「ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)」が10月20日、東京・恵比寿のガーデンホールにて15SSコレクションを発表した。ブランド創立20周年を迎える今シーズンのテーマを「SPACEMEN」とし、好きなテイストで固めることを試みたデザイナー・黒田雄一。本人が最も好きなミュージシャン、ソニック・ブーム(SONIC BOOM)へも今回のコレクションのために声を掛けたという。レーザーとスモークによるオーロラのベールに包まれた会場。最初に目を引いたのは、サイケデリックでグラフィカルなプリントだ。これはソニックブームとのコラボレーションによるシリーズで、氏が中心メンバーであったバンド、スペースメン3(SPACEMEN 3)や、スペクトラム(SPECTRUM)のアートワークを使用したもの。その後も、首元に十分ゆとりを持たせた宇宙服を髣髴とさせるフード付きのパーカーなど、立体的で構築的なディテールや、ブレてぼやけたような柄のブルゾンやシャツなどサイケかつフューチャリスティックなムードが続く。しかし、細身のパンツとスタイリングしたり、プレーンな質感の素材を用いたりとミニマルにラッドらしく統一。レーザーのように細く華奢なネックレス・ブレスレットなどのアクセサリーもさりげなくアクセントを与える。終盤になるとモデル達はシルバーグレー一色となり、静かな迫力を感じさせた。ショー終了後には同会場でアフターアニバーサリーパーティーを開催。ソニック・ブーム、日本のオルタナディブロックバンド「ザ・ノーベンバーズ(THE NOVEMBERS)」、宇川直宏が率いるVJチーム「DOMMUNE VIDEO SYNDICATE」などがライブパフォーマンスを行った。
2014年10月26日「トリコ・コム デ ギャルソン(tricot COMME des GARCONS)」の15SSコレクションは涼しげでナチュラル。デザイナーは栗原たお。“うすく軽やかで、自然な風合い。乾いた印象の夏”を表現したという。ルックの軽やかさとは対照的に、モデルのメイクは汗ばんだようなウェットな肌作り。異常気象かヒートアイランド現象の影響か、年々熱帯化しているように感じる日本で過ごす身としては「乾いた涼しい夏」をまとえる今季のコレクションは理想的に思える。自然な風合いを象徴するのは、生成りの綿リネンシャンブレーやガーゼのように柔らかいテキスタイル。レース柄にプリントされたブラックの薄いラミー(麻)のドレスをはじめ、フラワープリントの透けるオーガンジーのセットアップ、ギンガムチェック、かぎ針編みのレースそのもの、またはそれを柄にしたプリントなど、どこか素朴な中にも洗練された表現が見ていて楽しい。バストラインからフレアに広がるシルエットは禁欲的かつロマンティックな雰囲気。頭にぽんと乗せられた、コック帽のようにボリュームのあるストローハットはコレクションのユニークさを際立たせる。全体を通して、生成り、グレー、モカ、黒をメインに、色数少なく、落ち着きのあるカラーでまとめられた。
2014年10月21日「<A href="/special/499/recent/">ファセッタズム(FACETASM)」が10月18日、東京・渋谷のヒカリエホールにて15SSコレクションを発表した。今シーズンのテーマは「SOMEWHERE」。移り変わりが激しい現代の中で自分自身の道を振り返るという行為に着目し、デザイナー・落合宏理が行き着いたのは「ドレスダウン」というキーワード。「煌びやかなドレスアップした姿からいつのも自分に戻る(ドレスダウンする)瞬間に美しさを感じる。その感覚をファセッタズムで表現することを試みた」とテーマについて話した。ドレスダウンとは言えども、自由で斬新な表現は健在。ウィメンズのオーガンジーやシフォンを幾重にも重ねたブルゾンが風になびく様子は華やか。シャツやスウェットにはプリーツのシフォンキャミソールを重ねて独自のレイヤードスタイルを提案。メンズウエアでは、タンクトップやTシャツの脇・袖から覗く、または背中に大胆に施されたフェザーなどアイデア豊富。また、シャツ・パーカー・Tシャツのスケーター風レイヤーや、Tシャツプリントやチェスターコートのラペルなどにはブランドが好むハードコアの「X」モチーフを用いるなど、ファセッタズムが昔から好むカルチャー要素も随所に現れる。東京コレクションを代表するブランドならではの色が濃く残るコレクションとなった。
2014年10月20日10月18日、デザイナー古田泰子手掛ける「トーガ ビリリース(TOGA VIRILIS)」が2015SSコレクションを東京・渋谷のヒカリエホールで発表した。今シーズンは、ファッション、アート、音楽を融合させた世界観をテーマにインスタレーション形式で披露。会場には、スタイリスト猪塚慶太がスタイリングを手掛けたモデル達がマネキンのように整列し異質な空間を放った。ヘムラインをレザーテープで縁取ったロングジャケットや、ペイズリー柄のシャツやパンツ、ターコイズのアクセサリーなど、70年代フォークロアなテイストを織り交ぜながら、トーガ ヴィリリース独自のヒッピースタイルを提案。初めてメンズラインに登場するアイテムとして、エンボス加工が施され重厚感のある金属バックルが印象的なサンダルが登場した。また、本インスタレーションで初披露となるものに、90年代後半からモノクロのドローイング作品で注目を集めている画家の五木田智央とのコラボレーションアイテムも。プレゼンテーションのラストには、五木田とのコラボTシャツを着用したカナディアンサイケデリックアーティストの、ダーティー・ビーチズ(Dirty Beaches)が白熱したライブステージを見せた。
