チョコとコーヒー、紅茶を一緒にいただくのもいいけれど、チョコとお酒を組み合わせてみるのはいかがですか?艶っぽい化学反応が生まれます。2018年冬、注目のチョコを選んでいただいたのは、チョコ専門メディア「チョコレートくんのチョコラボ」を主宰する、チョコ探検家のチョコレートくん。渋谷のワインバー「bar bossa」のマスター林伸次さんとふたりで、チョコとお酒のマリアージュを提案していただきました。■チョコとお酒のマリアージュ、おすすめの楽しみ方マリアージュの考え方は大きく3つあります、と林さん。・合わせるもの同士に足りないものを補う・合わせたときに両方が高まる相乗効果を狙う・合わせることで3つめの新しい味を生み出す3つの考え方を頭の片隅に置いて、自分が「このふたつは相性がいい」と感じるチョコとお酒の組み合わせを選んでみてください。「マリアージュの楽しみ方はいろいろ。ぼくはチョコ好きなので、チョコから食べてチョコが溶けかかったときに、お酒を飲むようにしています。お酒好きな人だとお酒を口に含んでから、チョコを食べる場合も。順番を変えるだけでも味わい方は変わります。冷たいお酒は、チョコが溶けづらいため、チョコが8〜9割溶けたころに飲むと、チョコとお酒双方の味や香りをしっかり楽しめると思います」(チョコレートくん)以下に4種のチョコとお酒のマリアージュを、おふたりのコメントと共にご紹介します。■Le petit bonheur(ル・プティ・ボヌール) ラフランス&アマンドバニラティー緑が「ラフランス&アマンドバニラティー」、ピンクが「完熟もも&レモン」薄く繊細なチョコレートのコーティングが特徴。かじるとみずみずしいラフランスがさらりと溶け出す。バニラティーの優しい香りがふんわり鼻を抜けた後、チョコが時間差で溶け始め、カカオの美味しさが口のなかへ幸福に広がる。ラフランス&アマンドバニラティーの組み合わせで、チョコ単体でマリアージュを堪能できる逸品。こちらのチョコに合わせるお酒は……グラン・マルニエ(Grand Marnier)「コニャックにビターオレンジの蒸留エキス分を加え、オーク樽で熟成させて作られたリキュールです。パリのカフェではトニックウォーターで割って飲んだり、大人向けのデザートとして食後にストレートでいただいたりすることが多いです。ラフランスの繊細な香りとアーモンドっぽさが、オレンジの皮の苦味と合うかなと思って選びました。合わせると、口の中で新しいデザートが生まれる感じ」(林さん)「口の中でチョコが7〜8割溶けた後、グラン・マルニエを口に含むと、力強さがやってきます。そのあと甘みがまろやかに広がっていきますね。というのも、お酒の強さに負けないくらい、チョコの甘さが残るから。オレンジの爽やかさとラフランスのみずみずしさ……フルーティーな味わいが複雑になっていくのも楽しい。チョコとお酒がうまく協調し合うマリアージュですね」(チョコレートくん)バーには必ず置いてあるグラン・マルニエ。洋菓子店でも使われるメジャーなリキュールで、手に入りやすいのも嬉しいですね。■Le petit bonheur 完熟もも&レモン甘酸っぱいジューシーな桃に、レモンの苦味を持たせた酸が後から追いかけてくる。こちらのチョコに合わせるお酒は……ドランブイ(DRAMBUIE)「スコッチとはちみつのとろりとしたリキュールです。はちみつとレモンは相性が良いですよね。はちみつの甘さはチョコの強い酸味に負けないかな、とも思って選びました」(林さん)「DRAMBUIEは“THEはちみつ!”という感じのお酒ですね。重さもあります。溶けたチョコと合わさると、はちみつをかけたチーズを食べているみたい。鼻抜けはレアチーズケーキみたいです。これはびっくりするマリアージュ」(チョコレートくん)チョコはカカオを発酵させて作ることから、チーズやヨーグルトなどと同じ「発酵食品」でもあります。そのため組み合わせるお酒によって、口の中で「レアチーズケーキ」といった味わいが誕生することも不思議ではないのです。なんとも奥深い世界……!■フレンチブロードチョコレート コスタリカダークチョコレート80%カカオ重厚感のある香りや味わいが魅力のコスタリカ産カカオをたっぷり使用。フルーティな酸味から始まり、チョコレートクッキーを思わせる風味が最後に登場し……というように、風味の移り変わりを楽しめる面白い1枚。こちらのチョコに合わせるお酒は……シーバス・リーガル(CHIVAS REGAL)「チョコが繊細なので、何を合わせようかけっこう悩みました。いろいろ試してみると、お酒のほうが強くなりすぎたので、最終的に選んだのはシンプルで繊細、品の良さもあるシーバス・リーガル。少量入っているスモーキーフレーバーも、チョコの邪魔にならないかなと思いました。どちらかと言うと、消極的なマリアージュ。チョコとお酒を合わせるというより、双方が寄り添う感じでしょうか」(林さん)「シーバス・リーガルの青りんごのような爽やかさとチョコの酸味がうまく反応し、面白いコラボレーションになります。お酒のパワーが強いので、少しずつ飲むのが良いでしょうか。スモーキーフレーバーが少々、というのもポイントですね。一瞬“葉巻っぽい”味わいのあるチョコと合わさって、いいバランスを引き出します。チョコのアーモンド感を押し上げてくれるのも良いです。深く考えさせられるマリアージュですね」(チョコレートくん)溶けていくにつれ、さまざまな味わいに変化していくチョコ。それにお酒を合わせることで、味わいがより繊細に変わっていくのを感じ取れるはずです。■ディック・テイラー クラフトチョコレート キャラメライズアーモンドシナモンと砂糖でキャラメリゼしたカリッと香ばしいアーモンドと、カカオ分73%のダークチョコレートを合わせたチョコ。マダガスカル産カカオの強めな酸味、チョコ自体のやわらかさも特徴。本商品のように、ナッツやオレンジピール、焙煎したカカオを砕いたカカオニブなど、味に立体感が出るものを混ぜ込むのが、ビーントゥバー界でトレンドになっている。こちらのチョコに合わせるお酒は……バニュルス(Banyuls)「南フランスのデザートワインです。発酵途中でブランデーを足して、ぶどうの甘さがしっかり残っているのが特徴。ロースト香も楽しめます。ぶどうの酸味とチョコに含まれるシナモン、アーモンドが合うかなと思いました」(林さん)「ぶどうの甘さがチョコと合っています。飲んでいるとアーモンドの香りが立ち上り、アーモンドとぶどうで完成形に。このチョコは溶けるスピードが速いので、チョコが8割くらい溶けたタイミングでというより、アーモンドの香ばしさがマックスになった瞬間を狙って、お酒を口に含んでみると、美味しさが最大限に出てきそうです」(チョコレートくん)■チョコとお酒のマリアージュを楽しんでチョコのプロとお酒のプロが提案する、チョコとお酒の相性のいい組み合わせ、試してみてはいかがでしょうか。チョコとお酒のマリアージュは自由。自分がときめくマリアージュを考えてみてください!「私が楽しむバレンタイン」特集のページはこちらからご覧いただけます。チョコレートくんプロフィールチョコレート探検家/コンビニで買えるチョコレートから、専門店のものまで幅広いカテゴリーで美味しいチョコレートを追い求める。チョコレートの評価についてはチョコなだけに甘め。チョコレート好きが高じでチョコレートブランド「ショコラ ドゥ シマ」を立ち上げる。林伸次さんプロフィール1969年生まれ、徳島県出身。1997年、渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」をオープン。「cakes」で「ワイングラスのむこう側」を連載中。著書に『ちょっと困っている貴女へ バーのマスターからの47の返信』などがある。noteでも毎日コラムを発信している。/池田園子Photo/タカハシアキラ
2018年02月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「マイナンバーカード」です。普及率の伸び悩みは、利便性の実感がないから。マイナンバー制度が始まって、今年で3年目になります。ところが、マイナンバーカードの普及がなかなか進まず、政府は頭を抱えています。交付開始前に政府が掲げた目標交付枚数は2019年3月末で8700万枚。実際には、昨年8月末の時点で1230万枚、人口比でいうと普及率は9.6%にすぎず伸び悩んでいるのです。住民票や基礎年金、健康保険被保険者証などにはそれぞれに番号があり、個人の特定に労力を費やしていました。マイナンバー制度はそれらを一本化して、「社会保障、税、災害対策」の分野で活用するために始められましたが、いまはまだ過渡期にあり、マイナンバーカードでできることといえば、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書が取れるくらいです。法務省は、今後マイナンバーを使い、婚姻届やパスポートの発給申請、老齢年金請求に必要な戸籍証明書が不要になる、戸籍法改正案を来年の通常国会で提出する方針を発表しました。地震災害が発生したときには罹災証明書が発行されるのですが、世帯ごとに1通のみ。2世帯以上で住んでいた大家族が、被災して一つの家に住めなくなったとき、子供や孫の世帯は罹災証明書を受け取れないという問題が熊本地震で起こりました。これも、マイナンバーカードで個人を特定して証明書を出すという案が検討されています。マイナンバーカードには、生体認証にも使えるICチップが入っています。この認証機能が活用できれば、健康保険証や銀行のキャッシュカード、転売不可のチケットなどに有効活用される可能性を秘めています。ただ、これからの時代に「カード」という形態がふさわしいのか。