3月にPeach、7月にジェットスター・ジャパンが就航し、8月1日からエアアジア・ジャパンもサービスを開始する。国内線に本格的LCC3社が出揃って、2012年は日本の空の本格的LCC元年となった。びっくりするほどの低価格や就航地、運行ダイヤなどが話題になっているが、搭乗客にとって、もうひとつ大切なコトがある。それは機内食だ。LCCは移動というサービスを基本とし、その他のサービスはほとんどオプション。座席を指定したり荷物を預けたりすると別料金。もちろん機内サービスの飲食物も別料金。なんだか世知辛いなあ……と思うけれど、こう考えたらどうだろう。「お金を払えば、誰でも機内食を食べられる」そう。国内線の場合、他の航空会社では上級クラスや特定の便に乗らないと機内食が提供されない。しかしLCCは、有料とはいえ、どのシートでも食事サービスがある。素晴らしい! もしかしたら、価格よりも機内食に魅力を感じる人もいるかもしれない。運賃が拮抗しているなら、機内食でフライトを選んでみよう。エアアジアの日本国内線は成田空港を拠点とし、新千歳、福岡、沖縄を結ぶ。どれも国内線としては長距離路線だ。そこで機内食も充実の7種類。朝食向けの軽めのメニューから、食べごたえのあるメニューもある。このうち5種類は事前予約が必須となっているので注意。Webサイトで予約手続きする流れのなかで、食事の選択ができる。朝食向けのメニューは3種類。「鮭とおかかのおにぎり味噌汁セット」(事前予約700円・機内販売800円)は温かい味噌汁付きがうれしい。予約と機内販売の両方に対応する。「スモークサーモンとクリームチーズ、レッドオニオンのベーグル完熟赤のトマトスープセット」(機内販売800円)は特別メニューで、同社のイメージカラーにちなんだ「空飛ぶレッド」シリーズの第一弾。こちらは機内販売のみとなっている。「ホットイングリッシュマフィンサンドウィッチコーヒー・紅茶セット」(機内販売800円)は、卵とハムとチーズをはさんだ洋食メニュー。こちらは事前予約専用だ。ランチメニューは4種類。すべて予約専用で、旅先の食事も楽しめるようにと「手軽でヘルシー」がテーマ。「舞茸の炊き込みごはん弁当味噌汁セット」(事前予約1,000円)は、煮物や焼き物などおかずの種類か多くて楽しそう。「グリルドチキン・マスタードソースソフトドリンクセット」(事前予約860円)はガッツリ系に見えて温野菜がたっぷり。「フレッシュサラダとコールドパスタサラダソフトドリンクセット」(事前予約 860円)は2種類のハムと生野菜がうれしい。「お弁当 みかんゼリードリンクセット」(事前予約900円)はキッズメニューとして提供される。海苔巻きが顔になっていて、ウインナーはタコさんだ!これらのメニューは2カ月ごとに変更していく予定とのこと。以上の食事メニューの他にも、機内販売としてカップ麺や、菓子パン、お菓子などを販売する。次回はジェットスター・ジャパンのメニューを紹介する。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月30日「南アフリカ発、世界的ファッションブランドのコレクションを彩るトリとは?」と質問されたなら、どんな答えが飛び出すか。「イーグル?」「ワシ?」…etc. 実はその正解がこの「リトル・カルー・マジック・トリップ」にあるという。というわけで早速、そんな彼らに出会うべくガーデンルートの中間地点、George(ジョージ)からOudtshoorn(オーツホーン)へと一時間ほど車を走らせる。果たしてそこで待ち受けていたのは… そう、あの世界1の体格を誇るトリとして有名な「オーストリッチ(日本では一般的に「ダチョウ」)だった。何しろここ、オーツホーンは世界最大のオーストリッチの生息地なのだそう。そしてウワサ通り、人間の背丈の2倍近くある巨大な彼ら。よってベビーはもとより、当然のことながらタマゴのサイズもスーパービック! 「この国旗の素材は何だろう?」 ― 答えは、カラフルにカラーリングされたオーストリッチのフェザー。思わず、「う~ん、ゴージャス!」とつぶやきそう。(「クライン・カルー社」にて)ニワトリのタマゴの24~5倍の重さがあるオーストリッチのタマゴ。