「花は『こんなお母さんになりたい』という僕の憧れを形にした存在」―。『おおかみこどもの雨と雪』で自らが作り上げたヒロインを細田守監督はそんな言葉で表現する。『時をかける少女』『サマーウォーズ』と国内外で高い評価を得てきたが、本作に関しては「これまでとは違ったアプローチだった」とも。改めて作品に込めた想いを聞いた。その他の写真おおかみおとこの彼との間にふたりの子を授かるも、彼を失い母子3人となってしまった花。試行錯誤を繰り返しつつ子供たちと共に成長していく彼女の姿を描き出す。親となった友人の姿を見て「母親というのはすごくヒロイックな存在だと気づいた」と本作の着想を語る監督。自身に子育て経験はないが、まさにこの点こそが自らの体験や心情に基づいて作られた前2作との違いでもある。「元々、僕はヒーローに対する憧れがないんです。ひとりのヒーローが世界を救うなんてのは違うだろうって。これまでの作品の主人公にもそれは反映されてます。自分と地続きの日常に物語があったんです。逆に今回は体験しようがないことだからこそ思い切り理想と憧れを反映させましたね。それはまさしくヒーローものの作り方といえます」。経験がないからこそ感じたい。そんな想いは花の声を務めた宮崎あおいに対する「“母親”を演じようとしなくていい」という指示にも表れている。「あおいさんも子育て経験はないけれど、映画を通じて一緒に花の気持ちを新鮮に体験してほしかったんです」。人気スタイリストの伊賀大介が登場人物たちが着る服のスタイリングを手がけているのも新たな試みのひとつ。監督は「13年という長い年月を表現する上で多くの衣裳が必要でした。シーンごとの登場人物の気持ちを服で表したかった」とその意図を明かす。特に強い思い入れを持っているのが、花がデートで着る青いワンピース。「『美女と野獣』のベルもそうですが、青いワンピースの女性は素敵でしょ(笑)。映画の中で“お姫様”が着る服として伊賀さんにリクエストしました。あおいさんが実際に着たら? そりゃ似合うでしょ! ぜひ着ていただけたらうれしいですね(笑)」。その顔には母親のような(?)優しい笑みが浮かんでいた。『おおかみこどもの雨と雪』公開中取材・文・写真:黒豆直樹
2012年07月31日『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の新作『おおかみこどもの雨と雪』で、菅原文太、染谷将太、谷村美月、麻生久美子が声優を務めることが発表された。その他の写真『おおかみこどもの雨と雪』は、“おおかみおとこ”と結婚し、“雨”と“雪”というふたりの子を授かった人間の女性・花が、都会を離れて自然の豊かな土地で懸命に子どもを育てる姿を描いた物語。主要キャストとして“おおかみおとこ”を大沢たかおが、母親・花を宮崎あおいが担当することが決定している。本作で菅原文太は、都会からやってきた花たち家族を助ける、村の長老のような存在の韮崎を演じ、厳しい自然の中で、自給自足の生活をしようと奮闘する花に、農作業の手ほどきをするという。自身も山梨県で農業を行なっている菅原は、「日本の農業は、戦後50年である意味死んでしまったんだ。農業というものはもっと単純で、本当は楽しいもの。風や水や空気に囲まれてコツコツと作っていくものなんだということを、“おおかみこども”たちが今の若い日本人に気付かせてくれるといいね。監督、そういう作品を作りな」と力強く語っている。本作は、海外で定評の高い細田監督作品とあって、既に8月29日(水)からフランスで公開されることが決定している。『おおかみこどもの雨と雪』7月21日(土)より全国東宝系にてロードショー