総務省は、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマートフォンにカード情報を取り込み、本人確認ができるような実証実験も進めているそうです。しかし、これには対応する端末を開発しなければならないため、企業側の努力も必要になります。いまは、住所や名前に加えて、マイナンバーの記入を要請されますが、今後、マイナンバーカードひとつで全てこと足りるくらいになったら、便利さを実感できるのかもしれませんね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年01月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2017年3大トピックス」についてです。今年もさまざまな出来事がありましたが、まず僕が注目したのは、AI本格化時代の到来です。AIは、金融業界でいち早く取り入れられ、ゴールドマン・サックスのニューヨーク本社の現物株式取引では、600人いたトレーダーがいまや2人。あとはAIに取引は任されています。日本でも、みずほ、三菱東京UFJ、三井住友のメガバンク3行で3万2000人超分の業務削減を発表。リアル店舗は縮小し、AIの担う業務が増えていきます。メディアでも、映像の粗編集やラジオパーソナリティのアシスタント業務、専門用語の文章チェック作業などはAIができるようになりました。そんななか、今秋Google、Amazon、LINEがAIスピーカー(スマートスピーカー)を発売。AIスピーカーに話しかければ、調べものも家電操作も、雑談の相手までしてくれる。AIの波はついに家庭にまで押し寄せてきたんですね。2つ目は仮想通貨。第4次産業革命といわれる、金融とITの融合、フィンテックが大きく前進したのを実感した一年でした。象徴的なのがビットコインです。中国は「貨幣として認めない」と宣言し、ゴールドマン・サックスは「リスクが多大なので社員に取引を禁じる」と発表。ビットコインを使ったVALUも盛り上がりました。4月には、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する、通称「仮想通貨法」が施行されました。三菱東京UFJは独自の仮想通貨「MUFGコイン」を発行。今後、お金革命が本格化しそうです。3つ目は、訪日外国人旅行者の増大。観光庁は欧米豪に照準をあて、訪日プロモーションを強化しました。LCC整備を受け入れ、専用ターミナルを作り、Airbnbのサービスも広げた。それらが功を奏し、2016年の訪日客数は2400万人になり、増え続けています。政府は2020年に4000万人の観光客誘致という目標を掲げました。富裕層向けの旅行誌『コンデナスト・トラベラー』の読者投票で、「世界で最も魅力的な都市」に東京が2年連続1位に選出。異文化が入り、日本の様相も変わっていきそうです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2017年12月31日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「NPO」です。社会問題の数だけ必要とされるのが非営利団体・組織。NPOとは、Nonprofit Organizationの略で非営利団体のこと。よく混同されるNGOはNon‐Governmental Organizationで、非政府組織。どちらも社会的問題に対応した事業を行い、営利目的ではない民間団体という意味では同じです。日本では、一般的には、街づくりや子育て、教育など国内の課題に対して活動を行っている団体をNPO、人道支援や紛争解決など、国際的な取り込みをしている組織をNGOと呼び分けています。日本でNPOの活動が注目されるようになったのは、阪神淡路大震災がきっかけといわれています。ボランティア組織だけでは支援が足りず、たくさんのNPOが立ち上げられました。NPOは非営利団体と訳されますが、利益を生んではいけないわけではありません。NPO職員にも給与は必要ですし、事業も継続させなければいけません。株式会社のように、利益を再分配したり、それを元に資金運用などをしてはいけないということなんです。平成10年には特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動を行う団体を法人化できるようになりました。「特定非営利活動」とは、保健医療、福祉、社会教育、人権擁護など、国が定める20の分野に該当する活動を、社会全体の利益増進のために行うこと。欧米に比べ、社会的信頼の低い日本のNPO。法人化することで信頼が高まり、社会貢献活動がしやすくなります。子どもの貧困、虐待や自殺対策、高齢者の移動支援、環境問題…。お金よりやりがいを重視して、NPOを立ち上げ、それらの社会的課題を事業により解決しようとする若い世代も増えています。ある官僚は、いま日本が直面している社会問題のリストを公開しました。国や自治体でも補助金を出して、すでに問題解決に取り組んでいるNPOに手を挙げてもらい、代わりに活動してほしいと考えているのです。すばらしい活動をしているNPOはたくさんありますが、世に知られていません。NPOと一般市民をつなぎたくて、僕は「GARDEN」という場(会社)を作りました。NPOの活動は今後もっと必要になってくると思います。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年にニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。※『anan』2017年12月27日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月20日バラエティ番組『要博士の異常な映画愛~勝手にセリフ変えてみました~』について、MCを務める俳優の要潤さんにお話を伺いました。ボケもいとわず!?初冠番組で見事なMCぶりを披露!豪華絢爛な衣装に身を包み、バラエティ番組のメインMCを務める要潤さん。オファーが来た時は「まさか冠番組のバラエティにキャスティングされるとは」と驚いたそう。引き受けたのは、映画史に残る名画に、新しい台詞をつけて遊ぶという企画が面白かったから。『吉本新喜劇』を観て育ったこともあって、「お笑いにリスペクトがあり、バラエティ対応力も素晴らしい」(番組P)とキャスティングされたものの、やはり役者の現場とは勝手も違うよう。「役者は決められた台詞を言いますが、バラエティで芸人さんたちは、何もないところから面白いことを言っていく。その過程がクリエイティブで新鮮です。それと、スピード感。ドラマではカットを細かく割るけど、バラエティはいったん始まるとノンストップ。舞台に近い感覚かも」お笑い芸人たちが予測不能なトークを繰り広げても、ゆったりと構え、時には要さんからボケるなど、余裕の感じられるMC術が、お見事!「流れに身を任せているだけで、普段の僕を知ってる人からは“素だね”と言われます。ゲストの方がいろんなパターンでくるので対応は大変だけど、芸人さんが生み出す笑いや流れは潰したくないですね。自分がボケて現場が盛り上がるなら、カットされても全然構いません(笑)」現場の流れで生まれるボケ以外に、「ちなみに、この映画は、〇〇〇回観ました」という、要博士の映画愛のすごさを強調する、定番の回数ボケも。では、要さんご自身がリアルに、もっとも多く観ている映画は?「『スター・ウォーズ』ですね。100回以上観てるんじゃないかな。ストーリーは追わなくてもわかってるので、BGMみたいに流してます」番組では名画のワンシーンに、「異常な映画委員会」の会員たちが全く新しい台詞をあてることで、作品の新たな味わいを見出していく。会員は、芸人、落語家、放送作家など多ジャンルで活躍する人たち。「みなさんまったく違う角度から台詞を作られるので、毎回、ワクワクしながら見ています。僕とは脳みその作りが違うんだろうなあ」番組を通じて、古い作品を観ることが勉強になるとも。「映画作りは、あの時代の映画人が作り出したことがすべてのベースにあり、その延長線上で僕らはやってるんだと感じますね。CGもなく、編集技術が限られた中で、生身の人間が演じるさまはすごいですよ。今は役者が守られているところがあるから、あの時代に生きていたら自分にできただろうかとすら思います」名画に独自の切り口で台詞をつけ、新しい味わい方を提案する動画バラエティ。12/4のゲストは、柴田英嗣(アンタッチャブル)、小沢一敬(スピードワゴン)。テレビ東京にて毎週月曜深夜0:12~放送中。かなめ・じゅん1981年、香川県生まれ。’01年、『仮面ライダーアギト』でデビューしてから、昼ドラ『新・愛の嵐』や大河ドラマ『龍馬伝』など数々の作品に出演。現在、映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』が12月9日より公開。※『anan』2017年12月6日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2017年12月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「投票率」です。有権者の約半分の意見しか反映されてない!?10月の衆議院議員選挙の自民党の圧勝は、投票率の低さにも大きく起因しています。日本の投票率は現在50%台。先日の衆院選は、台風という悪天候も影響しましたが、戦後2番目に低い53.68%でした。約30年前、昭和の時代の投票率は70%前後でした。ところが、平成2年を境に急降下します。