船長として、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた、宇宙飛行士の星出彰彦さんが、およそ半年ぶりに、地球に帰還しました。星出さんは、日本時間2021年11月9日未明、地球への帰還に向けてISSを出発し、同日12時半過ぎ、アメリカ・フロリダ州の沖合に着水。その後、回収船に引き揚げられた宇宙船の扉が開き、笑顔で手を振る星出さんの姿が見られました。今後は、地球の重力に慣れるためのリハビリに入るとのことです。星出さんは、ISSに滞在中、「無重力空間で物体を回転させる」という実験動画を、Twitterにて公開し、多くの人の注目を集めていました。特に話題となったのは、こちらの『逆立ちゴマ』の動画。重力のある地上だとひっくり返る、逆さゴマ。無重力だとどうなる?What would this top do in micro gravity? pic.twitter.com/lAqaNsRpA3— 星出 彰彦 (JAXA宇宙飛行士) (@Aki_Hoshide) October 11, 2021逆立ちゴマは、その名の通り、回すと逆さまに立つコマのことです。このコマを強く回すと、すぐに軸はぶれ始め、やがて動画のように逆立ち状態になります。それでは、逆立ちゴマを宇宙で回すとどうなるのでしょうか。星出さんによる、実演動画がこちらです!では、実演。 pic.twitter.com/SmTMxbnI8K — 星出 彰彦 (JAXA宇宙飛行士) (@Aki_Hoshide) November 6, 2021 宇宙空間では、軸がぶれずに回り続けたため、逆立ち状態にはなりませんでした。コマが逆立ちするために必要な、『重力』と『地面との摩擦』が、宇宙にはないためとのことです。【ネットの声】・なんと興味深い!・何かにぶつからないと、ずっと回り続けるのかな?・答え合わせ、楽しみにしていました!面白かったです!素朴な疑問も、宇宙空間で行うというだけで、何倍も面白く感じますね。星出さんは、このような実験動画をほかにもTwitterで公開しているので、気になった人はチェックしてみてはいかがでしょうか。星出さん、ISSへの長期滞在、お疲れさまでした![文・構成/grape編集部]
2021年11月09日トレンドマイクロは3月24日、2016年の法人向け事業戦略を発表した。説明会には、代表取締役社長 兼 CEOのエバ・チェン氏と取締役副社長の大三川彰彦氏が登壇した。エバ・チェン氏は、セキュリティの脅威が増大を続ける一方、企業のIT環境においては「サーバの仮想化」「ハイブリッド・クラウド」「モバイルデバイス」の導入が増えていることから、多層かつそれらの層が連携した新たなセキュリティ戦略に移行する必要があると訴えた。同社は、「情報を保管するサーバ」「情報を交換するネットワーク」「情報を利用するユーザー」の3つの層に対し、最適なセキュリティ対策が必要であり、これら3つの層を連携させた形の"次世代"のセキュリティ対策が重要としている。この次世代のセキュリティ対策を実現するためのコンセプトが「Connected Threat Defense」となる。Connected Threat Defenseは「Hybrid Cloud Security(クラウド&仮想化セキュリティ) 」「Network Defense(複雑化するネットワークの防御)」「User Protection(多様な環境におけるユーザーの保護)」という3つのレイヤーから構成される。Connected Threat Defenseでは、同社の各種製品を連携させ、企業環境内の各ポイントでの脅威情報を俯瞰的に一元管理することで、脅威に対する迅速な初動対応や原因追究調査、感染被害範囲の最小化を実現する。チェン氏は「2015年にConnected Threat Defenseを構成する製品を完成させ、2016年はこれらを提供していくことができる」と語った。現在、Connected Threat Defenseを構成する製品のうち一部が連携に対応しており、今年中にすべての製品の連携が完了する予定だという。「Network Defense」を実現するソリューションには、同社が買収したTippingPointの製品が含まれる。チェン氏は「高度な脅威を検知する、われわれの『Deep Discovery』とワイヤスピードでの防御が可能な『TippingPoint IPS』を組み合わせることで、新たなチャンスを生み出すことができる。また、TippingPointから300名のエンジニアを迎え入れることができたのも喜ばしい」と、TippingPoint買収による意義にも言及した。日本市場における法人ビジネス戦略については、大三川氏が説明を行った。国内では「グローバルでのアライアンスパートナーシップと国内のパートナー協業を融合し、顧客環境に最適なセキュリティを展開」を基本方針とし、「次世代技術の連携」「運用監視サービスの拡充」「ユーザー企業へのアプローチ強化」に注力していく。