昨今、全国各地でうまさと個性を競って様々なオリジナルキムチが誕生している。中でも、岐阜県各務原(かかみがはら)市でまちおこしのための一品として生まれた「各務原キムチ」は珍しい特徴があるのだとか……。「各務原キムチの特徴は、第一に各務原市の特産品であるニンジン、そして松の実が入っていることです」。そう語ってくれたのは、市の観光文化課内にある「キムチ日本一の都市研究会事務局」の西村さん。同事務局は、各務原キムチの総元締めである。しかし、ニンジンは各務原名物だから分かるとしても、なんで松の実なの?なんか妙にエスニックな気がしてしまう。「松の実は各務原市と姉妹都市提携を結んでいる、韓国の春川(チュンチョン)市の特産品なんですよ」。西村さんが答えてくれた。西村さんによれば、各務原市は1999年からキムチ漬け講習会を開くなど、もともとキムチ作りに熱心な町だったようだ。さらにタイミングよく2003年、韓国の春川市と姉妹都市提携を結んだのだ。ここで「春川市」というキーワードにピンときた人は、筋金入りの韓流好きだろう。何しろ春川市は、かの「冬のソナタ」のロケ地として、冬ソナファンの間では知らぬ者はない韓国ドラマの聖地である。そんな春川市と「姉妹」になった各務原市は、当然のごとく、1周年事業として「冬のソナタ」に関するイベントを開催。その時、ヨン様ことペ・ヨンジュンのグッズと同じくらい、そりゃあもう爆発的に売れたのが、この「手作りキムチ」だったというわけだ。「キムチがまちおこしに役立つ」。そう直観した各務原市が立ち上げたのが、先に登場した「キムチ日本一の都市研究会事務局」だ。ここで、各務原キムチのアイデンティティーが確立して、2005年11月に「各務原キムチ」が誕生した。その後、2008年の第3回B-1グランプリでは「各務原キムチ鍋」が堂々の3位に入賞。一躍全国区の脚光を浴びることになる。各務原キムチは、自由度が高いことも特徴のひとつ。各務原酸の野菜を漬けることと、ニンジンと松の実を入れること。このふたつの条件さえクリアしていれば、基本的にはどんなアレンジもOKなのだ。その味がいかなるものか確認しようと各務原市内のスーパーで探してみたら、都合のいいことに「和風あっさり」と「本格風」というふたつの対照的な商品を発見した。はじめに「和風あっさり」キムチを試食してみる。漬け方が浅めだというのは、見た目からも分かる。「日本人好みのあっさりとした味」というだけあり、辛さ控えめ。白菜はパリパリしっとり、ニンジンはパリポリパリポリ。そして松の実を一摘みすると、一気に独特のコクが口に広がりうまい。次に、「本格風」キムチだ。パッケージを開けた瞬間に分かる、少しくすんだ色合い。かなり長時間漬け込んだようで、その証拠に、食べると白菜はしんなりしている。その分、ニンジンの程よい歯ごたえにインパクトありだ。辛さは、いうなれば「後をひく程よい辛さ」。発酵食品ならではの酸味があり、これがよいコクを生み出している。キムチチャーハンにしたり、ラーメンにトッピングしたりするなら、「本格風」キムチをオススメする。キムチを入れるだけで味にコクが出る。発売元は、どちらも各務原市の明和商事だ。ちなみに、各務原キムチが誕生したいきさつについては、「恋するキムチ」というドラマにも描かれている。同番組のオンエアは2011年。NHK岐阜放送局の開局70周年記念番組として制作されたものだ。また、各務原市では毎年11月に「各務原キムチまつり」が開催されている。鍋やギョーザ、カレーなど、各務原キムチを駆使したメニューが勢ぞろいするこの祭り、今年は11月23日から25日まで開催される予定だ。会場は岐阜県の河川環境楽園(岐阜県各務原市川島笠田町)。キムチ好きならぜひとも足を運んでほしい。マスコットキャラクターの「キムぴ~」が出迎えてくれるというので、カメラのご持参をお忘れなく!●information 明和商事 岐阜県各務原市鵜沼各務原町5-290 【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月02日したまちコメディ映画祭に新しく創設された「ソフト・スルー・コメディ大賞」が、東京都美術館で17日に開催され、投票で選ばれた大賞作品の発表と、ソフト・スルー新作『Mr. ズーキーパーの婚活動物園』が上映された。その他の写真“ソフト・スルー”とは、外国映画などを日本で劇場公開をしないまま、DVDやブルーレイなどでソフト化することを言い、特にコメディ作品に多い傾向にある。