ザ・ブルーハーツの楽曲を全編に散りばめた、鴻上尚史作・演出による音楽劇『リンダリンダ』。2004年に初演された本作が8年ぶりに再演される。5月8日、記者発表が都内にて行われ、鴻上ほか主要キャストの松岡充、伊礼彼方、星野真里、丸尾丸一郎、高橋由美子、大高洋夫が登壇。松岡と大高以外は、再演からの新キャストとなる。KOKAMI@networkvol.11「リンダリンダ」チケット情報物語は存亡の危機を迎えたロックバンドのメンバーと、それを取り巻く人々との、夢をかけたある無鉄砲な計画の行く末を描くもの。再演では新たに、昨年の東日本大震災から現在に至るまでの日本の状況を反映させる。鴻上は再演を決めた理由として、「世界的に名の知られたミュージカルはすべて再演され、ブラッシュアップを繰り返しながら成長していくもの。これは音楽劇ではありますが、同じように育てることで絶対いい作品になっていくと思います」と語った。バンドメンバーでベースを担当するマサオ役は、初演同様SOPHIAの松岡が演じる。松岡にとっては初舞台だった今作について、「この作品にかける思い入れは誰よりも強いと思っています。あれからの8年間で成長した部分を無駄にはしたくないですし、お客さまに納得していただくのはもちろん、自分のなかで納得できるものにしたいですね」と再演に向け力強い抱負を述べた。ザ・ブルーハーツへの思いを誰よりも興奮気味に話していたのは、かつて彼らのコピーバンドをしていたという伊礼。「こうやってまた違うかたちで、ザ・ブルーハーツに出合えたことに運命を感じています。もう楽しみで楽しみで夜も眠れないくらい!」と気合いは十分のよう。初の音楽劇への挑戦となる星野は、「一番好きなザ・ブルーハーツの楽曲は?」との質問に、劇中でも披露する『キスしてほしい』をチョイス。すると伊礼は「誰にキスしてほしいの?」とニヤニヤ。そこですかさず松岡が「そういうことじゃないでしょ?(笑)」と返し、会場が笑いに包まる場面も。松岡の「稽古が楽し過ぎる」という言葉を裏づけるような、カンパニーの仲の良さを垣間見た瞬間だった。また初演を振り返って鴻上は、「客席には松岡くんのファンから、演劇、ミュージカル、ブルーハーツのファンがいた。それらの人たちが混在した、カオスのような客席がすごくおもしろくて!今回もまたそうやって、いろいろなファンの人たちで客席が埋まると素敵だなと思います」と、幅広い客層に向けアピールした。公演は6月20日(水)から7月22日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター、7月28日(土)から30日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、8月2日(木)・3日(金)に福岡・ももちパレス大ホールにて開催。チケットは東京公演は発売中、大阪、福岡公演は5月26日(土)より一般発売開始。取材・文:野上瑠美子
2012年05月09日“左手のピアニスト”として世界的に活躍する舘野泉が、今年5月から来年11月にかけて開催する全16回のプロジェクト「左手の音楽祭」の記者会見が、3月21日に行われた。「舘野泉」の公演情報2002年、リサイタル中に脳溢血で倒れ、右半身不随となるも、2年余の闘病を乗り越えて、左手での本格的な演奏活動を開始した舘野泉。2010年の演奏活動50周年を経て、75歳の今もなお現役ピアニストとして精力的に活動中だ。構想に約3年をかけたという本音楽祭では、日本人作曲家たちによる作品がひとつの軸になるという。「左手ピアノの音楽についての著作も手がけるウィーンのサスマン教授が『日本の左手ピアノのための作品は、個性的で素晴らしい。とても自由で、我々西洋の人間が想像もつかない作品で非常に興味深い』と評しています。私も同感。日本人が手がけた素晴らしい作品をたくさん演奏したい」とその理由を語る。