第89回アカデミー賞授賞式が2月27日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、『ラ・ラ・ランド』を手がけたデイミアン・チャゼルが「監督賞」を受賞した。現在32歳。ノーマン・タウログ(第4回)と並び、史上最年少記録で同賞に輝いた。本年度のアカデミー賞で史上最多タイとなる13部門14ノミネートに挙がり、現時点で監督賞(デイミアン・チャゼル)、美術賞、撮影賞、作曲賞、歌曲賞、と合計5部門を受賞しており、作品賞を含めた“圧勝”に王手をかけている。チャゼル監督は1985年、米ロードアイランド州生まれの32歳。2014年に『セッション』がサンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞し、一躍注目される。初めて監督を務めたのは、ハーバード大学在学中に制作したミュージカル「Guy and Madeline on a Park Bench」(2009)で、LAウィークリーは「2010年のベストデビュー作」と評価。脚本家として『グランドピアノ ~狙われた黒鍵~』(2013)、『10 クローバーフィールド・レーン』(2016)を担当した。映画は夢追い人が集まるロサンゼルス(通称:ラ・ラ・ランド)を舞台に、ジャズピアニストを目指すセブと女優志望のミアが運命的な出会いを果たし、恋の花を咲かせながら、挫折と栄光を味わう新感覚のミュージカル・エンターテインメント。チャゼル監督が学生時代から構想を練っていた企画で、前作『セッション』(第87回アカデミー賞で助演男優賞、編集賞、録音賞受賞)の成功によって、念願の映画化が実現した。デイミアン監督はスピーチで「他のノミニーのみなさんに感謝です。本当に素晴らしい監督で毎日インスピレーションを受けています」と他の監督たちへコメント。そしてキャストやスタッフたちに感謝を述べ、17歳からの友人だというジャスティンには「諦めないでくれてありがとう」と伝えた。さらに家族や妹、自身の妻への感謝を込めつつ、「ボクの愛する妻です」「本作はラブストーリーです。貴方と恋に落ちることができて幸せです」と述べた。『ラ・ラ・ランド』は、全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ラ・ラ・ランド 2017年2月24日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開(C) 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
2017年02月27日第89回アカデミー賞の授賞式が27日(現地時間26日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、長編アニメ映画賞にディズニーの『ズートピア』が輝いた。スタジオジブリの『レッドタートル ある島の物語』は受賞を逃した。『ズートピア』は、ユニークな動物たちの楽園を舞台とするファンタジーアドベンチャー。もふもふの毛並みに大きな瞳が印象的な、新米警官として奮闘するウサギのジュディを主人公に、大都会"ズートピア"で起こる動物たちのさまざまな出来事を描いた。ステージ上には、バイロン・ハワード監督、リッチ・ムーア監督、クラーク・スペンサープロデューサーの3人が登壇。「大変な名誉です」「このストーリーを受け入れてくださってありがとうございます」などと喜びと感謝を語った。同部門には、スタジオジブリの作品が4年連続でノミネート。3年前の宮崎駿監督の『風立ちぬ』から、高畑勲監督の『かぐや姫の物語』、米林宏昌監督の『思い出のマーニー』、そして今年はマイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督の『レッドタートル ある島の物語』がノミネートされたが、受賞はならなかった。長編アニメ映画賞には、『ズートピア』、『レッドタートル ある島の物語』のほか、『モアナと伝説の海』、『クボ・アンド・ザ・トゥー・ストリングス(原題)』、『マイ・ライフ・アズ・ア・ズッキーニ(原題)』がノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月27日21時から同授賞式の字幕版を放送。3月5日18時からダイジェスト版も放送する。(C)2016 Disney. All Rights Reserved.
2017年02月27日第89回アカデミー賞授賞式が2月27日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、全世界興収10億ドルを突破した大ヒット作で、オスカー前哨戦も圧倒的な強さを見せていた大本命『ズートピア』が「長編アニメーション賞」を獲得した。一方、スタジオジブリが海外のスタジオと共同製作した『レッドタートル ある島の物語』は受賞を逃した。ジブリ作品は『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』、そして本作と4年連続で「長編アニメーション賞」の候補に挙がったが、いずれも涙をのんでいる。動物たちが人間のように暮らすハイテク都市「ズートピア」を舞台に、ウサギの新米刑事・ジュディと、キツネの詐欺師・ニックがタッグを組んで、続発する動物失踪事件の謎を追いかける。2月には「アニメ界のアカデミー賞」と呼ばれる第44回アニー賞で、作品賞にあたるアニメーション映画賞をはじめ、主要6部門を制覇していた。ステージでは「世界中でのこの映画を観てくれた人たちに感謝します。この物語を受け入れてくれた“寛容”は、我々を分断しようとしているものよりも強いものだ」とコメント。さらにジョン・ラセターや両親たちへの感謝を思い思いに伝えた。個性あふれる動物たちが暮らすさまが“多様性”の象徴として描かれ、公開時には「アメリカの縮図」と評されたほど。トランプ政権の誕生によって、アメリカ社会の基盤でもある多様性の重要性が根幹から揺らぐ事態となった現在、本作が放つメッセージはより強力なインパクトを残す結果となっている。(text:cinemacafe.net)
2017年02月27日第89回アカデミー賞の授賞式が27日(現地時間26日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『フェンス』のヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞を受賞した。デンゼル・ワシントンが監督・主演を務め、作家オーガスト・ウィルソンの戯曲を映画化した同作で主人公の妻を演じたヴィオラ・デイヴィスは、「私はアーティストになりました。神に感謝しています。私たちだけが人生を生きること、祝うことができる職業だからです」と熱いスピーチで魅了。「この映画は人を描いた物語です。そして、言葉、人生、許しを描いたものです」と作品を紹介し、オーガストやデンゼル・ワシントンをはじめとする作品に関わった人たちや、両親や兄弟などへの感謝を述べた。助演女優賞には、ヴィオラ・デイヴィスのほか、『ムーンライト』のナオミ・ハリス、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』のニコール・キッドマン、『ヒドゥン・フィギュアズ(原題)』のオクタヴィア・スペンサー、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のミシェル・ウィリアムズがノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月27日21時から同授賞式の字幕版を放送。3月5日18時からダイジェスト版も放送する。
2017年02月27日第89回アカデミー賞授賞式が2月27日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、『Fences』(原題)でデンゼル・ワシントン扮するトロイの妻役を演じたヴィオラ・デイヴィスが「助演女優賞」を受賞した。ピューリッツァー賞を受賞した舞台劇の映画化作品。1950年代のピッツバーグを舞台に黒人公民権運動などで激動する世の中を生きる労働階級の男トロイを中心にその妻とティーンエイジャーの息子との葛藤を描くドラマ。若き日には黒人野球チームで名を馳せたトロイだが自分の人種が足かせとなり大選手になれなかったと決めつけ、必死で働き続けなければ家族を養っていけない自分の人生に苦い思いを抱きつつ生きてきた。やがてアメフトで優秀な息子にプロへの道を歩むチャンスが巡ってきたとき、彼の心の中で何かが疼き始め、その余波がやがて家族へと広がっていく。本作では、気丈だが愛情あふれるトロイの妻を熱演したヴィオラ。過去に『ダウト~あるカトリック学校で~』(’08)でアカデミー賞助演女優賞ノミネート、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(’11)では主演女優賞ノミネートされていたが、今回3度目のノミネートで見事受賞となった。スピーチでは、「この映画は“人”を描いている。そして“赦し”を描いている」と話し、デンゼル・ワシントンや両親、兄弟への感謝を込めた。そして自身がアーティストという職業に就けたことへの喜びを述べ、「私たちアーティストは、人生の喜びを伝えることができる職業だ。神に感謝します」と、映画本編さながらの熱いメッセージを語った。(text:cinemacafe.net)
2017年02月27日3月3日に行われる、第40回日本アカデミー賞授賞式。すでに優秀賞は発表されており、授賞式では各賞の最優秀賞が発表されることで毎年熱い注目を受けている。映画界に3年以上関わっていることを条件とした日本アカデミー賞協会の投票によって決定する同賞だが、一足先に一般観客の予想を知るべく、マイナビニュース会員1,759名にアンケートをとった。Q.日本アカデミー賞優秀主演男優賞俳優の中で、最優秀賞をとると思う人は?1位 岡田准一(『海賊とよばれた男』) 575名2位 佐藤浩市(『64-ロクヨン-前編』) 372名3位 長谷川博己(『シン・ゴジラ』) 327名4位 松山ケンイチ(『聖の青春』) 305名5位 綾野剛(『日本で一番悪い奴ら』) 180名○役の作り込みに注目集まる■1位 岡田准一(『海賊とよばれた男』)・「年齢幅がかなり広い役をやっていたので」(26歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)・「役への入り込み方が伝わってくる演技で、素晴らしいと思った」(44歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)・「1人で各年代の主人公を演じきったのは評価されるべき」(42歳男性/教育/公共サービス関連(公務員・団体職員他)・「あらゆる世代の役を映画の中でこなし、演技派俳優として光っていたから」(35歳男性/食品/営業関連)・「岡田くんの役の入り加減は絶妙で本当に惚れ惚れする」(34歳女性/その他/その他・専業主婦等)・「今や邦画に欠かせない俳優になった。