プリンストンは11日、自動車のハンドルに取付けられるSiriリモコン「PIP-SRC」を発表した。発売日は18日。価格はオープンで、実売予想価格は税別3,680円。同製品は、直径40mmまでのハンドルに装着して使用できるSiriリモコン。マイクのボタンを押すことでiPhone本体に触れずSiriを呼び出せる。iPhoneとのペアリングはBluetoothによって行い、アプリによる設定などは必要ない。サイズ/重量は、W192×H20×D32mm/約22g。
2016年03月11日ルネサス エレクトロニクスは3月8日、自動車のエンジンやトランスミッションなどのパワートレイン制御向けに、従来以上の自動車の燃費向上を可能とする32ビットマイコン「RH850/E1M-S2」を開発したと発表した。同製品は、新開発のCPUコア「G3MHコア」を搭載。同コアはTj=150℃下で動作周波数320MHzを実現した前世代コア「G3Mコア」をベースに、メモリや周辺機能へのアクセスレイテンシを改良したことで、エンジン制御システムの点火時期・燃料噴射制御といった実行時間を、従来品比で約30%向上(エンジン制御処理シミュレータでの実行時間比)。また、CAN FDへの対応のほか、センサ情報の通信規格SENTに対応したRSENTを6チャネル搭載することで、約50個のデジタルセンサとの通信が可能。単一な信号線で複数センサとの信号の伝達も可能であるため、ハーネスの重量提言も可能としている。さらに、車載セキュリティの標準規格であるSHE/EVITA-Lightに準拠したハードウェアセキュリティモジュールICU-Sを搭載し、データの暗号処理や乱数発生のための機能を搭載している。加えて、従来製品からの容易なアップグレードの実現に向け、ソフトウェアの命令セットの上位互換性を確保しているほか、従来製品「RH850/E1M-S」とピン配置を完全互換とすることで、基板レイアウトをそのままに流用することも可能となっている。このほか、ユーザーの開発支援として、従来製品「RH850/E1x」同様に、GUI上で設定した周辺機能をCソースドライバとして自動生成するコード生成ツールも提供されるほか、パートナ企業と連携してモデルベース設計開発の支援も行っていくという。なお、同製品はすでにサンプル出荷を開始しており、価格は1万2000円(税別)としている。量産は2017年9月からを予定しており、2018年4月に月産10万個を計画しているという。
2016年03月08日Infineon Technologiesは、ARM Cortex-M0を採用した産業用オートメーション、デジタル電力変換、電子制御などの分野に向けたマイコン「XMC1400シリーズ」を発表した。同シリーズは、Cortex-M0コアのクロックサイクルを48MHzとすることで、従来のXMC1000マイコン(32MHz)に比べ、処理能力を向上しているほか、PWMタイマやADコンバータ(ADC)などの制御用ペリフェラルについては、2倍の周波数となる96MHzで動作させることが可能。また、三角関数の演算/除算をリアルタイムで行うことができるMATHコプロセッサを内蔵しており、Cortex-M0と並列で動作することで、さらなるリアルタイム演算を実行することが可能だ。また、4つのCCUタイマモジュール(CCU4モジュール2個、CCU8モジュール2個)と、これらに最大16個の独立したタイマ(リアルタイムでのPWM生成用途など)を搭載しているほか、BCCUペリフェラルユニット(輝度色彩制御ユニット)も搭載しているため、LED制御では、ちらつきのないデジタル調光とカラー制御を行うことが可能となっている。さらにスイッチング電源の調整用に、最大4つのコンパレータも搭載されている。なお、同シリーズ製品は、全パッケージの派生製品ですでにサンプル出荷のほか、小型評価ボード、ブートキットが提供されている。また、LQFP-64パッケージでの量産も開始しており、その他の製品についても2016年第2四半期中の量産開始を予定しているという。
2016年03月07日豆蔵は2月24日、東京農工大学(農工大)と産業用ロボットアームの開発期間を短縮するための設計手法に関する共同研究を開始したと発表した。一般的に、産業用ロボットアームの新規開発では、既存のロボット開発の経験に基づき、目標とする機能・性能を達成するまで実機ベースで試作・検証を繰り返し、通常、完成までに数年の期間を要する。一方で近年、3次元CADや物理シミュレーション技術(CAE)により、コンピュータ上のモデルで機械の強度や挙動、振動、組立について実験・検証を行うことが可能となってきている。今回の共同研究では、ロボット工学が専門の農工大 先端機械システム部門 遠山茂樹教授と共に、ロボットモデル作成、動作シミュレーションによる負荷トルク推定に基づく最適なモータと減速機の選定、動作解析や構造強度解析・振動解析に基づく形状の最適化、3次元CADによる図面化、実機試作、実機性能評価などを実施し、産業用ロボットアーム実機製作の過程における課題やその解決手法、改善手法について、検討・レビューを行い、このサイクルを繰り返すことで設計手法を確立していくという。同社は、同研究から得られた開発プロセスに対する知見やロボット設計ノウハウは、産業用ロボットに限らず介護ロボットなどの幅広い分野において有効であるという考えを示している。
2016年02月25日国立情報学研究所(NII)は2月15日、日本の社会や産業界に変革をもたらすようなコグニティブ・テクノロジーによるイノベーションを推進する研究部門「コグニティブ・イノベーションセンター」を2月1日付けで設置したと発表した。同研究所の11番目となる研究施設(センター)で、東京大学 名誉教授でもある早稲田大学 基幹理工学研究科 情報理工専攻の石塚満 教授がセンター長を務める。同氏は、長年にわたり人工知能に関する研究を行ってきており、人工知能学会の会長などを務めるなど、人工知能分野で高い業績を有しており、2015年12月よりNIIの客員教授に就任している。NII所長の喜連川優氏は、「同研究センターに期待することは、3年後にイノベーションを生み出すとは言っているが、それ以上の、こういったことを行っていく、という具体的なことについては述べていない。逆に考えると、機動的に考えるフレームワークを作っており、変化の激しいITの1年先を見据えながらターゲットを絞り込んでいくというNIIとしてもエキサイティングな取り組みを行うことになる」とその役割を説明。NIIとしても新たな挑戦としての位置づけにあることを強調する。具体的な取り組みとしては、日本アイ・ビーエム(日本IBM)と研究契約を締結し、同社より支援を受ける形で複数の参画企業とともに、コグニティブ・テクノロジーを活用し、社会への展開力や活用力といった人間の認知や判断の支援を促進する新たなイノベーティブを生み出すことを目的に、参画企業のCEOやCOOといった経営判断に直接関与するレベルの役員などが参集し、新たなビジネスコンセプトの創造などを行っていくことを目指すとする。2016年2月15日時点での参画企業は以下のとおり(五十音順)。アルパインイオンフィナンシャルサービスオリンパスエイチ・アイ・エス小松製作所みずほフィナンシャルグループ三井住友銀行三越伊勢丹ホールディングス三菱東京UFJ銀行キッコーマン食品キリンビール第一生命保険帝人DIC東京海上日動火災保険日揮日産自動車日本航空パナソニック三菱自動車工業明治安田生命保険相互会社今回用いられている「コグニティブ」という言葉は、近年、IBMが良く活用することで知られるようになっているが、同センターが語る「コグニティブ・テクノロジー」は、IBMが語る「コグニティブ・コンピューティング」と同義語ではなく、学術的な意味も含めた広い考えでの、機械学習や自然言語の処理と理解、ビッグデータや知識ベースの構築と利用などの知的情報処理の集合体を指しており、日本の産業界のトップレベルたちとの対話を通じて、広い活用を図っていきたいとする。NIIは専任スタッフとして、数名の特任助教やインターンを用意するほか、NII内部での人工知能系研究者や各大学・研究機関の研究者、IBMのグローバルで活躍するコグニティブ・コンピューティング研究者たちの協力も得る形で研究を進めていく予定としている。研究期間としては3年間をめどとしているが、イノベーションの創出具合により、その後の継続も検討していくとしており、まずは初年度の取り組みとして、参画を決めている21社を中心に話し合いを進め、6月~7月を目安にターゲットを絞って、デモシステムの構築を進め、評価を行っていくとしている。また、2年目以降は、初年度の反省点や良かった点を踏まえて、新たな参画企業を募り、イノベーションの創出に向けた取り組みを進めていく計画だという。なお、IBMは、今回の取り組みに対し、研究者やコンサルタントによる支援のほか、「IBM Watson」やアプリケーションの構築・管理・実行を行うためのクラウド基盤「IBM Bluemix」の提供などを行うほか、2015年10月に開設したばかりの「戦略共創センター」を研究会の開催場所として提供するとしている。
