12月2日(金)に公開される『月の満ち欠け』より、有村架純演じる正木瑠璃の姿を捉えた新場面写真が公開となった。原作は、1983年『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞を受賞し作家デビューしてから、『ジャンプ』『Y』『身の上話』などを手がけ、昨年は『鳩の撃退法』も映画化された佐藤正午の第157回直木賞受賞作。現代を生きる、愛する妻子を亡くした男性・小山内と、27年前にある女性と許されざる恋をした男性・三角。無関係だった彼らの人生が、”瑠璃”という名の女性の存在で交錯する、「愛する人にもう一度めぐり逢いたい」という想いが起こした”奇跡”が紡ぐ、数奇で壮大なラブストーリーだ。主人公・小山内堅を大泉洋、小山内の娘と同じ名前を持つ謎の女性、正木瑠璃を有村架純、正木瑠璃と許されざる恋に落ちる大学生・三角哲彦を、単独での映画出演は初となる、Snow Manの目黒蓮、小山内の妻・小山内梢を柴咲コウが演じる。そして、正木瑠璃の夫・正木竜之介には田中圭、小山内にある事実を伝える、娘の親友・緑坂ゆいには伊藤沙莉と、豪華キャストが集結し、壮大な愛の物語を確かな演技力で彩る。なお、本作は世界の国際映画祭で注目された話題作や邦画大作の最新作が選定される第35回東京国際映画祭のガラ・セレクションへの出品が決定している。公開された場面写真は、小山内の娘と同じ名前を持つ謎の女性、正木瑠璃を中心とした4枚のカット。正木瑠璃はレコードショップでバイトをする大学生・三角とビールを手に楽しそうに会話する姿を見せる一方、夫の正木竜之介とは重苦しい空気のなか睨み合う様子も見受けられる。穏やかな表情で何者かを見つめる瑠璃の姿が印象的なシーンの背景は、80年代の高田馬場駅前。巨大オープンセットと最新CGで再現したという、壮大なスケールの映像美にも期待が高まる1枚だ。時代が一転し、現代の小山内堅と、小山内の娘である瑠璃の親友・緑坂を写した1枚では、ふたりが深刻な様子で話しこむ姿が捉えられている。一見無関係に思える、正木瑠璃と小山内瑠璃の物語が、どこでどのように交錯するのか。穏やかでありながらどこか不穏なシーンたちは、本作の秘密めいた物語を予感させている。『月の満ち欠け』12月2日(金) 公開
2022年09月20日東京の1月の平均最低気温は1~2℃です。しかし、小学生の登校風景を見ていると、オーバーコートを着て手袋をはめ、寒さ対策をしっかりしている子どもがいる一方で、半ズボンで元気に登校している子どももちらほら混じっています。半そでの子どもに「寒くないの?」と声をかけてみましたが「寒くない!」という返事が返ってきました。この違いは何でしょうか。今月号ではそんなこともみなさんと一緒に考えていきたいと思います。子どもの体がおかしくなってきている人間は恒温動物です。恒温動物は、外気温が変化しても自分の体温を一定に保つ機能をもっています。しかし現代は、暑くなったらクーラー、寒くなったらすぐに暖房、と快適な環境が保障されるようになったため、体温調節機能が低下し、最近では寒さにも暑さにも弱い子どもが増えているといいます。一般的に、北国で育った人は寒さに強く、南国で育った人は暑さに強い傾向があると言われています。これには科学的な根拠があるのです。生後3ヶ月までに「寒い」という体験をさせると、寒い時に体温を上げる機能が発達します。逆に、3歳ぐらいまでにたくさん汗をかくような体験をさせると「能動汗腺」の数が増えるので、汗をたくさんかいて体温を下げる機能が発達し、暑さに強い体になるというわけです。故正木健雄先生(日本体育大学名誉教授)は、1990年代ごろから、子どもたちの低体温が増えてきていることを懸念されていました。自律神経の働きも含めて、子どもの体がおかしくなってきているというのです。今は、暑さにも寒さにも弱い子どもが増えているように思います。冬に「半そでで大丈夫」という子どもは、体の中で熱をつくる働きが強いのです。このように、「子どもは風の子」の生活を取り戻したいですね。寒くても外遊びが重要な理由年齢が小さければ小さいほど、体と心の働きは強くつながっています。ですから、体を動かすことによって心も動きます。家にこもっていると、単に運動量が減ってしまうということだけでなく、意欲や集中力なども低下してしまうのです。