケット・モーターのことだ。サフィールの開発にあたっては、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や中国からの技術供与があったと言われており、シャハーブ3は北朝鮮のミサイル「ノドン」のイラン版とも見なされている。さらにその源流には、ソヴィエト連邦で開発されたR-17、いわゆる「スカッド」ミサイルがある。結果的にはイランが北朝鮮よりも先に人工衛星を打ち上げることに成功したが、現在でもイランは、北朝鮮の銀河2(テポドン2)のような、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に匹敵するロケットは開発できていないため、現代でもロケット技術に関しては北朝鮮に一日の長があると見て良いだろう。ただ、イランは現在、「シームルグ」(Simorgh)と呼ばれる、より大型のロケットの開発を進めている。サフィールと比べると、第1段機体が格段に太くなっており、ロケットエンジンは4基を束ねる形で装着されている。このエンジンはおそらくノドンやサフィールで使われているのと同じもの思われ、こうして既存のエンジンを4基を束ねることで大きな推力を得る構成は、北朝鮮の銀河2号でも見られる。打ち上げ能力などの性能は不明だが、地球低軌道に100から150kgほどの衛星を打ち上げられるものと思われる。100kg級の衛星であれば、地球観測や通信を行うのに、ほぼ十分な性能をもたせることが可能となる。現時点で、シームルグの開発がどの程度まで進んでいるのかは不明だが、2015年3月から2016年3月(これはイラン暦でその年の年始から年末にあたる)までの間に初打ち上げが実施されると報じられている。(次回は2月19日に掲載予定です)参考・・・・・
2015年02月18日1979年にイランで実際に起こったCIAによる人質救出作戦の全貌を描いた映画『アルゴ』。監督・主演を務めるベン・アフレックが本作について語るインタビュー動画が届いた。インタビュー動画『アルゴ』は、イランの過激派によるアメリカ大使館襲撃から逃れ、カナダ大使宅に身を隠した職員6人を、CIA局員が考案した“ニセの映画製作”という前代未聞の作戦で救出しようと奮闘する姿を描いた物語。『ゴーン・ベイビー・ゴーン』『ザ・タウン』で監督を務め、本作でも俳優・監督・製作の3役をこなしたアフレック。本映像でインタビューに答えたアフレックは、兼業したことについて「新鮮で楽しかった。でも長年俳優をやっていて現場にいるのには慣れているから、兼業するからといって仕事が増えたとは感じなかった」と振り返り、「多くの俳優は監督的な感覚を持っていて、そのシーンがうまくいっているかどうか俳優には本能でわかるんだ。映画の現場で働いていれば、そういう感覚は自然と身につく。監督をするにはそれを磨いて周囲に耳を傾けることだ」と、監督としての才能も感じさせるコメントを発言している。しかし課題もあるようで、「演技について考えるのに時間を費やすと監督として考える時間が減ってしまう。その2つの仕事の時間配分に悩まされた」と自らの問題点を指摘している。劇中では、人質となった6人を救出するために、アフレック演じるCIA局員のトニーが“ニセの映画製作”をでっちあげ、6人を映画クルーに変装させるシーンが映し出されているが、この6人を演じる俳優をキャスティングする際には、演技力の高さはもちろん、外見が似ていることを重視したという。それは、実際の事件を基にしているからこそリアルに描きたかったためだそうで、ヒゲやメガネで70年代に生きていた実際の人物に似せるのは難しいという理由から、「テヘランの大使公邸として建てられたセットで役者たちに実際に共同生活をしてもらった」と明かしている。この共同生活には、より忠実に演じてもらうために当時の映画や雑誌、本や衣装が用意されるなど、徹底した環境で行われたという。本映像で“よりリアルを追求したい”と語っているアフレックだが、実際の事件が、映画ではどのように再現されているのか気になるところだ。『アルゴ』公開中(C)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
2012年10月26日ベン・アフレックが監督・主演を務める映画『アルゴ』が26日(金)から公開される。かつてイランで実際に起こった人質救出作戦を描いた物語だ。アフレック監督が「作り話だと思って当然だ」と語る作戦の内容とは? その概要を予習できる特別映像がこのほど公開された。『アルゴ』特別映像この物語の舞台は1973年。イラク革命が激しさを増す中で過激派たちがアメリカ大使館を占拠し職員を人質にとるという事件が勃発。しかし、人質にとられた6人はクセ者揃い。彼らは過激派の目を盗んで逃亡し、カナダ大使の自宅に身を隠す。そこで、アフレック演じるCIA局員のトニー・メンデスらは“ニセの映画”をデッチあげ、6人のアメリカ大使館員をロケハンに来たカナダの映画クルーに仕立て上げ、国外に出国させるという“ありえない”計画を思いつく。このほど公開された映像は、過激派に襲撃され、命が危険にさらされてしまった大使館員たちの緊迫した状況や、個性豊かな6人の人質たちの様子をテンポよく紹介。さらに彼らを何とか救出しようと周囲のプレッシャーと戦いながら知恵を絞るCIA局員たちの姿と、その果てに遂行される“前代未聞の作戦”の一部が登場する。“事実は小説よりも奇なり”というが、ここで描かれている物語は本当にイラクで起こったことを関係者の証言を基に描いたもの。もちろん映画はスリリングな作戦の行方を追いながら、そこに居合わせることになった人々のドラマをしっかりと描いており、CIA局員を演じたブライアン・クランストンは特別映像の中で本作を「ヒューマンドラマであり、他人の命を救うために、奮闘する人々の物語」だと分析する。果たして、作戦の結末は? そしてそこで生きる人々のドラマは? 長年、米政府が“最高機密”にしてきた事件の全貌が今週末、一般公開される。『アルゴ』10月26日(金)丸の内ピカデリーほか全国公開
2012年10月25日久々に、ぐっと来るラブストーリーに出会いました。この作品をラブストーリーと定義するかは人それぞれだと思いますが、『チキンとプラムあるバイオリン弾き、最後の夢』は私にとってまぎれもなく、切なくも美しい恋物語なのです。主人公の天才バイオリニスト、ナセル・アリは死ぬことにしました。なぜなら大切なバイオリンを壊されたから。そして8日にわたる最期の日々に、人生で起きたさまざまなことをふり返ります。辛かった修業時代、聞く者を涙させる音色で人気を得た黄金時代、最愛の人ながらも最も怖かった実の母親、その母に無理強いされた結婚、大好きだったソフィア・ローレンとチキンのプラム煮。中でも、もっとも彼を涙させたのは、叶わなかった人生で唯一の恋。時にコミカルに、時にしっとりと、ファンタジックな映像表現を用いながら、ひとりの男の人生が走馬灯のように映し出されているのです。でも、物語の核となっているのは、叶わなかった恋のこと。ラストに訪れるクライマックスの胸も高鳴るような高揚感は、この恋物語があるから生きるものなのですから、やっぱり本作はラブ・ストーリーなのでしょう。舞台となっているのは、1958年の秋、テヘランの街角。クラシカルなファションに身を包んだ主人公たちは、主にヨーロッパの香りを感じさせています。