「守備」について知りたいことや今話題の「守備」についての記事をチェック!
サッカーにおいて守備戦術は時代と共に進化し、現代サッカーでは様々なフォーメーションが採用されています。その中でも、今回は「スリーバック」と「フォーバック」という二つの主要な守備システムに焦点を当て、それぞれのメリット・デメリットを徹底的に比較解説していきます。<目次>1.スリーバックとは?2.フォーバックとは?3.3バックの基本的な構成4.3バックの守備戦術5.3バックの練習方法6.4バックの基本的な構成7.4バックの守備戦術8.4バックの練習方法9.3バックの長所と短所10.4バックの長所と短所11.3バックと4バック、フォーメーション採用基準12.まとめスリーバックとは?スリーバック(以下3バック)とは、最終ラインに3人のディフェンダーを配置する守備戦術です。サイドバックが中盤に上がり、攻撃に厚みを加えられる点が特徴で、近年多くのチームで採用されています。フォーバックとは?フォーバック(以下4バック)とは、最終ラインに4人のディフェンダーを配置する守備戦術のことです。世界的に見ても多くのチームで採用されており、バランスの良さが特徴です。3バックの基本的な構成3バックは、中央に位置するセンターバック1人と、その両脇をカバーする2人のストッパーで構成されます。ストッパーは、状況に応じてサイドバックの役割も担い、攻守において重要な役割を果たします。・センターバックの役割3バックの中央に位置するセンターバックは、守備の要であり、最終ラインの中心選手として、広範囲のカバーリング、的確な状況判断、そして強力なヘディングやフィジカルの強さが求められます。・ゾーンディフェンスの原理原則3バックは、ゾーンディフェンスを基本とします。これは、ピッチを決められたゾーンに分け、それぞれの選手が担当するエリアの守備を行う戦術です。スペースを埋める意識と、味方選手との連携が重要になります。・ボール保持者への対応3バックの場合、ボール保持者へ積極的にアプローチをかけるか、スペースを消してパスコースを限定するかが状況によって異なります。状況判断と連携が重要となり、トレーニングを通して共通理解を深める必要があります。3バックの守備戦術3バックの守備戦術は、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。ここでは、基本的な戦術を3つ紹介します。・相手選手へのマーク方法相手選手へのマーク方法は、状況に応じてマンツーマンとゾーンを組み合わせます。基本的にはゾーンで守備を行いながら、危険エリアではマンツーマン気味にマークすることで、相手の攻撃を封じ込めます。・パスコースの遮断3バックは、中央に人数を配置できるため、相手のパスコースを遮断しやすい点が特徴です。特に、中央への縦パスを警戒し、パスコースを限定することで、相手の攻撃をサイドに追いやることができます。・守備ラインのコントロール3バックは、状況に応じて守備ラインを上下させることで、相手の攻撃に対応します。高い位置で守備を行う場合は、オフサイドトラップも有効な手段となります。3バックの練習方法3バックの守備を習得するには、個人戦術とチーム戦術、両方の練習が重要になります。・個人戦術の練習メニュー個人戦術の練習では、1対1の場面を想定した練習や、カバーリングの練習などが有効です。 例: 1対1の対人練習: ディフェンダーとフォワードに分かれ、1対1の状況を作り出す。ディフェンダーは、身体の向きや距離感を意識しながら、ゴールを守ること。 カバーリング練習: 3人1組でパス交換を行いながら、サイドから突破を図る攻撃者を想定し、中央のディフェンダーがカバーに入る動きを確認する。・チーム戦術のトレーニングチーム戦術のトレーニングでは、コンパクトネスを保ちながら、連動した守備を行う練習が重要です。 例: 数的有利な状況を作り、ボールを奪いに行く練習: フィールドを区切り、ディフェンダー3人に対し、アタッカー2人で攻撃を開始する。ディフェンダーは、数的優位を活かし、素早くボールを奪いに行く。 ポジションチェンジを伴う守備練習: サイドからボールを持たれた状況を想定し、ストッパーが前に出て対応し、その後空いたスペースを誰が埋めるのか、ポジションチェンジを含めた守備練習を行う。・守備側のポジション取り3バックは、常に三角形を意識したポジション取りが重要です。また、状況に応じてラインを上げ下げし、コンパクトな陣形を保つことが重要です。4バックの基本的な構成4バックは、中央に2人のセンターバック、両サイドにサイドバックを配置します。それぞれの連携と役割分担が重要となります。<h3">・センターバックとサイドバックの連携センターバックとサイドバックの連携は、4バックにおいて非常に重要です。サイドを突破された場合、センターバックがカバーに入り、サイドバックの上がりをサポートします。・守備ラインの高さと幅4バックは、状況に応じて守備ラインの高さと幅を調整します。相手の攻撃が速い場合は、ラインを下げてスペースを消し、遅ければラインを上げてコンパクトネスを保ちます。・相手の攻撃への対応4バックは、相手の攻撃に対して柔軟に対応する必要があります。サイド攻撃にはサイドバックが対応し、中央突破にはセンターバックが対応します。4バックの守備戦術4バックは、状況に応じてゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスを使い分けます。