かつて保健室登校をしていたお子さんの話をしましょう。そのお子さんは、場面緘黙(かんもく)と言われるほど学校では言葉を発することがありませんでした。ある日、保健室で一緒に紙ひこうきを作って、外に連れていき、ひこうき飛ばしの競争をしました。飛ばした紙ひこうきを何度も拾いに行き、たっぷり汗をかくほど体を動かしたところ、そのお子さんは「先生、僕の勝ち!」と言葉を発したのです。意欲的な子どもは外でよく遊びます。そのお子さんは、外で体をたくさん動かして遊ぶことにより、次第に言葉を発することも増えて新しいことをやってみたいと言うようになりました。さらに、お母さんからは「食欲も増して夜も寝つきがよくなった」と報告がありました。冬の外遊び・冬の洋服選びで気をつけること寒い季節、外遊びをする際にはいくつかの注意点があります。体が十分に温まっていないとけがをすることが多い傾向はありますが、ちょっとしたすり傷は子どもの勲章なので、あまり神経質にならないようにしましょう。ただ、服装には気をつけたいですね。今流行の長すぎるスカートやズボン、フードや飾りが多い上着などは、引っかかってしまうとけがのもとになります。できるだけ体にぴったりした動きやすい服装を心がけましょう。遊び場所や遊びの種類によっては、滑り止めがついた手袋や帽子などはけがを防いでくれるのに役立ちます。子どもの洋服はシンプルなものがおすすめです。着脱しやすく重ね着しやすい洋服を選ぶといいでしょう。最近は大人でも下着(シャツ)をつけない人が増えてきており、子どもたちにも影響しているようです。下着は体温調節に有効で、汗や汚れも吸い取ってくれますから、普段から下着を着る習慣をつけるといいですね。最近では、昔に比べて自分で衣服の調節ができない子どもが増えています。その結果、風邪をひくこともあるかもしれませんが、風邪の予防としては、むしろ外から帰ったときのうがいや手洗いが大切。よほど長時間薄着のままでいなければ、風邪をひく心配はありません。大切なのは、自分で「寒さ」を意識できるようになることです。ですから「寒くない?」などと声をかけてあげるといいと思います。学校の教室は暖房も効きますし、大勢の子どもたちが集まっていると意外に暖かいものです。なかには登校してもコートを着たまま座っている子どもがいますが、そのような場合は先生が室内では脱ぐように指導します。たくさん着ていると、暑いだけでなく体を動かしにくくなりますので、できれば室内では下着とセーターかトレーナーくらいで大丈夫。下着と綿シャツだけで充分というお子さんも多いです。子どもの洋服は綿やウール素材を中心に、シンプルで着脱しやすいものを選びましょう。自分で洋服を調節できる力をつけようここからは、冬の洋服選びについて親御さんから寄せられたお悩みについて、お答えしていきたいと思います。【親御さんからの質問 1】子どもに「暑いんだけど……」と言われながらも、肌着+保温や発熱機能に優れた下着+長袖シャツ+トレーナーを着せていました。しかし、「体育の着替えのとき、ほかの子はこんなに着てなかった!」と子ども言われ、着せすぎていたのかな?と心配になりました。でもやっぱり外に出ると寒いと感じますし、風邪をひくのではないかと不安になってつい何枚も重ね着をさせてしまいます。子どもは大人と比べて、たしかに体温調節能力は低いかもしれませんが、まずは暑かったら自分で脱げる力をつけたいものです。子どもの体に触ってみると意外に温かいので、よほど寒い地域でなければ保温や発熱機能に優れた下着は必要ありません。それよりも、木綿の下着にセーターなどの重ね着をするほうがいいでしょう。大切なのは、子ども自身が「暑かったら脱ぐ」「寒くなったら着る」という力をつけるように働きかけてあげることです。少しくらい寒くても大丈夫。神経質にならないで【親御さんからの質問 2】夜寝るときの室温やパジャマについて相談します。暖房をつけながら寝るときに適した温度はどれくらいがベストですか?乾燥すると風邪をひきやすいと聞きますが、加湿器は必要でしょうか?また寝間着について、フリース素材のパジャマを着せて、その上に毛布のベストを着せていますが、夜中に部屋をのぞくと大汗をかいていることも……。やはり着せすぎでしょうか?朝はとても冷えるので、たくさん着せておいたほうが安心です。