2016年02月16日キーエンスはこのほど、産業用ロボットに関する基礎知識を集約した「FAロボット.com」を公開した。製造業の現場では、省人化や作業効率向上を目的として、産業用ロボットを導入する企業が増加している一方で、ロボットの使い分けなど、専門知識を理解することが難しく、導入へのハードルが高いことが大きな課題となっている。これに対し、「FAロボット.com」では、「産業用ロボットとは」という基本的な情報のほか、業界ごとの産業用ロボット活用事例などを紹介。さらに、画像処理総合メーカーである同社の強みを活かした「ロボットビジョン」がもたらす具体的なメリットも解説されている。同Webサイトは、「産業用ロボットとは」「産業用ロボットの活用事例」「ロボットビジョンについて」が主な内容となっているほか、ロボットビジョンに関するPDF資料も、無料でダウンロードすることができる。今後は、製造現場でのロボットビジョンの導入事例などを追加していく予定だ。
2016年02月09日三菱電機、東京工業大学、龍谷大学、マイクロ波化学は1月25日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「クリーンデバイス社会実装推進事業/省エネルギー社会を実現する高効率高出力マイクロ波GaN増幅器」において、出力電力500WのGaN増幅器モジュールを加熱源とする高効率な産業用マイクロ波加熱装置を共同開発したと発表した。GaN増幅器モジュールは、SiやGaAsを使用した増幅器モジュールに比べ、高出力が得られるとともに装置の小型化に貢献する。近年では通信・レーダー分野においてGaN増幅器モジュールへの置き換えが進められているほか、高効率という特長を活かして産業分野での新たな活用も期待されている。今回4者は、化学産業分野の省エネルギー化に着目。現在主流である化石燃料を産業用加熱装置の加熱源とする外部加熱方式は、試料を加熱する前に装置自体を加熱する必要があり、その分のエネルギーが無駄に消費されているが、GaN増幅器モジュールを用いることにより、電子レンジと同じ原理で試料を局所的に加熱するマイクロ波内部加熱方式の採用が可能となり、エネルギー消費を70%低減できるという。また現在はマグネトロンを加熱源としたマイクロ波内部加熱方式が一部で導入されているが、マグネトロンは位相コヒーレンスが低いために大電力化が難しく、燃料油や石炭などの試料を分散的に加熱しなければならず、加熱装置内部で生成される化学物質の大量生産が困難となっている。一方、GaN増幅器モジュールが出力するマイクロ波は、位相コヒーレンスが高いため大電力化が可能。さらに位相を制御することにより温度分布を自在に制御し、局所的に内部加熱することで、化粧品やインク塗料などの化学物質生成時の生産効率性を約3倍向上させることができる。三菱電機によると、マイクロ波加熱装置に適用するGaN増幅器モジュールは、2016年度以降に実用化する予定だとしている。
2016年01月25日日立産業制御ソリューションズ(日立産業制御)は1月25日、鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN」の新バージョン「ADSTEFAN Ver.2016」を日本国内向けに2月1日より販売開始すると発表した。同バージョンでは、湯流れ解析において新しい数値解析アルゴリズムを採用し、従来、曲面を含む形状では鋳型に沿って進むことが難しかった湯流れについて、鋳型に沿った滑らかな解析を可能とした。さらに、凝固解析の温度解析結果と実測値の比較が容易に可能となるツール、および3D CADソフト「SOLIDWORKS」の連携ツールを搭載するなど、機能拡充を行っている。同社は今回の日本語版に続き、英語版と中国語版を順次販売する予定で、日本国内をはじめ中国、インドおよび東南アジア地区において、年間150ライセンスの販売を目指すとしている。
2016年01月25日光岡自動車は20日、ミディアムクラスセダン「リューギ」に、ステーションワゴンタイプの「リューギ ワゴン」を新たに設定し、22日に発売すると発表した。リューギは、コンパクトセダン「ビュート」と、フルサイズセダン「ガリュー」の中間に位置するミディアムクラスセダンとして2014年6月に誕生。ハイブリッド車もラインアップされ、「クラシカルでハイブリッド」という他にないジャンルで独自の路線を歩んできた。今回発表されるリューギ ワゴンも、ステーションワゴンならではのユーティリティをプラスしたほか、1,500ccのガソリンエンジン搭載車のほかにハイブリッド車も用意されており、「クラシカル・ワゴン・ハイブリッド」というキーワードでより高い付加価値を実現した。デザイン面では、フロントフェンダーから伸びるエッジの効いたキャラクターラインでワゴンならではの伸びやかさを表現し、セダンとは異なるスポーティな雰囲気に仕上げている。また多彩なライフスタイルを想定し、セダンよりも多い7色のボディカラー設定やオプション品の充実を図り、アクティブなユーザーも楽しむことができる仕様とした。同社のアイデンティティーと言える、縦型ラジエターグリルに丸型ヘッドランプを配置し、メッキ加工を施した前後のバンパー部に厚みを持たせる事で、ミディアムクラスでありながら堂々たる存在感を主張。また、ラジエターグリル上面に貼付するエンブレムの素材に伝統工芸の「七宝焼き」を採用し、ディテールにも拘っている。リューギ ワゴンには2WD車と4WD車があり、1,500ccのガソリンエンジンもしくはハイブリッドを搭載。ミッションは5MTとCVT(ハイブリッドは電気式無段変速機)を用意している。価格は、ガソリン車が249万9,120円~316万1,160円、ハイブリッド車が339万8,760円。
2016年01月20日テクノスデータサイエンス・マーケティング(TDSM)とネクスは1月20日、自動車テレマティクス分野で業務提携したと発表した。TDSMはIoTを活用したデータ分析の実績を有し、独自のアルゴリズム解析技術を搭載したAI製品「scorobo」などの製品を提供しているほか、日本マイクロソフトやセールスフォースなどのクラウドベンダーとプラットフォーム基盤においても協業体制を構築している。一方のネクスは、M2Mデバイス開発・情報通信技術に強みを持ち、国内市場向けに20項目以上におよぶデータ取得、900種以上の車両対応数を持つOBDIIデータ通信端末を製品化しており、車両データ取得技術と通信技術を提供している。両社は今回の業務提携によって、テレマティクスデータ解析ソリューションを提供し、リアルタイムで大量の車両データ取得からデータ分析までをワンストップで提供することが可能になる。また、Microsoft Azureを用いてテレマティクスプラットフォームを提供することで、ネクスがこれまで進めてきた解析ソリューションの事業効率化およびコストの軽減につなげ、顧客企業における早期立ち上げを実現する。今後、1年以内に5法人、3年位内に30法人の導入を目標とし、自動運転においても運行データの収集や地域ごとの車両の流れや傾向などの予測にもテレマティクス・ビッグデータを活用できる可能性があることから、両社は継続してノウハウを蓄積し、ビジネスを展開していくとしている。