「Network Defense」においては、ユーザー企業が仮想化・クラウド環境のメリットを最大限享受できるよう、ハイブリッドクラウド環境下でサーバを一元的に管理/保護する自動化されたシンプルなセキュリティ管理ソリューションとして「Deep Security」を提供する。これにより、富士通やNECといった国内大手ベンダーとのクラウド分野で協業するとともに、グローバルの仮想化ベンダーであるヴイエムウェアとの国内連携を推進している。大三川氏によると、VMware NSXとSecurityを組み合わせたソリューションの実績は2ケタを超えているという。「Network Defense」においては、同社のネットワーク型脅威対策製品「Deep Discovery Inspector(DDI)」と顧客のシステムにすでに導入されている他社のSIEM(Security Information and Event Management)製品やIPS(Intrusion Prevention System)とのAPI連携を進め、DDIで検知した脅威を他社製品で防御することを実現する。すでに、IBM、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、パロアルトネットワークスと連携しているという。「User Protection」においては、従来型製品群の次世代技術との連携により、エンドポイント・ゲートウェイ製品の最新脅威への対応能力の向上を目指す。また、クラウドアプリケーション向けセキュリティサービス「Trend Micro Cloud App Security」では、対応するクラウドサービスを拡張していく。中堅・中小企業に対しては、パートナーと連携してクラウド型セキュリティサービス「Trend Micro Security as a Service」の導入を推進し、特にエンドポイント向けクラウド型セキュリティサービス「ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス」、クラウド型総合ゲートウェイセキュリティアプライアンス「Cloud Edge」に注力する。
2016年03月25日2016年の年頭にあたり、 トレンドマイクロ 取締役副社長 大三川 彰彦氏は、以下の年頭所感を発表した。2016年はセキュリティ対策を見直すべき年に2016年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。日ごろからの当社に対するご支援に厚く御礼申し上げます。2015年は、規模や業種に関わらず様々な企業/組織が標的型サイバー攻撃の対象になりました。外部からのサイバー攻撃だけではなく、内部の従業員による情報流出で企業/組織の信用問題を問われる事件も注目されました。約7割の企業/組織が過去1年間にセキュリティインシデントを経験しており、経営者が、標的型サイバー攻撃や内部犯による情報漏えいを、ビジネスの継続性を脅かすリスクとして捉える必要性を強く問いかけられた一年になりました。2016年はどのような年になるでしょうか。ひと言で申し上げれば、「改めて基本からセキュリティ対策を見直すべき年」だと言えます。新しい攻撃手法が次々と生まれる一方で、企業・個人が持つ情報のデジタル化は加速しています。たとえば、IoTの広まりにより、情報を扱う端末は従来のPCやスマートフォンから腕時計、各種家電などにも広まっています。また、FinTechの広まりにより金銭的価値を持つ情報のやり取りも急激に増えることでしょう。企業/組織においては、マイナンバーの運用開始、個人情報保護法の改正などにより更に厳格な情報管理が求められます。このように2016年は、情報セキュリティとして考えるべき範囲や重要度が急激に拡大し、従来の考え方や手法だけでは情報を守ることができない時代に入っていくと思われます。こういう時こそ、一度立ち止まって改めて基本に立ち返り、企業や個人の情報セキュリティとは何か、どこから何をどうすべきかを見直し、次なる時代の足固めをする必要があるのではないでしょうか。トレンドマイクロは移り変わる新しいIT環境において、攻撃者の行動特性/技術を理解して迅速に対応する「スレットディフェンス戦略」を2016年も推進してまいります。セキュリティ人材の育成・確保が緊急課題として叫ばれる昨今、当社はパートナー様と共に、技術的な側面はもちろんのこと、組織的な対策、セキュリティ人材育成の側面からもお客様を支援してまいります。これまで同様、クラウドや仮想化環境におけるセキュリティソリューションや標的型サイバー攻撃対策ソリューションといった包括的で確実性の高いセキュリティ対策の提供はもちろんのこと、本格化するIoT時代の到来に向け必要となる新しいセキュリティソリューションなども提供する計画です。トレンドマイクロのビジョンは「デジタル情報を安全に交換できる世界の実現」です。