おそらくどれほどのサイズか容易に想像つくのでは?この地にある4ヵ所の見学可能なダチョウ農園では、ダチョウに関するさまざまな知識を深めることができるほか、体験試乗やジョッキーによるダチョウレースも楽しい。ちなみにはるか昔の話では、エジプト人やローマ人の高貴な女性たちはセレモニーの際、オーストリッチに乗ったのだとか。(「サファリ」農園にて)エリザベス1世、マリー・アントワネット、そしてイヴ・サンローランにエルメス、ルイ・ヴィトンなどなど、時代を超えて受け継がれる「モードとしてのオーストリッチ」。その魅力はカラフルで美しいフェザーやドット柄風のレザーが、さまざまなファッションアイテムとして登場していることからもわかる。南アフリカが誇る最高の品質と技術で世界的にその名が知れた「KLEIN KAROO(クライン・カル―)社」を特別にご紹介。オーストリッチの羽根は左右対称のカタチから、古代エジプトにおいては「真実と公正」のシンボルだったこともあり、神話の神々やファラオの装飾品として使われてきた。またヴィクトリア朝時代からはファッションとしての役割も担い、帽子やストールなどさまざまなデザインに使用されている。いくつもの細分化されたプロセスを経て完成するオーストリッチのフェザー。静電気がおきるというフェザーの特性を活かし、パソコンやカメラのクリーナーとしても製品化されている。バリエーション豊富にカラーリングされるオーストリッチのフェザーやレザー。いずれも世界に名だたるファッション・メゾンなどへと羽ばたいていく。ちなみにオスの羽は、白い羽先と尾以外はすべてブラック。一方のメスは、クリームがかった白い羽先と尾以外はすべてグレーなのだそう。オリジナルのバッグやシューズ、アクセサリーほか、バリエーション豊富なクライン・カル―社のオーストリッチ・ブティック。この春、行なわれた南アフリカのオーストリッチとファッション・デザイナーを目指す日本の文化服装学院の学生たちに向けたデザイン・コンテストなど、さまざまなプロジェクトも要注目。オーツホーンで出会うオーストリッチをめぐる旅。そのスタイルは人それぞれ。たとえば、カラフルなフェザーでオリジナルアクセサリーを創作してみたり、あの大きなタマゴを購入して自作の「エッグ・アート」してみる、なんていうのも楽しいかもしれない。またヘルシー(低脂肪、低カロリー、低コレステロール、豊富なたんぱく質)と評判のオーストリッチ・メニューをレストランで味わってみるのもおススメ。「クライン・カルーへの旅(Journey to Kannaland(=Klein Karoo))」と題された地元の劇団「カンブロ・ディガーズ(Kambro Diggers)」によるミュージカル。歌ありダンスあり、さらにユーモアたっぷりに演じられるこの地の文化的歴史物語に触れる45分間の観劇もアイデアかも。もちろんキャストや小道具にオーストリッチはマスト・アイテム。旅の思い出に一度は乗ってみたいロバの馬車も、オーストリッチの羽根飾りでプチ・エレガントなコーディネートで登場するのが南アフリカ・スタイル。取材協力:南アフリカ観光局 公式サイト クライン・カルー・オーストリッチ・ブティック(KLEIN KAROO OSTRICH BOUTIQUE) 公式サイト 撮影/吉澤健太取材 (&一部撮影)/HIROKO USAMI
2012年07月13日松たか子主演のミュージカル『ジェーン・エア』の制作発表会見が7月5日に行われ、松と共演の橋本さとしが登壇した。『ジェーン・エア』チケット情報本公演は、シャーロット・ブロンテが書いた傑作ロマンスを2000年に英国人演出家のジョン・ケアードがブロードウェイでミュージカル化し、2009年に日本で初演された舞台の再演。19世紀のイギリスを舞台に、ひとりの女性が様々な困難を乗り越え、時代に立ち向かいながら強く逞しく、愛に生きた姿を描く。主人公のジェーン・エア役は松、ジェーンが家庭教師として住み込んだ家の主人で、やがて愛し合うようになるロチェスター役は橋本と、初演と変わらぬふたりが務める。作品の魅力について松は「ジェーンという女性は、はじめから完璧な人ではなくて、悔いや迷いを感じながら生きて、恋愛をして、自分の気持ちが揺らぎながらも一生懸命に生きようとする人。