●病気150種の発症リスクと130体質項目を調べることができる当サイトの読者の中でも、遺伝子検査に興味があるという方は多いのではないだろうか。近年、遺伝子検査にかかる費用が下がり、検査時間も短くなったことで、遺伝子検査をサービスとして提供する事業者が増えており、病気のかかりやすさや体質などの遺伝情報を知ることができるため、病気の予防や効果的なダイエットにつながるとして人気が広がっている。DeNAが提供している遺伝子検査サービス「MYCODE」では、唾液を採取して送付するだけで、最大150種類の病気の発症リスクと130の体質項目を調べ、結果をウェブ上で確認することができる。今回、3種類ある検査コースのうち、最も多くの項目を調べることができる「ヘルスケア」を体験してみたので、その内容と検査の結果をご紹介する。○さあ、遺伝子を採取しよう!こちらがMYCODE「ヘルスケア」のキットである。早速唾液の採取に入る。ちなみに、検査前30分は水以外口にしてはいけない。ここで使用するのがキットに付属してくるレモンの写真だ。人は酸っぱいものを見ると唾液が出やすくなるため、眺めながら唾液を貯めることで採取がスムーズに行くようにというDeNAの配慮である。ただ、筆者の場合体質に合わなかったのか、さほど効果を得られなかったため、ほかの酸っぱそうなものも試してみたところ、冷蔵庫にあった梅干しの香りが一番効果があった。唾液を容器の線まで貯めたら、キャップをして振る。容器内の唾液が青色に変わったことを確認し、指定の封筒に入れて返送すれば、遺伝子の採取が完了したことになる。○結果の見方送付したサンプルに問題がなければおよそ2週間後、件名が「【MYCODE】検査が完了しました」というメールを受信する。マイページにログインして結果を見てみると、ずらーっとさまざまな病名がリストアップされている。各疾患には、日本人平均と比較した時の発症リスクを示す「日本人平均との比較」、公的機関・学会が調査した当該疾患の患者数を示す「患者数」、結果の根拠となる論文を4つの観点から評価した「論文評価レベル」という指標が設定されている。したがって、「日本人平均との比較」で数値が1を超えていれば日本人の平均より発症リスクが高く、逆に1未満であれば発症リスクが低いということを意味する。「論文評価レベル」は3段階あり、レベルが高いほどその結果の信頼性も高いということになる。なお、「患者数」に関してはデータがない場合もある。●発症リスク2位は1型糖尿病 - 1位は脳の血管に関わる疾患○発症リスクトップ5を発表! - 1位はなんと4.03倍さて、ここからは「MYCODE」によって判明した、筆者の疾患発症リスクを発表しよう。全150項目もあるので、ここではリスクの高い順にトップ5をランキング形式でご紹介する。第1位: もやもや病発症リスク: 4.03倍論文評価レベル:3全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中13人2位に大差を付けて見事(?)1位になったのは「もやもや病」。「もやもや病」は脳の動脈が何らかの原因で細くなったり詰まったりする疾患で、太い動脈の閉塞を補って血流量を保つために拡張した細い血管の血管網が、煙がもやもやしているように見えることが病名の由来となっている。第2位: 1型糖尿病 末期腎不全発症リスク: 2.62倍論文評価レベル:2全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中1人「1型糖尿病」は血液中のリンパ球が、インスリンを作るすい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞を攻撃して炎症を起こし、すい臓自らインスリンを分泌できなくなることで発症する自己免疫疾患。第3位: 脳血管性認知症発症リスク: 2.33倍論文評価レベル:2全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中13人「もやもや病」と同じ脳血管の疾患が3位に。「脳血管性認知症」は脳梗塞をはじめ脳血管障害によって発症する。記憶、言語、ものごとの認知などに関係する海馬や大脳皮質の神経細胞が脳血管障害により死んでしまうことが原因とされている。根本的な治療はなく、脳血管障害の進行を防ぎながら、症状を抑える治療を実施する。第4位: 心房細動発症リスク: 2.17倍論文評価レベル:3全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中9人ここまでが2倍超え。「心房細動」は高齢者に多く見られる疾患で、心臓のリズムを調節する電気信号が何らかの原因で乱れて心臓本来の動きができなくなり発生する不整脈の一種。第5位: 胃がん(噴門部胃がん)発症リスク: 1.98倍論文評価レベル:3全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中4人胃の入口にあたる部分(噴門部)にできるがんの一種で、食道胃接合部腺がんとも呼ばれる。噴門部がんはあまり多くはなく、胃がん全体の1~2割程度といわれている。また、胃酸の逆流が発症に関係している可能性がある。○遺伝子検査で疾患の発症リスクを知ることのメリット今回の結果は個人的にかなり意外だった。というのも、筆者はがん家系なので、何かしらのがんが1位にくると予想していたのだ。また、1位に「もやもや病」、3位に「脳血管性認知症」と、脳血管の疾患が上位に入ったことに遺伝子の力を感じた。一方、トップ5には入らなかったが、8位に胃がん(1.62倍)、10位に前立腺がん(1.49倍)が入っていたのでがんに注意しなくてもいいというわけではない。そもそもがんは、日本人の死亡理由1位に長らく君臨しているわけで、この場合「(がんの中では)自分は胃がんのリスクが高いんだな」と認識できたことに価値があるのだ。「脳の血管が弱い」「がんでは胃がんに特に気をつけよう」などは、「MYCODE」を受けて初めて気づいたことだ。唾液を採取するだけというシンプルな作業で、思いもよらなかった疾患への注意が喚起され、結果を生活改善の指針として病気の予防に活用できる点は、遺伝子検査の大きなメリットといえるだろう。●生活改善につなげるための具体的なアドバイスも○アドバイスを見る前にぜひアンケートに回答を遺伝子検査のメリットは、結果を病気の予防に活かせる点だと前頁で述べた。しかし、どのように生活習慣を改善すればよいのか、より具体的に知りたいところだ。MYCODEでは、「運動・生活」「栄養素」「食品・食料」という3つの観点から、検査結果に応じた、生活習慣改善へのアドバイスが提供される。筆者の場合であれば、喫煙が10個の疾患に関わっている(実際、吸っている)。当然、禁煙をしたほうが健康的にはベターなわけだが、そう簡単に禁煙できるものではない。これに対し「コーヒーを控えて紅茶やお茶にする」「熱いお茶や冷たい水を飲む」「禁煙開始から2週間は外での飲酒は控える」など、吸いたい気持ちを抑えるための具体的なメソッドが示される。また、禁煙に準備するための心得や、開始後の禁煙日記の付け方なども提示されるほか、禁煙に関するエピソードを持つ著名人のインタビューを読むことも可能だ。また、生活習慣に関するアンケートに答えておくと、生活改善アドバイスが自分の生活習慣を踏まえたものになるので、より効果的なアドバイスを得るためにアンケートに答えることをおすすめする。このほか、検査結果のページから「発症を予防するもの・促進するもの」をクリックすると、主だった疾患の発症予防や発症促進に関係する要因が色分けされたリストを見ることができるので、そちらも参考にしよう。○麦芽の香りが感じにくい体質だったとは…冒頭でご紹介したように、「MYCODE」では疾患の発症リスクのほかに遺伝的な体質についても知ることができる。尿酸値、骨密度からそばかすのできやすさまで、その内容は多岐にわたるので疾患の発症リスクとともに生活改善に役立てることができる。一方、中にはやけにピンポイントな項目もある。以下では全130の体質項目中から筆者が「こんなこともわかるの?」と驚いた項目をピックアップしてご紹介する。・麦芽の香りを感じとる能力ビールの原料である麦芽の芳しい香りは、麦芽を焙煎したり麦汁を発酵させたりする過程で化学反応が起こり、60種類もの成分が混じり合うことで生み出されているという。この香りを感じ取る能力は、実は遺伝的素因によって、ある程度左右されているのだそうだ。筆者は「麦芽の香りを感じにくいタイプ」と判定され、ほぼ毎日晩酌を楽しんでいる身としては少々ショッキングな結果に…・アスパラガスの代謝産物の臭いを感じ取る能力「アスパラガスを食べると尿が臭う」といわれることがあるが、これは、体内でアスパラガスの成分が消化酵素に分解されるときにできる化学物質メタンチオールが尿中に排出され、臭いを発するためと考えられてる。臭いの元となる成分を尿に排出する能力は、遺伝的に一部の人にしかないと考えられていた。しかし、実際には「一部の人の尿が臭う」のではなく、「一部の人が尿の臭いを嗅ぎ分けることができる」という嗅覚の問題であり、遺伝的な要因によって左右されることが近年明らかになってきた。