モデルの大屋夏南(27)が15日、活動10周年を記念した初のライフスタイルブック『K』(ぶんか社)の発売記念イベントを都内で開催した。下着ブランド「PEACH JOHN」のメインモデルを務めるなど抜群のスタイルを誇る大屋は、自身初のセミヌードに挑戦。「今回は何も身につけないカットもあったので、結構ハードに(カラダ作りを)頑張った」といい、「自分の娘のような1冊に仕上がった」と力作をアピール。今後のさらなる露出についても「ギリギリまで頑張ってみたい」と意欲をみせた。<写真>大屋夏南&マギーが妖艶なランジェリー姿を披露雑誌モデルをはじめ、数々のバラエティ番組やミュージックビデオに出演するなど幅広く活躍する大屋。同誌面では、こだわりの自宅や私服110スタイルを撮りおろしたほか、スキンケアやオリジナルフードレシピなど、彼女のグラマラスボディの秘密も公開している。初めてのセミヌードについては「素敵な作品を届けたい気持ちが強かったので緊張はしなかった」と振り返るも、「完成した写真を見て、恥ずかしいかもしれないと思ってきました」と複雑な心境も吐露。同じ所属事務所のEXILEも利用するジムに通い「ヨガとキックボクシング、ウエイトトレーニングを普段から行っている」とストイックな一面を明かし、「今回はお尻をだすということでお尻と、背中を意識した」と見所を語った。イベント後に発売記念握手会を行った大屋は「こうして本を出させて頂けるのも皆様の応援のお陰」とファンに感謝し、今後は「肩の力を抜いてフレキシブルに考えたり動いたり、表現の幅を広げていろんなことに挑戦したい」と目を輝かせていた。
2014年11月17日●『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』の原画に感動した庵野秀明監督庵野秀明監督は10月26日、「第27回東京国際映画祭」でアニメ・特撮評論家の氷川竜介氏と対談を行い、自らのアニメーターとしてのキャリアを語った。日本を代表するクリエイターである庵野監督がどんな道を歩んで現在に至ったのか、またアニメーション表現にどんなこだわりを持っているのか、対談を振り返り紐解いていこう。庵野監督は冒頭、アニメーターとしての自分自身について「人間を描くなら僕よりうまい人はいっぱいいる」と述べた。庵野監督が関わった作品として知られている『風の谷のナウシカ』では、人間を描いたものの宮崎駿監督にすべて描き直されてしまったのだという。「ヘタだなって言いながら、宮さん(宮崎監督)が一から全部描き直したんです。だからクロトワはうまいんです(笑)。僕が描いていたのは、後ろの煙やクロトワが巨神兵の中でドクンドクンなっているところです」庵野監督がプロになったきっかけは、自身が師と仰ぐアニメーター、板野一郎氏との出会いだった。大学時代、岡田斗司夫氏に誘われて東京へ上京した際、紹介されたのが板野氏だったのだ。そこで板野氏が描いた『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』の原画を見た庵野監督は「本当にすごくて、こんな原画が世の中にはあるんだ」と感動したという。「それまでは自分がプロで通用するなんて思ってなかったし、まだ学生だしって思っていたけど、板野さんの原画を見てから、この人のところで仕事をしてみたいと思ったんです。プロになりたいというのではなく、板野さんの仕事を見てみたいと」その後、庵野監督は板野氏の間近でアニメの仕事をこなしながら、経験を積んでいく。当初はキーフレームの意味も知らず、タイムシートも見たことがないという状態だったが、板野氏からはいきなり『超時空要塞マクロス』の原画の修正を任せられた。当時を振り返って「いきなりの作監デビューですよ(笑)」と庵野監督は笑う。「『マクロス』のTVスペシャルを見て、自分が描いたものが出てくるのはやはりうれしかったですね。22話と25話のときは東京に出てきて、冬にスタジオまで行って板野さんと二人でずっと寝泊まりしていました。そこの仮眠室に暖房がなかったので、毛布をす巻きにして寝るしかなくて、冷凍仮眠室って呼んでいましたよ(笑)」当時は「ド新人だった」という庵野監督だが、コンテ通りに作業するのではなく、カットを変更して描いていた。「自分が絵を描く以上は面白いアニメにしたかった。あの頃のアニメ業界は自分さえ目立てばいいという人ばかりで、僕のその仲間でした(笑)。