メゾン キツネ(MAISON KITSUNÉ)の2017年春夏コレクションが発表された。ブレイク・エドワーズ(Blake Edwards)監督の映画『The Party』の風刺喜劇の世界を探求した今シーズン。インド人俳優が巻き起こすハリウッドでのドタバタ劇を描いたコメディタッチな物語の世界を、自由奔放な女性像に変えて表現。プレイフルでありながらも今までよりもエレガントに、そしてロマンティックに。自由な組み合わせからは、フレンチガールたちの楽しい遊びが感じられる。軽快な装いは、流れるようなシルエットから生まれる。クレープやサテンを使用したエレガントなワンピースにはラッフルをプラスして、シースルーのトップスにはプリーツを施して、リラックスムードを流し込む。身体の動きにシンクロするように、動けばさらにその魅力を拡大する。新鮮に映るのはペイズリー柄で、エフォートレスなスタイルの中にインパクトを与える役割を果たしている。なかでも、ワイドシルエットのワークパンツはこれまでブランドがあまり提案したことのなかったスタイルだ。そして、春夏の定番とも言えるストライプやチェック柄は、いつもよりエネルギッシュに表現。ストライプは一層カラフルに、チェック柄はより大胆にあしらった。その様相は幻想的でありながらも生き生きとした雰囲気を醸し出す。ウィットに富んだディテールやテキスタイルが溢れる中、刺繍やプリントとなりユニークな表情を見せてくれたのは愉快な動物たち。特にゾウは映画の中にも登場したアイコニックな存在と言えよう。一方、透明なPVC素材のバッグやポーチに現れた魚は、2017年リゾートコレクションのジャック・タチの風刺喜劇の世界を受け継いだ、ヴィラ・アルペル邸宅の噴水彫刻をモチーフにしたものである。カラーは、ネイビーやブラック、グレー、エクリュといったニュートラルカラーに、イエローやオレンジ、そしてターコイズを加えることで遊び心をプラス。さらに、女性らしいパステルカラーを織り交ぜて、ロマンティックなムードを加速させている。
2016年10月26日ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)の2017年春夏ウィメンズコレクションが、2016年10月22日(土)渋谷のみやした こうえんで発表された。1年ぶりのランウェイショーとなる今季のファーストルックは、白いシャツとパンツのコンビ。かっちりとしたシャツ地と対比させるように、ボトムスにはスウェット地を選んでいる。足元はリボンを飾ったチャンキーヒールシューズ。素材選びや小物遊びで個性をきかせているものの、サブカルチャーやティーンズの刹那性などを説いてきたこれまでと比べると、いささか物足りなさが残る。ストライプシャツ、ジレ、ショートパンツ。カラフルなメイクやデコラティブなシューズで刺激を差しても、続くのはかなりフォーマルな装いだ。そんな観客の‟拍子抜け”を察したように、ミキオサカベの遊びが始まる。ショートパンツは、‟腰パン”とはかけ離れるほど、ウエストラインをどんと落としてユニークに。テーラードジャケットは、肩を肘近くまでドロップドさせて、さらに身幅を広く丈感を短めに整えた。テーラードジレは、まるでトレーニング用のタンクトップのようにアームラインを大胆にカッティング。構築的であるはずのフォーマルウェアが変幻自在に形を変えていく。アップデートなナンバーに転調すると、色彩たちが弾け、お祭りのようなポップなムードに。先に述べた変形フォルムに、ピンクやイエロー、グリーンといった鮮やかカラーが溶け込み、カットジャカードやレオパード柄のホログラム調の生地が交差する。また、シルエット遊びは加速度を増し、シャツは袖が2重に、プリーツスカートは原型が崩れるほどビックサイズへとリサイズされた。タックインしたシャツがはみ出すほどのマイクロミニスカートや肩パット入りのトップス、懐かしさを感じるピースがショータイムの主役のように存在感を増していく。ショー終了後のインタビューで、デザイナーの坂部三樹郎が、70~90年代異なる時代のフォルムを融合させることが今季の一番の目標だったと明かしてくれた。時の流れから考えても、はたまた融合させる技術的な面から見ても、通常は混じり合うことのないもの。それらをドッキングさせることで、新しい発見があるかもしれない。そんな好奇心が、坂部の心をくすぐったのだ。また、これまでは東京カルチャーに魅せられてきた坂部であったが、今後は今までやってこなかったことにチャレンジしていきたいという目標も語った。海外で彼が学んで見てきたもの。それらに向き合い表現していくそうだ。
