●大手企業が顧客の中心だった広告メディアからの脱却LINEは、同社の事業戦略を発表するイベント「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」を3月24日に開催した。イベントでは、決済サービスであるLINE Payが大手クレジットカード会社のJCBと提携して発行する電子マネーカード「LINE Pay Card」や、LINE、Facebook、Twitterのデータ通信料が無料となるMVNOサービス「LINE Mobile」など注目の新発表が目白押しとなったが、広告メディアとしてのLINEについては、今後どのような展開を予定しているのだろうか。同社の上級執行役員 法人ビジネス担当である田端信太郎氏のプレゼンテーションを基にレポートする。このイベントでは、冒頭に同社代表取締役社長である出澤剛氏が、サービスインから5周年を迎えるLINEが今後目指すものとして、“世界中の人と人との関係性だけでなく、ユーザーと様々な情報やサービス、モノとの距離を縮め、心地よい関係性を創出する”という意味の「Closing the distance」というコーポレーションミッションを掲げている。広告メディア戦略においてもこのミッションを実現すべく、オープン化へと戦略を転換するという。田端氏は、これまでの広告メディアとしてのLINEについて、「これまで十分に開かれていると言えるものではなかった。LINEは数千万人のユーザーにマスメディアのように広告メッセージを届けながら、広告は一方通行であり、そのコストも安価とは言えないもの。結果的に、LINEを広告メディアとして活用できるのは、大手企業の一部に留まっていた」と語る。同社ではこうした課題を踏まえて、広告メディア戦略をシフトしていくという。田端氏が広告リーチに加える価値として掲げたのは、「Relevance(関連性)」「Personal」そして「Everyone」という3つのキーワードだ。○広告を“自分に関係のあるもの”にするためにユーザーが接触する広告がユーザーの興味関心、サービスを利用する意図や文脈に適合し、どれだけ高い関連性を担保できるかどうかという意味の「Relevance」の強化について、田端氏は「広告主にとっては無駄な広告配信が減ることで広告効果が高まり、ユーザーにとっては自分にとって全く無関係な広告を見せられることが減り、サービスを利用する上での利便性が高まる」とメリットを説明。同社では、LINEの中に存在するインタレストグラフとソーシャルグラフを組み合わせて、例えば利用しているスタンプや企業アカウントとの繋がり、LINE Liveの視聴動向といったユーザーの利用状況を広告のレリバンシー評価に活かすという。田端氏は、「例えば、LINEにはファッションブランドの公式アカウントが多数存在するが、こうしたアカウントと積極的に友達になっているユーザーがいれば、そのユーザーはファッションへの感度が高くおしゃれで、都会に住む20代女性だと推定することもできる。そのようなユーザー属性のモデルができれば、ファッション業界だけでなくコスメなどの業界もこうしたプロフィールのユーザーに特別なオファーをしたいと考えるだろう。また、このようなファッション感度の高いユーザーと繋がっている友達もまた、ファッションへの関心が高いとも推定することが可能だ」とLINEにおける広告レリバンシーを説明。ユーザーが繋がっている公式アカウントや利用しているスタンプなどからわかるインタレストグラフを基に広告のターゲットをより具体化させ、また更にそのユーザーのソーシャルグラフから広告のターゲットに準じるユーザーを推定するという構造のようだ。●広告システムは「PROGRAMATIC」へと転換また田端氏は、このレリバンシーに加えて、システムがユーザーの興味関心に応じて広告配信を自動的に最適化し、必要な期間に必要な量の広告を配信できるダイナミックな広告取引を実現するという概念である「PROGRAMATIC」という方向にシフトしていくと説明。2月にはアドテクノロジー企業であるM.T. Burnに出資と業務提携を行い、6月には新たな広告システムによる広告配信を開始するという。なお、こうした説明の最後に田端氏はユーザーのプライバシー保護についても言及。「我々はLINEが個人間のダイレクトなコミュニケーションの基盤であることを強く肝に銘じている。LINEが広告配信のためにユーザー間のコミュニケーションを参照するということはあり得ない。ユーザーの電話番号、電子メール、コンタクト情報をビジネスパートナーに引き渡すといったことも決してやってはいけない。今や社会の通信インフラの一部となっているという立場を自覚しながら、広告ビジネスを推進していきたい」と田端氏は語り、本人特定性を担保するような情報や高い機密性が求められるコミュニケーション履歴などについては保護するという同社の基本方針を強調した。○スタンプクリエイターと広告主企業との間にエコシステムを生み出す最後に田端氏は、LINEにおける広告タッチポイントの今後について説明した。田端氏の説明によると、既にLINEアプリの月間ユーザー数は、TwitterやFacebookを大きく上回っており十分な広告リーチを確保しているが、このタッチポイントを今後はさらに増やしていくという。具体的には月間2200万人が利用しているLINEニュースや、LINEアプリの中で利用する頻度が多いアカウント情報のページ、そして人気タイトルを多数展開しているLINEゲームなどにおいても、PROGRAMATICを採用した新しい広告システムの広告掲載面として展開していくという。加えて田端氏は、これまで価格が2000万円から4000万円と高価だったスポンサードスタンプについて、中小企業やローカルビジネスでも展開できるようにするという。具体的には、「LINE Creators Market」に登録している54万人以上のスタンプクリエイターを活用。ここで一般発売されているスタンプの配信権利を企業がクリエイターから買い上げ、自社のLINE公式アカウントなどで特典スタンプとして配信できるようにする。これによって企業は安価でスタンプをマーケティングに活用することができ、一方クリエイターにとってはスタンプの新たな収入機会が生まれるのだという。○次はBtoCのコミュニケーションが変わる番だこうした説明の締めくくりとして、田端氏は「LINE AD Platform for everyone」というメッセージを掲げ、「これまで主に大企業(による利用)が中心だった広告メディアとしてのLINEを、リーチの拡大、広告をユーザーにとって意味のあるものにするためのレリバンシー評価、柔軟な広告システムによって、中小企業を含むあらゆる企業・ブランドと消費者とのコミュニケーションをよりスムーズにする基盤として進化していきたい」と語った。LINEはこの5年でCtoC(個人間)のコミュニケーションを大きく変えてきた。田端氏は、「次はBtoCのコミュニケーションが変わる番だ」と意気込みを語る。「これまで、広告は無料メディアを支えるための“必要悪”だと思われてきたが、LINEはそうは考えていない。ユーザーと広告のレリバンシー=見たいもの、興味がありそうなもの、アクションを起こしたいもの、役に立ちそうなもの、楽しめそうなもの、そうしたものを広告に盛り込むことを追求する。そして、“必要悪”だと思われてきた古い広告へのイメージをぶち壊し、新しい広告観を生み出していきたい」(田端氏)
2016年03月31日日立製作所と米国のVirtusa Corporation(バートゥサ)は3月29日、グローバルITソリューション分野における戦略的提携に合意したことを発表した。日立は、企業の基幹系システムなど高い信頼性が求められるシステムの開発において、導入実績と技術・ノウハウを有し、さまざまな製品・サービスを組み合わせたITソリューションをグローバルに提供している。一方、バートゥサは欧米やアジアを中心としてグローバルにITコンサルティングやシステム開発を展開し、顧客企業に革新的なソリューションを提供。特に、複雑な業務プロセスの変更や各国・地域の法規制に効率的に対応できるシステムの開発、運用管理を得意としている。今回の提携により、両社の製品、技術、ノウハウを組み合わせ、多様化する顧客ニーズ、複雑な業務プロセスの変更に対応できる効率的な機能追加・運用管理を実現するサービスやシステムをグローバルに事業を展開する企業向けに提供するとしている。なお、両社は提携に先立ち、2015年から国内の金融機関において、システム運用の最適化や大規模なシステム改修などに共同で取り組んでいる。
2016年03月30日米レノボと米ジュニパーネットワークスは3月10日、戦略的な業務提携をスタートしたことを発表した。今後、両社がそれぞれに保有する製品群と技術力を結集することにより相乗効果を上げ、大企業およびウェブスケールの顧客に向けた次世代のコンバージド型、ハイパーコンバージド型、ならびにハイパースケール型と呼ばれる大規模なデータセンターインフラソリューションの構築を目指す方針だ。この提携は、シンプルで柔軟な高性能ソリューションを通じて、顧客に対してオペレーション費用を削減しながらアプリケーション運用までのリードタイムも短縮するという価値を提供するという、両社に共通する取り組みが形となったものだという。レノボはx86ベースのサーバおよびスイッチなどの製品ポートフォリオを保有し、これに対してジュ二パーはルータ、スイッチ、ネットワーク管理ソフトウェア、ネットワークセキュリティー製品、ソフトウェア定義型ネットワーキング技術といった包括的な製品ポートフォリオを有する。以下は、今回の提携に伴って予定されている主な指針。ジュニパーの広範なネットワーク製品をレノボから直接購入できるようになるため、調達プロセスを簡素化し、サポート窓口も一本化データセンター内にハードウェアとソフトウェアを集約しない動きの中で、両社は市場にオープンかつ柔軟なソリューションを提供することで、ONIE(Open Network Install Environment)モデルを推進プロビジョニングの迅速化と管理の容易化を図りたい顧客ニーズを念頭に、両社の製品(Lenovo xClarity、Network Director and Contrail SDN)を活用することにより、データセンター管理作業の簡素化ならびにデータセンター内部のオーケストレーションの提供両社のソリューションを企業顧客、サービスプロバイダー、チャネルパートナー、システムインテグレーターを対象に、世界規模での市場参入についても協力両社は協業による市場参入プランの策定と同時に、中国固有のローカリゼーション要件に対処する特別な再販モデルを構築
2016年03月11日ペンシルは3月1日、同社が提供する戦略的サイト分析ツールである「スマートチーター」のメジャー・アップグレードとして「スマートチーター17.0」を提供開始した。今回のアップグレードでは、新機能としてマイクロモーメント分析やサーカディアンリズム分析などを搭載している。主な新機能は、マイクロモーメント分析、サーカディアンリズム分析、フォームモチベーションマップ、計測タグの簡素化・運用効率化である「タグログX」の運用開始、キャプチャデータのクラウド化、モチベーションマップに誘導元の絞り込み機能の実装。マイクロモーメント分析は、「行動スライスタイプ(ながら見している人)」や「タスク分散タイプ(隙間時間に見ている人)」などユーザーをタイプ別にセグメントし、それぞれの閲覧行動にどんな違いがあるのかを分析する機能。サーカディアンリズム分析は、ユーザーが時間帯や、平日・休日でどのようにCV傾向が変わるかを分析する機能。フォームモチベーションマップは、フォームの分析に特化したモチベーション・マップ。ページを40px単位で分割し、どのエリアを見ている時間が長いかなどが分析可能になったという。なお、従来バージョンを導入済のサイトは、全て自動的に新バージョンへとバージョンアップし、ログインIDやパスワードはそのまま使用可能であり、URLや数値にも変更は無いとのことだ。