25話の頃にはすっかり仕事にも慣れていて、日曜が放送日なのに最後の原画を上げたのが木曜。間に合うものだなと(笑)」庵野監督が手がけた最後のカットは、バルキリーがガウォークに変形するシーンだった。ここで描いた爆発シーンが各所に評価され、仕事が来るようになったという。1983年に再び開催された日本SF大会(通称DAICON4)への参加を経て、庵野監督は『風の谷のナウシカ』にスタッフとして参加することになる。「アニメージュにスタッフ募集と書いてあったから、追い返されることはないだろうと思っていたら、即答で来いと言われて僕自身がびっくりしました。かばん一つで上京したら、宮崎監督が『いつから来れるんだ』と。今と変わらず、回転椅子にあぐらをかいた状態でしたね。『ナウシカ』の制作はかなり追い詰められていたようです」●納得のいく爆発表現は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の丸い爆発庵野監督といえば巨神兵を描いたことで有名だが、もともとは別のスタッフが予定されていた。本来なら、参加したばかりの新人に任せられるパートではなかったというが、「『ナウシカ』は宮さんが普段使っている人がほとんどいなくて、メインは鈴木さんが集めたスタッフ。本当に外人部隊でした」という状態だったこともあり、庵野監督が原画を担当することになった。「どうも煙を描いたら気に入られたみたいです。そのシーンが終わったら、次は巨神兵と王蟲が戦うところをやってほしいと言われました。宮さんが最初に描いていたコンテが実によかったんですよ。巨神兵は溶けてなくて、王蟲の群れの中に入って、ちぎっては投げちぎっては投げしているんです。だけど最後は王蟲の数に潰されてしまう。これはかっこいいけど大変だな、自分に描けるかなと思っていたところ、(納期までの)時間がなくなったんですね。それで宮さんが上げてきたのが、巨神兵が溶けている絵で、一発撃って自滅してしまうんです。映画の尺もないからと説得されて、渋々納得しました」宮崎駿監督から学んだものは大きいと庵野監督は言う。「『ナウシカ』のときに初めて地面があるレイアウトを描いたんです。『マクロス』でやっていたのは宇宙空間で地面がなく、空間の中を自由に動くカットしかやってなかったんですね。『ナウシカ』で砂丘に三角形の塔が建っているシーンを描いたんですが、僕が最初に描いたのはひどくて、そこに空間がないんです。それで宮さんが僕を呼んで、どう直せばいいかを教わりました。宮さんのレイアウトだと、ただの線一本なんだけど、ちゃんと砂丘の膨らみがあるんですよね」『風の谷のナウシカ』で経験を積んだ庵野監督はその後、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』に参加する。この作品で庵野監督が「スペシャルエフェクトアーティスト」という肩書でクレジットされていることがしばしば話題になるが、本人にとっては「世間への嫌がらせだった」のだという。「アーティストで名づけたらアーティストだろうという軽い気持ちでつけたんです。エフェクトにしても、当時流行していたSFXという言い方が嫌で、エフェクトにしてやれと。自分が嫌なものを肩書にしたんです。こんなに後々まで残るとは思いませんでした(笑)」氷川氏によると、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は作品内にリアリズムを取り入れたことでも評価されているという。庵野監督自身も「作品世界が漫画的描写を受け付けないので爆発をリアルに見えるよう描いた」と述べており、「アニメーターの技術としては、今でも『王立宇宙軍 オネアミスの翼』が最高峰」だと断言する。アニメーターとして、特に爆発の表現にはこだわってきた庵野監督だが、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』以降の作品で納得のいく爆発表現は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で「丸い爆発が次々に出るところ」くらいなのだとか。「あれは久々によく描けたカットだなと。それ以外は全然ダメ」その後もさまざまな作品でアニメーターや監督として活躍してきた庵野監督だが、あらためて自身の道を振り返り、「いいタイミングで監督になった」と言う。