比嘉愛未が“野本さん”、西野恵未が“春日さん”を演じ、ゆざきさかおみの人気漫画をドラマ化した夜ドラ「作りたい女と食べたい女」の続編制作が決定。比嘉さんや西野さんからコメントが到着した。これまで「あなたのブツが、ここに」「ワタシってサバサバしてるから」などの話題作を放送してきたNHKのドラマ枠“夜ドラ”。その中でも、人気漫画を原作として昨年11月から12月にかけて放送し、SNSを中心に話題になった「作りたい女と食べたい女」が、視聴者からの熱い応援を受けて、夜ドラ枠としては初めてとなる続編の制作が決定。主演は、前作から引き続き、自らの恋心に向き合う「野本さん」を丁寧に演じた比嘉愛未。相手役には、同じく前作でドラマ初出演ながら抜群の存在感を発揮した「春日さん」役・西野恵未が続投。料理を「作る」ことが好きな女性と、「食べる」ことが好きな女性。彼女たちの日常や交流を通して、どんな物語が紡がれるのか。脚本も前作から引き続き、山田由梨が担当する。「たくさん料理を作りたい」「お腹いっぱいご飯を食べたい」。そんな2人が出会い迎えた変化。前作では、春日さんへの恋心に気づいた野本さんの姿が描かれていた。続編での2人の恋の行方は?そして、どんな料理が描かれるのか。また、「矢子さん」や「南雲さん」など、新たなキャラクターも登場する。主演・比嘉愛未(野本ユキ役)コメント続編決定致しました!!私自身もこの作品が大好きで、またいつか野本さんを演じられたらと思っていたので本当にうれしいです。野本さんは料理好き。でもそこには、おいしそうに食べてくれる人が居てこその達成感があって。それはこのエンターテイメントの世界も同じで、応援してくださる方がいるからこそ、私たちは創りがいがあり、伝わるからこそ幸せを感じられる。まさにつくたべの世界観は、「生きる楽しみ」を表現していると私は思っています。なのでこんなにも素敵な作品を、すばらしいチームと共にまた創り出せるなんて幸せものです。前作の出逢いで、私生活でも親友となった春日さん役の西野恵未さんを含め、新たな出演者も今回から参加されるのでその出会いも楽しみですし、何より心地よい世界観を現場でも画面を通してでもお届けしたいと思っております。「作りたい女と食べたい女」続編放送をぜひお楽しみに比嘉愛未西野恵未(春日十々子役)コメントただいま~!西野恵未です。前作に続き、春日十々子役として出演させていただきます。ドラマ放送が終了してから、絶賛つくたべロス期間を過ごしていた私。続編制作決定のご連絡をいただいた時は「2人に会えるんだ!」と歓喜すると同時につくたべドラマが観てくださった方にしっかり届き、お返事を頂けたからこそ再び演じることができるんだな...と感謝の気持ちで一杯になりました。本当にありがとうございます。今作も主演の比嘉愛未さんはじめ、大好きなつくたべチームの皆さんとご一緒できることが心から楽しみです。物語もどうやって進んでいくのか、どんな仲間が増えるのか想像してワクワクしています。夜ドラ史上初めての”続編”というのもとてもうれしいことです!私にとっても人生初めての”続編”です。笑より一層気を引き締めて、新しい気持ちで、ひとつひとつを大切に春日さんと向き合っていきます。「作りたい女と食べたい女」続編がたくさんの人に届きますように。原作・ゆざきさかおみ コメント最初の夜ドラ枠でのドラマ化だけでも大変名誉なことでしたのに、シーズン2まで制作いただけること、それも夜ドラ枠で続編が制作されるのは初めて!ということで、大変恐縮ですが至極光栄に思っております。比嘉愛未さん演じる野本さんと西野恵未さん演じる春日さんにまたお会いできること、また原作3巻からの新たな登場キャラクターである矢子さんや南雲さんに会えること、そして野本さんと春日さんとの恋の行方、その合間に挟まれるおいしそうな料理などなど...。今から期待で膨れてちぎれてしまいそうです。