2014年10月20日「タロウホリウチ(TARO HORIUCHI)」が10月18日、初となるショー形式で15SSコレクションを発表した。今シーズンのテーマは、「AERO MODELLATER」。ベルギー・アントワープを拠点に活動するアーティスト、パナマレンコ(Panamarenko)が生涯掛けて作り続けた“飛べないUFO的飛行物体”の作品群をメインインスピレーションとしたコレクションを作り上げた。薄暗い会場に設置されたのは巨大なブラックボックス。その物体から漏れる蛍光灯の青い光が訪れた観客をタロウホリウチの世界へと誘い込む。現実から未来的へ誘い込むような空間だ。ファーストルックに登場したのは、真っ白なドレスに身を包んだモデル。ライン状に部分的に色付けされたレッドやブラック、または品良く肌を見せるスリットで、ミニマルでありながらも女性らしさは忘れない。その後も背中を大胆にくり抜いたトップスや、不規則に組み込まれたカッティングやヘムラインなど、随所で線を使った遊び心が見られた。素材使いにも注目したい。宇宙を彷彿とさせるメタリックな光沢を持つ流れるような素材は、ワンピースでエレガントに変化。張りのあるホワイトのネオプレン素材はプレーンかつ立体的なシルエットでトップスやアウターで提案された。コレクションの随所で用いられた穴の開いたパンチング素材は、「テーラーのシャツに多く使用される素材。フューチャリスティックな要素を盛り込みつつも、その真逆である伝統的なものを織り交ぜることにより組み合わせを楽しんだ」とデザイナー堀内太郎。中盤になるとモノクロから徐々に、ブルー、オレンジ、イエローなど鮮やかな色合いが増す。ボタニカルなプリント柄も、ワンピース、スカート、トップスなどと形を変えて展開され、まるで未来から現実へと焦点を変化させているようだ。コレクションにアクセントを与えるアクセサリーは、先シーズンに引き続き様々なアーティストとコラボレーションを行った。コンパクトな円形型クラッチバッグは「ニュー ニュー(NEWNEU.)」と、つるっとしたテクスチャーのスニーカーは「パトリック(PATRICK)」と、エレガンスとカジュアルの両面を持ち合わせたサングラスは「ブラン(BLANC.)」と、ミニマルなジュエリーはは「シュン オオクボ(SUN OKUBO)」とのもの。
2014年10月19日「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARCONS)」の15SSコレクションはポップでサイバー、底抜けに楽しいショーだった。テーマ「グラフィックマーチ」。先シーズン用いたパッチワークの技法を今回も採用。サークルが幾重にも連なり、重なった部分は色を替えて別布で切り替える。ビニル素材やポリエステルオーガンジーと接ぎ、軽やかな雰囲気。折り紙のように折られたかに見えるサークルやトライアングルが連続するワンピースはすべて縫ってパッチワークされたもの。明るい赤・青・黄の色合いと手の込んだディテールがかつての「テクノクチュール」コレクションを思い起こさせる。後半にはこれらのパッチワークがプリントになって登場。ブランドの定番であるライダースジャケットがプリントされたトロンプルイユカットソーも。カットソーに無理やり縫い付けたようなサークルの袖がユニークだ。
2014年10月17日「ビューティフルピープル(beautiful people)」は10月16日、明治神宮外苑のテニスクラブにて15SSコレクションを発表した。今シーズンのテーマは「LOVE ALL」(0対0)で、70年代のテニスプレーヤーに着目した。ラリー音が響く会場にファーストルックとして登場したのは、真っ白なTシャツに膝丈のパンツ姿で颯爽と歩くモデル。首元にループノットで巻かれたスカーフと、ソックスのリブ、「アディダス(adidas)」のスニーカーのロゴに用いられたグリーンがアクセントとなる。ギミックの効いた独自のトラッドスタイルを見せた先シーズン<とは雰囲気を一新し、スコート風プリーツスカートやスタジアムジャンパー、レーサーバックのタンクトップなど、スポーティーかつクリーンで爽やかな印象。カラーはレッドのポロシャツにベージュのキュロット、イエローのセットアップ、グリーンやブルーのプリント柄などこれまでと比べて随分鮮やかだが、どのルックも派手になりすぎない清潔感で統一されている。また、どこか懐かしさを感じるヘアバンド、ウエストポーチやバックパックなども相性良く組み合わされた。中盤になると、カーディガン、ブレザー、チェックのハーフパンツやメンズのスーツなども登場し、得意のトラッド要素も垣間見える。ヘアバンドやウエアのワンポイント、更にはニットのモチーフになっているカメレオンには、デザイナー熊切秀典の「外見のカラーは変わっていくが、根本的なブランドのカラーは変わらない」という思いが込められている。ラストには、ショー開始寸前までテニスをしていた男性がモデルとして登場し、観客を沸かせた。