寝るときの室温を20℃前後くらいで保っていれば、パジャマの上に何かを着せる必要はありません。湿度を保ちたいときは、濡れたタオルなどをかけておくだけでもいいでしょう。逆に、着せすぎで汗をかいて冷えることで、かえって風邪をひくということも。長袖、長ズボンのパジャマ1枚で十分です。寒さに弱いお子さんなら、パジャマの下に下着を着せるほうがいいでしょう。寝る前に湯たんぽなどでお布団の中を暖かくしておくと、気持ちよく眠りにつくことができます。また、寝る前に少しぬるめのお湯にゆっくり入ると体が温まったまま眠れます。ただし、大切なのはあまり神経質にならないこと。子どもは少しぐらい寒くても暑くても大丈夫です。そのためには、冒頭にお話ししたように、寒さや暑さの体験をたっぷりさせて、外の気温の変化に強い体をつくることを心がけて。夜更かしや睡眠不足、朝ご飯抜きなどは自律神経の働きや免疫力を低下させ、体温調節機能が低くなるため、生活習慣を正すことを重視しましょう。自分で調節できるようになるまで長い目で見守って【親御さんからの質問 3】外を走り回って真っ赤な顔をしているのに上着を脱がなかったり、逆に鳥肌が立っているのに上着を着なかったりと、「それくらい自分で判断しなさい」と言っても指摘されるまでそのままにしているときがあります。言われなくても自分で判断できるようになってほしいのですが、親が気にしすぎているだけなのでしょうか?衣服の調節もしつけの一環ですが、あまり心配しなくても次第に自分でできるようになります。遊びに夢中になっているときは、神経がそちらに向かっていますので、脳が暑さや寒さを意識している暇がないのでしょう。親御さんが気がついたら声をかけるくらいで十分です。子ども自身が自分でできるように見守りましょう。中学生ぐらいになるとほとんどの子どもが自分で調節していますので、あまり神経質になることはありませんよ。暑さ、寒さに強い体は○○でつくられる今月は「寒さ対策」に焦点を当ててお話ししてきましたが、7月号でもお伝えしたように、じつは今、子どもたちの体温調節能力が下がっていることが問題になっています。とくにそれは暑い時期に「熱中症」という形での事故が増えていることからも明らかです。地球の温暖化という問題もありますが、子どもたちの自律神経の働きとも関連して、暑くなったら汗をかいて体温を下げる、寒くなったら毛穴をしっかり閉じて熱を逃がさない、筋肉を収縮させて熱をつくり出す、こうした働きが弱くなっているのです。恒温動物としての危機です。寒さ、暑さ対策の基本はシンプルです。早寝早起きを中心とした正しい生活リズムをつくること、三食しっかり食事をとること、そして思いっきり体を動かして外で遊ぶこと。これらが最良の対策だといえるでしょう。
2020年01月08日最近は地球の温暖化が様々な形で自然環境に影響し、体が暑さに慣れる前にいきなり暑くなることがよくあります。また、日本の夏は高温多湿でじめっとした暑さが続くので、からだの調子を崩しやすいもの。いわゆる「夏バテ」の経験があるお子さんも多いかもしれませんね。さらに、体調が良くないと「熱中症」のリスクも高くなります。今月は、夏を元気に乗り越えるために子どもたちの生活を見直してみましょう。夏バテとは何か?「夏バテ」という言葉はよく使いますが、夏バテとはどのような状態をいうのでしょうか。一般的には、「食欲がなくなる」「体がだるくなる」などがよく知られていますが、暑くて夜よく眠れなくなると自律神経の働きが崩れ、「疲れやすい」「イライラする」「やる気がなくなる」など心身両面に影響が及ぶのです。お子さんに「食が細くなる」「すぐに疲れたと言う」「お部屋でダラダラしている」などの様子が見られたら、それは夏バテの兆候の可能性があります。これが続くと、夜眠れなくなったり、朝起きられなくなったりするほか、体重が増えなくなるばかりか減ってしまう子どももいます。「たかが夏バテ」と侮っていてはいけないのです。また、夏バテになると熱中症にもなりやすくなるので注意が必要です。夏バテ、熱中症の子どもが増えた背景実は最近、子どもたちに夏バテや熱中症が起こりやすくなっています。その背景について詳しく説明しましょう。人間は恒温動物ですから、外気温が暑くなっても寒くなっても体温を一定に保つ能力をもっているはずです。