2016年01月20日電通国際情報サービス(ISID)は1月15日、三菱地所と電通と協業し、FinTechスタートアップ企業の成長を支援・加速する産業拠点となる「The FinTech Center of Tokyo Fino Lab(「Fino Lab」、フィノラボ)を、2月1日に開設することを発表した。「Fino Lab」は、FinTechスタートアップ企業と、スタートアップ各社の成長を支援する各界のプロフェッショナルが集う協働の場であり、活動そのものを指す名称としている。東京国際金融センター構想の中枢である大手町エリアに拠点を置き、活動全般の運営をISIDが担うという。具体的な活動内容は、有望なスタートアップ企業の発掘や、各社がサービス開発に集中できる環境やリソースの提供、専門家によるメンタリング、オープンコミュニティ形成を促す各種イベントの開催、国内外の投資家や需要家とのマッチング機会創出などが実施される予定となっている。「Fino Lab」の運営にあたっては、FinTechに関連する各領域のプロフェッショナルである有志個人(弁護士、投資家、起業家、金融従事者など)が集結し、今月設立予定の金融革新同友会「Finovators(フィノベーターズ)」と密に連携していくという。高い志と専門性を持つ個人のプロボノ活動(社会人が、自らの専門知識やスキルを生かして行う社会貢献活動)をベースに、ファイナンス、許認可、セキュリティ、海外展開など、スタートアップ企業の成長に必要な各領域のメンタリングを実施していくことで、特定の企業や業界にとらわれない、オープンなコラボレーションの場を創出していくことが目標として掲げられた。
2016年01月15日2016年1月13日から15日まで、東京ビッグサイトにて開催されている自動車技術の展示会「オートモーティブ ワールド2016」にて、Infineon Technologiesの日本法人であるインフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、TPM(Trusted Platform Module)の車載適用に向けた紹介などを行っている。TPMは、Trusted Computing Group(TCG)が策定するハードウェア耐タンパ性を有するセキュリティチップであり、同社は最新仕様となるTPM2.0に準拠した製品「OPTIGA」を他社に先駆けて提供するなど、セキュリティに対しての優位性を有している。今回、同社が自動車向けとして同ソリューションの紹介を行っているのは、2015年にTCGが「TCG TPM 2.0 Automotive Thin Profile」および「TCG TPM 2.0 Automotive Rich Profile」として自動車向け仕様を策定したことを受けてのものとなる。自動運転のみならず、クラウドと自動車の連携や、車車間通信、車道通信など、クルマと車外との通信の頻度は今後、爆発的に増加していくことが見込まれている。一方で、そうしたネットワークを経由したハッキングの危険性も指摘されるなど、ネットワークの安全性の確保が課題となってくる。TPM 2.0 Automotiveでは、そうした課題に対し、ECUを守ることを目的としており、エンジンルーム内での機器同士の通信などでも活用が可能であり、まさに自動車におけるあらゆる通信を守ることを可能とするソリューションだと同社では説明している。なお、現在、同社ではAEC-Q100の認証取得に向けた手続きを進めているとしており、今後、AEC-Q100認証を取得したTPM 2.0 Automotive対応製品の順次提供される予定だという。
2016年01月14日Mentor Graphicsの日本法人であるメンター・グラフィックス・ジャパンは12月4日、都内で同社の自動車関連ソリューションの紹介を行うプライベートカンファレンス「IESF 2015 Japan」を開催。併せて自動車や航空宇宙システムのシステム設計の効率を向上させる新製品「Capital Systemsシリーズ」を発表した。自動運転に代表されるように自動車のエレクトロニクス化は年々進んでおり、それにあわせて複雑度も高まっている。一方で、高機能化を理由に価格を引き上げることは困難であるため、システムの低価格化も重要になっている。同社はこれまで、そうしたニーズへの対応を目指し、電装システム/ワイヤハーネスを設計するためのツール群「Capital」を自動車の設計領域に向けて提供してきたが、「Capital Systems」は、その上流工程で、各ECUや配線、バスなどの要件を検討するアーキテクチャ設計(Define領域)に用いることを想定して開発されたツールで、「Capital Systems Caputure」と「Capital Systems Architect」の2つのツールが提供される。Capital Systems Caputureは、ECU内部のそれぞれの要素や機能をファンクショナルブロックとして分け、それらを結びつけることで、モデルベースでのネットワークの接続を可能とするもの。一方のCapital Systems Architectは、各種の機能をクルマの全体にマッピングしていき、整合性をとりながら、開発に渡すことを可能とするもので、物理的な各機能の配置をフロアプランとして行った後、簡易的な配置配線まで行うことができるため、どこがどういった配線長となっているかを理解できるほか、どこに分岐を用意する必要があるか、といった確認などを行うことができる。また、仮配置を行った段階での部品点数や配線長などの予測を確認することができるほか、ECUレベルでのCPUパフォーマンスなども見える化された状態でのシミュレーションも実行できるため、配線箇所の変更などを行った際のパケットの流れに伴うパフォーマンスの変化なども比較することが可能となる。さらに、こうしたデータを元に入力スペックデータとして、プリント基板の設計ツールなどにその情報を渡すことも可能だという。なお、Mentor GraphicsのIntegrated Electrical Systems Division(IESD)、General ManagerであるMartin O’Brian氏は、「例えば自動車に照明システムに1つ新たな機能を実装しようと思うと、2000のファンクショナルブロックが必要になる。今後、エレクトロニクス化がさらに進めば、その数は膨大なものとなり、旧来手法では設計の複雑性に対応できなくなる。そうした意味で、Capital Systemsを用いることで、アウトプットとして、それぞれの機能開発を担当するチームに、こうしたスペックでこのように作ってもらいたい、といった提示が可能になる」としており、ファンクションからフィジカル、ロジカルまですべてがつながるこれらのツールを活用することで、カスタマの開発効率向上につなげたいとした。