「プログラムを組んでいくうちに、ソロも室内楽コンチェルトもやりたい、と色気が出てきて...(笑)」と話すように、取り上げるプログラムは多岐にわたるため、音楽祭は4つのシリーズに分けて構成。ソロ・室内楽・オーケストラとの共演「左手の世界シリーズ」(全7回)、演奏者の息遣いも感じられるリサイタル「響きあう小さな部屋で」(全4回)、演奏機会の少ない名曲にも焦点を当てる室内楽公演「坂の上のコンサート」(全4回)。そして井上員男の版画『平家物語』とNHK大河ドラマ『平清盛』の音楽などを併せて鑑賞する「光が丘美術館コンサート」(全1回)。全16回が約2年をかけて開催される。記者会見には、舘野泉と東京芸大の同級生で、長年の友人でもある作曲家・末吉保雄も同席。「舘野さんの演奏は今まさに熟練の域。左手で演奏する時に、鍵盤を折り返してくる時のテクニックなど、新しい世界、地平が開いているのを感じます」と舘野を称賛。「取り上げる作品、共演者は、非常に多岐多様。さらに委嘱作品の世界初演もある。時代、国境、世代を越えた音楽は、新たな指標を示してくれることでしょう」と期待を寄せる。音楽祭完結後には77歳を迎える舘野泉。「いずれは左手のピアニストや作曲家たちのための左手ピアノのコンクールをやりたい」と、まだまだ新たな夢にも思いを馳せる巨匠が贈る「舘野泉フェスティヴァル ―左手の音楽祭 2012-2013」。第1回公演は、5月18日(金)に第一生命ホール(東京都)で開催。チケットは発売中。★「舘野泉フェスティヴァル ―左手の音楽祭 2012-2013」の詳細はコチラ
2012年03月23日“左手のピアニスト”として活躍する舘野泉が贈る新たなプロジェクト「左手の音楽祭」が今年5月よりスタートする。「舘野泉」の公演情報1964年よりフィンランドのヘルシンキに拠点を構え、日本と北欧5か国をはじめ世界各国で行ったコンサートは3000回以上、録音作品は約100点を数えるピアニスト、舘野泉。特にシベリウスをはじめとする北欧の作曲家の作品演奏については、フィンランド政府より「シベリウス・メダル」を授与されるなど世界的な評価も高い。2002年、リサイタル中に脳溢血で倒れ、右半身不随となるも、2年余の闘病を乗り越え、左手での本格的な演奏活動を開始。2010年の演奏活動50周年を経て、今もなお現役ピアニストとして第一線で活躍中だ。今年5月よりスタートする「左手の音楽祭」は、国内外様々な作曲家が舘野泉自身のために書きおろした作品と、左手ピアノのための名作を織り交ぜ、2年をかけて贈る壮大なプロジェクトだ。新境地を開拓し続ける舘野泉が贈る、左手ピアノ音楽の集大成は、日本の音楽界に新しい歴史を刻み込むことだろう。「舘野泉 左手の音楽祭」の第1回は、5月18日(金)に東京都/第一生命ホールで開催。チケットの一般発売は1月21日(土)10時より。また一般発売に先駆け、チケットぴあではインターネット先行先着プリセールを1月20日(金)23時まで受付中。
2012年01月19日先日公開を迎えた奇想天外なラブストーリー『恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜』監督の鴻上尚史を“講師”に迎え、読者の恋の悩みに答えてもらう“恋愛講座”企画。後編となる今回は、付き合うようになってからの恋の継続に焦点を当ててお届け!悩み:付き合ってからなかなかその後が長続きしません。どうしたら長く付き合えるのでしょうか――?ハラハラドキドキしつつ恋に落ち、その恋愛が成就したはいいけれど、なかなか長続きしない。そんな悩みに“鴻上先生”の答えは?鴻上:恋愛の初期というのは、互いにとって未知なわけ。そこで互いについて知りたいという思いで、いっぱい会っていっぱい話そうとするんですよね。そこで僕がよく言うのは“お土産を渡す”ということ。お土産は、相手が喜ぶものなら、なんでもいいんだ。手料理でもマッサージでも微笑みでも。