実はこれはイラン映画ではなく、ヨーロッパ映画。原作者で、本作の監督も共同で務めたマルジャン・サトラピは1969年、イランのラシュト生まれ。14歳のときに亡命し、ウィーン、ストラスブールを経て現在はパリ在住と聞けば納得がいくでしょうか。ただ、舞台がイランと聞けば、イメージするファッションは、女性たちがスカーフとマントウという丈の長いトップスを着ている姿。ただし、それは現在のこと。作品に描かれている時代には、もっとファッションは欧米の影響が色濃く、70年代にはタンクトップやミニスカートに身を包み、長い髪を好きなようにアレンジした女性たちの姿も記録されているのです。現在のイランは、1979年から続くイスラム共和制。イスラム教の最高指導者が最高権力を握っているので、女性は肌や髪を露出することが許されません。ここ数年は徐々にお化粧や服の色が派手になりファッションの自由化を望む声は大きくなってきたものの、髪や肌を人目に晒さないという基本はそのまま。その様子は、サトラピ監督が2000年に発表した自伝的コミック「ペルセポリス」でも語られています。30か国語に翻訳される世界的ベストセラーとなった『ペルセポリス』は、同作を原作としたアニメーション映画でもカンヌ映画祭部門賞を獲得しているので、映画ファンの中には観た方も、覚えている方も多いでしょう。映画『ペルセポリス』では、若い頃、サトラピ監督がイスラムの風習に従うことを拒み、反抗を繰り返す様子が描かれています。ファッションが自分を表現するひとつの手法であることを当然だと思っている私たちには、かなり異様なエピソードばかり。1979年以降のイランを描けば、服装の制限は自動的に事実として付きまとってしまうのです。でも、『チキンとプラム~』では、ファッションに自由と喜びがあった頃のテヘランが見られます。レースやリボン、花柄を用いたアイテムに、色を重ねたレイヤードファッションは、ファッショナブルでとっても優雅。ナセル・アリの恋物語も、エレガントなファションに包まれて、より普遍的な華やかさを帯びています。そして、主人公も“恋の国”の言葉、フランス語で話していることで、その性格はより強まっているのです。国の文化や背景を必要以上に意識させることなく、観客を物語が内包するメッセージや美しい映像、独特の語り口に没頭させることこそ、サトラピ監督の本望に違いありません。サトラピ監督としても、現代イランの物語をこういった自由を得て描くことを夢見ているのかもしれませんね。(text:June Makiguchi)■関連作品:チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~ 2012年11月10日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開© Copyright 2011Celluloid Dreams Productions-TheManipulators-uFilm Studio 37-Le PacteArte France Cinéma- ZDF/Arte-Lorette Productions-Film(s)
2012年10月10日フリージャーナリストとして幅広く活躍する池上彰氏が4日、都内で行われた米映画『アルゴ』の特別試写会に出席した。1979年にイランで実際に起きた「アメリカ大使館人質事件」における米国人救出劇を描いたサスペンス。池上氏は「非常にリアルで、よくできている。(作戦の)壮大さと細かさがすごいし、すべて史実に基づいていると念頭に置いて楽しんでほしい」とアピールした。作品の写真1979年、革命の嵐が吹き荒れるイランで、過激派によるアメリカ大使館襲撃事件が発生。間一髪、大使館を抜け出し、カナダ大使宅に身を潜めた6人の米国人大使館員にも命の危険が迫っていた。人質奪還のプロであるCIA局員のトニー・メンデスは“ニセの映画製作”をぶち上げ、イランに潜入。6人を映画スタッフとして国外に脱出させる奇策に出る…。作戦決行から18年もの間、最高機密扱いだった実話を、俳優のベン・アフレックが3作目の監督作として映画化し、主演も務めた。池上氏は「いわゆる映画の“つかみ”が非常に不思議で、最初は『あれ?』と思うかもしれないが、最後まで観ると『なるほど』と納得できるはず」とアフレックの演出手腕をベタ褒め。俳優としてのアフレックに対しても「カッコ良かったですね。同時にこの人相ならイランに溶け込めるな、という見事な役作りをしている」と太鼓判を押した。また、イランのアハマディネジャド現大統領は、映画の冒頭でアメリカ大使館を襲撃した勢力グループに属していたといわれ、「イランが今も抱える問題は、あの襲撃事件から始まったともいえる」と解説した。最近ではリビアの米領事館が襲撃され、駐在大使ら米国人4人が殺害される事件も発生。池上氏は、「今の時代も、世界各地で大使館の襲撃が起きている」といい、「かつてペルーの日本大使館で人質事件が起きた時も、日本側になす術はなかった。またいつか同じような事態になった場合、さあ日本はどうするか」と危惧していた。『アルゴ』10月26日から全国ロードショー取材・文・写真:内田 涼
2012年10月05日10月26日(金)から日本公開されるベン・アフレック監督&主演作『アルゴ』のポスター画像が公開された。その他の写真本作は、実話を基に1979年のイランで実行されたCIA(米国中央情報局)による人質救出作戦の全貌を映画化したもので、過激派によって占拠された米大使館から逃げ出し、カナダ大使の家に身を隠した6人のアメリカ人職員たちを、“想像を絶する作戦”で救出するまでを描く。本作でアフレックが演じるのは、CIAの人質奪還のプロ、トニー・メンデス。彼は、大使館員救出に際し、SFファンタジー『アルゴ』というウソの映画をデッチあげ、ロケハン(撮影場所を探して現地を取材すること)に来た撮影スタッフとして6人を国外へ出国させようとする。このトンデモない提案は何と実話で、アメリカが18年もの間、最高機密としてきた内容だ。映画はこの“知られざる物語”をハリウッド、CIA本部、イランの3か所を舞台に描きだしており、このほど公開されたポスターも、それぞれの場所でおこる緊迫したドラマを想起させる構図となっている。アフレック監督は本作について「この作品は、シリアルキラーやスーパーヒーロー、ロボットが登場するハリウッドの典型的なヒット映画ではなく、観客にどんな内容なのかを語るのが簡単な作品ではない」と説明するが「ひとりでも多くの人に観てもらいたい映画になった」とその完成度に自信を見せる。ハリウッドの定型では語れない『アルゴ』は、一体どんな“予測不可能”なドラマを描いているのか? 日本公開を楽しみに待ちたいところだ。『アルゴ』10月26日(金)丸の内ピカデリーほか全国公開(C)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