2016年10月25日ネーム(Name.)の2017年春夏コレクションが、2016年10月22日(土)、東京・渋谷ヒカリエで発表。東京ファッションウィークを締めくくる大トリということもあり、会場内のどよめきに期待感がにじみ出る。今シーズンの着想源は、The Whoの『The Kids Are Alright』から連想したノスタルジーなイメージと、Ryan McGinleyの同名の写真集から連想する豊かな色彩感覚や自由な若者達。同じ名前ながらも、異なった世界観を持つ両者が組み合わせられた時のメッセージをワードローブに落とし込んだ。ノスタルジックな世界の若者達を洋服から感じたシーン。それはまるで親のタンスから引っ張り出してきたような大ぶりのアイテムが現れた時だ。ジャケットにせよコートによ、パンツにせよ、2回りほど大きめに着こなしている。ハイウエストでタックインしたスタイリングや、アウターの上にさらに大きいベストレイヤードするなど、一見不慣れなようなバランスが、程よい均衡を生み出す。そんなモノクロ映像が脳内に流れるアパレルを現代に引き戻しているのが、パキっとしたカラーパレットだろう。オレンジやレッド、ブリーチしたインディゴをアクセントに加えることで、ブラックやキャメル、ヌーディカラーのアイテム達がより輝いた。着想源となった2つの“The Kids Are Alright”。その要素の強い部分も弱い部分も隠すことなくぶつけた結果、鮮やかさを孕んだ、どこか懐かしい洋服として結実した。
2016年10月25日コートメール(COTE MER)の2017年春夏コレクションが、2016年10月22日(土)に発表された。ランウェイには、ドーベルマンインフィニティのスウェイ(劇団EXILEの野替愁平)も登場した。ファーストルックからラストまで、一貫して捻りの効いたストリートウェアが登場。今季のテーマは“路地裏の美学”だ。デザイナー自身がロサンゼルスで暮らしたという経験や、古い洋服を好む美学を反映し、自分の生活の延長線上にあるようなコレクションを披露した。巧妙なデニム使いが、ストリート一色に染まったワードローブにアクセントをもたらす。フード付きビックサイズスウェットの片腕部分だけに用いたり、ペンキで汚したような跡をつけてジャケットに仕立てたり、ダメージジーンズとして登場させたり…。使い古されたヴィンテージ風の素材を用いることで、尖ったストリートウェアに有機的な一面を持たせた。何点か現れたデニムジャケットにも注目。バックには、着物の帯を用いた和柄模様の装飾が施されている。一方、肩や背中の上の方には3Dプリンターで製作したという、ひし形のようなオブジェが。異素材の混合だけではなく、古い物と最新の物とを混ぜ合わせて、新たなミックススタイルを提案している。ジャケットを解体してボトムに仕立てなおす、再構築の技を用いたことも今季の特徴の一つだ。一度利用した素材を再活用したり、古いものに価値を見出そうとする姿勢。こうして完成したワードローブは、決してメインストリートではない“路地裏”の美しさへと観る者を導いてくれた。
2016年10月25日ケイスケ ヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2017年春夏コレクションが、2016年10月22日(土)に渋谷・みやした こうえんにて披露された。アキコアオキ(AKIKOAOKI)に続くファッションポートニューイースト(FASHION PORT NEW EAST)での発表となる。これまでの3シーズンは、“日本の子供たち”や“制服”を取り上げ、そのテーマの背後にある景色を表現してきた。4シーズン目となる本コレクションは“リボーン(Reborn)”がテーマ。これまでのブランドイメージを刷新して生まれ変わるような、ウィメンズに絞った新しい挑戦を見せた。