・頸動脈の血管壁の厚さ頸動脈は心臓につながった大動脈から脳へと血液を送る血管で、気管の両脇を走っている。血管は内膜、中膜、外膜の3層構造になっているが、内膜と外膜を合わせて1.1mm以上だと動脈硬化と診断される。頸動脈の硬化は全身の動脈硬化を反映しているといわれており、動脈硬化になると、脳梗塞や心筋梗塞、大動脈瘤などを引き起こすリスクが高まる。動脈硬化は遺伝的要因も関係しているとされる。・苦味(PROP)の感じやすさ苦味の指標となる「プロピルチオウラシル(PROP)」と呼ばれる物質の感じやすさも、遺伝的な要因の影響を受けるとされており、PROPを感じるタンパク質に関わる遺伝子が苦味の感受性を決めていることが判明している。苦味の感じ方は食生活や健康にも影響することが分かってきている。・乳歯から永久歯への生え変わりの早さ永久歯は6歳頃から徐々に出てきて、初めに乳歯の奥に出てくる第一大臼歯や、中切歯と呼ばれる中央の前歯から生え変わり、12~13歳くらいにかけて28本の永久歯がそろう。一方、第3大臼歯(親知らず)だけは出てくる時期が異なり、通常18~24歳頃に生えてくる。乳歯から永久歯への生え変わりの時期は、遺伝子の影響を受けることが知られている。ちなみに、日本人では約94%の人が「乳歯から永久歯への生え変わりがやや早いタイプ」で、「乳歯から永久歯への生え変わりが遅いタイプ」は0.1%しかいない。○受けるだけでは意味が無い以上が遺伝子検査「MYCODE」の大まかな内容だ。初めての遺伝子検査だったので、検査結果を見るときは若干ドキドキしたが、前述したように自分が今まで知らなかった病気の発症リスクを知ることができて良かったと素直に感じる。ただ、注意しなくてはならないのは、例えば「もやもや病」が平均より4.03倍発症しやすくても、それが必ず発症するわけではないということ。なので、仮に何か重大な疾患の発症リスクが高いと判定されても気落ちせずに、「だったらどうすれば発症する確率を低くできるのか」という思考に切り替えないと、せっかく遺伝子を調べてもその意義が半減してしまう。もちろん、普段の食生活や住環境など、環境要因も病気には大きく関わることも忘れてはならない。自分でさえ知らなかった部分を明らかにしてくれる「MYCODE」は、受けることに意味があるのではなく、検査結果を見て何かを変えるきっかけとし、生活改善の方針を決めるのに役立てることが重要なのだ。
2015年08月05日遺伝子検査キットなどを提供するジェネシスヘルスケアは7月7日、同日より「手塚治虫遺伝子解析プロジェクト」を始動すると発表した。「手塚治虫遺伝子解析プロジェクト」は同社の創立11周年を記念して立ち上げられたプロジェクトで、漫画家・手塚治虫氏が実際に使用していたベレー帽に残されていた遺髪と、血縁者の遺伝情報からDNAを採取し、同社の研究所で遺伝子解析を行うことで、同氏の性格や特徴を解き明かしていくというもの。同発表会では手塚治虫の長男でクリエーターの手塚眞氏、モデルの前田典子氏、メンタリストのDaiGO氏がゲストとして登場し、それぞれの視点から遺伝子検査についてトークを披露した。まず最初は、特殊メイクで治虫氏に扮した眞氏が登壇。眞氏はまず、今回のプロジェクトについて「非常に興味深いプロジェクトだと思う。遺伝子検査と聞くと体や健康のことかと思うが、天才性や心の中まで解析できると聞いたのでびっくりした」と評し、父親と似ているところはどこかという質問に対しては「顔は似ていると言われるが、体の動きとか、言動、ちょっとしたクセなどが似ていると周りの人に言われる。自分ではよくわからないので、その辺も解析できると良いですね。」とプロジェクトへの期待を語った。また、発表会では先行して「記憶力・想起力が強い」「幸福感が高い」「協調性が高い」「情報処理が早い」という治虫氏の遺伝的傾向が公表された。実の息子である眞氏もこの結果には同意するようで、それぞれの結果から思い出されるエピソードを披露した。なお、治虫氏の遺伝子は現在も解析が進められており、8月に特設サイトでその結果の一部が紹介される予定となっている。2人目として登場した前田氏のテーマは「遺伝子検査を活用した美と健康」。自身もジェネシスヘルスケアのキットで330項目の検査を行ったという前田氏は「私は胃がんのリスクが高くてショックだった。でも、リスクが高いから発祥するというわけではなく、そうやって調べて知っておくという事は大事だなと思う」としたほか「どういう運動をした方が良いか、どういう食事を摂れば良いかなども知る事ができる。私は筋肉がつきにくいため、食事はおかずから食べなさいということを教えてもらった。ダイエットするにしても人によって違うので、ダイエットの近道が知れるのは良いですね。」とし、健康維持における遺伝子検査のメリットを語った。さらに、美の秘訣を聞かれた前田氏は「日に当たると肌が赤くなりやすいことから、髪の毛のカール具合までわかるので、そういった情報を美容に役立てる事ができる。『美は1日にしてならず』とはいつも思うが、その第一歩は自分のことを良く知ることだと思う。」と自分を知ることの重要性を強調した。最後に登場したメンタリストのDaiGO氏は自身で受けた遺伝子検査の結果を公表した。DaiGO氏が受けたのは40項目の性格分野と35項目の体質・特徴から、遺伝的にどういう心を持ちやすいのかということがわかる「GeneLife Myself」という検査。同検査についてDaiGO氏は「コミュニケーション能力などもわかるので、普段の生活に役立てやすい。」と述べたほか、遺伝的要素が環境因子によってどのように変わったかがわかる点も注目ポイントに挙げた。発表会ではさらに、360項目の遺伝子検査を実施できる新製品「Genelife GENESIS」の発売も発表された。通常価格は2万9800円で、1万個限定の「手塚治虫遺伝子解析プロジェクト」記念パッケージが1万9800円で発売される(価格は税抜)。
2015年07月07日アジレント・テクノロジーは7月1日、ヒトやマウス向け遺伝子発現マイクロアレイ「SurePrint」の新製品を発表した。同製品ではベルギー・ゲント大学の協力のもと、LNCipedia 2.1データベースを完全網羅し、高い信頼性で長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA) のトランスクリプトを分析することが可能となった。lncRNAは、DNA、RNA、タンパク質とやりとりすることで、特定ターゲット遺伝子あるいは系全体の発現を制御することで知られ、がん、心疾患、神経変性疾患と関連がある可能性が指摘されている。また、正確なオリゴヌクレオチド合成を可能とするSurePrint技術を活用することで、高感度(5桁のダイナミックレンジ)、高再現性(アレイ間変動係数5%)、高直線性(ERCCのスパイクコントロールに対しR2<0.95)を実現した。同社は「当社の遺伝子発現マイクロアレイは、LNCipediaのIncRNAなどの専門コンテンツを厳格に網羅するだけでなく、専門ユーザー向けに柔軟なカスタマイズ機能も提供しています。当社の高性能でRNA-Seq結果との高い一致率をほこる遺伝性発現マイクロアレイは、当社のRNA-Seqおよびターゲットエンリッチメント製品との組み合わせにより、マイクロアレイによるスクリーニング アプリケーションと次世代シーケンシングによる詳細解析とを途切れなく行き来できるようにしております」とコメントしている。
2015年07月01日東京医科歯科大学(TMDU)は7月1日、原因不明の炎症を小腸・大腸を中心に引き起こす難病「クローン病」の罹患に関与する感受性遺伝子の1つ「TNFAIP3」が、オートファジー(細胞自己消化)を調節し、免疫応答活性化と炎症亢進に寄与するヘルパーT細胞の生存を制御することをつきとめたと発表した。同成果は、同大 大学院医歯学総合研究科消化器病態学分野の大島茂 助教、同・渡辺守 教授らの研究グループと、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校との共同研究によるもの。詳細は、国際科学誌「Autophagy」の2015年7月号に掲載された。近年の研究からクローン病の感受性遺伝子が多数報告されるようになり、オートファジー関連分子もその中に含まれていたものの、クローン病の病態におけるオートファジーの関与の詳細についてはよくわかっていなかった。これまでの研究から、TNFAIP3はオートファジーを抑制することが報告されていたことから、研究グループでは今回、より生理的な検討に向け、T細胞特異的TNFAIP3欠損マウスおよび誘導性TNFAIP3欠損マウスを樹立し、詳細な調査を実施。その結果、免疫沈降解析にてTNFAIP3が細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼの1種である「mTOR」のタンパク質修飾(ユビキチン化)を制御することを発見した。また、mTOR抑制剤を用いることでTNFAIP3欠損による細胞減少が回復すること、ならびにmTOR抑制剤の細胞生存における作用がオートファジー欠損にて打ち消されることを確認。この結果、従来、予想されていた機能とは異なり、クローン病感受性遺伝子TNFAIP3はmTORユビキチン化を介してオートファジー誘導をコントロールし、リンパ球の生死を決めていることを突き止めたとする。なお、今回の成果について研究グループでは、クローン病に対する新たな診断・治療法開発への展開が期待できるものと考えられるとコメントしている。