ここでは、4バックにおける基本的な守備戦術を紹介します。・ゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスの使い分け基本的には、ゾーンディフェンスをベースとしながら、危険エリアではマンツーマン気味にマークをつけるなど、状況に応じて使い分けます。・ボールへのプレッシャーのかけ方ボール保持者に対しては、素早くプレッシャーをかけ、パスコースを限定します。2人目の選手がカバーに入り、ボールを奪いに行く意識も重要です。・ゴール前の守備ゴール前は、特に集中力が必要となるエリアです。ペナルティエリア内では、マンツーマン気味にマークし、シュートやパスをさせないようにします。4バックの練習方法4バックの守備を習得するには、守備側の連携トレーニングと、攻撃側への対応練習が有効です。・守備側の連携トレーニング守備側の連携トレーニングでは、4人が連動して守備を行う練習が有効です。 例: サイドチェンジへの対応: 攻撃側がサイドチェンジを繰り返す状況を作り出し、守備側はスライド移動をしながら、連動して対応する練習。 クロスへの対応: サイドからクロスボールを入れられる状況を想定し、マークの受け渡しや、ゴール前の危険なスペースを消す動きを確認する。3バックの長所と短所3バックには、以下のようなメリットがあります。・攻撃への迅速な切り替えサイドバックが攻撃参加することで、数的優位を作りやすく、ボールを奪われた後も素早く攻撃に転じることができます。・守備の安定性中央に3人のディフェンダーを配置することで、中央突破を許しにくく、守備の安定感が高まります。・チームのバランスの維持サイドバックが攻撃参加することで、中盤の人数が減りますが、3人のセンターバックがバランスを保つことで、チーム全体のバランスを維持することができます。一方、3バックには、以下のようなデメリットも挙げられます。・サイド攻撃への脆弱性サイドバックが攻撃参加することで、サイドのスペースが空きやすく、相手のサイド攻撃に対して脆弱になる可能性があります。・ボール保持者へのプレッシャーの難しさ3バックは、ボール保持者へのプレッシャーをかけにくいフォーメーションです。そのため、相手にボールを持たれる時間が長くなり、主導権を握られやすくなります。・個々の選手への負担増加各ポジションの選手の活動範囲が広くなり、運動量や戦術理解度など、個々の選手への負担が大きくなります。4バックの長所と短所4バックは、守備の安定感と攻撃のバリエーションの豊富さが魅力ですが、デメリットも存在します。・4バックの長所サイドバックが守備に専念することで、サイドのスペースを消しやすく、相手のサイド攻撃に対して強固な守備を築けます。・パスコースの多様性4人のディフェンダーがバランスよく配置されるため、パスコースの選択肢が広がり、攻撃のバリエーションを増やすことができます。・守備ラインの安定感4人が横一列に並ぶことで、守備ラインが安定し、相手の攻撃に対して柔軟に対応することができます。・4バックの短所一方、4バックには、以下のようなデメリットも挙げられます。中央の守備の隙間中央に2人のセンターバックしかいないため、相手の巧みなパスワークや個人技によって、中央の守備にスペースを作られる可能性があります。・攻撃への切り替えの遅れサイドバックが守備に専念するため、攻撃参加が遅れ、ボールを奪った後、素早く攻撃に転じることが難しい場合があります。3バックと4バック、フォーメーション採用基準攻撃と守備のバランスを保つのが難しく、状況判断と戦術理解度が求められます。 どちらを選ぶべきか? 3バックと4バック、どちらのフォーメーションを採用するかは、一概に断言できません。状況に合わせて、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、最適な選択をすることが重要です。・チームの特性と戦術攻撃的なチームであれば、3バックを採用することで、より攻撃的なサッカーを展開できる可能性があります。逆に、守備的なチームであれば、4バックを採用することで、より安定した守備を築くことができるでしょう。・選手の能力とポジション個々の選手の能力や特徴も、フォーメーションを選択する上で重要な要素となります。例えば、スピードとスタミナに優れたサイドバックがいる場合は、3バックを採用することで、その能力を最大限に活かすことができます。・相手チームの分析対戦相手のフォーメーションやプレースタイルも考慮する必要があります。相手の攻撃が強力な場合は、守備の安定性を重視して4バックを採用する、といったように、状況に合わせて柔軟に対応することが重要です。まとめサッカーのフォーメーションは、時代と共に進化し続けています。3バックと4バック、それぞれのメリット・デメリットを理解し、状況に応じて最適な選択をすることが、勝利への近道と言えるでしょう。