自分よりかなり年齢が上の設定であったが、見ごたえがあった」(57歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)■2位 佐藤浩市(『64-ロクヨン-前編』)・「佐藤浩市は年を追う事にどんどん演技の幅が広がりとても良い役者だと思うので」(43歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)・「重厚で分厚い演技は圧巻、存在感で映画の根幹となっているので」(37歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)・「渋さの中に優しさを秘めた演技が素晴らしいと思う」(31歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)・「重みのある渋い演技で好演していたので」(41歳男性/専門店/販売・サービス関連)・「役も合っていたし泣きの芝居も熱演していた。この中だったらキャリアの面でも彼でしょう」(42歳女性/半導体・電子・電気機器/事務・企画・経営関連)・「大作だと思うし演技に間違いがないと思うので」(40歳女性/その他/その他・専業主婦等)■3位 長谷川博己(『シン・ゴジラ』)・「ゴジラ対策に悪戦苦闘しながらも責任感を持って、真剣に立ち向かう政府側の担当者を見事に演じきったから」(36歳男性/その他/その他・専業主婦等)・「前から長谷川さんは好きな俳優さんだし、演技が素晴らしいと思うから」(29歳女性/専門店/販売・サービス関連)・「はまり役だと思った。表情の作り方が素晴らしかった」(30歳女性/半導体・電子・電気機器/営業関連)・「シンゴジラではとても長いセリフをものすごい早口で、映画の中でも一番多く話していたと思います。それで演技もこなすわけですから、本当にすごいと思いました」(55歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)・「日本を守るために活動を行っていた長谷川博己がとてもかっこよかったから」(27歳女性/輸送用機器/営業関連)■4位 松山ケンイチ(『聖の青春』)・「彼に取ってほしい。この作品も良かったので」(46歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)・「村山聖九段という、将棋界にとって伝説の棋士役に備えて、体型を近づけるために太った(太らせた)という話を聞いた。プロ魂と感じるエピソードだと感じられ、松山さんの仕事に対する取り組み方に感銘を受けた」(47歳男性/その他/その他・専業主婦等)・「村山聖になりきるため体重を増やし見事に演じ切っていた。羽生善治との対決シーンは非常に良かった」(47歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/営業関連)・「松山ケンイチが演じた棋士の姿に貫録を感じたから。」(39歳男性/ガラス・化学・石油/その他技術職)・「役作りも含め村山聖の姿を見事に表現したから」(31歳男性/通信関連/クリエイティブ関連)■5位 綾野剛(『日本で一番悪い奴ら』)・「かわいい顔からの変化の幅広さ」(60歳男性/その他/事務・企画・経営関連)・「綾野さんは真面目な役柄からとてもヤクザ風の役など多彩な演技力があるのと、個人的に好きなので、取って欲しいという願いも込めたから」(24歳男性/食品/その他・専業主婦等)・「昭和の時代背景での悪者達との戦いぶりや葛藤の演技が見事でした」(46歳男性/その他/その他・専業主婦等)・「綾野剛さんはどんな役柄を演じても、違和感がなく、二枚目の役、三枚目の役、悪役……全てこなせる俳優さんはそれほどいないと思います」(34歳女性/その他/その他・専業主婦等)・「複雑な立場の役を、変わっていく様子も含めて上手に演じていたから」(33歳女性/食品/事務・企画・経営関連)○総評いずれも日本を代表する俳優たちだが、読者予想1位となったのは、アイドルグループ・V6のメンバーとしても活躍する岡田准一。2014年度に行われた第38回日本アカデミー賞では、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、話題賞 俳優部門と3部門で受賞し、世間にその姿を刻みつけた。また、昨年の授賞式ではプレゼンターとしても活躍し「最多登壇」と話題に。今回は『海賊とよばれた男』で20代から90代までを演じきった演技力が読者からも支持を集めた。『64-ロクヨン-前編』の重厚な演技が話題を呼んだのは佐藤浩市。読者からも抜群の信頼で、作品の根幹を担っていたと高評価だった。大ブームを起こした『シン・ゴジラ』で内閣官房副長官・矢口蘭堂を演じた長谷川博己は、リアルな演技と絶妙な二次元感が「はまり役」と称賛されている。実在の棋士・村山聖を演じた松山ケンイチは、体重をコントロールし気迫の演技。また、綾野剛は事件を解決するために悪事にも手を染めていく警官役で、幅の広さを見せた。予想結果の全体として、1つの作品で様々な姿を見せたことや役作りにかける気迫が注目され、読者人気も高くなる傾向に。授賞式は3月3日となるが、一体誰が最優秀賞をとるのか、結果が待たれるところだ。調査時期: 2017年2月13日~2017年2月17日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 1,759名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2017年02月27日「第89回アカデミー賞」の授賞式が2月27日(日本時間)、ハリウッドのドルビー・シアターにて開幕。ブラッド・ピットの製作会社「プランB」が贈る『ムーンライト』のマハーシャラ・アリが「助演男優賞」を受賞した。本年度の賞レースを席巻し、低予算作品ながら北米で大ヒットを記録している本作。マイアミを舞台に、自分の居場所とアイデンティティを探すある少年の成長を少年期から3つの時代構成で描き、ドラッグ、いじめ、貧困、LGBTなど多くのテーマをはらみながら映し出す。マハーシャラは、2001年テレビシリーズ「女検死医ジョーダン」で本格デビューを飾り、「4400 未知からの生還者」で知名度をあげると、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『プレデターズ』『ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス』『ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男』などにメジャー映画作品に次々と出演。本作では、第82回ニューヨーク映画批評家協会賞にて「助演男優賞」を受賞しており、遅咲きのブレイクを果たしている。マハーシャラは、本作で主人公・シャロン(アレックス・ヒバート)の近所に住む麻薬のディーラーの男ホアンを熱演し、自身初の「助演男優賞」を受賞した。スピーチでは目に涙を浮かべてキャストやスタッフ、10年共にしたマネージャーにも感謝を述べ、「アカデミーに感謝します。そして妻に感謝します」と明かし、自身が父になったことも明かした。『ムーンライト』は4月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年02月27日2月26日(現地時間)に開催されるアカデミー賞授賞式では、受賞者の発表はもちろん、アーティストたちによるパフォーマンスも期待されていることの1つだ。オスカー公式サイトの発表によると、授賞式当日はジャスティン・ティンバーレイク、スティング、リン=マヌエル・ミランダ、ジョン・レジェンドがそれぞれノミネートされている映画の主題歌を披露する。オスカーのプロデューサー・マイケル・デ・ルカとジェニファー・トッドが「世界レベルで活躍するこのようなアーティストたちをオスカーに迎えられ、とてもワクワクしています」というコメントを発表しているように、今年の主題歌賞に関わっているアーティストの顔触れは非常に豪華。ジャスティンは『Trolls』(原題)の「Can’t Stop the Feeling」を、スティングは『Jim: The James Foley Story 』(原題)より「The Empty Chair」を、ジョンは『ラ・ラ・ランド』からノミネートされている2曲「Audition(The Fools Who Dream)」と「City of Stars」を歌う。リンは、『モアナと伝説の海』の「How Far I’ll Go」を、同映画で主役のモアナを演じているアウリイ・クラヴァーリョとともに歌うとのことだ。(Hiromi Kaku)
2017年02月24日2015年の第65回ベルリン国際映画祭において銀熊賞(監督賞)を受賞、母国ポーランドのアカデミー賞「イーグル賞」では主要4部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞)を受賞した『BODY』(原題)が、『君はひとりじゃない』の邦題で7月22日(土)より日本公開されることが決定した。病で母親を失ったオルガとその父。オルガは心身を病み、摂食障害となってしまう。父は喪失感を拭えず、検察官として事件現場に立つも、人の死に対して何も感じなくなっていった。オルガは父を、そして自らの体を嫌悪し、日々やせていく。父と娘の間には埋められない溝ができていた。そんな娘を見かねた父がセラピストのアナのもとに通わせる。だが、アナのセラピーは、普通では考えられない方法だった――。母を亡くした娘はふさぎ込み、摂食障害に。かたや、その父親は人の死に何も感じなくなっていく。最愛の人の死によって引き裂かれた人の絆は、元に戻るのか…?本作は、ポーランドの俊英女性監督マウゴルザタ・シュモウスカが、独創的な視点とユーモアで描く喪失と“再生”の物語。ベルリン国際映画祭、ポーランドのイーグル賞など数々の映画賞に輝き、アメリカでも辛口で知られるレビューサイト「Rotten Tomatoes」で88%Freshという高評価を得た。日本でも2015年の東京国際映画祭、そして2016年のポーランド映画祭で上映が行われ、その評価の高さから本公開が待望まれていた作品。娘役を務めたユスティナ・スワラは、監督がFacebookから見い出した新星で、本作が演技初挑戦にして映画デビューとなった。新たな形で紡がれる肉体と魂の再生とは?世界中が絶賛を贈るヒューマンドラマに注目していて。『君はひとりじゃない』は7月22日(土)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年02月23日受賞式を前に『ラ・ラ・ランド』の圧勝が予想される第89回アカデミー賞だが、対抗馬として高く評価される秀作も少なくない。いま、ハリウッドが最も熱い視線を送る俊英、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』もその1本。大げさではなく、全人類必見の傑作だ。突如、世界12の都市に降り立ち、静止する巨大な飛行物体。米軍に雇われた言語学者のルイーズは、シェルと名付けられた船内にいる謎の知的生命体との意思疎通を試みる。“彼ら”は触手から吐き出す水墨のような液体で円形を描き、他者とのコミュニケーションを図っていた。その円形に刻まれたメッセージの解読を粘り強く続けるルイーズ。一方、中国やロシアは飛行物体への攻撃を検討。アメリカも対応を迫られる…。彼らが地球に来た目的は?人類がエイリアンと遭遇し、交流(もしくは攻防)を繰り広げるSF映画は、これまでにも数多く存在するし、名作もあれば、駄作もある、いわば手あかのついたジャンルだ。