スーツやシャツといったメンズ服のベーシックな素材を主に使用。素材だけでなく、シャツの袖をスカートから垂れ下げたり、ボタンを縦に羅列したりすることで、そのディテールも取り入れた。全体を通して特徴的なのは、フリルとプリーツを応用していること。ファーストルックから、大きなラッフルが揺れる白のスカートに、プリーツを部分的に取り入れた黒のトップスを合わせた。フリルは、パンツにライン上に施されたり、真っ赤なドレスの襟となったり、大きなカフスとなったり…様々なルックに姿を変えて登場する。色合いも、ピンクや薄いブルー、ホワイト、ベージュといった淡いものをセレクトし、フェミニンなワードローブと程よく調和している。シンプルな布地を彩るプリントは、写真家の草野庸子によるもので、女性クリエーターとも積極的に協働したという。これまでのコレクションには見られなかった、女性に寄り添う服作り。精神的“リボーン”を遂げたブランドの今後の展開が楽しみだ。
2016年10月25日アキコアオキ(AKIKOAOKI)が、2017年春夏コレクションを2016年10月22日(土)に東京・渋谷のみやした こうえんで披露。レナルメルスキー(Lena Lumelsky)に続くファッションポートニューイースト(FASHION PORT NEW EAST)での発表となる。目立ったのは、体のラインをあらわにするシルエットと、対比的にボリュームあるフォルム。コルセットはその手段として多様されている。シャツの上から巻いてウエストのシェイプを強調。裾には短冊型のピンストライプをヒラヒラと舞わせた。あるいは、オーバーサイズのデニムコートの上から施して、豪快な襟のボリュームとのコントラストを生んだ。腰の部分が不自然に飛び出したロココ調のワンピースは、女性をエレガントに見せる必需品として幾度となく登場している。肩から腕にかけてのラインは、ボリュームを持たせたものが多く、パフスリーブ、チューリップスリーブといった具合に、ギャザーを添えて空気を孕むシルエットを構築している。クラシカルなシャツは、袖のボリュームを控えめにする代わりに大きなリボンタイを設けて足し引きしたゴージャスを導きだした。人工的なシルエットだけでなく、バックが大きくあいたベストやテーラードジャケットは肌をそのまま見せることで女性的なラインを創出。露出という面でいうならば、シュミーズのようなサテン地のドレスは、裾も切り拓かれた解放感溢れるルックのひとつである。また、ワイドパンツはプリーツを施してランダムなヘムに仕立てることで動きを出し、流動的な空間を作りだした。素材にも、服と身体の空間を意識したものが採用されている。特に、肌に密着するラバー素材のボディコンシャスなワンピースや、透明のナイロンコートがそうだろう。フェミニンな花柄やマニッシュなストライプに紛れた近未来的なものたちが、このコレクションに大きなインパクトを与えている。
2016年10月25日レナルメルスキー(Lena Lumelsky) 2017年春夏コレクションが、2016年10月22日(土)、東京・渋谷にある、宮下公園スケートパークで発表。ファッションポートニューイースト(FASHION PORT NEW EAST)のトップバッターを飾るブランドのショーに注目が集まる。2007年、ヴェトモン (Vetements)のデザイナー、デムナ・ヴァザリアとともにステレオタイプスとして東京コレクションに参加しているデザイナー、ヘレナ・ルメルスキー(Helena Lumelsky)。アントワープを卒業後、初めてのショーを行ったこの街で、原点に帰る気持ちで挑んだ。「LUCKY」をテーマに設定した今シーズン。従来ブラックを採用することが多いブランドではあるが、世界のネガティブな情勢と対照的な、ポップな色使いで、楽しげなワードローブを展開する。シルクやコットンといったナチュラルな素材を、一流の職人の手によって加工。一見化学繊維や合成繊維を思わせる技巧的な風合いを醸し出す。メッシュのように軽やかな加工が施されたヌーディーなテキスタイルは、着ている人の肌の色をパッと明るくするような印象すら与えてくれる。アシンメトリーなアイテムが立体的な物量感をもたらしているので、春夏のウェアといえど、過剰なシンプルさは影を潜めている。それよりももっと日常に、普段の生活に寄り添うような、気張らないシルエットを意識した。例えば、コルセットは通常の締め付けるデザインではなく、体を包むような柔らかさがもたらされている。歩くたびに揺れ動く洋服の表情が、女性たちの内なるポジティブな願いと通じ合い、美しさに拍車をかける。「LUCKY」を意識したからこそ見える、フェミニンな魔法が会場を包み込んだ。