自分の足で立とうとする姿は、時代を超えて訴えかけるものがあると思います」とコメント。橋本は「シンプルで美しく、無駄なものがない舞台です。絵画のような美しさの中に入って浸っていただきたい」とアピールしていた。3年ぶりの再演について松は「初演の時は楽しかったんですけど、ほんとに必至で。最後のほうは這ってゴールにたどり着いたという記憶があって。今回再演のチャンスをいただけたので、楽しんで演じ、歌えるようになりたい」と抱負を述べた。また演じる役どころと自身との共通点を訊かれると「家庭教師にはなれません。人に教える仕事は一生無理」と松が答えると、橋本は「愛とかそういうものに抵抗を持っている男なんですけど、僕自身は愛がないと生きていけない“愛依存症”です」とそれぞれ語った。演出のジョン・ケアードから再演に際し、「この偉大なラブストーリーを松さん、橋本さんと一緒に創作した時間は、日本での演劇経験の中でもっとも幸せな記憶として心に刻まれています」とふたりを絶賛するコメントが届いた。これを受けて橋本は「世界で一番一緒に仕事をしたいと思っていた演出家」と言いながらも、英語が話せないため稽古場以外では「近づいてきたら逃げちゃう」と話し、前回、稽古場から偶然ジョンを車で送ることになった時、車内で一言も話さず気まずかったというエピソードを披露、記者の笑いを誘っていた。共演は初演メンバーの寿ひずる、旺なつき、山崎直子、小西遼生、福井貴一 、壤晴彦に、新たに阿知波悟美、辛島小恵が加わる。公演は10月6日(土)から28日(日)まで東京・日生劇場のほか、福岡・博多座でも上演される。東京公演のチケットは7月29日(日)10時より一般発売開始。なお、チケットぴあでは7月8日(日)11時までインターネット先行抽選・プレリザーブを受付中。
2012年07月06日エアアジア・ジャパンはこのほど、8月1日の国内線就航に向け、機内食メニューを発表した。今回発表された機内食は、飛行時間が2時間前後であるため、旅先での食事も楽しめるよう手軽でヘルシーなものを中心とし、和食、洋食、サラダ、キッズメニューなどバラエティ豊かなラインナップ。同社Webサイトで事前予約できるメニューは、食事が6品、機内で購入できるメニューは食事が2品、軽食・スナックが13品、飲み物が12品(アルコール飲料を含む)となっている。機内限定の特別メニューとして「空飛ぶレッド」シリーズを販売。このシリーズは、エアアジアのブランドカラーである「赤」をコンセプトにしており、8月1日から9月30日までの限定メニュー第1号は、「スモークサーモンとクリームチーズ、レッドオニオンのベーグルサンド 完熟赤のトマトスープセット」(800円)。他に「鮭とおかかのおにぎり味噌汁セット」(事前予約の場合700円、機内販売の場合800円)、「ホットイングリッシュマフィンサンドウィッチ(卵・チーズ・ハム)コーヒー・紅茶 セット」(事前予約のみ650円)、「舞茸の炊込みごはん弁当 味噌汁セット」(事前予約のみ1,000円)などがある。機内食メニューは、今後の路線展開に合わせ、またリピーターの方にも楽しんでもらえるよう2カ月ごとに変更していく予定。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月29日名鉄観光サービス株式会社とトリップアドバイザー株式会社は、名鉄観光サービスの提供する国内、海外のツアー・宿泊予約サイトに、トリップアドバイザーの宿泊施設に関する口コミコンテンツを掲載する提携行うことを発表した。名鉄観光サービスは、同社の宿泊予約サイトを全面的にリニューアル。これまで別々になっていたツアー予約と宿泊予約の会員登録の仕組みを一元化し、利便性を向上した。さらに同サイト上に掲載されている、国内の約1,300件の宿泊施設に関して、トリップアドバイザーの口コミ情報を掲載。宿泊施設の情報ページでは、各施設の基本情報等に加え、旅行者による5段階の口コミ評価が参照できるほか、宿泊施設に対して口コミを投稿することも可能となった。さらに宿泊施設の検索結果画面にも口コミ評価を掲載。プラン検索機能を強化して、宿泊施設ページ・プランページについてはプラン予約に必要な情報をわかりやすくするため全面刷新するなど、利用者が希望するプランが探しやすくなった。米国の旅行専門のコンサルタント会社「PhoCusWright」の調査では、ホテルのウェブサイトを見た旅行者が、同月中に予約をした割合は約9%だが、口コミを読んだ場合は13%に上昇したという。口コミはオンラインでの予約に大きな効果があることがわかり、今回のコンテンツ提携によって、旅行者はより自分の希望に近いホテルを探せるようになったほか、名鉄観光サービスは「予約率の向上」が、トリップアドバイザーは「認知度の向上や口コミの投稿増」などが期待される。