2014年10月17日「コム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)」の15SSコレクションは真っ赤だった。デザイナー・川久保玲が掲げたテーマは「Roses and Blood(血とバラ)」だ。ボーンとテープのみで構築したルック、ギャザーや縫い重ねたフェイクレザーにより布を積層したドレス(バラの花弁だろうか?)、詰め物で抽象的な紋様を描き出したドレス、血しぶきのようなプリント、臓物を抉り出したかのようなディテール、テープから滴り落ちるコサージュ、フリルを幾重にも巻き付け上下半身に作り出されたバラ、全体的に不規則なボリュームとバランス……美しい花の裏に潜む狂気を描いたかのようだ。2シーズン前から続く非ウエアラブルなコレクションで川久保は何を訴えたいのだろう。ただただ怒りのみを感じる。
2014年10月15日クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)による最後のコレクションとなった「エルメス(HERMES)」の15SSシーズン。今回は「アフリカンブリーズ」や「影から光へ」がキーワード。前半は眩い太陽のごとく白やエクリュがメインカラー。カシミアのダブルフェイスコートやパイソンのショール付きノースリーブ・コート、水蛇とニットを掛け合わせたベストなど布帛と見紛うレザーアイテムがエレガント。プリーツスカートは長めのトップスと合わせ、左右非対称なヘムが揺れる。このプリーツスカートはキーアイテムの一つ。素材・色を替え、様々なバリエーションが登場する。ゆとりのあるドレスや深いスリット、ラウンドしたブラウスなどが歩く度に美しく風にそよぐ。ラフに結んだ帯のようなベルトもキーアイテム。結んで美しく見えるようなカッティングでデザインされている。後半はインディゴやプリント、アースカラーなどアフリカの土臭さを表すように強い色合いに。仮面プリントやエルメスのスカーフ柄をディップダイでプリントしたドレスの他、「パラシュートシルク」と呼ばれる撥水加工が施されたシルク素材のブルゾンやコートなどスポーティーなテイストも。アフリカの意匠を思わせるカラフルなロングカーディガンはレザーと糸で編んだアイテムだ。ネイビーのノースリーブ・コートから覗くマゼンタのプリーツスカートが鮮烈。ラストは優しい夕暮れのようにオレンジ、甘いピンクのドレスでルメール約4年のコレクションを締めくくった。15-16AWコレクションからはナデージュ・ヴァネ=シビュルスキー(Nadege Vanhee-Cybulski)がアーティスティックディレクターを務める。
2014年10月14日ピーター・コッピングのラストシーズンとなった「ニナ リッチ(NINA RICCI)」15SSコレクション。今季のテーマは「Make do and mend(古いものを修理して使う)」。第2次大戦後の制限された中で作られた当時のコレクションからインスパイアされた。また、同時期の現代アーティスト、ルイーズ・ブルジョワのテキスタイル作品からの要素も取り入れられている。シルエットはロング&リーン。ウエストはハイポイントに設定され、より長さを強調。提案されるアイテムは胸が大きく開いたドレスやニット、深く切り込まれたスリットなどフェミニンな印象だ。ジャケットやジレなども胸を開け、デコルテを強調する。膝下丈のスカートはスリットが深く切り込まれ、優美に揺れる。ダブルフェイスのクレープで作られたドレス・スカートからはピンクにイエロー、ブラウンにブルーなど別色がひらめく。幾何学的に切り替えられた様々なレース使いはブルジョワからのインスピレーションだろう。フラワーモチーフ、黒のビーズ刺繍なども登場しエレガントな雰囲気。来シーズンからは、ギョーム・アンリがクリエーティブディレクターを務めることが決定している。
2014年10月13日「アクリス(Akris)」の15SSコレクションの出発点となったのは、ロンドンのテート・モダン美術館で今夏に開催されたロシアの抽象画家、カジミール・マレーヴィチの展覧会。「ミニマルで建築的な作風に加え、革新的な表現方法を生み出したクリエーティビティーにとてもインスパイアされた。アートは美しいだけでない、と新しい美への価値観を提案したその勇気にとても感動したんだ」と、クリエーティブディレクターのアルベルト・クリームラー(Albert Kriemler)氏は語る。マレーヴィチの代表作をイメージさせる、大きな正方形の窓から現れたモデル達が纏うウエアは、サンバイザーが象徴するようにスポーティーな要素をミックス。現代女性のライフスタイルに合わせ、テーラードアイテムから、リラックスムード漂うサンドレスやショートスカート、そしてイブニングドレスまでリアルなワードローブを提案。ダブルフェイスのコットンやリネン、オーガンザ、レザーなど、しなやかな張り感を持つ素材の特性を生かして仕立てられている。ラメ糸を使った刺繍レースのトレンチコートは、マレーヴィチのペインティングを柄に落とし込んだもの。「Tシャツやジーンズの上に羽織ってもいいし、イブニングドレスの上にイブニングガウンのように着こなすことも出来る。スポーティーでありながらシック、それが現代のエレガンスだと思う」とクリームラー氏。レザーのトレンチコートはリバーシブル、コットンのドレスはフェミニンなシルエットに繊細な刺繍が施され、イブニングドレスのように着こなせる。素材選びから細部のデザインに至るまで、現代で活躍する女性達がリラックスしてエレガントに着こなせるウエアであるようにという思いが見て取れるようだ。バッグは、ホースヘアの「アイ(Ai)」シリーズが登場。同じカラーのミディアムサイズのバッグとクラッチとしても使えるポシェットタイプを2個持ちするスタイルを提案した。