2016年10月25日エトセンス(ETHOSENS)は、2017年春夏コレクションを東京・渋谷ヒカリエで2016年10月22日(土)に発表した。東京で9年目を迎えたエトセンス。今季のテーマは「交わる線」だ。白い菱形のブランドタグ「white rhombus」に向き合い始めた2015年秋冬。そこから線の面白みに惹きつけられるかのように、シーズンを越えて同じテーマ「線」に向き合い続けている。昨シーズンはテーマ名も同じ「交わる線」であったが、今季は視覚的な仕掛けを添えて、より複雑なウェアを提案している。線と線の交差する様からイマジネーションを膨らませて、ドッキング型の新ウェアが誕生した。デニムジャケットの上にまたデニムジャケット、ボンパージャケットにさらにボンパージャケット。同じアイテム同士をレイヤードしているかのようにみせる独特のフォルムが、表現しがたいまとまり感へと繋げている。白いTシャツはツヤのあるシャツと繋ぎ合わせた。コットン風のカジュアル素材から覗く、光沢を帯びたシャツ地。異なる個性を持つ2つのウェアであるが、同系色でまとめることで、ユニークな一体感が出来上がっている。また、ラインへの意識はディテールへのこだわりにも影響。パンツやコートには大きくスリットを配し、どのトップスも通常より長めのスリーブに整えられている。また、ベルトやサスペンダーを使った遊びも面白く、ロングコートの裾よりもさらに低い位置でベルトが垂れ下がている。
2016年10月25日ベッドフォード(BED J.W. FORD)の2017年春夏コレクションが、2016年10月21日(金)、東京・渋谷ヒカリエで発表された。ブランド創設以来、初めてのランウェイとなる今回、デザイナーの山岸慎平と高坂圭輔がどんなワードローブを展開するのか、会場が期待に包まれる。音楽を担当したのは、日本のバンド「yahyel(ヤイエル)」。デザイナーの憂鬱な気分を反映したような、内臓を動かす音楽が、空間に響き渡る。彼らのフィーリングは、テキスタイルの表情や洋服のシルエットにも顕出。肩や袖などがきっちりと作られている一方で、パンツやコートの裾はアシンメトリーにカットされ、揺らぎを感じさせるデザインだ。ジャケットやコートを多用しながらも、重々しさはあまり感じさせない。シャツを作るように作ったというこれらのアイテムが、スタイリングに統一感をもたらしている。テーマの“BATTLE DRESS JACKET”が色濃く出ているのは、カラーパレットだろう。ネイビーやキャメル、ブラックといった色は、どこか軍服を連想させる色合いだ。それぞれの要素が、輝きを放つ中、コレクションとしての“筋”を通しているのは、スタイリングの興味深さだ。ブラックのロングコートの下には、オレンジのストライプの大判スカーフをインナーのようにあしらい、丈に立体感を創出。同系色でありながら、素材の違うアイテムを上・下に配置し、歩いた時の動きの違いを楽しませてくれるものもあった。流行のシルエットなどには一切左右されず、自分が「カッコイイ」と思ったものだけを作ることに徹したという今シーズンのベッドフォード。これを機に、今後もランウェイでの発表をしていくという日本のブランドから目が離せない。