これを実現するために、セキュリティの専門家「スレットディフェンス エキスパート」として、最先端のセキュリティ技術を開発し、お客様の環境を守る最適なソリューションを継続して提供して参ります。本年も変わらぬご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2016年01月05日●ウイルスバスタークラウド10と太田雄貴選手トレンドマイクロは、ウイルスバスタークラウドの新バージョンとフェンシングの太田雄貴選手とのスポンサー契約を発表した。○太田雄貴選手とのスポンサー契約太田選手であるが、北京五輪にて日本フェンシング界の初のメダル(銀)の獲得、ロンドン五輪では団体銀メダル、2015年の世界選手権で金メダルを獲得したことで知られる。今回、トレンドマイクロ社が太田選手とのスポンサー契約を結ぶにあたって、代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は以下のように語った。フェンシングの名前は「FENCE(守る・囲い)」から生まれたもので、相手の攻撃からの防御、変化する相手の攻撃に対応する戦略性などが重視される。この発想は、トレンドマイクロの脅威からの防御、そしてさまざまな手法で攻撃を仕掛ける攻撃者に対応する姿勢と一致する部分がある。そして、各種大会での立派な成績もさることながら、小学生のフェンシング大会の企画・プロデュースなども手掛け、若い選手への育成にも力を注いでいる。こういった活動を高く評価すると、エバ氏は語っていた。さらに、エバ氏自身が、フェンシングが大好きであることも、スポンサー契約の理由の1つとのことである。エバ氏は、コーチからつねに早く、集中力を高め、相手の攻撃を予測できなければならないと教わった。トレンドマイクロの驚異対策も同じで、いかに早く驚異への対策を講じ、未知の脅威への対策と同じ姿勢が求められる。トレンドマイクロでは、太田選手のスポンサーとしてさらなる活躍と成長を支援するとともに、次世代選手育成キャンプなどの支援を継続し、グローバルに活躍する人材の育成の協力に取り組む予定とのことである。太田選手は、この場に立てることをとても感謝しているという言葉から挨拶が始まった。太田選手もトレンドマイクロが大切にしているフェンスとフェンシングには、とても似通ったものがある。相手の先の攻撃を予測して防御する点も、トレンドマイクロの思想とフェンシングが共感していると思うと語った。東京五輪が開催される2020年のセキュリティについて尋ねられると、インターネットと実社会は非常に近いものとなっている。それはこの先もより加速していくだろう。5年後、もっともっと近い存在となっていくがゆえに、ウイルスの脅威も増大していくのではないかと答えた。2020年には、ウイルスバスターに守ってもらいながら、次世代のアスリートを育成し、もしかしたら自分もチャンスがあれば、五輪にチャレンジしたいと夢を語っていた。○ウイルスバスタークラウド10必要な10理由続いて、ウイルスバスタークラウド10の発表となった。まずは、エバ氏がウイルスバスタークラウド10が必要な10の理由を披露した。以下の通りである。SNSWeb閲覧ネットバンキングネットショッピング動画視聴仕事遊び共有通信学習たとえば、共有ではOneDriveが、Windows 10の登場でより普及が進むと予想される。そこで、ウイルスバスター10では、クラウドストレージのスキャン機能が搭載された。実際にデモが行われ、CPU負荷がほとんどかからないことが示された。このように、新しいOSによる新しい環境や利用形態に沿ったものとなっていることを強調していた。○トレンドマイクロのコンシューマビジネス次いで登壇したのは、取締役副社長の大三川彰彦氏である。まず、トレンドマイクロが27年間貫き通したビジョンの「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界実現」、そしてミッションとして「お客様のデジタルライフやITインフラを脅威から守る」を再確認した。そして、環境の変化についてふれた(図3)。多くのユーザがPC以外にもスマホなど複数のデバイスを持つ、平均的には1人で3.5台になる。しかし、PCのセキュリティ対策はしても、スマホなどの対策があまり行われていない。次に、クラウドサービスが普及する一方で、セキュリティへの懸念が拡大している。また、トレンドマイクロのデジタルライフサポートの利用者も急増している。これは、複雑化するデバイスの設定がわからない。警告が表示されたが、どう対応していいかわからないといったものである。実際にサポートで、何が起きているかを確認するだけで、30分もの時間を費やしてしまうこともあるとのことだ。こういった問題を解決するために開発されたのが、ウイルスバスタークラウド10である。以下では、個々の新製品の新機能などを見ていこう。●ウイルスバスタークラウド10/モバイルの新機能○ウイルスバスタークラウド10の新機能など製品紹介は、マーケティング本部プロダクトマネジメント部の石橋達司氏である。まずは、PC用の製品である。