2024年09月30日試合の後半に失点が増えるチーム。体力の問題なのか、集中力の問題なのか。守備のトレーニングとうばってからのポジティブトランジションを成功させる方法を教えて、とのご質問をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外の例やおすすめのメニューを交えてアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<小さくて線が細いU-10年代に浮き球のシュートを教えたい、ボールを浮かせるコツをどう教えればいい?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。学校の部活で顧問をしています。中学生はサカイクの年齢対象外(※恐らく「ヤンサカ」が対象になりますよね)だと思いますが、サッカー経験が浅いのに顧問をやっているため、指導について自信がなく、池上さんにアドバイスをいただきたく投稿しました。チームの課題は、後半から失点が多くなることです。前半は相手と対等に戦えるのですが、体力の問題なのか集中力の問題なのか、後半に入ると1人の選手に3人くらい交わされてゴールを決められてしまうことが多いのです。守備のトレーニングと、奪ってからのポジティブトランジションを上手くいかせるためにはどうしたらいいのでしょうか?中学生なので、練習法でなく座学など知識の部分でも良いのでアドバイスをお願いします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。サッカー経験が浅く指導に自信がないそうですが、ポジティブトランジション(守備から攻撃の切り替え。攻撃から守備への切り替えはネガティブトランディション)と書かれているところをみると、ご自分で勉強されているようです。ご相談いただいた件について3つほどお話ししましょう。■「疲れていても判断をしなくてはいけない」対人練習で体力と集中力を高めるいつも後半失点してしまうとのことですが、体力が足らないのか、集中力の問題なのか。互いに関係し合う要素ではあります。そこをどう見極めるか。仮に体力だとしたら、むやみに走り込むのではなく、対人プレーの練習メニューをとりいれてください。例えば2対1や3対1をやってみましょう。守備がひとりなので守る側は非常にハードです。スタミナが切れてくると集中して動けなくなってきます。そういった練習をやってください。単なる走り込みはさせないでください。疲れていても、判断をしなくてはいけない状況に追い込むことで成長できるはずです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「体を当てに行け」より「ボールを奪おう」という指示に変えて守備のやり方改善2つ目は、守り方です。体を当てろとか、押さえろという指導者は多いようですが、違う言い方をしてください。それよりも「ちゃんと足を出しなさい」「ボールを取りに行きなさい」と伝えてください。体を当てに行ったり体を押さえにいくと、相手にドリブルですり抜けられることのほうが多いようです。例えば、ジダン(元フランス代表)がやったことで有名になったマルセイユルーレットというターンがあります。あのスキルは、相手とぶつかりそうなときにターンします。したがって、ディフェンス側はぶつかれなくなります。当然ながら先に体を入れてしまえばターンされないわけですが、ちょっとでも遅れてしまうとすり抜けられてしまう。そうすると追いつけません。であれば、体を投げ出すのではなく、ボールを触りなさいと言ってあげたほうがいいというわけです。フランスやドイツなど欧州の国々では、育成の段階で「足を出そう」「ボールを奪いに行こう」と伝えています。一対一で厳しく相手に当たることを「デュエル」と表現したりします。この厳しくいくイメージの持ち方や守備については、この連載でも何度かお伝えしています。すでに180回近く続いているので関連記事がたくさんあります。検索機能を使って調べてみてください。■ポジティブトランジションが上手くいかない原因は、ボールがない時の「判断力」かも3つめ。ご相談文にポジティブトランジションがうまくいかないと書かれています。それを考えると、周りをしっかり見て、早く判断してパスが出せる能力が必要なのかもしれません。それはボールを持っている選手だけの問題ではなく、サポートする選手たちの判断力が重要です。自分たちがボールを持っているときに素早く動かないといけません。そのためには、3対2の練習をおすすめします。守備が2人いるわけなので、3人が全員で動かないとパスが回りません。3対1だとパスコースが必ず2本できるので、そんなに動かなくても済むのですが、3対2になるとそうはいきません。パスコースが1本になる可能性もあります。その1本のパスコースでボールを受けられるところに動いてあげる必要があります。他には、4対4にターゲットマン2人(ゴールマン)を加えたミニゲームがあります。ターゲットマンにボール渡ると1点。得点したら、攻撃の方向が変わります。攻撃してきたチームはそのまま反対側のターゲットマンを目指して攻めるのです。ターゲットにボールが入った瞬間に切り替えをしなくてはいけません。もちろん途中で相手側がボールを奪ったら逆側に攻めます。ただ得点したら逆に攻める。そうするとトランジションが継続され、連続性が出てきます。集中力や体力が自然に養われます。この「4対4プラス2」をぜひやってみてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■守備を鍛えることも大事だが、「失点したら取り返せばいい」という考えはもっと大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)先日、私が指導しているチームは、15分の練習ゲームを3本行いました。