2015年07月01日病気予防や美容に役立つ指標を得られるということで、個人向け遺伝子検査サービスの利用が増えているという。今回、遺伝子検査サービス「MYCODE」を提供するDeNAライフサイエンスに取材して印象的だったことは、同サービスを開始するにあたり「ELSI(エルシィ)」を重視した公式会員サイトの構築が重要であったということだ。○「倫理的、法的、社会的な議論」が不可欠「個人向け遺伝子検査サービス」の認知度は、今や、非常に高いと言えるだろう。同サービスの草分け的存在となる「23andMe(トゥエンティースリー・アンド・ミー)」では、全世界 約100万人が利用したと公表しているほどだ。同サービスが人気を博した要因の1つは、簡単な手続きだけで検査できることだろう。DeNAライフサイエンスが提供する遺伝子検査「MYCODE」では、自分で唾液を採取・郵送し、3週間程度で解析結果をWebサイト上で確認できる。(同サービスの詳細は、こちらの記事を参照されたい。)DeNAグループはこれまで、「インターネットを使ってリアル産業を変革し、人々の生活をもっと楽しくもっと豊かにする」をコンセプトに多彩な事業を拡大してきたが、健康ライフサイエンスも同コンセプトに当てはまるとし、その第一歩として誕生したサービスが「MYCODE」となる。「MYCODEは、学術的基盤がしっかりしていることや、ELSIに十分な配慮をしていることが大きな特徴です」と語るのは、DeNAライフサイエンス システムグループ グループリーダーを務める泉雄介氏。同サービスは、東京大学医科学研究所との共同研究に基づき、アジア人・日本人を対象とした論文を中心に発症リスクモデルを構築した点が差別化のポイントだという。そして、同サービスを運用する上で大切なことが「ELSI」だ。これは、「Ethical, Legal and Social Issues」の略であり、遺伝子研究を進める際に、倫理的・法的・社会的な議論を並行して進める取り組みを指す。「遺伝子情報は非常にセンシティブなものです。使い方次第で有用なものになりますが、一方で差別などに使われる可能性もあります。米国では、従業員の採用にあたって遺伝情報に基づく差別を行ってはならないという『遺伝情報差別禁止法』が2009年から施行されていますが、日本には現在このような法令はありません。こういった背景があり、弊社も遺伝子検査サービスにおけるELSIを十分に議論しながら進めています」(泉氏)○Adobe Experience Managerを使って遺伝子データを守るシステムを短期開発MYCODEがサービスを開始した時期は2014年8月。要となるWebサイトの開発には、アドビ システムズのデジタルマーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」に含まれるWebコンテンツ管理(WCM)ソリューション「Adobe Experience Manager(以下、Experience Manager)」を採用した。サービス開始時点から約1,500ページもあった膨大なコンテンツを効率よく管理できることや、医師が監修するコンテンツの作成・修正ステップを強力なワークフローで管理できること、そして、コンサルティングの窓口がしっかりある点を評価したという。「トレーニングを3日間受けただけで、既に、シンプルなページは作り始めることができました。ドキュメントやQ&Aなどのサポートもしっかりしていた。つまり、開発にあたってのハードルを取り去ってくれたという印象です」(泉氏)同グループは以前より、モバイルゲームのユーザー行動分析のためにデータ分析ソリューション「Adobe Analytics」を利用しており、Adobe Marketing Cloud内にWCMの機能があることは知っていたため、導入しやすかったという背景もある。また、前述のとおり、遺伝子情報は究極の個人情報となる。必要なセキュリティレベルを、ELSIに沿ってさまざまな角度から調査・検討し、セキュリティポリシーを定めた。「画像や説明文など共通のアセット・コンテンツはExperience Managerで管理し、検査結果を含む個人情報は切り離して管理することで、セキュリティポリシーに忠実な実装が容易に実現できました。Experience ManagerはJavaで構築されており、自由度が高いシステムのため、私たちが設計をする上で制約を課されることはほとんどありませんでした」(泉氏)加えて、開発の柔軟性が高いことは、短期開発の実現にもつながっている。「Experience Managerでは、エンジニアが開発したページを、ノン・エンジニアのスタッフが自分で修正することができます。これを使用しなかった場合、3~4カ月は余分に開発期間が必要となり、サービスのスタートも遅れていただろうと思います」(泉氏)○「研究」という行為そのものがインターネット技術で変革できるDeNAライフサイエンスが掲げる次なる目標は、研究開発という既存の活動自体の変革となる。「研究というと、いままでは少人数で研究室にこもって、結論が出るまで発表もしない、クローズドなイメージでした。しかしこれからは、一般消費者からデータを提供して頂いたり、アンケートで意見を聞くこともできる。インターネットというオープンな技術の力で、研究開発のサイクルを速くしていきたいと考えています」(泉氏)遺伝子検査サービスが潜在的に持つ革新の力は、まだその一端を垣間見せたところにすぎない。今後、多方面にその効果が広がっていくことも予測されるが、あくまでも「ELSI」とのバランスをとりながら、進化させていくことが大切だ。
2015年06月26日基礎生物学研究所は6月12日、メダカを用いた研究で生殖細胞が「精子になるか卵になるか」を決定する遺伝子を同定したと発表した。同成果は基礎生物学研究所の西村俊哉研究員(元総合研究大学院大学)と田中実 准教授らと、九州大学の佐藤哲也 助教、大川恭行 准教授、須山幹太 教授、岡崎統合バイオサイエンスセンターの小林悟 教授(現筑波大学 教授)との共同研究によるもので、米科学誌「Science」に掲載された。精子と卵子は生殖細胞という共通の細胞から作られることが知られている。生殖細胞は体細胞の性が決定した後、その影響を受けて「精子になるか卵になるか」が決定すると考えられているが、その際に細胞内でどのような遺伝子が働いているかはわかっていなかった。同研究グループは、生殖細胞でオスとメスに違いのある遺伝子を探索し、foxl3という遺伝子が、卵が作られる過程のメスの生殖細胞で働いているのに対し、オスではその働きが抑制されていることを発見した。また、foxl3の機能が欠損したメダカのメスは通常のメスと同様に卵巣を作るものの、卵巣の中で受精可能な精子が作られていた。これらの結果から、foxl3はメスの生殖細胞で働き、「精子形成を抑制」する機能を持つことがわかった。foxl3による「精子形成の抑制」を解除すると生殖細胞を取り巻く環境がメスでも精子が形成されるという今回の研究は、体細胞とは独立した性を決めるスイッチが生殖細胞に存在することを示すものとなった。今後は、オスの生殖細胞でfoxl3の発現が抑制されるメカニズム、およびメスの生殖細胞でfoxl3が具体的にどのように精子形成を抑制しているのかについて研究を進めていくという。
2015年06月12日株式会社丸井グループ株式会社丸井グループは遺伝子検査キット「GeneLife」のショップを有楽町マルイにオープン。6月11日~24日の期間限定だ。最近話題の「遺伝子検査キット」。自分の体質を遺伝子レベルで知り、美容対策をおこなおう。さまざまな遺伝子キットショップには、多数の商品が用意されている。「GeneLifeNEO」は体質や遺伝子のリスク、330項目を一度に調べることができるキット。生活習慣病の発症リスク・体質・美容の傾向なども調べることができる。「GeneLife Myself」は、自己分析遺伝子キット。遺伝子から性格や特徴を読み取り、「自分の知らない自分」を発見できるかも。「肥満遺伝子検査キット」は、肥満遺伝子タイプを知ることができるキット。自分にあったダイエット方法や美容対策を知るための新しいアプローチ。「肌老化遺伝子検査キット」も興味深い一品だ。検査結果を閲覧ショップには、検査結果を閲覧することができるブースも設置。検査結果で何がわかるのか、どんなことを調べられるのかといった疑問は、その場で解決できる。検査方法は、採取棒でほおの内側をこする、または唾液を少量採取してポスト投函するだけ。気軽に検査可能だ。(画像はプレスリリースより)【参考】・私っていったいどんな性格なの?遺伝子で知る本当の自分。話題の遺伝子検査キット「GeneLife」が有楽町マルイに初登場!