2012年06月21日シャーロット・ブロンテの同名小説を、『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカをヒロイン役に迎えて映画化した『ジェーン・エア』。現在公開中の本作に、夏木マリら女性の著名人たちからコメントが届いた。その他の写真『ジェーン・エア』は、幼少期に両親を亡くして孤独に生きてきた主人公ジェーン(ワシコウスカ)と、上流階級の男性ロチェスター(マイケル・ファスベンダー)の身分違いの恋を軸に、苦難に満ちた人生を生きる女性の姿を描いた物語。これまで幾度も映画化されており、本作は『闇の列車、光の旅』で注目を浴びた34歳の新鋭キャリー・ジョージ・フクナガが監督を務めている。今回コメントを寄せた夏木は、「思わず引き込まれる展開とキャスティングに加え、現場の匂いや温度、風まで感じさせてくれる映像、どれをとっても素晴らしく、見事でした」と本作を絶賛。ほか、漫画『東京ラブストーリー』など、多数の名作をおくり出している柴門ふみ氏は「映像の美しさと息もつかせぬ刺激的な演出。フクナガ監督の手法に古典の古臭さは微塵もない。ふたりの愛に引き込まれ、不覚にも泣いてしまいました」と賞賛しており、漫画『ベルサイユのばら』で知られる池田理代子氏は「少女時代から愛し続けてきたこの作品の、見事な映像化! 人間に魂の愛があることを教えてくれたジェーンが、画面で生きている」と高く評価している。不遇な運命に翻弄されながらも、自立した精神で自らの人生を切り開くジェーンの姿は、原作が発表された当時の人々にとってはセンセーショナルで多くの反響を呼んだようだが、現代の女性の心にも強く響いているようだ。『ジェーン・エア』公開中
2012年06月11日どんなに過酷な道が続いても運命に屈することなく、知性と信念で自分の人生を切り開いた女性 “ジェーン・エア”。英国の女流作家シャーロット・ブロンテによってこの世に生み出された、この強く凛々しいヒロインは、出版されてから165年の間に幾度となく映画化・ドラマ化されてきた。そんな不朽の名作に新たに挑むのは、長編デビュー作『闇の列車、光の旅』(2009)で世界から熱い注目を浴びた34歳の気鋭、キャリー・ジョージ・フクナガ監督だ。その他の写真幼い頃にロバート・スティーヴンソン監督、オーソン・ウェルズ出演の『ジェーン・エア』を観てその世界観に魅せられたというフクナガ監督が今回こだわったのは「原作に忠実であること」だった。原作に近いダークな部分やドラマ性、ゴシック・ホラー的な要素をしっかりと描きつつ、フクナガ流の新しい『ジェーン・エア』を作り出している。現代の女性のハートもしっかりとつかむヒロインのジェーンを演じるのは、『アリス・イン・ワンダーランド』『永遠の僕たち』などで知られる若手実力派、ミア・ワシコウスカだ。「実はジェーン役を誰にするかノーアイデアで、知り合いの監督たちに相談をしたところ、相談した人すべてが挙げてきた名前がミアだった。僕は彼女に会うために、当時撮影していたガス・ヴァン・サント監督の『永遠の僕たち』の現場へ行ったんだ。彼女はちょうど『ジェーン・エア』の小説を読んだばかりで、とても興味を持っていて、映画化の予定がないかエージェントに問合せていたところだったんだよ。僕にとってミアがファースト・チョイスであると同時に、ミアにとってもこの作品はファースト・チョイスだったというわけさ。運命を感じたよ。ほかのキャストも思った通りの人たちがキャスティングできて、本当にラッキーだった」。物語は、ジェーンの生い立ち、そして魂と魂が惹かれ合うようなロチェスターとの深い愛が紡がれる。