2012年05月30日『時をかける少女』(’06)、『サマーウォーズ』(’09)と幅広い世代に支持されるアニメーションを手がけてきた細田守監督の最新作が2012年夏に公開されることが決定。これを受けて12月13日(火)、都内某所にて記者会見が行われ、細田監督とプロデューサーの奥田誠治が出席。全世界の期待を集める最新作の一端を明らかにした。前2作では“青春”や“家族”といった普遍的なテーマとクオリティの高いアニメーション映像で国内外から高い評価を得た細田監督。最新作『おおかみこどもの雨と雪』でも磐石の布陣で臨む。前2作からの続投で脚本を担当するのは、今年大ヒットを記録した永作博美&井上真央主演の『八日目の蝉』の脚本を務めた奥寺佐渡子。さらに、キャラクターデザインを『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの貞本義行が担当。細田監督の出身地である富山県を舞台に、“おおかみおとこ”との間に授かった2つの命を懸命に育てる19歳の人間の母親の奮闘記をファンタジックに描き出す。現在製作中の本作について、細田監督は「(今回は)“お母さん”が主人公です。母親の理想像と言えるような凛とした、背筋が伸びた素敵な女性を描きたいなと思いました」と説明し、人間と“おおかみおとこ”の間に誕生する“おおかみこども”たちについては「(主人公の)花が育てていく子供たち2人がかわいらしくて、活き活きとしていて、バイタリティにあふれています」と愛しそうに我が子を紹介し“親バカ”っぷりを見せた。また、本作のテーマを“親子の絆”に据えたきっかけは自身の友人に子供が誕生したことだと明かす監督。「友人たちが子供を可愛がっているのを見ていると、素晴らしいなと思えて。そういった当たり前なものへの憧れをそのまま映画にしてみました」。実は、3月の大震災の際には映画製作のために設立したスタジオで初打ち合わせをしていたという細田監督はそこで被災体験もしたそうで「影響はあります。震災以降、世界が変わってしまいました。親子というテーマを強くしたきっかけにもなりました」と神妙な面持ちで語った。日本での成功はもちろん、世界各国にファンをもつ細田監督の最新作とあって海外での評価も気になるところ。プロデューサーを務める奥田氏は「前作(『サマーウォーズ』)ではベルリン映画祭での上映で多くのヨーロッパの方々に楽しんでいただきました。今回はさらに大きく、“細田アニメ”を世界で展開させていこうと思っております。ぜひ、お楽しみに」と含みのある言葉で本作への期待を煽った。ジブリ作品を始め、“ジャパニメーション”と呼ばれる良質な日本アニメの一翼を担う力作となりそうだ。『おおかみこどもの雨と雪』は2012年7月、全国東宝系にて公開。■関連作品:おおかみこどもの雨と雪 2012年7月、全国にて公開© 2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
2011年12月13日事の発端は、某ライターが放ったこの一言。「根岸さん、いつも眠そうですよね」“根岸さん”とは、当「コブス横丁」で執筆中のライター・根岸達朗のこと。過去に、コカ・コーラさんに唐突な告白を試みたり、1日中「コブス」としか言わない日を作って、同居人に眉をひそめられたり、独自のアイデアで「コブス横丁」をスパイシーに演出している根岸さん。彼のいつ見ても寝起きよろしくボンヤリとした風ぼうは、眠い、眠くないに限らず、常に“眠そう”なのは確か。実際は、「コブス横丁」のスタッフ陣を引っ張っている“デキる”ライターだというのに、これでは印象点で大損です。今回、どんな方でも瞬く間に“デキそうな”ビジネスマンに変身させるという、パーソナルスタイリストの森井良行さんに、“デキる”コーディネイトとは何か、をご指南いただきました。これで“眠そうなライター”改め、“デキそうなビジネスマン”になれますね、根岸さん!根岸「じゃあ、せっかくプロのスタイリストさんにスタイリングしてもらうので、当日は頑張って汚い格好にしてきますね」……頑張りどころが違うような気がするのですが。そして、当日。根岸さんは、髪は4ヶ月伸ばしっぱなし、ヒゲは2週間放置し、期待を裏切らないモサモサの格好で現れました。