2016年03月03日チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは2月25日、2016年の事業戦略説明会を開催するとともに、統合セキュリティ・アプライアンスの新製品を発表した。初めに、昨年9月に代表取締役社長に就任したピーター・ハレット氏が2016年の事業戦略について説明を行った。ピーター氏は冒頭、「われわれはファイアウォールを作ったベンダーというイメージが強いが、今年は統合セキュリティ・ベンダーとしてのイメージを打ち出しいく」と語った。実際、同社は統合セキュリティ・アプライアンスに加え、脅威対策に特化した専用アプライアンス「Threat Prevention Appliance」、エンドポイント・セキュリティ製品、モバイル・セキュリティ管理製品「Check Point Capsule」、サンドボックス「SandBlast」、世界中にあるゲートウェイやセンサーから収集した情報をもとにゲートウェイに脅威情報を配信するクラウドサービス「ThreatCloud」などを提供している。また、一歩先を行くセキュリティ対策を提供していきたいという。「一歩先」とは、脅威を検知するだけでなくブロックすることを意味する。そこで、同社はセキュリティ・アプライアンスにおいてさまざまな脅威をブロックするために必要な機能をすべて提供する。というのも、セキュリティ・アプライアンスでは、複数の機能を提供するとパフォーマンスが落ちるため、機能を絞るといった運用をするケースがある。こうした状況を踏まえ、同社はあらゆるセキュリティ機能を提供するため、アプライアンスの性能を強化する。さらにピーター氏は、HeartbleedやShellchoskなど、これまで発見されている深刻な脆弱性への対応のスピードについて、競合であるパロアルトネットワークスとフォーティネットとの比較を示し、同社の対応が早いことをアピールした。ピーター氏は日本市場における注力分野として、「ゼロデイ攻撃対策」「モビリティ」「社会インフラストラクチャとIoT」を挙げた。オリンピックが開催される2020年にかけて、日本では電力、地下鉄といった社会インフラがサイバー攻撃を受けることが予想されるという。新製品については、 システム・エンジニアリング本部 シニア・セキュリティ・エバンジェリストの卯城大士氏から説明が行われた。同日発表されたのは、Check Pointアプライアンスの15000シリーズと23000シリーズだ。主に、15000シリーズは大規模企業、23000シリーズはデータセンターをターゲットとしている。卯城氏は、次世代のセキュリティにおける課題として「先進の脅威に対応するにはさらにパワーが必要であること」「HTTPS通信とマルウェアの増加」「データ速度とデータ量の増加」を挙げた。Googleの調査によると、Webブラウザによるアクセスの38%以上は暗号化されたHTTPSで行われており、セキュリティ対策製品において暗号化通信を迅速に検査することが求められているが難しいという。こうした状況を逆手にとり、攻撃のトラフィックの暗号化が進んでいるそうだ。こうした課題の解決策として、同社は15000/23000シリーズを提供する。まず、両シリーズはファイアウォール、侵入防御システム(IPS)、アンチボット、アンチウイルス、アプリケーション制御、URLフィルタリング、Check Point SandBlastのサンドボックス技術を提供する。そして、両シリーズはこれらすべての機能を提供できる十分な性能を持っているという。プラットフォームにおいては、将来の拡張を見据え、冗長性(HDD、電源、ファン、BIOS)、柔軟なネットワーク接続(カッパーおよびファイバー)、保守運用性、40Gの拡張カードなどが採用されている。15000/23000シリーズは、ファイアウォール、侵入防御システム(IPS)、アンチボット、アンチウイルス、アプリケーション制御、URLフィルタリングが利用可能な「NGTPモデル」、NGTPの機能に加えてサンドボックスとファイルの無害化機能が利用可能な「NGTXモデル」の2種類が用意されている。15000シリーズには15400と15600、23000シリーズには23500と23800のそれぞれ2つのモデルがあり、価格は15000シリーズが744万円から、23000シリーズが1733万円となっている(いずれも税別)。
2016年02月26日米IBMおよび米VMwareは2月22日(現地時間)、クラウドのスピードと経済性をさらに活用できるよう企業を支援することを目的とした戦略的提携を発表した。これにより、企業は既存ワークロードを、自社オンプレミスのソフトウェア定義のデータ・センターからクラウドへ容易かつ安全に拡張できるという。両社は、事前構成済みのVMware SDDC環境を、顧客が自動でプロビジョニングできるようにするアーキテクチャーおよびクラウド・オファリングを共同で設計した。この環境は、IBMクラウド上のVMware vSphere、NSX、Virtual SANで構成されているという。このSDDC環境を使うと、VMwareに基づく共通のセキュリティー・モデルとネットワーク・モデルにより、ハイブリッド・クラウド環境にワークロードを修正なしで展開できるようになるという。IBMは、自社の包括的なCloudBuilderツールとワークロード自動化機能を利用し、事前構成済みワークロードやカスタム・ワークロードを、VMwareのソフトウェア定義のデータ・センター・アーキテクチャー用設計パターンにより検証されたクラウドへ、自動的にプロビジョニング。さらに、VMwareは、環境をIBMクラウドに展開し、顧客のローカル・データ・センターの一部であるかのように管理できるよう、vRealize AutomationおよびvCenterの管理ツールを拡張した。また、両社は、ハイブリッド・クラウド導入のための新規オファリングを共同でマーケティングし、販売する予定だという。これには、シームレスなワークロードの移行、災害復旧、容量拡大、データ・センター統合などが含まれる。
2016年02月23日レノボ・ジャパンは2月16日、都内で同社のエンタープライズ事業戦略について記者会見を開催した。最初にレノボ・ジャパン 代表取締役社長の留目真伸氏が登壇し、同社のビジネス概況について説明した。同氏は「PC事業は国内外ともに過去最高のシェアを獲得しており、事業環境は好調だ。一方、エンタープライズビジネスはIBMから引き継いで1年が経過するが、業績は買収当初と比較し、V字回復している。グローバルにおいて売上高は前年比12%増、前期比8%増と好調に推移しており、年間50億ドルの売り上げを目指す。日本でのシェアは2015年第2四半期で5.0%とIBMとの統合前の水準まで戻している。今後のエンタープライズ事業の方向性としては、コンピューティングパワーをパーソナルにし、普及させていく会社だと考えているため、PCだけでなくスマートフォンやタブレットをはじめとしたデバイス、サーバなどを含め、広範囲にコンピューティングパワーを提供していくことが使命だ。コンシューマ、エンタープライズ両方の製品を兼ね備え、進化させていくことが求められている」と語った。次に、執行役員専務の安田稔氏が同社のエンタープライズ戦略として「サーバ・ストレージ戦略」「スマートデバイス戦略」「パートナー戦略」の3本の柱を軸に事業を推進していくと強調した。サーバ・ストレージ戦略について同氏は次のように述べた。「IBMから引き継いだSystem xの製品群、生産、開発、サポート体制に変更はない。IDCの調査によると、今後のストレージ市場について、従来型ストレージ市場は2027年までの年平均成長率は17.8%のマイナス成長となるが、SDS(Software Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)などをはじめとした次世代ストレージ市場は66.9%のプラス成長が見込まれている。また、インフラ市場も2020年までに従来型インフラ市場は11%のマイナス成長だが、ハイパーコンバージドやハイパースケールなどの次世代インフラ市場は158%と大幅な成長が期待されている。われわれは既存のサーバ、ストレージ製品にも取り組むが、SDSに代表されるような最新技術やハイパーコンバージド、ハイパースケールなどの次世代技術に注力していく」近年、オンプレミスのユーザーにおいては運用コストが課題となっているという。安田氏は、その原因を仮想化に伴い管理するレイヤーが拡大し、人員、時間が大幅に増加したと推測しており、結果として新規サーバへの投資が減少しているほか、ユーザーのニーズが生産性の向上からビジネスの成長に直接寄与するような戦略的なものに変化しているのではないかと指摘した。同社ではハイパーコンバージドシステムによりTCOの削減を実現でき、新たなIT投資に振り向けることが可能だと考えており、同システムへの取り組みを強化していくと強調した。そこで、同社では第1弾として1月にNutanixの分散システム「Acropolis」、一元管理ツール「Prism」の各ソフトウェアとLenovoのサーバ「System X」を搭載したハイパーコンバージドアプライアンス「Lenovo Converged HX Series」の発売を開始している。また、ハイパースケールインフラの取り組みとしては、すでにワールドワイドの専門組織を立ち上げており、製品の企画から販売まで垂直モデルでユーザーニーズをダイレクトに反映できる体制を構築。ユーザーから直接ヒアリングを行うことで、今後も成長が見込まれるハイパースケールインフラへの投資を強化し、ビジネスの拡大につなげていくという。スマートデバイス戦略については「多様化するニーズに対応したラインアップの強化を従来のコンシューマ向けからエンタープライズにも移行し、コンシューマ、エンタープライズに関係なくビジネスを拡大する」と安田氏は語る。新しいデバイスはホテルなどで活用されており、今後は企業内でワークスタイルの変革に合わせた会議の仕組み・運営方法の提案が可能となった。すでに、ホテルなど店舗ではSOTIのモバイル管理ツールである「MobiControl」を展開しており、日本独自の環境に適した会議システムなどを手がけるパイオニアVCと提携し、会議の生産性向上ツールである「xSync Office」の国内展開にも同氏は期待を寄せている。パートナー戦略としては、ISV/IHVアライアンス強化や販売店の倍増計画、パートナー支援強化の3点を同氏は挙げた。ISV/IHVアライアンスの強化ではパートナーとのビジネスを国内外ともに加速していくほか、販売店の倍増計画ではPC&サーバ統合パートナープログラムとインセンティブプランや、PC販売店へのクロスセルとIBMビジネスパートナーとのリレーション強化、新規パートナーの開拓を進めるとしている。さらに、パートナー支援強化ではパートナー専用サイトのレノボ・パートナー・ポータルによるインバウンド型トレーニングに加え、パートナーオフィスでの無償開催音サイト・トレーニングをはじめとしたアウトバウンド型トレーニングを備えているという。
2016年02月19日ベリタステクノロジーズは2月15日、2月2日に情報管理ソリューション企業としてシマンテックから独立したことに伴い、2016年の日本市場における事業戦略の記者会見を行った。ベリタステクノロジーズの歴史は1989年に発足したベリタス・ソフトウェアにさかのぼり、2005年にシマンテックにより買収され、2014年にシマンテックとの事業分割が発表され、2016年2月に独立企業としてあらためて事業を開始した。代表執行役員社長を務める西村隆行氏は初めに、シマンテックと事業を分割した理由について、「市場の特性が違ったこと、統合によるシナジーの効果が出せなかったこと」と述べた。西村氏は、同社がインフラの上に乗っている「情報」に重きを置いていると説明した。「ストレージやハイパーバイザーを導入しただけでは、情報の可用性を確立することはできない。データと情報は同じではなく、同様に、インフラの可用性はアプリケーションの可用性は異なり、より多くのデータがあるからといってより価値が高いわけではない」そこで同社は、「情報のチカラ」を引き出すべく、「情報がいつでもすぐに使える環境」と「情報の本質をつかむこと」を提供することミッションとする。具体的には、ソリューション、パートナー戦略、サービスメニューという3つを軸にして、施策を展開していく。製品戦略については、テクノロジーセールス&サービス統括本部常務執行役員本部長の高井隆太氏が説明を行った。高井氏は、「情報がいつでもすぐに使える環境」と「情報の本質をつかむこと」を提供するミッションの下、「コア製品のポートフォリオの拡充」「次世代の情報の可用性を向上させるソリューションの提供」「次世代のインサイト・ソリューションの提供」を軸に製品を展開していくと述べた。同社は、バックアップ/リカバリー製品、ストレージ管理製品、アーカイブ製品などを提供しているが、コア製品として、バックアップ・アプライアンス「NetBackup Applianve」とクラウド型メール・アーカイブサービス「Enterprise Vault.cloud」に注力していく。「NetBackup Appliance」の国内提供は2015年から行われているが、今後、中小規模の企業をターゲットとした購入しやすいライセンスバンドルモデル、大規模モデルを提供する。高井氏は、企業がグローバル化を進める中、メール・システムが分断化してコントロールできない状況に陥っており、「すべてのメールを検索できない」「保持期間に基づく証跡を提示できない」といった課題が生じており、これらの課題の解決策として、「Enterprise Vault.cloud」が求められていると説明した。次に、情報の可用性を向上するソリューションとして「Resiliency Platform」が紹介された。同製品は、物理環境・仮想環境・クラウドサービスをオーケストレーションして、ITサービスの継続性を自動化するとともに、サービスレベルやリスクを可視化する。「Resiliency Platformでは、ワンクリックで災害対策のリハーサルが行えるが、これは重要なこと。災害対策を行っていても環境の変化に対応していない場合があり、対策として有効であるかどうかを確認しておかないと意味がない」と高井氏。提供予定のインサイト・ソリューションとしては、「Information Map」が紹介された。同製品は、同社の製品に格納されている非構造化データのメタデータをクラウドサービスにアップロードして、それを視覚化するもの。リスクが存在する領域、有用な領域、無駄な領域を特定して表示するなど、ストレージの管理だけではできない情報の管理を実現する。古くからIT業界に関わっていれば、大抵の人はベリタスの製品を知っているだろう。シマンテックに買収されたことで、ブランドの認知度が低下してしまっていた感があったが、シマンテックから分離したことで、本来の業務に注力できるのではないだろうか。実のところ、パートナーからもビジネスがやりやすくなったと今回の独立を歓迎する声が多いそうだ。ビッグデータのトレンドを追い風に上昇気流に乗ることができるかどうか、今後のベリタスのビジネスに注目したい。
