「我慢は美徳」という言葉があるように、「我慢できる子=いい子」というイメージはいまだに健在です。日本の子どもは、幼い頃から「我慢しなさい」と言われて育ちます。しかし国によっては、我慢よりも「自己主張」を大切にするところも多く、最近は日本でも、我慢と自己主張のバランスを見直す流れがあるようです。また一方では、「我慢=自制力」ということで、我慢は人生に大切な非認知能力のひとつとも考えられています。そこで今回は、「子どもにどんな我慢をさせるべきなのか」という点を中心に、我慢について深掘りしてみましょう。「ママに怒られるから、我慢しよう」はかなり危険!まず、想像してみてください。公園は遊びに来た家族で賑わっています。人気遊具の前には順番待ちの列ができていて、並んでいるふたりの子どもに、それぞれの親が声をかけているところです。【Aさん】「もう、何度やったら気がすむの。いいかげん、帰るわよ!」【Bさん】「4時に帰るって約束したから、あともう1回やったら帰ろうね」どちらの子どもも、もっと遊びたい気持ちを我慢することになるわけですが、親の対応によって「我慢するときに感じる気持ち」に違いが生まれています。Aさんのお子さんは、お行儀よく、聞き分けのいい子になるかもしれません。ですが、じつはこのAさんの対応、とても危険なのです。特に親が厳しくしつけているケースでは、子どもは「親に怒られるから我慢する」だけであって、「なぜ我慢するのか」をまったく理解していないことが多いからです。Aさんはわが子に「親の言うことを聞かせている」だけで、「なぜ我慢するのか」を伝えることを怠っています。ですからこの場合、子どもにとって我慢するメリットは「親に叱られないこと・罰を与えられないこと」だけ。これは、抑圧的な「悪い我慢」のさせ方です。Bさんのお子さんも、本当はもっと遊びたいのに我慢をしています。しかしこの場合の我慢は、本人も納得しているので、子どもが自らを自制できている「よい我慢」と言えるでしょう。子どもに我慢をさせるときは、我慢する理由が「親の抑圧」なのか「子どもの自制心」なのかを考えたいですね。我慢できる子の未来は「成績優秀で社会的にも成功」子どもの自制心についての有名な実験が、当時スタンフォード大学教授(現コロンビア大学名誉教授)の心理学者ウォルター・ミシェル氏が考案した「マシュマロ・テスト」です。「満足を先延ばしできる能力」を調べるため、マシュマロを子どもたちの前に用意し、いま食べるなら1個、15分我慢したら2個あげることを伝えます。結果は、すぐ食べた子、我慢した子、ほぼ半々だったそうです。そして、その後の彼らの人生の追跡調査で判明したのは、「我慢した子のほうが、成績優秀で社会的成功を収めていた」という事実でした。我慢することは、大人でも難しいものです。それが子どもならなおさらですよね。前述したような、理由も説明もなくただ「我慢しなさい」と頭ごなしに言うことは、子どもにとって苦痛以外の何物でもなく、圧力に押さえつけられた感情はかなりの精神的ダメージとなってしまうでしょう。一方、マシュマロ・テストのように、「マシュマロを多くもらえるから、我慢する」というのは、報酬を得るという目的があっての我慢です。我慢したらよいことがあるとわかっているから、自制心が働きますし、最終的には達成感を得られるので、精神的にもプラスです。つまり、我慢には目的が必要ということ。京都大学大学院発達心理学准教授の森口佑介氏は、目的を達成するための自発的な我慢を「真の我慢」と呼んでいます。お子さまは、自分の感情をコントロールできていますか?教育学博士のアグネス・チャン氏によると、「真の我慢」をするためには、ふたつの能力が必要なのだそう。まずは「想像力」。我慢することで得られる未来を想像する必要があります。「我慢したらおいしいケーキが食べられる」「我慢したら公園で遊べる」など、未来を想像する力が行動のモチベーションになります。これは人生で試練にぶつかり、困難を乗り越えるときに、希望を見いだすための大きな力となります。もうひとつは、「自分を慰める力」。つらいとき、気持ちをぐっとこらえて、気を紛らわせてなんとか乗りきること、ありますよね。我慢に待つ時間はつきもの。「いま食べたいのに」「いまやりたいのに」というとき――。駄々をこねず、歌を歌ったり、本を読んだり、体を動かしたり……子どもは、目的達成のために気持ちを切り替える術を学ぶことで、自分の感情をコントロールする力、つまり自制心を身につけます。「ママに怒られるから」ではなくて、「なぜいま我慢しないといけないのか」を理解することが重要なのです。小さな我慢を積み重ねていくうちに、筋トレのように着実に自制心が育まれ、「真の我慢」ができるようになるのです。