リクルート事件や東京佐川急便事件など、政治家の汚職事件が相次いで起こり、国民の政治不信が募ったからです。2009年に民主党政権が誕生したときには一瞬盛り上がり、69.28%に上がりました。しかし、民主党政権は実行力が伴わず、マニフェストはただの理想にすぎないことを思い知らされます。国民の政治離れは進み、投票率は再び下降しました。政治腐敗は中選挙区制にあると、1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されました。選挙自体は簡単にはなったのですが、与党の自民党と野党第1党の社会党が絶妙なバランスでいた「55年体制」が崩壊し、小政党が乱立。国民は、どの政党を選べばよいのかが、わからなくなってしまいました。大学生などに、投票に行かない理由を聞いてみると、政治に関心がないわけではなく、将来を託せる政治家がいない、自分の一票がダメな政治家の後押しをしてしまうのが怖いと言います。問題はあるものの、トランプ大統領ともいい関係を築き、経済面でもそれなりの成果を出しているという点で、やはり自民党に、と今回の圧勝につながりました。世論調査では、「自民党は支持するが、安倍さんは支持しない」という回答も多く上がっています。選挙のたびに投票率の低さが話題になりますが、その前に、票を入れたくなるように政治家ももうちょっと公約を実現させてください、という気持ちにもなりますよね。また、選挙はゴールではありません。当選後、その政治家が国会でどんな発言をしているか。公約を法案にまで進められたか。それらをチェックするのも国民の務めです。前にも言いましたが、他人が決めたルールで生きてよいなら、選挙に行かなくても構いません。でも、自分の望む未来があるのなら、それを作るために投票するべきだと僕は思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年12月13日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「『保守』と『リベラル』」です。政策で見ると両者は矛盾だらけ。二分はできない。衆議院選挙は自由民主党の圧勝に終わりました。選挙のニュースなどでもよく使われた「保守」と「リベラル」ですが、実は「保守」の対義語は「リベラル」ではなく「革新」なんです。そもそも保守派とは、受け継がれてきた慣習や伝統、地域のルール、家族を重んじ、慎重に歩みを進める姿勢を指します。対して、革新派は、古いものを打破して新しいものを作り上げていく姿勢。1970年代の学生運動のころは、まさに革命を求める人たちが革新派と呼ばれてきました。時代とともに、いつの間にか「革新」は「リベラル」と言い換えられるようになりましたが、「リベラル」は、個人の自由を尊重するという主義ですから、意味合いが少し違うんですね。政党でいうと、自由民主党が保守の政党とされています。伝統を守り、昔ながらの家父長制度、家族観を大事に守ります。農家や企業を守り、地域地盤を固めることに腐心します。それに対して、家族や企業、地域を優先するのではなく、あくまで個人の幸福追求を基本にして成り立つ社会を目指すのが「リベラル」。共産党や社民党、立憲民主党はリベラルといわれていますが、ひとつひとつの政策を比べてみるとまた、矛盾が生じてしまうんです。たとえば原発。原子力発電というエネルギー自体は、石油をベースにするエネルギーからすれば革新的なものです。自民党は賛成しており、その他の政党は反対しています。TPPを自民党は推進していますが、TPPを進めれば、海外の安いものがたくさん日本に入ってきて、従来の日本の農林水産業は脅かされる恐れもある。地域産業を尊重する自民党のスタンスとは真逆になりますよね。つまり、「保守」や「リベラル」は、政党をわかりやすく色分けするためにメディアが使っている言葉。実際には明確に分けることはできません。自民党員に聞くと「党内には保守の人もリベラルの人もいる」と話しています。わかりにくいと思われるかもしれませんが、最も大事なのは政党ではなく政策。自分が賛同できる政策をうたっているのは誰なのか、有権者はそれを見極める必要があるんですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年11月15日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年11月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自殺予防週間」です。日本は自殺大国。9 月はとくに注意月間なんです。9月10日は世界自殺予防デー。それにちなんで、日本では9月10日~16日を自殺予防週間に定めています。期や年度の替わる3月と9月は、自殺する人が多いのですが、18歳以下に限ると9月1日が突出して自殺者が多いんです。1972年~2013年に自殺した18歳以下の子どもの数は1万8048人。平均すると1日約50人ですが、9月1日に自殺した数は131人で平均の2.6倍にものぼります。また、9月2日は4番目、8月31日は5番目に多く、夏休み明けのプレッシャーが精神を不安定にさせるようです。いじめ問題もありますが、学校に行かせようとする親の期待に応えられないことから、自分を責め、存在意義を見失い、自殺に至るケースも少なくありません。自殺者数が把握できる世界90か国で、人口10万人あたりの自殺者数を比べてみると、日本はワースト6位。女性に限ればワースト3位に入っています。それほど、日本は自殺大国なんですね。厚生労働省の自殺対策白書によれば、平成10年以降、14年間連続で3万人を超えていた自殺者の数が、平成24年には2万人台にとどまり、日本全体で見れば、減少方向にはあります。しかし、問題は10代後半~30代の若年層の自殺者が増えていること。平成27年の15歳~39歳の死因のトップは「自殺」だったんですね。自殺の原因はいくつもの要因が複雑に絡んでおり、特定はできませんが、遺書などから推測すると、「うつ病などを含む健康不安」「経済、生活面の不安」「家庭問題」「勤務問題」などが上位に挙がっています。政府はこの現状を重く受け止め、平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、国を挙げて自殺防止に取り組もうとしています。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」では、借金やいじめ、人間関係など、トラブル別の電話相談窓口を紹介しています。いつなんどき、あなたやお友達が崖っぷちに追い込まれるかわかりません。ぜひ元気なうちにウェブサイトを覗いてみてください。学校でも会社でも、命を落としてまで、通わなければいけない場所はどこにもありません。無理をせずに逃げてほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年9月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年09月08日人気アイドルグループ・嵐の松本潤(33)が17日放送のフジテレビ系『VS嵐』で、ジャニー喜多川社長の天然エピソードを明かした。 この日はゲストに山下智久(32)を迎え、サンドウィッチマン、永野ら芸能事務所グレープカンパニー所属のお笑い芸人らと対決。番組内で山下は、KAT-TUNの亀梨和也(31)とユニット「亀と山P」で音楽番組に出演した際、衣装が真っ黒のスーツだったため、ジャニー社長が「YOUたち黒くて見えないよ」と、その場でバラの造花を用意してくれたという秘話を告白した。山下は「愛だな、と思った。そういうのがJr.時代から変わらずあってほっこりしました」と振り返った。 つづいて松本も、ジャニー社長の印象的だったエピソードを公開。嵐のリハーサル現場の隣でジャニーズJr.も練習をしていたため、見に来ていたジャニー社長と久しぶりに会ったという。 そこで「最近引っ越して、僕の家すごいんだよ。YOUたち今から見においでよ」と誘われ、ジャニー社長の自宅へ移動中、突然「ヤバイ、僕らつけられているよ。後ろに車がたくさんいるよ」とジャニー社長が慌てだしたというのだ。 実は、嵐とジャニー社長を尾行していた車は、全て嵐の移動車。しかし、ジャニー社長は気づかない様子で「絶対あれ(週刊誌の)記者だよ、ヤバイ」と困り顔だったという。 ジャニー社長の知られざる天然な一面に「かわいい」とスタジオは大きな笑いに包まれた。
2017年08月17日キャンディストリッパー(Candy Stripper)とアーティスト・とんだ林蘭のコラボレーションウェア「WEIRD NURSE」シリーズが登場。2017年7月14日(金)より、キャンディストリッパー原宿本店及び公式オンラインストアにて発売される。コラボレーションしたとんだ林蘭は、コラージュ・イラスト・ペインティングなど様々な技法を用いた作品を制作する、次世代アーティスト。独特でシュール、時には官能的な世界観が特徴だ。今回のウェアには顔に「A」の文字を携え、シェイクを飲んでいる“シュールなナース”のコラージュをデザインした。Tシャツはナースを大胆にあしらっており、スタンダードな2Mサイズと、ユニセックスに着こせるXLサイズを用意。またナースモチーフが散りばめられたオープンカラーのシャツは、ラフに着こなしたい一枚だ。オンラインストア限定色としてミントカラーが登場する。さらに、デイリーユースにぴったりなキャンバストートも展開。使い勝手の良いA4サイズとなっている。【詳細】「WEIRD NURSE」シリーズ発売日:2017年7月14日(金) ※オンラインストアは同日19:00〜※オンラインストアでは、6月28日(水)19:00より先行予約を開始販売店舗:キャンディストリッパー原宿本店、公式オンラインストア価格:・シャツ「WEIRD NURSE SHIRT」17,800円+税・Tシャツ「WEIRD NURSE TEE」5,900円+税・トートバッグ「WEIRD NURSE TOTE BAG」4,900円+税【問い合わせ先】Candy StripperTEL:03-5770-2204