2016年02月16日アドビシ ステムズは2月15日、2016年度の事業戦略説明会を開催。「Adobe Creative Cloud」、「Adobe Document Cloud」、「Adobe Marketing Cloud」という同社の事業の中核である3つのクラウドプラットフォームに対する2016年度の国内施策を発表した。アドビ システムズ 代表取締役社長 佐分利ユージン氏は、冒頭、同社を取り巻く市場環境に触れ、「最近は消費者のデジタルへの期待も高まり、企業が扱うデータ量は爆発的に増えている。それにより、企業と顧客とのタッチポイントが増えており、ビジネスチャンスも拡大している。また、腕時計、カメラの市場の変化のほか、ウーバーのような新しいビジネスモデルも登場している。そのため、企業のデジタルの対応が重要になっており、優れた顧客体験が勝敗を分けている」と述べた。そして同氏は、優れた顧客体験には、「魅力的なコンテンツ」、「パーソナル(顧客のパーソナライズして情報を提供)」、「利便性」、「あらゆる場所で提供(モバイル)」の4つの要素が重要だとした。アドビでは優れた顧客体験に向け、すべてのタッチポントで価値をつくる「コンテンツ」と、伝えるべき人に伝えるべき情報を、伝えるべきタイミングで提供する「データ」を差別化の要因にしていくという。○3つのクラウドに向けた戦略同社の事業の中心は「Adobe Creative Cloud」、「Adobe Document Cloud」、「Adobe Marketing Cloud」の3つのクラウドプラットフォームだが、佐分利氏はこれらのクラウドが有機的に連携している点が同社の強みだ強調。これらの3つのクラウドを中心とするグローバルでの昨年の売上は対前年比16%増の48億ドルで、これは過去最高の実績だという。このうち、「Adobe Creative Cloud」(以下、Creative Cloud)が26億ドル、「Adobe Document Cloud」(以下、Document Cloud)が3億9700万ドル、「Adobe Marketing Cloud」以下、(Marketing Cloud)が15億900万ドルを占めるという。Creative Cloudではモバイルアプリの強化、著作権フリーの写真を提供するAdobe Stockの提供開始、有料サブスクリプションへの移行が加速した点が昨年の主なトピックで、佐分利氏によれば、新規にCreative Cloudを利用する顧客の半数はモバイル経由の利用だという。Marketing Cloudでは、昨年は製品のポートフォリオの拡充、大手企業の採用により、過去最高の売上を達成。昨年3月に発表したDocument Cloudでは、デジタルサービスの拡販やパートナーエコシステムの拡大を行ったという。そして、同氏は2016年度の日本市場向けた施策を発表。Creative Cloudでは、これまでの写真・イラスト素材に加え、ビデオ素材を新たに提供。また、学生やセミプロ向けのコミュニティ活動を行い、新規ユーザーの獲得を積極的に行うほか、エンタープライズ向けには技術支援を行い、新しい使い方の提案を行うという。Marketing Cloudについては、8つのコンポーネントを持つ統合クラウドソリューションという面を差別化要因として訴求。データの解析から実際のプロモーションまでトータルでサポートするという。また、日本法人が持つ開発組織を利用し、日本市場に特化した機能を提供し、企業ニーズに応えていくという。さらに、金融、トラベル、製薬という新たな業界へ訴求するための営業体制を強化するほか、NTTデータや博報堂などの新たなパートナーとの関係を強化していくという。そして、Document Cloudでは、デファクトとなりつつあるAcrobat Readerとワークフローの統合による価値提案、意思決定支援を基本とする経営層への訴求、デジタルサインの販売強化を行うという。
2016年02月16日●関西電力の子会社ケイ・オプティコムケイ・オプティコムは25日、事業戦略説明会を開催し、2016年以降の運営方針を明らかにした。マルチキャリアやMNP即時切り替えといった同社の特徴的なサービスはそのままに、他のMVNOとの差別化を図っていくとする同社の戦略はどのようなものだろうか。○ドコモMVNO開始からユーザー急増中ケイ・オプティコムは関西以外のユーザーにとってあまり馴染みがないかもしれないが、関西電力の100%子会社となる通信会社で、FTTHサービス「eo光ネット」や、携帯電話/スマートフォン向けのMVNOサービス「mineo」を展開している。両サービスとも顧客満足度調査で1位を獲得するなど、高クオリティのサービスを提供中だ。mineoは当時唯一のau回線を利用したMVNOサービスとして、2014年6月に1GB月額980円でサービスを開始し、2015年9月にはドコモ回線を利用したサービスを始めるとともに、パケットギフトや家族割、複数回線割りのほか、この説明会の直前にも10GBプランをスタートするなど、1年半でこまめにサービスの拡充と改善を重ねてきている。ドコモ回線を扱うようになってからはユーザーの増加ペースも急増しており、会員数は約19万人に達している。ユーザー数の増加に合わせてこまめにネットワークの増速やユーザー1人あたりの帯域割り当て増も進めており、これが高いユーザー満足度に繋がっているとした。MVNO市場全体を見ると、MVNOの認知度自体は約75%と高まっているのだが、実際利用を検討するユーザーは16%程度、契約に至るのは10%程度と、検討するまでの間に高いハードルがある。これをもっと具体的に検討する「自分ごと化」させるに至らすためにも、面倒、不安といった心理的ハードルを解消することが必要と分析した。また、現MVNOユーザーは携帯リテラシーの高い層であり、これからターゲットとして広めていかねばならないマジョリティ層の攻略ポイントとして知名度の高さが必要であり、広告やキャンペーン、店舗出店などで露出を高めていく必要を挙げていた。しかし、こうした露出アップにはMNOであるメガキャリア並みの広告展開など、体力勝負になる可能性が高い。こうしたなかで多くの中から選ばれるMVNOとしての特徴を出していくことが重要だとまとめた。●ユニークなコミュニティサービス「マイネ王」○コミュニティを中心としたMVNOへこうしたなか、mineoに特徴的なサービスとして、スタッフとユーザーのコミュニケーションサイトである「マイネ王」を紹介。ちょうど1年前にスタートしたサイトだが、ユーザー同士の率直な意見交換や、iPhone対応のAPNプロファイルテスト時にスタッフとユーザーが情報交換しあう場となるなど、建設的な方向で利用が進んでおり、mineoのさまざまなサービスや改善もユーザーの声から実現していると説明した。また、マイネ王のサービスとして、ユーザー同士が余剰パケットを共通の枠に貯蓄して、不足してきたら1GBを利用できる「フリータンク」や、「いいね」代わりに10MBのパケットを進呈する「チップ」といったサービスも紹介。これらが予想以上の好評を得ていることも明らかにした。mineoは、総務省のMVNO規制緩和第2弾などを受け、MVNOに求められる資質について、メガキャリアではできない新たな試みで世の中を便利で楽しく、面白くしていくことと定義。その実現に向けて、こうしたコミュニティの力を中心に、キャリアとユーザーがともに育てていくことがmineoのスタイルであり、それを「Fun with Fans!」というキャッチフレーズに表した。***MVNO各社は、従来の、サービスのクオリティや価格の安さといった評価軸だけでは価格競争による潰し合いになることから、新たな評価軸を設定してみせることが急務だが、mineoではそれを「楽しさ」という価値に見出してきている。いかにも関西系のサービスらしいフレーズだが、同時に楽しさを伝えることの難しさも抱えたことになる。mineoはサービス品質の高さに加え、「フリータンク」などの試みもユニークなだけに、もっと認知されてしかるべきサービスというのが筆者の認識だ。ユーザーと共にサービスを育てるという、いまどき珍しいコンセプトを掲げてくれた男気に免じて、Fun with Fans!のコンセプトが浸透することを祈りたい。
2016年01月26日アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)は1月22日、2016年のパートナー戦略に関する説明会を開催した。初めに、同社のパートナーアライアンス本部 本部長を務める今野芳弘氏が説明を行った。今野氏は、パートナーとのアライアンスの目的が「顧客をNew Normalに導く」こととしたうえで、2016年は「基本拡大路線」と「New Normalに導く近道」の2点を柱に、パートナービジネスを展開していくと述べた。「この戦略は、新たな成長軸を得たり、ビジネスの拡大・イノベーション・グローバル化を実現したり、競合との差別化を図ったりと、顧客とパートナーの双方の課題解決に導く」(今野氏)New Normalとは、「規定概念を越えたIT活用、新たな付加価値提供、想定外の新世界標準、新たなテクノロジーと応用が行われている状態。単なるサーバの置き換えではなく、クラウドが常識である状態」を指すという。「基本拡大路線」においては、パートナーの経験と能力向上、選択肢の増加を目指すため、「AWSパートナーネットワーク(APN)のパートナー数、チャネルリセラーパートナーの拡大」「エンタープライズシステム構築・運用のための能力向上」「パートナーコミュニティの活性化」「コンピテンシープログラムの充実」「ソリューションの無料お試しサイトの推進」に取り組んでいく。例えば、パートナー数の拡大に向けては、新規パートナーを獲得・育成する組織を強化する。「これまでは質の確保を重視していたが、昨年から数の拡大にも注力している」と今野氏。また、エンタープライズシステム関連については、「ファンディング額の増大」「AWSトレーニングの強化」「プロフェッショナル認定資格取得者を増強」といった策を行っている。パートナーコミュニティとしては現在、「金融機関向けAWS対応セキュリティリファレンス」「医薬業界向けリファレンス」が立ち上がっているという。一方、「New Normalへ近道」としては、「AWSマネージドサービスの活用能力拡大(Auroraを含むデータベース領域)」「SaaSパートナーの拡大」「IoTエコシステムの拡大」に取り組んでいく。今野氏は、AWSのサービスのうち、特に推したいサービスとして「Amazon RDS for Aurora」を挙げた。Auroraは同社がクラウドのために開発したマネージド型リレーショナルデータベース。今年12月に、国内の「Aurora Readyパートナープログラム」の発足が発表されている。発表会には、APNのパートナーであるウイングアーク1st、ワークスアプリケーションズ、TIS、サーバーワークスの担当者も登壇し、APNパートナーとしての取り組みやメリットについて述べた。ウイングアーク1st 取締役 CTO 開発本部 本部長の田中潤氏は、「アプリケーションベンダーのわれわれにとって、プラットフォームの構築は強みにならない。われわれの強みはアプリケーションであり、独自のアプリケーションを提供することに集中したいので、AWSを利用することにした」と、AWS採用の理由を説明した。今後は、帳票クラウドサービス「SVF Cloud」においてマルチリージョンクラスタを採用し、1つのデータセンターに障害が発生しても、サービスの利用が継続する仕組みを提供するという。ワークスアプリケーションズ BPO Div. シニアゼネラルマネジャーの荒川 康彦氏は、「AWSのすごさは、インフラをプログラマブルで制御できる点。これにより、ハードウェアもパッケージしたサービスが提供可能となった。アプリケーションベンダーがインフラからアプリケーションサービスまで、ワンストップで問題解決を提供できる」と、AWSの魅力を語った。両社の取り組みとしては、米国シアトルのAWS本社に、同社の顧客100社規模のエグゼクティブを招待して開催したセミナー、製品開発・サービス提供における技術支援が紹介された。荒川氏によると、AWSにサービス改善の要望を出すと迅速に対応がなされ、これまでにAmazon RDS for Oracleのタイムゾーンの拡大や請求処理の前倒しといった改善が行われたという。TIS プラットフォームサービス企画部 副部長の内藤稔氏は、AWSとのパートナーシップ施策の効果として、「プレミアパートナーに認定されたことで、引き合いと協業依頼が増加」「FISCリファレンスの取り組みによって金融機関への新たな認知を獲得」「TestDriveへの取り組みによって、新たな領域におけるリードの創出」「Go to Market/PoC/育成などの各種支援により、案件や制約率が増加し、デリバリ体制が増強」を挙げた。「プレミアパートナーに認定されたことで、お客さまにAWSのソリューションベンダーとしてTISを選ぶ理由ができた」と内藤氏は語った。また、日本で公開されている22個のTest Driveのうち、6個を同社が提供しており、Test Driveを有効活用している様子を見せた。サーバーワークス 大石良氏は、APNへの加入のメリットとして「コネクションの強化」「案件獲得が加速」「PoCファンドの活用」を挙げた。同社はAPNのPoCファンドを活用して、ヤマハ発動機にWorkSpacesへの導入を実現したという。「APNを拡大すると聞くと、競業が増えてビジネスが厳しくなると思われるかもしれないが、われわれは拡大を喜んでいる。なぜなら、競合の増加よりもAWSのマーケットの拡大のほうが速く、パートナー同士でソリューションを補完することで、さらにAWSビジネスの拡大が望めるから」と、APNの拡大がパートナーにとってもメリットをもたらすことをアピールした。