2014年10月08日「シャッツィ・チェン(SHIATZY CHEN)」の15SSコレクションは、「海記」がテーマ。海中世界に住む生物たちのエネルギーや美しい海の伝説からインスパイアされ、ランウエイの背景にも海の映像が映し出された。中国の地誌「山海経」をイメージしたブラックやホワイトのルックから始まり、エメラルドグリーン、ブルー、ピンク、オレンジなど明るいカラーが加わり、7色の光輝く世界を表現。ビーナスやマーメイド、クラゲや貝殻、魚達がモチーフとなり、刺繍やレースなどフェミニンなディテールデザインで彩られた。メッシュ素材やアシンメトリックなデザインでモダンな要素もプラス。伝統的な刺繍や中国の腰巻をモチーフにしたデザインなどオリエンタルなムードでブランドならではの個性もアピールした。バッグにはカラフルなクラゲや花々がペイントされ、シューズはクリアなPVCをアッパーやストラップに使用し、夏らしい。会場は、パリのグラン・パレ。同ブランドにとって、パリファッションウィークでの発表は13シーズン目となる。モデルのミランダ・カーを始め、台湾の女優、アン・イーシュアン、ジョー・チェンや、中国の女優のスン・リー、ファッションブロガーのリンダ・リー、フランキー・ハン、リ・フイ、中国のスーパーモデルのハオ、香港のスーパーモデルのジャニス・マンらが来場し、花を添えた。
2014年10月08日ポール&ジョー(PAUL & JOE)の15SSウィメンズコレクションは、70年代のハッピーでリラックスしたムードに包まれていた。ペイズリー柄のスーツから始まり、シャツとジャンパースカートの組み合わせ、スーツとショート丈のトップス、白の丸衿付ワンピース、フリンジバッグやスエードのアイテム、スカーフなど、70年代を象徴するアイテムから構成されるワードローブを提案。ソフトな色使いがフレンチブランドのポール&ジョーらしい。スリットの入ったロングスカートや背中が大きく空いたフリルのサンドレスなど、セクシーなデザインも採り入れ、コートはオーバーサイズが今季の気分。インビテーションにもあしらわれた、フクロウモチーフも登場。足元はレザーのサンダルでリラックスなスタイルにまとめ上げた。
2014年10月06日「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は15SSコレクションを発表した。マリア・グラツィア・キウリとパオロ・ピッチョーリがインスパイアされたのは18世紀上流社会子弟達の伝統である「グランドツアー(ヨーロッパ大陸巡遊紀行)」。目を引くのは様々な趣向を凝らしたドレス達。どれもクラシカルなシェイプだ。ハイウエスト、ティアード、背中の開いたエプロンドレスなど様々なタイプが登場。直線的にカットされた秋から覗く肌がセンシュアルだ。クリーンなレースや軽やかに舞うシフォン、ボタニカルのような華やかなパターン、フェザーの刺繍、ヒトデや貝など海洋生物の刺繍、レースのようなカットワークなどで見せる。海の要素は織りにも取り入れられ、大胆なサンゴ、タツノオトシゴを織り込んだドレス、コートを製作。カラーパレットはホワイトにパステル調のグリーン、ブルー、イエローなどの優しいトーンに、インディゴ、カーキ、ブラックの力強い色合いをミックス。フラットなグラディエーターサンダルや軽量のハイヒールが旅を感じさせる。
2014年10月06日「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」はニコラ・ジェスキエール3シーズン目となる15SSコレクションを発表した。発表の場には10月27日にオープンするLVMHグループの現代アートミュージアム「ルイ・ヴィトン ファウンデーション」が選ばれた。ブリティッシュ・ロマンティック・リュクス・アーティーの4ワードがキー。ジェスキエールらしく様々な要素をミックスする。前シーズンは60年代からインスパイアされたが今シーズンは70年代のようだ。白のヴィクトリアン要素が取り込まれたボウ付きワンピースからスタート。紺ブレと合わせ70年代の雰囲気を醸す。リップや自動車など70年代のステッカー風にプリントしたワンピースも登場。赤と青、マスタードと黒のストライプで切り替えられたスカートやブルゾンはイールレザー製だ。ランジェリーの要素を取り入れたロマンティックなブラックドレスはスパンコールを前立てにふんだんに刺繍、布帛とレザーで切り替えるなど様々な素材で見せる。総スパンコールでカーテンのような模様を描いた手の込んだドレスも。絢爛な装飾はフラワー柄のレザーブルゾンやサイケデリックなベルベットアイテムへと受け継がれる。ブルゾンは豚革を収縮させ立体感ある花柄を描いたもの。ベルベットのパンツは少し裾広がりのワイドシルエット。共に70年代のフラワーチルドレンやロックスターを想起させる。ブーツのヒールが実はモノグラムの形であったり、ディップアートのようなピアスなどアクセサリーも面白い。