2015年06月11日長寿の国としても知られている日本。実際、なぜこんなに長生きの人が多いのしょうか? その理由はいろいろとありますが、そのひとつに睡眠時間が関係しているという説もあります。今回はそんな、長寿と睡眠の関係性についてご紹介します!日本の平均寿命ってどれくらいなの?長寿の国日本と言われていますが、実際の平均寿命がどれくらいかをご存知でしょうか? 2015年5月時点の調べによると、男女を合わせた平均寿命が84歳とされています。男女別では、女性が87歳、男性が80歳となっています。男性の平均寿命はシンガポールやサンマリノをわずかに下回っているものの、全体で見ると、2014年に続いて首位をキープしています。さらに女性の平均寿命も前年に引き続き、世界一位を記録しています。ちなみに、世界の平均寿命を見てみると、男女を合わせた場合は71歳。この数字から比較しても、日本の寿命が圧倒的に長いということがわかりますね。長寿の秘訣は適切な睡眠時間!日本の寿命がこれほどまでに伸びたのは、生活習慣が大きく影響していると考えられます。健康的な食生活もそのひとつですが、ここで注目したいのは睡眠時間です。1980年代にアメリカで行われた調査では、1日6.5~7.5時間の睡眠時間を確保している人の死亡率が低く、それ以上、あるいはそれ以下の睡眠時間の人は死亡率が高まるという結果が出ました。「たくさん寝た方が健康的」というイメージがありますが、実は寝過ぎは死亡率を高めてしまうことがわかったんです。そんななか、日本人の睡眠時間を見てみると、全国平均が約7時間42分となっており、上記の数字に当てはまります。一方、ほかの国では平均睡眠時間が8時間を超えているところも見られることから、睡眠時間と寿命が関係しているのではないかということが予測されるわけです。時間ぐっすり眠って快適な生活を送ろう!睡眠は、長すぎず短すぎず、適度な時間を確保してあげることが大切です。長く眠ると、その分睡眠の質が低下してしまう可能性もあります。自由に使える時間が減ってしまううえに、1日の活動にも身が入らないのではもったいないですよね。そうならないためにも、昼間は脳と体をしっかりと働かせ、夜はぐっすりと眠る、というようにメリハリを持たせてあげましょう。適切な睡眠時間を守ることで、自然と1日の活動にもハリが出てくるものです。そして、イキイキと過ごせることが、長生きにもつながってきます。毎日の生活を快適にするためにも、7時間睡眠を意識してみてはいかがでしょうか?Photo by pixabay
2015年06月10日京都大学は6月5日、先天性骨髄不全症候群の1つである「ファンコニ貧血」の新たな原因遺伝子を同定したと発表した。同成果は京都大学の医学研究科博士課程の平明日香氏、同 高田穣 教授らの研究グループによるもので、6月5日付の科学誌「The American Journal of Human Genetics」で掲載された。「ファンコニ貧血」は1927年にスイスの小児科医によって報告された小児遺伝性疾患で、ユダヤ人に多いとされている。日本では年間10人前後が発症していると推定され、進行性の骨髄不全、急性骨髄性白血病や固形腫瘍の合併、先天奇形や不妊などの症状が発生する。主に欧米での研究によって17種類の原因遺伝子が知られているが、日本では症例集積の仕組みが存在しなかったことから解析が遅れていた。同研究グループは、近年発達が目覚ましいゲノム解析技術を用いて網羅的に原因遺伝子を検索したところ、UBE2Tの変異のある日本人患者を2名を発見した。患者の細胞を詳細に解析した結果、同疾患の原因遺伝子であることが確認された。アジアおよび日本人からの発見と同定は今回が初めてで、研究グループは「同じ遺伝変異が韓国や中国に存在するかどうか、欧米などには存在しないのか、興味ある点である」とコメントしている。また、同疾患の患者への治療として、iPS細胞やゲノム編集技術を利用した遺伝子細胞治療の可能性を今後検討したいとしている。
2015年06月05日新・食べるダイエット!株式会社ヘルスケア アンド ビューティパートナーは、肥満関連遺伝子を分析し、それぞれの遺伝子タイプに合ったダイエットメニューを提案する『d_diet(dダイエット)』の「10年間ノーリバウンド保証サービス」を開始する。10年間の美ボディを保証dダイエットは遺伝子解析によって、その人に合った食材や食べる順番、効果的なトレーニングなどを提案するダイエット法。それぞれに合わせたオリジナルダイエットメニューを、自宅に定期配送してくれる。また管理栄養士などの資格者が、その日の外食に合わせたメニューを教えてくれるなど細やかなケアをしてくれる。SNSを通じたダイエットサポーターらの叱咤激励も、モチベーションを高めてくれそう。今回発表された「10年間ノーリバウンド保証サービス」は、dダイエットのメソッドに沿ってダイエットを行う10年間、リバウンドした場合の全額返金を保証するという。石田純一、マイナス4キロを目指す新キャンペーン参加者の一人目として俳優の石田純一氏が名乗りを上げており、遺伝子解析によれば脂質を燃焼しにくい「クマ型」なのだそう。このタイプは特に冷えに注意だと聞かされた石田氏は、「靴下を履いた方がいいんですね」と、トレードマークの裸足の封印をにおわせた。また、『dダイエット』では10キロ痩せたいモニターを100人募集し、参加者合計1tのダイエットを目指す「dダイエット1tプロジェクト」もスタートさせている。(画像はプレスリリースより)【参考】・株式会社ヘルスケア アンド ビューティパートナープレスリリース(PR TIMES)
2015年05月18日アドビ システムズは、DeNAライフサイエンスが提供する一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」のWebサイト構築において、同社Adobe Marketing CloudのWebコンテンツ管理システム「Adobe Experience Manager」が採用されたと発表した。DeNAライフサイエンスが提供する「MYCODE」は、検査キットを使い、自宅で唾液採取をして返送するだけの一般消費者向け遺伝子検査サービス。被検者の遺伝子情報を統計的に分析することで、がん・生活習慣病などの発症リスクや、肥満・肌質などの体質の遺伝的傾向を知ることが可能で、生活習慣の改善や美容に役立てることができるという。同サービスの開始にあたっては、顧客ごとに存在する大量の検査結果を各顧客に素早く安全に配信できるWebサイトを短期間で構築する必要があったといい、DeNAライフサイエンスでは、この課題を解決するWebコンテンツ管理システムとして「Adobe Experience Manager」を選択。同ソリューションでは、画像などの"素材"とWebページなどの"コンテンツ"の両方を同一のユーザインターフェース上で管理ができることから、Webサイトを素早く構築し、サービスをローンチできたという。さらに同サービスでは、高度なセキュリティが求められる遺伝子情報を扱うため、顧客の個人情報は別途構築したデータベースで管理し、素材やコンテンツの管理はAdobe Experience Managerで行うというハイブリッドモデルを採用。これにより、検査結果を表示するWebサイトを作成する際は、データベースから個人情報を取り出し、画像や文言などはAdobe Experience Managerから取り出すというシステムが完成したという。今後はAdobe Marketing Cloudの分析ソリューションである「Adobe Analytics」とパーソナライゼーション ソリューションである「Adobe Target」を活用し、顧客体験の最適化、および収益力の向上を目指す予定となっている。
2015年05月13日遺伝子解析による化粧水が登場肌の調子が悪い、自分にあった化粧品が見つからない。そんなあなたの悩みを解決してくれる次世代型化粧水が登場した。4月27日、キャリアウーマンは、遺伝子解析によるオーダーメイド化粧水「美GENE」を発売したと発表した。オーダーメイド化粧水といえば、肌のチェックを行い、カウンセリングなどを経て材料を配合していくのが一般的だ。同商品は遺伝子検査を導入し、より詳細な肌データをそろえることで、それぞれの人に合った最適な化粧水を作り出せるという。遺伝的な肌リスクをチェックできる同商品を注文するには、まずインターネットで検査キットを購入。後日、同社より送られてくる検査キットで遺伝子採取を行い返送する。すると、遺伝子検査の結果とともに、同結果をもとにオーダーメイドされた化粧水が送られてくるというシステムだ。検査は、専用の綿棒を使って、ほおの内側の粘膜を採取するだけ。シワ、シミ、敏感肌に関する遺伝子をチェックでき、遺伝的な肌リスクを知ることができる。日々のスキンケアに最適「美GENE」の監修を行った柳下氏は、同商品のオーダーメイドシステムを絶賛し、「日々のスキンケアには最適です。」とコメント。素肌にあったスキンケアをすることが、美肌作りをするうえで大切であると訴えた。【参考】・キャリアウーマン プレスリリース(Value Press)