2015年12月09日u-blox(ユーブロックス)は12月2日、報道陣に向けた記者会見を行い、日本市場における2016年度の事業戦略を発表した。ユーブロックスは、1997年に設立したスイスの半導体企業で、ワイヤレス通信、測位用半導体におけるICとモジュールの両方を提供している。自動車向け通信および測位用半導体の需要の高まりとモバイル端末の急速な普及を背景に、同社は順調に成長を遂げており、2015年度上半期の売上高は前年同期比33.1%増を記録したという。ユーブロックス CEO兼マーケティング・営業部門最高責任者 トーマス・ザイラー氏は、急速に拡大するIoTおよびM2M市場について「IoT市場は、産業向けと個人向けの2つに分けられる。産業用のなかでも最も大きい市場は、スマートシティ。次に、製造、M2M、自動車と続く。これらはビジネスに不可欠なインターネットで、B2Bアプリケーションから得られるデータの価値は、FacebookやTwitterから得るデータの価値に勝る」としたうえで、「私たちは中核技術をコントロールしているので、IoTのなかでも大きなビジネスをサポートできるコンポーネントを提供できる。産業要求に応えられるよう安全で堅牢性の高い製品を作っていきたい」と今後の展望を語った。同社は特に、自動車市場と産業市場の2つの市場を2016年度の日本における注力市場と位置づけている。自動車市場において同社は、衛星測位システム(GNSS)やセルラー通信、Wi-Fi、Bluetooth通信などに関わる車載用製品・コンポーネントを提供していく。特に、コネクテッドカー市場向けに自動運転対応の高精度GNSSと車車間通信(V2V)モジュールを提供。また、レーダー探知機などのスタンドアロン製品の設計から大量生産、国内での技術サポートも行っていく。準天頂衛星システム(QZSS)衛星信号を含む次世代製品の開発も推進していくという。産業市場においては、すべてのワイヤレス通信技術とGNSS向けに、高品質のチップおよびモジュールの両方を提供していく。特にスマートメーター、フリートマネジメントなどのスマートインダストリー、ヘルスケア用アプリケーション市場向けの事業強化を図るため、国内での技術サポートを提供し、セルラー通信やWi-Fi、Bluetooth通信に関するソフトウェアベンダーとの協業を強化していくとしている。
2015年12月02日日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は12月1日、IoTにおける複雑なアプリケーション要件に対応可能な産業用コントローラ「IC-3173」を発表した。同製品は、Intelの「Core i7」(デュアルコア版)に、高度な信号処理や画像処理にも対応できるユーザプログラマブルなXilinxのFPGA「Kintex-7 160T」、カスタマイズが可能なデジタルI/O、高速閉ループ制御を組み合わせることで、高い処理性能を実現。PoEに対応したGigabit Ethernetポートを6つと、USB3.0ポートを2つ搭載しているため、GigE VisionやUSB3 Visionに対応するカメラを複数つないで、取得した画像を同時に処理することができる。また、EtherCATマスタ、Ethernet/IP、RS-232/485、Modbus、Modbus/TCPに対応しており、PLCなどのデバイスやオペレータ用インタフェースとの通信が確立可能。システム開発ソフトウェア「NI LabVIEW」に対応しているので、制御アルゴリズムのカスタマイズや、画像処理の実行、高度な解析を容易に実施できるという。同社によると、従来のように複数のコントローラを用いてシステム構築をする必要がなく、一台のコントローラでシステム構築が行えるため、システムの複雑さが軽減され、低コスト、省スペース化が実現できるとしている。
2015年12月01日●爆発的なブームがシュリンクしたワケ1987年に映画「私をスキーに連れてって」が公開されて以降、爆発的なブームを迎えたスキー。関越自動車道、東北自動車道、中央自動車道沿いには毎年のようにスキー場がオープンし、既存のスキー場もトリプルリフト、クアッドリフト、ゴンドラを開通させるなど、輸送力を急激に強化していった。それでも人気コースにかかるリフトやゴンドラの乗り口にはスキー客があふれ、週末ともなれば1時間待ちということもザラだった。ところがこのスキーブームは一気に衰退していく。○最盛期は1,800万人もスキー人口は800万人以下に国土交通省・観光庁が今年初頭に発表した資料によると、スキー人口は1993年に1,770万人とピークを迎えそれ以降は減少していく。1998年に普及したスノーボード客により、ウィンタースポーツ客全体としては1,800万人のピークとなるが、あとは減少の一途。2013年には770万人にまで落ち込んでしまった(レジャー白書の数値を観光庁が引用)。これほどスキー人口が減少してしまった理由を老舗のスキー雑誌「月刊スキージャーナル」編集長、井上淳氏は「バブル崩壊による経済の衰退がすべての主因といえるでしょう」と断定する。また井上氏は、一度落ち込んだスキー需要を取り返せなかった理由を2点挙げた。ひとつはバブル期にスキーを楽しんだ世代が落とす莫大な経済効果を受け容れてきたスキー産業が、“殿様商売”から抜けられなかったこと。もうひとつが、経済衰退により若者層が減収しライフスタイルが変化、携帯電話などの情報端末やゲーム機に消費が向かったことだ。特に前者については、「スキー場がホテルやプールなどと複合施設化し、“滑る”というスキー本来の魅力を希薄化させてしまいました。スキー場ではなくレジャー施設に変化したのです。となるとTDLのような移動時間が少なくて済む首都圏のレジャー施設との競争となります。当時話題になった“スキーよりもミッキー”というCMキャッチが象徴的です(笑)」と補足した。つまり、殿様商売によりかつてスキーを楽しんでいた層の呼び戻しに失敗し、若者層のライフスタイルの変化により将来の優良顧客を取り込み損ねたということになる。アメアスポーツジャパン株式会社でサロモンブランドを担当するサロモン ウィンタースポーツ SKI プロダクトマーケティング マネージャーの田口龍児氏は、携帯電話などの情報機器の普及がスキー産業に影響したと認め、さらにユニークな見解を示した。「以前は、テレビや新聞で天気予報を得られても、それがリアルタイムな情報ではなかったため、とりあえずスキー場に行ってみようという雰囲気がありました。ですが情報端末が発展してからは、現地の天候が悪いと知れば容易にあきらめられます。また、携帯電話やSNSで不参加を伝えやすくなっており、それによるスキー行きそのものが消滅する事例も増えています」。では、このままスキーは衰退の一途をたどるのか?●旺盛なインバウンド消費がカギのひとつスキー産業がこのまま先細っていくのではないかという予想に対し、業界関係者は懐疑的だ。というのも、日本のスキー産業にはいくつか光明がみえているからである。その光明のうち、もっともわかりやすいのはインバウンド消費の取り込みだろう。2014年に年計として最高数の1,341万人に達したインバウンドは、2015年9月には1,448万人に達した。すでに最高数値の昨年を抜き、年間1,800万人に届くのではと予測されている。こうしたインバウンドのうちの数%の目的が日本の“雪”を求めているとされる。その象徴的な例が北海道ニセコ地区だろう。南半球に位置するオーストラリアやニュージーランドのスキー客は、古くから北半球に位置する日本のスキー場に目を向けてきた。そんな彼らが北海道のパウダースノーに注目し、集まりだしたのがニセコ地区だ。以来、オーストラリア企業の投資を呼び込み、地域自治体も協力して“外国人街”を形成した。今ではニセコを訪れた日本人スキーヤーによると「自分たちが外国に来たみたい」と錯覚するほどだという。○ブランドともいえる日本のパウダースノー前出の井上氏は「日本のパウダースノーは“ジャパンパウダー(ジャパウ)”と親しまれており、海外でも“ブランド雪”と認識されています。日本海を北に横たえた地理環境は降雪に向き、毎晩でも雪が降りやすい。欧米のスキー場の場合は、ドカッと降ったあと、何日も降雪がなく新雪がなかなか楽しめない状況になりやすいので、“朝起きたら新雪”となりやすいジャパウが注目されるのです。事実、インバウンドの目はそうした降雪になりやすい長野県・白馬地区や野沢温泉地区にも向いています」と語る。となれば、集客に悩むスキー場は、インバウンドの取り込みに向かえばよいのかというと、そうでもないという。ウィンタースポーツを楽しむインバウンドには2種類に分けられる。一方は長期滞在でジャパンパウダーを楽しみたい欧米からのインバウンド。もう一方は、中国や東南アジアなど、あまり雪に親しんだことのないインバウンドだ。前者にはジャパンパウダーと彼らの長期滞在を支える麓の“街”が必要。ニセコには海外の投資を呼び込んだ外国人街が、白馬には大糸線が貫く白馬村が、野沢温泉には長野県内屈指の温泉街がある。ジャパンパウダーを期待できない首都圏近郊のスキー場は、まずは雪に馴染んでもらうということで後者の取り込みのほうが向くのではないか。ただ、中国の経済停滞が指摘される中、彼らの消費意欲がいつ途切れるかわからないリスクはある。