2016年01月25日オンライン学習サービスの「スクー」はこのほど、ブルーボトルコーヒー青山カフェにおいて「ブルーボトルコーヒーのブランド戦略」と題した授業の生放送を実施。ブルーボトルコーヒージャパンの代表社員/取締役として、日本における事業立ち上げに携わった井川沙紀氏が、同社のブランド戦略を元に「ブランドの本質」について語った。○農園から一杯のコーヒーを提供するまで、そのプロセスを徹底的に管理するブルーボトルコーヒーは、2002年にジェームス・フリーマン氏が米国で創業。サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルスと東京で23店舗を運営している。創業当時はフリーマン氏が自身で買い付けてきたコーヒー豆を自宅の裏庭にあるガレージで焙煎し、マーケットで販売していたこともあるそうで、その様子から「コーヒー界のApple」とも呼ばれることも。日本では、2015年2月に1号店をオープンしたが、清澄白河を選んだのは同社の本社がある米国オークランドに雰囲気が似ていることが理由なのだという。井川氏は、米国で生まれたブランドを日本で展開する上で、「重視したのは、"こだわりにこだわる"ということです。創業者であるジェームス・フリーマンが考えた、美味しいコーヒーやコーヒーを楽しむ空間作りへの細部にわたるこだわりを日本でも徹底しようと考えました」と説明する。「こだわりの1つとして、ブルーボトルコーヒーには"SEED TO CUP"という考え方があります。コーヒー豆(生豆)の生産現場から焙煎、提供までのすべてのプロセスに、責任とこだわりをもってコーヒーを提供していくというものです」(井川氏)同社では、季節ごとコーヒーの旬を吟味し、バイヤーがそのシーズンの最も美味しいコーヒー豆を買い付けているほか、焙煎の際にはコーヒー豆の種類に応じたレシピを用意し、焙煎の専門家は豆のオリジナリティや個性を引き出すための焙煎方法についてデータを取りながら研究することで、日々レシピを進化させているのだという。また、店舗でコーヒーを淹れて提供する際のプロセスも厳格に決められており、バリスタの育成も徹底して行っている。「野菜を作って店舗で出すのに比べ、コーヒーは、提供するまでの工程と関わる人の数が非常に多い。このプロセスを最終的に良くするのもダメにするも、一杯のコーヒーを表現するバリスタ次第というところがあるので、そこを徹底的に管理してバリスタが自信をもってコーヒーを提供できるようにしています」と井川氏は話す。同時に、こういったこだわりだけでなく、ブランドの信用を生み出し維持するために「品質管理」も必要不可欠なものだ。この点について井川氏は、「ブルーボトルコーヒーでは、豆の焙煎を行う店舗において"カッピング"というテイスティング作業を毎日行い、焙煎したコーヒー豆の香りや味をスコアリングして基準に適合しているかをチェックしています。米国にて品質管理を行う専門家が、日本で販売される豆の味を責任を持って管理・監督するために来日したといっても過言ではありません」と説明。チェックの結果、基準に適合しなかった豆は、店頭には絶対に出さないという徹底した管理を行っている。加えて、「品質管理の専門家を置くこと自体珍しいと言われますが、私たちは品質を厳格に維持管理することがビジネスにおいて最も重要なことだと考えています」と井川氏。同社では、焙煎担当とカッピング担当は、どうすればベストな香りや味わいを実現できるかを、日々ディスカッションしながら進化を続けているという。○共通のコンセプトを持たない、地域に合わせた店舗を作るワケまた、コーヒーを楽しむための空間作りについても、細部に及ぶこだわりを持っている。同社の店舗は、その特徴として、全23店舗でそれぞれ店舗の場所に応じたデザインを採用し、共通のコンセプトを持たない。「清澄白河カフェと青山カフェを比べても、内装のカラーイメージ、家具の種類や配置、キッチンの位置などは店舗によってすべて違います。一杯のコーヒーを美味しく楽しんでもらうために、その地域の顧客ニーズに合わせてゼロから店舗作りを考えています」と井川氏は説明する。たとえば大手チェーンなどと比較すると、ブランドの認知を浸透させたいと考える場合には、一般的に、商品や店舗のデザインを統一してアイデンティティを持たせるのが定石だ。しかし、ブルーボトルコーヒーではあえてそれをせず、出店する地域の雰囲気や顧客層に合わせて、最も快適にコーヒーを楽しめる雰囲気を考える。ブランドが顧客をリードするのではなく、顧客体験を第一に考えた戦略だと言えるだろう。「例えば、青山カフェでは、ほかのチェーン店が選びそうな大通り沿いではなく、あえて路地裏で建物の2階という"店舗出店では選ばないような場所"を選びました。窓から見える木々の緑が気に入ったのが理由で、店舗の壁の色なども、すべてこの緑を引き立たせることを意識してグレーの色にしたんです」(井川氏)○ブランドを作り出すためには「変えない勇気」が必要そのほか、井川氏はブランドを作る上で重視している点として「変えない勇気」を挙げた。井川氏によると、ブルーボトルコーヒーが日本に進出する際に、(日本企業から業務提携の相談もあったそうなのだが)あえて米国本社の直営店舗として展開するという選択をした。パートナーを希望する企業からは、日本の市場に合わせ、米国の方法と変えるべき点の提案なども受けたが、そこには創業者のこだわっている部分も含まれていた。であるならば、たとえ失敗してもブルーボトルのこだわりや大事にしていることを変えずに進めたいという考えに至ったのだという。では、同社はどのような点について"変えない"と決めたのか。一例として井川氏は、コーヒーを焙煎する方法を挙げ、「正直、日本人は深煎りのコーヒーに慣れているため、"もっと深煎りにすべき"という意見も頂いていました。ですが、ブルーボトルコーヒーではコーヒー豆のキャラクターに合わせた焙煎をすることにこだわっているので、結果的に浅炒りのコーヒーも出すんですよね。豆が持つそれぞれの特徴を楽しんでもらうためには浅炒りのほうが適切な場合もあるんです」と話す。顧客の味の好みに合わせて焙煎方法を考えるのでなく、コーヒー豆の良さを引き出すことを第一に考えて焙煎方法を考えるというは、変えることができないブルーボトルのこだわりだ。そして、こうしたこだわりを理解してもらうためにも、顧客への説明や雰囲気作りをトライしていかなければならないのだという。また井川氏は、ドリップコーヒーの量が多くワンサイズしかない理由として、「時間の経過とともに変化していく味わいを楽しんでほしいという創業者のこだわりがある」と話す。「華やかでフルーティーな味わいのコーヒー豆は、熱々の湯を淹れてから冷めていくに連れて味わいが変化していくのが特徴。その変化を温度変化と共に、長い時間を掛けて味わってもらうことも楽しみ方の一つと考えたのです。今の時代、コーヒーはボタンひとつで飲める手軽なものになりましたが、私たちは生産者が長い時間かけて育てたコーヒー豆を収穫し、焙煎し、一杯のコーヒーにするという長いプロセスを間近で見ているので、その一杯のコーヒーが持つ味わいの変化をしっかり伝えていくことも役目だと思っています」(井川氏)井川氏は最後に、今後の事業展開に向けた抱負として「日本でのオープン以来、多くの方に来店してもらっているものの、まだまだ"上陸したブランド"という話題性で初めて来店する人が多いのが現状です。これを一過性のブームにするのではなく、ブルーボトルのこだわりを理解してもらい、文化として育てていくことが重要だと考えています」と語った。現在は2店舗での展開だが、今後は3月25日に新宿、次いで六本木などへの出店を予定しており、顧客に"こだわり"を伝える機会を増やしていく。ブルーボトルコーヒーの挑戦は、まだ始まったばかりだ。なお、同記事の内容は、録画授業としてスクーにて公開されている。ご覧になりたい方は、こちらよりアクセスすることが可能だ。
2016年01月19日Infobloxは1月7日、都内で記者会見を開き、ネットワークセキュリティの事業戦略と、UDP(ユーザー・データグラム・プロトコル)のショートパケットをリアルタイムで分析する新ソリューション「Infoblox DNS(ドメイン・ネーム・システム) Threat Analytics」について説明を行った。最初にInfoblox エグゼクティブバイスプレジデント ワールドワイドフィールドオペレーションズのトーステン・フライタグ氏が事業戦略について説明した。同氏は「近年、CIOの懸念事項としては3つある。1つ目は可能な限り早くアプリケーションの展開を図る俊敏性、2つ目はビジネスおよびデータ、知的所有権の保護、3つ目は効率性だ。これらはビジネスを牽引する要素だが、ITに落とし込むとセキュリティ、クラウド、オートメーションとなる」と述べた。そのうえで「セキュリティ、クラウド、オートメーションは、CIOだけでなく、組織から見ても課題を抱えている。セキュリティは日々新たな脅威が出現しており、これらに対抗するため企業は多くの資金を投入しなければならない。また、クラウドを利用している企業は数多くあるが、マニュアルプロセスに時間を要し、当初想定していた俊敏性が生まれていない企業も散見される。オートメーションについては、労働集約型やスプレッドシートでの管理が阻害要因となっており進んでいない。そのような状況下で、CIOにとってはセキュリティが最優先課題となっている」と同氏は訴えた。同氏はセキュリティについて「マルウェアをはじめ、企業はさまざまな攻撃を受けているが、中でも最近はDNSに対する攻撃が増えている。DNSに対する攻撃としては悪意のあるWebサイトに迂回させることなどが目立っており、最も危険なのはDNSを使用してデータを組織外に持ち出してしまうことだ」と指摘。また、DNSについては「DNSのインフラセキュリティを担保したうえで、グローバルのインフラセキュリティを制御する必要がある。ここで重要なのはグローバルのインフラ管理だ。多くのグローバル企業ではDNSの管理が分割化されているが、管理の一元化を果たした上で、次の段階で自動化を図り、既存のITアーキテクチャとスムーズにインテグレーションすることで仮想化などを行っていく必要がある」と説明した。近年、DDoSベースの攻撃が増加している状況下でのセキュリティ対策としては、メールのウイルス対策やURLフィルタリング、アンチスパム、Webアプリケーション・ファイアウォールなどの導入だけでは不十分であり、例えば、ファイアウォールでは名前解決で用いるポート53が常に空いているというDNSの弱点を狙い、攻撃を受けることがある。実際、米国ではDNSが使うポート53を使って、クレジットカード情報の漏洩なども発生しているという。DNSトラフィックに適用されるレポーティングは、企業やサービスプロバイダーなどのデータ損失を未然に防ぐことができる。新ソリューションであるInfoblox DNS Threat Analyticsは、一般的なファイアウォールやDPI(ディープ・パケット・インスペクション)が不得意とするUDPのショートパケットをリアルタイムに分析することを可能とし、1月末から提供開始を予定している。続いて、カントリーマネージャーの仁枝かおり氏が日本におけるインターネット環境について「利用者が頭打ちになっている一方、高齢者の利用が多くなっているほか、スマートフォンやタブレット端末での接続が増加傾向にある。また、クラウドサービスの利用が金融・保険業や大手企業で拡大するとともに、IoTデバイスの普及台数も増加しており、大手企業の5割強が過去5年間に攻撃を受けている」と日本の現状を語った。また、日本の販売戦略について同氏は「現在、セキュリティのアセスメントのプラグラムを無料でユーザーに提供しており、状況把握に努めている。われわれの販売ターゲットエリアはROI(投資対効果)の向上やコンプライアンス強化、セキュアで安定的な環境構築を望むユーザーだ。販売アプローチはこれまでパートナー指向だったが、セキュリティ自体が複雑となっているためテレコムや公共・文教、金融、製造に対し、ダイレクトに営業を進めている」と述べた。今後、同社では新ソリューションの投入に加え、製品機能、ソリューション展開、および国内パートナーとの連携の強化を図ることで、国内の通信事業者およびクラウドサービス事業者に向けて営業拡大を推進していく考えだ。