全部で30失点しました。お父さんやお母さんたちを前に、私が子どもたちに「今日の振り返りをどうぞ」と促すと、子どもたちは「相手のボールがとれた」とか「ボールがつながる場面があった」と話してくれました。つまり、こういうところがよかったというポジティブな印象を語るのです。子どものミーティングのあとで親御さんたちに「30点とられても、子どもの感覚はこのような(ポジティブな)ものですよ」と説明しました。そして「それ(失点)を、25、20、10と減らしていくのは私の力です」と話しました。失点が多いから守備を鍛えることは大事ですが「失点したら取り返せばいい」という考え方はもっと重要です。それを植え付けるためにも、大人である指導者のほうが失点に対して精神的にタフになってほしいと思います。私の印象では、失点した子どもたち以上に、指導者や応援している保護者のほうが落胆しているように見えます。そのこともぜひ考えてみてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年06月22日U-10年代に守備を教えるのに苦戦。状況の認知やボールを奪う動きをどんなやり方で教えればいい?と悩むお父さんコーチからの相談。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、守備の指導ポイント5つをお伝えします。(取材・文島沢優子)サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<練習の説明など長い話を聞けない低学年、説明するときの長さや伝え方のコツがあれば教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。最近このサイトを知った者です。よくある話だと思いますが子どものチーム入団で他の保護者コーチに誘われてボランティアコーチをしています。自分自身は小学生時代にスポ少でサッカーをしていた程度です。攻撃的なポジションだったので、小学生年代に守備のやり方を教えるのが難しいなと感じているところです。今回相談したい内容は、U-10年代で覚えておきたい守備の基本についてです。グループで守備をする際、どのように状況を認知して動くか、どのようにしてボールを奪うのか?などについてどんなやり方で教えるのが良いか、と言うのが悩みです。また、相手との間合いの詰め方や体の入れ方をどう覚えさせるのが良いでしょうか。質問が短くてすみませんが、アドバイスをいただけると幸いです。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。日本サッカーにおけるディフェンスの問題は、ボールをとれないことだと私は考えています。ご質問は、10歳以下で覚えておきたい守備の基本ということなので、この年代では「追いかけて取る」ということを強く伝えてほしいです。指導者の間でよく出てくる言葉は、例えば「チャレンジ&カバー」とか「2人で協力してボールを奪おう」といったものです。それよりも、マンツーマンのディフェンスで、相手が保持するボールをとることを頑張ること。それに関して自分で工夫することを強調してください。■指導のポイント①「抜かれても良いからボールを取りに行こう」と伝える指導について具体的なポイントを5つほど伝えます。ひとつめ。選手に対して「抜かれても良いので、ボールをとりに行こう」と働きかけましょう。それを重ねていくと、選手は自分が相手とどれくらいの間合いで守ればよいかを見極めていきます。これは私たちコーチが手取り足取り教えてできるものではありません。もっと言えば、その子自身の能力でしかないのです。時折、育成年代の講習会をのぞくと「手を伸ばして相手に届く(体に指先がつくような)距離にいなさい」と教えることがあります。ところが、それはひとつの目安でしかありません。間合いをもっと詰めても抜かれない選手もいれば、その間合いでも簡単に抜かれてしまう選手もいます。自分で「自分の間合い」を見つけてもらう。たくさん抜かれることで、詰める距離やタイミングを学ぶのです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■指導のポイント②ミニゲームではマンツーマンで守備をさせるふたつめ。この守備の感覚は主にはゲームで養います。練習の際ミニゲームをするときには、守備についてはマンツーマンでやらせましょう。簡単に言えば「この子を離しちゃダメだよ」「まずボールが渡らないように守ろう」説明してください。それでも相手に振り切られてボールが渡ったとしたら、マークしている自分がとりに行く。もし抜かれたとしても、仲間にカバーを期待して見ているのではなく、誰より先に自分が追いかけるよう指導しましょう。■指導のポイント③からだを当てろ、ではなく足を出せと伝える三つめは「からだを(相手に)当てろ」ではなく、「足を出せ」と口酸っぱく伝えること。ボール保持者に対し激しく守備することを「デュエル」と表現することがあります。が、日本ではそれについて「相手の体に自分のからだを当てよう」と伝えることが多いようです。しかしながら、からだをぶつけても相手がボールを隠して取られない位置に置けばボールは簡単にはとれません。そこでからだを当てるのではなく、足を出すことが重要です。