2015年05月08日タカラバイオは4月10日、エムティーアイの子会社であるエバージーンが提供する一般消費者向け遺伝子解析サービス「DearGene スターターキット」の遺伝子解析を担当すると発表した。「DearGene」は少量の唾液からDNAを抽出して解析することで、利用者が生活習慣と関連がある病気についての発症リスクを知ることができるサービス。利用する場合はまず「DearGene スターターキット」(税抜き4980円)を購入する。現在は食道がん、胃がんなど計10種類のがんリスクを知ることができ、今後、体質や生活習慣病などのメニューが追加されていく予定だ。タカラバイオは検体サンプルのDNA抽出から遺伝子情報のデータ解析を手がけるとのことで、長年蓄積してきた遺伝子解析技術を駆使し、高品質で高精度な解析情報を提供するとしている。
2015年04月10日九州大学はこのほど、ウイルス感染による糖尿病発症に関わる遺伝子を発見したと発表した。同成果は九州大学大学院医学研究院保健学部門の永淵正法 教授と、生体防御医学研究所、宮崎大学医学部、佐賀大学医学部、大分大学医学部、愛知県衛生研究所、シカゴ大学医学部らの共同研究グループによるもの。4月7日付け(現地時間)の国際学術誌「Nature Communications」に掲載された。ウイスル感染によって糖尿病を発症する可能性はこれまでも指摘されており、糖尿病を誘発する脳心筋炎ウイルスD株(EMC-Dウイルス)が一部の系統のマウスのみに高率に糖尿病を誘発すること、さらにその感受性遺伝子は単一であることが知られていたが、その責任遺伝子はわかっていなかった。一方、近年の研究でEMC-Dウイルスの感染によって糖尿病になるかどうかは、自然免疫が重要であることが明らかとなっていた。今回の研究では、ウイルス感受性の高い系統のマウスでは、ウイルス感染の防御に働くインターフェロンの効果を発揮するために必要なTyk2遺伝子に異変が起きていることがわかった。また、これらTyk2遺伝子異変マウスの通常の細胞では、高濃度インターフェロン刺激によりウイルス抵抗性が回復したが、インスリンを作る膵臓のランゲルハンス島β細胞では回復力が少なかった。このことから、ウイルス感染を受けてもTyk2遺伝子が正常に働かず防御機能が低下し、インスリンを作るランゲルハンス島β細胞が破壊されてしまい糖尿病が発症していたことがわかった。今回の成果は、マウスに比べてよりウイルス感染に感受性が高いヒトにおいてもウイルス感染が糖尿病の危険因子の1つとなり得ることを示すもので、今後、ウイルス糖尿病の病態の解明、糖尿病を起こしやすいウイルスの発見、わらにはそのワクチンの開発につながることが期待される。
2015年04月10日ディー・エヌ・エーはこのほど、DeNAの遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」の購入者を対象に実施したアンケート調査の結果を明らかにした。なぜ遺伝子検査を受けたか尋ねたところ、最も多い回答は「将来的な病気への対策などができると思ったから」で、7割が回答した。同社では「病気はなってから治すものではなく、なる前に対策する」という考えが浸透しつつあるため、その有効な手段の一つとして、遺伝子検査を受ける人が増えているのではないかと分析している。2位は「以前から遺伝子検査に興味があった」だった。3位は「検査できる疾患や体質の項目数が多いから」となっている。一般消費者向け遺伝子検査は、すでに100近くの項目が分かるサービスが多く出ている。内容も病気だけではなく、体質や能力、美容など、さまざまな傾向が分かるようになっていることから、項目数の多さが重要視されているようだ。
2015年04月09日サーモフィッシャーサイエンティフィックはこのほど、CE-IVDマーキングを取得した肺がん用の融合遺伝子検出用キット「CE-IVD Oncomine Solid Tumor Fusion Transcript」を欧州連合内で提供開始したと発表した。融合遺伝子の原因となる遺伝子再構成は、がんバイオマーカーとして重要視されている。これまでは、いくつもの変異を検出するために複数の検査を実施していたが、その過程で腫瘍検体が消費されてしまい、対象となる変異が検出できなくなるというリスクが存在した。これに対し、同製品ではわずか10ngのRNAでALK、ROS-1、RET、およびNTRK1遺伝子が関与する融合遺伝子を検出することができる。そのため、より多くの患者に対して治療で標的となり得る突然変異に関する情報を提供するとともに、治療の指針策定のための有益な知見がもたらされることが期待される。同製品は主に肺がんを対象とするが、他の固形がんへの応用できる可能性もあるという。
2015年04月03日メラニン産生に関与する遺伝子に差ポーラ化成工業、国立科学博物館と山梨大学の共同研究で、縄文人のメラニン産生に関与する遺伝子はシミができやすいということが判明した。この研究成果はHuman Genome Meeting(マレーシア:2015年3月14日~17日)で発表予定。研究内容研究者はシミに関する遺伝子と日本人のルールについて研究を行った。メラニン生成に関与するMelanocortin-1 receptorの遺伝子にシミができやすい「シミ型」とそうでない「通常型」が存在することが過去の研究で分かっていた。縄文人のMelanocortin-1 receptorの遺伝子は「シミ型」であることが判明。現代日本人では縄文人の遺伝背景が強くなるにつれて「シミ型」遺伝子を有する比率が大きくなっていた。縄文人と弥生人縄文人と弥生人は異なる起源を持っており、別々に日本に入ってきて、現在の日本人になっているといわれている。日本人は縄文人の遺伝子を受け継いでいる。その比率は人により異なっている。骨格と身体の特徴から、どの程度縄文人の遺伝子を受け継いでいるかを示す縄文スコアが計算できる。シミのリスクには加齢があることはよく知られている。年齢と縄文スコアを用いて、個人のシミのできやすさを予測するモデル式を作成したところ、縄文スコアが最も高いレベルと低いレベルのシミリスクの差は年齢に換算すると18.7歳であった。今後の展開今回の研究対象になったのは、現代人244例、縄文人5例である。今後は、時代や地域の異なるサンプルを追加して、さらに検討する予定。最終的には新たな肌分析の開発を目指すとのこと。(画像はプレスリリースより)
2015年03月14日DeNAライフサイエンスは2月27日、一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE」に新たな検査項目の「祖先」を追加した、新メニュー「ディスカバリー」の提供を開始すると発表した。MYCODEはオンラインで検査キットを申し込み、検査キットで自分の唾液を返送することで遺伝子の統計学的特徴や、疾病リスクを低減する可能性のある生活習慣へのアドバイスなどを提供するというもの。調べる検査項目数に応じて複数の検査メニューが設定されている。新メニュー「ディスカバリー」は、「遺伝子で自分のルーツを知る旅へ」をテーマに、自分の体質の遺伝的な傾向のほか、ハプログループと呼ばれるミトコンドリアDNAの遺伝的グループを分析することで、人類発祥の地から日本に至るまで自分の祖先がどのように移動したかを知ることができるという。また、祖先によって判明するハプログループを表現したキャラクターを結果と併せて提供する。通常価格は9800円(税別)で、2月16日以前に「MYCODE」を購入した人は、4月末まで先着1万名に無料で提供されるほか(提供開始は3月後半を予定)、以降は追加料金980円(税別)を支払うことで検査結果を閲覧できるという。また、280項目に対応した「オールインワン280+」と、がん・生活習慣病・体質など100項目を選んだ「ヘルスケア100+」の2つの検査メニューについては、検査内容はそのままに、それぞれの名称が「ヘルスケア」(2万9800円・税別)、「ヘルスケアLite」(1万9800円・税別)に変更された。なお、「カラダ30+」については、2月27日以降の購入ができなくなったほか、「カラダ30+」を受けた人は「ディスカバリー」の無料キャンペーン、有料での閲覧ともに対象外となるの。
2015年02月27日『DIVE!』で様々な映画賞を受賞した気鋭の映画監督かつ、3人の子の父でもあるジェレミー・セイファートがメガホンを取ったドキュメンタリー作品『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』。いま最も関心の集まる“食”をテーマをした本作が4月25日(土)に公開されることが決定した。「どんな食べものを、家族で選択していくのか」――人として、子どもを持つ親として、家族の一員として…生きていくかぎり一生切り離すことのできない、人間と食の問題を描いた本作に登場するのは、映画監督ジェレミー・セイファートとその家族だ。映画監督であり、3人の子どもの父親であるジェレミー。種が大好きな長男の影響もあって「遺伝子組み換え生物=GMO」に興味を持つが、そもそも表示義務すらないアメリカでは、一般の消費者はその実情を知ることが出来ないという現実にぶち当たる。そんな現状に疑問を抱いたジェレミーは、家族と共に遺伝子組み換え食品の謎を解く旅にでる。遺伝子組み換え市場シェア90%を占めるモンサント本社や、ノルウェーにある種を保管する“種子銀行”の巨大な冷凍貯蔵庫、GM食品の長期給餌の実験を行ったフランスのセラリーニ教授など、世界各国への取材を重ねるうちに、徐々に明るみになっていく食産業の実態とは…。近年我々消費者にとっても関心の高いテーマでありながら、とっつきにくい印象も強い「遺伝子組み換え」問題。