テレビの前には原作者としてではなくいちファン、いち視聴者として座り、物語を見守りたいと思っております。とても楽しみにしております!脚本・山田由梨 コメントつくたべ続編の制作が決まりました!うれしい!しかも、同じ夜ドラの枠で、前回の倍の長さの20話です。シーズン1の放送時、月~木曜の夜の15分間、野本さんと春日さんの生活を日々見守るのが、本当にいい時間だったなと思います。より長く、2人と時間を過ごせるなんて...。シーズン2はドラマのオリジナル要素も増えそうです。野本さんの春日さんへの恋心がどうなるのか、2人の関係に進展はあるのか、そして2人は今回どんなご飯を一緒に食べるのでしょう...。ぜひぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。夜ドラ「作りたい女と食べたい女」は2024年初頭、月曜~木曜22時45分~NHK総合にて放送(全20話)。(text:cinemacafe.net)
2023年06月12日昨年、公演延期となったWAHAHA(以下:ワハハ)本舗全体公演『王と花魁』全国ツアーの開催が決定。構成・演出の喰始、キャストの柴田理恵、久本雅美、梅垣義明に現在進行形の想いを尋ねた。ピリオドを打った『ラスト3~最終伝説~』から4年ぶりの全体公演となる本作。枠にとらわれることのない多彩なパフォーマンスで客席に全力の笑いを届ける。延期が決まっても喰は「中止は念頭になく絶対にリベンジしたかった」と語り、その言葉に柴田・久本・梅垣の3人も頷く。ワハハ本舗の特徴といえば、“過剰”ともいえる客席とのコミュニケーション。「ろくでなし」を歌って鼻から豆を飛ばし、「愛の讃歌」でステージを降り観客をハグしにかかる梅垣の芸に代表され、これを目当てに訪れる人も多い。しかしコロナ禍では“濃厚接触”。得意技を封じられた一同はどうやって客席を魅了するのか。そう聞くと、喰は「梅垣は今までお客さんをひどい目に遭わせてきたけど、今度は梅垣がひどい目に遭う番」とほくそ笑む。制限を逆手に取った笑いを追求する一方で、無観客配信を行った梅垣は画面の向こうにいる観客の反応がわからない心もとなさを経験した。「自分がいかにお客さんから助けられてきたか、コロナ禍で“観客の力”を実感しました」と語ると、喰は「今回のお客さんはおかしくても笑い転げるのは難しいから、マスク上でアピールしてもらう?」とその場でアイディアを出す。一度目の緊急事態宣言が明けてから、さまざまな舞台を観に行った柴田は「ワハハみたく底が抜けたような笑いって今見かけないよね」とひと言。「だからこそ我々がやる意義は大きいんじゃないかな」と万全の対策で観客を迎える覚悟を語る。久本も「私たちを待ってくださっているお客さんの存在を感じています」と続き、「その気持ちに応えて全力で“バカ”やる所存です!」と意気込んだ。最後に喰は「エンターテインメントは精神のワクチン。接種の無理強いはしません。でもワクチンを体に入れて心が軽くなるのであれば、ぜひお越しください」「我々も年齢を重ねましたから。いつまでもあると思うな、ワハハ本舗ですよ」と呼びかけ、インタビューを結んだ。なお、取材中に喰が思いついた案は「マスクdeエール」プロジェクトとして進行中だ。演劇人に対するメッセージを寄せたマスクの着用姿を写真・動画に収めてワハハ本舗に送ると応援動画として編集され、劇中や記者発表イベントにて上映されるという。BGMには『王と花魁』応援隊長・泉谷しげるが書き下ろしたオリジナル楽曲が予定されている。公演は10月28日(木)~31日(日)に東京・新宿文化センター 大ホールで行われたあと、11・12月に全国12会場を巡演する。取材・文:岡山朋代