2012年09月27日イランの世界的名匠アッバス・キアロスタミ監督が日本を舞台に日本人キャストを起用して製作した『ライク・サムワン・イン・ラブ』に出演する加瀬亮が、9月23日(日)に渋谷のユーロスペースで行われたトークショーに出席した。デートクラブを通じて亡き妻に似た若い女性・明子を家へと呼んだ、元大学教授のタカシ。彼女の婚約者だという青年が現れ、タカシを明子の祖父だと勘違いしたことから彼らの人生は思わぬ展開を見せることになる。撮影現場で演技をしている時点では、この映画がどのようなものになるのか?物語に込められた意味などということに関して「ほとんど凄さが分からなかった」という加瀬さん。「打ち上げのときに監督が予告編を見せてくれて、『どうやら現場で感じたのと違うものができているようだ』と驚いた」とのこと。さらにカンヌ国際映画祭の場で本編を観て、「かなり驚いた。奇妙なことに自分の中に(映画が)居ついてしまった」とふり返る。「たいていの作品は、自分が演じて監督の演出に応じることが仕事で、出来上がった映画を観て、反省して次へ行くというものなんですが…」とこれまでとは違った感覚に包まれたと明かす。これまでガス・ヴァン=サント監督など海外のフィルムメーカーを含め、数多くの現場を経験してきた加瀬さんだがキアロスタミ監督の演出に戸惑うこともあったよう。「3人での車のシーンでは、僕がタバコの火を借りて一旦、(画面から)外れるんですが、そこで監督が『あっちを見ろ!』、『こっちを見ろ!』って立ち上がって怒鳴り始めるんですよ(笑)。意味が分からず混乱しました。役者が計算して決めてきたことに対して、本当の整理を求めてくるんですよね」とその演出の意図を推察する。動きなどに対しかなり細かい決めごともあったそうで、カメラのフレームから一度外れて、再び戻ってくるというシーンでは「『1回(カメラから)外れたら、20回スクワットしてから出てこい』と指示されたこともあった」とか。「リハーサルで1回やってみると『お前の演技は見たくない!』って言われて、50回だか100回、スクワットをやっておけと言われたり。ジョークだと思って10回くらいやって止めたら、『まだ10回だぞ』と(苦笑)。役者って『こういう気持ちだ』とか『いい人、悪い人』って整理しちゃうものですが、実際はうつろいやすく曖昧ですよね。そういう自分ひとりでは作れないものを演出や偶然によって監督が作ってくれたのかな。計算や邪念を取り除いてくれたと思います」と語った。この日は、撮影後に本作の解釈や意味を巡って友人と交わしたというメールをわざわざプリントアウトして持参した加瀬さん。自身が10代のときに初めて観たというキアロスタミ作品の『桜桃の味』などを引き合いに、本作のテーマや唐突なラストシーンの意味などについて自らの考えを熱弁。俳優であると同時にシネフィル(映画狂)の一面をのぞかせた。『ライク・サムワン・イン・ラブ』はユーロスペースにて公開中。■関連作品:ライク・サムワン・イン・ラブ 2012年9月、渋谷・ユーロスペースにて公開
2012年09月24日イランの巨匠アッバス・キアロスタミが日本を舞台に製作した『ライク・サムワン・イン・ラブ』が9月15日(土)に公開を迎え、出演した奥野匡と高梨臨がユーロスペース(東京・渋谷)にて行われた舞台挨拶に登壇した。退職した元大学教授がデートクラブを通じて知り合った若い女性への恋心を静かに描き出す。奥野さんらはオーディションで出演が決まったが「台本がない撮影でその点は面食らいました。映画ってのは、監督次第で我々は監督に操られて映画ができてしまうものなんですね。演技なんてものをすると監督は嫌うので、何も教わらないでやったんですが、観てみたら映画になってるから不思議なものです」と巨匠の現場をふり返る。高梨さんは「私はふざけて『ヘタクソ!』って言われたり、いじめられました(苦笑)。そうやって緊張をほぐしてくれてたのかな」と撮影を思い起こす。キアロスタミの妥協のない演出が印象的だったようで「奥野さんは何回も階段を昇り降りさせられて、スタッフの方がヒヤヒヤしてました」と明かした。2人は監督、そして共演の加瀬亮と共に本年度のカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩いたが、奥野さんは「僕は主に舞台の人間だからカンヌは別世界のものだと思ってて、『行きたくない』って言ってたんです」と告白。さらに「人がいっぱいいて、道を歩いてても握手を求められたり、写真を求められたりしまして、これは日本に帰ったらどうなるんだろう?と思ってたらいつも通りでした」と語り笑いを誘っていた。高梨さんは「外国人のお客さんと一緒に映画を観る機会はあまりないですが、静かな映画なのにちょっとしたジョークで笑うので、新鮮な気持ちを味わいました。映画祭自体も初めて、海外の監督も初めてで、価値観が180度変わるいい経験をさせていただきました」と自身の中で掴んだ成長の手応えを口にした。本作は来月、韓国で開催となる釜山国際映画祭に出品されることになっており、奥野さんと高梨さんも渡韓する予定。年の離れた2人の男女の物語が韓国の観客にどのような反応で迎えられるか楽しみなところだ。『ライク・サムワン・イン・ラブ』はユーロスペースほか全国にて公開中。■関連作品:ライク・サムワン・イン・ラブ 2012年9月、渋谷・ユーロスペースにて公開
2012年09月15日イランの巨匠アッバス・キアロスタミが、日本人の俳優とスタッフを起用し、日本で撮影、日本語で撮り上げた映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』。3人のメインキャストのうちノリアキを演じた加瀬亮が、すべてを見抜くような巨匠の才能に驚いたというエピソードを明かすとともに、「初めて観るタイプの映画で、気に入っています」と完成作に自信を示した。その他の写真「最初に聞いた情報は、おじいさんと若い女性の恋愛映画ということだけでした(笑)」とイン前を回想する加瀬。フタを開ければ普通の恋愛譚ではなく、元大学教授のタカシ(奥野匡)、デートクラブでアルバイトをしている女子大生・明子(高梨臨)、そして明子の婚約者で自動車整備工のノリアキが繰り広げる、愛憎を超えた深い人間ドラマが横たわっていた。3人は一方的に愛を語り、真実と虚構を混ぜた会話を重ねていく中で、激しく運命の歯車が回り出す。「スケールの大きなストーリーではないけれど、自分が考えもしなかった場所に連れて行かれるような感覚で、作品を観て驚きました。現場にいた誰もが予想していなかったと思います」と加瀬も衝撃を受けたようだ。実は加瀬たちが、キアロスタミの才能を思い知ったエピソードが面白い。それは撮影途中で行われた打ち上げでのこと。「監督の国と撮影のやり方が全然違うので、現場がすごく大変で最後の方は疲労がピーク。その段階で打ち上げがあって、皆それどころじゃない感じで。監督が来たら一言くらい言ってやりたいみたいな雰囲気でした(笑)」とピリピリした緊迫ムードの中、現れた巨匠は本作の予告編を携えていたという。「それがあまりにも素敵で、皆でシーンとなりました(笑)。いったい自分たちは何を作っていたのか? って、目を合わせたほど完成度が高かった。初めて観るタイプの映画で、これは凄い作品になりそうだと、その時皆初めて分かった感じですね(笑)」。その予感は、撮影を終えて現実となった。「あまり自分の出ている作品をほめるのもアレですが、僕はすごく今回の映画を気に入っています。とにかくすごいものが出来たって感じです(笑)」と感激を隠さない加瀬。イラン人監督による日本人男女3人の、わずか1日にも満たないドラマ。それは見たくも見せたくもない恥部を突かれたような感覚にも似て、3人が辿る運命を我がごとのように追ってしまう。「そうですね(笑)。でも、どう言葉で説明していいのか、それで伝わるかは分からない作品だと思うので、とにかく観ていただいて僕たちと同じ気分を味わっていただけたらなと思います」。『ライク・サムワン・イン・ラブ』9月15日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー取材・文・写真:鴇田 崇