にもかかわらず、本作には見る者をつかんで離さない強烈な“引力”がある。その引力とは、映画が投げかける愛と死、そして時間といった人生のナゾ。ちょうど、ルイーズが宇宙人と対話するように、私たち観客もスクリーン越しに『メッセージ』と対話を重ねるのだ。飛行物体が飛来した12の都市がそれぞれの反応を示したように、『メッセージ』に対しても十人十色、さまざまな意見や解釈があるはずだ。決して難解な内容ではないが、見終わった瞬間は「いままで見ていたものは何だったんだろう?」と思案に暮れてしまうかも。だからこそ「あのシーン、どう思う?」と誰かと対話できるのが、本作の醍醐味。そう考えると、宇宙人の到着を意味する原題“Arrival”より、邦題『メッセージ』のほうが本質を突いている。第83回アカデミー賞の外国語映画賞候補となった『灼熱の魂』をはじめ、『プリズナーズ』『ボーダーライン』といった秀作でパワフルな演出力を発揮してきたヴィルヌーヴ監督が、本作ではSF的センスの高さも証明。10月に公開される『ブレードランナー 2049』でもメガホンをとり、さらには一大SF叙事詩『砂の惑星』のリブートに大抜擢されたのだから、その手腕は本物だ。次世代のリドリー・スコットと評するのも、ほめ過ぎではないだろう。第89回アカデミー賞ではSF映画として異例の作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、録音賞、音響編集賞の8部門にノミネートされている本作。でも、主人公ルイーズ役のエイミー・アダムスは主演女優賞候補に絶対挙がるべきだし、人類に走る緊張、そしてエイリアンたちの心情を代弁するヨハン・ヨハンソンの音楽もすばらしい。そもそも、視覚効果賞候補からもれているのも納得がいかず、正直8部門候補でも足りないほどだ。(text:Ryo Uchida)■関連作品:メッセージ 2017年5月19日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開
2017年02月19日ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)から、英国人アーティストでデザイナーとして活躍しているマイケル・アンゴーブがパッケージデザインしたソープ「マイケル アンゴーブ ソープ」が登場。ジョー マローン ロンドンから5つの人気ソープをピックアップ。カリブ海に吹く風を思わせるライムに、バジルとホワイトタイムを加えた「ライム バジル & マンダリン」、熟したてのみずみずしい洋梨に、パチョリ、ウッドを重ね白いブーケで包み込んだ「イングリッシュ ペアー & フリージア」、ザクロやラズベリー、プラムのみずみずしいフルーティな香りにピンクペッパーが効かせた「ポメグラネート ノアール」など、ジョー マローン ロンドンを代表する香りを揃えた。それぞれには、香りをイメージした、草花や果実のイラストを色鮮やかな色彩で描いている。中央には、ホワイトカラーでブランドロゴを上品に添えた。また、ジョー マローン ロンドンは、バス & ボディ アイテムを紹介するユニークなムービーも公開。劇中には、カーラ・デルヴィーニュの姉であるポピー・デルヴィーニュを迎え、バスケアタイムをポップに描いた。劇中には、シャワー オイルからボディ スクラブ、ボディ クレームまで揃うバス & ボディ コレクションをアイコニックに切り取っている。登場するポピーは撮影を終えて、「私は22歳の時からレッド ローズを纏っています。私が夫のジェームズに最初に魅力を感じたのは彼の香りでした。何を使っているかを尋ねると、ジョー マローン ロンドンのアンバー & ラベンダーでした。」と自らの体験エピソードを交えて、ジョー マローン ロンドンとの思い出を語っている。【アイテム詳細】・マイケル アンゴーブ ソープ 全5種 各2,900円+税種類:ライム バジル & マンダリン 100g、イングリッシュ ペアー & フリージア 100g、ブラックベリー & ベイ 100g、レッド ローズ 100g、ポメグラネート ノアール 100g【問い合わせ先】お客様相談室TEL:03-5251-3541
2017年02月16日元恋人同士のエマ・ストーンとアンドリュー・ガーフィールドが11日(現地時間)、英国アカデミー(BAFTA)賞のプレパーティで再会、ハグしているのを目撃された。交際は『アメイジング・スパイダーマン』(’12)の共演をきっかけに始まったが、アンドリューが『沈黙 ーサイレンスー』の撮影で台湾に長期滞在中に一度破局。その後、再びよりを戻したものの、結局交際4年で2015年に完全破局していた。今年はエマが『ラ・ラ・ランド』で、アンドリューが『Hacksaw Ridge』(原題)で各映画賞で主演賞候補になっていて、2人とも授賞式に出席する機会が度々あった。12日の授賞式前日、BAFTA会長のウィリアム王子の住まいであるケンジントン宮殿で開かれたプレパーティに候補者たちが招待され、エマとアンドリューも出席。イギリスの大衆紙「The Sun」によると、アンドリューはパーティでの食事が終わるや、エマの元に駆けつけてハグした。そのまま2人は30分ほど談笑していたという。アンドリューは昨年11月、「The Hollywood Reporter」誌のインタビューで、無人島で一緒に過ごすなら誰かと聞かれて「エマ・ストーン。彼女のことが大好きなんだ」と答えている。一方、エマもアンドリューについて「彼はいまでも、とても大好きな人」と破局1年後のインタビューで話していた。BAFTA授賞式で手をつないでいたという目撃情報もあり、関係復活のうわさが流れ始めている。(text:Yuki Tominaga)
2017年02月15日第70回英国アカデミー(BAFTA)賞授賞式が12日(現地時間)、ロンドンで開催され、『ラ・ラ・ランド』が作品賞など最多5部門で受賞を果たした。作品賞のほかにデイミアン・チャゼルが監督賞、エマ・ストーンが主演女優賞を受賞、さらに撮影賞と作曲賞にも輝いた。エマは受賞スピーチで「分断が激しいこの時代に、創造性というポジティブな贈り物がいかに国境を越えて伝わり、人々をほんの少しでも孤独から救うことができるのを讃えるために、私たちが集えるのは特別なことだと思います。BAFTAに感謝します」と語った。主演男優賞は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケイシー・アフレックが受賞、助演男優賞は『LION/ライオン~25年目のただいま~』のデヴ・パテル、助演女優賞は『Fences』(原題)のヴィオラ・デイヴィスが受賞。英国映画作品賞はケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』、新人賞に当たるEEライジングスター賞は、『スパイダーマン:ホームカミング』の主演に抜擢されたトム・ホランドに輝いた。授賞式には、英国映画芸術アカデミー会長でもあるウィリアム王子が、キャサリン妃を伴って出席。アレキサンダー・マックイーンのドレスを着たキャサリン妃は、集まった映画スターたちに勝る注目を集めていた。主な受賞結果は以下の通り。作品賞:『ラ・ラ・ランド』英国映画作品賞:『わたしは、ダニエル・ブレイク』主演男優賞:ケイシー・アフレック(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)主演女優賞:エマ・ストーン(『ラ・ラ・ランド』)助演男優賞:デヴ・パテル(『LION/ライオン~25年目のただいま~』)助演女優賞:ヴィオラ・デイヴィス(『Fences』原題)オリジナル脚本賞:ケネス・ロナーガン(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)脚色賞:ルーク・デイヴィス(『LION/ライオン~25年目のただいま~』)撮影賞:リヌス・サンドグレン(『ラ・ラ・ランド』)編集賞:『Hacksaw Ridge』(原題)メイクアップ&ヘア賞:『マダム・フローレンス!夢見るふたり』衣裳デザイン賞:『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』美術賞:『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』視覚効果賞:『ジャングル・ブック』作曲賞:ジャスティン・ハーウィッツ(『ラ・ラ・ランド』)音響賞:『メッセージ』外国語映画賞:『サウルの息子』(フランス/トルコ/ドイツ)ドキュメンタリー賞:『13th 憲法修正第13条』アニメーション映画賞:『Kubo and the Two Strings』(原題)英国デビュー賞:『Under the Shadow』(原題)EEライジングスター賞:トム・ホランド(text:Yuki Tominaga)
2017年02月14日デイミアン・チャゼル監督のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が、12日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された第70回英国アカデミー賞(BAFTA)の授賞式で、作品賞を含む最多5部門を獲得した。デイミアン・チャゼル監督が監督賞、ミア役で出演していたエマ・ストーンが主演女優賞を受賞し、エマは受賞スピーチの中で「多様化する」時代の中で「団結する」ことの大切さを語った。その一方で『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケイシー・アフレックが主演男優賞、デンゼル・ワシントン主演の『フェンス』での熱演を評価されたヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞に輝いている。また、助演男優賞には『LION/ライオン ~25年目のただいま~』のデイヴ・パテールが選ばれ、受賞スピーチではその喜びをあらわにしていた。一般投票で決定する新人賞にあたるEEライジング・スター賞にはトム・ホランドが選ばれ、同授賞式最高賞となるBAFTAフェローシップは映画監督のメル・ブルックスが獲得し、BAFTAの会長を務める英ウィリアム王子からトロフィーを受け取った。(C)BANG Media International