2021年05月07日『ろくでなし』を歌いながら鼻にグリーン豆を詰めて客席に飛ばす芸を得意とする、もっともコロナ禍に向かない芸人・梅垣義明(61)。そんな芸風の梅垣がコロナ禍に『梅ちゃんの新春シャンソンショー2021』を開催する。どんなネタを披露するのか?梅垣と今回ショーの構成・演出を手掛ける作家のすずまさ氏(60)に、インタビューマン山下が話を聞いた。ーーコロナ禍での開催となりますがどんなネタをやろうと考えているんですか?梅垣「いつものショーだったら客席に降りて鼻に詰めた豆を飛ばしたりするんですけど、飛沫感染の恐れがあるので今回はできないんですよ。だからネタを再構築しようと思って過去30年のネタのVTRを見直しました」ーー前回8月にもライブをやってますが、その時の対策はどうしたんですか?すずまさ「舞台と客席に透明のビニールシートで仕切りを作って完全に分けちゃいました。それを刑務所の面会という設定にしてやりました」ーー今回もビニールシートはあるんですか?梅垣「今回はないですが客席には降りません」すずまさ「後はお客さんに安心して見てもらうためにショーが始まる前にPCR検査を毎回やろうと思ってます。それで『今回検査して梅垣義明は陰性でしたので安心して見てください』とお客さんに伝えようかなと思っています」ーー今回『鼻から豆飛ばし』を見られないのは残念ですね。梅垣「豆飛ばしをやるとしても、違う見せ方をしないと……」ーー梅垣さんのネタで吹くと伸びるピロピロ笛を鼻に刺して吹くネタがありますが、あれは飛沫に関しては大丈夫じゃないですか?すずまさ「鼻笛は大丈夫でしょうね(笑)。お客さんに届かないので」梅垣「でもはっきり言って鼻笛はたいしたネタじゃないから、恥ずかしいから記事に書くのを止めてください(笑)」ーーいや面白いじゃないですか! 客席に降りるネタは今回できないですからね。すずまさ「そういうネタが80%から90%なんですよ」ーーほぼできないじゃないですか! 例えば物干し竿に掛けた布団を梅垣さんが背負って、布団たたきでたたくと布団から粉が舞うネタがあるじゃないですか。粉は問題ないと思うので粉もんのネタはやれるんじゃないですか?梅垣「粉もん? うどんじゃないんですから(笑)。あのネタは客席に降りるからできないんで違った形で粉もんは考えます」ーーお願いします。後はペニスケースを付けるネタはできますね。すずまさ「何、ネタを選別してるんですか(笑)。あれは飛沫はないので確かにできますけど」梅垣「とにかく客席に降りないでも自己完結できるネタを新しく作ったり、昔のネタを変えてみたりしようと考えてますね」ーーコロナ禍でもできるネタを選んだり、作ったりするのは大変ですね。梅垣「そうなんですよ。例えば『ラ・ヴィ・アン・ローズ』という曲を歌いながらお客さんの顔にサランラップを巻いて僕がお客さんにキスをするネタがあるんです。あれって飛沫は大丈夫なんですが、見ている方は『この時期にこんなことをするの?』っていうのが心理的にあると思うんですよ。『だったらやめよう』と。やっぱりお客さんがリラックスして楽しんでもらえる状況を作りたいので」ーーそもそも歌いながら豆を飛ばすネタはどうやってできたんですか?梅垣「最初は歌だけだったんですよ。でも誰も聞きやしませんから。それで演出家の喰始さんが『歌が歌えるし、シャンソンが好きだったらシャンソン歌いながら、なんかやってみたら』って。だから歌いながら何かネタをやるという形を作ったのはうち(ワハハ本舗)の喰始です。豆のネタも喰さんが『鼻に豆を詰めて飛ばすネタができるんじゃないの?』と言われたんですよ。最初、俺は『そんなに面白くないな』と思ったんだけど、やったらウケたもんだからやり始めたんです」ーー最初は梅垣さんはピンと来てなかったんですね(笑)。過去にネタで大変だったことはありますか?梅垣「『豆飛し』のネタは豆を左右の鼻の穴に4個ずつ入れて、それをいっぺんに飛ばすんですけど、豆が鼻の中に残ることもあるんです。鼻の中にも階段でいう踊り場みたいなところがあって、そこに豆が入っても呼吸はできるんですよ。