2016年10月24日ユキヒーロープロレス(YUKIHERO PRO-WRESTLING)の2017年春夏コレクションが2016年10月21日(金)、渋谷のライブハウス「クラブ キャメロット」にて発表された。今シーズンのコレクションは、人気ティーンファッション誌のモデルによって結成されたアイドルグループ「夢見るアドレセンス」や女優、秋野暢子を迎えた、ミュージカル形式で展開。 スポットライトが青い光を放ち、スモーク立ち込める会場内に設置されたステージには、土管や電柱などが並ぶ。これから何が起こるのか全く予測できないユニークで斬新な演出がブランドらしい。古典的なミュージカル映画を思わせる快活な音楽が流れ、『ヒールをはいた猫』という演目がスタート。猫に扮したメンバーによるダンスや歌がショーを盛り上げる。さらにストーリーは進行し、舞台は突如モデルたちによるランウェイに変化する。ポップアートをはじめとする「60年代のアメリカ文化」、ミュージカルの主役でもある「猫」、そしてブランドを象徴する「プロレス」。この通常は交わることがない3つの要素が、プリント、素材、シルエットで表現され、融合し、全く新しいものが生まれている。プリントは、メンバーが着用していた衣装にも施されていたアンディ・ウォーホルの名作『キャンベルスープ』を猫缶にオマージュしたものや、猫のモチーフをコピーのように何匹もプリントし、ポップアート風に仕上げたものなどが登場。裾を結んだシャツや、腰のくびれを強調したワンピースなど、シルエットも60年代らしい。モデルもマリリン・モンローのようなメイクで登場した。さらに、プロレスラーのキャラクターでさりげなく遊び心を演出。ニットにプリントされたリングのコーナーのモチーフは、一見グラフィカルな模様のよう。黒のデニムパンツはフロントから見るとクールな印象だが、後ろのポケットにはプロレスラーが。さらに、かっちりした印象のジャケットにはメッシュ素材を使用するなど、プロレスを切り口にイメージを崩していくようなディテールがなんともユニークだ。クライマックスには、デザイナー本人も登場し、モデルからミュージカルの役者まで全員を交えてダンスや歌で大騒ぎ。エネルギーと個性が溢れるブランドにふさわしい斬新なショーに幕を閉じた。
2016年10月24日ケイイチロウセンス(Keiichirosense)が2017年春夏コレクションを2016年10月21日(金)、渋谷・ヒカリエで発表。“共鳴”というテーマを掲げた今季は、不安定かつ抑圧の存在する現代に対して戦う姿勢を洋服に落とし込んだ。暗い会場に閃光が走り、辺りが明るくなってショーは始まる。ビニール製のジャケットやワンピースに、光沢のあるブルーやゴールドのタイトなスカートをスタイリング。近未来的な洋服は、現代のサブカルチャーをデザイナー・由利佳一郎のフィルターに通すことで生まれたものだ。らせん構造のような形状の布を施したタイツや、前から見ると純円に見えるポンチョからは曲線を纏うことへのこだわりを感じる。ワイヤーで形状を固定したスカートの曲線は歩くだけでは崩れない。服を作るというよりは“皮膚”を作ることを意識しており、銀のブラトップやタイトなシルバーのパンツなど、身体の動きに関係なくしっかりと形が決まるようなアイテムが多数登場する。日本の伝統的な要素がプラスされていることに注目したい。刺繍の和柄や、襟部分が着物になっている服、背中部分が大きく開いている帯…これは戦国時代から未来である現在にタイムスリップしてきたというテーマを反映している。バック・トゥ・ザ・フューチャーのように様々な時代・視点に立って、ケイイチロウセンスの考えている未来を映したコレクションだった。
2016年10月24日ユマ コシノ(YUMA KOSHINO)が、2017年春夏コレクションを2016年10月21日(金)に東京・渋谷ヒカリエで発表。コンセプトは“Optical Illusion”。エッシャーのだまし絵のような視覚効果を表現していた。ブルーのレーザーがランウェイの道筋を示し、ショーは始まる。ジャケットやスカート、ソックスに配されたアルチザンジャカードは、クリーミーなカラーのトップスと合わせて存在感を放った。重たげな印象を抱くと思いきや驚くほど軽々と揺れる。コレクション序盤は同系色のアイテムを合わせていたが、ミニマルなミュージックにイレギュラーな鋭い音が入り会場を期待感に包むと、徐々に視覚的なコントラストを訴えかけるように。暖色のオレンジと寒色のブルーのアイテムを組み合わせたり、光沢感で冷ややかな印象の素材とふわふわと暖かそうなニットなどの素材を合わせたり。さらに、テクスチャーをミックスすることで、引き立て合って相互作用を生んでいた。熱量を感じるマルチストライプのようなグラフィックは、リボンや裾のカッティングによる効果で、下から上へと私たちの視線を常に動かす。これは、水が重力に逆らって坂を上っていくように見えるエッシャーのだまし絵を想起させる。ラストは、ブラックと原色のプリーツウェーブのドレス。一枚の布から出来ているプリーツは、歩くと風を含み一瞬一瞬カラーバランスが変化する。釘付けになるような錯覚・視覚効果をグラフィックと素材感で表現し、期待で終始目が離せないコレクションだった。