相手の足下にあるボールを目がけてとりに行くよう促しましょう。足を出すことを強調せず、からだの入れ方などを細かく教えてしまうと、相手とボールの間にからだを入れようとします。それでうまくからだを入れられたらいいのですが、すり抜けられることのほうが多いようです。さらに、すり抜けられると、からだを当てにいきがちです。そうなるとファウルが増えます。悪くすれば、お互いにケガをするリスクも高まります。■指導のポイント④抜かれても叱ったり否定しないことボールを取るためには、自分の足が届く位置まで間合いを詰める必要があります。詰めていくと抜かれることも出てきます。詰めると見せかけて引いてみたり、相手をよく観察していけば少しずつコツをつかんでいきます。その進歩を支えるためには、抜かれても叱ったり否定しないこと。これが四つめです。例えば「今日のミニゲームは抜かれてもいいよ。そういう練習だから」と説明してやらせてもいいでしょう。間合いを詰めることを躊躇している子どもがいれば、コーチから「いくら抜かれてもいいから、とりに行こう」と言ってあげましょう。そのためにも日頃から選手を否定したり、安易に叱ったりしない雰囲気をつくることが重要になります。失敗を怒られてばかりでは、子どもは怒られたくないのでトライしません。今までの経験で言うと、なかなかボールをとれない子は自分で工夫していないようです。そのような子どもを見かけたら「同じタイミングで飛び込んでるみたいだよ」「ちょっとタイミングを変えてごらん」とアドバイスします。遅いようなら早く、早すぎるならもう少し落ち着いて相手をよくみることが必要です。■指導のポイント⑤ボールを奪う練習のため2対2をさせる(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後の5つめです。みていると、鳥かごをやり続けると「1対1でボールを奪う」という感覚が薄れるようなので注意しましょう。例えば2対2の練習を試してください。ボールを持つと攻撃方向決まっていて、ゴールラインにターゲットマンがいる。そこにパスすると1点という練習です。ターゲットマンにパスができると今度はパスしたチームがボールを受け、反対方向に攻撃をします。攻撃方向がどんどん変わるので継続して練習できます。2対2なので自然にマンマークになりますし、ボールをとらないと点にならないので子どもたちは積極的にプレーします。そこでは「自分たちでボールを奪わないと得点できないよね」「積極的に狙おう」と声がけしましょう。ボールを奪い返す練習なんだよと、そこを強調します。足を出してボールをとりに行き始めると、相手の足を踏む場面が増えます。欧州の選手は子どもでもプロでも、相手の足をよく踏んでいます。ところが、そういう場面を日本ではあまり見ません。実は私が小学生たちのなかに入ってゲームをしていると、子どもの足を踏むことがあります。「監督!足踏んでるよ」と子どもに指摘されたりします。しかし、「ボールをとりに行くとこうなるんだよ」と説明しています。池上さんの連載一覧はこちら>>サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年04月12日足元の技術は上手いけど、頭でのサッカーの理解度がまだまだ......。ボールを奪いに行くときにフィジカルコンタクトを怖がったり、守備位置が悪かったり。サッカーの本質をしっかり理解してほしい小6年代に守備の目的や原則を教えるとき、どんなことを理解させればいいのか教えて。とのご相談。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、守備のトレーニングにおいて大事なことを教えます。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<3、4年生からサッカーを始めた初心者にも理解しやすい「3人目の動き」を身につけるメニューはある?<お父さんコーチからのご質問>はじめまして。街クラブで指導をしている者です。指導しているのは6年生男子です。クラブの理念としてサッカーを本気で楽しむことを掲げている程度で特段強くはありません。勝ったり負けたりする普通のチームです。質問は、6年生という年代への守備の指導です。日本人は足元の技術があると言われますが、その通りで足元は上手いのですが、ボールを奪いに行くときにフィジカルコンタクトを怖がったり、守備位置が悪かったりします。曖昧な質問で申し訳ないのですが、この年代に守備の目的や原則を教えるときにどんなことを理解させればいいのか言語化してアドバイスいただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。講習会などで私の練習を見学された方たちに「池上さん、守備のことは言わなくていいのですか?」とよく聞かれます。私のトレーニングは数的優位の2対1や3対2といったものが多いため、守備の練習になるようなことはやらないのか?というわけです。■どう守るか、よりどれだけ真剣に守るかにこだわる私のトレーニングではオフェンスが数的優位なので、守備側は失点する確率が高くなります。でも、そのような状況で必死に守ることを選手に求めます。「それじゃあ簡単にやられてしまうよね」と声を掛けます。「点を取られると負けちゃうよ。どうしたら点とられないかな?」と尋ねます。