1週間後ぐらいに出て来たこともあってネタじゃなくて、本当にグリーン豆が真っ白になってました。後は『徹子の部屋』(テレビ朝日)に出た時に徹子さんから『あなたは豆を飛ばす鼻のプロなんですから』ってよくわからないことを言われて。『小銭は鼻に何枚入りますか?』って。『そんなこと振ってくんのか』とびっくりしましたね(笑)」ーー豆と比べて小銭はかなり大きいので大変だったんじゃないですか。梅垣「最初に50円玉を入れて、次に10円玉と順番に入れると徹子さんが『素晴らしい。プロですね』って拍手してくれて。それで小銭を出してトークに入ろうと思ったら、1番奥の50円玉が入って取れないんですよ。だからしょうがないからそのままトークしてたんですけど、僕が笑うと50円は穴が開いてるからピーと音がするんですよ(笑)」ーー駄菓子のフエガムみたいなことですね。梅垣「その音に徹子さんが反応してくれなくて、何にも拾ってくれないんですよ。結局、最後まで鼻に50円が入ったままやって『今日はありがとうございました。ピー』ってなってました(笑)」ーー今後やりたいことなどありますか?梅垣「舞台は皆さん年をとるとやらなくなるじゃないですか。時間も労力もかかりますから。でも僕は舞台が好きなんで、ずっと続けて行きたいなと。後、豆も鼻から飛ばし続けます!」【INFORMATION】『梅ちゃんの新春シャンソンショー2021〜客席が恋しくて、冬〜』大阪:松下IMPホール1/9(土)開演18:00、1/10(日)開演14:00東京:シアターサンモール2/27(土)開演18:00、2/28(日)開演14:00詳細はWAHAHA本舗:03-3406-4472【PROFILE】取材・文:インタビューマン山下1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退。現在はインタビュアー・お笑いジャーナリスト
2020年12月31日ワハハ本舗の“歌姫”こと梅垣義明が、昨年に引き続き単独公演を行う。その名も『梅垣義明60 還暦記念リサイタル!』。60歳を迎えた翌日から幕を開けるステージの詳細を掘り下げるべく、梅垣のもとに向かった。【チケット情報はこちら】シャンソン・ポップスといった定番曲の生歌に、過剰な“客席サービス”を盛り込むショーで知られる梅垣。越路吹雪がカバーした『ろくでなし』を歌いながら鼻から豆を飛ばすパフォーマンスが特に有名だ。しかし、今回のサブタイトルは『本物のシャンソンが歌える年になりました』。おなじみのネタを封印して美声のみを響かせるのか? そう尋ねると「年を重ねないとシャンソンは歌えない、みたいなステレオタイプへの皮肉」と笑う。そんな舞台を30年ほど務めてきた梅垣には、今や280近いネタが。この還暦記念リサイタルでは「昨年のベスト版で披露しなかったステージを届ける」と意気込み、「去年ご覧になった方も楽しめる内容」と予告。特に大阪では日ごとにネタを変え、東京では新宿コマ劇場でしかやったことのないネタを展開するという。還暦記念は演出家の変更にもおよび、今回は監修にまわった喰始に代わってワハハ本舗の設立メンバー・すずまさが登板。美空ひばり『悲しい酒』を歌いながらオムツに酒を注ぐ……といった“1曲あたりひとつのアイディア”とMCの繰り返しだった従来の構成を大胆に翻し、「後半戦はメドレーを投入してノンストップで歌う“波”を起こし、喋りなしで一気に突っ走る演出を模索しています」と構想を明かした。ピアニスト・田中大介とのセッションも予定されている。客席サービスに関しても、来場者全員に女性用パンティを配布して被らせた過去を引き合いに出しながら「開演の前後にも“非日常”の空間をつくることが僕の仕事」と語り、今回も同じような取り組みを行うことを匂わせた。どんなアイテムですか? と身を乗り出した筆者を制するように「言いませんよ!」