経済的に自立する女性、自分から愛を告白する女性だからこそジェーンの生き方は現代を生きる女性の共感を得るのだろう。現代版ジェーンをスクリーンに映し出した監督も「ジェーンのように知的で、自分自身をしっかり持っている女性に僕も惹かれる。ただ、ジェーンはシリアス過ぎるから、付き合うとしたらもう少しユーモアのある女性がいいかな(笑)。あと、僕自身ロマンチストでありたいとも思っていて。たとえば原作者のシャーロットの妹のエミリーは『嵐が丘』の著者で、姉よりも情熱的。だから、もしもこの姉妹のどちらかを選ぶとしたら僕はエミリーだね(笑)」。プライベートな一面をチャーミングに語りつつ、「それでもジェーンの愛、愛した人に対する無条件の愛、そこにとても惹かれるんだ」と、この映画の根底に流れる愛を力強く語った。『ジェーン・エア』6月2日(土)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー取材・文・写真/新谷里映
2012年05月31日英国文学史上、最もセンセーショナルと称され、いまでは不朽の名作と讃えられる「ジェーン・エア」。これまでも多くの監督たちが映画化に挑んできたが、今年、新たな傑作が誕生した。物語が誕生した1847年当時、女性の自立を描いた衝撃的な古典に、21世紀らしい新鮮なアプローチで取り組んだのは、長編デビュー作『闇の列車、光の旅』でサンダンス映画祭監督賞に輝くなど、高い評価を得たキャリー・ジョージ・フクナガ監督だ。モラルを犠牲にせず、愛を貫くジェーンの姿勢1977年、アメリカ生まれの米国人だが、名前からもお分かりのように、祖父母、父が日系アメリカ人、母がアメリカ人という環境で育った人物。俳優だと言われても納得するほどの容姿の持ち主で、知的な話しぶりからは、洞察力の鋭さもうかがわせるハリウッド期待の新進気鋭だ。前作では、女性の強い精神性を描いていたが、本作でも、ジェーン・エアが真実の愛にたどり着くまでの“選択”に焦点を当て、そこから一人の人間が自らの尊厳を守り抜き、愚直なまでに強く清らかに生きようとするさまを見事にあぶり出している。この名作文学の魅力についてフクナガ監督はこう話す。「ジェーンの強靭な精神に心を打たれたんだ。モラルを犠牲にせずに、愛を貫く姿勢がとても素晴らしい。この物語に惹かれたのは、普遍的で避けられないテーマをはらんでいるということがひとつ。そして、女性をめぐる旅という意味で前回の映画の続編のようなものであるということがもうひとつの理由だね」。フクナガ監督が感銘を受けたという精神性は、どこか日本人にはなじみやすい。作品を観ているとき、決して泣き言を言わず困難に立ち向かうジェーンの姿、その美学ある生きざまに、震災に直面した際に多くの日本人が見せた強さを思い出した。「そうだね。英国と日本には、一般的な共通点が多いと思うね。ほかの国や文化から隔絶されているという地理的な特徴が、精神性にも影響していると思う。島であるということ、ほかの文化から侵略されていないということ、文化が比較的混ざり合っていないということに共通点があるかもしれないね」。とはいえ、自分自身のバックグラウンドにある日本文化が、この物語をより深く理解する助けになったという意識はないという。「人には誰にでも共感や分析力というものがあり、様々なテーマの物語を受け入れることができるし、特にこの物語には普遍的な感情を呼び覚ます力がある。どんな文化圏に育った者にも理解できるメッセージが込められている。物語には、あまりに様々な要素が組み合わさっている。ただ、素晴らしい物語には人間性が反映されていると言える。様々な個性をもつ素晴らしい名作が世の中にはあるけれど、自分の考えや体験と重ね合わせることができ、強い共感を覚えるものを人は素晴らしいと思うのだろう。たとえ自分とは違う世界で生きる人々の話であっても、人は物語に感銘を受けることができる。それは人間というものが、結局は同じものを共有しているから。ジェーン・エアの物語についても同じだね。ジェーンが経験してきた過酷な人生、彼女が自ら選んだ人生の意味、そしてなぜ彼女がそれを選んだかということは、ミステリーでも何でもない。これは特殊な選択などではなく、とても難しい選択だったということなんだ。