「自分がやっていた仕事は、アニメーターとしては若いときしかできないことだったので、あのままアニメーターを続けていても早々に田舎に帰ることになっていたと思います。僕としては途中で監督になってよかったです」新たに「日本アニメ(ーター)見本市」をスタートさせるなど、意欲的に人材育成を行っている庵野監督だが、今後アニメーターを目指す人に対しては次のようにアドバイスしている。「アニメーターはまず絵描きじゃないといけないし、同時にカメラマンじゃないといけないし、役者じゃないといけない。実写だったらバラバラでやるところを、一人でやれる面白い職業です。その面白さがわかれば、アニメーターになっても続くはず。後は観察することが大事。宮さんのすごいところは、一度見ただけで物の構造を把握する観察力ですから。アニメーションは記号に落とす作業があるので、記号化するときに何を捨てるのか、自分で考えてイメージを組み直さないといけません。実写でできないこと、アニメならではのものがあります」日本のアニメ業界は今後どうなっていくのか。庵野監督の新たな挑戦「日本アニメ(ーター)見本市」に注目だ。
2014年11月05日第27回東京国際映画祭にて特集上映「庵野秀明の世界」が連日行われているが、10月27日(月)は『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が上映された。その後の庵野監督のトークショーでは、アニメーション監督初期のエピソードが語られた。10月24日(金)より始まったこの特集上映では連日、庵野監督の作品が上映されており、アマチュア時代や実写映画、アニメーターとしての庵野秀明など日ごとに様々なテーマでトークイベントが開催されてきた。この日は長編劇場アニメ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』に参加後、自身が初めて監督を務めたアニメーション「トップをねらえ!」と、続く「ふしぎの海のナディア」について述懐した。庵野監督は自身に関して「監督に向いているかと言えば、向いてない」「僕はNo.2で上手くいくタイプ。サポートするのに向いているけど、責任感はない」と語り、監督という仕事に関して「責任を取ることが監督の仕事」「『OK』と『もう1回』というボキャブラリーがあれば誰でも出来る」と持論を展開する。当時、所属していたアニメーション制作会社「ガイナックス」は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の完成をもって解散する予定だったが、なぜかそのまま会社を存続させることに…。そこで出てきた「トップをねらえ!」の企画に関しては「初めて自分から(監督をしたいと)手を挙げた」という。予算が少ない中で製作はかなり難航したようで「スタッフに苦労を掛けたし、第1話と2話はひどかった…」と苦悶の表情でふり返る。企画はまず4話まで製作が決定しており、その反響次第で6話まで作るということで、実際、少し期間を空けて第5話、6話が製作された。この最後の2話に関して「3か月で作りきったことが自信になった。クオリティコントロールが出来ていた」とここで掴んだ自信、手応えを明かした。この“クオリティコントロール”も、庵野監督が考える監督の仕事の重要な部分で、宮崎駿監督が『カリオストロの城』を半年ほどで完成させたというエピソードも踏まえつつ、「『この画面はこれでいい』と言い切る力が必要。そこで監督が全ての責任を背負う。宮崎さんの凄いところは、このクオリティコントロール」と語った。同作に続いてNHKで放送された「ふしぎの海のナディア」の監督も務めたが、この件に関しても様々な裏話を披露!当初、別の人間が監督をやることになっていたが、NHKによる脚本が「あまりにひどかった」ためにその監督がプロデューサーと衝突し降板となり、庵野監督にお鉢が回ってきたという。庵野監督も脚本を「ひどい」と感じていたが、「そこは賭けに出るしかなく、骨子を残しつつ、勝手にキャラクターやディテールを書き直した」という。周到に周りを味方につけた上で、あえて、描き直しをしていたら間に合わない段階でプロデューサーの元に行き「絵コンテを置いて『これでダメなら続けられません』と言って認めさせた」と“根回し”をした上で、自分の作品へと少しずつ変えていったとのこと。