と口を閉ざしながらも、梅垣は「ちゃんと剃ってありますから」と脇の下をチラ見せ。カメラの撮影を受け入れた。どのようなパフォーマンスが行われるのか、ぜひ会場で確認してほしい。公演は7月13日(土)から15日(月・祝)まで、大阪・森ノ宮ピロティホールにて。その後、19日(金)に東京・山野ホール、27日(土)と28日(日)に宮城・誰も知らない劇場、 8月23日(金)に愛知・ダイアモンドホールと巡演する。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2019年06月06日高畑勲監督作『かぐや姫の物語』(13)の西村義明プロデューサーが、『思い出のマーニー』(14)に続き、再び米林宏昌監督と組んだ『メアリと魔女の花』が、いよいよ7月8日(土)より公開されました。明るくて天真爛漫だけど、自分の赤毛にコンプレックスを抱えた少女メアリ(声優:杉咲花)が、7年に一度しか咲かない魔女の花「夜間飛行」を手にしたことで不思議な力を身につけ、大冒険へと繰り出します。本作はスタジオジブリの作品ではなく、西村プロデューサーがジブリを退社後に立ち上げたスタジオポノックでの第1作目。公開を前にしたインタビューで今の心境を聞くと「ほっとしたの同時に、怖さを感じました」と神妙な面持ちをされました。それは、ジブリ作品を愛してジブリに入社し、働いてきた西村プロデューサーだからこそ、ジブリ作品のクオリティーを誰よりも知っているからです。本作はジブリの制作部が解散した後、米林監督と二人三脚でゼロから始めた企画ということで、全身全霊で臨みました。その渾身の映画『メアリと魔女の花』の制作秘話や、宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーから得たもの、また現役復帰宣言をされた宮崎監督への思いについてもうかがいました。■ジブリ退社後の苦労を激白イベント登壇時、10kg痩せたと言っていた西村プロデューサーが、独立後の苦労を吐露しました。「ジブリのときは、ジブリという傘の下で守られていたんです。『かぐや姫の物語』は完成するのに8年かかりましたが、高畑さんが作りたいものを信じてやっていけばいいと思っていたし、『思い出のマーニー』は宮崎さんが大好きな原作を基に、最後はジブリ制作部の総力をあげて邁進するだけでよかった。ジブリの制作部門が解散して、クリエイターが散り散りになりました。業界を去った方も多い。そんな中、子どもから大人まで楽しめる価値あるアニメーションは作り続けるべきだと思ったし、その火は絶やしてはいけないと思っていました。待ってても誰も始めてはくれないのなら、痩せ我慢でも自分が始めようと。今回は何の拠り所もないわけで、お金もなければ、スタッフも環境もない。でも、始めたからには責任があります。アニメーション映画は、人の数や期間がべらぼうにかかる。クリエイター400人だけではなく、製作委員会や映画館の方々も含め、その人生を費やしてくださるわけですから」本作を手がける前に、西村プロデューサーは米林監督と共に高畑監督、宮崎監督、鈴木プロデューサーのもとにあいさつをしに行ったそうです。「その時に『覚悟をもってやれ』と言われましたが、覚悟なんて当たり前なんです。でも、その覚悟すら揺らぐことが多くあったし、肉体的にも精神的にもぎりぎりでしたね。ジブリじゃないってことが、ここまで苦しいとは思わなかったですよね。■映画では珍しい「感謝」のクレジットの意味とは? ジブリを退社後、鈴木プロデューサーの偉大さをかみしめたという西村プロデューサー。「ジブリを出た今だから言えますが、鈴木さんは、尊敬に値するプロデューサーです。ジブリ時代は常に鈴木さんに相談しながらやってきましたが、今回は自分の足で立っているわけだから、相談はしないと決めていたし、鈴木さんにもそう伝えました。