特に、彼女はうその生活で幸せを装うよりも、ロチェスターから逃げモラルを貫いて死ぬことを選ぶ。これはとても強い意志と決意に裏打ちされた選択で、たぶん、99%の人間が選ばない人生だと思う。ただ、誰でも難しい選択をしたことはあるものだ。だから、それと重ね合わせることはできるんじゃないかな」。「ガールフレンドには自分と出会う前のボーイフレンドがいるもの(笑)」実際に、彼自身も難しい選択をしたことがあるといい、「ここでは言えないけれどね」と笑顔を見せる。「全ての難しい選択は、自分を見つけ、知るのに役立つのだと思う。何を選んでいくかで、インテグレティ、強さを試される。自分が誰であるかを知る手がかりになる。そして、その選択をした後では、自分が変化していると感じるものだ。難しい選択をした後では、それ以前の自分とは同じではいられない。全てのものは変化していく。岩でさえね」。ところで、『ジェーン・エア』は誰もが知る名作文学であり、多くの監督たちが映画化してきた物語だが、今回、そのことでプレッシャーは感じなかったのかと聞くと、「ガールフレンドには、自分と出会う前に別のボーイフレンドがいるものだから」と笑う。「実際にプレッシャーも特になかったし、作品の成功についても、正直なところ考えなかったんだ。この作品を撮った監督たちと競う気もなかった。自分の映画を撮るときに、ほかの作品やほかの監督のことなどを考えたくなかったんだ。自分らしい決定ができなくなったり、自分の監督としての可能性を狭めたりしたくはなかったからね。それに、作品を比べられるという不安もなかった。彼らの映画は彼らの映画。自分は自分の視点で違った作品を撮るんだと思っていたから。僕の作品にはある種の自分が反映されているはずで、自分の直感が導く決定には、僕自身が映し出されているはずだから。いずれにしろ、ジェーン・エアの物語は素晴らしいのだから、これからも多くの作品が誕生するはず。誰かがやることになるんだ。シェークスピア作品を考えてみれば、同じ物語を繰り返し別の人間が世界中で舞台化している。それと同じようなものだと思うよ。なぜ繰り返し語られるのかと問われれば、『やらないほうがおかしいね。素晴らしい物語なのだから』と答えるね」。豊かな才能に裏打ちされた自信と余裕のなせる業なのだろう。揺るぎない選択眼により選んだキャストについても、こう話してくれた。「今考えられる最高のキャストだった。特に主演の二人については、別のキャスティングは考えられない。ジェーンを演じたミア・ワシコウスカと、ロチェスターを演じたマイケル・ファスベンダーは、これから長く素晴らしいキャリアを築いていくと思うし、そう願うね。彼らはとはとても素晴らしい仕事ができた。こういった誰もが知る名作の場合は特に、キャスティングは重要になる。シェークスピア劇や名作文学の場合、確かに多くの俳優が演じているし、適した俳優を選ぶこと自体は難しくはないかもしれない。でも、その作品の世界観を確立させるためには、一人一人の俳優が役に合っているかだけでなく、キャスト全体に調和が生まれているかが重要になる。それはまるでバスケットボールのチームのようなものだね。一人のスターだけでは成り立たない。成功のためには、一人一人が役割に合っていて、調和のとれた働きをしなければならないんだ。だから、キャスティングも映画作りにとって重要なひとつの基礎。そのほかにも基礎的なステージがいっぱいあり、つまりは失敗する要素もいっぱいあるけれど」。構図や色調も、その一つだろう。本作では、構図や色調の絵画的な美しさも印象深い。「実は、絵画には造詣は深くないけれど、写真は撮るんだ。イギリスの『Lula』という雑誌に、一連の作品を発表したことがあるんだ。実際に映画製作やキャスティングの現場などを自分自身で撮影している。これからも撮影していくつもりなんだ」。スチールとムービー。2つのカメラを使い分け、人間をフィルムに焼き付けていくフクナガ監督。今後もどんな物語を題材にしようと、その豊かな描写力をもってすれば向かうところ敵なしといったところだろう。「僕は、人として物語を語る手段として、画を撮っている。モチーフには、僕自身が興味を持てる物語かどうかが重要なんだ。