2014年10月06日サンローラン(SAINT LAURENT)は15SSコレクションを発表した。ALEIDEによるオリジナルソング『1,2,3』が鳴り響く中、ゴールドのグリッドオブジェが据えられたランウエイをモデル達が颯爽と歩いていく。今季はグラム&セダクティブな印象。ドレスやジャケットはラメやスパングルを用いて輝きを放つアイテムが多く登場。ゴールドのドレス、トリムしたジャケット、肩にシルバーを散りばめたブラックドレスなどの他、フラワー柄ワンピースが煌きながら歩く。カットソーやワンピースは胸もとが大きく開き大胆に肌を露出。ブラウスも胸をはだけてスタイリング。少し隠すように細いショールが首元に巻かれる。合わせられるアウターはレザーブルゾンやロングコート、燕尾服やスペンサー・ナポレオンジャケットなど様々。今季のスモーキングは長めの丈だ。スカート丈はミニで統一。パンツもホットパンツが登場した。バンダナやチェリー・フラワー柄が60年代後半から70年代のヒッピースタイルを連想させる。
2014年10月05日「ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)」は9月28日、15SSウィメンズコレクションをパリで発表した。70年代のスタイルと、リカルド・ティッシ自身がクリエーティブディレクターに就任した頃のクリエーションから着想。レースやコルセット風デザインがクラシックなチロリアンスタイルに加え、丸鋲スタッズやアイレット、レースアップを用いたティッシらしいハードな雰囲気も健在だ。レザーやニットのパッチワーク、歩くたびに優しくゆれるプリーツやフリルなど、クチュールメゾンならではの職人技を贅沢に使用しながらモダンなスタイルに昇華した。ファーストルックのミニドレスのように、トップス部分は肩を出して首元を大胆に開け、スカート部分はフレアやプリーツでAラインを描いたシルエットがメイン。バックスタイルを大きく開けたスタイルも多く、ロングベストのようにはおったレザーウエアは後ろ身頃が無いエプロンのような仕様。背中を開けたボディスーツをレイヤードすることでセンシュアルな後ろ姿を演出する。他にも、レースやシフォンとレザーの組み合わせ、エレガントなドレスとTシャツやボディスーツのレイヤードなど、強さと儚い美しさという両極端なものを共存させたスタイルも魅力的だ。スカートには、スクリュー風ピンヒールのニーハイブーツを合わせ、パンツはハイウエストのレギンスタイプや、はしごレースを施したショートパンツ。幾何学模様をシフォンにプリントしたトップスは、同柄のトップスやストライプのボディスーツなどに重ねてグラフィカルな柄の重なりを楽しんでいる。バッグの新作は、四角くフラットなショルダーバッグ。ウエアと同じストライプ柄やスタッズをあしらい、キャンバス地を使ったカジュアルなデザインなどが展開する。
2014年10月04日「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」は9月26日、15SSコレクションを発表した。今回のテーマは「風が描く景色=風景」。雲や水面を揺らすさざ波、砂丘の曲線などを作り出す風から着想したという。驚愕のテクニックを披露した前シーズンだったが、今回はそれを更に進化させたウエアを見せた。デザイナー宮前義之の創造性は止まらない。「3D Steam Stretch」テキスタイルが更に発展した。今回のポイントは、線から面へ。先シーズンは曲線だったが、今回は無数の面が立ち上がるのだ。テキスタイルにあらかじめ“折り目”を織り込んでおき、スチームをかけると折り目に沿い無数の面が現れ、幾何学模様を作り出す。折られる順番も研究して決めたという。このテキスタイルによるトップスやジャケット、ワンピース、パンツが登場。ブラック&ホワイトの他、光のようなライトイエロー、海面のようなブルー、アースカラーなど自然を想起させる色使いで提案された。一見するとお針子が手作業で仕上げるキルティングや刺繍のようにも見える。しかしそうではなく“織る”時点で作り出されたディテールだ。これは技術の進歩がもたらした新しい“テクノロジークチュール”と呼べるのではないか。合わせるアブストラクトな形の帽子も「3D Steam Stretch」。曲線プリーツの1枚布を接いで造形した。他に提案されるウエア達は幾何学模様に合わせられるように、チェックや色とりどりのカラーブロックで構成。ゆとりのあるフォルムが、テーマの通り動くことでそよめく。アイコンバッグ「ガストン」は新たにハンドバッグやトートバッグが登場。もちろんリバーシブルで付属品もオリジナル。ハンドルを着脱して裏返す仕様は使う方も楽しい。また、パラボラアンテナを製造するメーカーと共に作り出したネット状のバッグを新たに発表。テキスタイルからアクセサリーまで日本の技術の結晶だ。奇しくも老舗百貨店ボン・マルシェが日本展を開き、北斎展がグランパレで始まったパリ。「日本に良い風が吹いて来ているのでは。高い技術力を持つ日本の他分野のメーカーと取り組むことで新しいものが生まれたりする。今回のテクニックは構想1年ほど。秋冬に向けて考えていることもある」と宮前デザイナー。次シーズンはどんなコレクションで楽しませてくれるのだろう。