新機能などは図6の通りである。Windows、Mac以外にも、Android、iOS、Kindle Fireなどにも対応する。クラウドストレージスキャンであるが、図7を見てほしい。ユーザのPCを介さずに直接スキャンを行う。現状、対応するのはOneDriveのみであるが、Microsoftから提供されるAPIを利用してスキャンが行われるとのことだ。そして、デジタルライフサポートプレミアムであるが、特徴的なのはユーザ側にサポートツールをインストールすることで、ユーザの環境を直接サポートが知ることができる。OSなどの情報はもちろん、今、ユーザの画面で何が起きているかを把握できる(図8では、怪しげなポップアップが表示されているが、それもモニタ可能だ)。さらには、サポートからコントロールパネルを開くといった操作も可能になる。障害のより詳しい把握、サポート時間の削減などが期待できるだろう。一方、Windows 10の新ブラウザEdgeでは、一部の機能(ブラウザガード、リンクの安全性表示)はサポートされない(現時点では対応次期は未定とのことだ)。○ウイルスバスターモバイルの新機能などAndroidなどのモバイルデバイス向けのセキュリティ製品が、ウイルスバスターモバイルである。今回の新機能などは、図9の通りである。オンラインバンキングなどでの安全性の向上が期待できる機能が追加された。図10は、偽アプリを検出そたこの対象であるが、国内の主要銀行でオンラインバンキング用のアプリを提供する銀行を対象としている。トレンドマイクロでは、この仕組みを作る前に存在するアプリにスキャンを実行し、問題があれば銀行に連絡をとったとのことである。新バージョンへの対策であるが、すでにチェックが終わったアプリは定期的に確認をしている。新たなアプリについては、一定間隔で確認を行うとのことである。大三川氏のマルチデバイスの普及に関して、平均3.5台という数字をあげていた。今回の標準パッケージでは、3台までのデバイスが利用可能である。しかし、家族のすべてのデバイスに対応できない。そこで、トレンドマイクロでは、OKAERIという月額制のサービスも提供している(台数無制限)。状況によっては、こちらも検討したい。
2015年07月27日トレンドマイクロは3月に2015年の事業戦略発表会を開催した。Office365向けの新製品が発表されたほか、企業全体のセキュリティをカバーする包括的なソリューションを提供する。トレンドマイクロ代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、まず「日本航空、ソニー・ピクチャーズ、Targetなど、企業からの大規模な情報漏えいが多発している。サイバーセキュリティを強化することは企業の競争優位性につながる」として、企業向けセキュリティを強化することを述べた。トレンドマイクロの売上比率は、コンシューマー向けが35%、企業が65%だが、「2015年は、もっとも大きな被害を受けている中堅・大企業に注力し、戦略的成長を目指したい」としている。具体的な事業戦略として、エバ・チェン氏「3つのC」をキーワードに事業戦略を発表した。○「カスタムディフェンス(Custom Defence)」では自治体向けマイナンバー対策製品も1つ目のC、「カスタムディフェンス(Custom Defence)」は、標的型サイバー攻撃などの対策への備えになる。脅威の根本原因を特定し、自社内でカスタムシグネチャを自動生成するソリューションを提供するものだ。具体的にはトレンドマイクロのクラウド型情報基盤「SPN(Smart Protection Network)」において、企業内の端末が不正サイトにアクセスした場合に管理者に警告する「Early Warning Service(仮称)」を新たに追加する。また自社にカスタマイズされた脅威への対策として、標的型攻撃の対策製品「Deep Discovery」を強化。脅威の根本原因を可視化する新しいしくみ(Deep Dicovery Endpoint Sensor:仮称)を提供するほか、既存製品との連携(Deep Dicovery Analyzer)で分析する。IBM、Splunk、HPなど他社のSIEM製品からの脅威ログも相関分析することで、脅威の根本的な原因を明らかにするものだ。注目は「Trend Micro マイナンバー向けサンドボックス」で、自治体向けのマイナンバー対策として6月から提供していく。トレンドマイクロ取締役副社長の大三川彰彦氏によれば「Deep Discoveryの簡易版にあたるものだが、情報漏えい対策・サイバー攻撃の防衛として、マイナンバー用のサーバーとネットワークの間で設置していただくソリューション」として力を入れていくとのことだ。○「ユーザー保護の徹底(Complete User Protection)」ではOffice365向けセキュリティ対策クラウド利用やタブレット・スマートフォン利用など、端末やユーザーのワークスタイルが多様化する中で、幅広い環境に対応する「ユーザー保護の徹底(Complete User Protection)」を行っていく。