「ちょっとずつ、NHKの脚本を使わないようにしていき、最後は脚本すら読んでない(笑)!でも評判は良くて『勝てば官軍』なんだと感じた。プロデューサーも度量の広い人で、『好きにやらせれば面白くなりそうだ』と任せてくれるようになった」とふり返った。衣裳や露出を含め、キュートなナディアが人気を集めたが、当時は視聴者の抗議を懸念し、NHKはナディアの衣裳に難色を示したとか。しかし、庵野監督は「露出がどれくらいあるかで女の子のキャラの人気は決まる!」と持論を展開!当時のNHKのアニメとしては異例のキャラクターがこうして誕生することになったという。普段「基本的に終わった仕事(作品)は見ない」という庵野監督だが、少し前に久々に仕事で「ナディア」を見る機会があったそうで、「十数年ぶりに見て『面白い』と思いました!」と満足そうに語っていた。第27回東京国際映画祭は10月31日(金)まで開催。(text:cinemacafe.net)
2014年10月28日第27回東京国際映画祭において開催中の特集上映「庵野秀明の世界」で10月27日(月)、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が上映され、監督の庵野秀明が「エヴァンゲリオン」シリーズの製作に関するエピソードや、宮崎駿監督から受けたエールについて明かした。日々、テーマに分けて庵野監督が携わった様々な作品が上映され、トークが行われているが、この日はアニメーションの監督としての庵野さんに焦点を当てたトークが展開。初監督作品「トップをねらえ!」、NHKで放送された「ふしぎの海のナディア」に続き、「エヴァンゲリオン」シリーズを製作するに至った経緯について語った。「ふしぎの海のナディア」を終えたとき、庵野監督は「燃え尽きて、精神的、肉体的に壊れた。ヤル気が出ず、いま考えると鬱だった」という。その後、以前関わった『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の続編にあたる『蒼きウル』が企画されるも頓挫。「そこで目が覚めて、人に頼らずに自分でやらなきゃいけないと思った」と語り、当時、所属していた「ガイナックス」との決別を決意。「『エヴァンゲリオン』の企画を一人で考えた」という。こうして「新世紀エヴァンゲリオン」が製作されTVシリーズとして放送されたが、庵野監督はこの日、上映された『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』に触れつつ「TVシリーズの第弐拾伍話と最終話の2話は、時間がなかったこともあり、最初に考えていたものにならなかった」と述懐。そこから、この2話を練り直した本作が制作されたわけだが、当初は劇場版としてゼロから全く違う新作も製作する予定だったという。この企画が実現されることはなかったが、当時、庵野監督がこの完全新作のために書いたプロットは、いま人気沸騰中の「進撃の巨人」の設定と驚くほど似たものだったそう。「人類がほとんど滅んでいて、壁と外の世界をつなぐ橋で守られているという設定。そこに使徒がやって来て、TVではできなかった“人を食べる”というもので、対抗できるのはエヴァだけという話でした。初めて『進撃の巨人』を読んだ時は『うわっ、そっくり!』と思った」と明かす。結局「その時は作る気力がなかった。(TVの後で)すぐにまた『エヴァ』をやるのは無理だった」と幻の企画に終わり、その後、庵野監督は初の実写長編監督作『ラブ&ポップ』、アニメ「彼氏彼女の事情」などを作り上げるが、少し時間を置いて、自身の会社「株式会社カラー」および「スタジオカラー」を設立。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを作ることになる。再び「エヴァ」を作ることになった経緯について、庵野監督は「ガイナックスを出て、何をしようか?と考え、実写の企画があったけど、それは結局『エヴァ』的なものにしかならなかった。それならいっそ『エヴァ』をやればいいと思った」と説明する。一番最初にTVシリーズを作った時との違いは、やはり技術の革新のようで「科学の進歩は素晴らしい。TVでできなかったことがいまは出来るし、デジタル万歳です!」とも語る。すでに新劇場版は第1作『序』が2007年に、第2作『破』が2009年に、第3作『Q』が2012年に公開され、完結に向けて期待が高まるが、庵野監督は「本当に大変なんです。