2017年07月01日俳優の坂口健太郎が、松本潤主演の映画『ナラタージュ』(10月公開)に出演することが20日、わかった。同作は、作家・島本理生による同名の恋愛小説を実写化。高校の時の演劇部顧問教師・葉山(松本)に想いをよせる泉(有村架純)は、卒業以来1年ぶりの再会に想いをつのらせ、葉山の方もまた泉に複雑な感情を抱える。坂口は泉に想いを寄せ、一度は恋人になる大学生・小野玲二を演じる。葉山を忘れられない泉の姿に苦悩し、嫉妬する役どころとなる。坂口は「初めて本を読ませていただいた時、小野君は繊細な男の子で、どこか壊れてしまいそうな、少しづつ歪んでいく感情を表現する事が難しそうな役だと感じました」と役の印象について語った。さらに坂口は「切なく、悲しい気持ちに感情移入してみてくださる方もいるかと思います」と観客の心境を慮り、「楽しみにしていてください」とメッセージを贈った。メガホンをとった行定勲監督は、長年にわたり同作の映画化を熱望してきた。坂口について「普段はポーカーフェイスの彼が突然、笑み破顔する顔は誰もが心を奪われ小野の役にぴったりだと思った」と、キャスティングの経緯を説明。「ある意味、敵役のような存在ながら恋に苦悩する彼の表情に切なさが何度もこみ上げる瞬間がありました」と撮影時の様子を振り返り、「未来が楽しみな俳優に出会えました」と称賛した。
2017年01月20日人気アイドルグループ『嵐』のメンバー・松本潤さん(33)との交際が『週刊文春』によって報じられた、セクシー女優の葵つかささん(26)。交際報道後、サイン会を中止するなど活動を休止。Twitterの更新もお休みしていましたが、1月16日に投稿を再開。『今日から活動スタートします!昨年は色々と心配掛けてごめんなさい。でも、こんな私を応援してくれて、本当に本当にありがとう。今年もよろしくお願いします!』と活動を再開することをツイートしました。その後も変わらぬ様子でTwitterを更新。心配していたファンを喜ばせています。しかし、嵐ファンはさすがにこれを良く思っていないようで、ネット上では葵さんに対して批判の声が多数あがっています。●「面の皮の厚さにびっくり」「松潤にも引く」とネットは再び炎上活動を再開した葵さんに対しネット上では、『面の皮の厚さにびっくりした』『「こんな私を応援してくれて、本当に本当にありがとう」って、大スターにでもなったつもり?』『売名おつかれさまです』『どうせまた炎上するだけなんだからずっと休んでればいいのに』『売名成功?よかったね』『活動再開したってわざわざツイートしなくてもいいんだけど…』『売名成功でこれからも露出していくつもりみたいだね』『ジャニヲタ敵に回しても平然としていられるなんてすごい』『このたくましさはすごいと思う』など、批判的なコメントが多く、またもや炎上しているようです。一方、葵さんの活動再開で再び松本さんへの批判の声も高まっています。『松潤のゲスさも暴露された感じ』『松潤の株はかなり下がった』『テレビでは一切報じられてないけど、松潤のイメージダウンは免れない』『本当にこんなのと付き合ってたの?松潤にも引くわー』『こんな女を選んだ松潤にはほんとガッカリ』『人様のお通夜でナンパしたっって、松潤のほうが悪いと思うけど…』『松潤のバカさがバレちゃったね。ファンかわいそう』など、松本さんに落胆する人も少なくないようです。二人の交際が真剣なものだったのか、それとも遊びだったのか真相は謎ですが、嵐ファンにとっては衝撃的すぎる報道だったことに間違いはありません。葵さんとの交際報道によって大きくイメージダウンした感のある松本さん。今後、そのイメージを回復していくことはできるのでしょうか。●文/ぶるーす(芸能ライター)
2017年01月18日寒さによる冷えや乾燥が気になる季節になり、咳をしている方も多いですね。乾燥による不調を感じたら、蜂蜜で潤おしましよう。蜂蜜の優しい甘味と豊かな風味、蜂蜜の穏やかな作用は、心身を癒し、活力を与えてくれます。蜂蜜に含まれるオリゴ糖は腸の善玉菌を増やし、便秘や下痢を改善し、免疫力を向上させます。蜂蜜の糖分は、花の蜜。これを蜂が濃縮して果糖やブドウ糖になったものです。採れた場所や花によって風味や味が異なるので、違いを楽しみながら使うのも面白いですよ。そのまま舐めても◎ さらに喉に良い食材を加えて効果UP!・クルミ滋養強壮、咳止め、便秘解消に役立ちます。咳が出る時は、クルミと生姜を細かく刻んだものを蜂蜜と加えて食べると良いでしょう。痰が切れない時は、クルミをすり潰したものを蜂蜜に混ぜ、口の中で溶かす様に摂取すると良いでしょう。・タイム気管支を拡張して浄化し、痰を取り除く事から、気管支炎やぜんそくの症状を緩和します。タイムを蜂蜜に混ぜてなめると喉の痛みがやわらぎます。抗菌作用が高い!生姜や果物の蜂蜜漬けを常備【免疫力を高めたい時は…】・生姜の蜂蜜漬け生の生姜に含まれるジンゲロールは、免疫力を高めます。皮付のまますりおろして蜂蜜に漬けておくと、飲み物やお料理にも活用できます。ジンジャービールもおススメです。【喉の不調に】・大根の蜂蜜漬け咳やのどの痛みには、スライスした大根を蜂蜜で一晩漬けた大根の蜂蜜漬け飲むと良いとされています。・花梨の蜂蜜漬け花梨は、喉を潤おすだけでなく、咳止め、胃の機能を回復、むかつき、嘔吐、抗酸化作用があります。なにより生の花梨の甘い香りは、幸せな気分にしてくれます。花梨が手に入ったら、香りを充分楽しみ皮が黄色なったら、熱湯で洗い、皮ごとピューラーで剥くか、スライスし、種はお茶パックに入れます。消毒した瓶に果皮と種を入れ、それらが浸るぐらいの蜂蜜を注ぎ入れます。1週間ぐらい毎日かき混ぜ、2か月漬け、ザルで濾したものが花梨シロップになります。皮の部分は、乾燥させてお湯を注げば、風味豊かな花梨茶が楽しめます。蜂蜜のデトックス効果解毒作用があるのでデトックスしたい時は、ティースプーン1、2杯の蜂蜜を40度以下の白湯に加え、さらにレモンを2、3滴しぼった生蜂蜜レモンジュースを摂取します。出来るだけ空腹時に行い、さらに1回の食事の量を抑え、間食を控えると効果的です。蜂蜜の保湿効果蜂蜜は、保湿作用があるので乾燥してカサカサの唇にも活用できます。蜂蜜を唇に塗ってラップでパックし、数分おくと落ち着きます。◎咳などは症状が酷くなる前に、早めに病院で受診しましょう。◎蜂蜜は、混ざりもののない、純粋で非加熱のものを選びましょう。抗菌作用を高めたい時は、マヌカハニーがおススメです。◎蜂蜜は、沸騰させると味が変化し、ビタミンCも半分程度失われ、酵素が分解されてしまいます。栄養素や風味、作用を落とさず摂取するには、加熱をし過ぎないようにすると良いでしょう。食べ過ぎると胃腸に負担がかかるので、適量を心がけ、乳児ボツリヌス症の感染源になるので1歳未満の子には与えないようにしましょう。また、そばの蜂蜜は、アレルギーの方は注意しましょう。
2016年11月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「経済波及効果」です。***「広島東洋カープ優勝による経済波及効果が331億円」だとか、映画『君の名は。』のヒットで聖地に多くの人が訪れ「モデルとなった飛騨市への経済波及効果が100億円を超える予想」など、経済波及効果という言葉をよく耳にしますね。これは、何かものごとが起きることにより商品が売れ、生産者や直接の関係者の所得が増える。周辺の関連業界への好影響、さらにその人たちの消費が伸びることで、無関係の産業でも利益を生む、二次的波及までを含めた予測を指します。総務省のホームページには、経済波及効果を算出する「産業連関表」が掲載されています。この産業連関表は1936年、アメリカの経済学者のレオンチェフ博士が最初に発表。第二次世界大戦後のアメリカの経済を予測し、高い精度を示したことから、活用されるようになりました。日本の産業連関表は1951年に、当時の通商産業省によって作成されました。経済波及効果があったと報じられれば、人々の投資意欲や消費意欲を高めますよね。そうやって景気を良い方に向かわせるのはよいことなのですが、国が経済波及効果という言葉を持ち出したときには、少し懐疑的になったほうがよいかもしれません。なぜなら、推し進めたい政策を通すための説得材料として、都合のいい情報だけを流している場合もあるからです。日本銀行の算出によると、2020年までの東京五輪開催の経済効果は、訪日観光者数が約3300万人に達し、1人当たりの消費額も増加、建設投資総額は10兆円に。実質GDP成長率も'18年まで毎年0.2~0.3ポイント押し上げると予想されています。しかし、あくまで試算ですから、そこまで楽観視してよいかはわかりません。TPPに関しても、政府は日本が参加すれば、貿易が盛んになり生産性が上がり、賃金も雇用も増え、貯蓄や投資にお金が回り…と、良い循環が生まれると言っています。しかし、良い面だけでなく、農林水産省のホームページでは、農林水産物の生産減少額が1300億~2100億円と予想されています。このマイナスの経済効果の報道は、あまり聞こえてこないんですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年11月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフリカ開発会議」です。