染五郎38歳、松緑36歳、そして海老蔵34歳。歌舞伎の家に生まれ、伝統を受け継いで互いに切磋琢磨してきた3人が、12月の東京・日生劇場で強力タッグを組んだ姿を見せている。「七世松本幸四郎襲名百年」と銘打たれた本公演は、明治・大正・昭和と偉大な足跡を遺した名優の記念興行。そのひ孫に当たる3人の顔合わせの妙はもちろん、若手中心の勢いに溢れた舞台からは、歌舞伎の道を黙々と進む彼らの、曽祖父への決意表明のようなものが改めて伝わってくる。12月7日に幕を開けた場内は、30代ならではの3人がぶつかり合う様子に早くも熱気で包まれていた。『日生劇場十二月歌舞伎公演』チケット情報演目は昼が『碁盤忠信』と『茨木』、夜が『錣引』に『口上』を挟んで『勧進帳』。『碁盤忠信』は七世が明治44年に襲名披露で上演して以来、なんと100年ぶりの復活。こんなところにも伝統と進取の融合を図る染五郎らの想いが込められているようだ。伝説に基づいた本作は、源義経の忠臣・佐藤忠信(染五郎)が舅の小柴入道浄雲(松本錦吾)の裏切りに遭い、手近にあった碁盤を振りかざして応戦する場面が最大の見どころ。桜が咲き乱れる中、大鉄棒を持った横川覚範(海老蔵)が登場し、忠信と荒事の立回りを繰り広げる終盤は、若手らしい勢いに溢れて爽快のひと言。一方の『茨木』は、渡辺綱(海老蔵)に片腕を切られた鬼の茨木童子(松緑)が、綱の伯母・真柴に化けて腕を取り戻しにやってくるという物語。松緑は優しげな老婆のたたずまいから、たちまち鬼の本性を現す一瞬にゾクリとさせる妖気を絡ませて魅せる。夜の部では、各々のニンに合った役どころの『勧進帳』が楽しい。海老蔵の豪快で茶目っ気のある武蔵坊弁慶、松緑の思慮深く端正な富樫左衛門、そして染五郎のどこかこの世を超越したかのような風情の源義経と、三者三様の魅力が味わえる。花道を飛び六方で引っ込む海老蔵の勇壮さは、まさに弁慶役者の面目躍如。思わず客席から歓声が上がるのが、海老蔵という役者を観る楽しさだろう。その他、平家の宝を巡る悪七兵衛景清(染五郎)と三保谷四郎国俊(松緑)の一騎打ちが様式美を伝える『錣引』、黒紋付の染五郎と松緑、海老蔵が並んで述べる『口上』など、どれもここでしか観られないものばかり。昼夜通して荒事の多いラインナップとなったが、本来、荒事は江戸市民の災いを払う神性も担って演じられてきたとか。ならば本公演を観ることで、来年の息災を願うのも一興だろう。12月25日(日)まで日生劇場で上演。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2011年12月08日トータス松本の故郷・播磨での野外ライブ『歌う! トータス松本烈伝』が8月27日に行われた。今年で2回目の開催となる同イベントは、地元との連携や選曲など、よりトータス松本の強い思いが反映されたものとなった。トータス松本の公演情報オープニングはトータスの出身校である黒田庄中学校吹奏楽部の生徒達による演奏でスタート。同校校歌の歌唱へ。ちなみに、トータスが中学2年でエレキギターを買って、友人たちとバンドの練習をした場所が黒田庄中学校の音楽室だったという。制服を着た吹奏楽部の面々と赤いジャケットを着た派手な衣装のトータスとのコントラストが、時空を超えて交差しているようで、なんだかほほえましい。1曲目は『バンザイ~好きでよかった~』。トータスを含む7人編成のバンドは昨年の『マイウェイ ハイウェイ・ツアー』をベースにしており、アンサンブルには隙がない。そしてメンバーが着ている色とりどりのシャツこそは「播磨織」という西脇市を中心とした地場産業のブランド品だ。このあたりにもトータスの地元愛がにじみ出ている。中盤に差し掛かったあたりで、トータスはセンターステージへ移動。アコギ1本での弾き語りで数曲披露……する予定だった。ところが、1曲目の『借金大王』の途中でゲリラ豪雨に見舞われる。大粒の雫が身体を打ち、目の前の視界もおぼつかないほどの激しい雨に、それでもトータスは歌い続ける。