親が知っておきたいのは、子どもの成長に合わせた「我慢の育み方」です。幼少期に特に気をつけたいポイントをおさえておきましょう。我慢ができなかったからと「罰」を与えるのはNG前出の森口氏によると、「我慢適齢期」は4歳。それまでに親にあまりかまってもらえないなど、愛情不足から寂しさや不安を抱えると、逆に我慢できない子になってしまうので、注意が必要です。4歳頃までは、我慢させるよりも、子どもが安心できる環境づくりが何よりも大切となります。2歳頃は、意欲や欲求が一気に育ちます。気持ちを発散することで、感情のコントロールをしようとする時期で、いわゆる「イヤイヤ期」。我慢を覚える一歩手前です。親にとってはとても大変なときですが、子どもはめきめきと成長しているので、この時期は我慢ではなく「意欲」を優先すべきだと、玉川大学乳幼児発達学科教授の大豆生田啓友氏は言っています。そして3歳から4歳にかけては、自己主張と我慢の狭間で揺れ始める時期。「やりたいことができない!」など、自分へのイライラからぐずることも増えるかもしれません。しかし、抑圧的な言葉がけは厳禁です。「この時間なら、消防車の前を通って帰れるね」など、子どもの気持ちが切り替えられるような工夫してみましょう。すんなりとはいかなくても、その関わり合いのなかで、子どもは親の愛をしっかり感じとっています。そして、「我慢適齢期」の4歳からは、「真の我慢」ができるように、「なぜいま我慢をするのか」を説明してあげましょう。そこで意識したいのは、やはり子どもの気持ちです。無理に我慢をさせすぎてしまうと、親の言うことを守るだけが我慢の目的になってしまい、子どもの自主性が育ちませんし、自己肯定感も低くなりがちに。特に、「我慢できなかったからと罰を与えることは、『問題は力で解決できる』という悪い例を示すだけでよい効果はない」と、『最高の子育てベスト55』著者でジャーナリストのトレーシー・カチロー氏は述べています。「もう子どもを頭ごなしに叱らない!」2つの対処法子どもに我慢を教える親も人間です。子どもが何かよくないことをしたとき、イライラして、つい頭ごなしに叱ってしまうこと、ありますよね。カチロー氏は『最高の子育てベスト55』のなかで、そんなときの親への対処法を紹介しています。対処法1:子どもへの注目をいったんやめる子どもが悪いことをしたときに、とりあえず謝らせていませんか。カチロー氏は、これは親の過干渉だと言っています。まずは、いったん子どもへの注目をやめてみましょう。カッカする気持ちを抑えて、「〇〇君と話がしたいんだけど、お話しする前にちょっとお皿を洗ってくるね」などと、一度「タイム」を入れることで、親子ともに冷静に問題と向き合うことができます。対処法2:イライラしたときの気分転換を決めておく気持ちが高ぶっているときは、「感情的に叱ったり(親)」「駄々をこねたり(子ども)」しがちです。そこで、イライラしたときの気分転換方法を、親子で一緒に考えておくのもひとつの手です。「ジャンプする」「枕をパンチする」「深呼吸する」など、なんでもかまいません。何か起きたときに、この行動を一緒にすることで、お互いに落ち着きを取り戻せるでしょう。対処法1は親だけの「タイム」ですが、こちらは親子ふたりの「タイム」ですね。これらふたつは、前述した「真の我慢」のための、「自分を慰める力」、つまり「自己コントロール力」につながります。我慢を育むためには、親子ともにいったん「タイム」を入れましょう。覚えておくと、役に立ちそうですね。***「我慢できてえらいね!」と、大人はつい言ってしまいがちですが、「我慢」自体をほめるのはNGです。なぜならば、我慢は目的ではなく、目的を達成するための “術” だからです。「真の我慢」は、人生に大きな可能性をもたらしますよ。親の正しいサポートで、「真の我慢」を丁寧に育んであげたいですね。(参考)ウォルター・ミシェル 著, 柴田裕之 訳(2015),『マシュマロ・テスト:成功する子・しない子』, 早川書房.トレーシー・カチロー 著, 鹿田昌美 訳(2016), 『最高の子育て ベスト55』, ダイヤモンド社.NHK すくすく子育て情報|「がまん」って大事なの?SHINGA FARM|2歳、3歳、4歳…年齢に応じた正しい我慢のさせ方知ってますか?ダイヤモンドオンライン|親が〇〇だと、子供の「自制心」が育たないThe Asahi Shimbun GLOBE+|賢く我慢を学んだ子は将来伸びる「マシュマロ・テスト」を知っていますかPHPファミリー|子どもにさせていいガマン、わるいガマン