本作では、家族という身近な切り口から、今までわかりづらかった遺伝子組み換えの世界を分かりやすく描いている。安全性を気にするあまり、何を食べていいのか分からなくなったり、混乱したり、子どものために厳格に取り組みすぎて疲れてしまったり…ジェレミーとその家族が戸惑う姿には「あるある!」と共感してしまうこと間違いなし!本作は、遺伝子組み換え食品の真実を追うドキュメンタリーでありながら「どんな食べものを、家族で選択していくのか」という答えをみつけるまでの、家族の成長物語であり、GMOをめぐるロード・ムービー。「食の問題の理想と現実」という、普遍的であり難しくもあるテーマを追い求めるこの旅の最後に、ジェレミーの家族は何を悟り、何を選択していくのだろうか。本作をきっかけに、家族で “食”について見つめ直してみてはどうだろう。『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』は4月25日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年02月18日日本エイサーは13日、高輝度LEDを搭載したモバイルプロジェクタ「K137」を発表した。2月13日より発売する。価格はオープン。ランプ交換が必要ない長寿命のLED光源を搭載するモバイルプロジェクタ(LED光源の交換は不可)。1,280×800ドットでの投影に対応する。コンパクトな本体は持ち運びも考えられており、本体には2GBのメモリを内蔵。内蔵メモリにデータを保存しておくことで、再生機器を接続してなくても投影が可能。データ読み込み用にUSBメモリリーダー機能とSDメモリーカードスロットを備える。主な仕様は、投写方式がDLP、画素数が1,280×800ドット、輝度が標準で700ルーメン(ECOモード:560ルーメン)、コントラスト比が10,000:1。ランプ耐久時間は標準で20,000時間、ECOモードで30,000時間。投写画面サイズが17~100インチで、投影距離が0.6~3.2m、アスペクト比が16:10 / 16:9 / 4:3。対応解像度は640×480(VGA)~1,920×1,200ドット(フルHD)。レンズは明るさがF2.0、焦点距離が14.95mm。映像入力インタフェースはHDMI×1(MHL対応)。3W+3Wのスピーカーを搭載し、映写モードはフロント / リア / フロントセイリング / リアセイリング。台形補正は手動で垂直方向のみ±40度の補正が可能。本体サイズはW289×D116×H41mm、重量は510g。リモコンが付属する。
2015年02月13日鳥取大学は2月4日、がん抑制遺伝子を制御する因子としてマイクロRNA-19b(miR-19b)の同定に成功したと発表した。同成果は同大学大学院医学系研究科遺伝子機能工学部門の久郷裕之 教授の研究グループによるもので、2月3日の英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。遺伝子の集合体である染色体の末端には、染色体を保護するテロメアという部分がある。テロメアは分裂のたびに短くなり、やがて細胞は死滅する。一方、多くのがん細胞では、テロメレースという酵素が活性化されテロメアの短縮が防ぐ形質を持つことが、増殖し続ける原因となっている。久郷教授らはこれまでの研究で、この形質を抑制する遺伝子「PITX1」を発見していたが、そのはたらきについては詳しくわかっていなかった。今回の研究では、PITX1の発現を調節している分子としてmiR-19bがはたらいていることを発見。細胞内でmiR-19bを過剰に発現させると、PITX1のタンパクレベルの低下によるテロメレースの活性化と細胞の増殖能が高まることが確認された。また、miR-19bがPITX1の特定塩基配列を直接標的とし、発現を抑制していることもわかった。さらに、悪性黒色腫では、miR-19bの発現亢進とPITX1の発現低下が見られ、悪性黒色細胞腫株におけるmir-19bの発現消失解析では、PITX1の発現が上昇したのに伴い、テロメレース活性および細胞増殖能の低下が認められた。同研究グループは、マイクロRNAががん抑制遺伝子を調節してテロメレース活性を制御する分子経路が明らかとなったことで、がんを治すための創薬や早期診断薬の開発につながるとしている。さらに、テロメレース制御ネットワーク機構の理解から、幹細胞の維持機構、細胞の老化および不死化、複雑ながん発生の秘密を解き明かす鍵となることが期待される。
2015年02月04日順天堂大学は2月4日、遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子を新たに発見したと発表した。同成果は同大学医学部脳神経内科の服部信孝 教授、船山学 准教授らの研究グループによるもので、2月4日付で科学誌「LANCET Neurology」に掲載された。パーキンソン病は手足の震えや動きづらさなどの症状が進行する神経難病で、50~60代に発症することが多く、全国には14万人の患者がいる。根本的な治療法は見つかっておらず、全患者のうち5~10%を締める遺伝性パーキンソン病の原因解明が新規治療法の開発につながると考えられている。研究では、遺伝性パーキンソン病の家系から8人の患者と5人の非発症者に対し、神経学的診察とDNAの採取を行った。8人の患者のうち4人について次世代シークエンサーを用いて遺伝子解析をし遺伝子配列を詳しく調べたところ、CHCHD2遺伝子に変異があることを発見した。この遺伝子異変は8人のパーキンソン病患者に共通していただけでなく、別の家系のパーキンソン病患者にも見られた。また、一般的な弧発型(散発的に発生すること)のパーキンソン病患者と健常対象者のCHCHD2遺伝子配列を比べた結果、特定の遺伝子多型を保有していた場合、保有していない人に比べて2.5~4.7倍パーキンソン病を発症しやすいことがわかった。CHCHD2はミトコンドリアの電子伝達系に係っていることが知られている。弧発型パーキンソン病でもミトコンドリア機能異常が発症原因の1つと考えられており、今回の研究によって遺伝型と弧発型にミトコンドリアに係る共通メカニズムが存在する可能性が明らかにされたこととなった。同研究グループは今後、CHCHD2遺伝子に変異が入ることでミトコンドリア機能異常をはじめとする病的な状態が、どのように神経細胞死につながるかを詳しく調べていくとしている。
2015年02月04日栄研化学は1月27日、独自の遺伝子増幅技術(LAMP法)を利用した次世代の小型全自動遺伝子検査装置および多項目検査チップを開発したと発表した。同装置は、検体前処理(核酸抽出・精製)から増幅・検出までを全自動で行える。従来の高純度な核酸抽出・精製を行う装置と増幅・検出装置で合わせて2時間以上を要していた操作時間を、LAMP法の特徴を生かした独自プロトコルの開発により、30分以内に短縮することに成功した。一方、同検査チップは、LAMP法に必要な増幅試薬(プライマー、酵素など)を含む複数の反応ウエルから構成されている。同装置に設置して使用することで、内部標準を含めて多項目の遺伝子の同時検出を可能とした。さらに、閉鎖構造にすることにより、コンタミネーションに極めて強い特徴を有している。そして、プラスチック製で簡易な構造を追求することにより、量産可能な低価格化を実現した。今後、早期の実用化を目指し、複数の呼吸器感染症原因微生物の同時検出を目的とした臨床性能試験を実施する。また、各種感染症検査チップ、コンパニオン診断用検査チップ、各種がん関連の検査チップなどの開発を進めていくとコメントしている。
2015年01月29日サーモフィッシャーサイエンティフィック(サーモフィッシャー)は1月23日、CE-IVD認証を取得した腫瘍遺伝子パネル「CE-IVD Oncomine Solid Tumor DNA kit」の欧州連合内での提供を開始したと発表した。同製品は、次世代シーケンサーを使って結腸がんと肺がんに関する遺伝子変異をごく少量の検体から一度に検出することを可能とするもの。具体的には、単一塩基による体細胞変異、挿入および欠失を10ngのDNA検体から検出することができる。これにより一部劣化を含む検体や少量しか採取できない腫瘍組織を用いての分析が可能となり、従来よりも幅広いサンプルから検査報告に使用できる結果を得ることができるようになる。「CE-IVD Oncomine Solid Tumor DNA kit」は、米国、欧州、日本にまたがる結腸がんや肺がんを専門とする臨床医によって構成されたOncoNetwork Consortiumのメンバーによる検証が行われ、日本からは近畿大学医学部ゲノム生物学教室の西尾和人 教授が開発に参画した。同社は「CE-IVD Oncology Solid Tumor DNA kitの開発と欧州連合内での商業化は、地域ごとの規制に則しながらお客様のオンコロジー領域での臨床ケアの進歩を支援する、当社の継続的な取り組みを象徴しています。医薬品企業と先進的な臨床検査室からの参画を併せ持つサーモフィッシャーサイエンティフィックのオンコロジー・コンソーシアムとのパートナーシップによって、臨床分野のお客様とその患者さんたちのニーズに応える、規制に即したオンコロジー領域におけるNGS製品とサービスの提供を拡大していきたいと考えています」とコメントしている。