どう守るかを教えるよりも、「どれだけ真剣に守るか」ということに私は一番こだわっています。■代表やJリーグでもボールにアタックするプレーが足りない小学生くらいだと、人とぶつかる、つまりコンタクトするのを怖がります。ところが、小学生の試合を見ていると、子どもたちが「体をおさえろ!」と仲間に声をかけています。守る際に、相手とボールの間に自分の身体を入れようとするのです。私はどうするかといえば、子どもたちに「ボールを取りなさい」と言います。体を当てに行くのではなく、ボールに足を出すよう促します。日本代表やJリーグの試合を見ていると、ボールにアタックするプレーが日本に足らないと感じています。海外の指導者たちも「日本人はどうしてあそこで止まるの?」と不思議そうです。あんなに距離を空けてしまったら、相手にパスを出されてしまうよというわけです。■選手たちがボールを奪う二歩手前で止まってしまうワケとはいえ、強度(インテンシティ)の高い守備は、日本では各年代に求められていて、コーチたちは「アプローチ!」と声をかけています。しかし、二歩くらい手前で止まってしまうことが多いようです。それはなぜか。指導者が「体を当てに行け」と伝えているからではないでしょうか。上述したように、そういったプレーが頻繁にみられます。相手と押し合っては「負けるな!」とコーチが声をかけています。体をぶつけにいくと、かわされて抜かれることも増えます。一方で海外の選手は、ボールを取りに足を出したけれど、体がぶつかりファウルをとられることもあります。海外リーグの試合を観ていると、ディフェンスが激しくアプローチに行った結果、相手の足を踏んでファウルをとられることがよくあります。でも、日本の選手は相手の足を踏むことがありません。なぜなら、ボールを激しく奪いにいってないからです。前述したように、小学生には「ボールを取りに足を出してごらん」とアドバイスします。体を当てに行くのではなく、ボールを目掛けて走ってもらいたいのです。■試合のときは「ボールを取りに行こう」と声をかけるご相談者様は6年生を指導されているので、子どもたちに試合の際「ボールを取りにいこう」と声掛けしてください。そのうえで、より強く「勝ち負け」を意識させましょう。「絶対に点を取られない」「絶対勝つんだ!」そんなふうに訴えます。私は高校の部活も指導していますが、ゲーム形式の練習では「最初の5分間で何点取るか、取られるか」を意識してもらいます。自分たちで「失点ゼロにするぞ」と意気込んでやることが大事です。監督が怒鳴り散らしてやらせるのとは、選手たちが得られるものは全く違ってきます。■「追い込み方」を各自が理解するような問いかけ方をする例えば、守るときに「ワンサイドカット」というやり方があります。相手選手を左右どちらかに追い込むような守備の仕方です。それをやって逆サイドから他のディフェンスが追い込んでボールを奪います。ところが、ワンサイドカットをして守ろうとするばかりに、場面によってはシュートコースががら空きになることがあります。教えられている子どもたちが、本当の意味をわかっていないようです。そのような傾向があれば、まずはシュートを打たれないことを意識させてください。それで打たれなくなったら「どうして打たれたくなかったのかな?」と問いかけてください。選手たちは「必死で頑張ってついて行った」などと答えるでしょう。そこで「シュートコースは防げていたね。いつもそういう守備ができるといいね」と認めてあげましょう。そうやって経験を積んでいくと、その子なりの「追い込みかた」ができるようになります。池上正さんの指導を動画で見る>>■ボールを奪うにはディフェンスの数的優位を作ることも重要(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)ボールを奪うには、ディフェンスの数的優位にすることも重要です。では数的優位にするにはどうすればいいのか。そこを伝えてください。守備側に注目した練習といえば、1対1から始める指導者が多いようです。その後、人数を増やしていって「カバーできる人がいたら行っていいよ」「みんなで囲んで取ろう」と、守備側の数的優位をつくるよう促します。オフェンスはシュートを外しても責めたりしません。しかし、ディフェンスが試合で失点したら「どうして取られたのかな?話し合わないといけないね」と言います。当然ながら、ディフェンスの選手だけでなく、前や中盤の選手にも守備を求めます。「追いかけなかったよね。どうしてかな?後ろが困ったんじゃないの?」そんなふうに言ってください。繰り返しになりますが、いかに真剣に守備をしてもらうかにフォーカスしましょう。オシムさんは「俺は小学校の先生みたいなものだ」とおっしゃっていました。自由に考えることを求めながら、これだけはやれないとだめだという基本の考え方や動き方を選手に教えていました。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年05月20日1対1の守備で、相手との距離感やタイミングがつかめず飛び込んで交わされたり、切り返しでバランスを崩して転んでしまう子どもたち。セーフティーに行くことと、仲間と連動してボールを奪いに行くのを身につけさせたいがどうすればいい?というご相談。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、お勧めの練習メニューを提示しながらアドバイスします。