注目は新たにリリースされた、Office365向けセキュリティ対策製品だ。マイクロソフトのOffice365は利用者が爆発的に増えており、2年で5.5倍の規模にまで成長している。Office365は、マイクロソフトのクラウド・OneDriveと融合して使えるのことが特徴だが、そのOneDrive上でマルウェアを検知する「Trend Cloud App Security(仮称)」を新たに投入する。発表会では「Trend Cloud App Security(仮称)」のデモが、iPadを使って行われた。標的型攻撃で使われる不正なWordファイルを、OneDriveにアップしたところ、「Trend Cloud App Security(仮称)」が即座に削除し、ユーザーに通知してくれる。クラウドでは、ユーザー共有によってマルウェアが拡散してしまうことが多いが、この機能を使えばOneDriveでのマルウェアをシャットアウトできる。OneDrive側に負荷をかけることもないとのことだ。この他に企業での運用・管理を軽減するクラウド型製品を提供する。クラウド型Webゲートウェイセキュリティ(InterScan Web Security as a Service)を新たに投入するほか、クラウド型メールセキュリティ(Trend Micro Hosted Email Security)を強化する。これらの製品はリモート管理ツール「Trend Micro Remote Manager」で管理できる。Office365との製品バンドル販売、既存エンドポイント製品とのセット販売などを推進していくとのことだ。○「クラウド&データセンターセキュリティ(Cloud & DataCenter Security)」では、VMware vSphere6に対応IT環境がクラウド&仮想化への移行するのに合わせ、「クラウド&データセンターセキュリティ(Cloud & DataCenter Security)」として製品を新たな技術や環境へ対応させていく。具体的には総合サーバーセキュリティ製品である「Trend Micro Deep Security」を、VMware vSphere6に対応させる。またMicrosoft Azureとの連携強化、AWSでのLinuxカーネル対応など、新たな環境に迅速に対応していくとのことだ。合わせてパートナーとの販売施策を強化し、クラウド関連ベンダーとしての連携でビジネスを促進するとしている。このようにトレンドマイクロにでは、「3つのC」を柱に企業向けソリューションを強く推進していく。他社との差別化について質問されたエバ・チェン氏は「トレンドマイクロの強みは、スレットディフェンスに注力していること。セキュリティ情報のビックデータを収集・分析する『SPN(Smart Protection Network』をによって、より素早く脅威を特定できる。SPNを核にして『3つのC』で革新的なソリューションを提供していく」と語った。
2015年04月09日3月25日、トレンドマイクロは、2015年の新たな企業向けとなる事業計画を発表した。日々進化するIT環境と、それを狙う脅威がつねに存在する。トレンドマイクロでは、クラウド型セキュリティ技術基盤「Trend Micro Smart Protection Network(以下、SPN)」のさらなる技術革新と、3Cに紐づくソリューションの新たな展開を基軸にし、トータルなソリューションを提供する。本稿では、その一部を紹介したい。最初に登壇したのは、トレンドマイクロの代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏である。まず、トレンドマイクロの業績が非常に好調であったことを報告した。その一方で、サイバーセキュリティに関する問題はますます大きくなり、多額の損失を発生させていると指摘する。そして、企業を越え、国レベルの対応も必要となっている。顧客情報の保護は、競争優位性にも繋がる。米国オバマ大統領の開催したセキュリティサミットなどにもふれながら、セキュリティの重要性を語った。2015年のカナダ女子サッカーワールドカップのスポンサーとして参加する。そこで、もっとも重要なのは、セキュリティも提供することになった点である。デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現のため、トレンドマイクロは今後も最新の防御策を提供し続けると語る。○守るべきCで始まる3つの領域さて、それでは事業戦略を見ていこう。トレンドマイクロでは、基本的にコンシューマから大企業まですべてを網羅する。しかし、標的型攻撃などにより、中堅&大企業のビジネスがもっとも熾烈な攻撃にさらされている。先進的な防御や検知が必要となり、技術的にも戦略的にも重視している。トレンドマイクロでは、3つの領域に分けてソリューションを提供してきた。