しかし、1978年にNHKが、故正木健夫先生(日本体育大学教授)の調査をもとにした「警告!子どものからだは蝕まれている」という特集を報道し、子どもたちの体がおかしくなっていることに警鐘を鳴らしました。その後1979年に立ち上げられた「子どものからだと心連絡会議」は、子どもの体温に関する調査を随時行っており、朝の体温が低い低体温の子どもや、暑くなっても汗がかけなくて体に熱がこもってしまう高体温の子どもたちが出てきたことを報告しています(※1)。人間の体温の日内変動は0.5度ぐらいといわれているのですが、2度以上も体温が上がってしまう子どもたちが出てきたのです。こうした高体温の子どもは、熱中症にかかる危険率が高くなります。私の養護教諭としての経験のなかでも、9月の新学期に体調の悪さを訴える子どもたちが増え、午前と午後の体温を測定してみたところ、午前は36度台だったのに午後は38度以上に上がってしまったという子どもが何人もいてびっくりしたことがあります。子どもたちの体温調節能力(自律神経の働き)が弱くなっていることがよくわかる例だと言えるでしょう。一般的に南国の人は暑さに強く、北国の人は寒さに強いといわれていますが、この違いはどこから出てくるのでしょうか。生理学の見地から見ると、以下のように言われています。●寒さに強い体をつくる機能:生後3週間までに寒さを経験させ、自ら熱をつくる働きを高めることが必要。●暑さに強い体をつくる機能:3歳ぐらいまでに暑さを経験させ、暑くなったら汗をかいて体温を下げるための能動汗腺を発達させることが必要。今は、「暑くなればクーラーで」「寒くなれば暖房で」と常に快適な室温が保たれていますね。そのため、子どもたちが幼少時期から暑さや寒さを乗り越える経験をする機会がないまま成長してきていることで、暑さにも寒さにも耐性が弱くなったと言われているのです。このように、子どもの体が変わってきてしまったことと、近年の気候変動とが相まって、子どもたちに夏バテや熱中症が起こりやすくなっていると考えられます。夏バテ、熱中症になりやすい子の特徴子どもはもともと自律神経の働きが未熟なため、大人に比べると夏バテや熱中症になる危険性が高いと言えます。なかでも、私の経験からすると、生活リズムが崩れていて特に夜更かしをしているような子どもの方が夏バテをしやすい傾向にあります。先ほども述べたように、夏バテになると熱中症にもかかりやすくなりますので、普段から生活リズムを整えておくことが大切です。睡眠不足や栄養不足にならないようにご家庭で心がけましょう。今の親御さんたちが小学生だった頃と比べ、今では学校の教室にもクーラーの導入が進んでいます。ですが、文部科学省の平成29年度のクーラー設置率調査を見ると、高いところでは東京都が8割、沖縄が7割で、低いところだと暑さの厳しい九州でもたった3割というところも。クーラーのない教室で過ごさなければならない子どもたちはまだ大勢いるのです。また、体育館はさらに設置率が下がります。子どもたちの体が暑さに慣れていないと、学校で夏バテや熱中症になることは容易に考えられ、実際に熱中症の子どもが増えているというデータがあります。帽子をかぶる、汗拭きタオルで汗をこまめに拭く、水分をしっかりとるなど、学校でもできる直接の暑さ対策は進んで行ないましょう。今では、子どもに自宅から水筒を持参させる学校も多くあります。とはいえ、冷たい飲み物をとりすぎると、食欲がなくなったり体がだるくなったりすることもあるので、水筒の中身は冷たすぎないもののほうがいいかもしれません。子どもは「暑い!」と感じやすい夏に多くの親御さんがお困りになる問題に、いくつかアドバイスをしたいと思います。【親御さんからの質問 1】エアコンのかけすぎは体に良くないと思い、室温を高めに設定するのですが、子どもは「暑いからもっと下げて!」と言います。親にとってはじゅうぶん涼しくても、子どもにとっては暑く感じられるようです。体に負担をかけず、かつ大人も子どもも快適に過ごせる室温調整の仕方を教えてください。子どもは大人に比べると体の機能が未発達です。汗腺から出る汗の量が大人より少ないため、皮膚の血管を拡張させて放熱し体温を下げようとしますが、子どもの体温調節機能はまだ完全ではないので暑さを感じやすいのです。