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<パスを受けた後の動作がもたつく子どもたち、いい状態でボールを受けるための指導を教えて<お父さんコーチからのご質問>はじめまして。少年団の指導者です。指導年代はU-10です。1対1の間合いについてどう指導すればいいかアドバイスをいただけたらと思います。守備の場面で相手との距離感、タイミングが上手くつかめず一気に飛び込んで交わされてしまう事も少なくありません。切り返しでバランスを崩して転んでしまうことも。セーフティに守ること、一人で取りに行くのでなく周りと連動する動きや声掛けの意識が少しずつできるようになってほしいのですが、どのように教えていけばいいでしょうか。これだけで伝わるか分かりませんが、よろしくお願いいたします。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。セーフティに守れるようになってほしいとということですが、指導されている子どもたちは10歳以下なので小学4年生です。一対一でどんどんチャレンジさせて、抜かれ続けていいと私は思います。獲れないのであれば、違うタイミングで試みるようアドバイスします。もちろんこまごまと教え込むのではなく、その子が自分の間合いを見つけられるよう寄り添ってください。書かれているように、相手にかわされて転んでしまう場面も出てくるでしょう。そうなったら、子どもの頭の中でそんなふうにかわされることもあるのだという予測が立てられます。■小学生年代で強化したいのは、目の前の相手に抜かれない事と最後まで追いかける事頭の問題以外で解決するには、体のバランスを整えるトレーニングを取り入れてもいいでしょう。例えば、鬼ごっこ。逃げる側は左右に動いてかわす、つまりフェイントをかけたりします。左右に振られてもバランスを崩さないようにする力が養えます。小学生年代に守備面で強化したいのは、目の前に来た相手に抜かれないこと。ですが、それに併せて抜かれても最後まで追いかける習慣を身につけてほしいのです。ところが、多くのチームで見られるのは、二人で相手を挟んでボールを奪取するチャレンジアンドカバーをやらせています。見ていると、一対一の場面でもうひとりが取りにきて、その間を抜かれ二人とも置き去りにされる場面が少なからずあります。そうなると、抜かれた二人は互いに「おまえが悪い」と攻め合ったりします。■最初は抜かれっぱなしでも良い、「セーフティーに」では守備の土台が作れない最初から「ボールを奪うために二人で挟め」といった指導ではなく、こんなふうに伝えてみてください。「ボールが来たら、マークしている選手が責任を持って守る。もし抜かれたら点を取られるので、カバーする人が必要だね。でも、抜かれた子も最後まで追いかけよう」その結果、二人で挟んでボールがとれた、ということになれば、それで良しとします。なぜならば、最初から「二人で挟んで取りに行くよ」となってしまうと、「ファーストディフェンダーは自分のだけの力でボールを奪取しなくてよい」というメッセージになってしまいます。最初は抜かれっぱなし、かわされっぱなしかもしれません。でも、何回もやって経験させてください。そこでセーフティーに、抜かれないように、やられないように、飛び込まないように、と指導者が働きかけてしまうと、守備の土台をつくれません。■パサーとマークする相手が両方見える位置にポジションをとる加えて、守備が上手くできないときはポジショニングの問題もあります。パスが入るタイミングや状況を理解しているのかどうか。パスが来るかもしれない、ここを守らなくてはと感じたとき、自分はどんなポジションにいたか。そこを確認させましょう。ボールをカットしたり、より相手にプレッシャーを与えられるとしたら、そのときどんなポジションをとればいいか。個人戦術の基礎基本を伝えます。守備における一番の成功はインターセプトなので、どこに行くと(ボールを)カットできるかを知っておかなくてはいけません。そのためには、ボールがいつ出てくるか予測することが重要になります。パサーと、自分のマークマンが両方見える位置に立てるよう促します。つまり「同一視できる場所」です。下がりすぎると間に合わないし、ボールやマークマンのどちらかに近すぎると、その両方が、もしくはそのどちらかが見えなくなります。そういった原理原則を教えてあげる必要があります。■1対1の練習をするときはパサーをつけるそういったことを進めるためにも、1対1の練習をするときはパサーをつけた状態で始めましょう。デイフェンスにボールを出して、そのボールが返されたら1対1が始まるのではなく、ボールのカットを狙って、パサーと自分のマークマンが両方見える位置に立つところからが一対一の練習のスタートです。ボールを出されたらどうするか。カットできなかったら、次は何を狙うのか。例えば、相手がボールを足元でコントロールした瞬間は動けないので、そこを狙って飛び込む。そうすると、オフェンス側はワンタッチ目を足元ではなく、違う場所に置くことを考えます。飛び込めないとしたら、違う方向にコントロールするときを狙う。それが3番目の狙いになります。3番目も無理だったら、どちらかの方向に制限させてドリブルさせる。ドリブルをする相手との間合いを少しずつ近づけて行き体を入れてとるテクニックがあります。そうやってディフェンスとオフェンスで切磋琢磨し、相手をかわしたり、相手のアイデアを乗り越える工夫をしていく。