2016年01月08日ローソンとシグマクシスは、ローソン事業のデジタル化推進および次世代システムの構築と運用を目的としたIT戦略子会社「ローソンデジタルイノベーション」を共同で設立することに合意し、2016年1月15日に新会社を設立、同年2月1日に事業を開始する予定であることを発表した。新会社では、シグマクシスの持つプロジェクトマネジメントのノウハウやデジタルテクノロジーへの知見を活かし、ローソンの次世代システムを構築していくとしている。次世代システムでは、原材料調達、物流、製造、販売のプロセス最適化による高品質でリーズナブルな商品の開発や、CRMのさらなる強化による店頭での最適な品ぞろえを可能にするという。ローソンは、この次世代システムを活用し、消費増税やインバウンド需要の増加、高齢化、人手不足などの社会環境の変化にスピーディーに対応した次世代のコンビニエンスストアを作り、便利なだけでなく利用者にとって必要不可欠な存在となる新たな小売業モデルの実現を目指すとしている。両社は、今回の新会社設立によって、アウトソース型のシステム開発から企業主導型のシステム開発体制に移行する構えだ。
2015年12月28日UBICは12月24日、独自開発の人工知能「KIBIT」を用いた知財戦略支援システム「Lit i View PATENT EXPLORER(リット・アイ・ビュー パテントエクスプローラー)」を、昭和電工(SDK)が12月より導入したことを発表した。同システムは、トヨタテクニカルディベロップメントと共同で開発したもので、先行技術調査や無効資料調査などの特許の分析業務を効率化し、従来の調査方法と比べ、約330倍(開発時における平均データ)の調査効率の向上を達成したとする。また、見つけたい文書(発明提案書、無効化したい特許資料など)の内容を教師データとしてKIBITに学ばせ、独自の機械学習である「Landscaping(ランドスケイピング)」を用いて、少量の教師データをもとに膨大なデータを解析し、短時間でスコアリング(点数付け)による文書の仕分けができることを特徴としている。今回、PATENT EXPLORERの導入を行った昭和電工は石油化学、化学品、エレクトロニクス、無機材料、アルミニウムなどを手がける日本を代表する化学メーカー。グローバルでの競争を続ける中、知財戦略が企業の成長と発展に重要であると考えており、先進的な知財分析の活用に積極的であることやトライアルにおいて、従来の調査手法であるキーワード検索や類似検索、概念検索などに比べて、調査効率が向上し、精度や網羅性にも優れた結果が得られたことから、PATENT EXPLORERの導入を決定したという。
2015年12月25日ON Semiconductorは12月8日、都内でプレス向けの事業戦略説明会を開催した。同説明会ではコーポレートストラテジ&マーケティング担当副社長であるデイビッド・ソモ氏が同社のグローバル市場と注力市場について語った。○高い成長が見込まれる車載・産業機器・無線通信同社は現在、35億ドルの売上規模(2015年第3四半期の実績に基づく)を有しており、そのうち70%を日本を含むアジア太平洋地域で稼いでいる。また、エンド市場別で見ると車載、産業、通信という3領域での売り上げが7割を占める。アジア太平洋地域で最も大きいマーケットは中国で、ソモ氏は「車載システムが伸びている同国では今後も成長が期待できる」とする。こうしたビジネス状況の中、同社の強みについてソモ氏は「大規模に事業展開・生産しているため、コスト競争力が高い。また、グローバルに製造拠点を有し、サプライチェーンと営業網も兼ね備えているため必要なときに必要な物をニーズに合わせて提供できる」ことだと説明。さらに同氏は「自社拠点で前工程から組み立て、検証まで設備を持っていることに加え、ファウンドリ企業と連携して製造能力を強化することで、柔軟性を持った生産が可能となる」と語り、今後もポートフォリオを増強すべく有機的な成長と買収を組み合わせていくとした。買収といえば、同社は11月にフェアチャイルドセミコンダクター・インターナショナル(フェアチャイルド)を約24億ドルで買収することを発表している。これにより、ON Semiconductorは高・中・低電圧をカバーするポートフォリオを持つことになる。なお、両社の売り上げを合算すると年間で50億ドルになり、メモリ以外の半導体企業としては市場で10位の規模となる。ソモ氏によれば「フェアチャイルドの買収は中国からの反応が良かった」という。今年の半導体業界は売り上げが前年と同程度と予想され、コンピューティング・消費者向け市場では成長が鈍化もしくは下落する一方で、車載・ワイヤレス通信・産業機器では成長が見込まれており、ON Semiconductorもこれらの分野に注力していく。上述の通り、同社の売り上げは車載、産業、通信が7割を占めており、ソモ氏も「これらの業界に対して当社は強いポジションを築いており、車載向け半導体では7位のサプライヤーに入っている。」と自信を見せる。この自信の裏付けとしてソモ氏が示したのが車載システム向けのイメージセンサで、同市場では45%のシェアを誇るという。同社のイメージセンサはメルセデス・ベンツの車両に採用され、夜間の走行中に道路や対向車をスキャンしてヘッドライトの向きなどを自動で調整するシステムを実現している。○IoT時代では製品の提供だけでは不十分また、同氏は巨大な市場規模が見込まれるIoT分野についても言及。「IoTアプリケーションにはセンサ、通信、制御、カバーマネジメントという4つの柱があり、当社はそれらの主要構成要素を全てカバーしている」としたほか、バッテリ不要で温度や圧力を検知できる小型センサ「スマート・パッシブ・センサ(SPS)」といった有望な技術を有していることをアピールした。同時にソモ氏は「IoTの時代では、製品を提供するだけでは不十分。」だと指摘。「顧客の開発期間を短縮できるように、我々はモジュールやレファレンスキット、開発環境なども提供している。成功するには顧客と協力する必要があり、完全なエコシステム・ソリューションを提供していくことが重要となる。そのために必要な投資を行っていく。」と語り、今後も精力的に能力および製品ポートフォリオの拡充を図る姿勢を示した。日本での活動についてはシステム・ソリューションズ・グループ(SSG)のマムーン・ラシード上席副社長兼ゼネラル・マネージャーが登壇。SSGは日本に拠点を置くビジネスグループで、富士通とのジョイントベンチャーである会津富士通ウエハ・ファブでは3種類のプロセス技術を量産化し、追加でさらに3種類のプロセス移管を進めているほか、新潟工場も今後能力を増強するなど、日本での存在感を拡大する活動を継続していくとしている。
2015年12月09日ハイプレステージブランドとしてのイメージを確立ポーラは11月30日、2016年1月より新ブランド戦略をスタートすることを発表した。新ブランド戦略では、創業から永く培ってきたポーラの独自価値を、「Science. Art. Love.」とあらためて定義し、この独自価値をもとに、コーポレートロゴやビジュアル、来春にはエステメニューを刷新。これまで以上に先鋭化されたハイプレステージブランドとしてのイメージを確立し、末永く愛される企業を目指すとしている。エステメニューを刷新、スキンケアブランドと連動新エステメニューでは、スキンケアブランドと連動した成分を投入した3コース、合計7メニューで展開。「プレミアム」では、ポーラ最高峰ブランド「B.A」と、「スペシャル」では、個肌対応カウンセリングシステムブランド「アペックス」と、「ベーシック」では、美白ブランド「ホワイティシモ」・保湿ブランド「モイスティシモ」と連動する。また、エステ機器による頬のマッサージを充実させ、今まで以上に満足できるエステを目指す。エステメニューは、全国のポーラエステ取扱店「ポーラザビューティ」「ポーラエステイン」にて展開。ポーラ公認のエステティシャンが、カウンセリングからお手入れまでを専任で担当するとしている。(画像はプレスリリースより、新ビジュアル「POLA Dots」)【参考】・ポーラプレスリリース
2015年12月02日東レとユニクロは11月17日、「戦略的パートナーシップ 第Ⅲ期5ヵ年計画」に関する合意書を締結したと発表した。両社は過去2期10年続いてきた「戦略的パートナーシップ」を今後さらに強固なものにし、これからの時代をリードする新しい産業の実現を目指すとし、2016年から2020年までの5年間で取引累積額1兆円を目指す。今回提携したパートナーシップでは、まず、グローバル化とデジタル化による新しい産業の創出の実現に取り組むという。具体的には、IoT(Internet of Things)を利用して両社でEnd to Endのビジネスを実現、生産のさらなるスピードアップ、生産拠点のより一層のグローバル化・多極化、市場別最適生産の推進、グレーターチャイナ(中国、香港、台湾)事業の成長を支える生産拠点の拡充の5点だ。さらに、「"LifeWear"と"MADE FOR ALL"商品のさらなる追求」として、既存商品の快適さや機能性の向上、これまでに無い新しい価値のある商品の研究開発、日常生活を快適に過ごせるスポーツウェア開発の加速の3点に取り組むとしている。
2015年11月18日●料金戦略は限界の水準2016年4月からの電力小売全面自由化がスタートする。これまで、一般家庭などでは、自分が住む地域の電力会社から電力を購入する仕組みとなっていたが、電力小売全面自由化によって、あらゆる電力小売会社のなかから、自分にあった会社を選んで、自由に契約できるようになる。対象となる口座数は7,000万契約以上。7兆5,000億円規模の市場が自由化され、地域ごとに分割した全国10の電力会社によって独占されていた市場に風穴があくことになる。「新電力」と呼ばれる電力小売事業を行う「特定規模電気事業者」への参入予定企業は、今年9月時点で760社を超えており、8月3日からは小売電気事業者の登録手続きが開始されている。電力小売会社同士による競争原理が働き、料金面やサービス面でのメリットを享受できるとの期待も高まっている。○セットメニューにしか活路がみえない事情こうしたなか、注目を集めているのが、国内全体の35%を占め、最大市場を主戦場とする東京電力の取り組みだ。関東エリアにおけるシェア100%の東京電力は、まさに「守り」の立場。福島第一原発による爪痕の影響が、東京電力離れを加速するとの見方も出ている。新規参入組の提案として前面に出てくるのは、やはり料金戦略だろう。身軽な企業体質を生かしたり、セットメニューによるお得感を出したりすることで、東京電力からの顧客を奪おうとしている。電力小売全面自由化で先行している海外市場では、住宅保険などの金融サービス、自動車保険や修理などと連携した自動車関連サービス、携帯電話などの通信関連サービス、配管清掃をはじめとする住宅関連サービスなどとセットにする例が出ており、その競争は熾烈化。スポーツ観戦への招待や、有名人のサインをプレゼントするといったメニューまで用意されるというエスカレートぶりとなっている。英国では、さまざまなメニューが乱立したことで料金体系が複雑化。電気小売事業者に対して、提示できる料金メニューの数が制限される事態にまで発展しているほどだ。日本でも同様に、まずはセットメニューによる提案が各社の料金戦略を左右することになりそうだ。実は、料金戦略は、セットメニューに頼らざるを得ない理由がある。東京電力によると、電気に関わるコストの約70%が発電によるものであり、送電部分に関わるコストが約25%を占めるという。つまり、価格差の余力となるのは残り数%の部分になるのだ。「『kWhあたりいくら』といった競争は、原価構造、コスト構造の観点からは、すでに厳しい状況にあるといわざるをえない」(東京電力)とする。料金単体での競争は限界があり、そのため、各社はセットメニュー競争に走らざるをえないというわけだ。●複数企業との連携でサービス提供だが、この点でも東京電力はすでに手を打ち始めている。リクルートおよびロイヤリティマーケティングと業務提携し、ウェブサービスやポイントサービスと連動させる方向を模索。また、ソフトバンクとの提携では、電力と通信、インターネットサービスを組み合わせた共同商品販売および新サービスの開発に着手していることを明らかにしている。さらに、カルチュア・コンビニエンス・クラブとは、ポイントサービスに関しての業務提携も発表。複数の企業との提携によって、セットメニューを用意する考えだ。