***8月に第6回アフリカ開発会議(TICAD)がケニアで開かれました。アフリカの開発支援のために、日本が世界に呼びかけて1993年に始まった会議で、5年に一度開催され、今年初めてアフリカで行われました。アフリカは人類発祥の地といわれ、ナイル文明など、豊かな文化や歴史があります。ところが19世紀に欧州諸国が肥沃な土地を奪い合うようになり、アフリカを勝手に分割統治、植民地にしてしまいました。その後、アフリカ諸国は独立しはじめますが、欧州各国によって決められた国境は、先住民族の文化や生活を無視した線引き。その問題は現在の内戦や民族紛争にもつながっています。また、アフリカはほかにも、食糧不足や干ばつ、感染症、教育を受けられない子どもたちなど、多くの問題を抱えていますね。近年のボコ・ハラムやアルカイダなど、テロ組織の暗躍も、根底にあるのは貧困や教育問題。経済を好転させることで解消される問題は多い。今年のTICADではテロとの戦いと国際協調が訴えられ、安倍総理は日本から3兆円の支援をすることを約束しました。これに対して、中国は「国連の常任理事国入りをしたい日本が、アフリカ諸国を味方につけようとTICADを政治利用している」と批判しました。近年、中国は、アフリカに携帯電話を普及させ、携帯電話による送金システムを輸出するなど、ものすごい勢いでアフリカに進出してきているんですね。水道も電気も通ってない地域で、携帯電話だけは使われているという異様な光景も。ほかにも道路や港を作る支援をし、代わりにレア・メタルの採掘権を得ようとしています。発展途上のアフリカには、たくさんのビジネスチャンスが眠っています。日本も開発支援だけでなく、民間企業がもっとアフリカと密接につながるといいのですが、距離的な問題もあり少々及び腰です。それでも、日本で消費されるバニラビーンズやカカオ豆、蚊取り線香に使われる除虫菊はアフリカ産がほとんどなんですよ。今後、アフリカと日本は、ますます結びつきが深くなっていくことでしょう。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月30日アイドルグループ・Juice=Juiceの宮本佳林が21日、都内で写真集『Sunflower』(発売中 3,000円税込 ワニブックス刊)の発売記念イベントを行った。今年はフジテレビ系ドラマ『武道館』に主演し、実際に11月7日には初の武道館公演も決定しているJuice=Juiceで、デビュー時よりセンターとして活躍する宮本。同書は、初めての宮古島と、本人が馴染みのある街の東京・調布の深大寺で撮影され、宮古島では水着はもちろん、タイトルにもなっているひまわり畑での印象的なカットなど、17歳の宮本の弾ける笑顔が満載し、都内では落ち着いた雰囲気の浴衣姿に加え、写真集ではラストとなる制服姿も披露。今の宮本を表現するにふさわしい少女性を切り取った写真集に仕上がった。そんな同作について宮本は「空もめちゃくちゃ晴れていて、ファーストとセカンド(写真集)は曇りとか雨の写真集になってしまったんですけど、今回はパーッと晴れているので明るい感じの写真集になっています」とハツラツとした笑顔で語り、見どころについては「3冊目の写真集なんですけど、一番いろんな表情が撮れているかなと思いますし、自然かなって思うので、そこを見てほしいですね。あとは成長を見てもらえたらと思います」とアピールした。また、お気に入りには白いタンクトップを着て座っている写真を挙げ「"座り姿勢が整っています"みたいな感じが自分的にすごく好きで、撮影したその日に写真を印刷してくださったんですけど、この写真を見たときから『これすごく好きだな』って思っていました」と明かし、「色白なのが魅力かなと自分でもチャームポイントだなと思っていて、めちゃくちゃ色白が際立っているなと思うので、この写真が好きです」と声を弾ませた。また、大胆な水着ショットも収録されているそうで、恥ずかしさはなかったか聞かれると「海だし、夏だし、こういう機会じゃないと海に入れないと思って、わーって撮ってもらいました」と語った。Juice=Juiceとして初の武道館公演を直前に控え、準備の状況を聞かれると「今、取り掛かっている最中で、メンバーの中でも『最高の武道館にしたい』と思っているので、初めての武道館ということもありますけど、準備は万端の状態で行きたいと思います」と意気込み、注目ポイントについては「Juice=Juiceってなんでか走るのが苦手なグループで、走るかたちが変で、武道館って大きいので、その走っている姿に注目してほしいなと思います。競争心があって、誰が早いかとか注目して見てもらえたら面白いんじゃないかなと思います」とオススメしていた。
2016年10月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「消費者物価指数」です***「消費者物価指数(CPI)」とは、全国の消費者が購入する商品やサービスの価格の変動を時系列で測るもので、5年に一度、基準年を定めて、それと比較して算出します。毎月、総務省統計局が発表しており、景気が良いかどうかの判断基準になるので、「経済の体温計」ともいわれています。消費者物価指数を見て、政府は経済政策や年金の改定などを行うのです。日本経済の最大課題は、デフレからの脱却ですよね。デフレとは、物の値段(物価)が下がると、企業の収益も下がることになるので、企業は賃金を上げられない。なので、懐の冷えた消費者は物を買うのを控えるという状態。物が売れないので企業はさらに商品を安くする…という連鎖が起きます。これがデフレスパイラルです。改善策として、政府は金融緩和を行います。日本銀行が市場にお金を多く流して、相対的に円の価値が下がる状態に誘導するのです。市場に円があふれれば、自然と円安になります。希少価値のものは値段が高くなるけれど、世の中にたくさんあるものは安くなる、というのと同じ原理ですね。日本の主要産業は輸出産業なので、円安になれば企業は儲かります。トヨタなどの輸出企業は利益を増やし、「景気は良くなった」「アベノミクスは成功した」ともいわれますが、多くの一般市民にはあまり良くなった実感がありません。そこで実態を知るのに有効なのが「消費者物価指数」です。消費者物価指数が下がっているということは、市民が前よりも物を買わなくなった(買えなくなった)ということ。2015年の基準年に対して、今年は総合的に消費者物価指数が毎月下がり続けています。これは、一部の企業が好調でも利益が社員に還元されていない(賃金が上がっていない)ということ。非正規雇用者にはもっと回ってきていませんね。政府はこの状態を認識しており、企業に対して賃金を上げるように働きかけ、消費税増税も先送りにしました。消費者物価指数が上がれば、本当に景気が良くなっているという証拠です。毎月ニュースで発表される消費者物価指数を見ながら、自分の体感景気とぜひ比べてみてください。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年10月19日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ドーピング」です。***リオ五輪の開催前、ロシアの国家ぐるみのドーピング隠蔽行為が発覚し、問題になりました。世界にドーピングの衝撃が走ったのは、1988年のソウルオリンピック。100m走で、ベン・ジョンソンがカール・ルイスに勝ち、人類初9・8秒台を切るタイムを叩き出しました。ところが、ドーピング検査で陽性になり、ジョンソン選手の金メダルは剥奪されてしまいました。ほかにも陽性の選手が後を絶たず、これをきっかけに1991年にジョンソンの祖国、カナダでアンチ・ドーピングの機関が誕生。1999年には世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立されたのです。ドーピングは必ずしも、選手が故意にしているとは限りません。たまたま飲んだ薬の中に禁止成分が入っていて、引っかかるケースも。テニスのマリア・シャラポワ選手が2年間の出場停止処分になりましたが「禁止薬物とは知らなかった」と提訴しています。禁止成分は随時更新されますから、ドーピングを避けるには、選手だけでなく、チームやコーチ、医師や薬剤師も正しい知識が必要。WADAやJADA(日本アンチ・ドーピング機構)はそれぞれの立場での注意を促しています。ドーピングは、製薬会社のビジネスとも密接な関わりがあると指摘する声もあります。合法的に運動能力が上がる薬となれば、ビッグビジネスになりますよね。最近はWADAと大手製薬会社が情報を共有してドーピングを未然に防ごうとしていますが、これも諸刃の剣。規制をすり抜ける新薬が開発され、後にその成分が規制されるというイタチごっこにもなってしまいます。今回のリオ五輪で、IOC(国際オリンピック委員会)が、ロシアの参加を全面禁止にしなかったことに対して、処分が甘いという意見もありました。しかし、五輪は平和の祭典。開催期間は休戦し、人種や国境を超えて皆が参加すること、五輪を続けることに意義があります。大国ロシアが抜けてしまったら、その秩序が崩れてしまう可能性も。そもそも、スポーツとは何を競い合うものなのか?原点に立ち戻り、清い戦いを見せてほしいですね。フェアな戦いこそが感動を与えてくれます。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月21日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京都知事」です。