早速、森井さんに髪の毛を整えてもらいます。「あーー。眠い……」と言わんばかりの表情でされるがまま。普段は、お医者さん、社長さん、作家さんなどのスタイリングのほか、ビジネスマンの買い物に同行してアドバイスをするサービスを行っているという森井さん。センスがいい、と思われるコーディネイトのコツはどういったものなのでしょう?森井良行さん(以下、森井)「まず、オシャレを狙いすぎないことですね。オシャレにしよう、と意気込むと、たいていやりすぎてしまい、女性からのウケは悪くなるんです」――なるほど。それでは、どういうのが女性からのウケがよいのですか?森井「女性が食いつく仕掛けを随所にちりばめるといいですよ。例えば、靴下の柄をアーガイル(注:菱形の格子型のチェックのこと)にする、ボタンをひとつだけ個性的なものをつけてみる、靴のデザインがチェック柄、などなど。少しかわいい、というのをさりげなく取り入れるのがミソです。そうすると、『あ、このデザインかわいいね!』と女性が気付いてくれて、盛り上がることもあります」根岸「そうだったんですね。僕なんか今日の靴、かわいい柄どころか、やぶけてます」やぶけたデザインでなく、履きすぎて穴があいたのだそう。森井「いえ、そこまで履き込むのは、物を大事にする・愛着を持って使える、というすてきな精神をお持ちということですから、素晴らしいですよ!それに、ヒゲのたくわえ方も、意識していたわけではないでしょうけど、すごく雰囲気があっていい感じです」根岸「ははあ、そうですかねぇ……」あの手この手で褒めちぎりながらスタイリングしていく森井さん。うまいこと人を褒めまくるのもモテる男のワザということなのでしょうか。そして完成したコーディネイトがこちら。森井「イメージは、イギリスによく出張に行く、一部上場している携帯電話会社の社員です。根岸さんの場合、優しさあふれる目ヂカラが印象的。そこを生かして、包容力があって部下に慕われているビジネスマン風にしてみました」――いつも眠そうな根岸さんが全然違って見えます!こういうすてきなコーディネイトを、自分でしたい場合、どうすればいいのでしょうか?森井「“こうなりたい”というハッキリとしたイメージを持つことですね。服屋に行って『こういう服がほしい』と思う人は多くても、“こうなりたい”という全体像をイメージしている人は少ないんです。服を買うとき、ついつい似たような服ばかり購入してしまうのはこれが原因。トータルでなりたいイメージを持つと、普段買わないような服も買ってみよう、という気になれるはずです」――でも、普段着慣れてない系統の服を買うのには勇気がいりますよね?似合わないかも……なんて思ってしまって。森井「1アイテムからでもいいので、ぜひ取り入れてみてください。今日の根岸さんのコーディネイトは、(1)シャツの柄に入っている紫色と、胸に添えたポケットチーフの紫色を合わせ、(2)シャツ・ジャケット・パンツのすべてに若干系統の違うチェック柄、という2つのポイントがあります。このように、重ねて着るものの色をどこかでリンクさせたり、柄を似た系統で合わせたり(まったく同じだとやぼったくなります)などは、こなれた雰囲気を演出できます」ちなみに、Before→Afterはこちら。まるで別人です。根岸「新たな自分を発見しました。今日の仕事はいつもより絶対はかどります」これでもう、“いつも眠そう”だなんて言われないですね。めでたしめでたし。(朝井麻由美/プレスラボ)【関連リンク】森井良行オフィシャルブログ今回スタイリングしてくださった森井さんのブログ。ファッション情報がいっぱい。達人に聞く!デキる男の『義理チョコ返し』女性は、本当は人にチョコをあげるくらいなら自分で食べたいってくらい、甘いものが好きですから。ビジネスマン必読!!ネクタイ選びの落とし穴初めてネクタイをした日本人は、ジョン万次郎なんですって!へぇ~。
2009年11月24日