それが続くことで練習の質は高まるわけなので、指導者はその都度、守備側、攻撃側のどちらにもアプローチします。「ボール取られちゃったね(あるいは、取れなかったね)次はどうする?」とかかわっていけばいいのです。池上正さんの指導を動画で見る>>■「飛び込むな」と言うからかえって抜かれてしまう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)日本では「アプローチ」という言い方をします。そうすると相手選手の前で止まってしますことが多いのですが、イングランドでは小学生などに「アタック」と教えます。日本は指導者が「飛び込むな」と言ってしまうので、かえって抜かれてしまいますし、どこにでもパスを出されてしますのです。何度も言いますが、小学生の間は抜かれても追いかける子どもを育ててほしいと思います。しつこいプレーができる子が、成長すると良いディフェンダーになっていきます。海外の試合映像で、ディフェンスが相手の足を踏む場面を多く見かけます。ボールに対してアタックに行くので相手の足を踏んでしまうのです。このようにアタックに行くとき前の足に体重が乗ると、交わされたとしても、その足ですぐにターンして、また奪いに行くことができるのです。日本の選手は足を踏む場面が少ないように思います。それは小さい頃からボールを奪うことをしないからでしょう。抜かれることがいけないことと理解している子どもたちに育てられているのだと思うのです。抜かれても抜かれても追いかけて行けるためには小さい頃からボールを奪うことが当たり前にすることです。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年11月26日サッカーにおけるゴールキーパーは、ピッチ内で中唯一手を使用できるなど、フィールドプレーヤーとは特徴が大きく異なります。そのため、プレーに関する用語も聞き慣れないものが少なくありません。この記事では、キーパーの「ファンブル」とはどのようなプレーなのかその概要について解説します。キーパーをやっているお子さんがいらっしゃる方はぜひ参考にしてみてください。ファンブルとはファンブルとは、ゴールキーパーが相手のシュートなどを一度はボールをキャッチしたものの、落としてしまうことです。ファンブルは、サッカーにおいて一般的に使用されている言葉ですが、サッカー以外の球技スポーツにおいても使用されています。ファンブルするとどうなる?ゴールキーパーがファンブルすると、ピンチを招く可能性があります。これはシュートを打つ場合、基本的に相手選手はゴール前につめてくるためです。そのため、試合中、特にゴール前の混戦時などは、ゴールキーパーはファンブルを避けなければいけません。ファンブルはどういう時に起こる?ファンブルは試合中のさまざまな場面で起こりますが、特に無回転ボールによるブレ球シュートや回転がかかったシュートをキャッチしようとするときに起こりやすいとされています。また、クロスやコーナーキックのボールをジャンプしてキャッチしようとしたものの、ファンブルしてしまうケース、スピードのある力強いシュートのキャッチを試みようとした時などにもファンブルするケースなどもあります。そのほかにも、雨の日の試合は手が滑りやすくなるため、ボールを落としやすくなっているため注意しなければいけません。ファンブルしないためのポイント勝敗にも大きく影響する恐れのあるファンブルは、絶対に避けなければいけません。ここでは、ファンブルをしないための基本的なポイントについて解説します。キャッチできるかどうかを素早く判断するファンブルをするケースの1つに、キャッチが難しいボールを無理してキャッチしようとしたためにボールを落としてしまうというものがあります。このようなケースは、ボールをキャッチできるかどうか素早く判断できれば回避することができるでしょう。例えば、無回転ボールのシュートを打たれた場合でも、キャッチングではなくパンチング(フィスティング)や、手のひらの固いところではじくディフレクティングなどで回避することもできます。キャッチングできるに越したことはありませんが、失点しないことが一番大切であるため、適切な判断を素早く下すようにしましょう。判断力を磨くためには、実戦経験を積むことも欠かせません。試行錯誤しながら取り組んでみてください。キャッチングの正しい方法を学ぶ正しいキャッチング方法を理解することも大切です。例えば、ゴールキーパーの中には、ボールの大きさを正しく把握できておらず、キャッチングの形を作る際に、ボールの大きさよりも大きい形で手を構えるケースが少なくありません。またボールを怖がり、ちゃんと見ていないためにキャッチできないケースもあります。そのため、ボールの大きさを覚えさせ、適切な大きさの形で構えられるようにする、ボールをしっかりと見るようにするなどキャッチングをするためのポイントを知ることが欠かせません。まとめ今回は、ゴールキーパーのファンブルについてその概要から、起こりやすいシーン、ファンブルをしないためのポイントなどについて解説しました。サッカーにおいて1回のファンブルで試合に負けてしまう可能性は十分にあるため、ゴールキーパーは適切な判断をすること、キャッチングの正しい方法を学ぶことなどが大切です。ぜひ今回の内容を参考に練習に取り組んでみてください。
2021年04月26日