2012年09月14日イランという国に、どんなイメージをお持ちでしょうか?イスラム文化の国で、女性たちには髪を覆う“ヒジャーブ”の着用が強制されていて、核開発問題でも話題を振りまいている…。そんなところが一般的でしょうか。いまはイランと言えば、イラン人の父をもつダルビッシュ有という方も多いと思いますが。映画好きなら、アッバス・キアロスタミ、モフセン・マフマルバフら名匠たちの作品で少しは馴染みがあるかもしれませんが、私もそんな感じでした。イランが抱える様々な問題が反映された物語を、映画を通して見ていたので、ネガティブな部分にばかり敏感になっていたような気もします。豊かな歴史と文化を持つ国であるにも関わらず、あまり興味を持つことができなかったのです。個人的にイランの方と交流する機会がないこともあり、素顔や本音が見えにくかったのも理由かもしれません。常に、何か、誰かのフィルターがかかった情報ばかりを見ていたような気がします。そんな私にとって、『イラン式料理本』はとても新鮮でした。これは、イラン女性たちの姿をキッチンで撮影し続けたドキュメンタリー映画。モハマド・シルワーニ監督は、自分の母や母の友人、自らの妹や妻、そして妻の母など7人の女性とキッチンに入り、カメラを据えてひたすら彼女たちを撮影し続け、あふれ出る本音に耳を傾け続けました。そこから聞こえてくるのは、伝統的な家庭料理の作り方だけでなく、悲喜こもごもの人生模様。家族の中での妻の役割、夫への不満、姑への皮肉、家族への愛情などについて、人生に関する酸いも甘いも、心の赴くままに語り続けているのです。このあまりに率直な女性たちのつぶやきを通して、驚くべき素顔のイランが見えてきます。これまで観てきたイラン映画にはない、あまりにストレートな本音の数々に、私は最初とまどいました。自分が勝手に抱えていたイメージとあまりにも違ったために。そして、徐々に安心しました。イスラム社会では、女性たちは虐げられる傾向にあるとばかり思っていたので、必ずしもそうではないと分かったために。もちろん、思いやりのかけらもなく威張りくさってばかりいる夫と、母親の言うことなど一切聞かず暴れまくる双子の男児、数時間をも費やして食事を作る妹の姿には、既存のイメージが付きまといます。でも、姑や夫にユーモアたっぷりに嫌味を投げかけつつ、楽しげに何品もの伝統料理を作っていく監督の義母などは、どこの世界にでもいる肝っ玉母さんそのもの。イランにも、妻の尻に敷かれた夫と、夫をあごで使う恐妻がいるのだなと、大笑いしたりもしました。ほかの男性たちとは違い、妻を愛していると言ってはばからない夫を持つのは、監督の母親。登場する夫たちのいずれもが家事を手伝っていない様子ですが、監督の父親だけが、食事後の後片付けを「これは私の役目。誰にもさせない」と言って黙々と手を動かし続けているのも印象的でした。ある女性は休憩の1時間程度を除いてはだいたい台所に立っていると、主婦の置かれた過酷な状況を教えてくれました。女性の社会進出が進み、共働きが増えている日本では、出来あえのものや、デリバリーで…ということも可能ですが、まだまだイランでは、じっくり時間をかけて手作りするのが当たり前で、それを女性がするのも当たり前と思われているようです。ただ、先進的な家庭で育った監督は、妻に選んだ女性も先進的だったようで、自宅キッチンで語り始めた妻は少々横暴なくらい物言いが自由。たぶん知的な現代女性の代表なのでしょうが、少々空気が読めない人のようで、夫の友人がやってきた際も、缶詰のシチューを出し「おいしいね」と言われると、「これは缶詰よ」と言って一同をシーンとさせたという武勇伝も披露。女性たちが置かれた不平等について、かなり強い口調で持論を展開していて、母親世代とのあまりのギャップに、監督がちょっとかわいそうに思えてくるのが不思議です。男女平等大賛成、手抜き料理が大得意、という私でさえも…。と、こんな様子で盛りだくさん。シンプルなドキュメンタリーで、ナレーション、音楽は一切なしで淡々と進んでいく本作ですが、それがかえって女性たちの本音を浮き彫りにしていくのです。「奥さん、ちょっと聞いてくださいな…」的な親近感と現実味を持って、登場人物たちが観客に語りかけてくるとでも言いましょうか。知らなかった素顔のイラン。この作品を観なければ、私はこの国をもっと違う目で見続けていたと思います。作品を観ていくうちに、私の気持ちが変わったからでしょうか。伝統料理の数々にも興味を持ちました。いつか機会があったら食べてみたい…。こんな些細なことからでも、相手への興味はより膨らんでいくのだと思います。きっと、あなたの思い込みもぱたりとひっくり返してくれる本作。最後の最後には、数組の夫婦のその後を知らせてもいますが、それがちょっと痛快でもあるので(実際に試写会ではここで大きな笑いが起こりました)、劇場に行かれる際は、場内が明るくなるまで席をお立ちになりませんよう。(text:June Makiguchi)■関連作品:イラン式料理本 2012年9月15日より岩波ホールほか全国にて順次公開© 2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved.
2012年08月29日開催中の第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、5月21日(現地時間)、イランのアッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』が上映され、奥野匡、高梨臨、加瀬亮がキアロスタミ監督と共に満場の喝采を浴びた。映画は『桜桃の味』(’97)で同映画祭にてパルム・ドール(最高賞)を受賞したキアロスタミ監督が、日本で全編撮影したラブストーリー。3人は元大学教授、デート嬢として働く女子大生、彼女の暴力的な恋人をそれぞれ演じている。上映後、スタンディングオベーションを浴びた高梨さんは、感激の面持ちで目を潤ませていた。長年、舞台を中心に活動し、84歳にして映画初主演となる奥野匡さんは、上映前の会見でキアロスタミ監督の独特の演出方法について、「長く芝居をしていますが、脚本なしで演じるのは初めてで少し戸惑いました。監督からは『演技をしてはいけない』と言われました。たとえば、眩しい顔をするときは眩しい演技をするのではなく、本当に1度暗くしてから、パッと光を当てるんです。加瀬さんが息を切らしているシーンでは、撮影前に『ジャンプを20回しろ』と言ったり。私が下手な役者だから、演技をしないのがうまくいったんでしょうね」と謙遜した。キアロスタミ監督は日本人キャストで日本での撮影を選んだことについて聞かれると、「長年、イランで撮っていましたが、想像力をもっと掻き立てるために、新しい場所に行くことが必要だと思い、日本を選びました。でも私は、いままでもイラン人としてイランを描こう、などと思ったことは一度もありません。