監督として、またフォトグラファーとして、この作品を撮ってみたいと感じるよりも、むしろね」。次に、キャリー・ジョージ・フクナガが一人の人間として、興味を持つのはどんな題材なのか。実に楽しみな才能だ。(text:June Makiguchi)■関連作品:ジェーン・エア 2012年6月2日よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© RUBY FILMS (JANE EYRE) LTD./THE BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2011.■関連記事:ミア・ワシコウスカ、元「OASIS」N・ギャラガーも!「SSFF&ASIA」注目のスターたち英国文学史上に残るスキャンダル!『ジェーン・エア』試写会に10組20名様ご招待ミア・ワシコウスカ、『ジェーン・エア』に続いて『ボヴァリー夫人』のヒロインにジュード・ロウに新恋人。お相手は舞台で共演した9歳年下の女優
2012年05月30日本年度のアカデミー賞で衣装デザイン賞にノミネートされた『ジェーン・エア』が6月2日(土)から公開される。これまで幾度も映像化されてきたシャーロット・ブロンテの傑作小説を前に、監督のキャリー・ジョージ・フクナガとスタッフが目指したもの。それは“完璧な時代の再現”だったという。そのこだわりはどこにあるのだろうか?その他の写真本作は、幼少期に両親を亡くし、孤独に生きてきた女性ジェーン(ミア・ワシコウスカ)と、横柄で気難しい上流階級の男性ロチェスター(ファスベンダー)の身分違いの恋を主軸に、苦難に満ちた人生の中で、真実の愛を探し求めるひとりの女性の姿を描いた物語だ。フクナガ監督は、原作の舞台となった1830年代に関する時代考証を徹底的に行い、衣装や言葉、作法のすべてに完璧を求めた。撮影は、小説の舞台となった英国ダービーシャー州で、奇跡的に18世紀の状態が維持されてきたというハドン・ホールの屋敷と敷地で行われた。さらに衣装は、『ある公爵夫人の生涯』で第81回アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したマイケル・オコナー氏が担当。「俳優のために衣装を作るのは、登場人物の一部を作り上げること」と語るオコナー氏は、当時の写真を参考に、徹底的に研究を重ねたという。当時はまだミシンが発明されていないため、主要な登場人物の衣装はすべて手縫い。さらにスクリーン上ではドレスの下の見えない部分(パンタロンと長い下着、そしてプリーツの入ったペチコート)までもが忠実に再現されている。CG全盛期の現代において過去の風景を完璧に再現することは不可能ではない。しかし本作では、監督とスタッフ、キャストが一丸となり、あえて“手で作る”努力を惜しまずに19世紀の英国の風景を再現した。そのこだわりの数々が、映画『ジェーン・エア』に魅力を与えているのではないだろうか。『ジェーン・エア』6月2日(土)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2012年05月25日損保ジャパンは、マレーシア格安航空大手エアアジアグループの長距離路線エアアジアXと、海外旅行保険の販売に関して業務提携し、今月からエアアジアX利用客向け海外旅行保険「エアアジアインシュラトラベルプロテクション」の取扱いを開始したことを発表した。エアアジアのサイト上でのチケット購時に、損保ジャパンが引受先となる「エアアジアインシュラトラベルプロテクション」をあわせて提示することによって、航空券と海外旅行保険の購入をまとめて済ませることが可能になるという。プランは、片道航空券を購入した場合は保険期間が2日間の「片道プラン」、往復の航空券を購入した場合は、旅行期間に応じて最大30日間の保険期間が設定できる「往復プラン」の2種類があり、保険加入者に対し、海外旅行中の補償のほか、旅行先での医療機関手配などを行う「医療アシスタントサービス」、「事故相談サービス」なども提供するとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月11日日興アセットマネジメントはこのほど、個人投資家が自身に合った”お金の取り扱い方法”を見つけ、実践に移すのに役立つウェブサイト「お金のトリセツ(取扱説明書)」に、新たに「確定拠出年金」(日本版401k)に関するコンテンツを設けた。