実は海外では、セットメニューを強化するために、電力会社が自動車関連サービス企業、通信関連サービス企業を買収するといった異業種買収の動きも出始めているという。電力小売全面自由化の動きが、異業種を巻き込んだ再編劇へとつながっているわけで、今後、日本でも同様の動きがみられるかが注目されよう。○“攻め”のよりどころとなる3つの要素東京電力の戦いどころは、セットメニューだけではない。むしろ、それは各社横並びの状況になり“守る”という点では力不足だ。だが、東京電力に一方的に“守る”戦略で終わるつもりはないようだ。というのも、東京電力には“攻め”の要素がないわけではないからだ。そうした観点でみると、東京電力には3つのビジネスチャンスがあるといっていい。1つは、これまでの電力事業ノウハウを生かした省エネ化の提案だ。東京電力の執行役員 カスタマーサービス・カンパニー バイスブレジデントの佐藤梨江子氏は「電力小売全面自由化後には、まずは料金面に注目が集まることは確か」としながらも、「だが早晩、中身の議論になってくるはずだ」と予測する。「電気は、色も形も味もない。また、電気を使うことそのものに喜びや価値はない。本質的には、電気を使うことで電気製品が稼働し、それによって喜びを感じたり、生活を豊かにすることが目的となる。そこにフォーカスする必要がある。そうした点からも、料金だけが取りざたされる状況には忸怩たるものがある」と語る。東京電力 カスタマーサービス・カンパニー 経営企画室の眞田秀雄室長も、「使う電気量全体を引き下げることで、トータルとして料金が安くなるという提案こそが、利用者にとっても社会全体にとっても意義がある。単なる料金引き下げやセットメニューの提案ではなく、エネルギーコスト全体を引き下げる提案で差別化したい」と語る。ここで東京電力の切り札となるのがスマートメーターだ。東京電力ではスマートメーターの設置を加速しており、これを活用することでIoTと連動。細かいエネルギー制御により、省エネ提案などの差別化へとつなげる考えだ。「従来は電気メーターのところにまで電気を届けて終わりだったが、今後は電気をどう使うのかといったところにまで踏み込んで利便性や安心・安全を届け、付加価値提案を行える『みらい型インフラ企業』を目指す」(東京電力の眞田室長)とする。東京電力では、2014年4月からスマートメーターの設置を開始。2015年9月末時点で、285万台のスマートメーターを設置しているという。2016年からは年間570万台規模で設置を加速する計画だ。また、スマートメーカーで計測した30分ごとの電気の使用量を、同社が提供する「でんき家計簿」で見える化するなどのサービスも開始する予定。これにより、料金プランの最適化提案も行うことができるようになるという。●新規参入事業者として関東以外へ2つめは、東京電力のサービスエリア以外への進出だ。東京電力は、関東エリアでは100%の市場占有率を持つが、それ以外の地域のシェアは0%となる。まさにホワイトスペースともいえる市場が広く存在するのだ。関東エリアでは、東京電力の打ち出す施策によっては、独禁法などの制限を受ける可能性があるが、それ以外のエリアでは、新規参入事業者の立場と同じ。東京電力でも、「関東エリア以外では、自由な手の打ち方ができると考えている。関東エリアとは営業手法やプロモーション手法も変わってくるだろう。関東エリアとは違った料金設定も想定される」(東京電力の眞田室長)とする。ここでは先に触れた提携戦略も重要な意味を持つ。東京電力が提携を発表しているロイヤリティマーケティングは、全国に約6950万の顧客を持ち、同様にソフトバンクは約3700万、カルチュア・コンビニエンス・クラブは約5300万の顧客を持つ。重複する顧客もあるが、この提携によって、全国の幅広い顧客にアプローチできる環境が整うというわけだ。そして、3つめが、2016年の電力小売全面自由化に続く、2017年のガス小売全面自由化をきっかけにした取り組みである。すでに自由化されている年間10万立方メートル以上の大口需要家市場においては、東京電力はすでに4位に入る取引規模を持つ。さらに輸入LNGは、都市ガスの原料として利用されているが、発電用燃料としても活用されているため、電力会社はすでにその調達ルートを確保しているともいえる。すでに輸入調達量では、東京電力が国内トップとなっている。こうした優位性を生かしながら、電気とガスとを組み合わせたエネルギーのトータル活用提案が行えるというわけだ。ガスの小売全面自由化は、東京電力にとっては、重要な“攻め”の切り札になるといえよう。こうしてみると、東京電力にとって新規参入事業者から“守る”だけでなく“攻め”の領域も少なくない。東京電力は攻守両面から、電力小売全面自由化の市場で戦うことになる。そのバランスが、独り立ちすることになる同社の電力小売事業の成否を左右することになりそうだ。○全面自由化前夜……夜明けを待つ電力会社の動静●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【後編】●電力小売自由化目前! 過熱する首都圏の需要争奪戦の現状【前編】●東京電力が高効率LNG火力発電への切り換えを急ぐ理由●“守り”ではなく“攻め”へ! 電力小売自由化に向けた東京電力の戦略
2015年11月09日ベライゾンは11月4日、IoTの合理化によって市場での採用を迅速化させるグローバル戦略を発表した。グローバル戦略では、ThingSpace のリリースなど、複数の新たな発表を行った。ThingSpaceは新たなIoT プラットフォームで、開発者がアプリケーションを開発し、顧客がデバイスを管理し、パートナーがサービスを販売するためのオープン環境な統合型垂直ソリューションとなる。ほかにも、次世代IoT導入事例に向けた新しい専用ネットワークコアと接続オプションの提供を行うほか、農業・医療・家電の進化やシェアリングエコノミー(共有型経済)における大きな課題に対応するため、イノベーションを推進する。また、IoT導入のためのベライゾンのビッグデータ・アナリティクス・エンジンの商業化を図るほか、3種類の新しいエンド・ツー・エンドのスマートシティ・ソリューション「Intelligent Video」「Intelligent Lighting」「Intelligent Traffic Management」を提供する。ベライゾンのエンタープライズプロダクト担当シニアバイスプレジデントであるマイク・ランマン(Mike Lanman)氏は「スマートシティやコネクテッドカー、ウェアラブル分野での継続的なイノベーションは、将来の私たちの生活と働き方にIoT が大きく関わってくることを示している。IoT は大きな可能性を秘める一方で、極めて複雑であり、断片化され、接続が高額で、拡張が困難です。将来の成功は、複雑さを解消し、IoT モデルを変革できるリーダーにかかっている。ベライゾンの役割はまさにそこにあります。ネットワーク、デバイス、プラットフォーム、アプリケーションで豊富な経験を持つベライゾンは、包括的アプローチによってIoT の採用をシンプルにし、数百万の接続からなるIoT 市場を数十億の接続へと拡張する」と述べている。
2015年11月06日インテル セキュリティ(マカフィー)は11月4日、企業向けセキュリティの新たな事業戦略「Threat Defense Lifecycle(脅威対策のライフサイクル)」を発表した。新戦略では、エンドポイントとクラウドのセキュリティに注力。より優れた監視機能と実践的な運用上のコントロールを実現するために、主要なプロセスを一元化し、オープンな統合セキュリティシステムの実現を目指すという。オープンな統合セキュリティシステムでは、セキュリティの一元管理による効率化を進めるだけでなく、インテルや外部ベンダー製品とも連携可能なアーキテクチャーを構築する。同時に、新戦略のもとに開発したエンドポイント保護ソリューション「McAfee Endpoint Security(マカフィーエンドポイトセキュリティ 10.X」も発表した。前述の複雑さを軽減しており、パフォーマンスの向上も図ったことで、顧客が「脅威対策のライフサイクル」を活用できるよう支援するとしている。具体的には、セキュリティソリューション間でリアルタイムに情報交換するための新たなアーキテクチャを導入。未知の脅威に対する効果的な保護が可能になる。セキュリティイベントの共有・活用が容易になるため、疑わしい挙動が確認されたタイミングで、システムがマルウェアに感染する前に、リスクが潜むアプリケーションやダウンロード試行、Webサイト、ファイルに対処できるという。
2015年11月05日UBICは10月29日、人工知能を用いた知財戦略支援システム「Lit i View PATENT EXPLORER(リット・アイ・ビュー パテントエクスプローラー)」の提供を開始すると発表した。初期費用は100万円(税別)、年額300万円(同)~。同システムは、2014年12月に発表したUBICとトヨタテクニカルディベロップメントが進めてきた共同開発を製品化。開発ではトヨタテクニカルディベロップメントが実際の特許分析調査のケースに基づいて、スコアリング手法の検討とフィードバックを行い、UBICが人工知能の調整を繰り返しながら、完成度を高めた。同システムによる特許関連書類の処理は「学習・解析・仕分け」の3ステップで行い、見つけたい文書(発明提案書、無効化したい特許資料等)の内容を「教師データ」として同社の人工知能に学ばせる。その後、対象のファイルを解析し、スコアリング(点数付け)して文書を仕分ける。仕分けの結果、教師データとの関連性の高い文書からスコア順に並び、調査の着手に優先順位が付けられることで、特許関連文書のレビュー効率が向上。開発時において同システムは、平均で約330倍、最大で約3,000倍のレビューの効率化を達成している。また、同システムは従来の特許関連書類の調査で用いられている「キーワード検索」「類似検索」「概念検索」などの絞込みよりも、さらに踏み込んだ分析が可能で「Landscaping(ランドスケイピング)」という機械学習の手法により、解析を行う。Landscapingは少量の教師データを基に、膨大なデータを解析し、判断できることが特徴だという。特許分析調査で見つけ出したい内容を必要な教師データを学習し、関連性の高さを判断するだけでなく、不要な教師データも学習して、判断・解析することも可能だ。さらに、スコアリングを行う際、文書のページ単位ではなく、段落単位できめ細かく結果を表示できるため、容易に該当カ所の確認などが可能となり、案件数の多い先行技術調査や無効資料調査をはじめ、特許調査関連のさまざまな用途において効率化を実現している。現在、同システムは電子関連企業などからの引き合いがあるといい、同社ではメーカーを中心とした企業の研究開発部門、知財部門、学術機関、特許事務所などに対し、同システムを提供していく。
2015年10月30日JTBとソフトバンクは10月28日、インバウンド(訪日外国人旅行者)ビジネスにおける戦略的事業提携に関する契約を締結したと発表した。それぞれが展開する旅行商品サービスとICTを活用し、訪日外国人観光客向けに多様なサービスを提供していくという。提携するにあたり、ソフトバンクは旅行業を行う新会社を設立。JTBグループで Eコマース事業を担うi.JTBがソフトバンクの新会社に旅行業に関するノウハウを提供し、JTB グローバルマーケティング&トラベルと協力しながら商品を供給するほか、新会社と共同で訪日外国人旅行者向けにオリジナル商品を開発するという。提携の第一弾として、11月11日からアリババグループの旅行販売プラットフォーム「Alitrip」に専用の旅行サイト「日本汐留旅行旗艦店」を出店し、ホテル予約、国内パッケージ商品予約、チケット販売、Wi-Fi レンタルサービス、クーポンの提供、観光情報提供など訪日観光客向け旅行コンテンツの販売を開始する。今後は「Alitrip」のスマートフォン向け専用アプリケーションを通じて、観光情報の発信や便利な買い物クーポンの発券による飲食や小売などの実店舗への積極的な集客促進など、多様なサービスを提供。また、ソフトバンクの子会社で決済代行業務を行うソフトバンク・ペイメント・サービスの決済サービスを利用し、スムーズなショッピング支払いサービスなど、旅行者の利便性を向上するサービスを提供する。さらに、「日本汐留旅行旗艦店」とヤフーが運営するポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を連携させることで、訪日外国人観光客が旅行前や旅行中でも日本でのさまざまなサービスを予約したり、帰国後も日本の商品の購入が簡単にできるサービスを提供していくという。今後、JTB とソフトバンクは中国以外の海外への展開も検討しているという。