***新しい東京都知事が、初の女性知事・小池百合子さんに決まりましたね。東京がどれほどの大都市なのか、数字の面から見てみましょう。2016年度の東京都の年間予算は、13兆6560億円。日本の国家予算総額が96兆7218億円ですから、比較しても相当な額というのがわかります。また、この東京の予算額は、スウェーデンの国家予算に匹敵する(!)規模です。GDP(国内総生産)では、東京都は2015年度見込みで92兆9000億円=約1兆1326億ドルです。世界のGDP順位を見ると、1位はアメリカ約18兆ドル。2位中国、3位日本が4兆ドル台。数字上では東京は12位に匹敵し、スペインやメキシコのGDPより勝っているのです。都市別に見ると、2014年の1位は東京。2位NY、3位ロサンゼルスと続きます。東京は経済的には、国レベルといってもいい大きさなんですね。日本の総理大臣は議会が選びますが、都知事は直接民主制によって、私たちが直接選べます。つまり、東京都知事は東京という一つの国の大統領のようなもの。また、東京には、日本の全人口の約1割が集中。大企業の本社や外国企業の5割は東京にあり、日本の税収のうちの約4割は東京から集められています。これだけの人とお金が動いている少なくないんです。たとえば、石原慎太郎さんが都知事だったとき、東京の空気の浄化のために、ディーゼル車の走行を規制しました。これにより、自動車メーカーは、世界一基準の厳しい排気ガス規制に対応できるクリーンな自動車を開発。日本の技術力を上げるきっかけになりました。石原都知事はほかにも、日本史を都立高校の必須科目にしたり、横田基地の返還要請をし、航空管制の一部を返してもらうなど独自の政策を実行していきました。近年は任期が短くて、実績を残す機会は減っていますが、都知事は日本全体にも少なからぬ影響を与える存在ということに変わりはありません。予算が膨らむ東京五輪問題や土壌汚染を抱える築地市場移転問題など、小池流改革手腕でバッサリ切り込んでいってほしいなと期待しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年9月7日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年09月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「イギリスのEU離脱」です。***6月にイギリスは、EU離脱の是非を問う国民投票を行い、離脱派が勝利。残留派のリーダーだったキャメロン首相は辞任し、テリーザ・メイが首相になりました。投票結果は残留派48%、離脱派52%の僅差。EU離脱の選択は、世界に衝撃を与えましたが、実はイギリス国内でも「まさか本当に離脱になるとは!」と驚きの結果だったのです。離脱に傾いた大きな理由は、難民問題。離脱派の元ロンドン市長ボリス・ジョンソンは、「難民が流れ込んだせいで国内の失業率が上がり、テロの脅威にさらされている。EUを離脱し、イギリスは主権を取り戻すべきだ」と主張しました。EU(欧州連合)とは一つの大きな国のようなものです。第一次、第二次世界大戦で大きな犠牲を払ったヨーロッパは、資源争いによる敵対をやめ、まとまる必要に迫られました。EUを立ち上げ、資源を分かち合い、関税を取り払って、人・もの・お金が自由に行き来できるようにしました。ヨーロッパ全体で協力し合うことで、安全保障と大きな経済成長を得たのです。しかし、EU加盟の恩恵は国ごとに差があります。イギリスやフランスは借金の多い国々を助ける役回りになり、経済的負担は少なくありません。また、EU内には法律があるので、国内で勝手に物事を決められない不自由さも出てきました。ジョンソンが「主権を取り戻す」と言ったのはそういう理由です。ジョンソンは有力な次期首相候補でしたが、離脱が決まると立候補を取り下げてしまいました。他にも、国民投票後に現場を退いた離脱派の政治家もいました。つまり、覇権争いのために、離脱の主張をしていた議員が少なからずいたということ。それだけ、国民の不満は募っており、支持を得るには格好のテーマだったのです。首相のなり手はなかなか見つからず、残留派だったメイが名乗りをあげます。メイ首相は22人の閣僚のうち7人に、ジョンソンを含む離脱派の閣僚を据えました。離脱のニュースの後、ポンドは下落、円高ドル高の流れに。世界経済にも影響を及ぼしています。イギリスがEUを離れ、どんな政策で問題解決していくのか世界が注目しています。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月31日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「核なき社会」です。***みなさんは、8月6日、9日が何の日かわかりますか?71年前のこの日、世界で初めて、原子爆弾が投下されました。8月6日は広島に、9日は長崎に。一瞬にして街は焼け焦げ、その年の12月までに広島では約14万人、長崎では約7万人の方が亡くなりました。数年後に白血病やガンを発症したり、子供に原爆症が出るケースもあり、総被害は数知れません。日本は原爆の恐ろしさを知る、唯一の被爆国なんです。現在、核保有国はアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルの9か国。これほど恐ろしい兵器を、なぜ皆持ちたがるのか?悲しいことですが、核を保有することで、敵対する国同士の抑止力になっている、というのも現実なんです。とはいえ、核兵器がこのまま増え続けたら、地球規模の危機に晒されます。2009年、オバマ大統領はプラハで、核保有国として初めて「核なき社会を目指そう」と国際社会に訴えかけました。その後、アメリカ・ロシア間では核軍縮の合意が取れ、処分後もテロリストに核兵器が渡らないよう、注意を払っています。一昨年、国連総会で「核兵器使用禁止条約」がオーストリアから提案されました。化学兵器や生物兵器は国際条約で、使用したら戦争犯罪として裁かれることになっています。それに核兵器も加えようという提案。賛成125か国、反対50か国、棄権7か国で可決されましたが、実は日本はこのとき棄権しました。日本は自国では核兵器を持ちませんが、同盟を結ぶアメリカに、中国や北朝鮮の脅威から守ってもらっている立場。その手前、賛成することができなかったと言われています。今年5月、アメリカの現職の大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地の広島を訪れ、平和を訴えましたね。これが実現したのも、毎年、原爆記念日に世界に向けて平和のメッセージを発信し、核保有国の首脳に手紙を送り続けた広島市の不断の努力の賜物です。原爆の惨劇を伝えられるのは、世界で日本だけです。戦争体験者が次々いなくなる今後、二度と悲劇が起こらないよう、8月6日、9日のことを私たちは忘れてはいけないと思います。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年8月10日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年08月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ふるさと納税」です。***ふるさと納税とは、好きな自治体に寄付をする制度です。寄付をすると、その額から2000円を引いた額が、所得税と住民税から控除されます。日本は東京が中心となり、大都市ばかりに人もお金も集まってしまっています。地方にお金が回るようにと、ふるさと納税制度は2008年に公布されました。寄付した人には地方の特産品などのお礼の品が送られます。理念は素晴らしいのですが、年々、自治体ごとの寄付金獲得競争が加速、返礼品がエスカレートして豪華になってきてしまいました。自治体の方でも返礼品が重荷になったり、返礼で受け取った金券を転売する寄付者が出てくるなど、本末転倒な事例も。公布から8年たち、そろそろ制度の見直しが必要なのかもしれません。また、ふるさと納税を使って、高額所得者が高額の寄付をし、寄付額がほとんど還付される、節税対策に使われていることを問題視する人もいます。いわば、日本のタックスヘイブンです。ただ、都市と地方の格差は広がる一方。地方は財源を得るのが本当に大変です。ですから、たとえタックスヘイブンになったとしても、地方にお金が回るのは良いことなんじゃないかと思います。最近では被災地にふるさと納税する人も増えていますね。熊本への寄付金も増えて、復興に役立っています。問題は、寄付をする側の姿勢ですね。ただの節税対策や、返礼品目当てのショッピングモールになってしまうのは残念。集まった寄付金の使い道は各自治体で公開していますので、寄付をしたら、ぜひチェックしてください。また、一度その土地に足を運んで、実際に見てきてほしいですね。都市部はどうしても消費が中心。地方が生産を支えています。農業、林業、水産業の「生産者を守る」という意識で地方を応援していきたいですね。実際に生産の現場の大変さを知ると、無駄な消費をしなくなります。日本はレストランでもコンビニでもたくさん食品を捨てていて、食品ロスが多いんです。過剰な消費から生まれる社会問題は少なくありません。生産と消費、都市と地方のいいバランスを目指していきたいですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月20日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「参議院選挙」です。