小説家、映画監督、詩人など幅広く活躍し、「書を捨てよ、町へ出よう」「田園に死す」など今なお現代のアーティストたちに影響を与える作家・寺山修司。彼の生誕80年を記念したオフィシャルイベント「冥土への手紙-寺山修司 生誕80年記念音楽祭」が、10月11日、12日に恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催される。寺山修司に所縁のあるアーティストたちが集結して開催される同音楽祭。音楽監督は、寺山修司が主宰した劇団「演劇実験室 天井棧敷」で全音楽を手掛け、遺志を引き継ぎ劇団「演劇実験室 万有引力」を主宰している音楽家のJ・A・シーザーが担当。アートディレクションは「天井棧敷」のオリジナルデザインを手掛けた宇野亞喜良、プロデューサーは立川直樹と笹目浩之が務める。なお、第1夜は「書を捨てよ町へ出よう」、第2夜は「田園に死す」と題され、それぞれ異なる寺山ワールドが繰り広げられる。第1夜の出演者は、大槻ケンヂ、近藤等則、SUGIZO、瀬間千恵、PANTA、山崎ハコなど。第2夜は犬神サアカス團、近藤等則、SUGIZO、渚ようこ、新高けい子、元ちとせ、未唯mie、蘭妖子、ROLLYを予定している。楽曲は、「あしたのジョー」「海猫」「惜春鳥」「かもめ」「戦争は知らない」などが披露される予定だ。なおチケット発売は、オフィシャルホームページ先行が9月6日まで、一般が9月16日10時より開始される。【イベント情報】「冥土への手紙-寺山修司 生誕80年記念音楽祭」会場:恵比寿ザ・ガーデンホール住所:東京都目黒区三田1-13-2会期:10月11日、12日時間:開場 17:00、開演 18:00料金:税込8,800円
2015年09月02日東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで2月20日から、あらゆる単位を科学・日用品・伝統などの視点から体感できる企画展「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」がスタートした。「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」(2012年)や「コメ展」(2014年)開催時、基準となる単位が尺貫法だったことから「話す単位が分からないと、イメージが湧かなかった」と話す企画進行の前村達也氏(21_21 DESIGN SIGHT)。「単位を理解することで、作り手の思いを共有できる」と感じたことから、今回の企画が生まれたという。企画メンバーは展覧会グラフィックを担当した中村至男、会場構成監修の鈴野浩一(トラフ建築設計事務所)、テキストを手がけた稲本喜則(AXIS)、会場グラフィックを手がけた岡本健、コンセプトリサーチ担当の菅俊一、展示構成の寺山紀彦(studio note)。山田遊(method)監修の1階ショップスペースはコンセプトショップ「Measuring shop」として無料開放し、廃材のはかり売り「ナカダイ マテリアル ライブラリー」や手ぬぐい専門店「かまわぬ」と岡本健のコラボによるオリジナル「単位てぬぐい」を用意する。エントランス付近には、真上から捉えた会場の設営風景の動画を異なるスケールでくまなく見られる「Giraffe’s Eye」(岡田憲一+冷水久仁江〈LENS〉)、装置の上で手で球を作るとりんごや紙風船などその大きさに近い球状の物体をディスプレーに表示する「りんごってどれくらい?」(パーフェクトロン)などを設置。そのほか濁点を1グラムとして言葉の重さを比べる「ことば の おもみ」(大野友資+岡本健)、台の上に立つとその間に世界で起きていることを表示する「1秒の世界」(岡崎智弘+Think the Earth)、1センチから100センチまでさまざまな長さのものを集めた「長さの比較:1から100のものさし」(構成:寺山紀彦)など、多様な単位を使ったインタラクティブな作品を多く展示する。会期中は、企画チームや出展作家によるトークやワークショップを開催。六本木アートナイトと連動した特別企画も行う。イベント情報「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」会場:21_21 DESIGN SIGHT住所:東京都港区赤坂9-7-6東京ミッドタウン・ガーデン内会期:2月20日から5月31日時間:11:00から20:00(入場は19:30まで)入場料:一般1,000円 大学生800円 中高生500円 小学生以下無料休館日:火曜日(5月5日は開館)