2016年10月24日とらや(TORAYA)から、2017年の干支「酉」や宮中歌会始のお題「野」をイメージした和菓子が登場。2016年11月20日(日)から順次展開される。「初鶏」は黒煉羊羹に“とさか”を思わせる紅煉羊羹を組み合わせた一品で、鶏が新たな年のはじまりを告げようとしている様子を表わした。また「干支パッケージ 小形羊羹」は、小倉や黒砂糖、抹茶を使用した羊羹を干支「酉」のパッケージに包んだもの。他にも、目とくちばしの焼印を押して、ひよこの顔を表わした薯蕷饅頭「まる笑み」や、夜明けを待つ鶏が穏やかに休んでいる様子をイメージした桃山製「のどかなとき」などが展開される。【詳細】とらや 干支「酉」をイメージした和菓子商品:・干支羊羹「初鶏」販売期間:2016年11月20日(日)〜2017年1月下旬(予定)販売店舗:全店価格:ハーフサイズ 1,944円 / 竹皮包 3,888円・干支パッケージ 小形羊羹販売期間:2016年11月20日(日)〜2017年1月上旬(予定)販売店舗:全店価格:各1本 260円 / 5本入 1,404円・のどかなとき販売期間:2016年12月16日(金)〜2017年1月15日(日)販売店舗:東京・京都地区の生菓子取扱店価格:1個 486円・まる笑み販売期間:2016年12月16日(金)〜2017年1月15日(日)販売店舗:東京・京都地区の生菓子取扱店価格:1個 486円※価格は全て税込
2016年10月24日ミューラル(MURRAL)の2017年春夏コレクションが2016年10月21日(金)に渋谷・ヒカリエで発表された。柔らかな木漏れ日の中、1人の女の子がゆっくりと歩をすすめる。ここはメランコリック ガーデン(melancholic garden)。彼女はまだ色をしらない。その女の子が身に着けているのは真っ黒の衣装。ジャカードのコートにかすかな光を受けて光る繊細なラメが唯一の色で、それでも大きな襟には立体的な刺繍が貼られていたり、パンツはエナメルを用いたり、黒一色のなかで一生懸命のお洒落を楽しんでいる。時には歪つな光沢を放つクロコの型押しを配して、フリルをたくさんあしらって、そしてラグジュアリーなレースはボトムスに多用して…、試行錯誤を繰り返している。そんな中、流れるラッフルに導かれて、辿り着いたのは色の世界。森の中で出会った花は彼女に色を教えてくれた。まだ合わせ方はちぐはぐで、ロイヤルブルーのワンピースには、裏地が赤く染まったピンクのブルゾン、中には黄色のメッシュをレイヤードして、沢山の色を寄せ集めた。フォレストグリーンのロマンチックなシャツには、目の覚めるようなイエローをあわせて、アクセントとして繊細なレースを施している。彼女が最後にたどり着いた世界は、どこか地に足の付かないような浮遊した空間。身に着けたのは、優しい赤とピンクのコントラストから成るメランコリーなワンピース。手刺繍による歪んだパールを装飾して“優雅っぽく”彩っている。肩のラインに沿うような小さなフリルの集合体も、裾で揺れる小さなタッセルも、すべてがこの浮遊した世界ではラグジュアリーに変わる。彼女のお洒落は足元にもぬかりない。フリルのサンダルや、ワードローブと同じく刺繍を施したサボ、時折グリッターシューズを織り交ぜて魅せていた。精一杯のファッションへの姿勢は、憂鬱なものでは決してなくて希望の光にみちたものだった。
