20世紀の近代彫刻に大きな足跡を残したスペインの彫刻家、フリオ・ゴンザレス(1876~1942)。その作品を集めた回顧展『スペインの彫刻家フリオ・ゴンザレス―ピカソに鉄彫刻を教えた男』が11月28日から世田谷美術館ではじまります。バルセロナ生まれのゴンザレスは、鍛冶職人の家で育ち、金属加工の技を身につけます。21歳のとき、画家を目指してパリへ移住。金工作品や宝飾品をつくって生計を立てながら、画家として活動を始めます。50歳を過ぎたころから、彫刻家として作品の制作を開始。旧友ピカソに鉄の溶接技術を教え、ふたりでコラボレーションしたことで彫刻の新たな可能性に目覚め、その後は斬新な鉄彫刻の作品を次々と発表。国際的にも注目を集めますが、スペイン内戦、さらには第二次世界大戦がはじまり、混乱のなかで生涯を閉じます。本展では、彫刻を中心に金工作品やドローイングなど計94点を体系的に紹介。パリ時代に手がけたネックレスなどの宝飾品から、抽象的でのびやかな鉄の彫刻作品まで、繊細かつダイナミックな作品を楽しめます。特にオススメの作品は、展覧会のチラシにも使われている名品《ダフネ》。まるで空間に絵を描いたように見えるしなやかな作品で、その独特なフォルムには遊び心も感じられます。固い金属素材を自由自在に扱えるゴンザレスならではの傑作です。戦後の彫刻家たちにも大きな影響を与えたゴンザレス。その足跡をたどる展覧会に、ぜひ足を運んでみて。イベントデータ:『スペインの彫刻家フリオ・ゴンザレス』会期:2015年11月28日(土)~2016年1月31日(日)※休館日は毎週月曜日。ただし、2016年1月11日は開館、翌12日は休館。年末年始(12月28日~2016年1月4日)は休館。時間:10:00 ~ 18:00 ※入館は閉館の30分前まで会場:世田谷美術館料金:一般 1,000円/65歳以上 800円/大学・高校生 800円/中・小学生500円※画像無断転載禁止
2015年12月11日人が旅に出たくなるときってどんなときだろう?季節ごとの休暇を使って旅に出る人もいれば、思い立ってすぐにふらりと出かけてしまう人もいる。観光、癒し、趣味…人が旅に出る目的は様々。もちろん仕事で異国を訪れることも立派な旅のひとつ。たまたま観た映画の舞台となっている国や街が気になって、映画のロケ地を巡りたくなることだってある。そう、映画と旅は意外と密接な関係にあって、あのカフェに行ってあの料理を食べてみたい!あの歴史的建造物を、あの風光明媚な景色を自分の目で見てみたい!など、映画のワンシーンがきっかけで旅の計画が始まることも多かったりする。そして、旅先の拠点となるホテルも映画と密接な関係だったりするわけで──。たとえば、特集「一度は泊まりたい映画の中の有名ホテル30」でも紹介されているように、ニューヨーク観光なら『セックス・アンド・ザ・シティ2』に出てくる「ザ エンパイア ホテル」、パリ観光なら『ダ・ヴィンチ・コード』の「ホテル リッツ パリ」という具合に、ホテルを選ぶだけでも楽しさはぐんと広がる。旅する前からワクワクして、実際に訪れてドキドキして。そんな素敵なホテルが登場して旅に出たいと思わせてくれる映画がまたひとつ誕生した。それは、世界で最も美しい島と言われ、“カリブ海の真珠”と呼ばれるキューバの首都・ハバナを舞台にした『セブン・デイズ・イン・ハバナ』。7人の監督が描き出す、独立した7つのエピソードからなるアンソロジー映画だ。描かれるのは、月曜日から日曜日までの7日間の出来事。ツーリストの視線とその街で暮らす人々の日常がバランスよく組み込まれていることで、観光地としてのハバナ、生活する土地としてのハバナの2つの側面を体験できる。現実と寓話が混ざり合ったような、何とも不思議な物語でもあるのだ。とある女性と出会い忘れられない一夜を経験した青年、著名映画監督とタクシー運転手との友情、キューバ人の歌姫とスペイン人の実業家の情熱的な恋…など多種多様の人間模様が語られ、いつの間にかまるで自分自身がハバナで1週間を過ごしているような、そんな感覚にさせてくれる。そして、美しい街並と共に監督たちが選んだホテルももちろん泊まりたくなるホテルばかり!ベニチオ・デル・トロの監督デビュー作となった「ユマ/月曜日」、世界三大映画祭全てにおいて監督賞に輝いているサラエボ出身のエミール・クストリッツァ監督が著名な監督役で出演している「ジャム・セッション/火曜日」の2つのエピソードには、「ナショナル デ キューバ(Hotel Nacional de Cuba)」が登場する。旧市街と新市街を結ぶ海岸に沿ったマレコン通りに位置する老舗で、キューバのランドマーク的存在でもある人気のあるホテルだ。また、『アナとオットー』などで知られるスペインの鬼才フリオ・メデム監督作の「セシリアの誘惑/水曜日」に出てくる「ホテル ハバナ リビエラ(Hotel Habana Riviera)」もオーシャンビューが魅力的。文豪アーネスト・ヘミングウェイがこよなく愛した街であるように、世界で活躍する7人の監督たちがハバナという街を舞台に映画を撮りたくなったように、映画を観た人の旅心はきっとくすぐられるはず。美しい海や自然はもちろん、世界遺産に登録されている旧市街地などの歴史に触れる旅、そして映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』でも知られるラテン音楽などの文化に触れる旅をしに、いざハバナへ!(text:Rie Shintani)特集「一度は泊まりたい映画の中の有名ホテル30」■関連作品:セブン・デイズ・イン・ハバナ 2012年8月4日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© FullHouse/MorenaFilmsセックス・アンド・ザ・シティ2 2010年6月4日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010 New Line Productions, Inc. and Home Box Office, Inc.
2012年08月03日