それは「コンシューマライゼーション(Consumerization)」、「サイバー攻撃(Cyber Threats)」、「クラウドと仮想化(Cloud & Virtualization)」である(図2)。これは、従来からトレンドマイクロが分類してきたものだ。具体的には、サイバー攻撃に対しては、カスタムディフェンスをもって対応する。さらに、より多くの企業と協力するすることで、より多くの環境に、より最適なセキュリティ対策を提供するとのことだ。また、それぞれの分野では、図3のように市場拡大が期待され、それに対応していく。ユーザー保護の徹底では、トレンドマイクロの世界シェアは約10%である。逆にいえば90%が未開拓となる。他社製品を使うユーザーも販売対象となると語った。市場規模も興味深い。現状、カスタムディフェンスの市場は、決して大きくはない。逆に、市場の拡大が期待できるともいえる。そこで、カスタムディフェンスやクラウド&データセンターセキュリティでは、製品の優位性からビジネスを拡大していく予定とのことだ。あとは、新規顧客の獲得や導入実績などを紹介し、発表を終えた。○Trend Micro Cloud App Security(仮)デモ続いて、Office 365向けのクラウドベースのセキュリティ対策となる「Trend Micro Cloud App Security(仮)」のデモが行われた。実際に、iPadを使いながらデモが行われた。その概要であるが、図4のようになる。データは、クラウド上のOneDriveに保存され、クライアントもWindowsに限らない。iPad上のCloud App Securityの管理画面は図5のようになる。画面の上にあるように、Exchange、SharePoint、OneDriveに対してセキュリティを提供する。脅威の検出状況(図6)では、既知の脅威だけでなく、標的型攻撃の検出・遮断も行う。SPNの重要な技術にWebの信頼性を評価するWeb Reputation技術があるが、これもCloud App Securityに搭載している(図7)。DLP(Data Loss Prevention)はデータの中身をチェックし、個人情報などの紛失や外部への流出を防ぐ機能である。具体的には、WordやExcelのデータに、クレジットカード情報やマイナンバーなどの情報が含まれていないかをチェックする。あれば、ログに記録・アップロードの遮断を行う。その後、デモが行われた。iPadには、実際に標的型攻撃で使われたメールが届いた状態からスタートした(図9)。Wordのデータが添付されている(図10)。一見すると普通の文書である。これが標的型攻撃の特徴でもある。このファイルをOneDrive上にアップロードしてみる。アップロードが完了すると、Cloud App Securityがチェックを行う。このファイルは問題ありなので、削除されユーザーに通知が行われる(図12)。図5の管理画面に戻ると、グラフが1つ増えているのがわかる(図13)。さらにログを表示すると、デモを行ったタイミングで、削除を行ったことが記録されている(図14)。管理者は、このように標的型攻撃が遮断されたことを確認できる。Office 365やOneDriveをビジネスで利用する機会も多い。このように、ウイルスや不正ファイルが共有されると、一気に企業内で拡散する危険性がある。Cloud App Securityでは、それを防ぐことができる。○日本における事業戦略日本国内の事業戦略については、副社長の大三川彰彦氏が説明を行った。まず、トレンドマイクロが注目するIT環境の変化について紹介した(図16)。興味深いのは、遠隔操作ツールなどが急増しているあたりだ。それ以外にも、クラウドサービス、対象デバイスも拡大しているる。つまり、デモでもあったような標的型攻撃への対策が急務ともいえる状況といえる。そこで、トレンドマイクロでは、上述した3つの領域に対し、以下のようなソリューションを提供する。まずは、ユーザー保護である(図17)。デモで紹介したCloud App Securityなどが新たに投入される。カスタムディフェンスでは、以下となる(図18)。ここで注目したいのは、カスタムディフェンスである。自社内でカスタムシグネチャを自動生成するソリューションである(図19)。Deep Discoveryが検知した脅威などから、Deep Discovery Analyzerが分析を行い、カスタムシグネチャを作成する。クラウド&データセンターセキュリティでは、図20のようなソリューションが提供される。大三川氏は、かつては、マルチベンダソリューションという考え方もあった。しかし、個別のソリューションで対応できない。トータルに、包括的にソリューションを展開する。そして、何かあったときの迅速な対応も重要と語った。一般ユーザーには、なじみにくい部分もあるが、Cloud App Securityは今後に期待したいものともいえる。現時点では仮称の通り、その詳細は明らかではない。今後、提供される情報にも注目していきたい。
2015年03月25日