2015年02月24日「21_21 DESIGN SIGHT」にて2015年2月20日より、「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」が開催される。建築やプロダクト、印刷、パッケージなどの製品開発というように、ありとあらゆるものづくりの過程においては、様々な単位が用いられている。空気や水、光、音、自然環境といったそのままでは捉えにくいものに一定の基準を設け、比較や共有を可能にした「単位」。この展覧会は身の回りの物や出来事に単位というフィルターを通すことで、日常の見方を変化させ、新たな気づきと創造性をもたらすことを目的としている。1875年に締結されたメートル条約に基づき製作された「メートル原器」のレプリカは、かつての1メートルの国家標準を表したもの。「単位の体験」では幅、重さ、ちょうどいい高さなど、基本的な単位を体感出来る様々なものを展示。「時間の比較:『awaglass』」では泡で時を図る泡時計から、人が時という概念をどのように視覚化してきたのか、その時間の捉え方を紹介する。更に、速度の実態を映像で表現した「速さの比較」や、身の回りにある1から100センチのものを探して、背の順に並べて展示した「1-100の長さ」など、見えない単位を視覚化、デザインした展示が公開される予定だ。関連プログラムとして、中村至男らによるオープニングイベント「あれくらい それくらい どれくらい?」や、山田遊と株式会社ナカダイのワークショップ「モノの解体から誕生まで」の他、ヘルムート・スミッツのイベント「1 Mater Party」、岡崎智弘らによるトークイベント「1秒の世界」、六本木アートナイト特別企画「みんなで測る、単位展計測ツアー」が開催される。また、単位展コンセプトショップ「Measuring shop」もオープン。量り売りを中心に、色々なものを図って単位を体感出来る、単位にまつわるショップとして無料開放される。企画メンバーは中村至男、鈴野浩一(トラフ建築設計事務所)、稲本喜則(AXIS)、岡本健、菅俊一、寺山紀彦(studio note)。参加作家として、荒牧悠、大西麻貴+百田有紀/o+h、大野友資など全20団体がそろう。イベント情報「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」会場:21_21 DESIGN SIGHT住所:東京都港区赤坂9-7-6東京ミッドタウン・ガーデン内会期:2月20日から5月31日時間:11:00から20:00(入場は19:30まで)入場料:一般1,000円 大学生800円 中高生500円 小学生以下無料休館日:火曜日(5月5日は開館)
2014年12月01日寺山修司没後30年、PARCO劇場40周年を記念して、4月21日(日)から『レミング~世界の涯まで連れてって~』が上演される。演出を託されたのは、維新派の松本雄吉。音と空間を存分に活用して観客を異世界と誘う名人の登板となれば、寺山作品に愛着がある人にとっても、驚きと発見に満ちた体験になるのは間違いない。その仕上がりを探るため、稽古場を訪れ、出演者の八嶋智人に話を訊いた。演劇実験室◎天井棧敷によって1979年に初演、1983年に劇団の最終公演として改訂再演された『レミング』をもとに、今回は松本と少年王者舘の天野天街が共同で上演台本を仕立てた。「楽譜に近い、見たこともない台本でした」と八嶋は言う。“ヂャンヂャン☆オペラ”は、変拍子のリズムでセリフを連ねていく維新派ならではの表現スタイルで、台本には、言葉を発するタイミングやテンポが細かく記されているのだ。「5拍子や7拍子に慣れていないので最初は戸惑いましたけど、体に馴染んでくるとこれほど気持ちのいいグルーヴはない。同じフレーズを繰り返していても、滞らないというか、独特の高揚感があるんですよね」。人々を隔てていた壁という壁が消失し、すべてが混沌のうちにつながってしまった都市の物語。