2曲目には予定になかったRCサクセションの『雨上がりの夜空に』をすぶ濡れになりながら熱唱。自身が音楽を始めたきっかけでもある曲に、オーディエンスも大合唱で応える。ライブ終盤には、アカペラ・ツアーを共にしたコーラス隊「ハッピー・アワーズ」から3名が加わり『愛がなくちゃ』『クリア!』『ガッツだぜ!!』などを披露していった。ウルフルズ時代の曲とソロ曲、さらに予定外のRCサクセションのカバー曲と、トータス松本が辿ってきた道のりを凝縮したライブとなった。なお、トータス松本は10月より自身初となる弾き語りツアーを行う。また、11月3日(木・祝)に千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで開催されるぴあ主催の音楽イベント『ぴあ39th FAREWELL〝39-THANK YOU-〟~車輪小僧の大回転~』に出演が決定した。チケットは10月1日(土)より一般発売開始。チケットぴあでは、9月1日~9月8日(木)まで先行抽選(第3次プレリザーブ)を実施している。
2011年09月02日『さや侍』の公開を控える松本人志の監督デビュー作『大日本人』がハリウッドのメジャースタジオのひとつコロンビア映画によってリメイクされることが発表された。松本監督自ら主演した本作。“6代目大日本人”として防衛庁の依頼を受け日本各地に出没する“獣”と戦うも、世間の厳しい目にさらされる主人公の悲哀を描き、90万人を動員し、興行収入は12億円を突破。既成概念にとらわれないオリジナリティあふれるその手法は大きな話題を呼んだ。松本監督は先日、NHKの番組に出演した際「3日後に重大発表がある」と語っていたが、それがこの『大日本人』ハリウッドリメイク決定の一報であるようだ。プロデューサーを務めるのは、映画製作会社「オリジナル・フィルム」の創立者で、世界的なヒット作となった『ワイルド・スピード』シリーズや、『アイ・アム・レジェンド』、『グリーン・ホーネット』などの大作を手がけてきたニール・H・モリッツ。『アイ・アム・レジェンド』、『グリーン・ホーネット』はいずれもリメイク作品であり、また、コロンビア映画もこれまでに、清水崇監督のホラー映画『呪怨』のリメイクにあたる『The Grudge』、続編『The Grudge 2』を製作している。彼の下で『大日本人』がどのような変貌を遂げ、ハリウッド作品として仕上がるのか楽しみなところ。脚本を担当するフィル・ヘイとマット・マンフレディは、2002年にはジョン・キャロル・リンチ出演の映画『バッグ』で数々の映画祭で受賞し、スリラー映画『イーオン・フラックス』、大ヒット映画『タイタンの戦い』の脚本も手がけてきた俊英コンビ。『大日本人』、2作目の『しんぼる』共に海外の映画祭で高い評価を受け、まもなく公開の『さや侍』もロカルノ国際映画祭においてインターナショナルプレミア上映が決定するなど、3作品で世界にその名を轟かせる松本監督。リメイクにあたってはハリウッドスターが主役を張ることになるのか?松本監督自身はどのように関わっていくのか?など大いに気になるところだ。■関連作品:さや侍 2011年6月11日より全国にて公開© 2011「さや侍」製作委員会大日本人 2007年6月1日より東劇、なんばパークスシネマにて先行公開、6月2日より全国松竹系にて公開©YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD.2007■関連記事:“切腹を申し付ける!”『さや侍』音声ストラップを5名様プレゼント松本人志、『さや侍』で「理想の娘」を描くも子役からは主演男優に鋭いダメ出しが…待望の松本人志監督第3弾!!『さや侍』試写会に10組20名様ご招待松本人志監督『さや侍』予告編が到着!りょうや板尾創路らの姿も松本人志監督『さや侍』特報が解禁!メガネの主人公、いきなりふんどしで…
2011年06月06日