その意味では欧米からの需要のほうがやはり安定的だろう(井上氏)。前出の観光庁の資料によれば、アメリカのスキー場は1982年に735箇所あったが、2005年には478箇所まで減っている。それにも関わらず、スキー場の利用者数は82年の5,000万人弱から7,000万人弱まで増えたとしている。こうした情勢を踏まえれば、日本にとって井上氏のいう安定した需要の取り込みの好機といえる。では、そのほかの突破口はあるのだろうか。●スキーメーカー、スキー場、それぞれの対策サロモンブランドを担当する田口氏は「1990年代はスキー産業の全盛期で、私たちの製品も店頭に置けば売れるという状況でした。ですが、売上に陰りが出てからというもの、単にハードウェアだけを売っていればよいという認識は改めました」という。○レンタル事業でスキー需要を呼び起こすそこで同社が手がけたのが「サロモンステーション」。これは、高品質なスキー用品をレンタルできる施設で、2000年に五竜スキー場に開設され、現在15拠点を展開しているという。スキーメーカーが最新の高品位用品のレンタル事業を手がけると、新製品が購入されなくなるのではないかと疑問が残る。これに対し田口氏は「確かに“サロモンステーション”の施策が、新品の販売を圧迫している事実はあります。ですが、スキーは初期投資が高額になってしまうスポーツ。初期投資が高いからといってスキーを始めるのをあきらめられてしまうよりも、“レンタルでよいので最新の板に乗れるのなら一度試してみようか”と思ってくださるほうが、スキー場にとっても我々にとってもプラスです」とそのねらいを語る。事実、サロモンステーションを展開するスキー場からは、入場者数が増加傾向にあると報告を受けているそうだ。サロモンがねらう層は、過去にスキーを楽しんでいた人たち。「1990年代にスキーを楽しんでいた人たちは、子育てが佳境にさしかかっていると思います。そういった方々がお子さまを連れてスキー場に訪れていただき、最新のスキー板を試していただく。それで、お子さまがスキーに興味を持っていただければ幸いですし、あわよくば“またスキーを始めてみるか”と、親御さんに当社の新品をご購入していただければ(笑)」。全盛期の1991年、スキー用品市場は約4,300億円といわれたが、2012年にはその1/4の約1,100億円まで低下した。田口氏によるとサロモンブランドの売上高は全盛期から4割程度まで落ちたというが(数値は非公開)、市場全体の落ち込みからみればサロモンは健闘したといえる。これは、スキー板、ビンディング、ブーツ、ウェアすべての用品を1ブランドで統一できるナショナルメーカーの強みがあったからだという(井上氏、田口氏)。○紋切り型のスキー場運営からの脱却スキーを運営する側も手をこまねいていなかった。経営難に陥ったスキー場を傘下におさめ、グループとして戦略を建てる観光企業もスキー産業を変化させているという。その代表例が加森観光やマックアース、日本スキー場開発、星野リゾートなどだろう。こうした企業はスキー場を傘下におさめると、グループ内での特徴を与えるという。例えば「周辺地域1時間圏内にしか広告を打たない地元密着型スキー場」、「フリーライドスキー施設が多いパークスキー場」、「グルーミング(ゲレンデ整備)を徹底的に行うスキー場」などだ。単体経営だったり第三セクターだったりすると、どうしてもすべての需要を満たさなくてはならない“紋切り型”のスキー場になってしまい個性は生まれない(井上氏)。だが、グループ内でそれぞれ役割を与えれば、多様化するスキーヤーのニーズに応えられるというわけだ。ここ数年、スキー産業は横ばい、もしくは微増という報告が目立つようになった。これはある意味底を打ったといえるかもしれない。しかし、1990年代に起こったような爆発的ブームはもう期待できない。いかにこの横ばい・微増傾向を続けていくか。スキー場、スキーメーカー、宿泊施設など業界関係者の努力が試される局面だ。
2015年12月01日光岡自動車は30日、新型霊柩車「ミツオカリムジンタイプV」と「リューギセンターストレッチリムジン」を発表し、12月8日に発売すると発表。また、12月8日~10日の3日間に東京ビッグサイトで開催される「エンディング産業展2015(ENDEX)」での、両車の発表展示会開催も発表した。ミツオカリムジンタイプVは、オリジナルデザインの厳格な面持ちと高級車としての品格を備えた霊柩車のフラッグシップモデルで、「尊厳ある終焉を格別な畏敬の念でお見送りする」というコンセプトで開発。リューギセンターストレッチリムジンは、端正なデザインと女性でも運転可能な車輌寸法が特長で、環境に配慮したハイブリッド車の設定や、霊柩車としては手頃な価格帯で変わりゆく葬儀様式とニーズにマッチしたモデルとなっている。生産方法は、1台1台職人の手作業により行われ、車輌延長工程では職人自らが部品図を描いて溶接を行い、国内では最大級となる8基の塗装下地ブースと3基の塗装ブースであらゆる板金塗装に対応する。これまで乗用車メーカーとして公に霊柩車を生産・販売をしているメーカーはないとのことだが、同社はアフターサービスで肝心な補給部品の安定供給や、店舗での販売・修理受付まで一貫したメーカーならではの体制を提供する。また海外への輸出も試験的に開始し、市場性を分析しながら拡販してゆく予定。価格は、ミツオカリムジンタイプVの400mmオーバーハングストレッチ仕様(乗車定員2名)が750万6,000円~828万3,600円、1,200mmセンターストレッチ及び400mmオーバーハングストレッチ仕様(乗車定員5名)が955万8,000円~1,033万5,600円、リューギセンターストレッチリムジン(乗車定員2~3名)が570万2,400円~635万400円(いずれも税込)。
2015年11月30日マツダは27日、新型「ロードスター」および同車の開発グループが、「日本自動車殿堂」による「2015~2016日本自動車殿堂カーオブザイヤー」を受賞したと発表した。授賞式は同日、マツダ東京本社にて行われた。マツダ車による同賞受賞は、2003~2004の「RX-8」に続いて3回目となる。新型ロードスターは、「SKYACTIV技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を採用した新世代商品の第6弾となるモデル。人がクルマを楽しむ感覚の深化に徹底的に取組み、「人馬一体」の楽しさを追求した、後輪駆動(FR)の2シーターライトウェイトオープンスポーツカーとなっている。今回の受賞理由としては、「洗練されたオープンスポーツカーデザイン」「軽量高剛性ボディによる卓越した走行性能と低燃費」「進化した『SKYACTIV(スカイアクティブ)技術』」が挙げられている。
2015年11月27日Texas Instruments(TI)は11月17日(米国時間)、Industry 4.0のリアルタイム・アプリケーションを可能にする産業用ギガビット・イーサネットPHY「DP83867ファミリ」として6製品を発表した。同ファミリは、1000Mbps時と100Mbps時に、競合製品比で50%良好な400nsのレイテンシを実現しているほか、競合製品比で4倍以上となる8kV以上のESD保護機能を提供するとしている。また、WoL(Wake-on-LAN)とパワーダウン・モードにより、システムスタンバイ時の省エネルギー機能を実現できるほか、アクティブ時消費電力も、競合製品比で少なくとも30%低い460mW未満を実現するという。なお、同ファミリはすでに量産出荷を開始しており、1000個受注時の単価(参考価格)は4.40ドルからとなっている。また、評価モジュール(EVM)もすでに提供を開始しており、ギガビット・メディア・インディペンデント・インタフェース(GMII)とリデュースドGMII(RGMII)をサポートする「DP83867IRPAP-EVM」が199ドル(参考価格)、RGMIIをサポートする「DP83867ERGZ-R-EVM」199ドル(同)でそれぞれ提供されている。