2021年04月09日子どもにはたくさんの経験を通して心も体も成長してほしい。そう考えている親御さんも多いことでしょう。しかし、子どもたちがこれからするであろうたくさんの経験のなかには、うまくいかないことやできないこと、失敗なども数多くあるはず。こうした困難に向き合うには、子どものメンタルは強いに越したことはありません。今回は、子どもにとって「メンタルが強い」とはどんな状態のことをいうのか、メンタルが強いとどんな利点があるかを考えてみます。また、メンタルが強い子どもは、普段どのようなことを習慣にしているのかも紹介します。逆境や困難に適応する「レジリエンス」メジャーリーグで活躍するイチロー選手、サッカー日本代表の長友佑都選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手など、スポーツ選手が逆境を跳ね返して活躍する姿には、彼らの強靭なメンタルを感じます。メンタルの強さは超一流のスポーツ選手だけでなく、子どもたちにも必要となってきます。なぜならば、この先、子どもたちにはさまざまな逆境や困難が立ちはだかり、それを乗り越えていかなければならないからです。メンタルの強さというと、「負けず嫌いな性格」や「苦手なこと立ち向かう勇気」、「泣きたい気持ちを堪える我慢」のような強気な心と思われがちです。しかし子どもたちに必要なのは、もっとしなやかで折れない心なのです。最近注目されている「レジリエンス」をご存じでしょうか。レジリエンスは、ストレスのかかった状態に耐え、ほかの誰かに心ない言葉を投げられても傷つかず、トラブルに臨機応変に対応できるような生きのびる力です。レジリエンスは、勉強、スポーツ、人間関係、仕事などで、私たちの心が「折れない」ようにしてくれる心の筋肉のようなもので、誰もが持っているのだそうです。「レジリエンス」が高い人の特徴3つ海外では、レジリエンスについてすでに40年近く研究されています。欧米の学校では、子どもたちに心の強さを教える「レジリエンス教育」を取り入れているところも2,000校にのぼり、国内でもレジリエンスを育成しようという動きが学校や会社で広まってきています。国内でレジリエンスを活用した人材育成に携わっている久世浩司さんは、レジリエンスが高い人の特徴として、「回復力」「弾力性」「適応力」の3つが備わっているといい、それぞれについて次のように述べています。・「回復力」困難に直面しても、すぐに元の状態に戻ることができる、心のしなやかさをもっています。柔軟な心理は、レジリエンスの高さの証です。・「弾力性」これは、予想外のショックやストレスなどがあっても、弾力性をもって耐えることができる精神を表します。人から批判され、嫌なことを言われても、心の傷とならずに守ることができます。・「適応力」予期せぬ変化に抵抗するのではなく、それを受け入れて合理的に対応することができる思考をもっています。(引用元:久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.)※太字処理は編集部で施したこの3つの特徴は、特別な能力として一部の人にだけに備わっているものではなく、誰にでもあるものです。そして、レジリエンスは心身の疲労によって衰えることもありますし、反対に大人になってからでもトレーニングで十分に高められるといわれています。メンタルは強くできる!レジリエンスを鍛える4つの習慣お子さんのメンタルを強くするには、日頃の考え方や行動を変えてあげることが重要です。今回は、心理学者のアルバート・バンデューラ博士が提唱した「自己肯定感」を高める4つの要因にフォーカスした、レジリエンスを鍛える方法をご紹介します。【習慣1:成功体験を積みかさねる】小さな成功体験が「やればできる」の大きな原動力になります。例えば、「漢字テストで100点を取る!」という目標を立てたら、まずは出題範囲をいくつかに分けて、小分けにした範囲でパーフェクトを目指します。縄跳びで100回跳べるようにするには、いきなり100回達成にチャレンジするのではなく、まず10回、20回と小刻みに目標を立てて、クリアしていきます。【習慣2:お手本を見せる】私たちの脳には、誰かが上手にやっているのを近くで見ることで「自分にもできそうだ」と共鳴する運動神経細胞「ミラーニューロン」があります。スポーツでもピアノでも、「自分にもできる」と思えるようになるきっかけはお手本を見ること。ぜひ、プロのパフォーマンスを実際に見せてあげましょう。また、動画を見せることでも十分な効果があります。コンサートDVDを活用したり、日本代表選手のプレーをテレビ観戦したり、積極的に取り入れてみてください。【習慣3:プロセスを励まし、褒める】家族や先生からの「あなたならできると思うよ」という言葉は、子どもの背中を押してあげる効果があります。