2017年02月14日スパイダーマン新シリーズ『スパイダーマン:ホームカミング』にて、新スパイダーマンを演じる俳優トム・ホランドが、アカデミー賞の前哨戦とも言われる英国アカデミー賞(British Academy Film Awards)において、“新人賞”に当たる「ライジングスター賞」を受賞したことがこのほど発表された。ニューヨーク。15歳のピーター・パーカーはスパイダーマン。部活のノリで街を救う、ヒーロー気取りの高校生だ。そんなピーターの能力を見出し、真のヒーローとしての道に導こうとする(?)のが、アイアンマンことトニー・スターク。スタークに新しいスーツまで作ってもらい興奮するピーターは、自分の力を認めてもらおうと街に飛び出す日々。そんなある日、巨大な翼で飛行する怪物が街に突如現れる。ピーターはここぞとばかり、ニューヨークの平和のために怪物退治に乗り出そうとするが、スタークに「アベンジャーズに任せておけ」と止められてしまう。「ガキ扱いは、ゴメンだ!」とピーターはその忠告を聞かずに戦いに挑むが――。若干20歳の新進気鋭の若手俳優トム。今後の活躍が期待される若手俳優・女優に贈られるこの「ライジングスター賞」は、英国アカデミー賞で唯一、一般の観客による投票によって選ばれるもので、全世界で支持されるスパイダーマン同様、トムも多くのファンに支持されたかたちとなった。トムは「嬉しすぎてぶっ飛んじゃうよ!本当に夢みたいだ!クレイジーでアメイジングだよ!一番イケてる色だと思うんだ。BAFTA(英国アカデミー賞の)2色のうちで(笑)こんな賞がもらえるなんてとても光栄だし感謝しきれないよ。本当に僕の夢がかなったんだ!」と大興奮で喜びを語り、「たくさんの子どもたちみたいに、僕も小さいころスパイダーマンになりたかったんだ。スパイダーマンを演じる上で嬉しかったのは、みんなから愛されるキャラクターを新しく違うアプローチで作り上げて、スクリーンに戻してくれたことだね。撮影期間はとても充実したものだったし、とても楽しかった」とコメントを寄せている。またレッドカーペットでは、トムの受賞を祝福するようにたくさんのファンが集結。サインを求められるとトムも笑顔でファンサービスに応える場面も。トムといえば、スタジオジブリ作品『借りぐらしのアリエッティ』で神木隆之介が演じた青年・翔の英国版の吹き替えを演じたほか、『インポッシブル』では20年ぶりの続編公開も話題となっている『T2 トレインスポッティング』のユアン・マクレガーとの共演、さらに、『白鯨との闘い』での確かな演技力で注目を集め、スパイダーマンの生みの親スタン・リーに「トム・ホランドはスパイダーマンの役をやるために生まれてきた」と言わしめるほどの逸材だ。日本でも大ブレイク間違いなしのトム。ますます本作の公開が楽しみだ。『スパイダーマン:ホームカミング』は8月11日(金・祝)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年02月13日国際アニメーション協会(ASIFA)が主催する、アニメ界のアカデミー賞「アニー賞」の授賞式が4日(現地時間)、ロサンゼルスで行われた。作品賞は『モアナと伝説の海』、『ファインディング・ドリー』、『カンフー・パンダ3』、太古の日本を舞台とした『Kubo and the Two Strings』(原題)がノミネートされていた中、『ズートピア』が受賞。昨年、新たに設置されたばかりのインディペント作品賞の候補作だった新海誠監督の『君の名は。』は惜しくも受賞ならず、スタジオジブリが初めて海外(フランス)と共同製作した『レッドタートル ある島の物語』が選ばれた。原恵一監督の『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』も候補作の1つだった。この賞は、上映時間が45分以上、アメリカ国内での上映映画館数が1,000館未満、2016年1月1日から12月31日までにロサンゼルス郡での上映日数が連続して5日以上、アメリカで上映されていない場合は広島、アヌシー、オタワ、ザグレブの世界4大アニメフェスティバルの中で作品賞を受賞したアニメ映画が対象。アニー賞を受賞した『ズートピア』、『レッドタートル ある島の物語』、どちらの作品も、2月26日(現地時間)に開催されるアカデミー賞の長編アニメーション賞の候補となっている。日本からは押井守監督が、長年アニメ芸術へ貢献した人に贈られる「ウィンザー・マッケイ賞」を受賞した。(Hiromi Kaku)
2017年02月06日29日(現地時間)行われた全米俳優組合賞(以下SAG賞)授賞式で、『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンが主演女優賞を獲得した。エマのほかに主演女優賞にノミネートされていたのは、『Arrival』(原題)のエイミー・アダムス、『ガール・オン・ザ・トレイン』のエミリー・ブラント、『ジャッキー/ファースト・レディ 最後の使命』のナタリー・ポートマン、『マダム・フローレンス!夢見るふたり』のメリル・ストリープと強敵揃い。SAG賞の主演女優賞を獲得した女優は、ジェニファー・ローレンス、ケイト・ブランシェツト、ジュリアン・ムーア、そして昨年のブリー・ラーソンと、過去4年間、アカデミー賞の主演女優賞に輝いていることから、エマがオスカーを手にする可能性はかなり濃厚と見られる。受賞スピーチのために登壇したエマは、興奮のためか、ややパニック状態でスピーチを始めた。しかし、『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督に感謝の気持ちを述べた後、「ライアン、あなたは最高よ!それは紛れもない事実だわ!異論のある人はいないでしょ」と言って劇中のパートナーを褒めたたえ、会場を沸かせた。同作で共演したライアン・ゴズリングも主演男優賞にノミネートされていたが、残念ながら賞は『Fences』(原題)のデンゼル・ワシントンの手に。オスカー俳優のデンゼルだが、意外にもSAG主演男優賞は初めての受賞であった。(Hiromi Kaku)■関連作品:ラ・ラ・ランド 2017年2月24日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開(C) 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
2017年01月30日米西海岸時間1月24日(火)早朝、ついに今年のアカデミー賞候補のラインナップが発表された。本来であれば前回お約束した「ノミネーションで必ずきそうな俳優~女優編~」のはずなのだが、ノミネーション発表済みということで、主演女優賞にノミネートされた5人の女優たちを分析、現地目線のオスカー獲得度を交えてお送りする。1.レースの大穴!ゴールデン・グローブ賞で女優賞を獲得したフランス人女優イザベル・ユペール『エル(原題)』先日行われたゴールデン・グローブで映画の部ドラマ部門女優賞を受賞し、界隈の下馬評を覆したイザベル・ユペール。その予想外の受賞を皮切りに彼女の勝算が急上昇中。生粋の外国人女優がオスカーを獲得するということはそうそうあることではないものの、いずれの年にも例外はある。今年がその年になるかどうかは見てのお楽しみといったところ。☆ 現地目線オスカー獲得度:80%2.“人種多様性”を掲げるアカデミーの証ルース・ネッガ『ラビング愛という名前のふたり』まだ人種差別が平然と行われていたころのアメリカで、差別に立ち向かった白人男性と黒人女性のカップルを描いた本作でヒロインを演じたルース・ネッガ。去年は「白人すぎるアカデミー」などと揶揄されたことから、今年は日本の渡辺謙を含む世界各国多人種の著名映画人683名を新メンバーとして招待したアカデミー。加入メンバーの多様性が広がったことから投票にもその結果が反映されたと見え、難しい役柄を見事に演じあげたルースのノミネーション入りとなった。ただ、実際に受賞となると果たしてどうなるか。☆ 現地目線オスカー獲得度:20%3.『ブラック・スワン』以来の再受賞なるか!?ナタリー・ポートマン『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』暗殺されたジョン・F. ケネディ元大統領の妻ジャッキーを悲痛なまでに再現したナタリー。ファッションはもちろん、さりげない身のこなしや話し方までジャッキーにそっくりなナタリーの熱演は、まるで今は亡きファーストレディに取り憑かれたかのよう。『ブラック・スワン』での受賞がなければナタリーの主演女優賞はほぼ確実ともいえるほどの名演技だが、今回の主演女優賞レースでは、初めてノミネーションを受けた強力なライバルが控えているため、ナタリー受賞はやや厳しめかも。☆ 現地目線オスカー獲得度:50%4. ゴールデン・グローブ映画女優賞もいただき済み、業界のお気に入り候補!エマ・ストーン『ラ・ラ・ランド』「アメイジング・スパイダーマン」シリーズでピーター・パーカーの恋のお相手グウェンを演じたときはポップでライトウエイトな女優なのかと思いきや、去年の『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ではアカデミー助演女優賞候補になったほどの演技派で、話題沸騰中のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』では歌って踊れて演技も抜群という素晴らしい才能の持ちぬし。今年のアカデミー賞レースで先頭を走る有力候補。☆ 現地目線オスカー獲得度:85%5.ハリウッドの女王ふたたび降臨!、はたして実際の受賞はいかに!?メリル・ストリープ『マダム・フローレンス!夢見るふたり』1977年作品『ジュリア』で映画デビューして以来、ハリウッドを代表する演技力と記録的なアカデミー賞ノミネート回数から、まさに“女王”と呼ばれるにふさわしいメリル・ストリープ。『マダム・フローレンス~』では、実在した“音痴の歌姫”として知られる社交界の大物マダムを好演してくれたメリルだが、これまでの統計から見てドラマディ(コメディタッチの軽めのドラマ)に冷たい感ありのアカデミーなだけに、今回メリルは苦戦を強いられるのでは…?☆ 現地目線オスカー獲得度:40%(text:明美・トスト/Akemi Tosto)
2017年01月28日第89回アカデミー賞に多種多様な人種がノミネートされた。昨年、白人ばかりのノミネートで物議を醸していた同賞だが、今年は俳優に対する賞の20人のノミネートのうち7人は白人以外の人種となっている。『フェンス』のデンゼル・ワシントンが主演男優賞、『ラビング愛という名前のふたり』のルース・ネッガが主演女優賞にノミネートされているほか、『ムーンライト』のマハーシャラ・アリが助演男優賞、同作品のナオミ・ハリス、『ヒドゥン・フィギュアズ』のオクタヴィア・スペンサー、『フェンス』のヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞に名を連ねている。同じ年に主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞の各カテゴリーに黒人俳優たちがノミネートされることは史上初である。そのほかには、バリー・ジェンキンスが『ムーンライト』で監督賞、エイヴァ・デュヴァーネイの『13th 憲法修正第13条』が長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。今年度のアカデミー賞のノミネートが発表される前、『ムーンライト』のマハーシャラは、有色人種の俳優たちがノミネートされることが「普通になっていく」ことを望んでいるとコメントしていた。その一方で、昨年のアカデミー賞ノミネートリストにおける人種の多様性の欠如に苦言を呈し、授賞式にも参加しなかったセレブの1人であるジェイダ・ピンケット・スミスは、今年度のノミネートリストに称賛のコメントを発表。昨年は夫ウィル・スミスらとともに授賞式をボイコットしたジェイダは、ヴァラエティのインタビューに「最高の気分よ。このノミネートを見ることができるなんて素晴らしいわ。今年度は特別な映画がたくさんあったからね」「『ヒドゥン・フィギュアズ』『フェンス』『ムーンライト』のような作品が認識されて選ばれた事をうれしく思うわ。今朝はとても誇り高い気分になったわよ」と語る。さらに、アメリカのドナルド・トランプ新大統領就任のこともあり、「現在のこの国の状況において、アーティストとして私たちがステイタスを使って、この国がどのように周囲から認識されたいのかという点に注目を注ぐ手助けをすることが重要だと思うわ」と意見。「だから今回のノミネートはその素晴らしい第一歩になったと私は見ているのよ」「どのような形でこの国を象徴したいのか、世界に届けたいメッセージとは何なのかという、この国のこの時代に生きるアーティストとしての参加の形なの」「私たちには力強い影響力があるわ。私たちは国のアイデンティティにおいても力強いイメージを作りだすことができる」と続けた。(C)BANG Media International