「お金のトリセツ」は、お金の整理法や、さまざまな金融商品の基本的な内容を、平易な言葉と、”トリセツ”らしいビジュアル表現でわかりやすく伝えいるウェブサイト。家電製品の”トリセツ”のように、誰でも手軽に読めるような内容になっており、ウェブサイト訪問者は容易に自身のお金への理解度が把握できたり、資産運用の「イロハ」を学ぶことができたりする。日興アセットマネジメントでは今回、この「お金のトリセツ」の新しいコンテンツとして、制度スタートから10 年余りが経過しながらまだ十分に理解されているとはいえない「確定拠出年金」に関するページを追加した。「確定拠出年金」は、加入者自身が将来の年金のための積立金の運用先を選択して、その運用成績に応じて年金の受取額が変わってくる制度。企業が運営し従業員が加入する「企業型」と自営業者などが対象の「個人型」の2種類があり、「企業型」では勤務先の企業が、「個人型」では加入者自身が毎月の掛金を拠出する(※1)。「企業型」の「確定拠出年金」に加入する企業数・加入者数は年々増加しており、採用企業は1万6,000社超、加入者数は約420万人に達している(※2)。「確定拠出年金」の最大のメリットは、手厚い税制優遇にある。年金目的の資産形成であることから、運用期間中の利息収入や投資信託などの売却益、分配金などといった運用益はすべて非課税。また、受け取り時にも公的年金等控除などの対象となり、税負担が軽減される。一方で、原則として60 歳までは運用資産を受け取ることができない、などといった制約もある。今年1月からは、「企業型」の「確定拠出年金」において、企業が毎月拠出する掛金に、加入者が一定の範囲内で掛金を上乗せできるようになった(※3)。これを「マッチング拠出」という。加入者が上乗せした掛金は所得控除の対象となるため、税制優遇メリットはさらに拡大することになった。「マッチング拠出」を採用した企業の数はすでに計75社に上り(※4)、今後も増加していく見通し。加入者の利点が大きい「マッチング拠出」の解禁によって、「確定拠出年金」の利用拡大はさらに加速していくと見込まれている。将来の公的年金受給に対する不安の増大が叫ばれて久しく、また昨今報道されている年金消失問題などもあり、「確定拠出年金」に対する加入者や企業の関心は高まっている。日興アセットは、「確定拠出年金」の運用手段である投資信託を提供する資産運用会社として、「今後も、この制度に関わる加入者や企業担当者の理解を促進するためのさまざまな施策に積極的に取り組んでいく」としている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月30日エステーは、10月20日から出荷を開始する、一般家庭でも安心して使える性能と価格を実現した家庭用放射線測定器「エアカウンター」を、新たな技術提供によりさらに性能をアップさせた上、税込み¥15,750としていた希望小売価格を税込み¥9,800に改定。また、販売ルートとして関東、東北のドラッグストア、ホームセンターなどを予定していたが、その需要の高さから福島県を中心に先行発売することとした。このたび出荷開始する「エアカウンター」は、新技術の導入によって放射線を測定する感度が上がり、最大約10分であった測定時間を最大約5分にて測定が可能となり、約半分に大幅短縮。パッケージデザインもMR_DESIGN代表のアートディレクター・佐野研二郎氏による、クリーンな空をイメージした水色と、下部に小さく家々を配置したかわいらしくシンプルなデザインとなっている。さらに、この「エアカウンター」には、首都大学東京の福士政広教授が監修した放射線等についての基礎知識を掲載した小冊子「正しく覚えよう!放射線の基礎知識」がセットになっている。詳しい商品情報はエステー(株)ホームページにて。 お問い合わせ先:エステー株式会社 お客様相談室TEL:03-3367-2120 プレスリリース提供元: 日経プレスリリース
2011年10月10日