でも、情報がお土産になるってことを忘れがちなんです。昨日、こういう映画を観た。こういう小説を読んだ、でも何でもいいんだけど、相手が知らない“情報”――すなわち、情報というお土産を互いに渡しあえる関係を築くこと、それが大事なんだと思う。――映画の中で深田恭子演じる脚本家の谷山は、自分が恋に落ちることで、それを脚本に反映させて執筆するという人物ですが、いまの話で言うと、谷山はいわば、相手から“お土産”を引っ張り出して…。鴻上:そう、“情報”をくれる相手と恋に落ちてそれを脚本にしているわけだけど、彼女のこれまでの恋愛で言うなら、谷山という女性は貪欲だから、1回でその相手が持っている全ての情報を吸い取っちゃうんだね(笑)。悩み:相手に対して甘えたいけれど、どこまで甘えていいのかうまく出すことができません。監督から見て、許せる甘えと許せない甘えは――?鴻上:これはもう、相手としっかりと話すしかないと思うよ。「どんな甘え方をされるのがあなたは好きなの?」ってね。また逆に彼がどんな風にあなたに甘えたいと思っているのかもね。それを相手に尋ねることって、全然、恥ずかしいことじゃなくて、隠している部分やナイーブな部分を見せ合うのが恋愛なわけ。それは甘え方だけでなく、例えばセックスの方法についても同じなんだよね。――なかなか、そこまで踏み込んでいいのか?と思ってしまいそうですが…。鴻上:例えばドラマなら、2人がベッドインしたら、奇跡のようにお互いの想いが通じてて、相手が何をほしがっているのか100%分かっているかのように描かれるけど、現実にはそんなことありえないわけで、話さなければ始まらない!それでも、彼に対してどんな甘え方がいいのかなんて言葉にして聞けないというのなら、実際にどんな甘えを彼が喜んでくれているのかを確かめていくしかない。――付き合いが続けばやがて、結婚ということを互いに意識するのは自然なことですが、その一方で最近では結婚を前提にした“婚活”というのがブームにもなっています。監督の中での恋愛と結婚の関係性、“結婚観”は?鴻上:俺が若い頃は、もちろん婚活なんてなかったから恋愛して、それが結婚に繋がっていくのが当たり前だった。恋愛をして、ちゃんとケンカをして、互いに嫌になったり行き詰まったりもして、「この人とならやっていけるかも」という思考ができて結婚、ということになるのかな。付き合って“恋愛”をせずにいきなり最初から「この人と結婚を…」というのは泳ぎを習い始めてすぐにオリンピックを意識するようなもの。婚活っていうのはいわばお見合いのようなもので、それ自体、否定しようとは思わない。ただ、“婚活”って言い方をすると、結婚ありきで間の恋愛をすっ飛ばしてしまうような響きがあるけど、そこでしっかりと恋愛がないのは、互いにとって不幸だとは思うよ。――ちなみに監督は、お付き合いからどれぐらいで結婚を…?鴻上:それはどこにも言ってないから内緒だな(笑)。悩み:結婚しても相手と恋愛気分でいたいのですが、秘訣を教えてください。鴻上:なかなか難しい質問だね(笑)。だけどこれもやはり、先ほどの話と同じで“お土産”だね。例えば、互いにいつも綺麗でいることを意識するとか、だらしない部分を見せないというのも僕は相手へのお土産だと思う。互いが互いにそういう意識を持つこと。長く一緒にいれば、知るべき新しいことというのは減ってくるかもしれないけど、そこで互いに相手のために“お土産”を作る努力ができるか否かだと思う。俺?俺は相手が喜びそうな映画や小説のことをよく話すかな…と、これ以上喋ると俺の結婚生活相談になりそうだから、ここまでで(笑)!恋愛中であれ結婚後であれ、鴻上監督が重視するのは相手とのコミュニケーションの継続。曰く「語ることで相手と一致することが大事なんじゃなくて、相手との違いを理解することが大切」とのこと。“達人”の言葉を胸に、いつもよりほんの少しだけ、会話の時間を長くとってみるのもよいかと…。