スクラップ&ビルドの繰り返し。魂を削るような作業で、本当にしんどい…」としみじみと語る。そんな本シリーズについて、昨年、庵野監督が声優を務めた『風立ちぬ』で長編監督を引退した宮崎駿監督からは、完結に向けて「最後まで頑張れ!」と激励を受けたそう。これまでにも、宮崎さんの言葉に救われたことはあったそうで「最初のTVシリーズが終わった時、僕がボロボロになっていると噂で聞いて、宮さんは会社に電話をくれたんです。『休めばいい。また作れるようになったら、絶対に金も人も集まるから大丈夫』と言ってくれて、その言葉は本当に大きかったです」と感謝の思いを口にする。「あの人の言葉は毎日変わるんですが(笑)、いまは『頑張れ』と言われているので頑張ります!」と力強く語り、劇場に足を運んだファンからは期待を込めた拍手が沸き起こった。第27回東京国際映画祭は10月31日まで開催。(text:cinemacafe.net)
2014年10月28日人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』などで知られる庵野秀明監督は26日、第27回東京国際映画祭を開催中のTOHOシネマズ日本橋にて、日本のアニメーションの可能性を探る企画「日本アニメ(ーター)見本市」を開始することを発表した。「日本アニメ(ーター)見本市」は、アニメ制作会社・スタジオカラーとニコニコ動画を運営するドワンゴが共同で行う短編映像シリーズ企画。決められた予算と時間の中で、アニメーターやディレクターたちが短編アニメ作品をジャンルを問わず自由に制作し、オムニバスアニメーション作品として毎週金曜日に1話ずつ公開していくという。配信は公式サイト、または公式スマートフォンアプリにて無料・アカウント不要で視聴可能で、初回配信は11月7日を予定。初回配信作品となる『龍の歯医者』では、本作が監督デビューとなる小説家の舞城王太郎氏とアニメーターの鶴巻和哉氏がタッグを組む。声優には山寺宏一、林原めぐみが名を連ねている。「日本アニメ(ーター)見本市」の作品ジャンルは、オリジナル企画以外にもスピンオフ企画、プロモーション映像、ミュージックPVと自由に制作。ドワンゴ、スタジオカラーの両社は、本企画の理念として「表現の規制のない"自由な創作の場"を提供し、日本のアニメ制作における企画開発やR&D、人材育成など、この先の映像制作の可能性を探る」ことを掲げており、ドワンゴの川上量生会長は「採算を取ることは考えていない」と語っている。同企画の背景にはアニメ業界への危機感があるようで、庵野監督は「アニメ業界は袋小路に入っており、新しいものを商売抜きにやらないと厳しい。今ならまだ間に合うんじゃないかと思った」と説明。庵野監督の構想を形にするサポートにあたるドワンゴは、川上会長がスタジオカラーの取締役を務めている縁から、配信を技術面でサポートすることになったという。アニメ制作はスタジオカラーが手がけ、公式ウェブサイトやアプリなどをドワンゴが担当する。作品は5~6分の短編が中心で30作品ほどのラインナップを用意。庵野監督は内容には「余程のことがない限り、口を挟まない」という。今後の作品に関わる監督、スタッフは発表されていないが、川上会長は「かなりの豪華メンバー」を自信をのぞかせた。会見では現在制作中の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ最新作についての話題も出たが、庵野監督は「ちゃんとやっているが、こういうこともやらないとダメになる。違うことをやってからエヴァに戻ろうと思っている」と述べるに留まった。
2014年10月26日第27回東京国際映画祭(10月23日開幕)で特別上映「庵野秀明の世界」(10/11(土)からチケット発売)が開催される映像作家・庵野秀明が取材に応じ、原画を手掛けた『風の谷のナウシカ』(84)がキャリアの大きな転機だと語った。現在は同作の生みの親であり、昨年長編アニメから引退した宮崎駿監督の“後継者”とも目されているが、「そう言われるのは、ありがたいですけど、意識はしていない」と心境を明かした。