2014年10月02日「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」は9月30日、15SSコレクションを発表した。クリエーティブディレクターのサラ・バートンがインスパイアされたのはアンティークの着物。東京・青山の旗艦店で開かれたパーティーに来日したこともあってか、日本的要素を取り入れている。サラはリーのアシスタントの頃から日本に通っていたという。桜のアップリケをパイソンに施したアウター、家紋のような意匠を施した生地のジャケット、桜のプリントに桜をかたどった刺繍で装飾されたラッフルドレス、袖が和服のように広がったワンピース、帯のように太くウエストを切り替えたドレスなどインスピレーションソースが分かりやすい。柄合わせは切り替えやプリーツでも完璧になされており、ブランドの技術力を示している。直線的な切り替えやプリーツ、陣羽織のようなラペルは甲冑を思わせる。胸元の開きもスクエアにカットした。アイコンのスカルは鯉をまとったもの、芸者風に日本髪を結ったのものが登場し、楽しい。キーカラーは桜のようなピンクにブラック、ホワイトとで妖艶な芸者のようだ。現代美術家、マーク・クインの蘭の彫刻、漆塗りの床面がランウエイに花を添えた。
2014年10月02日「クロエ(Chloe)」は9月29日、15SSコレクションを発表した。テーマはモダンフォークロア。クリエーティブディレクターのクレア・ワイト・ケラーはアクティブかつボーイッシュな女性像を描いた。白のレースドレスからスタート。よく見ると孔雀が胸元で向かい合っている。胸の開きのカッティングバリエーションも今季の特徴。デニムのセットアップやインディゴで染めたスウェット地のポンチョやイージーパンツはルーズでボーイッシュな雰囲気。厚めの紡毛生地のジャケットは大きなラペルが珍しい。同素材で作られたノースリーブワンピースはワイドな襟が70年代の雰囲気だ。一方ギャザーを存分に寄せ、ふんだんに布を用いたシルクシフォンのドレスシリーズやポンチョはフェミニンに優美に揺れる。スエードのブルゾン、フォークロアな白と茶のジャカードドレスと相まってヒッピーテイストを醸す。カラーパレットは白、ピンク、ベージュ、ミントなどパウダーカラーにマスタードや茶を差し色に用いて引き締めた。足下の編み上げサンダルがスタイリングにスパイスを利かせている。
2014年10月02日「メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)」は9月26日、15SSウィメンズコレクションをパリで発表した。インスピレーション源は、1940年代に英国政府が発行したパンフレット「Go through your wardrobe」。戦時下でも、女性達がエレガントでいられるためのヒントが詰まったこの手帖に記されたアイディアが出発点となった。オーバーサイズのコートにデイジーの花をハンドペイントしたり、ジャケットにはリボンのひもを施したり、夫が着なくなった服を女性用にアレンジしたようなデザインが象徴的。レディライクなドレスにはメンズのジャケットのそでを取り付け、パンツはひざ裏で切り替えることでフェミニンなフレアのラインを作り出した。男性的なものと女性的なもの、相反する要素の組み合わせはメゾンの得意とするところだ。小さくなって着れなくなった服には端切れで作ったようなフリルを取り付け、ショート丈のトップスとして着こなす。ハト目とリボンでサイズを調整して新しいシルエットを生み出す手法も今季の特徴。ハンドペイントのデイジーをプリントしたシルクジョーゼットのドレスは、40年代を彷彿とさせるシャーリングのディテールが施され、シルエットも当時のレプリカだ。天竺のカットソーは、バックをネクタイのようなジオメトリック柄のジャカード生地で切り替え、上からデイジーをペイントした。ジャケットなどにも使用されたこのネクタイ生地はリヨンの老舗工場織られたもの。その他アーガイルのモチーフや、パッチワーク、色使いもレトロなムードに包まれている。アクセサリーもデイジーがモチーフ。道端や庭に咲くこの花を、庶民の生活を象徴するものとして採用したという。幼い頃に作った花冠のようなデザインがノスタルジックでかわいらしい。注目なのは、財布とキーリング、ポーチといったバッグの中身をメタルのリングにぶらさげたユニークなデザインの新作バッグ。女性のバッグの中身を外に出す、という逆転の発想から生まれた。
2014年10月01日「ディオール(Dior)」は9月26日、15SSコレクションを発表した。「私が挑戦したのは、非常に歴史的なものにコンテンポラリーなリアリティーを吹き込むこと」とアーティスティックディレクターのラフ・シモンズと話すように、古典と現代をミックスしたコレクションを見せた。7月発表の14-15AWオートクチュールコレクションの要素が引き続き取り入れられている。ラフは、ムッシュ・ディオールがインスパイアされていたという18世紀の伝統を紐解き、スケーターやアビエーター、スクールスタイルと混ぜ、現代的に昇華させた。当時の宮廷スタイル・アビアラフランセーズを踏襲。ジャケットであるジュストコールはデザイン的に取られたダーツや切り替え、豪奢な刺繍など、メゾンのクチュールテクニックが光るアイテム。Tシャツやスケーターショーツと合わせ、コンテンポラリーに提案している。ブラウスも細かい刺繍が施されている。目を引くのは18世紀後半バロックスタイルの湾曲した袖の仕様。当時のパターンは単純に弧を描いたものだったが、ラフは最適なダーツとカットで立体的・美しいシルエットの袖を作り出した。図案も一筋縄ではいかない。陰翳を織り出したジャカードや糸を染めて織るワーププリントで小花柄を表現するなど、デジタルプリントが隆盛のこの時代にラフは手の込んだ本物を求めた。デイドレスはTシャツ素材で現代的に。オリジナルで開発した張りのある天竺を、タックや切り替えによりエレガントなドレスに変化させている。