このとき、できるかできないかを重視した励ましではなく、到達できたところまでのプロセスを励まし、褒めることが大切です。プロセスで励まされた子どもは、「自分は前と比べてここまでできるようになった」と振り返ることができるようになり、やればできるという気持ちに自信がつきます。【習慣4:前向きな気分で盛り上げる】グループ学習やチームスポーツでは、ポジティブな気分や感情が自己効力感をアップさせます。「ドンマイ」「次は成功するよ」「1勝したらお祝いしよう!」と盛り上げることで、子どもは「もしかしたら、やればできるのかもしれないぞ!?」と考えることができます。本人に自信がないようなときでも、「〇〇君ならきっとできるよ!」と子どもを信じて言い続けましょう。どの方法も、最初から子どもひとりでできるものではなく、家族や先生など周りの大人のサポートが必要となります。しかし、考え方の習慣化が定着すれば「やればできる」の自己効力感は高まりますし、それが「回復力」「弾力性」「適応力」を備えたメンタルの強さにつながります。***この習慣は、大人も取り入れることが可能。自己効力感がアップし、レジリエンスを高めることができます。メンタルを強くしたいと思っている親御さんは、お子さんと一緒に取り入れてみてはいかがでしょうか。(参考)久世浩司著(2014),『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』, SBクリエイティブ.久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー・イーべン・ディシング・サンダール著、鹿田昌美訳(2017),『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』, 集英社.NHK クローズアップ現代+|“折れない心”の育て方~「レジリエンス」を知っていますか?~Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1)
2019年02月26日我が子の未来が順風満帆で輝かしいものとなるように……親であればそう願っていますよね。しかし実際には、他人からの心ない態度に傷ついたり、自分の能力に限界を感じたりするでしょう。そんなとき、「前を向く力」があれば、もう一度立ち上がることができるのです。いま、どんな困難な状況にあってもめげることなく前を向いていける力が求められています。お子さまの「前を向く力」を育てるために、親ができることを考えてみました。やり場のない気持ちは「切り替える」「やりすごす」子どもは、自分ひとりで解決できない困難を目の前にしたとき、親や先生などの身近な大人に「なぜ悩んでいるのか、苦しんでいるのか」「どうしたいのか」を言葉で伝えられないことがよくあります。原因がいくつも絡み合って、自分の中で整理がうまくできないために言語化できないのです。私たち大人の社会においても、似たようなことは起こります。すべてを白黒はっきりつけて解決できればいいのですが、そうとも限らないのが現実です。傷つき悩む子どもたちは、困難な状況をうまく乗り越えられないでいると、頭痛や腹痛など身体の不調を訴えることもありますし、不登校になってしまうこともあります。または、抱えているストレスをいじめや暴力で発散するケースも考えられます。この時代を生きていくには、困難に立ち向かう方法だけでなく、やり場のない気持ちをうまく切り替える方法ややりすごす方法を身につけて、前を向いて進む力が求められています。この力を「レジリエンス」といいます。海外では40年近く前から「レジリエンス」について研究が進んでいましたが、国内でレジリエンスが注目されたきっかけのひとつは、2011年3月11日の東日本大震災だといわれています。そのため、防災や減災といった意味合いで使われることもありますが、心理学では「逆境やトラウマ、惨事、脅威、もしくは重大なストレス源に直面したときにうまく適応するプロセス」(アメリカ心理学会)と定義されています。前を向く力「レジリエンス」が高い人の特徴「レジリエンス」は、誰もが元々もっている力で、大人になってからでも高めることができます。逆に、心身の疲労によって衰えることもあります。人によってレジリエンスの程度には差がありますが、高めていくには次のようなことがカギになると埼玉学園大学の小玉正博教授は述べています。【レジリエンスを高める考え方や行動】●気持ちや感情をコントロールする力●変化する状況に順応できる柔軟性●自分は大切だという感覚●必要な時に助けを求められる力●自分を犠牲にしない●楽観的であること●嫌なことを割り切る力これらをご覧になっていかがでしょうか。