2017年01月26日ついにアカデミー賞のノミネーションが発表され、『ラ・ラ・ランド』が最多14ノミネートを果たし、圧倒的な強さを見せつけている。監督賞、作品賞など主要な部門で軒並みノミネートを受けている同作だが、今回は歌曲賞に注目。というのも、この部門にEGOTへの王手をかけているリン=マヌエル・ミランダが『モアナと伝説の海』の「How Far I’ll Go」で初ノミネートされているからだ。EGOTとは、エミー賞、グラミー賞、オスカー、トニー賞の頭文字を取ったもので、エンタメ界における主要な4つの賞をすべてを獲得した人がそう呼ばれている。現在までにオードリー・ヘプバーンやウーピー・ゴールドバーグを含む12人(ほかに、例外的な枠で5人いる)しか成し遂げていない“偉業”に、果たして彼が仲間入りすることはできるだろうか。リンのライバルはというと、アニメ『Trolls』(原題)の主題歌を手掛け、こちらもオスカーには初ノミネートのジャスティン・ティンバーレイク、HBO局のドキュメンタリー映画『Jim: The James Foley Story』(原題)でスティングが、そして『ラ・ラ・ランド』からは2曲がノミネートされており、そのうち1曲はゴールデン・グローブ賞の主題歌賞を獲得したという強敵ぞろい。リンはオスカーの初ノミネートを受けて大興奮。「授賞式に向かうのが楽しみでしょうがないよ。控えめな態度を取ることすらできない。だって、子どもの頃からオスカーの授賞式のファンで、テレビで見ていたからね」とAP通信に語っている。(Hiromi Kaku)
2017年01月25日第89回アカデミー賞のノミネーションが24日に発表され、『ラ・ラ・ランド』が最多14ノミネートを果たした。『イヴの総て』(1950)、『タイタニック』(1997)と並んでアカデミー賞史上最多となる。『ラ・ラ・ランド』は、作品賞をはじめ、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンがそれぞれ主演男優・女優賞の候補に挙がっているほか、デイミアン・チャゼルの監督賞、そして、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、作曲賞、主題歌賞(2曲)、音響編集賞、録音賞にノミネート。主題歌賞では「オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)」と「シティ・オブ・スターズ」の2曲が候補に挙がっている。最高賞となる作品賞にはほかに、『メッセージ』『フェンス』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ムーンライト』がノミネートされた。『ムーンライト』は、ナオミ・ハリスの助演女優賞やマハーシャラ・アリの助演男優賞など、ほかにも7部門で候補に挙がっている。そして、『ムーンライト』と並んで8ノミネートを受けた『メッセージ』は、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督賞の候補にも挙がっており、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』が6部門と続いている。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』からはケイシー・アフレックが主演男優賞にノミネートされており、ライアンのほか、『ハクソー・リッジ』のアンドリュー・ガーフィールド、『はじまりへの旅』のヴィゴ・モーテンセン、『フェンス』のデンゼル・ワシントンとその栄冠をかけて戦う。一方で、主演女優賞には3部門での候補に挙がっている『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のナタリー・ポートマン、メリル・ストリープ、イザベル・ユペール、ルース・ネッガがエマとオスカー像を巡って競うことになる。長編アニメーション賞には、スタジオジブリの『レッドタートルある島の物語』が候補入り。ディズニーの『ズートピア』や『モアナと伝説の海』などと争う。なお、『君の名は。』はノミネートを逃した。第89回アカデミー賞式典は来月26日にハリウッド&ハイランドセンター内のドルビー・シアターで開かれる。第89回アカデミー賞ノミネート(一部抜粋)■作品賞『メッセージ』『フェンス』『ハックソー・リッジ』『最後の追跡』『ヒドゥン・フィギュアズ』『ラ・ラ・ランド』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ムーンライト』■監督賞ドゥニ・ヴィルヌーヴ『メッセージ』メル・ギブソン『ハックソー・リッジ』デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』ケネス・ロナーガン『マンチェスター・バイ・ザ・シー』バリー・ジェンキンス『ムーンライト』■主演男優賞ケイシー・アフレック『マンチェスター・バイ・ザ・シー』アンドリュー・ガーフィールド『ハックソー・リッジ』ライアン・ゴズリング『ラ・ラ・ランド』ヴィゴ・モーテンセン『はじまりへの旅』デンゼル・ワシントン『フェンス』■主演女優賞イザベル・ユペール『エル』ルース・ネッガ『ラビング愛という名前のふたり』ナタリー・ポートマン『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』エマ・ストーン『ラ・ラ・ランド』メリル・ストリープ『マダム・フローレンス!夢見るふたり』■助演男優賞マハーシャラ・アリ『ムーンライト』ジェフ・ブリッジス『最後の追跡』ルーカス・ヘッジズ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』デーヴ・パテール『LION/ライオン ~25年目のただいま~』マイケル・シャノン『ノクターナル・アニマルズ』■助演女優賞ヴィオラ・デイヴィス『フェンス』ナオミ・ハリス『ムーンライト』ニコール・キッドマン『LION/ライオン ~25年目のただいま~』オクタヴィア・スペンサー『ヒドゥン・フィギュアズ』ミシェル・ウィリアムズ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』■長編アニメーション賞『クボ・アンド・ザ・ツー・ストリングス』『モアナと伝説の海』『マイ・ライフ・アズ・ア・ズッキーニ』『レッドタートルある島の物語』『ズートピア』■撮影賞『メッセージ』『ラ・ラ・ランド』『LION/ライオン ~25年目のただいま~』『ムーンライト』『沈黙 -サイレンス-』■作曲賞ミカ・レビ『ジャッキーファーストレディ最後の使命』ジャスティン・ハーウィッツ『ラ・ラ・ランド』ダスティン・オハローラン、ハウシュカ『LION/ライオン ~25年目のただいま~』ニコラス・ブリテル『ムーンライト』トーマス・ニューマン『パッセンジャー』(C)BANG Media International
2017年01月25日2月26日(現地時間)に開催される第89回アカデミー賞のノミネートが24日に発表。賞レースで快進撃中の『ラ・ラ・ランド』が最多14ノミネーションを得た。日本のスタジオジブリが海外と共同製作した『レッドタートルある島の物語』が長編アニメーション部門にノミネートされた。今年のノミネーション発表は、ブリー・ラーソンや渡辺謙など、過去のアカデミー賞受賞者や候補者が映像に登場し、それぞれの思い出を語りながら候補を発表していくという新しいスタイル。前哨戦の目玉の1つ、第74回ゴールデン・グローブ賞(以下、GG賞)で作品賞など候補になった部門すべてを制覇し、最多7部門を受賞した『ラ・ラ・ランド』は作品、監督、主演男優、主演女優、作曲、主題歌賞(2曲)など13部門で14ノミネーション。『イヴの総て』(50)『タイタニック』(97)と並ぶ最多ノミネーションを獲得した。次いで、8部門で候補になったのは『メッセージ』、GG賞ドラマ部門作品賞を受賞した『ムーンライト』。後者はマハーシャラ・アリの助演男優賞受賞が有力視されている。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』、『LION/ライオン~25年目のただいま~』、メル・ギブソンが1945年の沖縄戦を描いた『Hacksaw Ridge』(原題)が6部門で候補になった。昨年の「オスカーは真っ白」騒動を受けて、各俳優賞でアフリカ系の俳優が候補入りを果たしている。主演男優賞にデンゼル・ワシントン、主演女優賞にルース・ネッガ、助演男優賞には前出のマハーシャラに加えてインド系のデヴ・パテル、助演女優賞は候補5人のうち3人(ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ナオミ・ハリス)がアフリカ系だ。GG賞ではドラマ部門の授賞は各作品が分け合う形になったので、アカデミー賞でも得票がバラついた結果、『ラ・ラ・ランド』が圧勝という形になる可能性もある。今年は『ラ・ラ・ランド』が大本命視されているが、監督や俳優は各映画賞によって結果が異なる状況が続いている。先が読めないだけに、より楽しみなオスカー・レースが展開される。授賞式は2月26日(現地時間)、ロサンゼルスのコダック・シアターで開催される。主要部門候補は以下の通り作品賞『メッセージ』『Fences』(原題)『Hacksaw Ridge』(原題)『最後の追跡』『Hidden Figures』(原題)『ラ・ラ・ランド』『LION/ライオン~25年目のただいま~』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『ムーンライト』主演男優賞ケイシー・アフレック(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)アンドリュー・ガーフィールド(『Hacksaw Ridge』原題)ライアン・ゴズリング(『ラ・ラ・ランド』)ヴィゴ・モーテンセン(『はじまりへの旅』)デンゼル・ワシントン(『Fences』原題)主演女優賞イザベル・ユペール(『ELLE』)ルース・ネッガ(『ラビング愛という名前のふたり』)ナタリー・ポートマン(『ジャッキー/ファーストレディ最後の使命』)エマ・ストーン(『ラ・ラ・ランド』)メリル・ストリープ(『マダム・フローレンス!