2014年10月01日「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、10月1日17時(現地時間同日10時)から行われる15SSウィメンズコレクションのランウェイショーをストリーミング配信する。14-15AWシーズンから就任したアーティスティックディレクター、ニコラ・ジェスキエールにとって初のSSシーズンとなる。※会場の都合により、開始時間が遅れる場合あり。
2014年10月01日「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は9月26日、パリファッションウィークで15SSウィメンズコレクションを発表した。初めに登場したのは、ストラップドレスに布をレイヤードし、左右非対称なジャケット、シャツなどを組み合わせた白と黒のルック。布が重なる間から肌が見え隠れし、危うげなムードだ。ここ数シーズン自らのタブーに挑戦してきたデザイナーの山本耀司だが、今コレクションでは、彼なりのエロスを表現。これまで、マスキュリンなウエアであえて身体を隠ことで強調される、女性らしさやセンシュアリティーを追求してきた彼にとっての新しい挑戦だ。アイコニックな黒のルックにも透ける素材を多用し、ジャンプスーツやボンバージャケットがセクシーな表情を見せる。紙の繊維を用いた生地は優しく透け、独特のハリ感でやわらかなテーラードスタイルを実現。エプロンドレスの後ろ姿からは脚が露わになり、布を割いて編んだウエアも素肌に纏う。テーラードジャケットは背中やサイドがカットされ、オーバーオールやコートはジッパーを開けて危うげなスタイリングで提案した。ところどころ透けたり、格子の枠だけ残るチェックの生地は、ネット状の素材に、手のひら大の四角いシフォンをパッチワークして重ねたもの。理想のバランスを求めて、ショー直前まで手直しを続けたという渾身の作だ。透ける花柄の生地は、サテンの表面を溶かして柄を描いた。伝統的な手仕事も取り入れている。ジャケットにパッチワークされたのは、タイの少数民族によるビンテージの手織り布。オーバーオールのストラップには、インドのメタル刺繍が施された。最後はブーケに包まれた白いマリエ。唐突とも思えるこのラストルックは、山本耀司ならではのウィットだ。
2014年09月30日「ヴァレンティノ(VALENTINO)」が、9月30日14時半(日本時間同21時半)にパリで開催する15SSウィメンズコレクションショーをライブストリーミングで配信する。デザイナーはマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリ。
2014年09月30日「ケンゾー(KENZO)」は9月28日、15SSコレクションを発表した。メンズコレクションに続く内容。ディッド・リンチに題材を取った14-15AWのミステリアスな雰囲気から一転、ホワイト、ブルー、ピンクなどをキーカラーに明るくフェミニンなコレクションを作り上げた。クリエーティブディレクターのキャロル・リムとウンベルト・レオンはオプティミスティックに“未来へと前進”する思いを込めたという。フレアがシルエットのポイント。かなりルーズなワイドパンツやジャンプスーツ、裾だけ広がったペンシルワンピース、コートなどが登場。ワンピースは前進を意図し、前身頃のみフレアが入るユニークな仕様。ワイドパンツは高田賢三が作ったトランペットパンツがインスピレーション源。もちろん高田のコクーンシルエットも健在だ。用いるマテリアルも凝っている。「KENZO」が連なるレースや光沢のあるイギリス刺繍、ゴムをランダムに織り込んで作ったストライプ地、ラバー素材の多用など未来的。ラバーにプリントされた抽象柄はパリの街にあふれる広告をコラージュしたもの。それぞれをサテンやコットン、デニムと組み合わせて今シーズンのテーマを表現する。ラバーは襟元やポケット口、ラペルのへりなどにもポイントとして使用。またジップの取っ手、袖開き見せのボタンなどは大降りのリングで代用。細かいディテールも見所だ。ケンゾーの次なる未来はどこなのか。来シーズンにも期待が高まる。
2014年09月30日「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」は9月27日、15SSコレクションを発表した。ギャザーを寄せ、ボリュームを出した造形的なトップスやワンピースがメイン。片方のショルダーやウエストなどにフリルを形作り、歩くたびに揺れる。スカートもフレアで軽やかな表情。合わせられるのはタンクトップやサイクリングショーツ・トラウザーなどスポーティーなアイテム達。造形のみならずテキスタイルも印象的。パンチングが施されたスポーツ素材に明るいフラワープリントやアブストラクトなグラフィックを乗せた生地が面白い。白、ラベンダー、スカイブルーと相まって春夏らしい明るい雰囲気にまとまっている。