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが企画した「庵野秀明の世界」では、学生時代の自主作品から最新作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』まで、全編・抜粋を含めて50作品以上を上映。原画を担当した『風の谷のナウシカ』(84)や『火垂るの墓』(88)、実写作品に挑んだ『ラブ&ポップ』(97)、『式日』(00)、『キューティーハニー』(03)、三鷹の森ジブリ美術館の展示用に製作した短編など、庵野監督の“多様性”がうかがえるラインナップだ。「ナウシカに参加したことで、東京でアニメーターとしてやっていける自信がつきましたね。僕らの仕事は依頼がないと成立しないから、自分で『やっていける』って言うのは少し違うんですが。宮崎さんからは、作品づくりの姿勢というものを教わった気がします。技術的なことはもちろん、現場でクオリティを維持し続ける精神力と集中力にすごく感銘を受けました」(庵野監督)。キャリアの総括ともいえる特別上映が、東京国際映画祭というインターナショナルな場で行われる。「奇妙な世界を大真面目に追及するのが、日本アニメの特殊性だと思います。『ヱヴァ』もその1本。ディズニーやピクサーのようなポピュラリティを大切にした商業作品もいいですけど、日本アニメが世界に打って出るには、特殊性こそが突破口になるんじゃないかと思います」(庵野監督)。第27回東京国際映画祭期間:10月23日(木)~31日(金)会場:六本木ヒルズ(港区)、TOHOシネマズ 日本橋(中央区)ほか取材・文・写真:内田 涼
2014年10月07日映画監督の庵野秀明が9日に東京・江東区の東京都現代美術館で開催される「館長 庵野秀明 特撮博物館 -ミニチュアで見る昭和平成の技-」の開会式に“館長”として出席し、“博物館副館長”である樋口真嗣監督、企画制作協力を務めたスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーとともにテープカットを行った。その他の写真CG全盛の時代を迎え、活躍の場が失われつつある日本の伝統技術“ミニチュア特撮”を後世に残そうと庵野自身が企画した展覧会。ヒーローが活躍するテレビ番組をはじめ、怪獣映画、SF映画、戦争映画などで使用された貴重なミニチュア模型やデザイン画など約500点が一堂に展示される他、「特撮美術倉庫」や「ミニチュアステージ」といった展示空間を設け、ミニチュア特撮の魅力に多角的に迫る。庵野は「ミニチュア特撮の現状に危機感があったが、自分ひとりではどうにもならず、鈴木さんに相談したのが幸いだった。本当の功労者は僕じゃなくて、鈴木さんです」と感謝の意を述べ、「(画面の)枠の外側にある面白さが詰った展示。特撮は日本が誇る技術ですから、ぜひ自分の目で見て感じてほしい」と熱弁した。今回の展覧会の大きな目玉といえば、樋口監督がメガホンをとったスタジオジブリ最新実写短編『巨神兵東京に現わる』だ。“CG使用一切なし”というルールの下、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』に登場する巨神兵が実写化され、精巧に作り上げられたミニチュアの東京で大暴れする。巨神兵が放つプロトンビームが東京タワーや増上寺といった観光名所を次々と破壊し、一般道路や商店街を“めくれ上がらせる”映像はCGでは表現できない、懐かしく新鮮な迫力に満ちている。上映時間は9分。クライマックスには『風の谷のナウシカ』で語られる“火の七日間”をモチーフにした神々しいシーンも存在する。庵野は「企画そのものは僕の思いつき。それが樋口監督のおかげで、すばらしい作品に仕上がった。樋口に頼んで良かった。ありがとう、しんちゃん!」と“盟友”の奮闘に感激しきり。一方の樋口監督は「撮影は順調だったが、庵野さんがたまたま見学しに来たシーンだけ失敗しちゃって」と照れくさそうにコメント。「撮影も(展覧会の)展示も大勢のプロフェッショナルな方々が協力くださり、素晴らしいものになった。まるで文化祭の前日のようで、永遠に続けばいいのに…と思った」と興奮を隠せない様子だ。ちなみに鈴木プロデューサーによれば、「まだ宮崎駿は短編を見ていない」とのこと。「今は(宮崎監督に)どう見せるか考えている」と思案に暮れていた。「館長 庵野秀明 特撮博物館 -ミニチュアで見る昭和平成の技-」は7月10日から10月8日まで東京都現代美術館で開催される。
2012年07月09日