第1回講座:【恋愛継続編】特集 新しい恋のカタチ■関連作品:恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜 2010年9月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネセゾン渋谷、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2010映画「恋愛戯曲」製作委員会■関連記事:シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第7回)映画で見てみたいカップルと言えば?深キョン&椎名桔平&塚本高史「結婚しても恋心」で意見一致深キョン&椎名桔平が原稿に埋もれ…『恋愛戯曲』特別画像&白熱の本編映像が到着達人に聞く!『恋愛戯曲』監督・鴻上尚史の恋愛講座【出会い編】恋多き女(?)深キョンが恋の悩みをバッサバッサ
2010年09月28日2002年に脳溢血で倒れた後遺症から右半身不随となり、以降“左手のピアニスト”として新境地を開拓する舘野泉。その演奏生活50周年を記念し、記者会見が8月2日に東京都内で行われた。「館野泉 演奏生活50周年 記念公演」のチケット情報舘野泉は、東京藝大を首席卒業した1960年にデビュー。1964年よりヘルシンキに居を構え、日本と北欧5か国をはじめ世界各国で行ったコンサートは3000回以上、リリースされた録音作品は約100枚。特にシベリウスをはじめとする北欧の作曲家の作品への取り組みは、2006年にフィンランド政府より「シベリウス・メダル」を授与されているなど国際的評価も高い。2002年にフィンランドでのリサイタル中に脳溢血で倒れ、右半身不随となるも、2年余の闘病生活を経て、左手での本格的な演奏活動を開始。舘野泉自身のために書かれた新曲(左手のためのピアノ曲)ほかを演奏するリサイタルを各地で開催し、新境地を開拓している。今回の記者会見には、舘野泉ほか、トランペット奏者の北村源三、クラリネット奏者の浜中浩一、作曲家の末吉保雄(以上3人は舘野と藝大の同級生)、作曲家の吉松隆、舘野泉の現在唯一の弟子・平原あゆみが登壇。「今年もすでに45回のコンサートに行いました。病気をする前よりは数こそ減っていますが、活動は充実していますし、それには多くの作曲家の方々が左手のための新作を書いてくれることが非常に大きい。どの曲も非常に美しい作品ばかりですし、10月からの記念公演にも吉松さんと末吉くんが新曲を書いてくれます。恐らく、ふたりとも公演近くにならないと出来上がらないと思うけど(笑)。いまから楽しみですね。また同級生のクラリネットの浜中くんとトランペットの北村くんと、藝大卒業50年後に一緒に演奏できるのも嬉しく思うし、よい緊張感もあります」と舘野泉は記念公演への思いを語った。「2012年~13年には、左手のピアノ作品のシリーズを7夜に分けて開催したいと思っているんです。その時には77歳になっていますが、現役で頑張れるように努力していきたい」と今後への意欲も十分な舘野泉。演奏生活50周年記念公演は、11月10日(水)の東京オペラシティ公演など全国4公演を開催。チケットは発売中。また舘野泉の演奏生活50周年記念企画として、EMI ミュージック・ジャパンより『舘野泉EMIレコーディングス・コンプリートBOX(CD26枚組)』『舘野泉EMIレコーディングス・セルフ・セレクション』、エイベックス・クラシックスより50周年企画・第1作『記憶樹』が10月20日(水)にリリースされる。■舘野泉 演奏生活50周年 記念公演~彼のための音楽を 彼が弾く~「舘野泉左手の文庫」助成による 室内楽作品の新作世界初演□10月22日(金)札幌コンサートホール□10月26日(火)福岡銀行本店大ホール□11月10日(水)東京オペラシティ コンサートホール□2011年2月6日(日)いずみホール
2010年08月04日