「前を向く力」といっても、困難へ正面から立ち向かうパワーや、限界まで粘り強く向き合うためのガッツではなく、「しなやかさ」「融通が利く」「受け入れる」に近いものが多いですね。困難な状況にあってもパニックを起こさず、また怒りや悲しみ、悔しさを自分でコントロールすること、状況に応じて順応すること、自分のことを大切に思いひとりで問題を抱え込まないことが「前を向く力」をつけるための大切な要素となります。子どものレジリエンスを育てるために親ができること3つ上記にレジリエンスを高める考え方や行動をご紹介しましたが、実際に私たちは、どのようなことを意識すれば、子どものレジリエンスを育てられるのでしょうか。臨床心理学者で東京学芸大学名誉教授の深谷和子先生は、次の5つが大切だといいます。レジリエンスを育てるために大切なこと1.自己肯定感(自尊感情)を育てる2.愛し愛されることができる子どもに育てる3.友だちとのかかわりをもてる子に育てる4.多様な体験をもつ子に育てる5.目標(志)をもつ子に育てる(引用元:Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1) 【インタビュー】「レジリエンス」こそ 親が子に残せる最高の資産(1))この中で最も重要なのは「自己肯定感(自尊感情)」で、自己肯定感が育っていれば2~5に連動してプラスの効果があるそうです。自己肯定感とは、「自分ならできる」「自分は愛されている」「ここにいてもいい存在だ」と思える気持ちです。また、自己肯定感が高い子どもは学力も高いという調査結果もあり、子どもの教育を考える上で注目されています。これら5つの観点で子どもを育てるために親ができることを3つご紹介します。それは「結果よりプロセスを褒める」「チャレンジを援助する」「人とのつながり感じさせる」です。(1)結果よりプロセスを褒める「上手にできたね」「やればできるじゃない」といった結果を褒めるよりも、途中でどんなふうに頑張っていたのか、以前に比べてどれくらい成長しているのかというプロセスを褒めます。たとえ、うまくいかず失敗に終わってもそこまでに至る意欲や頑張りを褒めることで、「またがんばろう」という気持ちが芽生えます。【プレセスを褒める声かけ】・「このあいだの日曜日よりも10回も多く縄跳びが飛べたね!」・「毎日漢字の練習を頑張ってるもんね、すごいよ!100点おめでとう」・「(点は入らなかったけど)たくさんパスがもらえるようになったよね!かっこよかったよ」(2)チャレンジを援助するわが子が失敗して傷つかないように、あれこれ先回りして手を差し伸べることを控えます。とても無理なことに無謀なチャレンジをさせるのではなく、ちょっと頑張れば手が届きそうなことに「チャレンジしてみよう」と思わせることがポイントです。子どもが多様な経験をし、必要なときには「助けて」と言える環境を作り、助けを求めてきたら必要な分だけ援助するようにします。【チャレンジをうながす声かけ】・「上り棒、半分登れるようになったんだね。一番上まで登れるようになったら、遠くに何が見えるか教えてね!」・「顔を水につけられるなんてすごい!じゃあ、目も開けられるかな?」・「補助なしでも逆上がりができそうだね。来週もお父さんと一緒に練習しよう!」(3)人とのつながりを感じさせる不安や心配事など何でも話せるように、「私たちはあなたのことをいつでも守っている」というメッセージを子どもに繰り返し伝えましょう。自分が守られていることで安心でき、自己肯定感も高まります。また、周りの人や社会の中で自分が大切にされていることに感謝の気持ちをもつように意識させることも大切です。【人とのつながりを意識させる声かけ】・「お父さんとお母さんは〇〇ちゃんのことをいつも大切に思っているよ」・「どんなことでも相談にのるからね。〇〇くんが大好きだから、いつでも〇〇くんを見ているよ」・「おばあちゃんは〇〇ちゃんのことが本当に大好きなのね。早く会いたいな、って言ってたよ」・「先生が〇〇くんの体調を心配して電話をくれたよ。うれしいね」子どもの前に困難が立ちはだかったとき、その悩みや苦しみを乗り越えるのは子ども自身。親は心配のあまり、つい手を差し伸べたり口を出したりしたくなりますが、励ましや援助を続けることが大切です。子どもが「自分は少しずつ成長している」「失敗しても、また頑張れる」「周りにいる人は自分の味方だ」と思うことが、前を向く力につながります。***失敗したとき、行き詰ってしまったとき、そのままつぶれてしまわず、気持ちを切り替えて感情をコントロールしながら目標に向かって行けるような、しなやかな心を育ててあげたいですね。