2015年10月28日EMCは10月21日、メディア向けにオープンソース戦略に関するラウンドテーブルを開催した。近年、ITは第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへ移行しつつあり、ストレージを中心としたハードウェアを中心に扱うEMCは第3のプラットフォームを見据えた事業展開の転換期を迎えている。そのような状況を踏まえ、同社では将来的に第3のプラットフォームをリードすることを念頭にオープンソースの重要性を認識している。説明を行ったのは米国本社でエマージングテクノロジー事業部技術戦略担当バイスプレジデントのランディ・バイアス氏。同氏によると「オープンソースはコード、カルチャー、コミュニティ、ガバナンスで構成されている。様々な人たちが多様な問題を解決するために取り組んでおり、同じような長期的な価値、目標を持った人々がコミュニティに参加し、コードの貢献を行ったり、改善などを行っている」と述べた。また、North Bridge社とBLACKDUCK社の調査によると、オープンソースを採用した企業10社のうち8社が品質の良さから採用したと回答しており、大事な要素は機能追加や問題発生した時に修復できる点だという。そのため顧客中心型となり、フィードバックのループで顧客の要望を製品に反映するほか、リスク削減に目を向けることでOSSやCOTSのハードウェアを用いて障害・運用コストの低減を図る。また、操作性を維持していくため、OSSやCOTSハードウェアを使用し、問題が発生した時もベンダーに依存せず、リアルタイムで問題解決が可能だと同氏は主張する。しかし、同氏は「RightScale 2015 State of the Cloud Reportによると大半の企業がクラウドを検討している一方、色々なパーツをまとめあげるためのリソースや専門性がないことや、プライベートクラウドを立ち上げるのが複雑であるということが課題となっている」と指摘した。そしてランディ・バイアス氏は「モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルで構成する第3のプラットフォームの世界ではリソースや製品化を行うターンキーオープンソースに価値があり、我々の中でも日々、重要性が増し、顧客モデルの基礎になるのではないかと考えている。我々のオープンソース戦略は他社のオープンソースのプロジェクトを採用しているほか、コントリビューションも手がけている。他社のプロジェクトを受け入れることやコントリビューションを行っていくということは文化の面でも変化であり、我々が進化していく上でも重要だ」と語った。最後に同氏は「オープンソースで重要なのは多くの人が関わることで、OpenStackやLinuxにしてもコミュニティと多くの人々が関わっている。他社のオープンソースのプロジェクトに参画することも重要だが、我々独自のオープンソースの取り組みやコミュニティもあり、例えばCoprHD(カッパーヘッド)は最初のオープンソースの取り組みだ。今後、我々にとって興味深い分野になり得るのは顧客のロックイン(利用中のサービスや技術などから、ほかの同種の別のものへの入れ替えが困難な状態のこと)されたくないというビジョンを支援していくことだ」と述べた。
2015年10月22日博報堂は10月2日、基礎から高度な戦略構想力まで、マーケティングセンスを磨く研修プログラム「博報堂マーケティングスクール」を開講した。同プログラムは、「新ブランドをつくりたい」「新事業を立ち上げたい」「新しいサービスを構想したい」「新商品を開発したい」など、新しいビジネスを志向するビジネスパーソンを対象に、既に個別のクライアント企業に提供した中で評判の高い研修内容をブラッシュアップ・体系化した「先端的なマーケティングが学べるプログラム」となる。コースは、「マーケティング戦略基礎コース」と「テーマ別プログラムコース」の2種類。「マーケティング戦略基礎コース」は、3C・STPなどのフレーム理解から、仮説をもとにした調査リサーチの進め方・4Pの戦略立案まで、マーケティング戦略のための基礎理論をわかりやすくパッケージ化したものとなる。定員は25名で、参加費用は3講座(3日間)コースが昼食付きで85,000円(税込)だ。一方、「テーマ別プログラムコース」は「発想転換」「製品コンセプト発想」「本質思考」など市場創造・イノベーションに必要な要素をテーマとし、少人数で行うトレーニングプログラム。マーケティング戦略や計画を強化したいときや、プランニングの弱点を克服したいときに、個別のフィードバックを受けながらスキルアップできる。店員は15名で、参加費用は1講座(1日)昼食付きで30,000円(税込)となる。両コースとも講師は博報堂グループの現役社員が担当。通常の座学研修ではなく、実習やワークショップを組み入れ、インタラクティブで実践的なスタイル採用する。同社は今後、新しいビジネスを切りひらく次世代リーダーや付加価値創造人材を育成する「博報堂マーケティングスクール」を目指していく考えだ。
2015年10月05日シスコシステムズは9月29日、2016年度事業戦略説明会を開催した。説明会では、今年5月に代表執行役員社長に就任した鈴木みゆき氏が日本における事業戦略、フォーカス分野などについて説明を行った。鈴木氏は冒頭に、社長就任後に学んだことについて語った。「シスコに対するニーズにこたえることが経営の原点と考えている。まずは、できるだけ多くのお客さまやパートナーに会い、シスコに対する声を聞きたいと思い、これまで170社350名の方とお会いした。そこから、お客さまが課題を解決するソリューションと手厚いサポートを求めていることがわかった」(鈴木氏)さらに、シスコの"いつでもどこでも"働くことができるワークスタイルに革新性を感じ、こうしたノウハウにより、日本の柔軟性の高い働き方の推進に貢献できると述べた。「シスコについて、ネットワークだけでなく、その上で動くソリューションも提供できる企業というイメージを定着させることが私のミッション」とも語った。続けて、鈴木氏は日本法人の重点戦略の柱として「日本市場により根ざした事業展開」「お客さまのデジタルビジネス支援」「統合ソリューション・ビジネスの強化」の3点を挙げた。日本市場に根ざした事業展開の具体例としては、今年9月に発表したばかりの「Cisco Start」がある。Cisco Startは、国内の中小企業向けの日本独自のブランドだ。「Cisco Start」の製品戦略は「日本企業の要求にコミット」「リーズナブルな価格設定」「充実の機能群」となっている。製品第1弾として、ギガビット対応VPNルータ「Cisco 841M Jシリーズ」が発表されている。また、サポートについても、ユーザー・インタフェースの日本語対応や日本語サポート窓口の設置など、体制を拡充していく。デジタルビジネスの支援については、「IoT(Internet of Things)」「セキュリティ」「グローバルサービスプロバイダー」といったジャンルを中心に取り組んでいく。同社は、IoTを発展させ、「IoE(Internet of Everything)」というコンセプトを掲げているが、昨年11月にはパートナー10社が参加する「IoEイノベーションセンター」を設立したほか、東芝とIoT分野で提携した。今年に入っては、慶應大学のIoT研究にファンディング、「Cisco IoT Sysytem」の発表などが行われた。鈴木氏は「IoTの普及には、産官民の協力が不可欠だが、産業、公共、学術とバランスよく連携を図ることができた」と語った。今年度は「Mind Share to Market Share」という方針の下、「IoE」に取り組んでいくという。注力分野としては「製造業」「パブリックセクター」「サービス」が挙げられた。セキュリティについては、今年6月に、CEOを退任し会長に就任したジョン・チェンバース氏が発表した戦略「Security Everywhere」に基づき、あらゆる場面で利用可能なセキュリティ製品、セキュリティ・クラウドサービスを展開していく。また、セキュリティ対策を実施するにあたり、計画・構築・運用まですべてのフェーズでサービスを提供していくほか、クラウド上のセキュリティ・インテリジェンス「Cisco Collective Security Intelligence」と各製品/サービスの連携を図っていく。グローバルサービスプロバイダー事業では、世界大手のキャリアやサービスプロバイダーを対象に、仮想化やSDNから構成される次世代ネットワークへのトランスフォーメーションを支援する。シスコと言えば、ハードウェアベンダーというイメージが強いが、ソフトウェアビジネスにも力を入れており、2015年度のグローバルでのソフトウェアの売上は1兆円に上るという。2016年もさらにソフトウェアとハードウェアを組み合わせたソリューションビジネスの拡大を目指す。例えば、ソフトウェアを購入してもらった顧客にその成果をビジネスに生かしてもらうべく、顧客のビジネスプロセスを踏まえた利用方法を提案する「定着化支援サービス」を提供している。このサービスをパートナー企業からも提案できるよう支援していく。体制については、これまで「製品によって窓口が異なるなど、煩雑」という顧客の声を踏まえ、製品と営業の一本化を図る。これに加え、営業のマインドセットを製品からソリューションセットへ変更するという。
2015年09月30日30代ともなれば、大なり小なりプロジェクトのリーダーを任されることがあるもの。いままさに、そんな立場にいるという人も少なくないでしょう。でも、一緒にプロジェクトを進める先輩や同僚、後輩に対して、「経験と直感」だけでなんとなく指示を出していませんか?「でも、どうすればいいのかわからないから……」という方にぴったりなのが、『数学女子智香が教えるこうやって数字を使えば、仕事はもっとうまくいきます。』(深沢真太郎著、日本実業出版社)です。主人公である“数学女子”の智香さんが、架空のアパレル企業「ブライトストーン社」の営業部を舞台に、数字の使い方をわかりやすく指南してくれるという内容。専門用語を用いることなく、「売上を上げるためにはどうすればいいのか」をストーリー仕立てで教えてくれるので、読みものとしても十分に楽しめます。読み終えたときにはきっと、仕事に必要な数字の意味と計算の仕方などを理解できているはず。■数字に強くなる「数会話」をしてみよう英会話ではなく、「数会話」。文字どおり、数字を取り入れた会話のことですが、この「数会話」をめぐって、本書内ではこんなやり取りが繰り広げられています。智香さん「今回のプロジェクトがなぜ、重要なのか、理解されていますか?」リーダー「●●店の売上ダウンはインパクトが大きいからだろ?」智香さん「はい、数字を入れてください」つまり「数会話」とは、こんな具合に、会社に与えるインパクトの規模を「根拠ある数字」を加えて会話に入れるということなのです。うわ~、難しそう……。とっさに数字なんて、出てこない……。そうなんです、数字を会話に加えるためには、日々の習慣が大切。しかも、会話ですぐに数字を取り出せるようになるにはちょっとしたコツがあります。たとえば、売上げの話をしていると仮定します。会話中に、何億円といった桁の大きな数字で計算するのは、ちょっと煩わしいですよね。そこで、覚えておきたいのが、売上げ全体を扱いやすい「1」という数字に置き換えて考えるという発想です。一度慣れればそれほど難しくないので、明日からの仕事に役立ちそうですよ。■厄介な「%(割合)」は分数で考えろ!「売上げの30%」など、数字を扱ううえで避けられないのが「%(割合)」です。「30%ということは0.3だから、『売上げ金額×0.3=???』と、頭のなかで行き詰まってしまったりもしますよね。けれど30%ということは、3/10。25%は、1/4という具合に、分数にすることでだいたいの数字がイメージできるのです。そして智香さんからの「%」に関するアドバイスが、「『%』を見たら、分母はなにか確認すること」というもの。詳しくは本書に譲りますが、意外と先入観で判断しやすいので注意しましょう。■仕事の効率も計算すれば求められる「作業効率が悪い」とか、「業務の効率化を図る」とか、オフィスでは「効率」という表現をよく耳にします。でも、そもそも「効率」ってなんでしょう?売上げなどの「目標とする量」に対して、「効率」とは売り場面積や時間、人数などの「割く資源」との関係性で考えるもの。計算方法はじつにシンプルで、「効率」=「目標とする量」÷「割く資源」となります。この考え方を軸に、チームで仕事を行うときに、仕事の目標とデッドラインを算出し、それを全員で共有すれば、文字どおり「効率よく働ける」というわけです。こんなに仕事がいっぱいあって、終わらない~と嘆いている人も、数字を使って作業を見なおすと、意外な盲点に気づくかもしれませんね。■戦略は3回繰り返せば9割成功する?プロジェクト内で戦略を立てて実際に行ったとしても、必ず成功するとは限りません。たとえば、Aという戦略が成功する確率を、直感的に五分五分と思ったとします。つまり、成功する確率は50%というわけです。もちろん失敗する確率も50%。では、2回連続で失敗する確率はというと、「0.5×0.5=0.25」となるので、答えは25%です。その結果を受けて、次に行った戦略が失敗する確率も五分五分だとすれば、「0.25×0.5=0.125」。つまり、失敗する確率は12.5%にまで減ります。3回行って失敗する確率が10%強なら、成功する確率は9割近くにまでなるというのです。つまり、失敗を生かして戦略を見なおし、3回行えば、なにかしらの成功体験が得られるというわけです。まさに、失敗は成功の母。「諦めなければ、いつかは叶う」など、失敗から学ぶことの大切さは感覚的にわかっていたかもしれません。でも、こんな風に数字で表されると俄然ファイトが湧いてきますね。いま取り組んでいる仕事に、ぜひ数字を生かしてみてください。(文/山本裕美)【参考】※深沢真太郎(2015)『数学女子智香が教えるこうやって数字を使えば、仕事はもっとうまくいきます。』日本実業出版社