***皆さんは「三権分立」を覚えていますか?法律は立法権を持つ国会で作られ、法律に基づいて政治を行う内閣は行政権を、法律に基づいて裁判する司法権は裁判所にあります。これらは暴走しないように互いに監視し合う、ということになっていますが、実際は行政府と立法府が一本化しているよう。内閣が望む法案が、成熟した討議のなされないまま、数の論理で決まることが多い印象があります。国会答弁の数は与党が1割、野党が9割と割合が決まっていますから、これには反論する野党側の責任も少なくありません。大統領と上院下院が対等に、緊張感を持って存在し、常に意見を戦い合わせているアメリカとは大きく違いますね。日本の場合、総理大臣や各大臣は、立法府(国会)で議席を多く取った党内から選ばれます。また、「党議拘束」といって、党員は政党の方針に従わねばならないという規則があります。自分が所属する政党と違う意見に票を入れると、体制に逆らったと罰せられたり、党の公認を得られなくなったり、除名処分になることも。そのため、全体が数の多い与党の意見に流れることが構造的に起きてしまうんですね。国会には衆議院と参議院があって、衆議院で可決された法案を、参議院で再討議します。参議院は衆議院のように途中で解散することなく、任期は6年。半期ごとに半分の議員が選挙で選ばれます。衆議院とは別の角度からじっくり法案に取り組むことが求められています。しかし、党議拘束は参議院にもかかりますから、残念ながら、衆議院との役割の違いがあまり見えてきません。選挙前には国民が喜ぶような聞こえの良い法案が掲げられたり、結局、「選挙に勝つための政治になっていないか?」という疑問も拭えず、国民の政治離れが進んでしまいました。7月10日は参議院議員通常選挙の投票日です。代表演説やマニフェストをチェックして、ぜひ政策の中身で政治家を選んでください。日本は、お上の決定に民が従う歴史が長かったものですから、政治を政治家にまかせる慣習が染みついています。でも今、当事者意識を持って、政治家に働きかける積極性が求められているんです。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年7月13日号より。
2016年07月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「待機児童」です。***条件を満たし、入所申請をしているにもかかわらず、保育所に入れない「待機児童」の数は2015年4月の段階で約4万5000人。キャンセル待ちの多さに諦めて、最初から申請していない家庭もあるので、潜在的な待機児童数を含めるとその数はもっと多くなるでしょう。待機児童問題は、保育所の数を増やすだけでは解決にはなりません。というのも、保育士さんの数が足りないんですね。保育士の資格を持ちながら現場を離れた「潜在保育士」の数は全国で約80万人。離職した大きな理由は、賃金の低さと言われています。保育士の賃金は、35歳平均で月額21.9万円。全産業の平均は33.3万円ですから、かなり下回っています。安倍総理は4月に一億総活躍社会の一環として、保育士の賃金を2%、月額約6000円アップを宣言。潜在保育士をなんとか呼び戻そうと対策を立てています。保育所が足りないのは、近隣の反対により建てられないというケースもあります。「子供の声がうるさい」といったクレームも聞きますが、それだけではなく、道が狭くて、子供の送り迎えの車や自転車が来ると住民の移動ができないという切実な理由も。街づくりやインフラ面から抜本的に変えなければいけません。また、保育所開設の規制緩和も必要でしょうね。企業内に保育施設がもっと開設できれば助かりますよね。待機児童問題は、すぐには解決しないでしょう。これから就職や転職を考えている方は、育児休業のあるなしだけでなく、バリエーションをチェックしてみてください。1年フルに休めなくても、時短で働ける時期を長く取れる方がありがたい場合もあります。今から約100年前に母性保護論争が起きました。女性解放運動家の平塚らいてうは「子供を産み育てることは国のためでもあるから、国が保護するべき」と主張。対して歌人の与謝野晶子は「女性は男性にも国にもよりかかるべきじゃない。自立して稼ぎなさい」と意見しました。子育てのお金は、国か個人、どちらが出すべきなのか。子供は誰のものなのか?100年前の論争の答えはまだ出ていないんです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月22日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月19日19日に最終回を迎えるTBS系ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』(毎週日曜21:00~)の公式ツイッターで、主演を務める嵐・松本潤の人柄が伝わるエピソードが明かされ、話題を呼んでいる。公式ツイッターでは、「今日の潤様」と題して、頻繁に松本の撮影現場での様子を紹介。この日は、「明日撮影するクライマックスシーンの台詞について、どうするのがベストか、この1週間ずっとやり取りを重ねているのですが、先ほど『はい、これ』と一枚の紙を渡された。これまでやり取りして、手書きでたくさん書き込んだ台本を、PCで全部打ち直して台本形式にしたものだった」というエピソードを明かした。続けて、「『いろいろ考えて書き直したんだけど、手書きのものを見せるのも失礼かなと思って』とのこと」と説明。「誰よりも忙しく、誰よりも寝ていないのに、スタッフに対してさえこの気遣いをしてしまう、気遣いができるところが、松本潤である所以なんだなと、改めて思いました」とつづり、「うちの座長は素敵な人です」とたたえた。この投稿に、「さすが潤様」「やっぱり潤様ステキすぎ!!」「潤くんの人柄がにじみ出る素敵なエピソード」「涙が止まりません」「感動で涙が溢れます」「座長素敵すぎます…涙出てきた…」とファンは感動。また、「座長とスタッフさんがたくさん考えて作った最終回、すっごい楽しみです!!」「そんな考え抜いた最終回は正座してみないと!!」「どんなラストになるかワクワクしてます」と最終回への期待の声や、「ぜひセカンドシーズンを!」という声も寄せられている。(C)TBS
2016年06月15日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「タックスヘイブン」についてです。***タックスヘイブンとは日本語で「租税回避地」。税金を免除、またはとても低い税率にして、海外資本を獲得している国や地域のことを指します。ヨーロッパの小国、モナコ公国やサンマリノ共和国、カリブ海の英領ヴァージン諸島やケイマン諸島などが有名です。それらの国や地域が税率を下げるのは、もともと産業や鉱物資源がなく、税金をとる先がないからなんですね。海外企業を誘致できれば、雇用が生まれ、富裕層が集まれば消費が活発になり、その地域の利益につながります。企業にとってみれば、世界に展開するのに、本拠地をタックスヘイブンに登記し、収益を集約できれば、国によって税率が異なることを気にせず、円滑に取引が進められます。必ずしも誰しもが税金逃れのために使っているわけではないんです。ただ、麻薬や人身売買、テロ、政治家の汚職などのマネーロンダリング(資金洗浄。口座を転々とさせて、資金の出所を不明確にする)の温床になりやすいのも事実。北朝鮮やロシアなど、欧米諸国から経済制裁を受けている国のお金のやり取りに使われているともいわれています。4月に「パナマ文書」がニュースになりました。パナマの法律事務所から、タックスヘイブンを利用する企業の、過去40年分の膨大なデータが流出。それによると、約21万の企業の関係者リストのなかに、プーチンや習近平、アイスランドの首相など、国の要人も含まれていました。文書はドイツの新聞社と国際調査報道ジャーナリスト連合に送られ、現在詳しく調べている最中ですが、リストのデータベースは誰でも見られるよう5月にネット上で公開されました。タックスヘイブンに集められた企業の税逃れ額は、約500兆円あるとか。それらが国税として支払われれば、社会保障に使えますよね。日本では早い時期からタックスヘイブン対策税制を設け、法人税率20%以下の国に登記している会社は、国税庁に届け出ることになっており、国内の子会社から、相応の税がとられています。世界の格差問題につながるテーマ。今後、各国がどう対策をとるのか、要注目です。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年6月15日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年06月14日川口春奈と林遣都が初競演を果たす、人気WEBコミックの映画化『にがくてあまい』。このほど、川口さん、林さんがともに大人っぽい妖艶シーンに挑戦する特報映像が、キービジュアルとともに解禁。また、本作主題歌を「OKAMOTO’S」が書き下ろしで手がけることが分かった。仕事に燃えるキャリアウーマンの江田マキは、ある日、男子高のイケメン美術教師の片山渚と出会い恋に落ち、2人はひょんなことから同居することに。しかし、天真爛漫なマキを、ぞんざいに扱う渚。衝突しながらも、マキは渚に恋している自分に気づくが、渚はなんとゲイだった!それでも、大嫌いだったのに、渚の作る野菜料理に癒されていくマキ。それぞれが抱える問題を解決していくうちに、お互いが大切な人になっていくが…。WEBコミック誌「EDEN」(マッグガーデン)にて無料配信された原作コミックが、この5月に惜しまれつつも思わぬエンディングに迎え、「切ない!! 