日本人とイラン人ではかなり違いもあります。奥野さんに、怪我をした高梨さんの顔を触ってほしいと言ったら、『どうしてもそれはできない』と言われました。『日本では老人が若い女性の顔に触ったりしないんです』と、そこだけはとても頑固でした。私は彼の考えを尊重しましたし、それでよかったと思っています。でも、喜びや痛みの感覚は日本人もイラン人も同じです。何か少しでも共通の感覚がないと、映画は成立しませんから」と語った。また、日本映画についての質問には「日本には何度も行っていますし、日本映画は、監督を目指す以前から、小津安二郎や、溝口健二らの映画を観ていました。いまの日本映画も、今回キャスティングをするためにいくつか観ましたが、なんだかハリウッドのリメイクのようでしたね。私には多くの日本人の友人がいますが、最近の日本映画には、そこには私の知っている日本人の感性が反映されていない気がしました。もっとも、そういう繊細な映画を私が観ていないだけかもしれませんが」と、日本映画の現状に対する苦言も呈した。『ライク・サムワン・イン・ラブ』(原題)は9月、渋谷・ユーロスペースにて公開。第65回カンヌ国際映画祭は今月27日(現地時間)まで開催。(photo/text:Ayako Ishizu)特集:第65回カンヌ国際映画祭■関連作品:ライク・サムワン・イン・ラブ 2012年9月、渋谷・ユーロスペースにて公開
2012年05月22日俳優の西島秀俊が12月17日(土)、イラン出身の名匠アミール・ナデリ監督がメガホンをとる主演作『CUT』の初日舞台挨拶を東京・シネマート新宿で行った。西島さんは本作で、借金返済のために“殴られ屋”になる映画監督を演じ「撮影が進むうちに、どんどんハードになっていき『今日も無事にいいシーンが撮れますように』と祈る毎日だった」とふり返る。一方、ナデリ監督は「西島さんの勇気と才能、ハートがあったから完成できた作品。きっとみなさんが知らない西島さんが見られるはずです。ちなみに、いまは西島さんのボディガードをやっています(笑)」と、西島さんがボディガードを演じる主演ドラマ「僕とスターの99日」(フジテレビ)を引き合いに、客席を笑いに包んだ。ヤクザの世界で生きる兄からの資金援助を受け、前衛的なインディペンデント映画を撮る秀二(西島さん)は、兄の死をきっかけに、莫大な借金を返そうとヤクザ事務所で“殴られ屋”を始めることに。殴られる痛みを映画への愛に変え、試練に耐える秀二をめぐるヒューマンドラマが重厚なタッチで描かれる。西島さんとナデリ監督の出会いは、2005年の「東京フィルメックス」だと言い、「一目で常人ではないと分かる、ものすごいエネルギーを放っていた。運命的なものを感じた」(西島さん)、「会った瞬間、長い時間待ち望んでいた出会いだと直感した。私を信頼してくれた西島さんに感謝したい」(ナデリ監督)。それでも当初は、西島さんも「あまりに前衛的な内容なので、映画にするのは難しいと感じた」のだとか。後押ししたのは「不可能を可能にするんだ」という監督の言葉だったそうで、「僕自身も挑戦したかった。こうして初日を迎えたこの瞬間は一生忘れない」と誇らしげな表情を浮かべていた。映画、ひいては芸術を守るために命を賭ける男のドラマ。本編には映画史を彩る名作へのオマージュが約100作分含まれており、「これを機会に、過去の名作に触れてほしい。いまは、特に若い世代がハリウッド大作に洗脳されている傾向にあるが、それだけが映画じゃないと知ってほしいのです」(ナデリ監督)。さらに「観客の感情を操り、お金もうけするのは簡単なこと。私はもっと誠実な映画作りをし、観客との体験の共有を目指しています。インディペンデント映画が存続するためには、みなさんの応援が必要なのです」と主人公さながらに、熱っぽく訴え。名作タイトルが描かれたクッキー100枚をプレゼントされ、子供のように大はしゃぎだった(クッキーは監督の大好物なのだとか)。西島さんも「もっと上映館が増えて、いつかシネコンでこの作品の舞台挨拶をするのが一番の夢」とアピール。より多くの人に、アート映画やインディペンデント作品を観てほしいというナデリ監督の思いを援護し、同じ映画人として“共闘”を誓っていた。『CUT』はシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:CUT 2011年12月17日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開(C) CUT LLC2011
2011年12月19日イラン出身で米国在住のアミール・ナデリ監督が西島秀俊を主演に日本で撮りあげた新作『CUT』が17日(土)から公開される前に、西島がインタビューに応じた。その他の写真『CUT』は、兄から借金を続けて活動を続けるも成功しない映画監督の秀二が、死んだ兄の残した借金を返済するために“殴られ屋”を始め、自身のこれまでの人生と愛する映画のために全身全霊で立ち向かっていく姿を描いた作品。日本映画界で活躍する西島と、米国を拠点に新作を発表し続けるナデリ監督が出会ったのは、毎秋に開催されている映画祭「東京フィルメックス」の会場。人の紹介で出会ったというふたりは、すぐに意気投合したという。「出会ってすぐに監督とは心が通じ合って。好きな映画やシーンも合うんです。だから監督が日本に来た時には一緒に散歩して、最近観た映画の話とか、自分がどこで生まれ、どういう道のりを経てここにいるのかなんて話もしましたね」。そんなナデリ監督は、西島と出会って間もなくして本作の話をしていたそうだ。「監督は『お前は俺と映画を撮る運命にある』って言ってくれてました」。しかし、過去の作品を観賞すればわかるが、ナデリ映画の主人公は極限まで追いつめられる。もちろん、監督の作品を観ていた西島にとって、そのことは百も承知だ。「最初に監督からは『お前は確実に地獄を見る。俺のことを本当に嫌いになる。でも出来上がりを観たら俺のことを好きになる』って言われて。実際の撮影現場は僕だけじゃなくて、関わった人全員が“限界以上”を出さないと監督のOKが出ない。撮影中、監督からは『一切、喋るな』って言われました。俳優が役以外の話をするなんてとんでもないって。でも、世界の本気の監督たちはここまで要求するよな、って。そういう場が自分に与えられたことは本当に幸せでしたね」。ナデリ監督の現場がいかに過酷で、主演を務めた西島がどれだけ追いつめられたかは、完成した映画を観れば嫌というほど伝わるだろう。主人公の秀二は、ひたすら殴られ、傷を負い、血まみれになりながら、自身と愛する映画のために立ち続ける。その姿は、西島自身と重なる部分がある。「才能ある監督が自分の撮りたいものを撮りたいように撮るべきだと思うし、そういう映画をたくさん観たいというのが僕の願い。だから、微力ですけれどもできることは全部やろうと思っています。たまに『これから映画のために闘っていきたいですか?』って聞かれるんですけど『僕も映画に関わっている人もずっと闘っています』ってお答えしているんです。だからこの映画によって仲間が増えて、才能ある監督が自由に撮れる環境になるといいなと思います」。『CUT』12月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