2015年11月20日日立製作所(日立)および日立産機システム(日立産機)、日立産業制御ソリューションズ(日立産業制御)は11月16日、IoTやグローバル展開に対応する次世代型産業用コントローラを開発したと発表した。従来は、メーカーごとに異なる独自のプログラミング言語のPLCと固有ネットワークを組み合わせたオートメーションシステムを構築しているため、IoTに対応するためには設備機器との通信の親和性の確保が、また、グローバル展開のためにはノウハウを持つ技術者の確保が課題となっていた。これに対し、3社が開発した次世代型産業用コントローラでは、国際標準であるIEC61131-3規格に準拠したプログラミング言語を採用することで、プログラミング技術者の確保をより容易にした。また、産業用オープンネットワークであるEtherCATを採用することで、近年急速に普及が進んでいるEtherCAT対応の設備機器につながり、データをシームレスにクラウドまで伝送できる環境を提供するとしている。さらに、ソフトウェアPLCであるCODESYSを搭載することで、1つのCPUで決められた順序に従い制御を行うシーケンス制御と、センサーと同期させた高度なモーション制御を同時に実行することができるほか、PLCとIPCの機能を併せ持つPAC(プログラマブル・オートメーション・コントローラ)として開発されているため、従来に比べて導入・開発・メンテナンスコストの削減と省スペース化可能だとする。今後、同製品のミドルレンジ機を日立産機から、ハイエンド機を日立産業制御からそれぞれ製品化し、2016年4月より順次販売開始する予定だ。
2015年11月16日サンディスクは11月12日、産業用NANDフラッシュストレージソリューションである「SanDisk Industrial」シリーズの提供を開始した。本ソリューションは、工場用アプリケーションや産業用コンピューティング、公共サービス、医療機器、監視カメラシステム、デジタルサイネージ、ロボット、POSソリューション、大型印刷、エネルギー管理などの、堅牢なストレージが求められる、コネクテッド・インダストリアル・アプリケーション向けに最適化されたもの。これには、同社のSanDisk Industrial SDカード、microSDカード、iNAND組み込みフラッシュドライブ(EFD)が含まれており、容量は最大64GB。工場の自動化アプリケーションや、長期的かつ継続的に動画やグラフィックの再生が必要となる読み取り集中型の屋外用デジタルサイネージなどに対し、信頼性が高く予測可能なストレージパフォーマンスを提供するという。さらに、同ソリューションに含まれる「SanDisk Industrial XT」iNAND組み込みフラッシュドライブ(EFD)および「SanDisk Industrial XT」SDカードは、厳しい環境での利用に最適化されたもので、-40~85℃の温度環境で動作するよう設計されており、高温の工場のアプリケーションや、過酷な気候での公共サービスの運用に適している。SanDisk Industrial SDカードおよびmicroSDカードは、取り外しや交換ができるため、ユーザーによる大容量データの柔軟で高速なロードと更新、および、容易な保守や構成を実現するとしている。
2015年11月13日サンディスクは11月12日、産業用NANDフラッシュストレージソリューション「SanDisk Industrial」シリーズの提供を同日より開始すると発表した。同ソリューションには「SanDisk Industrial SDカードおよびmicroSDカード」、「SanDisk Industrial iNAND組み込みフラッシュドライブ」、「SanDisk Industrial XT iNAND組み込みフラッシュドライブ」、「SanDisk Industrial XT SDカード」が含まれている。最大64GBの容量で提供される「SanDisk Industrial SDカードおよびmicroSDカード」と「SanDisk Industrial iNAND組み込みフラッシュドライブ」は耐久性を重視し、幅広い環境下で優れたパフォーマンスを発揮できるよう最適化されており、長寿命と一貫したパフォーマンスを提供するとしている。また、「SanDisk Industrial XT iNAND組み込みフラッシュドライブ」および「SanDisk Industrial XT SDカード」は、-40℃~85℃の温度環境で動作するよう設計されており、高温の工場のアプリケーションや、過酷な気候での公共サービスの運用など、過酷な環境での利用に最適化されている。同社は、「今回発表する高い耐久性を備えた産業用NANDフラッシュストレージソリューションは、成長著しい『インダストリアルIoT(産業分野におけるIoT)』市場に最適なストレージとして設計されており、極端な温度環境下や、長期間にわたる大量のリアルタイム処理やデータの整合性が必要となる厳しい環境下でも、優れた信頼性とパフォーマンスを長期的に提供します。」とコメントしている。
2015年11月12日サイレックス・テクノロジー(サイレックス)は11月9日、物流・医療・産業分野向け業務用ワイヤレスブリッジ「BR-300AN」を出荷開始したと発表した。同製品は、有線LAN機器に無線LANオプションを提供する外付けタイプの無線LANブリッジ。2ギガバイトのストレージチップを搭載しており、動作状況を長期間にわたってログ保存することが可能で、業務用途での利用を想定して秘匿性の高い802.1xセキュリティを搭載している。シングルクライアントモードとマルチクライアントモードの2種類の動作モードに対応。また、同社製機器の状態監視や各種設定変更、ファームウェア更新・再起動などの運用管理で必要な機能を搭載した別売りの統合デバイス管理ソフトウェア「AMC Manager」にも対応しているという。価格は1万5800円(税別)。
2015年11月09日東芝とGEデジタルは11月4日、産業用機器向けIoT分野で協業を推進していくことに合意し、東芝製の産業用機器においてGEのインダストリアル・インターネットのソフトウェアプラットフォーム「Predix」を活用したパイロットプロジェクトを共同で開始する契約を締結したと発表した。東芝はIoTサービスやソリューションの構築・提供を支えるIoTサービス共通基盤「Toshiba IoT Architecture」において、Predixの導入およびその活用に関する手法を検討。Toshiba IoT Architectureの機能・信頼性強化とサービスを迅速に提供する環境の構築を実現し、産業用機器、社会インフラ機器など東芝が持つ幅広い製品への適用を進めていくとしている。具体的な活動として、両社は東芝製ビル設備を対象としたパイロットプロジェクトを通じて、データ収集・見える化・分析・予測・最適化などによる保守業務の効率化や予防保守の高度化などの実現性についての検証を進めていく。また、東芝のChip to Cloud(C2C)ソリューション、メディアインテリジェンス技術などのIoT関連技術をPredixに導入することを検討するという。