2015年01月26日遺伝子研究への協力者を募集女性の健康情報サイト「ルナルナ」が遺伝子研究を開始する。研究を開始するに伴い、スマートフォンアプリ「ルナルナ」、「ルナルナ ファミリー」の会員を対象に、同研究に協力してくれる人を募集している。「ルナルナ」は、女性専用の健康情報サイトで、株式会社エムティーアイが運営している。この遺伝子研究は、同社の子会社、株式会社エバージーンと医療法人社団薬善会つくば国際臨床薬理クリニックが共同でおこなう。つくば国際臨床薬理クリニックは、20年の伝統を持つ観音台クリニックから引き継ぎ、2010年3月に新たに先進技術を加えて開設された臨床試験受託専門医療機関だ。女性の健康情報サイトを運営する株式会社エムティーアイとは株式会社エムティーアイは、ルナルナシリーズを運営している企業だ。このルナルナシリーズは、「ルナルナ」「ルナルナ ファミリー」があり、女性が携帯で体調管理が簡単にできるサイトになっており、登録者は既に600万人を超えている。サイト登録者は、生理日を毎月入力すれば、具体的にダイエットや美容などの役立つ情報を提供してくれる。同サイトは、妊活・出産・育児までをトータルでサポートをでき、ライフステージにあわせて活用することができる。「ルナルナ」は、今回の遺伝子研究の成果を活かして、女性が今よりも元気でキラキラと輝くことができるように健康情報サイト充実させていくようだ。(画像はルナルナHPより)【参考】・ルナルナ・医療法人社団薬善会つくば国際臨床薬理クリニック
2014年12月29日慶應義塾大学(慶大)は12月24日、ヒトの皮膚細胞を血管内皮細胞に転換する遺伝子を同定したと発表した。この成果は慶大医学部微生物学・免疫学教室の森田林平 専任講師と吉村昭彦 教授、久留米大学医学部心臓・血管内科学の安川秀雄 准教授、佐々木健一郎 講師らの共同研究によるもの。12月24日(現地時間)に米科学雑誌「アメリカ科学アカデミー紀要」のオンライン版で公開された。血管内皮細胞は、発生の初期に、血液細胞と共通の前駆細胞から作られることがわかっている。同研究グループは今回、血管内皮細胞だけでなく血液細胞の発生にも重要な転写因子18種類をスクリーニング対象とした結果、ETV2という遺伝子を、健常人から採取しヒト皮膚線維芽細胞に導入することで、血管内皮細胞に3~4%と高効率で転換することを見出した。また、ETV2が細胞内の別の転写因子と共役的に作用し、血管内皮細胞の分化に重要なさまざまな遺伝子の発現を誘導していることも突き止めた。実験ではさらに、このヒト皮膚線維芽細胞から転換させた血管内皮細胞を免疫不全マウスの皮下に移植したところ、1.5カ月後に成熟した血管の形成が観察されたという。また、下肢の血管を閉塞させて壊死を起こさせる下肢虚血モデルマウスに移植した場合、有意に虚血を回復させることが分かった。これらの実験により同方法で作成された血管内皮細胞は、生体内でも機能的な血管を形成でき、虚血性疾患の治療に使用できることが確認された。この「人工的」血管内皮細胞はETV2が発現し続ければ安定するが、発現しないと血管内皮細胞のままでいる細胞と、ヒト皮膚線維芽細胞に戻る細胞に分かれるため、今後、これらの細胞集団の違いをもたらすDNAレベルでの分子メカニズムを明らかにし、「ETV2フリーの安定な血管内皮細胞」を誘導する方法を開発できれば、安全で臨床応用可能な血管内皮細胞の開発につながると期待される。
2014年12月25日日中の眠くなる時間、仕事がはかどる時間って、なんとなくいつも共通していませんか? 実は人間の細胞には「時計遺伝子」というものが存在しています。そして、1日のリズムはその遺伝子が制御していると考えられているのです。遺伝子に合わせた下記のような1日の過ごし方が健康美人をつくるのですよ。■午前中の過ごし方寝ている間に体内の修復を終え、起床したての体はデトックスモード。起きてすぐはまずコップ1杯の白湯をすするように飲み、排尿、排便で体内の毒素を流し出しましょう。毎日少しずつズレがでてくる体内時計をリセットする方法が、朝日と朝食です。まずは朝起きてすぐ、日の光をいっぱい浴びましょう。1日2食でバランスよい食事ができる場合は朝食抜きで問題ありませんが、朝食を食べるのであれば、起床後2時間以内がお勧めです。また、起きてからの2~3時間は人間の知能が最もクリアで研ぎ澄まされている時間帯。この時間帯は集中力が高まっているため、判断も早くなります。夜にどうしてもはかどらなかったり、判断に迷いが生じた仕事は、早く寝て、翌朝片づける方がかえって効率がよくなります。■午後の過ごし方昼食の後は睡魔に襲われる方が多いでしょう。無理をしても、一番アクティブに動く午後の時間が台無しになってしまいます。そんな時は昼食後15分のお昼寝がお勧め。昼食でとった栄養が補給され、赤血球が増加し、細胞に酸素を運ぶヘモグロビンも増えます。こうした条件がそろうと、人間は創造性が高まり、感情豊かになります。新しい企画を考えたりするにもお勧めの時間帯となります。また記憶力が高まるのも午後の時間です。■夕方~夜の過ごし方時計遺伝子の1つである、BMAL1(ビーマルワン)は摂取した糖類などを脂肪に変える働きをもっているのですが、これらは午後15時が一番少なく、18時を境に増加し、22時~深夜2時が最も多くなります。そのため、おやつは15時に、そして夕食は18時~19時くらいまでにはすませましょう。いくらヘルシーな素材を選んだとしても、夕食が遅くなれば遅くなるほど太りやすくなると覚えておきましょう。就寝時間は23時までが理想です。お肌や体内組織を修復してくれる成長ホルモンがしっかり分泌される時間帯だからです。いかがでしたか。なかなか理想通りにはいかなくても、時間ごとに、遺伝子に合わせた過ごし方をすることが、ストレスのない毎日を作ってくれます。日本人は特に「時間がない」「忙しい」という言葉を口にしがちですが、「忙しい」とは「心を亡くす」こと。1日24時間をどう効率よく使うかが未来を変えるかもしれませんね。
2014年12月21日●遺伝子検査は一生に一度でOKハリウッドスターのアンジェリーナ・ジョリーさんが受けたことで一気に注目を集めることとなった遺伝子検査。アンジェリーナ・ジョリーさんは乳がんの遺伝子検査の結果、乳房切除手術を決断した。一方、日本国内へと目を向けると、ヤフーやディー・エヌ・エーでも一般向けの遺伝子検査サービスを開始し、話題となっている。筆者は1年半ほど前に出産を経験したアラフォーママだ。出産後、子どもへの愛情が増すにつれて、「子どものためにもいつまでも元気でいないと」という気持ちが強くなった。しかし、もともと体力には全く自信がなく、健康への不安は常に抱えていた。そんな時に知った遺伝子検査。「自分に何かしらのリスクがあるのなら、早めに対処したい」という気持ちから受けることにした。○遺伝子検査は"一生もの"今は唾液を郵送するだけで結果が送られてくる遺伝子検査もあるが、結果が悪かった場合、医師からしっかりとしたアドバイスを受けたいと思い、今回はクリニックで受けることにした。向かったのは東京・銀座にある「AACクリニック銀座」。同クリニックは、薄毛や抜け毛で悩む人向けの女性専門頭髪外来と、アンチエイジング外来があり、今回お世話になったのは後者。同クリニックの遺伝子検査は、生活習慣病の発症リスクを調べるためのもの。検査項目によって費用は異なるが、「肥満」「脂肪代謝」「脂肪代謝異常による動脈硬化」「その他の原因による動脈硬化」「高血圧」「血液凝固・血栓」「メタボリックシンドローム」「酸化ストレス症」「慢性腎臓病」「感染抵抗低下」「自己免疫・アレルギー」の11項目の場合、16万2,000円(税込)となる。正直「安い」とはいえないが、これで将来の発病リスクがわかるのなら受けてみる価値はある。それに、同クリニック院長・浜中聡子医師によると「遺伝子に変化はないので、遺伝子検査は一生に一度でいいのです」とのこと。「一生ものの検査」と考えれば、この金額も前向きに考えられるのではないだろうか。しかし、検査項目に「がん」がないのはなぜだろうか。浜中医師に聞くと、同クリニックではアンチエイジングドックやホルモンドックの検査項目として、乳がん・卵巣がんといった女性向けのものに加え、肝臓がん、すい臓がん、大腸がんの腫瘍マーカーも調べることができる。こういった検査の人気も高いのだが、生活習慣病に関する遺伝子検査を受けるメリットとしては、ハイリスクという結果が出たとしても対処の方法があるという点。今すぐに治療の必要がなくても、これからの生活習慣を改めることで発症リスクを低くすることが可能なのだ。そして、AAC生活習慣遺伝子検査を受ける場合、アンチエイジングドッグ(10万8,000円)の併用を勧めている。アンチエイジングドッグでは、「血管年齢検査」「骨年齢検査」「酸化ストレス度・抗酸化力測定」「筋肉・体脂肪量検査」「ホルモン量検査」を受け、身体の現状を把握する。そして遺伝子検査では、その名の通り遺伝子情報を知る。セットで実施することで、より深く自身の身体を知ることができるのだ。●「風邪をひきやすい人」と遺伝子的にも証明さて、いよいよ検査スタートだ。まず問診表を記入した後にカウンセリングを受け、医師による診察へ。そこで生活習慣や健康に関する悩みなどを伝え、必要があればAAC生活習慣遺伝子検査の他にもアンチエイジングドック等を実施。採血の他、前述の通り骨年齢検査や筋肉・体脂肪量検査などを受けていく(アンチエイジングドック併用の場合)。