「小さい頃、体調を崩した時に、お母さんに作ってもらった思い出の食べものは?」と尋ねられた時、何を思い浮かべますか? おかゆ、雑炊、うどん、中には玉子酒なんて答えも出てくるかもしれませんね。「子どもが体調を崩したら、どんな食べ物をあげる?」と尋ねても、「消化がよいもの」「栄養があるもの」「食べやすいもの」ということで出てくる答えはさきほどと一緒の場合が多いですが、子どもの食欲の度合いや症状によって、推奨される食べ物は変わってきます。今回は、子どもが体調を崩した時の食事についてまとめてみましょう。食欲がない時は無理に食べさせない子どもの具合が悪いと、「何か食べさせて栄養つけないと!」と、つい思ってしまっていますが、子どもの食欲がない時は無理して食べさせず、様子を見ましょう。食欲が回復するまでは、水分を摂取させることを重視します。脱水症状を避けるため、経口補水液(電解質と糖質をバランスよく配合したもの)やスポーツドリンク(小さいお子さんには薄めて与える)がおすすめです。これらの飲み物は、下痢や嘔吐の際の水分補給にも、医師や薬剤師が推奨しています。もしも子どもが水しか口にしない場合は、氷砂糖をなめさせるのもよいでしょう。母乳やミルクしか飲めない赤ちゃんが、それらを飲みたがらない時は、白湯やベビー用イオン水をあげましょう。もし、それすら飲まないという時は、おしっこが出ているかどうかを確認します。出ていないようなら、脱水症状の心配がありますので、ただちに小児科を受診しましょう。のどごしがよく食べやすい、体を温める食べ物がおすすめ子どもの食欲が回復してきたら、消化のよいものを少量から食べさせ始め、だんだんと量を増やしていきます。離乳食のステップを思い出してください。最初は、おかゆやうどん、お豆腐から始めた方も多かったのではないでしょうか? 体調を崩し、しばらく食事をとっていなかった子どもへの食事を再開させる時は、そのイメージで大丈夫です。「のどごし」と「食べやすさ」、そして「体を温める」食べ物をあげましょう。消化を助け、体の回復にもつながります。たとえば、塩少々、だし少々で味付けしたおかゆやうどん、湯豆腐から始め、徐々に野菜(ただし、きゅうりやナス、トマトといった夏野菜には体を冷やす効果があるので避けたほうが好ましい)を加えていくとよいでしょう。果物を食べさせる場合には、断然バナナがおすすめ。胃腸にやさしい上、体の回復に必要なたんぱく質やビタミンA、カリウムなどの栄養素を効率良く摂取できます。リンゴをすりおろしたものも、食べやすく消化が良いのでおすすめです。なお、アイスは、のどごしの良さと食べやすさという意味では良いのですが、添加物を消化することが体への負担となったり、体を冷やしてしまったりするので注意してください。パンや柑橘系の果物は避けましょう小さい子どもでもパンは食べやすく、好きな子も多いでしょう。しかし、パンはごはんに比べ、糖分だけでなく油分が非常に多く使われています。そのため、胃腸への負担も大きくなります。また、さっぱりして食べやすいように感じられる柑橘系果物に含まれるクエン酸は、胃腸が健康な時には消化を助ける作用がありますが、反対に消化機能が弱っている時は消化不良を起こしてしまうことがあるので要注意です。フルーツゼリーも、柑橘系のものは避けたほうが望ましいでしょう。そのほか、牛乳やそばは消化が悪いので避けたほうがベター。乳製品ならばヨーグルト(できれば低脂肪)がおすすめですが、嘔吐や下痢が続く時はこちらもNG。また、具合の悪い時にはあまり食べないと思いますが、お魚や肉も脂っこいのでやめておきましょう。どうしてもお肉を食べたがる場合は、鶏ささみぐらいにしておくのが妥当です。嘔吐や下痢が続く時は、何も口にしなくてもよい小児科の医師から聞いた話ですが、嘔吐や下痢が続いている時は水分も含め、無理に食べ物を口にしなくてもよいそうです。こういう時は、水分すら排出されてしまうことが多々あるからだとか。脱水症状にならないよう、おしっこが出ているかどうかを確認しながら、ある程度症状が収まってきたら、水分をスプーンで少しずつ(舐める→ひと口、ふた口から)与え始めます。その後、1~2時間ごとに様子を見ながら、水分量を増やしていくのがよいそうです。喉が痛い時は、しょうがやハチミツもおすすめ夏風邪の代表、ヘルパンギーナや、今夏に大流行した手足口病など、喉に水疱ができて痛がる場合におすすめの食材が、しょうが、もしくはハチミツです。野菜スープにしょうがを入れると、体も温めてくれて喉にもよいですし、ハチミツには消炎効果があるといわれているので、喉に痛みがある時は摂取するとよいでしょう。ちなみに大根おろしとハチミツを混ぜて食べると、喉の痛みが和らぐといわれています。ただし、ハチミツは乳児には厳禁です。必ず1歳を過ぎてからあげてください。子どもの体調、食欲の有無を確認しながら、離乳食を進めるように、「少しずつ」あげていくことを覚えておくとよいでしょう。(遠藤光恵)