2011年12月14日西島秀俊主演でイランの名匠アミール・ナデリがメガホンを取った『CUT』のジャパン・プレミアが第12回東京フィルメックスにおいて11月23日(水・祝)に開催。ナデリ監督に西島さん、ヒロインを演じた常盤貴子が舞台挨拶と上映後のQ&Aに出席した。共に2005年のフィルメックスの審査員を務めた関係で知り合い、意気投合したナデリ監督と西島さんが念願かなって作り上げた本作。自分のために借金を重ねて命を落とした兄の残した借金を返すために、やくざを相手に殴られ屋を始めた映画監督の男の姿を描く。監督は「6年かけてこの場に至りました」と感慨深げ。「西島さんに常盤さん、菅田俊さんに笹野高史さん、でんでんさんら多くの素晴らしいキャスト、クルーと一緒に仕事をすることができました」と感謝の思いを伝えた。さらに「西島さんや常盤さんのこれまでの演技を一切忘れて、新しい目、新しい心で彼らの演技を見てほしい」と訴えた。西島さんは「2006年に監督と『一緒に作ろう』と話をしてからこの日、この時をずっと待ってました」と晴れ晴れとした表情。客席を見渡し「この700人のみなさんに観ていただくことで何か大きな流れが生まれること、『我こそは秀二(※西島さんが演じた主人公)だ!』という方が現れることを願っています」と呼びかけた。常盤さんは「いろんな挑戦が詰まっている作品です。ナデリ監督だからこそできた、新しい挑戦でした。ある意味、映画界に殴り込みをかけるような作品です」と期待を口にした。上映後、西島さんらは改めて大きな拍手で迎えられニッコリ。映画では、数々の過去の名作に対するオマージュに加え、行き過ぎた商業主義に対する厳しい批判が展開されるが、ナデリ監督は「映画の中でも言ってますが、かつて娯楽映画と芸術映画は一致していました。その中でインディペンデント映画を作る余裕が必要なんですが、いまでは高い技術が金儲けの道具になっている。シネコンの席巻で優秀な監督たちの作品を上映する機会がなくなってしまうというのは恥ずべき状況だと思います」と改めて訴えた。最後に「これだけは観ておくべきと思う映画は?」という質問を投げられると、一同「難しいですね」と思案顔。西島さんは、本作『CUT』が、ナデリ監督が敬愛する名監督ジョン・カサヴェテスについて描いた作品であるということを踏まえ、「僕が映画ファンとして観て、生まれ変わるような体験をしたのがジョン・カサヴェテスの作品なんです。だから釜山映画祭で監督から『この映画はカサヴェテスについての映画だ』と告白されたときは人生最大の衝撃を受けました。自分の人生を変えた人物を知らずに演じていたわけですから」と述懐した。常盤さんは「私は古い日本映画が好きで、特に女優さんが大好き。高峰秀子さんも好きだし岡田茉莉子さんも好きだし…でもその一方でコン・リーも大好きなんです(笑)。ここにいらしている方はおそらく多くの日本映画を観てらっしゃるかと思いますが、中国映画も素晴らしいです。その中でも『紅夢』(チャン・イーモウ監督/コン・リー主演)は素晴らしい作品」と語った。監督は「良い映画こそ良薬」と語り、映画を愛する人々で埋まった客席は温かい拍手で包まれた。『CUT』は12月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開。■関連作品:CUT 2011年、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開© CUT LLC2011■関連記事:ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!常盤貴子&筒井道隆が急接近!?「圭史くんに言いつける」とベテラン女優が釘をさす?西島秀俊、主演作『CUT』監督との出会いの場で「本性見せろと言われた(笑)」西島秀俊、イランの巨匠作品主演!共演の常盤貴子は13年ぶりショートヘア
2011年11月24日ショーン・ペンが、2009年7月からイランで禁固刑となっていたアメリカ人男性2人の釈放に尽力していたことが明らかになった。イランでハイキング中に逮捕された2人のアメリカ人男性はその後拘束され、スパイ罪で禁固8年の判決を受けていた。ロイター通信によれば、ペンはベネズエラを訪問し、同国のチャベス大統領からイランへの仲介を頼んだという。ペンは数年前から雑誌の取材や映画の企画などを通じて、ベネズエラおよびチャベス大統領と親交を深めている。「ペンはこの件にとても深く関わっています。数か月前に首都・カラカスを訪れてチャベス氏にこの問題を伝え、その後も熱心に取り組み続けました」と情報提供者は語る。ペンから話を聞いたチャベス大統領は「アメリカの友人」から働き掛けられたとして、イランのアハマディネジャド大統領とこの問題について協議した。ともに29歳のアメリカ人青年は21日、100万ドルの保釈金を支払って解放された。(text:Yuki Tominaga)© Splash/AFLO■関連作品:ツリー・オブ・ライフ 2011年8月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010 Cottonwood Pictures, LLC. All Rights Reservedフェア・ゲーム 2011年10月29日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© 2010 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.■関連記事:イラク戦争に隠された真実とは…?『フェア・ゲーム』試写会に15組30名様ご招待アンジェリーナ・ジョリー、「子供たちに普通の観光旅行をさせたい」S・ペン、『ツリー・オブ・ライフ』で「どう演じるべきだったか、いまも考えている」ブラッド・ピット動画インタビュー到着!寡作の名匠の驚きの演出法を絶賛ブラッド・ピット、アメリカにおける同性婚支持を改めて表明
2011年09月26日11日から開催される第64回カンヌ国際映画祭において、イラン改革派支持を理由に禁固刑を言い渡された同国のジャファル・パナヒ監督とモハマド・ラスロフ監督の新作が公式上映されることが決定した。7日の映画祭事務局の発表によると、両監督の作品はコンペティション部門ではなく、「ある視点」部門に追加ノミネートされた。パナヒ監督は自身の法廷闘争を描いた『In Film Nist』(原題。英題は『This Is Not a Film』)、ラスロフ監督の『Be Omid e Didar』(原題。英題は『Good Bye』)は国外に出ようとビザ取得に奔走するテヘランの弁護士を描く。両作とも半ばゲリラ的に製作され、数日前に映画祭事務局に届けられた。パナヒとラスロフらは昨年12月、反政府集会への参加やプロパガンダ活動を理由に禁錮6年、映画制作を20年間禁止、という判決を受けた。作品は20日に上映を予定している。(text:Yuki Tominaga)写真は昨年、禁固刑の判決を受けカンヌ国際映画祭に出席できなかったパナピ監督について、ジュリエット・ビノシュが名前を読み上げ言及した。© Reuters/AFLO特集「第64回カンヌ国際映画祭」■関連作品:第64回カンヌ国際映画祭 [映画祭]■関連記事:海老蔵&瑛太出演の『一命』カンヌ出品!ブラピ主演作ほか強敵とコンペで激突別所哲也、独断でカンヌ映画祭史上最高の作品を選定!?