(参考)Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1) 【インタビュー】「レジリエンス」こそ 親が子に残せる最高の資産(1)ベネッセ教育情報サイト|乳幼児期から育む、折れない心【前編】困難に負けない、レジリエンスとはベネッセ教育情報サイト|乳幼児期から育む、折れない心【後編】レジリエンスを伸ばす保護者の働きかけNPO法人 青少年こころの悩み支援センター|困難を乗り越える子どもに久世浩司著(2014),『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』, SBクリエイティブ.久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー・イーべン・ディシング・サンダール著、鹿田昌美訳(2017),『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』, 集英社.
2019年01月30日大和書房はこのほど、『レディ・レッスン~ポジティブガールの教科書~』(ケリー ウィリアムズ ブラウン 著、鹿田昌美 訳/税別1,400円)を発売した。○レディらしい行為には具体的なやり方がある同書では、"レディ"になるためのアドバイスを、「心がまえ」「演技」「暮らし」「仕事」「お金」「メンテナンス」「友だち」「恋愛」「家族」のテーマで分けて合計350個紹介している。著者は、米国オレゴン州ポートランド在住で20代後半の女性新聞記者、ケリー ウィリアムズ ブラウンさん。ケリーさんは、同書の前書きで「日々の小さな決断を正しく積み重ねるという行為が、本物のレディをつくるのです。レディらしい行為は、訓練で身につけることができますし、具体的なやり方が存在します」と綴る。内容は、「トイレットペーパーはまとめ買いする」「シワのある服は厳禁!」といったことから、「ブラック企業なら転職する」「ときどき告白する(笑)」なんてことまでさまざま。"超実践的"なアドバイスが、ユーモアたっぷりに書かれている。その一部は以下のようなもの。・パーフェクトではない自分を受け入れる・世間から冷たくされても傷つかない・悪趣味なものでも言い訳せずに楽しむ・元カレが生きていることを許す・時差ボケになるようなナイトライフは卒業する・嫌な上司にはゴマをする・仮病が通用するのは年に一度だけ・三つの質問でモノを手放す・対等に話せる年上の友人をつくる・ブランド品がなくても生きていけると知る・タコスはバッグに入れない・親の自慢話のネタになる・友人を「無料カウンセラー」扱いしない・社内恋愛に手を出さない「世の中には、理不尽でややこしくて、手ごわいことがたくさんあります。でも、自分自身の言動や態度を変えることはできます。そこに、本書のポイントがあります。レディらしい言動ができる人が、レディなのです。あなたがどこの誰でも、必ずレディになれます」(同書前書きより)
2015年06月05日10軒もの小鹿田焼の窯元が一堂に会して陶器を販売する「小鹿田焼民陶祭り」が開催される。日時は10月13日(土)、14日(日)の2日間、時間は10:00~16:00までとなる。開催場所は日田市源栄町皿山。小鹿田焼は放射状の線や円形に描かれた繊細で幾何学的な文様が特徴の陶器だ。古くからの製法をよく残しており、国の重要無形文化財に指定されている。その歴史は古く、江戸時代中期に日田の代官が、筑前の国上座郡小石原から陶工を招き始めたのが最初だと言われている。特徴的なのは、「唐臼(からうす)」と呼ばれるくぼみの中に土を入れ、小川の水流を利用し、ししおどしの要領で水を受ける筒が重さで落ち、水が排出される反動で陶土をひく昔ながらの方法。きねが陶土を突くのどかな音は、環境省認定の「残したい日本の音風景百選」に選ばれている。また、斜面に作られた長く伸びる「登り窯」は、対流効果により窯内の温度を一定に保つよう工夫されたもの。また、窯元がある皿山地区と棚田が広がる池ノ鶴地区は2008年3月に「小鹿田焼きの里」として重要文化的景観に指定されているほど、風土と生活が一体となった景観を見せている。民芸運動の主導者、柳宗悦の日本民藝館設立に協力したことで知られるイギリス人陶芸家、バーナード・リーチが1954年と1964年に小鹿田地区に滞在し、陶芸の研究をしたことが小鹿田焼が全国に知られるきっかけとなった。●アクセス JR日田駅からバスで40分 大分自動車道日田ICから自動車で25分 【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月28日