2015年09月06日企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内)は、7月29日に東京都・大手町で、慶應義塾大教授 竹中平蔵氏を招いて、シンポジウム「成長戦略が切り開く―アベノミクスで進むコーポレートガバナンス改革・国家戦略特区」を開催する。参加費は無料。「日本再興戦略・改訂2015」(成長戦略)、「骨太の方針」を受けた民間主導の経済成長とはどうあるべきか、ゲストを招いて議論するという。基調講演では、「経済再生・財政健全化の取り組み」をテーマに西村内閣府副大臣が講演を行う予定。さらにパネル討議では、「コーポレートガバナンス改革」や「国家戦略特区」について、日本取引所グループ取締役兼代表執行役グループCEOに就任した清田氏や、コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議メンバーである冨山氏、国家戦略特別区域諮問会議有識者議員の秋池氏に話をしてもらう予定。○シンポジウム概要タイトル:「成長戦略が切り開く~アベノミクスで進むコーポレートガバナンス改革・国家戦略特区~」日時:2015年7月29日(水)16:00-17:30(15:30より開場・受付開始)会場:大手町フィナンシャルシティ・カンファレンスセンター東京都千代田区大手町1-9-7 大手町フィナンシャルシティサウスタワー 3F参加費:無料(事前申込制、定員180 名)詳細・申込み:こちらを参照(申し込みは企業・団体の人限定)
2015年07月24日本連載では近年、今までに無いサービスや市場に切り込み、著しい成長を遂げるスタートアップ企業の創業者を取材。会社設立までの道のりやこれまでの軌跡と戦略、そしてこの先に見据える未来を明らかにしていく。プライベートマーケティングプラットフォーム「B⇒Dash」の開発・提供を行うフロムスクラッチ。2015年6月には、さらなる事業拡大を視野に入れ、C Channelの代表取締役社長 森川亮氏らを新経営陣として招いたほか、弊誌以外のメディアからも多数取材を受ける、まさに業界内外から注目を集める存在だ。同社の提供する「B⇒Dash」は、集客から販売促進、顧客管理まで企業のマーケティングプロセスにおける多様なデータを統合し、分析や管理、施策実現までを一気通貫で実現するSaaS型ツール。CMSやDMP、BIなどさまざまなツールを個々に保有するのではなく、包括した1つのソリューションとすることで、最終的なLTVの向上を可能とする。同サービスにて一躍注目を集めた同社だが、同社のCEOで創業者でもある安部泰洋氏によると、2010年の創業から数年は別の事業を行っていたという。○ミッションから作れば組織は強くなる――― B⇒Dashがリリースされるまでは、まったく別の事業をされていましたよね。実は、何を事業にするか決めずに起業しました。B⇒Dash以前はデジタルマーケティングや広告、コンサルティングをやっていましたが、それらをすべて捨て去るという大きな決断をし、今に至ります。その当時、既存事業からの売上がゼロになろうと、B⇒Dashに注力する必要があると考えました。――― 開発のきっかけとなった問題意識は、何だったのでしょうか。前職(リンクアンドモチベーション)時代にコンシューマー・インサイトを見ていると、顧客を集める "前後" のところでクライアントが悩みを抱えていることが見えてきました。ですが、とにかく集客にフォーカスすることで、成り立っているのが昨今の広告ビジネス。たとえば近年、脱毛エステの広告をさまざまところで目にしますよね。「脱毛一回につき数百円」などのように激安メニューをアピールする会社も多い。しかし、初回来店してもらった後、コースを契約して通ってもらわないと、投じた広告予算を回収できない。1万人が初回だけ来店してもペイしないわけです。しかし、広告代理店がタッチしているのは、集客まで。そのあとは、自社でなんとかしなければならない。クライアントの話を聞いてみると、この状況に当然満足していなかったわけです。一方、クライアント自身も、獲得単価が最も安い施策はどれかという質問には答えられますが、売上が最も多い施策はどれかと聞いても、誰も答えられませんという現状があった。これらを受けて、マーケティングプロセスにおけるデータを統合し、すべてを可視化できたら――という思いで開発したのがB⇒Dashです。――― そして、ほかのすべての事業を辞め、ワンプロダクトにコミットしたと。そのほかに、成功要因は何にあったのでしょうか。組織の強さです。この組織でなければ、B⇒Dashは誕生していなかったかもしれません。弊社は創業当初から、ミッションドリブンで会社を拡大してきました。一般的に、「(1)事業 (2)組織 (3)ミッション」の順に作り上げていく企業が多いです。これでは、もともと事業にミッションが無いため、拡大できない会社は少なくありません。一方僕たちは、「(1)ミッション (2)組織 (3)事業」の順に作ってきました。というもの、「どのような問題・課題を解決したくて、会社を作るのか」を真っ先に考えたためです。どうすればオンリーワンで価値の高い会社になれるのか、と。そのためにはミッションに共感してもらう必要がありますよね。ミッションに共感する人間が集まると、力を持った組織が作られ、事業は自然発生的にできていくものだと思っています。○"運動神経の良い組織" が生き延びる――― 力のある組織/成長する組織の共通項は何だとお考えですか。生き残る組織とは何なのか、まさに歴史が証明しています。すなわち「変化に対応できるか」ということです。僕たちは、たとえ過去に売上を作っていた事業をすべて捨ててでも、必要なことをやっていく組織文化を作ってきました。そもそもB⇒Dashは一年前には形もありませんでしたし。同時に、一年後にプロダクトが変わっていることも、あり得ない話ではない。結論として、「市場のニーズを的確につかみ、変化にすばやく対応できる、運動神経の良い組織であり続けること」が大事だと考えています。――― では、組織編成はどうなっているのでしょうか。Aユニット (アカウンティングエグゼクティブ / 営業) と Cユニット (コンサルティング)、Eユニット (エンジニアリング / 開発) の3部門で成り立っています。Aユニットは、僕と経営戦略マネージャーの三浦でマネジメントしているチームです。5人中ほとんどが新卒で、平均年齢は24歳と若いものの、営業力の強さには自信があります。B⇒Dashは「オールインワン」と「一気通貫」をコンセプトに掲げているので、クライアント企業の全部門を巻き込むプロジェクトになるといっても過言ではありません。それこそ現場社員の方から役員クラスの方まで多くの方と直接お会いして、話を上層部まで進めていく必要があります。つまり、B⇒Dashは簡単には売れないプロダクトということです。一製品としてできることはたくさんありますが、「これ一つ導入するだけでこんなにお金がかかるの?」と相対的に高価だと見られてしまうこともある。だからこそ、戦略的な営業が欠かせず、人材力が求められるわけです。そのために、僕自身の営業経験を科学的な視点で分析し、こまかなテクニックやスキームの構築手法、法則などを体系化し、現場に徹底的に落とし込んでいます。経験のわりには相当強い組織だと思います。○大物招聘で組織の成長スピードを上げていく――― 安部社長も多くの営業経験を積んでこられたようですね。営業の仕事は大学時代からやっていました。当時から起業しようと決めていて、その下準備として経験を重ねるため15社ほど回りました。就職活動では14社中13社から内定をもらい、一番小規模ながらも社長が若くて、伸び盛りだった人材ベンチャー企業に新卒入社しました。面接では「毎月、会社の営業記録を更新するので半年後、新規事業をやらせてほしい」という希望を了承してもらい、新規事業や組織づくりも経験したあと、リンクアンドモチベーションに転職しました。同社は就活時に内定をもらえなかった唯一の企業でした。名だたる会社の内定を辞退するような、優秀な人材が多い企業だったので、ここで勝負してみかった。リンクには2年在籍し、目指していたトップを取った後、会社を起こしたという流れですね。――― 最後に。森川亮氏のほか、名だたる面々を社外取締役や監査役として招聘されましたが、その目的と今後の展開を教えて下さい。森川氏に関して申し上げると、経営者仲間から2015年2月頃に紹介され、戦略顧問に就任していただくことになりました。LINEにてビッグデータを取り扱っていた経験をお持ちですし、海外事例にも通じていて、マーケティングのプロフェッショナルでもいらっしゃいます。弊社が今後、セカンドプロダクトやサードプロダクトを生み出していくなかで、森川氏の知見をたくさん頂戴することになるでしょう。また、成長の時間軸を縮める目的もありました。僕たちは自らの組織づくりの哲学に自信とこだわりを持っていて、現場から叩き上げてきた社員を経営層や幹部層に加えてきました。入社したての中途社員をそのレイヤーに招き入れたことはありません。このやり方を今後も変えるつもりはありません。とはいえ、森川氏をはじめとする方々と比べると、社員たちは圧倒的に経験値が少ないです。だからこそ、ナレッジや知見のある人々にプロジェクト型として加わってもらい、今後、僕たちに力を貸してほしいと思ったわけです。この決断が更なる起爆剤となるよう、これからもミッションドリブンで変化に対応できる組織であり続けます。―――ありがとうございました。
2015年07月21日大競争時代といえる現代において、企業は生き抜くためにさまざまな戦略を駆使して戦っています。「戦略」がとても重要だということです。きょうは、各企業の戦略を明かしている『強みを磨き、競争を勝ち抜く 企業戦略 (VISIONARY SEMINARS 4)』(鈴木貴博著、KADOKAWA/中経出版)から、「パナソニックはなぜ研究開発に5000億円も使うのか?」を見てみましょう。■パナソニックが研究開発費を惜しまない理由パナソニックは、日本の大企業のなかでも特に研究開発費が多い企業。毎年必ずトップ10の上位に入るほど、研究開発に多額のお金を使っているそうです。不況にもかかわらず、どんなに苦しいときでも5000億円もの投資資金を研究開発に計億的につぎ込むとは驚きです。そこには、どんな理由があるのでしょうか?ここでのキーワードは、「R&D」という考え方。R&Dとは「リサーチ・アンド・デベロップメント(Research and Development)」の略称で、「リサーチ」は、長期の未来に向けた研究を、「デベロップメント」は、比較的未来に発売される商品の開発をさしています。どちらも、将来のための投資というわけです。■研究開発費に関して「もったいない」は禁止企業は、長期的な優位性構築のために投資を行なうもの。いまの利益を生んでいる商品は、基本的には過去に投資があったからこそ存在するということです。つまりR&D投資をやめてしまうと、いまの利益にはつながるものの、長期的には会社を衰退させてしまうことになります。だからこそ、成功している大企業ほど多額の研究開発費を使っているのです。たとえばパナソニックだけでなく、トヨタも8000億円強、グーグルにいたっては1兆円を超える研究開発投資を行なっているのだとか。「いま儲かっている」「いま勢いがある」ことを武器として長期的な繁栄につなげるためには、思い切ってR&Dに投資をしていくことが重要だということ。「もったいない」と考えてはいけないのだそうです。■新しい基準のせいで産業界の大問題が勃発中ところがR&D戦略に関して、近い将来、重要な構造変化が起きるかもしれないと著者は指摘しています。現在の日本の会計基準では、研究開発費は発生したときにすべて費用として処理することが可能。節税にもつながるということで、各企業が積極的に投資をするという現象が起きているのだといいます。しかし、この会計基準に「IFRS」という新しい世界共通基準を入れようという動きがあるというのです。この新しい基準のなかでは、研究開発費のうちの開発費の部分を資産化しなければいけないのだとか。そうなると、どんな大企業であっても、従来の研究開発投資のやり方を続けられなくなるかもしれないということで、産業界の大問題になっているのだそうです。なお本書には、ほぼ同内容の講義動画を、PCやスマホで視聴できるサービスもついています。読むだけではなく多角的に利用できるので、コストパフォーマンスの高さも注目に値します。(文/印南敦史)【参考】※鈴木貴博(2015)『強みを磨き、競争を勝ち抜く 企業戦略 (VISIONARY SEMINARS 4)』KADOKAWA/中経出版
2015年07月05日