2011年05月09日第61回ベルリン国際映画祭が20日に閉幕、コンペティション部門でイランのアスガー・ファルハディ監督の『Nader and Simin: A Separation』(原題)が最高賞の金熊賞に輝いた。日本勢ではフォーラム部門に出品された瀬々敬久監督の『ヘヴンズストーリー』が国際批評家連盟賞と最優秀アジア映画賞を受賞した。『Nader and Simin: A Separation』は家族でイランからの出国を考える女性と、老父と国に留まる決意をした夫が離婚調停の際に思わぬ事態に直面するドラマ。物語を通して現代のイランの様相がうかがえる本作はキャストが銀熊賞最優秀男優賞、女優賞も受賞した。ファルハディ監督は2年前に『彼女が消えた浜辺』で同映画祭銀熊賞監督賞を受賞しているが、イラン映画が金熊賞受賞するのはこれが初めて。19日に行われた授賞式の際、ファルハディ監督は今年の映画祭で審査員に選出されながら、イランで禁錮刑を下され映画祭参加が叶わなかったジャファル・パナヒ監督について受賞スピーチで言及。「彼の問題は解決すると信じています。そして、彼が来年、この場に来ることを願っています」と語ったが、パナヒ監督は反政府運動に関わったとして6年の禁固刑の判決を受け、今後20年間の映画製作と海外渡航禁止を言い渡されている。銀熊賞審査員賞は『倫敦から来た男』のタル・ベーラ監督がドイツの哲学者・ニーチェの晩年のエピソードを題材に描くモノクロ作品『The Turin Horse』(原題)。受賞後の会見でタル監督は「これが私の最後の作品になります」と語った。銀熊賞最優秀監督賞は地元ドイツのウルリッヒ・コーラー監督(『Sleeping Sickness』<英題>)、銀熊賞最優秀脚本賞は『The Forgiveness of Blood』(原題)のジョシュア・マートン 、アンダミアン・ムラタジが受賞。また、短編映画を対象にしたベルリナーレ・タレント・キャンパスのベルリン・トゥデイ・アワードを英国在住の三宅響子監督のドキュメンタリー『Hackeney Lullabies』(原題)が受賞した。2009年の『愛のむきだし』(園子温監督)、昨年の『パレード』(行定勲監督)に続いて国際批評家連盟賞を受賞した『ヘヴンズストーリー』は4時間38分の力作。家族を殺された少女、妻子を殺された若い夫、理由なき殺人を犯した青年など、20人以上の登場人物が複数の殺人事件を介して繋がっていく11年間の物語。日本では昨年10月より全国にて順次公開中。(text:Yuki Tominaga)写真は『Nader and Simin: A Separation』(原題)で金熊賞を受賞したアスガー・ファルハディ監督。© AP/AFLO■関連作品:ヘヴンズ ストーリー 2010年10月2日よりユーロスペース、10月9日より銀座シネパトスほか全国順次公開© 2010 ヘヴンズ プロジェクト■関連記事:毎日映画コンクール授賞式稲垣吾郎、極悪人役にSMAPメンバー「地が出てるね」『ヘヴンズ ストーリー』忍成修吾インタビュー「この仕事が好きなんだなと実感した」
2011年02月21日ロバート・デ・ニーロやスティングをはじめとする80人以上の著名人が、イランで殺人や姦通罪に問われ、石打ちによる死刑を宣告された同国人の女性サキネ・モハマディ・アシュティアニ被告の解放を求める公開書簡を13日、英国の「The Time」紙に掲載した。ロバート・レッドフォードやコリン・ファース、イランのアッバス・キアロスタミ監督の『トスカーナの贋作』に主演しているジュリエット・ビノシュ、ミア・ファロー、現代美術家のダミアン・ハースト、ノーベル文学賞受賞者のウォーレ・ショインカとV・S・ナイポール、現イギリス労働党党首のエド・ミリバンド、ベルナール・クシュネール前フランス外務大臣らも署名した書簡は、イラン・イスラム共和国の最高指導者のハメネイ師およびアフマディネジャド大統領に宛てて、投獄中のアシュティアニ被告と彼女の息子、弁護士の解放を訴えている。43歳のアシュティアニ被告は2006年に2人の男性との姦通罪と前年の夫殺害幇助で有罪判決を受け、99回のムチ打ち刑に処され、その後獄中生活が続いていたが、今年になって石打ちによる死刑が宣告された。この判決には国際社会から非難が寄せられ、バチカンのローマ教皇庁や欧州連合(EU)も執行停止を要求している。(text:Yuki Tominaga)写真はニューヨーク女性基金イベントに出席した際のロバート・デ・ニーロとグレイス・ハイタワー夫妻。© Globe Photos/AFLO■関連作品:大いなる陰謀 2008年4月18日より日劇1ほか全国にて公開© 2007 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.アーサーと魔王マルタザールの逆襲 2010年4月29日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2009 EUROPACORP–TF1 FILMS PRODUCTION–APIPOULAÏ PROD- AVALANCHE PRODUCTIONSImages et Effets 3D–BUF photos:Daniel Smith © 2009 EUROPACORP – TF1 FILMS PRODUCTION – APIPOULAÏ PROD- AVALANCHE PRODUCTIONS 英国王のスピーチ 2011年春、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開© 2010 See-Saw Films. All rights reserved.マチェーテ 2010年11月6日より新宿バルト9ほか全国にて公開■関連記事:オスカー有力『キングズ・スピーチ』が全米で1館あたりの平均今年No.1のスタートリンジー・ローハン、感謝祭を家族と祝うためにリハビリ施設から一時帰宅ロバート・デ・ニーロの67歳の“変身”仮釈放管理官と移民嫌いの議員の間で揺れる?【ハリウッドより愛をこめて】『ミート・ザ・ペアレンツ』最新作キャストにあの人は…リンジー・ローハン、保釈直後に10代のホームレスたちの施設を訪問
2010年12月14日西島秀俊が来年公開の主演作『CUT』(原題)のメガホンを取ったイラン人監督アミール・ナデリと共に、今月20日(土)より始まる第11回東京フィルメックスのプレイベントのトークショーに出席した。ナデリ監督といえばナント三大陸映画祭での二度にわたるグランプリ受賞をはじめ、各国映画祭で高い評価を得ているイランを代表する監督のひとり。そのナデリ監督が日本を舞台に西島さんをはじめ常盤貴子、芦名星らをキャストに迎えて映画を製作するということは驚きをもって受け止められたが、そもそも監督と西島さんの出会いの場となったのが2005年の東京フィルメックス。2人は審査委員を務めたことをきっかけに言葉を交わし、今回の企画が動き出した。西島さんはそのときの様子について「監督から『ニコニコして感じが良いけれど、本性を見せろ』と言われました(笑)」と出会いの際の“秘話”を明かした。ナデリ監督は「彼は、自分にとっての“鍵”を持っている」と絶大な信頼を寄せているようで、西島さんも「『CUT』の撮影現場でも気持ちはひとつだったはず」と語った。プライベートでもかなりの数の作品を鑑賞し、映画好きとして知られる西島さんだがフィルメックスについては「毎回『よくぞこのセレクトを!』と感動します。どの上映会に行っても素晴らしい作品に出会える。今年も観に行きたいので仕事を入れないでほしい(笑)」と絶賛。「今後、自分が出演する作品が上映されるように頑張りたい」と力強く語った。『CUT』では映画監督の男を主人公にした作品。彼の映画製作の資金のためにトラブルに巻き込まれて兄が命を落としたことで自責の念を抱え、残された借金返済のために殴られ屋となる男の姿が描かれる。公開は来年2011年の予定。第11回東京フィルメックスは11月20日(土)より28日(日)まで東京の有楽町朝日ホール、東劇、TOHOシネマズ 日劇、東京国際フォーラム、銀座テアトルシネマなど複数の会場で開催。第11回東京フィルメックス公式サイト:■関連作品:CUT (原題) 2011年公開■関連記事:西島秀俊、イランの巨匠作品主演!共演の常盤貴子は13年ぶりショートヘア