舞台上で次々と明らかになっていくのは、目隠しを奪われたせいで虚飾を施せなくなった個々の生活だ。八嶋が演じるコック1の場合、四畳半の畳の下に母親(松重豊)を飼っていることが観客の眼前にさらされる。エキセントリックな設定でありながら、母と子の丁々発止のやりとりを見ると、笑わずにはいられない。さらに息子は、穴から飛び出た母親の首で“もぐら叩き”を始める始末だ。「いろんなことが縦横無尽ですよね、寺山作品は。しかも説明的じゃない。凝縮された言葉をポンッと提示して、それを皮膚で感じてもらうという“引き算”の魅力なんです」。詩人でもあった寺山の飛躍に満ちたイマジネーション。だからこそ、右脳に作用する松本演出との相乗効果に寄せられる期待は大きい。「表現の精度をグーッと上げていって、松本さんの言う“至芸”に到達したい。目指すのは、デジタルとアナログの絶妙な塩梅。観てキョトンとしたお客さんにも、“わからないけど、面白かった!”と言ってもらえる自信があります。なにしろ僕自身が、毎日稽古しながらワクワクしているので」。片桐仁がコック2、常盤貴子が往年の映画スター影山影子の役を演じるほか、オーディションで選ばれた16人のキャストが出演。4月21日(日)から5月16日(木)まで東京・PARCO劇場、5月25日(土)に名古屋・中日劇場、6月1日(土)・2日(日)に大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!にて上演される。
2013年04月09日常盤貴子が4月、6年ぶりの舞台に挑むことが決まった。作品は寺山修司の傑作『レミング』をもとにした『レミング~世界の涯までつれてって』。演出を手掛けるのは、巨大な野外劇場を舞台に大阪弁のイントネーションで言葉の断片を重ねてゆく「ヂャンヂャン☆オペラ」スタイルでファンの多い維新派の松本雄吉だ。寺山没後30周年記念公演ともなるこの作品にかける思いについて、チラシ撮影の現場で松本と常盤のふたりに話を聞いた。『レミング~世界の涯までつれてって』チケット情報もともと維新派に興味があったという常盤。「私が拝見した野外演劇では、大雨が降ったんです。でもその雨粒も雨音も舞台装置の一部のようでかっこよかった。近くを通る電車の音や、遠くの車のテールランプ、それらすべてを味方につけてその時しか観られないものを作り出すのが維新派なのかと!私が大好きなバンドのGrateful Deadに通じるライブ感がある」と常盤が目を輝かせて語れば、松本も「昔、常盤さんがドラマで清朝の最後の皇帝の弟と結婚する日本人・愛新覚羅浩役を演じるのを観ました。位の高い人が身をやつす、そんな姿が似合う女優さんはなかなかいない。この空気は天性のものと感じた」と常盤に惹かれた瞬間を話した。『レミング』は壁についての物語。松本が「自分という壁を乗り越えたいという思いは普遍的なテーマ。また、寺山流の遊び心溢れる都市観もいま改めて提示したい」と意気込むと、常盤が「誰にも相談できずひとりで悩む人が多い現代に合う物語のような気がする」と続ける。また、「寺山さんの作品はもちろん、彼が活躍した6、70年代に憧れがあるんです」と告白する常盤に対して松本が「僕も寺山への憧れはあるけれど、やはり年上のライバルという気持ちが強かった。面白い芝居は観ると腹が立つので」と話し、笑いを誘った。常盤が「今回、松本さんの演出によって、維新派の俳優さんたちのようなひとつのコマになるのが楽しみ」と舞台への期待を口にすると、松本は「脚本に手を入れる作業は、できるだけ俳優さんに合わせる形で行いたいと思っている」と構想を漏らす。続けて「今回は寺山ワールドを活かしつつ、美術や音楽も新たにつくっていく。目まぐるしく動く舞台装置を予定しているので、退屈しないと思いますよ」と笑った。30年余の時を超えて、2013年の日本に寺山ワールドがどう展開されるのか、期待が募る。公演は、4月21日(日)東京・PARCO劇場でスタート。チケットの一般発売は3月2日(土)午前10時より。なお、チケットぴあでは東京公演の有料会員向けインターネット抽選プレリザーブを2月4日(月)11:00~2月11日(月・祝)11:00まで、無料会員向けインターネット抽選プレリザーブを2月4日(月)11:00~2月12日(火)11:00まで受付中。取材・文:釣木文恵
2013年02月01日