夢見るふたり』)助演男優賞マハーシャラ・アリ(『ムーンライト』)ジェフ・ブリッジズ(『最後の追跡』)ルーカス・ヘッジズ(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』デヴ・パテル(『LION/ライオン~25年目のただいま~』)マイケル・シャノン(『Nocturnal Animals』原題)助演女優賞ヴィオラ・デイヴィス(『Fences』原題)ナオミ・ハリス(『ムーンライト』)ニコール・キッドマン(『LION/ライオン~25年目のただいま~』オクタヴィア・スペンサー(『Hidden Figures』原題)ミシェル・ウィリアムズ(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)監督賞ドゥニ・ヴィルヌーヴ(『メッセージ』)メル・ギブソン(『Hacksaw Ridge』原題)デイミアン・チャゼル(『ラ・ラ・ランド』)ケネス・ロナガン(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)バリー・ジェンキンス(『ムーンライト』)脚色賞『メッセージ』『Fences』(原題)『Hidden Figures』(原題)『LION/ライオン~25年目のただいま~』『ムーンライト』オリジナル脚本賞『最後の追跡』『ラ・ラ・ランド』『ロブスター』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『20センチュリー・ウーマン』撮影賞『メッセージ』『ラ・ラ・ランド』『LION/ライオン~25年目のただいま~』『ムーンライト』『沈黙 -サイレンス-』作曲賞『ジャッキー/ファーストレディ最後の使命』『ラ・ラ・ランド』『LION/ライオン~25年目のただいま~』『ムーンライト』『パッセンジャー』主題歌賞「Audition」(『ラ・ラ・ランド』)「Can’t Stop the Feeling」(『Trolls』原題)「City of Stars」(『ラ・ラ・ランド』)「The Empty Chair」(『Jim: The James Foley Story』 原題)「How Far I’ll Go」(『モアナと伝説の海』)長編アニメーション映画賞『Kubo and the Two Strings』(原題)『モアナと伝説の海』『My Life as a Zucchini』(原題)『レッド・タートルある島の物語』『ズートピア』外国語映画賞『幸せなひとりぼっち』(スウェーデン)『ヒトラーの忘れもの』(デンマーク)『Tanna』(オーストラリア)『セールスマン』(イラン)『ありがとう、トニ・エルドマン』(ドイツ)(text:Yuki Tominaga)■関連作品:LION/ライオン~25年目のただいま~ 2017年4月7日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開(C) Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia
2017年01月25日新海誠監督最新作にして、神木隆之介&上白石萌音ら実力派俳優の声優起用でも話題となった映画『君の名は。』。昨年11月に、映画賞の最高峰であるアカデミー賞の長編アニメ部門の審査対象となったことが明らかになったが、1月24日(日本時間)、第89回米アカデミー賞ノミネートが発表され、残念ながらノミネートを逃したことが分かった。2016年8月に公開され、興行収入は200億円を突破、観客動員数も1,800万人を超える大ヒットを記録した本作。日本だけに留まらずアジア圏でも大ヒットを叩き出し、週末映画ランキングでは日本、台湾、香港、タイ、中国、韓国の“6冠”を達成。また世界各地の映画祭でも高い評価を受けており、ファンタジーとホラー、そしてアニメーションに特化した国際映画祭である第49回シッチェス・カタロニア国際映画祭にてAnima’t部門(アニメーション作品の部門)の最優秀長編作品賞にあたる「Award for Best Feature Length Film」を受賞。さらに、アカデミー賞の前哨戦の1つとされているLA映画批評家協会賞にて「アニメ賞」に輝き、“アニメーション界のアカデミー賞”ともいわれる「第44回アニー賞」では、監督賞とインディペンデント部門作品賞の2部門にノミネートされている。この勢いのまま、第89回米アカデミー賞長編アニメーション部門へのノミネートが期待されていたが、1月24日(日本時間)ノミネート発表にて落選が決定。ノミネートされたのは、スタジオジブリ初の海外共同製作作品である『レッドタートルある島の物語』、人間のように暮らす動物たちの“楽園”を舞台にした感動のファンタジー・アドベンチャー作『ズートピア』、ディズニー・アニメーション最新作『モアナと伝説の海』、『Kubo and the Two Strings』(原題)、『My Life as a Zucchini』(原題)。第89回アカデミー賞授賞式は2月26日(現地時間)となっている。(text:cinemacafe.net)
2017年01月24日第89回アカデミー賞のノミネーション発表を目前に、第37回ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)のノミネーションが発表された。ラジー賞はアカデミー賞と対極で、前年の「最低最悪な映画」を表彰する賞である。今回は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と『ズーランダー2』が「最低作品賞」、「最低主演男優賞」などそれぞれ8部門でノミネートされ、どちらがより多くの賞を受賞するかに注目が集まる。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は、バットマンを演じたベン・アフレックと、スーパーマンを演じたヘンリー・カヴィルがともにインタビューを受けた際、「映画が酷評されている」と聞いたベンが終始悲し気な顔でだんまり…という様子が話題になった。『スーランダー2』は前作から15年が経ち、超豪華ゲストを集めてパワーアップぶりをアピールしていたが、製作費56億ドルに対して興収が50億ドルと伸びなかった。日本では劇場公開されず、DVDスルーに。通常、それぞれの部門のノミネートは5つまでなのだが、今年は5つの枠に収まりきらず6つに増やされているのが特徴だ。授賞式はアカデミー賞の前日の2月25日(現地時間)に行われるが、俳優や監督にとって不名誉な賞のため、例年トロフィーを受け取りに来る人はほぼいない。過去にはサンドラ・ブロックが授賞式に参加し、「粋だ」と評価されたが、今年は果たして?(Hiromi Kaku)
2017年01月24日●監督のショートヘアへのこだわり数々の映画賞を総なめにし、今や日本映画界に欠かせない存在となった俳優・安藤サクラ。沖縄・慶良間諸島を舞台にした映画『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』(1月21日公開)では、美しく清らかな沖縄の自然を背景に、都会の生活に疲れながらも柔らかく、透明感のあるヴァイオリニスト・北川祐子を好演した。もっとも印象的なのは、切なくなるほど透き通った沖縄の海をバックに、浜辺で潮風に髪を揺らしながらヴァイオリンを演奏するシーン。しっとりと落ち着いた演技を見せながらも、実はビビりで人見知りという安藤が今回の撮影現場でリラックスできた理由とは?○「ヴァイオリンじゃないとダメ」な理由――浜辺では堂々と『G線上のアリア』を演奏していましたが、これまでこの映画を撮り始めるまでは一度もヴァイオリンを持ったこともなかったというのは本当ですか?そうなんです。オファーを受ける前に、自分がヴァイオリンを弾けるかどうか試してみようと音楽教室の体験レッスンに行って、そこで初めて楽器を触ったのですが、音を出すことはおろか、構え方もわからないわけですよ。しかも、ピアノのように鍵盤を押せば決まった音が出るわけでもないし、音色もすごく複雑ですし。他の楽器をやっている方からは異議が出そうですが、ヴァイオリンは演じる上では特別難しい楽器だと思います。1ミリ角度が違えば音色が違う、ひと目見れば"できる"か"できないか"はすぐバレちゃう。ごまかしがきかないんです。さらにヨーロッパ式はこんな構えだとか、いろんなスタイルがある。正直、本気で無理かもしれないと思いました。新藤風監督には、「ほんとにヴァイオリンじゃないとダメですか?」って何度も聞きました(笑)。――でも、ヴァイオリンじゃなくちゃダメだと。風監督の中に、「青い海を背景に、ヴァイオリンを弾く私の横顔」というビジュアルがものすごく明確にあったみたいで、とにかくその絵がきれいに撮れればいいんだ、と。だったら私もヴァイオリンを上手に弾くことじゃなく、ヴァイオリンとともに心地よく"そこに届けること"が一番大事だなって、割り切って練習できました。――それであの印象的なシーンが生まれたんですね。演奏スタイルも自然でしたし、あれだけ綺麗に撮れたら、苦労は報われたのでは?たしかに、すごくインパクトがあるビジュアルでしたよね。監督は、ショートヘアにも相当こだわっていて、「こっち側から撮るから、顎のラインがこう見えるようにカットして……」なんて言いつつ、美容院で何時間もああだこうだやりました。今回の撮影でいちばん難航したのは、私の髪型だったかも。●過去のできごとを「更新できる」仕事の喜び新藤風監督がメガホンをとるのは2006年公開の『転がれ!たま子』以来11年ぶり。その風監督が「ずっと仕事をしたいと思っていた」とラブコールを送った安藤も、2014年撮影の『白河夜船』後、映画の現場に戻るのは1年数カ月ぶり。それぞれタイムラグがあった後の撮影現場はどんな雰囲気だったのだろうか。○見知らぬ土地を素足で踏む――そもそも作品に入るときは緊張されるタイプですか?しますね。新しい現場に入ることが、自分の中で一番緊張する瞬間かもしれない。――知らない環境に入ってくとき、リラックスする方法は?私はすっごいビビりだし、人見知りでもあるので、ガチガチの状況だと自分がすることすべてが不安になるんです。だから、少しでも心を許せたり、逆に許してもらえたりする環境をがんばって作る。知らない土地についたら、思い切って裸足でその土地を踏んでみる、みたいな感じです。今回のロケでは、島の自然や空気のおかげで、心がオープンになっていたんですよね。それで五感を敏感に働かせることができたし、いいバイブレーションを作れていたんじゃないかと思う。そうなると息が楽にできるようになって、身体もよく動く、よく働けるんです。私だけでなく島ではみんな息をしやすそうにしていました。――風監督とは初めてのお仕事ですね。緊張や不安はありましたか?私自身、前の作品からだいぶ期間が空いていましたし、次の一歩を踏み出すにあたって迷っていた部分があったのですが、監督は、そういう迷いや不安定な気持ちまで含めて、この役に合っていると思ってくださったみたい。その時の私の心境と役柄とをきちんと擦り合わせてくれたんです。監督と俳優という立場ですが、ちゃんと人として向き合ってくださっているなと感じられたので、「風監督なら」と安心してインできました。○島の自販機前に集合!――共演した伊東蒼さんは話題作にも出演されて、今注目の子役の一人ですね。みんな蒼ちゃんのことを天才子役というけれど、私は彼女に対して、その言葉を使われるのがすごくイヤで。だって、本当に素晴らしい女優さんですよ。作品や周りの人のことをものすごく深く考えるし、努力するし、集中力も半端じゃない。そういう意味では天才という言葉を使いたくなるのはすごく分かるけれど、子役という枠に当てはめたくないですね。――島のみなさんとも交流されたそうですね。島で買い物ができるのは宿の自販機しかないから、出演者やスタッフだけじゃなくて、島の人がみんな自然にそこに集まるんです。私は3週間くらい島にいましたが、その間にみなさんと顔なじみになって、一緒に時間を過ごして、いろいろ助けて頂きました。