本賞は、ソフト・スルー作品の活性化を目的として、したまちコメディ映画祭と雑誌&WEB媒体「DVD&ブルーレイでーた」とのコラボレーションにより実現。2011年8月~2012年7月にDVD、ブルーレイでリリースされた外国映画のソフト・スルー作品の中から、「DVD&ブルーレイでーた」特設WEBページでの投票により“最も笑える映画”を選出、表彰した。会場では、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの杉本光成氏、映画祭ディレクターの大場しょう太氏らが登壇。大場氏はコメディ作品のソフト・スルーについて、「『ハングオーバー…』や『キック・アス』などの成功例もあり、ニーズが出てきているのではないか?」と分析。杉本氏は「言葉の違いもあるので、コメディは文化色、ローカル食が強くなるが、コメディ=国の文化だと思っている。(今日来場している)お客さんはそこがわかっている方だと思う。どんどん広まっていけば」とアピールした。また、「DVD&ブルーレイでーた」の新井京子氏は、「劇場公開されずにDVD化される作品が増えてきている。読者に作品を観て欲しい、来年もやります!」と意気込みを見せ、大場氏は、「ミニシアターが減っているのがこの現象の原因なのかなと思う。シネコンでちょっとでもこういう作品が上映できるように、映画祭で頑張っていきたいと思う」と語った。大賞は、『聖トリニアンズ女学院 史上最強!?不良女子校生の華麗なる強奪作戦』(発売・販売元/アットエンタテインメント)が受賞。本作は『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を受賞したコリン・ファースや、ルパート・エベレットらが出演するイギリスの青春コメディで、シリーズ2作目もDVDでリリースされている。
2012年09月18日9月4日より東京・シアタークリエにて上演されている『わらいのまち』。近年飛躍的に観客動員数を増やしている劇団・東京セレソンデラックスと東宝がタッグを組み、「東宝セレソンデラックス」として上演している舞台だ。6日、この作・演出・主演を務める宅間孝行、出演する片桐仁、岡田義徳、田畑智子、柴田理恵が同劇場にて会見に応じた。チケット情報作品は、とある寂れた田舎町の温泉旅館「まつばら」が舞台。お笑いで町おこしをしようと奮闘する「まつばら」の主人・信雄らが企画するイベントが翌日に控えている中、国会議員の大関先生が視察のために急遽泊まりにくることになった。イベントが成功し、大関先生が口をきいてくれれば町おこし資金が県の予算に組み込まれるとあって丁重なおもてなしの準備がされるが、そこへ“疫病神”とあだ名され、さらに“先生”というものが大嫌いという「まつばら」の長男・富雄が帰って来てしまった。なんとかふたりが鉢合わせしないように画策する「まつばら」の面々だが、勘違いが勘違いを呼び……。「初日の幕を開けてみたら、ウケすぎて次のセリフが聴き取れないところがあって、(後で)その調整が入ったくらい」と片桐が語ったように、とにかく劇場は爆笑の渦。必死な登場人物が生む勘違いや誤解が数珠繋ぎで襲ってくる、ある意味ベタな展開が、悪意のないスカっとした笑いを生む。シリアスやロマンスも数秒後には笑いに変換されてしまうのでご用心。とはいえ強引なギャグや強烈なキャラクターで笑わせるのではない、よく見ると細かいタイミングや登場人物の丁寧な造形が物語世界を支えていることがわかり、その手腕に唸らされる、良質のシチュエーション・コメディだ。この日の会見では、先ごろ発売された田畑の写真集を手に開口一番「本日は『月刊 田畑智子』のPR会見にお越しくださいましてありがとうございます」と報道陣の笑いを誘った宅間だが、「初日に予想をこえた盛り上がりをみせました。初日打ち上げの席で東宝の専務さんが『これを英訳してブロードウェイにもっていこう』と言ってくれてとても嬉しかったです。…勢い余って言ったんだとは思うんですが(笑)」というエピソードを嬉しそうに明かした。出演者も「お客さんの意識がぐいぐいお話に入ってくる様子が、やっていてよくわかる」(柴田)、「毎日本当に楽しくやらせてもらってる」(岡田)、「お客さんと一体となる感覚がすごく心地いい」(田畑)とそれぞれ楽しんでいる様子。「2時間、純粋に楽しめるものを作っています。日本語で観るなら今です、あとはブロードウェイに行かないと観れませんから(笑)」と宅間もアピールするこの公演は9月24日(土)まで同所にて。その後札幌、名古屋、大阪、広島、福島でも上演される。チケットはいずれも発売中。
2011年09月07日