2014年09月29日ランバン(LANVIN)は9月25日、15SSコレクションをパリファッションウィークにて発表した。2014年はジャンヌ・ランバンがメゾンを創設して125周年のアニバーサリーイヤー。「ブランドの125年にわたる遺産、過去、物語を再探訪することからスタートした」とアーティスティックディレクターのアルベール・エルバス(Alber Elbaz)は話す。前半はアールデコ様式を思わせる直線的な布使いから美しいドレープを出したドレスが続々と登場。ダーツ・切り替えは排除され、極めてミニマムに仕立てられている。布は軽やかにしなり、動きにつれて嫋やかな表情を生む。続くジャケットスタイルもシンプルかつリラックスした雰囲気。「今のライフスタイルや現代女性が何を必要としているか、自分に問い掛けてみたんだ。インターネットの影響で画面上ではかっこ良くても実生活では快適でないものをデザインしてしまう傾向にある。今シーズンはスクリーンを離れチームと共に街を歩いてみて、シンプリシティーを追求しようと決めた。必要なのは、美しく仕立てられたネイビーのロングガウンやアイボリーのTシャツドレス、テーラードやレインコートなんだ」ウエストを締めるのは帯のように太いベルト。スリットの編み上げやジップ、ゴールドの縁取り、豪奢なアクセサリーなど装飾的なディテールがスパイスを利かせる。どれもエルバス自身のアーカイブでもある。後半はテキスタイルに装飾性が加わった。ロマンティックなレースや絢爛なジャカード・プリントはメゾンのアーカイブから引用されたものと見て取れる。レースのワンピースに施されたパールの刺繍は、ニットにパール模様を編み込みトロンプルイユ技法をいち早くモードに取り入れたマダム・ランバンへのオマージュだろう。コートやドレス、スカートなどに用いられたゴールドジャカード地やプリントはインテリア事業も営んでいたメゾンの歴史を思い起こさせる。「名香・アルページュからブラック、ゴールド、ブルーなどの色、ドレスのパターンなどメゾンのエッセンスを収集しているうちに、ランバンは最初のライフスタイルデザイナーであることに思い至ったんだ。“何でもないこと”がすべてで、美しいカットとフィニッシュを追求している」まとうモデル達も歴史を表現したように老若登場。母と娘が描かれたブランドロゴを想起させる演出だった。
2014年09月26日パリファッションウィーク初日の9月23日、「ルシアン ペラフィネ(lucien pellat-finet)」が15SSウィメンズコレクションを発表した。夏を意識し、ブルーやオレンジなどビビッドカラーとトロピカルなモチーフを使用。ヤシの木にはスカルの実がなり、迷彩柄のスカルにはハイビスカスの花を飾って平和のシンボルとしている。レーザーで柄を描いたデニムやショートパンツ、ネオンカラーとのコンビネーションが特徴のトートバッグなどがラインアップした。毎シーズンアーティストとのコラボレーションも話題になる同ブランド。今季は写真家のラリー・クラーク(Larry Clark)とコラボしたTシャツが登場。デザイナーのルシアンにとってクラークは尊敬するアーティストの1人で、本社玄関にもクラークの作品が飾られている。一方クラークは、来日した時に東京ミッドタウンのルシアン ぺラフィネの店で買い物したほどぺラフィネの服を愛用していることからこのコラボが実現したという。スコットランド製カシミヤのドライな質感や、高い縫製技術による服作りがファンから根強い人気を集める同ブランドは今年ブランド設立20周年を迎えた。今後、東京オリンピックに向けて日本での新規出店も計画するなど、更なるビジネスの拡大を目指す。
2014年09月23日ニットメーカー・イエリデザインプロダクツは9月10日、15SSシーズンより立ち上げるメンズブランド「イイザ ローン(IISER LOEN)」のファーストコレクションをランウエイショーで発表した。デザイナーは同社代表取締役社長の手塚浩二。場所は六本木のバー「1967」。奇しくも手塚が生まれた年という。40から50代の男性をターゲットにスタイリッシュなリアルクローズを提案する。数多くの洋服を着てきた手塚らしく、パターンはアーストンボラージュなどを手掛けてきた熟練の職人に依頼、デニムは岡山でかつてのビンテージファブリックを復刻、シューズはバッカスと協業するなど、物作りにこだわった。ランウエイには17体が登場。十八番とするニットはインターシャのプルオーバー、シルエットが美しいカットソー、前立てをレザーで切り替えたカーディガンなどを提案。パンツは細身のストレート、アウターはワッペンを施し、遊びを利かせたテーラードジャケットやトレンチコート、アウトシームのレザーブルゾンなどリアルな中に1さじスパイスを加えたアイテムをラインアップした。所々ラメが光り、大人の男の艶を表現。表情のあるパンツはオリジナルで織ったペイズリー柄のテキスタイルだ。「大人の男性達をかっこよくしたい。今は女性無しでは成り立たない時代。身なりや体型に気を使って、女性に良い印象を与えたほうが得。女を味方に付けることは仕事を味方に付けることにもつながるということ。ファッションはライフスタイルやカルチャーへの入り口となる。株や経済だけでない会話の広がりを生む。イイザ ローンがファッションに興味を持つちょっとしたきっかけになれば」と手塚デザイナー。ファーストシーズンは卸しを中心に展開し、2015年2月には表参道ヒルズに直営店をオープンする。店ではカラーやグラフィックを選べるTシャツなど、顧客がデザインに参加できる仕組みを考えているという。アイテム価格帯はトップス9,000から3万5,000円、ニット1万5,000から3万円、ボトムス1万5,000から3万5,000円、アウター7万5,000から25万円。今後ウィメンズ、キッズも構想しているとのことだ。
2014年09月11日