いまだに仲良しなんです。――おじい役を演じた金城実さんは世界でも活躍される三線(さんしん)の名手で、作品タイトルとなった『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』などを演奏しながら、深みのある素晴らしい歌を披露されていますね。おじいの奏でる音楽は今も、私の体に振動として残っているような気がします。音楽や声、人の気配はすべて振動、バイブレーションですけど、おじいの音楽はすごくシンプルで、美しくて。素晴らしい振動は、体のすごく深いところまで届くんだと改めて感じました。――沖縄の音楽はお好きなんですか?15歳くらいの頃、沖縄音楽にすごく憧れて、高校に入って最初の夏休みになけなしのバイト代をはたいて、リュックひとつで宮古島に渡って1カ月ちかく過ごしたことがあります。この作品に出てくるおじいみたいな人から三線を習ったりして。――もともと沖縄にはご縁があったのですね。この仕事をしていて幸せなのは、作品の中で、かつて自分と縁があったことに再会できることですね。例えば、高1の夏に沖縄で過ごした時間がそのまま化石になるのではなくて、今の自分の感性や思いをのせて更新できるというか。その頃、みなさんにお世話になった時間や自分の思いを作品に活かせるような気がして、こういう幸せな巡り合わせは本当にありがたいです。――今回の沖縄ロケを経験して、何か変化はありましたか?生き物としての自然な呼吸を取り戻せましたね。今までは撮影が終わるとうわーってお酒飲んで、酔っ払うのが気持ちよかったんです。でもこれからは、生き物がアルコールを求めるくらいの量に抑えようかな、と(笑)。健康的な時間に起きたり、島で水に浮く楽しさを知ったからもっと泳いでみたり。自然の摂理に沿った生き方ができそうな気がしているんです。だから30代のテーマは「健やかに」。健やかに心地よく暮らしていけるようにバランスを整えたら、仕事との向き合い方も変わってくると思います。■映画『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』(2017年1月21日公開)舞台は沖縄・慶良間諸島。耳がよすぎて音のズレに敏感な少女・うみ(伊東蒼)は、コンサートのために島にやってきたヴァイオリニストの祐子(安藤サクラ)と出会う。それをきっかけに、人付き合いが苦手で変わり者扱いされてきたうみは閉ざしていた心を解放してゆく。祐子もまた島の人々との交流で疲れた心を癒す。美しい自然と音楽が人々をつなぎ、自分に向き合う力を与えてくれるひと夏の物語。
2017年01月22日ゴールデン・グローブ賞や英国アカデミー賞(BAFTA)など、主演男優賞に多数ノミネートされたヴィゴ・モーテンセン主演の『はじまりへの旅』(原題: Captain Fantastic)が、4月1日(土)より日本公開される。このほど、彼が父親となる、人里離れた森で暮らしていた大家族の場面写真が一挙に解禁となった。ベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)と6人の子どもたちは、現代社会に触れることなくアメリカ北西部の森深くに暮らしていた。父仕込みの訓練と教育で子どもたちの体力はアスリート並み。みな6か国語を操り、18歳の長男は名立たる大学すべてに合格。しかしある日、入院していた母レスリーが亡くなり、一家は葬儀のため、そして母の最後のある“願い”を叶えるため旅に出る。葬儀の行われるニューメキシコまでは2,400km。アメリカの著名な哲学者にして言語学者チョムスキーのことは知っていても、コーラもホットドッグも知らない世間知らずの彼らは、果たして母の願いを叶えることができるのか?「普通ってなんですか?」――。文明に触れず、森で暮していたヘンテコ家族が母の死をきっかけに旅に出る、笑いと涙にあふれたロードムービーとなる本作。主演は、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のアラゴルン役で知られ、『イースタン・プロミス』でアカデミー主演男優賞にノミネートされた名優ヴィコ・モーテンセン。彼が演じる主人公・ベンは、独特な教育方針のもと世間と切り離された森で6人の子どもたちを育てている厳格な父親。長男ボウドヴァン(ジョージ・マッケイ)は有名大学に軒並み合格、運動神経抜群でも、女子と話すのが大の苦手。赤毛の双子の姉妹、キーラーが得意なのはエスペラント語、ヴェスパーは狩りで家の屋根にも上れるほど。その下のレリアンは、ほかの兄弟と違い森での生活に疑問を持ち、ベンに反発する。さらに好奇心旺盛なサージは、動物の剥製を自作するのが趣味、末っ子のナイはいつも裸でいるのが好きな男の子だ。みな風変わりで個性的なキャラクターばかりだが、旅に出た彼らが世の中とのギャップに戸惑いながらも、自分たちらしさを失わずに生きようとする姿には、現代を生きる人々の共感を呼び、世界中が絶賛。メガホンをとったマット・ロス監督は昨年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞し、全米では4館から600館まで拡大公開され4か月以上のロングランとなった。今回、一挙に解禁となったメイン写真とサブ写真では、父親ベンの熱血指導のもと、人里離れた森で暮しながらアスリート並みの訓練をするシーンや、古典文学や哲学書を読みふける子どもたちの姿、そして、光射す美しい情景の中で親子が手を取り合うシーンなど、一家の絆の強さが見えてくるシーンを切り取っている。1月24日(火)にノミネーションが発表されるアカデミー賞にも、ヴィゴは選ばれるのか、引き続き注目していて。『はじまりへの旅』は4月1日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月19日1月16日(月)、「第40回日本アカデミー賞」優秀賞の15部門および新人俳優賞が発表。『怒り』『シン・ゴジラ』『湯を沸かすほどの熱い愛』や、アニメーション作品からは『君の名は。』『この世界の片隅に』などが優秀賞に選ばれ、新人俳優賞には杉咲花、高畑充希、岩田剛典、坂口健太郎、千葉雄大ら最旬俳優の名前が並んだ。同賞は、2015年12月16日~2016年12月15日の間に公開された作品から、優秀な劇場用映画およびアニメーション作品を表彰したもの。授賞式の女性司会者は、前年の最優秀主演女優賞を獲得した女優が務めるのが恒例となっており、今年は、昨年『百円の恋』で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラと、日本アカデミー賞協会組織委員会副会長の西田敏行とともに司会を務める。優秀作品賞には5作品が選出。渡辺謙を主演に、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡ら豪華俳優陣の共演が話題となった『怒り』。本作では李相日監督が優秀監督賞&脚本賞を受賞。ほか、宮崎あおいが主演女優賞に、妻夫木聡&森山未來が優秀助演男優賞に、広瀬すずが優秀助演女優賞に選出。さらに佐久本宝が、新人俳優賞に選ばれた。“熟年離婚”をめぐり大騒動を繰り広げる家族の姿を滑稽に、かつ温かく描いた映画『家族はつらいよ』。山田洋次監督は、平松恵美子とともに優秀脚本賞に選出。庵野秀明・総監督、樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』は優秀監督賞のほかに、長谷川博己が主演男優賞、石原さとみ&市川実日子が助演女優賞、鷺巣詩郎が優秀音楽賞を受賞。宮沢りえが主演を務め、オダギリジョー、杉咲花らとともに、“死にゆく母と、残される家族の愛と絆”を描いた『湯を沸かすほどの熱い愛』からは、中野量太監督が優秀監督賞&脚本賞を。宮沢さんが主演女優賞で、杉咲さんが助演女優賞&新人俳優賞を受賞。『半落ち』『クライマーズ・ハイ』の原作を手がける横山秀夫のベストセラー小説を2部作で映画化する『64-ロクヨン-前編』では、佐藤浩市が主演優秀賞に選ばれたほか、坂口健太郎が新人俳優賞、監督賞&脚本賞、音楽賞、撮影賞などを受賞。そして、この夏の劇場を大いに賑わせたアニメーション映画からも5作選出。日本映画史に残る大ヒットを記録し、海外でも高い評価を得る『君の名は。』。新海誠監督が、優秀監督賞&脚本賞に選ばれ、「RADWIMPS」が優秀音楽賞を受賞。のんが主人公の声を務め、公開スタート時全国63館だったが、週を追うごとに拡大公開を重ね、大ヒットを記録している『この世界の片隅に』も、作品賞と、コトリンゴが優秀音楽賞を受賞した。ほか大今良時のベストセラーコミックを原作に、入野自由、早見沙織ら人気声優を迎え京都アニメーションが映画化した『聲の形』、『ルドルフとイッパイアッテナ』、『ONE PIECE FILM GOLD』。ほか、優秀主演男優賞には、『日本で一番悪い奴ら』の綾野剛、『海賊とよばれた男』の岡田准一、『聖の青春』の松山ケンイチ。優秀主演女優賞には、『後妻業の女』の大竹しのぶ、『リップヴァンウィンクルの花嫁』の黒木華、『ちはやふる-上の句-』の広瀬すずが選出。新人俳優賞には、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』から高畑充希&岩田剛典、『セーラー服と機関銃ー卒業ー』の橋本環奈、『殿、利息でござる!』の千葉雄大、『ちはやふる』の真剣佑ら、旬なメンバーが揃った。優秀外国作品賞には、『オデッセイ』『ズートピア』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『ハドソン川の奇跡』『レヴェナント:蘇りし者』。各賞の最優秀賞の発表、授賞式は3月3日(金)グランドプリンスホテル新高輪にて開催。同日21時からは日本テレビ系にて「第40回日本アカデミー賞授賞式」を放送予定。(text:cinemacafe.net)