2015年11月04日ファッションデザイナーのラルフ・ローレン氏は世界でも有数の自動車のコレクターとして知られており、2011年には彼のコレクションの中から選り抜きの名車を「The Art of Automobile 」展としてパリのルーブル宮殿にて展示したことも。その愛する自動車のディテールを、腕時計のデザインで表現した新作ウォッチ コレクションを発表した。「ラルフローレン オートモーティブ コレクション」はローレン氏が所有するコレクションの1つである1938年型ブガッティ タイプ 57SCアトランティック クーペにインスピレーションを得ている。デザインにはブガッティのステアリングホイールやダッシュボードを彷彿させる楢材やインドシタンを使用するなど、イメージだけでなくドライバーが感じる質感も取り込んでいる。10月21日にラルフ ローレン 表参道にて行われたレセプションでは女優の高島礼子さんとモータージャーナリストの九島辰也さんによるトークショーが行われた。会場となったラルフ ローレン 表参道の店舗前には、ブガッティが展示されており、久島さんは会場入り前に写真を撮影したと告白。会場内にはラルフ・ローレン氏が所有する車の8分の1サイズのミニチュアコレクションを展示されており、高島さんは「男性が車とか時計とか語りだすと目の色が変わりますよね」とレーサーのライセンスも所有する車好きでありながらも、女性とは違う男性ならではの特徴を笑顔で指摘。「ラルフローレン オートモーティブ コレクション」がステアリングなどのデザインを時計に落とし込んでいることについて久島氏は「本当にびっくり。他の時計メーカーで1950年代、60年代の車のメーターを意識してレタリングを作りましたというものなど見せていただくことはあるのですが、これを見たらみんなぶっとぶと思う。実際に車を持っているからウルトラ級の発想ができるのでしょうか」と興奮した様子で語った。九島氏の「車好きと時計好きはリンクしているところがある」という言葉に対し、高島さんはこれには強く同意。「私もそう思います!車と時計は収入よりもいいものを持とうと子供の頃からずっと思っていました。『いいものを持って、これに見合ういい人間になるんだ』」と自分自身の成長の目標として車と時計を大切にしてきたと熱い思いを語っていた。こちらのモデルはラルフ ローレン 表参道で販売中。
2015年10月27日安川電機は19日、同社の産業用ロボット「MOTOMAN」を対象としたクラウドサービス「MOTOMAN-Cloud」を提供開始した。ロボット情報をクラウド上で管理し、トラブル発生時の問い合わせに役立てる狙い。MOTOMAN-Cloudは、安川電機が新たに提供するクラウドサービス。サービス第1弾として、顧客が使用しているロボットの製品情報閲覧や問い合わせができる「Web製品サポート」、トラブル対応に役立つスマートフォン・アプリ「MOTOMAN Touch!」を提供開始する。「Web製品サポート」では、クラウド上で、ロボットの機種や製品仕様を閲覧できるほか、問い合わせ履歴、部品交換履歴などの管理が行える。また、ロボット情報を安川電機のサービス部門と共有することで、トラブル発生時の問題解決に役立てる狙いがある。「MOTOMAN Touch!」では、トラブル発生時に、ロボット制御盤やプログラミングペンダントに表示されるQRコードをスマートフォンで読み込むことで、問い合わせがスムーズに行える。対象製品は、DX200全コントローラおよび2014年3月21日以降に出荷した全コントローラ。専用アプリ「MOTOMAN Touch!」の対応OSは、Android4.0.3以上(10月19日現在)。MOTOMAN-Cloudは、国内よりサービス提供を開始し、順次海外へ展開していく予定。今後は、予防保全や生産情報管理サービスを追加し、ラインなどの安定稼働や利便性向上をサポートするとしている。
2015年10月20日日産自動車、三菱自動車工業、並びに両社の合弁会社であるNMKVは、このたび、現行軽自動車の次期型モデルについても、これまでと同様に三社共同でプロジェクトを進めていくことに合意したと発表した。近く、三社間でMOU(覚書)を締結する予定。今後更に競争力ある商品を開発していくため、三社は、最適なリソース配分・役割分担を構築していくとのこと。具体的には、設計開発、実験など実際の開発業務については、今後、日産自動車もより深くかかわることとなる。また、NMKVの機能を強化し、従来担当してきた商品企画やプロジェクト開発などのマネジメント機能に加え、開発と生産の連携をより円滑、強化するための部署を新たに設ける。生産については、引き続き、三菱自動車の水島製作所で行う予定となっている。日産自動車、三菱自動車両社の軽自動車に関する協業事業は、2011年6月に企画開発を行う合弁会社としてNMKVを設立し、2013年6月には「デイズ」「eKワゴン」、2014年2月には 「デイズルークス」「eKスペース」を市場に送り出してきた。両ブランドを合わせた販売台数は9月末までに累計50万台を達成するなど、非常に順調な道のりを歩んでいる。そして今回の基本合意を経て、協業事業は新たなステップに入るとしている。この協業プロジェクトでは、軽自動車EVの企画開発にも取り組んでおり、軽EVを含め、次期型軽自動車の車両概要、発売時期など詳細については然るべきタイミングで公表する予定。
2015年10月16日●空前のアウトドアブームが後押し“潜在需要3,000万人”……これは1990年代、あるレジャー産業に対して使われた言葉だ。3,000万人といえば、日本人の4人に1人がそのレジャーを楽しんでいる計算となり、超巨大産業を想像させる。この言葉が使われていたレジャー産業とは、ズバリ“釣り”だ。だが、周囲を見回しても4人に1人が釣りにいそしんでいるとはとうてい思えない。これはいったいどういうことなのだろうか。日本生産性本部がとりまとめた「レジャー白書」によると、釣り人口がピークに達したのは1990年代後半で、2,000万人を突破していたという。積極的に釣りに行かなくとも「誰かに誘われたら行く」「キャンプや旅行のついでに釣りをする」といった層を加えれば、潜在需要3,000万人というフレーズもあながちウソとはいえない。釣り人口がこれほどふくらんだ当時の背景について、アウトドア雑誌を手がけたこともある元編集者は次のように語った。「1990年代、空前のアウトドアブームが起こりました。それと同時に人気を博したのがルアーフィッシングやフライフィッシングといったゲームフィッシングです。特にルアーを使ったバスフィッシングは、タレントの木村拓哉さんや俳優の反町隆史さんが趣味にしていたこともあり、その人気に爆発的に火が付きました。このブームが釣り人口の増加を後押ししたのは確かです。当時、河口湖や霞ヶ浦といった首都圏のバスフィッシングフィールドは、週末ともなれば入る隙間もないほどアングラー(釣り人)が立ち並び、ショップに人気ルアーが入荷したと聞けば数時間で完売してしまう現象が起きたほどです」。ところがその後10数年、釣り人口は減少の一途をたどり、2011年には940万人、2012年には810万人、2013年には770万人まで落ち込んでしまった(いずれもレジャー白書から)。では、なぜこれほどまでに釣り人口が減ってしまったのだろうか。まず挙げられるのが長引く不況による可処分所得の低下だ。消費者庁によると1999年の43万7,981円をピークに年間可処分所得は徐々に減少、2009年には年間39万0,253円まで落ち込んだ。この間、移動体通信の利用料やパソコンといった情報機器購入など、可処分所得で補わなくてはならない出費も増え、釣りに限らずレジャー産業全体に打撃があったことは否めない。また、前出の元アウトドア雑誌編集者によれば、バスフィッシングのイメージダウンが“釣り離れ”を加速させたという。「先ほど話したように、爆発的なブームにより有名な釣り場はアングラーで飽和してしまいました。結果、周囲の釣り人とのトラブルを回避するため思うままにキャスティングできなかったり、魚がスレて(ルアーに興味をなくすこと)しまったりで、まったく釣れない。“釣れない釣り”ほどストレスがたまるものはなく、一過性のブームでバス釣りを始めた人たちは離れていってしまったでしょう」。さらに2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」もバス釣り離れに拍車をかけたという。バスフィッシングの対象となるオオクチバス、コクチバスが特定外来生物に指定されたため、バスフィッシングにダークなイメージがつきまとうようになった。実際、一部の心ない釣り人による“ブラックバスのゲリラ放流”が社会的な問題になったし、生きたブラックバスをクルマで運搬したため逮捕された例も生じた。また、ワーム類(ラバーや合成樹脂で作られた軟らかいルアー)が根掛かりし、湖底の環境を損ねているという指摘も、バス釣り人気衰退の一因となった。一方、海釣りにおいても強い逆風が吹いた。2001年に発生した同時多発テロにより、船舶・港湾施設の保安強化が叫ばれるようになり「改正SOLAS条約」が施行された。これにより、立ち入り禁止になる波止場や護岸などが増加、釣り場が減った。また、撒き餌による水質汚染およびゴミの不法投棄によるイメージダウンなども重なり、釣りがネガティブに捉えられる風潮が生まれた。