泣ける!! 胸を打たれた!!」などのコメントが上がり話題となった本作。韓国、台湾、香港などでも翻訳され、“食と愛”をテーマにしたベジタリアン・フードコミックとして人気を博している。解禁となった特報では、川口さんが初々しく演じる男に恵まれない独身女・マキと、林さん演じる女に興味のない男・渚とのまつわる出会い、奇妙な同居生活の始まりと、相容れない生き方をする男女が“ありのまま”でぶつかり合う様子を映し出していく。しかも、ゲイの菜食主義者役の林さんが上半身ヌードを披露すれば、川口さんのかつてない衝撃の姿もチラリ。そして、大人の妖艶さをまとったシーンが続き、見る者をとりこにする色気を醸し出す映像となっている。さらに、淵上泰史、桜田ひより、真剣佑、SU(RIP SLYME)、中野英雄、石野真子といった個性的なキャスト陣にも要注目だ。また、本作の主題歌は「OKAMOTO’S」が本作のために書き下ろした「Burning Love」に決定。“人と違う”ことに生きづらさを覚える世の中で、自らをストレートに表現する生き生きとした登場人物たちの姿を、いっそう盛り上げてくれるに違いない。『にがくてあまい』は9月10日(土)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年06月09日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する、雑誌『anan』で連載中の「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一億総活躍社会」についてです。***去年の10月に第3次安倍改造内閣が発足したときに内閣は「一億総活躍社会」というプランを掲げました。安倍政権の経済目標の一番大きい規模のものって、何だかわかりますか?それは2020年までに日本のGDPを600兆円に引き上げるというものです。現在、日本のGDPは500兆円前後。‘80年代の後半に400兆円の大台を突破し、約15年かけてやっと500兆円になりました。バブル期を含んだ成長ですから、今から4年で約100兆円を上げるというのは、簡単ではない数字なんですね。GDPを上げるには方法は2つ。移民に積極的に働いてもらうか、国内に眠っている労働力を掘り起こすか。安倍さんは保守派ですから、移民の受け入れにはあまり積極的ではありません。そこで、女性やお年寄り、障害のある方、難病の方などでも、働ける人を総動員して、国の経済成長を促したいと考えているんです。バブル崩壊後、リーマンショックの起きた2008年頃までは、働きたくても働き口がない、という状況でした。けれども今、日本は人手不足です。サービス産業、製造業、介護や医療の現場で働き手を求めています。「一億総活躍社会」は言い換えてみれば「一億総労働社会」。少子高齢化で、働く年代の人口が減っているのに歯止めをかけたいんですね。今後は定年も延び、年金の受給開始年齢も引き上げられるでしょう。ただ、見方を変えれば悪いことばかりではありません。家庭、地域、職場で個性を生かした多様な働き方を社会全体で支援する。男性女性、障害のあるなし、年齢に関係なく、皆がいきいきと働ける社会を目指すということ。これから日本の労働環境が大きく変わるのかもしれませんね。政府は緊急政策として、「希望出生率を1.8」「介護離職ゼロ」を掲げ、保育や介護のサービスの拡大を目指しています。今、日本では、働いても生活が楽にならないという貧困の問題がありますね。一億総動員はするものの、市場原理にのまれて、ただ安い賃金で働かされ、ちっとも暮らしが豊かにならない、というふうにならないことを祈りたいですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年5月18日より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年05月15日林真理子の伝説的な不倫小説を映像化する金曜ナイトドラマ「不機嫌な果実」が29日(金)から放送開始される。本作は林さんが1996年に発表した同名小説が原作。発刊当時単行本の帯に記された「夫以外の男とのセックスは、どうしてこんなに楽しいのだろうか。」というフレーズが衝撃を呼び翌年にはドラマ化、映画化され大きな話題となった。今回は約20年ぶりのドラマ化となる。物語は結婚して5年になる32歳の人妻・水越麻也子を主人公に、自分を女として見てくれない夫に不満を募らせ、つまらない日常と冷え切った心を満たしたくれる男を求め悶々とする麻也子が情熱的な音楽評論家・工藤通彦と出会い、心奪われ、本能のままに禁断の恋に溺れていくというもの。29日(金)放送の第1話では、誕生日に夫の水越航一から珍しく食事に誘われるものの、その誕生会は姑・綾子をまじえた地獄のようなもので、さらに自分が“キープ”していたつもりだった弁護士・南田典雄は若い女と結婚。屈辱的な展開に愕然とし「間違いない。私はやっぱり、ものすごく損をしたのだ…」と確信する麻也子が、大学時代の友人・竹田久美が離婚で手にした慰謝料で開店したワインバーでピアノ演奏をしていた工藤通彦と出会うところから2人の“不倫”の始まりが描かれる。今回主人公の水越麻也子を演じるのは栗山千明。栗山さんがテレビ朝日のドラマに出演するのは、今回と同じ金曜ナイトドラマ枠で2010年に放送された「熱海の捜査官」以来6年ぶりとなり、テレビ朝日で主演を飾るのは今作が初となる。今回の役どころについて「女性ならではの揺れ動く心情を表現する役を演じるのは今回が初めてで、どんな自分が飛び出すか分からない。かつて見たことのない栗山千明をお見せできるかと思います!」とコメントしている栗山さん。麻也子役でみせる新境地に期待が高まる。そして麻也子の不倫相手である工藤通彦を演じるのは市原隼人。市原さんはテレビ朝日の連続ドラマ初出演にして栗山さんとも初共演。今までにない組み合わせのなか「皆さんの目を釘付けにして、時間を止めてしまうような表現を模索していきたい」と闘志を燃やす市原さんが全身全霊で表現する通彦の情熱と男の身勝手さにも注目したい。そして麻也子の夫・水越航一を演じるのは「SMAP」の稲垣吾郎。ドラマ「信長のシェフ」の明智光秀役や映画『十三人の刺客』の悪役まで高い演技力であらゆる役柄をこなす稲垣さんが、超潔癖&極度のマザコンという“夫”を今回熱演。「ここ最近は生活感のない役が続いたこともあり(笑)、人間のリアルな気持ちを演じるのがすごく楽しみ。面白いキャラクターにして、ドラマ全体をかき混ぜていきたい!」と意気込みを語る稲垣さんの“ダメ夫”ぶりも目が離せない。また栗山さん、市原さん、稲垣さんのほか、麻也子の最初の不倫相手である敏腕広告マン・野村健吾に成宮寛貴。麻也子の大学時代からの友人・竹田久美には高梨臨。麻也子の大学時代からの友人・遠山玲子を演じるのは数々のエロティックな発言が話題を振りまいている橋本マナミ。さらに萬田久子や、六角精児、光石研ら豪華なキャストが顔をそろえた。ドラマ「不機嫌な果実」は29日(金)23時15分~テレビ朝日系で放送(※一部地域を除く)。(笠緒)
2016年04月29日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会の時間」。今回のテーマは「ブラック企業」。***ブラック企業とは、労働基準法に明らかに違反している会社のことを言います。残業の未払いや過重労働の末、不当に解雇されるとか、労災隠しなどなど。ただ実際には、たとえサービス残業が多くても、その分ボーナスの上乗せや、休日の優遇などのフォローがあったり、将来のキャリアアップにつながる場合は、働き手はブラック企業とは考えませんよね。問題なのは、そういうフォローが何もなく、働き手の未来を潰してしまうような企業です。最近はSNSなどの発達で、ブラック企業問題が明るみに出るようになりました。牛丼チェーンの『すき家』のように、それをきっかけに労働環境が改善されたケースもあります。『すき家』では、深夜に「ワンオペ(ワンオペレーション)」という、たった一人で仕入れから調理、接客までを行うシステムを導入し、24時間営業の店舗を広く展開しました。しかし、長時間トイレにも行けず、明らかな過重労働。深夜には強盗に入られるトラブルも多発。従業員のSNSでの悲鳴が世に広まり、株主らの忠告を受け、『すき家』はいくつかの店舗を閉め、深夜営業も制限しました。もしもあなたが、不当に過重労働を強いられている、労働基準法に大きく反していると思われたら、一人で抱え込まずに誰かに相談してください。会社内部の通報窓口も企業側にたっていて、あてにならない場合もないとは言い切れないので、第三者機関に相談することをお勧めします。会社に労働組合がない人のためのユニオンや、「派遣ユニオン」など正社員でない人のためのユニオンもあります。今は「ブラック企業大賞」が毎年発表されていますし、厚生労働省も長時間労働など、年に3回以上勧告をした大企業の名前は公表すると発表しました。企業もいきすぎると自分の首を絞めかねません。とはいえ、人件費を抑えて利益をあげようとするのが企業の常…。もしも、割に合わないと思うならば、心身を壊してしまう前に他を探したほうがよいでしょう。自分の将来につながるかどうか考えてみてください。幸い、今は人手不足。今いるところが全てではないはずです。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年3月23日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年03月21日