連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合・月〜土8時)で、登場するやいなや視聴者をざわつかせた律(佐藤健)の妻・より子。「反響がすごかったです(笑)」そう話すのは、より子を演じる石橋静河(24)。彼女は、石橋凌&原田美枝子夫妻の娘。15歳のときアメリカとカナダにバレエ留学し、帰国後はコンテンポラリーダンサーとして活動していた彼女が、両親と同じ役者の道を志したきっかけは何だったのか?「留学先で初めてちゃんと芝居を見たとき、そのおもしろさに気がつきました。日本では、映画や舞台からなるべく遠くにいたくて、全然見てこなかったので。帰国後、アルバイトをしながらダンスを続けていたんですが、もっとおもしろいことがしたいと悶々としている自分がいて。ちょうど邦画を見始めたこともあって、少しずつ役者をやってみたいと思うようになったんです」(石橋・以下同)両親も「やりたいなら頑張りなさい」と背中を押してくれたという。「芝居はダンスと通じるところもあるけど、まだまだ勉強が足りません」と言うものの、昨年、初主演作『映画夜空はいつでも最高密度の青色だ』で第60回ブルーリボン賞新人賞をはじめ数々の新人賞を受賞。最新作の映画『きみの鳥はうたえる』(9月1日公開)でもその才能を存分に発揮している。「踊ったり歌ったりして、1人ミュージカルです(笑)。映画の世界観にどっぷりつかって、のびのびと演技することができました」最後に、彼女は今後の目標をこう語る。「両親から得られるものがあれば参考にして。あとは、目の前の役と地道に向き合っていくだけです」
2018年08月15日田中宏による、累計400万部突破の同名原作を実写映画化した『莫逆家族 バクギャクファミーリア』。本作で元暴走族の主人公・火野鉄(徳井義実)と対峙する五十嵐けん役で怪演を披露した村上淳が、五十嵐の役割とキャラクターの創造秘話を語った上で、作品に込めた熱い想いを打ち明けた。その他の写真暴走族「神叉」として熱い青春を送った不良たちの、“その後の人生”を描く人間ドラマ。暴走族がモチーフの激しい世界観だが、村上は「その奥にあるレイヤーに注目してほしい」と言う。「あの頃は…じゃないけれど、40代手前になった人間たちの日常として置き換えると、誰もが迎える人生の本質的な岐路を描いてます」。本作は、理不尽な仕打ちが多い社会に不満を抱く元不良たちが、もう一度自分たちのイキザマを貫こうとする戦いのドラマでもある。その岐路の過程で社会に迎合はおろか、精神のバランスまで失ってしまう男が、村上演じる五十嵐。「哀しい男ですよね。10代、20代の反抗に理由は要らないけれど、年を重ねれば反抗にも理由が要るじゃないですか。それでも理由はないと哀しいまでに己に言い聞かせている男――それが五十嵐ですよね」。五十嵐は鉄と同じく元「神叉」のメンバーで、第18代目総長の渡辺(中村達也)が溺愛する弟を事故死に追いやってしまい、その復讐に怯えて暮らす“哀しい男”。出所した渡辺は自責の念で腑抜け状態と化していたが、過去の亡霊に怯えきっている五十嵐の恐怖は狂気へと変わる。映画の前半と後半でキャラクターが激変する難役を演じた村上は「苦労した分、楽しかったです」と振り返った上で、「自分の中で五十嵐が勝手に暴走するので、手綱を引き切れていない感じもありました。自分以上、五十嵐以上のモノがスクリーンに映っていると思いましたね」と自信を示す。その五十嵐は『ダークナイト』(08)のジョーカーを連想する狂気のキャラクターで、「熊切監督を始め、映画好きの30代が集まれば、ヒース・レジャーが演じたジョーカーは絶対の存在なわけですよ。それに俳優であれば、大抵はヒール(悪役)を演じたいもので」と熊切和嘉監督とアイデアを出し合いながら共同で生み出していったと明かす。「五十嵐を白くしたかった理由には、ヴィターリー・カネフスキーの『ひとりで生きる』(91)の疫病を患った人間のイメージもあって、その違和感が『莫逆』にも欲しいよねって話していました。違和感って、怖いですよ。それを追求する作業は面白かったですね」。また、「この映画を誰にでも観てほしいと思っていますが、40歳手前の人間たちがズブズブになって頑張っている必死な姿を、今の2012年の人たちにどう映るかが楽しみで(笑)。この映画に出ているメンツって僕が全員意識していた人たちで、皆で『莫逆』という作品を作れたことは今後の僕の俳優人生にとっても絶対にデカいと思う。自分でも何かが上手くいっている作品だと現場でも思ったので、そこを感じてほしいです」と本作をPRした。『莫逆家族 バクギャクファミーリア』2012年9月8日(土)より、ロードショー取材・文・写真:鴇田 崇
2012年08月31日