ただ、あいさつに行った時、帰りがけに鈴木さんが『お前、大変だと思うけど、ここぞというときは俺に言いに来いよ。なにか一個だけ協力してやるから』と言ってくれて。かっこいい人ですよね」高畑監督は、本作の映画音楽に関してヒントをくれたそうです。「ハンマー・ダルシマーという楽器を具体的に提案してくれました。また『ジブリの制作部が解散した今、スタジオポノックはアニメーション映画の牙城になるかもしれませんね。何でも協力しますよ』と言ってくれて」宮崎監督については「もしも映画を観て喜んでくれるんだったらもう現役じゃないのかもしれないです。彼はまだ現役ですから、観たら手厳しいことを言ってくれると思います」とどこかうれしそうに語ってくれました。■宮崎監督の現役復帰宣言に対しての思い今年に入り、宮崎監督が新作長編の準備に入ったと報道され、日本中がざわめきました。西村プロデューサーは「ああ、作るんだ!と。だったら引退するなんて言わなければよかったのにと思いました」と苦笑い。「ただ、『風立ちぬ』(13)で宮崎さんは体力の限界まですり減っていたことを、『メアリ』を作ったクリエイターはみんなわかっています。76歳でまた1本の映画を作ろうとするなんてすごいことです。やれば自分がどうなるのかは、宮崎さんがいちばんわかっているはず。本当に命懸けになるかもしれない。僕はそこが心配です。すごい覚悟をされて決断したんだろうなと。ただ、高畑さんは81歳で宮崎さんは76歳、その年齢でしか作れない映画があるし、作るべき作品があると僕は思います。一方で、今の宮崎さんに『天空の城ラピュタ』(86)や『魔女の宅急便』(89)みたいな冒険物語を求めてるのも酷です。もう過去に作ってきたわけだから。その年齢だからこそ作れる、作るべき作品があると僕は思っています」後編では、敢えて宮崎駿監督作『魔女の宅急便』と同じ“魔女”がモチーフの映画にした理由や、杉咲花や神木隆之介ら声優陣のキャスティング、SEKAI NO OWARIの主題歌「RAIN」の制作秘話などをお届けします。>>後編はこちらメアリと魔法の花2017年7月8日(土) 全国東宝系にてロードショー 「メアリと魔女の花」公式ホームページ 監督・米林宏昌がスタジオジブリ退社後の第一作目として、満を持して発表する長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』。監督が最新作に選んだ題材は、かつて師である宮崎駿監督が選んだ題材と同じ「魔女」。あらゆる世代の心を揺さぶる夏のエンターテインメント超大作が誕生! 【声の出演・スタッフ】杉咲花 神木隆之介 / 天海祐希 小日向文世 / 満島ひかり 佐藤二朗 遠藤憲一 渡辺えり / 大竹しのぶ 原作:メアリー・スチュアート「The Little Broomstick」脚本:坂口理子脚本・監督:米林宏昌音楽:村松崇継
2017年07月12日昨年公開された『かぐや姫の物語』をプロデュースしたスタジオジブリの西村義明氏が3月21日(金・祝)、東京・新宿バルト9でトークショーを行った。ジブリ新時代を担う存在として注目され、夏公開のジブリ新作『思い出のマーニー』も手がける西村氏ってどんな人?この日は「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」が特別企画した3夜限定の上映会「これが出発点だ。」の“第1夜”で、高畑勲監督の記念すべき長編アニメ初作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』(’68)がニュープリント版で上映された。同作に加えて、宮崎駿監督の初期代表作である『ルパン三世 カリオストロの城』(’79)、『風の谷のナウシカ』(’84)もスクリーンに復活。どれも現在のジブリを語る上で欠かせない、文字通りの“出発点”だ。