ですので、子どもの体温が下がるまではエアコンを少し強めにし、涼しくなり体温が下がったら設定温度を変えるなど、こまめな調節をするといいでしょう。また、扇風機を合わせて使うこともいいかと思います。一般的には、昼間の活動中には温度設定を低くし、就寝時にはそれより高く設定するなどの対応がいいと思います。ですが、室温には風通しの良し悪しや部屋の広さ、人数なども影響しますので、数値よりもそこで生活する人の感覚で調整することが大切です。ただし、子どもは大人より外気温に影響されやすいので、その点を考慮した温度設定をするように心がけましょう。1日に一度はたっぷり汗をかかせて【親御さんからの質問 2】うちの子どもは「暑いから外に出たくない」と言います。他の子に比べて汗っかきなので、汗をかくのが嫌なようです。外に出てもお店やデパートに入りたがり、外遊びもあまりしません。親としては楽ですが、このままではひ弱な子どもになりそうで心配です。汗をかくことを避けて過ごしていてもいいのでしょうか?夏の外遊びは熱中症が気になりますよね。でも、体の成長のためには夏でも運動することが必要です。熱中症予防の観点から、直射日光が強い炎天下での外遊びはできるだけ避け、朝夕の比較的涼しい時間に外で活動できる工夫をするといいでしょう。1日一度はたっぷり汗をかく程度の外遊びを、ぜひさせたいものです。それが暑さにも強い体をつくるのに役立ちますよ。それ以外の夏の外遊びとしては、プールや水あそびなどを活用するといいと思います。アイスの代わりに○○をおやつに【親御さんからの質問 3】子どもは暑いと、問答無用でアイスを欲しがります。でも、体が冷えすぎる気が……。子どもが「暑い」と言うのなら1日に何回かアイスを与えても問題ないでしょうか。また、食事ではそうめんぐらいしか食べたがらず、栄養面が心配です。夏バテ予防にもなって食べやすい食事があれば、ぜひ知りたいです。私が小学校に勤めていた頃、冷たい水を飲みすぎた子どもたちが腹痛を訴えて保健室に来ることがよくありました。おなか全体が冷たく、中には手足も冷たくなっている子どもがいて、湯たんぽやカイロでおなかを温めてあげると治りましたが、冷たいものの取りすぎはやはり良くないのだということが分かりますね。アイスの食べすぎも同じです。人間の体の内部温度は37度ぐらいですが、体が冷えすぎると血行が悪くなり、胃腸の働きだけでなく、自律神経の働きも悪くなり、体全体の調子が悪くなってしまいます。アイスは手軽なのでついつい食べすぎてしまいますが、子どもと一緒にフルーツやゼラチン、かんてんなどを使ったおやつづくりをするなどの工夫をしてみたらいかがでしょうか。お砂糖の取りすぎもそれによって予防することができますよ。それから、暑いからといって冷たい飲みものばかりになり、食事をとらないのは要注意。特に子どもは1日3食食べることが大切です。魚やお肉もしゃぶしゃぶなどにして、さっぱり食べられるよう工夫してあげましょう。また、汗をかくと水分だけでなく塩分やミネラルも失われますので、食事には果物や野菜を添えることも忘れないでください。暑いときこそ生活リズムを重視しよう夏を元気に乗り越えるポイントは、普段からの生活リズムにあります。生活リズムが崩れている子どもは夏バテや熱中症にもかかりやすいので、暑い時期こそ生活リズムをしっかり整えられるよう、親御さんが気を配ってあげることが大切です。寝る前の冷たいものの取りすぎは体を冷やし、寝つきを悪くしますので要注意です。また、暑いからと運動不足にならないよう、プールを活用したり比較的涼しい時間帯に運動したりして、しっかり体を動かしぐっすり眠る生活を送れば、暑い夏を元気に過ごせることでしょう。(参考)(※1)野井慎吾,中島綾子,鹿野晶子著,「発育発達研究第51号 」,2011.阿部茂明,野田耕,正木健雄(1996),「子どものからだの調査’95」の結果報告,日本体育大学紀要,31,pp.121-138.阿部茂明,野井真吾,野田耕,成田幸子,正木健雄(2006),「子どものからだの調査2005」の結果報告—”からだのおかしさ”の教育者の“実感”とその実体の究明—,日本体育大学紀要,36,pp.55-76.正木健雄監修(1995),『心とからだいきいき学習1基本定期生活習慣をみなおすせいかつのリズム』,ぱすてる書房.
2019年07月08日