2015年09月05日あなたの周りに、こんな人はいませんか?・季節の変わり目になると、体調を崩す・風邪が流行ると必ずうつる・疲れやすく、常に体のどこかに不調があるもしかすると、「すべて当てはまる…」という人もいるかもしれません。体調を崩しやすい人がいる一方で、同じような条件でも健康を維持している人もいます。その違いは一体どこにあるのでしょうか。■「健康」の定義とは本題に入る前に、そもそも「健康」の定義とは何なのかについて考えてみましょう。健康について、WHO憲章では次のように定義しています。“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)”| 健康の定義について | 社団法人 日本WHO協会これまでは、「病気か、病気ではないか」が健康かどうかを判断する基準とされていましたが、そうではなく「満たされているかどうか」が、健康の指標となるというわけです。しかし、「満たされているかどうか」が基準となると、次に「どれくらい満たされているのか」という、レベルが問題になってきます。そこで、今回ご紹介したいのが、健康の度合いをレベルで表す「オプティマルヘルス」という考え方です。■健康の新しい考え方「オプティマルヘルス」とはオプティマルヘルスとは、その人にとって「最高・最善の健康状態」という意味です。休息、食事、運動のバランスがきちんと摂られた理想的な状態といえるでしょうこのオプティマルヘルスの状態を健康の最高レベル(+3)として、そこから肉体的、精神的、社会的に満たされる割合が低くなっていくにつれ、健康レベルが下がり、最低レベル(-5)になると、死にいたってしまいます。たとえば冒頭に挙げた、季節の変わり目になると体調を崩しやすい人とそうでない人の場合、前者はBetter(+1)以上の健康レベルを保っているけれど、後者である体調を崩しやすい人は、Worse(-2)またはWorst(-3)の健康レベルにいるため、病気レベル(-4)に下がりやすいということがいえます。■便秘を例にして考えるオプティマルヘルスもう少しわかりやすい例を挙げてみましょう。私の知人の話ですが、彼女は便秘がちで、便秘が2週間続くことが度々あったそうです。便秘以外にこれと言って悪い症状はないので、病気ゾーンではありません。とはいえ、一般的に考えたら2週間の便秘はちょっと心配な状態です。その彼女が、生活習慣、食生活を見直したところ、便秘の期間が1週間に縮まりました。彼女にとってはずいぶんと改善したことになります。けれども、便秘をしない私からしてみたら1週間も便秘だなんて考えられません。やがて彼女は3日おきに便が出るようになっていくのですが、これを先の図で置き換えると、2週間便秘の状態がWorst、1週間の便秘がWorse、3日おきがGood、2日おきがBetter、1日おきがBestで、毎日出るのがOptimalと表すことができます。 この場合、3日おきに便が出るようになった彼女は、以前の2週間便秘をしていた頃の彼女と比べると、よりオプティマルヘルスに近い状態です。しかし、便秘をしない人から見た場合、不健康よりになります。これは、風邪をひきやすいる人とそうでない人の差や、肩こりのしやすい人とそうでない人の差など、いろいろなものと置き換えられます。健康にもこうした段階(レベル)があることを知り、最善の状態であるオプティマルヘルスを目指しましょうというのが、この考え方のポイントです。オプティマルヘルスの考え方は、病気になってから治すのではなく、病気になる前に最善の健康に近づくという点で、予防医学に通じるものがあります。ちょっとしたことで体調を崩しやすいという人は、病気でなくても、健康レベルが下がっている可能性があります。オプティマルヘルスの考え方を参考に、健康で快適な生活を保てるよう、毎日の生活習慣を見直してみませんか?