西村氏は1977年、東京生まれ。アメリカ留学後の2002年、スタジオジブリに入社した。「若気の至りで映画を作ってやりたいと思っていたが、何をしたらいいのか分からなかった」そうで、入社当初は「著作権や法務を扱う部署で、ひたすら契約書のファイリングをしていた」のだとか。その後、『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』の宣伝に参加し、高畑監督に多大な影響を与えた50年代の仏アニメ『王と鳥』(’06年に日本公開)で宣伝プロデューサーを務めた縁で、高畑監督と出会った。ちょうどこの時期、『かぐや姫の物語』は準備段階にありながら、ほとんど前進が見えない状況だったという。そこでスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが白羽の矢を立てたのが、西村氏。そこから『かぐや姫の物語』が完成するまでの苦闘の8年が始まった。「初めて高畑さんにお会いしてから、監督をお願いするのに1年半。脚本はさらに1年半かかった。ところが出来あがった脚本は、上映時間が3時間半もあって…」と西村氏。さまざまな試行錯誤を経て、当初183ページあったシナリオは、138ページにまで絞られたそうだ。絵コンテの段階になっても、高畑監督のこだわりはノンストップで「ある日突然、高畑さんが『なんで竹が光るんですか?光源はどこですか』って(苦笑)。その答えが出るまで、絵コンテが6週間止まってしまった」(西村氏)。映画は2013年7月、宮崎駿監督の『風立ちぬ』と同日公開される予定だったが、最終的には同年11月23日に全国封切りされた。「最初から無理だったんでしょうね。製作が遅れるなか、夏に公開するか、企画そのものを中止するか決断することになった。鈴木さんに『企画を中止にし、製作にかかった数十億円をドブに捨てる権利を僕にください』と伝えた。すると鈴木さんは『お前が始めたことだからな。いいよ、ドブに捨てても』って…。最終的には4か月遅れで、高畑さんとも意見が合致しましたが。高畑さんは初めて納得してくれましたね。そもそも(『風立ちぬ』との)同時公開には納得していなかったですし」(西村氏)。目下、夏の全国公開に向けて、最新作『思い出のマーニー』の完成を目指している。メガホンをとるのは、『借りぐらしのアリエッティ』で長編デビューを飾った米林宏昌監督。こちらは、演出面でジブリ新時代を担う存在だ。西村氏は「全然、順調じゃないです!夏には公開しますけど。米林監督は現実的で、現状の中で最大限の力を発揮する人。朝10時から翌朝4時まで頑張っています」と現状報告した。そんな西村氏が考えるスタジオジブリ作品の魅力とは?「ピクサーやドリームワークスと違うのは、夢だけじゃなく、悪夢も描いているところ。例えば『となりのトトロ』が夢なら、『火垂るの墓』が悪夢。過去のあやまちや現実に、目を背けてはいけないとアニメーションで訴えるのはジブリしかないと思う」(西村氏)。(photo / text:Ryo Uchida)
2014年03月22日アダルトビデオ(以下AV)は毎月大量にリリースされています。これらの新製品はどのように企画されるのでしょうか。普通の製造業のように企画会議などは行われているのでしょうか? AV業界の大手、SOD(ソフト・オン・デマンド)クリエイト株式会社の社外取締役にして監督の溜池ゴローさん、同社の監督・ディレクターの野本義明さんにお話を伺いました。■企画会議は週1回行われる!――AVタイトルを作るときに企画会議は行われるのでしょうか?溜池取締役それは普通の会社と同じで、企画会議をやってますよ(笑)。毎週1回、みんなで企画書を持ち寄るわけです。――企画書は誰が出してもいいのですか?溜池取締役はい。監督、取締役、ディレクター、AD……みんな出してもいいんですよ。