2010年11月12日イラン出身で世界的に高い評価を受けるアミール・ナデリ監督の最新作『CUT』(原題)に西島秀俊が主演し、殴られまくる映画監督役を演じることが発表された。常盤貴子、菅田俊、笹野高史、芦名星らも共演、常盤さんは本作で13年ぶりに髪をショートにしている。ナデリ監督は過去にナント三大陸映画祭で二度にわたってグランプリを受賞。カンヌやヴェネチアなどの映画祭でも作品が上映され、高い評価を受けている。その世界的な巨匠が、東京フィルメックスの審査員として西島さんと出会ったことから今回の企画がスタート。日本人キャストを起用し、日本を舞台にした映画を製作することに。青山真治監督が脚本協力として参加している。主人公は西島さん演じる映画監督の秀二。兄からお金を借りて映画を撮るものの、彼の作品は商業映画として映画館で上映されることはない。ある日、秀二のためにやくざに金を借りていた兄がトラブルで命を落とし、秀二が借金を背負うことに。彼は、兄の死に対する自責の念を抱え、殴られ屋をやることで借金を返済しようとするが…。主人公・秀二以外の役柄では、常盤さんが夜の世界に生き、殴られ屋となる秀二を支える女・陽子を演じるほか、やくざの組員でありながらも秀二に協力するヒロシを笹野さんが、秀二の元恋人の女優で、彼に商業映画の企画を持ちかける明子を芦名さんが演じる。西島さんは「2005年の東京フィルメックスナデリ監督と出会い、そのときに『一緒に映画を作ろう』と約束しました。その約束が実現してとても嬉しいです。ナデリ監督の映画を見たときの衝撃はいまも忘れられません。圧倒的な映像と音の中に、またナデリ監督のあのエネルギーそのものに巻き込まれていくことをとても楽しみにしています。そして今回は常盤貴子さん、菅田俊さん、笹野高史さんという、強い存在感のある役者さんたちと久しぶりに共演できることもとても嬉しいです」と喜びを語っている。13年ぶりのショートヘアで本作に臨んでいる常盤さんは「最初に企画書と脚本を読ませていただいて、あまりにも『?』が多かったのですが、西島秀俊さんや青山真治監督の参加が決まっていましたし、大勢の方がこの作品に協力しようとしている、その源を探りたくて監督にお会いしました。監督はイランの方ですが、『日本の古い映画は時間がゆっくり美しく流れる映画がたくさんあって大好きだったのに、最近はコマーシャル的な作品が多くて、これはそろそろ誰かどうにかしなくてはいけないと思い、自分が立ち上がった』とおっしゃられていたので、思わず『オモシロイ!』と参加してしまいました。西島さんはすごくフラットなイメージです。みんなが大好きですよね、西島さんのこと(笑)。その魅力を近くで探りたいなと思っています。ナデリ監督は、ちゃんと役者の話を聞いてくれて褒めてくれる。小さい疑問があっても自分で呑みこまずに質問できるので、役柄に対して共通認識を持っていられます。一緒にその役柄を作っていけることが面白い現場です。でも、ナデリ監督は嵐のような人で、私も含めてみんな振り回されていますけど(笑)。普段、依頼される役柄は大体似たような役が多いので、本作では外見も含めて自分の想像をいい意味で裏切られていて楽しんでいます」とその思いを明かしてくれた。「この映画は西島秀俊その人であり、西島秀俊はこの作品と秀二そのもの」とはナデリ監督の弁。果たしてどのような作品に仕上がるのか?また、国際映画祭への出品も気になるところ!『CUT』(原題)は今後、10月まで撮影が行われ、2011年公開。■関連作品:CUT (原題) 2011年公開
2010年09月04日イランのメディアが、3月から拘束されていたジャファル・パナヒ監督が保釈されたと報道している。パナヒ監督は、昨年6月のイラン大統領選挙に関する反政府的内容の作品を制作したのを理由に3月1日に拘束された。デビュー作『白い風船』でカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人賞)を受賞、『チャドルと生きる』で2000年のヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞、2006年の『オフサイド・ガールズ』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞するなど、国際的に活躍するパナヒ監督の解放を求めて、スティーヴン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、フランシス・コッポラ、アン・リー、スティーヴン・ソダーバーグ、マイケル・ムーアといった監督たちが署名運動を行っていた。パナヒ監督は23日に閉幕したカンヌ国際映画祭の審査員に決まっていたが、渡仏はかなわず、オープニング・セレモニーでは彼のネームプレートが置かれた椅子が用意され、最終日にはイランのアッバス・キアロスタミ監督の『Copie conforme』(原題)で女優賞に輝いたジュリエット・ビノシュが受賞スピーチでパナヒ監督解放を訴えた。保釈金は20億イラン・リアル(約1,800万円)で、解放されたパナヒ監督は、家族や弁護士との面会を求めて16日からテヘランのエビン刑務所でハンガーストライキを始めていた。(text:Yuki Tominaga)カンヌ国際映画祭で、ジュリエット・ビノシュはパナヒ監督と同じイラン人監督、アッバス・キアロスタミからのパナヒ監督拘束に関する手紙を読み上げた(右は映画祭会長ジル・ジャコブ)。© REUTERS/AFLO■関連作品:第63回カンヌ国際映画祭 [映画祭] 2010年5月12日開幕© Brigitte Lacombe – ad design graphiqueオフサイド・ガールズ 2007年9月1日よりシャンテ・シネほか全国にて順次公開■関連記事:【カンヌレポート 最終回】バルデム受賞にペネロペ涙!最高賞はタイ作品映画祭開催中のカンヌで、豪華セレブが集うエイズ研究チャリティ・ガラ開催【カンヌレポート 番外編】ファッションで見るカンヌ!ベストドレッサーは誰?【カンヌレポート 06】ディエゴ・ルナ初監督作にカンヌっ子拍手!雨の日に観たい映画ランキング大発表!1位はあのミュージカルの傑作
2010年05月26日マラソンとヨットで世界一周する「アースマラソン」に挑戦中で、今年1月に前立腺がんを患っていることを公表したお笑いタレント、間寛平が3月27日(土)、第2回沖縄国際映画祭特別上映作品の主演映画『ラン アンド ラン』の舞台挨拶に、現在地通過中のイラン・ダムガンから衛星中継で出演した。ビーチステージの大スクリーンに映し出され「ダムガンの砂漠にいて、サソリの毒すうてまぁーす」と第一声。「イランでいま一番ウケるのは『アヘアヘアヘアヘ…』。『かいーの』はダメ」などと解説しながら、ステージにいる司会を務めた後輩、お笑いコンビ、博多華丸・大吉にポーズをとらせて自身は声で「アヘアヘアヘアヘ…」を、同作のメガホンを取ったイランのカマル・タブリズィ監督に披露。「素晴らしい!」の反応を得て、「チャッチャマンボ」を見せると「ダメ―!」と“NG”を食らい、「なめなめくじくじなめくじくじ、塩かけないでね〜粗塩はいやよ」では「面白い!」と再び大爆笑させた。満場の観客も大いに沸いた。カマル監督はメガホンを取ったきっかけについて「寛平さんがいまチャレンジしていることは素晴らしく、特別なこと。マラソンでイランを走行する寛平さんをお招きするには、イラン映画を作るべきだと思った」と説明。間さんの人柄を「とても不思議な人。普通映画を作るには短くて6か月くらいは必要ですが、この映画は約1か月半で完成させることができた。それは寛平さんからエネルギーをもらったお陰です」と絶賛していた。(photo/text:Yoko Saito)沖縄国際映画祭現地レポート■関連作品:第2回沖縄国際映画祭 [映画祭] 2010年3月20日よりカウントダウンイベント開始、24日から28日まで映画祭開催■関連記事:【沖縄国際映画祭】黒沢かずこ主演『クロサワ映画』2冠!即興の歌で喜び表現【沖縄国際映画祭】キム兄、鈴木杏樹の天然トークに苦笑い【沖縄国際映画祭】ロバート秋山竜次、出演場面13秒の映画で舞台挨拶【沖縄国際映画祭】ナベアツの晴れ舞台でケンコバ暴走挨拶【沖縄国際映画祭】次長課長・河本が沢尻ネタで悪ノリ&大鶴義丹の衝撃NGを暴露
2010年03月28日