2014年11月02日今年は記録的な猛暑日が続いたので、冷たいものを飲んだり食べたりする機会が多かったのではないでしょうか? 夏の疲れがどっと出てしまい、バランスを崩しやすい初秋は、体全体が浮腫みやすい時期でもあります。そこで今回は、「ムクミの原因と解消法」についてご紹介いたします! ■そもそも、なぜ浮腫みは起きるのか? 私達の身体の約60%は水分でできています。リンパ液の流れが悪くなることで、老廃物の排出がうまくいかなくなり、水分バランスが崩れることから浮腫みが起きてしまいます。一般的なむくみの原因は・長時間同じ姿勢(座ったまま・立ったまま)での仕事や作業・塩分&水分の取り過ぎ・冷え・睡眠不足による疲労などが挙げられます。また、女性の場合は、生理時・妊娠中・産後など、ホルモンの濃度の関係で浮腫む人が多くいます。同じ姿勢で長時間いると、水が一定のところに溜まってしまうので、夕方足が浮腫むのは、夜になるとだんだん重力で水が足のほうに溜まってくるからです。朝履けたブーツが、帰宅時になるとパンパンになるのは、このせいですね。朝に顔が浮腫むのは、重力で水分が全身へと、均等に分配されるからです。更に浮腫みを助長させるのは、塩分です。塩分は水分を溜め込みやすい性質なので、お酒を飲みながら塩分たっぷりの食事を食べると、次の日の朝は顔が浮腫んで鏡を見てびっくり、ということになり兼ねません。そして冷えは血行不良を引き起こすので、日中にクーラーで冷えた部屋で過ごすのも、浮腫みの原因となります。■浮腫んでしまった時のレスキューケア女性は男性より筋肉量そのものが少なく、基礎代謝も低いので、脚からの血流が心臓に戻りにくく、脚のむくみに悩む方が多くいらっしゃいます。そこで、むくんでしまった時のレスキューケアをご紹介! 1. ひざ周りを揉みほぐすひざ頭を手のひらでガッと掴み、ひざのお皿の周りを親指でグイグイ押すと、痛いツボに当たります。その周辺を垂直に真っ直ぐ押すように揉みほぐします。膝は水分が溜まりやすいので、夜にほぐしてから寝ると、次の日の朝浮腫みが軽減し、足が軽くなります。2. 両手で足首から上へ両手で足首を掴み、そのまま足の付け根方向に向かって流します。リンパ液は皮膚の浅い部分を流れているので、肌をさする程度の強さで、両足3回ずつ行います。3. 正座自分の体重を利用する、最も簡単な方法です。ただし、長い時間の正座は禁物。1回30秒、足の筋肉を刺激する程度に行いましょう。浮腫みや冷えは、身体からの信号です。「浮腫みはそのうち回復するだろう」と呑気でいると、脂肪も蓄積されやすくなり、太りやすい体になってしまいます。浮腫みのポイントは、「すぐに解消すると良い」ことです。今からすぐにできる、浮腫み解消法から始めてみてください。
2013年10月04日