東日本大震災のあと、繰り返し放送された津波映像も、沿岸部での釣りを敬遠させる心的要因になっていることも加味するべきだろう。●フィッシングメーカーによる地道な啓蒙活動○逆風の中での釣り用品産業は?これほど釣り人口が減ってしまうと、釣り産業に与える影響が気になるところだ。矢野経済研究所がリリースした「スポーツ用品市場に関する調査結果 2015」によると、2014年の釣り用品の国内市場は1,251億7,000万円の見込みだという。釣りブーム全盛期には3,000~3,500億円といわれた釣り用品市場は、実に1/3ほどまで縮小してしまったことになる。こうした情勢の中、釣り産業で名の通った企業はどのように対処したのだろうか。まずはグローブライドについて。グローブライドという社名にあまり馴染がない方もいるかもしれないが、「ダイワ精工」といえば誰もが思いつくだろう。2009年よりグローブライドに社名変更した旧ダイワ精工は、釣り用品のグローバルブランド名に「ダイワ」をそのまま採用。そのためグローブライドという社名よりも、ダイワというブランド名に親しみを感じている釣り人のほうが多いのではないだろうか。そのグローブライドの2015年3月期の売上高は約741億円。同社広報担当者によると、この売上高のうち8割強がフィッシングに関わるものだという。実に600億円以上をフィッシングで売り上げたことになり、まさに釣りが主力事業だ。もう一方の釣り業界の雄、シマノの場合はどうだろうか。同社の2015年3月期の売上高は3,331億円で、そのうちフィッシング部門での売上高は588億円。売上高の大半はスポーツサイクルの部品で、2,739億円を占める。スポーツサイクルのコンポーネント(駆動部品やブレーキ部品)で世界的に圧倒的なシェアを誇り、コンピュータ業界でCPU・チップセット分野を寡占するインテルにちなみ、“サイクル界のインテル”とも呼ばれるほどだ。とはいえ、フィッシング部門は同社にとって第2の柱。釣り市場がどんどんシュリンクしていく情勢に気が気ではなかったはずだ。ある釣り業界関係者は「一気に釣り需要が縮小した2000年代前半が各社にとってもっとも厳しかったと思います」と当時を振り返る。事実、グローブライドは1998年に売上高688億円だったが、2004年には474億円まで減少した。わずか5~6年で売上高が約7割まで減少したことは、企業にとって非常に痛手だ。何かしらの手を打たないと致命傷になりかねない。この難局に対しグローブライドは、製品ラインナップの拡充から手を付けた。2003年にベトナムに工場を新設。それまでわりと高額な製品をメインに取り扱っていたが、普及価格帯の釣り用品の扱いを強めた。さらに海外展開も強化。北米、ヨーロッパ、アジア地域に積極的に進出し、国内釣り市場の縮小で生じた“穴”を埋めた。だが、同社が徹底したのは釣り人に対する啓蒙や、ライフスタイルとしての釣りの提案といった施策だった。「国内の釣り人口の減少は我々も痛切に感じていました。テクノロジーを進化させてより魅力的な製品を提供することや、マーケティング強化によるダイワブランドの一層の浸透など、メーカー企業としての努力は当然怠りませんでした。加えて、釣り人そのものを育てるような取り組みを行わないといけないと考えたのです」(グローブライド広報担当者)。釣り場のゴミ拾い活動を通しての啓蒙など、業界全体で取り組んだ施策もあれば、グローブライド単体で行った方策も多いという。例えば、同社は1976年から「DYFC」(DAIWA YOUNG FISHING CLUB」という、若年層向けの釣りクラブ活動を運営しているが、2005年からイベント数を増やすなどしてこの取り組みを強化。子どもやその親に対して釣りへの理解を深める活動を行った。また、クラブツーリズムやJTB、東海汽船といった旅行・運輸産業とコラボして釣りツアーを実施するなど、異業種との連携を積極的に行った。特に東海汽船との取り組みは、“島ガール”と呼ばれる女性の取り込みをねらったもの。子どもや女性といった釣りから縁遠い層へのPRに努めたのだ。そのほか、「釣り→魚料理」の観点からグルメ誌とコラボしたり、千葉県や神奈川県といった自治体と連携したりと他業界との取り組みを進めた。それ以外にも、新たな釣りジャンルの創生にも努めた。「餌木」(えぎ)と呼ばれる日本古来の疑似餌を使ったイカ漁をゲームフィッシング風にアレンジした「エギング」、ラバーで装飾されたルアーで鯛をねらう「タイラバ」など、新しいファン層を取り込むため施策も行ってきた。「2000年代半ばからは、ライフスタイルとしての釣りを提案する施策やイベントを数多く手がけるようになりました。爆発的なフィッシングブームが起こっていた1990年代には、こうした取り組みは行っていませんでした」と、グローブライド広報担当者は振り返る。前出の矢野経済研究所による「スポーツ用品市場に関する調査結果 2015」によれば、国内釣り市場の規模推移は、2011年に1,124億円、2012年に1,161億円、2013年に1,219億円、2014年に1,251億円(見込み)、2015年に1,293億円(予測)と、大震災のあとに徐々に回復基調にある。また、旺盛なインバウンド需要による高級釣り具の販売が好調との報告もある。余暇をいかに過ごすかという高齢者が今後増えること、東京都を流れる多摩川に代表されるように良質な釣り場環境が戻ってきていることなど、フィッシングをとりまく情勢に好材料が見え隠れする。今後、フィッシング市場が延伸するかどうかは、釣りを生業にする企業が、こうした好材料をいかに活用するかに関わってくるだろう。
2015年10月07日富士経済はこのほど、ファストフードやテイクアウトなど6分野66業態の外食産業市場調査の結果を発表した。それによると、フローズンヨーグルトとCVSカウンターファストフード業態で拡大が続くと予想している。○「ヨゴリーノ」やカウンタードーナツが牽引ファストフード分野の市場規模は、2014年が前年比0.3%減の3兆358億円、2015年度見込が同1.3%増の3兆756億円。2014年はハンバーガーや牛丼が落ち込んだが、2015年は牛丼の回復などにより拡大すると見込んでいる。ファストフード分野のうちフローズンヨーグルト業態は、2014年が同17.4%増の27億円、2015年見込が同3.7%増の28億円。2014年はイタリア発祥「ヨゴリーノ」など新規参入が相次いだことと認知度向上により、市場は大幅に拡大した。2015年は伸びは鈍化するものの、引き続き拡大すると見込んでいる。テイクアウト分野は、2014年が同3.6%増の6兆4,609億円、2015年見込が同3.2%増の6兆6,659億円。テイクアウト分野のうちCVSカウンターファストフード業態は、2014年が同19.2%増の4,789億円、2015年見込が同12.0%増の5,364億円。2014年はカウンターコーヒーやホットスナックが伸長し、前年比2桁増に。2015年はカウンターコーヒーの伸びはやや鈍るが、セブン-イレブンやローソンが導入したカウンタードーナツが好調で、大幅な拡大が続くと予想している。
2015年09月29日日立製作所と日立オートモーティブシステムズは9月28日、電気自動車やハイブリッド電気自動車をはじめとした環境対応自動車向けにSiCパワー半導体(SiC-MOSFET)を複数並列実装した両面冷却型パワーモジュールを用いたインバータを開発したと発表した。同インバータは、各SiCデバイスへの制御信号線の長さを均一化することで、配線の抵抗特性をそろえることに成功。これにより電力容量の拡大を実現したとするほか、両面冷却型パワーモジュールの缶状の金属製冷却フィンの中に実装する構造のインバータとすることで、冷却フィンが内蔵した配線が作りだす磁場を打ち消し、配線に蓄えられた磁場エネルギーの低減を実現したという。これらの結果、従来製品(Si IGBT)比で電力損失を60%削減し、同体積での電力容量を約2倍に拡大することに成功したという。なお、同社は今後も環境対応自動車向けインバータの高効率化と高出力化に向けた技術開発を進めていくとしている。
2015年09月28日