○「感染抵抗低下」の項目が突出結果は約1カ月~2カ月後に判明する。筆者は人間ドックなら何度か受けたことがあるが、遺伝子検査は初めて。大病こそないが、風邪は頻繁に引く。ひどい時だとひと冬に4、5回は風邪をひく。最近では子どもが風邪をひけば100%移る。この抵抗力のなさも何か悪い結果として出てくるのではないだろうか……。大きな不安を抱えながら再びクリニックへと向かう。浜中院長から受け取った検査結果を見ると……レーダーチャートの「感染抵抗低下」が飛び抜けている。健康な人ならほとんど感染しないようなウイルスや細菌に、人より感染しやすいらしい。「風邪をひきやすいということはありませんか」と浜中医師に聞かれ、「はい! 」と即答する。それも、この感染抵抗力の低さと関係しているのだという。なるほど……。しかし、抵抗力が日本人の平均より低いということは、何か重大な病気にかかりやすいということではないのだろうか。それに関しては、「高齢者を除くと、その心配はほとんどないですよ」とのこと。高齢になると抵抗力がなくなっていき、例えば肺炎を発症して命の危険につながることもあるというが、現在筆者は37歳。この年齢なら、命にかかわるような病気に人よりかかりやすいということはないのだという。ひとまず安心だ。他の項目を見ると、「酸化ストレス」も日本人の平均値より高く、抗酸化力が不足している状態とのことだ。これにより、早期の老化、慢性的な炎症などにつながる可能性が高くなるそうだ。それ以外の項目は、「メタボリックシンドローム」「糖尿病」「高血圧」「慢性腎臓病」「心筋梗塞」「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」といった項目で発症リスクは平均的か低めで、骨密度や筋肉バランス、動脈硬化度などの項目も心配するような結果ではなかった。浜中医師は、「病気の発症に遺伝子が起因するのは2~3割。あとの7~8割は生活習慣によるものです」という。今回は生活習慣遺伝子検査なので、ハイリスクという結果が出たとしても、生活習慣を見直すことで改善が可能だ(もちろん要治療レベルであれば、専門医を紹介してくれる)。○日々の生活に取り入れられる方法を私の場合は、抵抗力や抗酸化力を上げるためのアドバイスが浜中医師からあった。全身の筋肉量が少ないため、まずはこまめな運動が必要。「多忙な人は、ジョギングや水泳をしようと思っても長続きしませんよね。エレベーターを使っていたところ階段にする、といった小さな積み重ねが有効ですよ」とのこと。また、「とにかく風邪をひきたくない! 」という私の要望には、「即効性を求めるなら高濃度ビタミンC点滴ですね。高い抗酸化作用で免疫力の強化も期待できます」。さらに続けて、「おなかの調子はいかがですか? 」と聞かれ「過敏性腸症候群です」と答える。実は、腸の働きが悪いと抗酸化成分を腸が吸収できず、抗酸化力が低下するのだという。これに関しては、「納豆を摂取したり、整腸剤を試してみてはいかがでしょう」とのアドバイス。また「水分はしっかり摂取できていますか」とも聞かれ、こちらも「いえ、あまり……。オフィスのトイレが遠くて、行くのが億劫なので……」。水分は、こまめにとることで代謝がアップするのだという。こちらも今日から見直すとしよう。日常の中で取り組める具体的なアドバイスをたくさんいただいた。帰り道、早速整腸剤を買った。そして、実は検査結果を聞いた1週間後、秋に入ってもう3度目になる風邪をひいたことから、AACクリニック銀座に高濃度ビタミンC点滴を受けに来た。ビタミンC15g配合で1万800円(初診料、検査費別)。診察と検査、点滴で所要時間は90分ほどだ。あくまでも私個人の場合だが、いつもは風邪薬を飲まなければ1カ月ほどは引きずる風邪が、今回は服薬しなくても3日後には完治。その後のハードな仕事もらくらく乗り切れた。定期的に高濃度ビタミンC点滴をしていきたいと考えている。また、出社時には9階にあるオフィスまでエレベーターを使わず階段でのぼるようにもした。日ごろ運動をしていないので、2回ほど休憩を入れないとのぼりきれない情けない状況なのだが、今回の検査結果を受けて日々の生活に少し運動を取り入れられた。子どもはまだ1歳。これから子どもと一緒に元気に生活するために受けた今回の検査、生活によい影響を与えられていると思う。食生活も徐々に改善しながら、健康維持に取り組んでいきたい。
2014年12月11日ノーリツ鋼機グループのNKメディコとサインポストは12月10日、遺伝子検査ビジネスで提携し、サインポストの遺伝子検査サービスをNKメディコが販売すると発表した。この遺伝子検査は肥満、高血圧、動脈硬化など生活習慣病と関連性の高い14分野の遺伝子を分析し、遺伝的な体質リスクを評価するというもの。同サービスでは遺伝的な体質リスクを踏まえ、受診者ごとに推奨されるライフスタイルや栄養素を提案する。同サービスは、全国の医療施設、検診・人間ドック施設などに向けて販売される予定で、受診したい場合は、医療機関にて申し込むこととなる。また、保険適用外の自由診療となり、医療機関によってコースや料金が異なるため、詳しく知りたい場合は各医療機関に問い合わせる必要がある。
2014年12月11日順天堂大学の服部信孝教授、今居譲先任准教授らの研究グループはこのほど、若年性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子として知られているPINK1(ピンクワン)が、同じく原因遺伝子として知られるParkin(パーキン)をすばやく不良ミトコンドリアへ呼び寄せ、効率よく分解する仕組みを持つことを明らかにした。同研究結果は、科学雑誌『PLoS Genetics』に発表されている。若年性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子としては、同病気を発症する家系の解析からPINK1遺伝子とParkin遺伝子の2つが見つかっていた。これらの遺伝子に傷がつき正常に機能しない場合には、不良ミトコンドリア(※1)が蓄積することで中脳ドーパミン神経(※2)の変性が生じ、パーキンソン病になると考えられているという。そこで同研究所を含む複数の研究グループは、不良ミトコンドリアが生じるとPINK1とParkin(※3)が共にそれを感知し除去することを明らかにした。その分子メカニズムでは、PINK1がParkinにリン酸を付加(リン酸化)すると、Parkinにスイッチが入りミトコンドリアの分解に働くが、Parkinのリン酸化だけでは、なぜか効率よくミトコンドリアが除去されなかった。同研究所はこのことから、ParkinとPINK1の働きには未解明のメカニズムがあるはずだと考え今回の研究を行ったという。PINK1は、リン酸化する酵素(キナーゼ)でParkinをリン酸化することで活性化のスイッチを入れるという(※4)。同研究所が6月に発表した「ショウジョウバエ分子遺伝学による研究」から、PINK1によってリン酸化されるタンパク質がParkin以外にもあることが想定されており、京都大学の石濱泰教授との共同研究によりPINK1がリン酸化する新たなターゲットとなるタンパク質を探索し、ユビキチンを同定した。ユビキチンはタンパク質に鎖状に付加(ポリユビキチン化)されることによりタンパク質の分解シグナルとなる特殊なタンパク質だが、PINK1はユビキチンだけでなくポリユビキチン鎖をもリン酸化することがわかったという。さらに、ミトコンドリア上にリン酸化ポリユビキチン鎖を形成させると、それを目印にParkinが呼び寄せられ、リン酸化ユビキチンやリン酸化ポリユビキチン鎖でParkinの2つ目のスイッチが入ることを明らかに。つまり、PINK1とParkinが協業でミトコンドリア上にリン酸化ポリユビキチン鎖を形成することにより、すばやく残りのParkinが呼び寄せられスイッチが入るという、効率の良い不良ミトコンドリア除去の仕組みを発見したとのこと。今回の発見に基づき、ミトコンドリアにリン酸化ポリユビキチン鎖を人工的に付加することを試みた結果、パーキンソン病モデルショウジョウバエのミトコンドリアの変性を改善させることに成功したという。同研究所は、「今後は、PINK1やParkinと同じような作用をしタンパク質のスイッチを操作する人工的な方法を開発し、不良ミトコンドリアの除去によるパーキンソン病の効果的な早期予防に向けて、さらなる研究をしていく予定です」とコメントしている。※1 ミトコンドリア細胞の活動に必要なエネルギー(ATP)を作る細胞小器官。不良ミトコンドリアとは、損傷をうけて機能が低下した状態のミトコンドリアを示す。この器官の損傷や老化が進むと、酸化ストレスの原因となる活性酸素種が器官内部から漏えいする。※2 中脳ドーパミン神経パーキンソン病において神経変性が起こる神経。この神経が変性するとパーキンソン病で見られる運動機能障害(手足の震え、筋肉の硬直、姿勢制御の障害など)が起こる。※3 PINK1、ParkinPINK1遺伝子、Parkin遺伝子から作られるタンパク質は、それぞれ同名のPINK1、Parkinと名付けられている。ここでは、遺伝子はPINK1遺伝子、Parkin遺伝子/タンパク質はPINK1、Parkinと表記する。※4 Parkinの働きParkinは、ユビキチンというタグをタンパク質に付加する酵素(ユビキチンリガーゼ)であり、ユビキチンを付加されたタンパク質は分解や輸送などさまざまな制御を受ける。
2014年12月10日