2017年01月16日俳優の西田敏行、女優の安藤サクラが16日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われた『第40回日本アカデミー賞』の優秀賞発表記者会見に出席した。日本アカデミー賞協会が主催する『第40回日本アカデミー賞』は、昨年度に劇場公開された映画の作品賞や主演男優賞、主演女優賞、新人俳優賞などを表彰するもの。なお、優秀賞の中から最優秀賞を決定する授賞式を、3月4日21時から日本テレビ系で、ラジオ放送はニッポン放送で3月3日21時から放送する。また、授賞式の司会には、4年連続で西田敏行が務めるほか、昨年の同賞で最優秀主演女優賞に輝いた安藤サクラが担当する。4年連続の大役に西田は「昨年の授賞式の時はちょうど頚椎をケガしまして、身動きできない状態で司会をさせてもらい、関係各位にご迷惑をおかけしたことをお詫びします」とあいさつし、「今年は身体も動くようになりましたし、楽しく授賞式を滞りなく進行を務めていきたいと思います。世の中は今、どんどん政情不安といいましょうか、心身穏やかではないと案じています。映画という文化が担う役割が大きくなってきていると思いますので、映画人の皆さんのモチベーションがあがるような節目のイベントでありたいと願っています」と意欲。その西田とコンビを組む安藤は初めての司会で「今年初詣に行った時、『とにかく目上の方に頼りなさい。そうすれば上手くいくが、だからと言って調子に乗ってはダメ』とおみくじに書かれていました。それを読んだ瞬間、これはきっとアカデミー賞の司会のことだと思いました」と笑いを誘いつつ、「西田さんに頼りながら、調子に乗らず、受賞者の皆さんに粗相がないように務めていきたいと思います」と自戒していた。そんな安藤について西田は「安藤さんは大きなキャパシティーを持っている女優さん。そういった意味でこれからの安藤さんの天才的な表現術がどこで醸成してきたのか司会をしながら探っていきたいと思います」と期待感。西田の言葉に笑顔を見せた安藤は「1年間この司会のことを考えていて、とにかく沢山の映画を劇場で見ようと思い、沢山の映画を見て楽しませていただきました。そんなすごい方々と一気にお会い出来る機会はないので、イチ映画ファンとしてもその空気を堪能したいと思っています」と授賞式が待ち遠しい様子だった。○『第40回日本アカデミー賞』の主な受賞作品・受賞者(50音順)※作品名は対象作品優秀作品賞『怒り』『家族はつらいよ』『シン・ゴジラ』『湯を沸かすほどの熱い愛』『64-ロクヨン-前編』優秀アニメーション作品賞『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』『ルドルフとイッパイアッテナ』『ONE PIECE FILM GOLD』優秀監督賞庵野秀明(総監督)/樋口真嗣(監督)『シン・ゴジラ』新海誠『君の名は。』瀬々敬久『64-ロクヨン-前編』中野量太『湯を沸かすほどの熱い愛』李相日『怒り』優秀主演男優賞綾野剛『日本で一番悪い奴ら』岡田准一『海賊とよばれた男』佐藤浩市『64-ロクヨン-前編』長谷川博己『シン・ゴジラ』松山ケンイチ『聖の青春』優秀助演男優賞竹原ピストル『永い言い訳』妻夫木聡『怒り』東出昌大『聖の青春』森山未來『怒り』リリー・フランキー『SCOOP!』優秀主演女優賞大竹しのぶ『後妻業の女』黒木華『リップヴァンウィンクルの花嫁』広瀬すず『ちはやふる-上の句-』宮崎あおい『怒り』宮沢りえ『湯を沸かすほどの熱い愛』優秀助演女優賞石原さとみ『シン・ゴジラ』市川実日子『シン・ゴジラ』杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』広瀬すず『怒り』宮崎あおい『バースデーカード』新人俳優賞杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』高畑充希『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』橋本環奈『セーラー服と機関銃-卒業-』岩田剛典『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』坂口健太郎『64-ロクヨン-前編』『64-ロクヨン-後編』佐久本宝『怒り』千葉雄大『殿、利息でござる!』真剣佑『ちはやふる-上の句-』『ちはやふる-下の句-』
2017年01月16日前回の「イマ旬!」でもお伝えしたが、1月中盤から2月になると映画の現場に携わる人たちによって選出される映画賞が増える。先日立て続けにPGA(全米プロデューサー組合)賞、英国アカデミー賞のノミネーションが発表された。ロサンゼルス現地時間1月8日(日)に開催されたゴールデン・グローブ賞も前哨戦と言われているが、投票する会員たちは外国人記者ということで英国アカデミーや全米プロデューサー組合のメンバーとダブることはない。逆に言うと、PGAと英国アカデミーとアカデミー賞を選ぶ映画芸術科学アカデミーのすべてに属している人たちも少なくないわけだ。これを考えると、PGA賞や英国アカデミー賞、あるいはこれから行われるSAG(全米映画俳優組合)賞がどれだけアカデミー賞の結果と似てくるかの説明がつく。前回のお約束通り、今回はアカデミー賞でノミネートされそうな3本の作品についてご紹介しよう。『ラ・ラ・ランド』【あらすじ】ロサンゼルスで夢を追いかける男女の甘酸っぱい恋物語を描いたミュージカル。【アカデミー賞候補本命度】ゴールデン・グローブで計7部門を受賞したほか世界中の映画賞を席巻している作品。とにかくミュージカルが嫌いな人をも虜にしてしまうスゴイ作品でノミネーションはもちろんのこと、ライバル『ムーンライト』、あるいは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を退けられれば作品賞も夢ではない。【注目点:とにかくオールマイティーな作品】アカデミー賞は作品賞においてはミュージカルに冷たいという過去もあるが監督賞は必至、音楽部門のアカデミー賞も総なめ、ひょっとすると主演男女優賞、もしかすると作品賞も受賞するかもと言われており、ノミネーションの数はアカデミー史上最高となる可能性も!?『ムーンライト』【あらすじ】マイアミがドラッグにあふれかえり荒れていた時代を舞台に、主人公の黒人少年が試練・自己発見・恋愛を通して成長していく様を追ったドラマ。【アカデミー賞候補本命度】いかにもアカデミーが好みそうな作品。このところアカデミー賞で問題になっているdiversity(人種の多様性)の欠如を補う意味でもノミネーションは確実、作品賞においての本命でもある。製作総指揮にブラッド・ピットが名を連ねており、彼がどれほどの根回しをするかも受賞を左右するのでは。【注目点:好きな映画に投票するか受賞すべき映画に投票するか】まさに表題とおりで、アカデミー会員が本当に自分の楽しんだ好きな映画に投票するとしたら、きっと『ムーンライト』は、ぶが悪いのではと思う。(なんといっても題材が重い!)だが、とにかく人種の多様性が重視されているアカデミー内でどれだけの人が映画の娯楽性ではなく政治的な見地で投票するかで結果が分かれるのでは。『ヒドゥン・フィギュア(原題)/Hidden Figures』【あらすじ】1960年代のNASAを舞台にした実話の映画化。ただでさえ男性優位だった宇宙開発の職場で3人の若い黒人女性たちが差別と偏見の壁を破って、月着陸プログラムをはじめNASAの発展に貢献していく姿をハツラツと描いた元気の出るストーリー。【アカデミー賞候補本命度】作品賞受賞は難しいと思うがノミネーションはほぼ確実と筆者的には希望的観測を持っている。黒人市民による暴動や人種偏見を打ち出しそうな次期大統領を目の前に暗くなりがちなご時世を元気に歩かせてくれる作品で、その証拠に先日の全米興行収入では『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』から首位を奪うという快挙を達成。こういう映画にこそ賞を取ってほしい。【注目点:アカデミー会員が、元気になる映画にどれだけの価値を見出すか】アカデミーに“学術団体”などという意味合いがなければ、きっと本作や『ラ・ラ・ランド』がオスカー像を根こそぎ受賞していくと思うのだが、残念ながら往往にして「楽しい」映画や「元気の出る」作品がアカデミー賞を取ることは少ない。とにかく暗いニュースが多かったここ最近に免じてアカデミー賞には楽しく元気になる作品を選んでほしい。次回の「現地目線!第89回アカデミー賞レースのゆくえ」では「ノミネーションで必ずきそうな俳優~女優編~」をご紹介。お楽しみに。(text:明美・トスト/Akemi Tosto)
2017年01月15日米国アカデミー賞よりも歴史が古く、世界一の歴史を誇る映画雑誌「キネマ旬報」が1924年より主催してきた映画賞「キネマ旬報ベスト・テン」。この度、「2016年第90回キネマ旬報ベスト・テン」が決定!栄えある日本映画第1位は『この世界の片隅に』、外国映画第1位は『ハドソン川の奇跡』が選ばれ、各個人賞も発表された。1919年の創刊以降、映画ファンに親しまれ続け、現在でもなお続く映画雑誌「キネマ旬報」。本雑誌が開催する「キネマ旬報ベスト・テン」は、選出者の年齢・所属の幅が広く、また人数も多いことから高い信頼を得ている。その年を代表する「日本映画」「外国映画」「文化映画」がそれぞれ10本選出されるほか、「日本映画」と「外国映画」には読者選出部門を設け、それぞれの10本を挙げ、「日本映画監督賞」「外国映画監督賞」「日本映画脚本賞」「日本映画主演女優賞」「日本映画主演男優賞」「日本映画助演女優賞」「日本映画助演男優賞」「日本映画新人女優賞」「日本映画新人男優賞」「読者選出日本映画監督賞」「読者選出外国映画監督」「キネマ旬報読者賞」と、その年の称賛すべき作品や映画人を多面的に選出する。2016年度のベスト・テンで90回目を数える本賞。個人賞には2016年のスクリーンを彩った顔ぶれがズラリ揃った。日本映画監督賞には『この世界の片隅に』の片渕須直。日本映画脚本賞には、『シン・ゴジラ』の庵野秀明。主演女優賞には、『湯を沸かすほどの熱い愛』の宮沢りえ。主演男優賞には、2004年度『誰も知らない』で新人男優賞を受賞し、『ディストラクション・ベイビーズ』主演の柳楽優弥。助演女優賞には、『湯を沸かすほどの熱い愛』で宮沢さんの娘役を好演、今年も『無限の住人』など出演作が控える杉咲花。助演男優賞には、『永い言い訳』の“ネクストブレイカー”竹原ピストル。新人女優賞には、『溺れるナイフ』『ディストラクション・ベイビーズ』ほかで幅広い役を演じきった小松菜奈。新人男優賞には、『ディストラクション・ベイビーズ』ほか、テレビドラマでも注目を集めた村上虹郎。また『ハドソン川の奇跡』のクリント・イーストウッドが8度目の外国映画監督賞に輝いた。そして“日本映画ベスト・テン”で見事1位に輝き作品賞と受賞したのは、片渕監督の大ヒット作『この世界の片隅に』。興行収入は10億円を突破し、上映劇場もますます増え、海外公開も控える本作の勢いは2017年も止まりそうにない。そして2位には脚本賞に輝いた庵野氏の『シン・ゴジラ』、3位にカンヌ国際映画祭・ある視点部門で公式上映された『淵に立つ』。4位には主演男優賞&新人男優賞を輩出した『ディストラクション・ベイビーズ』、5位に本木雅弘主演、西川美和監督の『永い言い訳』、6位に岩井俊二監督作で、黒木華が主演を務めた『リップヴァンウィンクルの花嫁』、7位には主演女優賞・宮沢さんと助演女優賞・杉咲さんが共演した『湯を沸かすほどの熱い愛』、8位には西島秀俊&竹内結子の夫婦役に、香川照之の怪演が話題となった『クリーピー偽りの隣人』、そして9位に佐藤泰志三部作の最終章を映画化した『オーバー・フェンス』、10位には渡辺謙を主演に迎え、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡ら豪華俳優陣が集結した『怒り』。“外国映画ベスト・テン”では、『ハドソン川の奇跡』が1位を獲得。以下、2位に『キャロル』、3位に『ブリッジ・オブ・スパイ』、4位に『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』、5位に『山河ノスタルジア』、6位に『サウルの息子』、7位に「第88回アカデミー賞」にて作品賞&監督賞に輝いた『スポットライト 世紀のスクープ』、8位に『イレブン・ミニッツ』、9位に『ブルックリン』、10位に「第88回アカデミー賞」にてブリー・ラーソンが主演女優賞に輝いた『ルーム』がランクイン。“文化映画ベスト・テン”第1位には、監督・佐々木聰の『ふたりの桃源郷』が輝いた。なお、本賞の第1位映画鑑賞会と表彰式は、2月5日(日)に東京都内にて開催予定。(text:cinemacafe.net)■関連作品:この世界の片隅に 2016年11月12日より全国にて公開(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
2017年01月10日