――会議の出席者は何人ぐらいでしょうか? また何時間ぐらいの会議ですか?溜池取締役全部で30人ぐらいですね。3時間ぐらいの長い会議になりますね。――企画書には、予算的な資料なども添付するのでしょうか。溜池取締役そうですね。予算、女優さん、撮影スタッフ、パッケージのラフデザインやタイトル、キャッチコピーなどもきちんと添付します。やはり製品ですので、そこはきちんとしませんとね。――その会議で企画承認されるのでしょうか?溜池取締役はい。企画承認されたら次月のリリース・ラインアップに掲載されますね。承認されなくても、「ここはこうした方がいい」とか会議でもんで、ボツにならなくても次週の会議に出し直しとか、そういう感じですね。――では、普通の会社の企画会議と同じようですね。溜池取締役それはそうでしょうね(笑)。昔は社長の高橋がなりの鶴の一声みたいなこともありましたが。――毎週何通ぐらいの企画書が提出されるのですか?野本監督30通ぐらいでしょうか。――ということは、1カ月で考えると4週で120通。すごい企画量ですね。毎月御社でリリースされているAVタイトルの量はどのくらいでしょうか?野本監督月に30タイトルぐらいですから……企画書が承認される率は1/4ぐらいになりますね。――承認される企画とされない企画、その判断基準はどうされているのでしょうか?溜池取締役やはり「数字」が一番の判断基準でしょう。シリーズものだとすると、そのシリーズの売上本数、またその女優さんがどのくらいの数字を持っているかなどを参考にしますね。野本監督先ほど企画書にキャッチコピーやパッケージデザインのラフを添付するという話をしましたが、実は、そのデザインや言葉の使い方だけでも売り上げの数字は大きく変わるんです。ですから企画書に必要なんですね。■女性向けAVチームが頑張っています!――最近では女性向けのAVなども発売されているようですが?野本監督はい。4年ぐらい前から取り組んでいます。「女性向け」は、AD、監督、デザイン、販促など全てのパートが女性のチームが作っているんですよ。――企画も女性が立てているのですか?野本監督もちろんです。女性の気持ちはやはり女性ではないと分かりませんので(笑)。――女性向けのAVは難しいですか?溜池取締役やはり、女性は男性と違いますからね(笑)。映像だけではダメなんですね。女性の場合は、モードチェンジしないとエッチな気持ちにならないといいますか……。野本監督女性向けのAVは、全く違ったものが出来上がりますね。――女性からの反響はいかがでしょうか?溜池取締役最近ようやく芽が出てきた感じですね。やっと認知されてきたといいますか。AVのパッケージだけではなくて、DVD付きの雑誌『SILK LABO』(シルクラボ)、女性向けの動画サイト『ガールズシーエッチ』など、多方面で展開しています。■AV制作の面白さは!?――お二人は監督をされて、実際に作品を作られるわけですが、AV制作の面白いところとは何でしょうか?溜池取締役AVはエロなものなんですが、自由な発想で作られています。エロでさえあれば自由度があるといいますか。その点が面白いです。また女優さんと面接をしたりしますので、人間観察になりますよね。会って5分ぐらいの女性に、その人の性癖を聞いたりしますしね。人を深く知ってしまうといいますか。そこもほかの職業と違う面白いところでしょう。野本監督主役は女性なので、そこは変わらないんですが、でもタイトルごとに監督が込めたものがあったりするんです。いろんな実験をしていたりします。それが理解されて話題になったり、当たったりするととてもうれしいですね。溜池取締役野本監督は今うちのエースだから。ぜひ野本監督の作品を見てください(笑)。AVの新製品開発においても企画会議で承認されないといけないと分かりました。やはり、どの業界においても「企画書」は大事です!(高橋モータース@dcp)
2013年03月25日