2016年10月24日ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)は、ジェニー ファックス(Jenny Fax)とセレクトショップWALLとともに、ミックススタイリングショーを2016年10月22日(土)に開催。モデルには、水野しず、新野李那、中尾有伽、真中のぞみ、あみなデュジャン、さぃもん、そしてアイドルユニット「放課後プリンセス」の木月沙織、関根ささら、山口みらんを迎え、ここでしか見られない限定ショーを行った。ミキオサカベの2016-17年秋冬コレクションから、リボンモチーフのワンピースやパーカーをピックアップ。スポンジのようなメッシュ素材のスカートをレイヤードしてボリュームシルエットを演出している。また、原宿の女子たちが好むフェミニンな要素はふんだんに取り入れた。くまモチーフのニットやキラキラのラメスカート、ハート模様のマキシスカート。また、チョーカーやスニーカー、ソックスを合わせたコーディネートなど、ストリートで愛されているモダンな要素は忘れない。さらに、ミキオサカベとWALLがコラボレーションしたフライドポテト刺繍のシースルーシャツや、某ファーストフード店を想起させるビッグTシャツもランウェイに。マフラーを重ねたようなチェック柄のスカートなどを合わせて、柄オン柄の独特の着こなしを提案している。なお、招待客だけでなく、一般の人も観覧が可能なため、会場にはブランドやセレクトショップWALL、モデルたちのファンも駆けつけた。とてもアットホームな雰囲気の中でショーは幕を閉じた。■IKIOSAKABE ×WALL 特別記念アイテム発売日時:2016年10月22日(土)11:00取扱い店舗:WALL原宿店・ポテト刺繍シースルーシャツ 48,000円+税・ポテト刺繍トレーナー 28,000円+税・ポテト刺繍ショートパンツ 48,000円+税・ポテト刺繍トートバッグ 18,000円+税・BIG Tシャツ 22,000円+税
2016年10月23日ビューティフルピープル(beautiful people)の2017年春夏コレクションが、2016年10月20日(木)に渋谷・ヒカリエで発表された。来シーズンから発表の場をパリへ移すことを公表し、今回は東京でのラストショーとなった。そんな今季のテーマは「Do it Ourselves=自分達でやってみよう」。春らしいレース・シフォンのワンピースやスカート、パジャマパンツ、オールインワンなどを展開。ブランドのシグネチャーアイテムとも言えるトレンチコートは、今シーズンノースリーブ仕様に。上着でウエストマークし、まるでドレスのような着こなしを提案した。全体を通してウェアはビッグシルエットで、リラックスした雰囲気が漂う。ポリエチレンや和紙といった素材使いによりシワ感を出し、テーマ通り“着る人が自分で味付け”できるように作り上げた。そんなウェアは小物使いで遊び、ヒネリを効かせた。2017年リゾートコレクションでも展開された、デザイナー・熊切秀典の「熊」をモチーフにしたアクセサリーは今季も豊作だ。ブランドのシグネチャーアイテム:レザージャケットを羽織ったテディベアのポシェットや、つま先のかぎ爪が光る熊のファーサンダルなど。ゴールドやシルバーのかぎ爪は、ブレスレットやスニーカーの装飾にも取り入れられた。さらに、イエローやオレンジといった、鮮やかなカラーサングラスも着こなしのアクセントに。ランウェイショーの最後は、デザイナー自身がテディベアの着ぐるみを纏って登場。テーマに合わせて、自分たちのバンド演奏で締めくくり、会場を沸かせた。
2016年10月23日ベッドサイドドラマ(bedsidedrama)が2017年春夏コレクションを2016年10月20日(木)、東京・渋谷ヒカリエにて発表。テーマは“daydream believer”。起きてても夢を忘れないデザイナーの、10周年への意気込みが感じられた。ブランコと窓が吊り下げられた幻想的な会場に、スローテンポの曲が流れ始めてショーは始まった。動物のぬいぐるみが付いているマフラーや、袖にフェザーがついたオールインワンが、会場をふわふわとした優しい雰囲気で包む。ぼんやりともやがかかったような象徴的な柄は、トップスやワンピース、スウェットなどにカラーを変えて登場する。シルエットは眠りに落ちる時のようにリラックスしており、ルームウェアのようなセットアップやワンピース1枚で完成されたスタイリングも。ぬいぐるみを抱えて、夢を見る準備は万端といったところだろうか。靴やかぎ針編みのパンツに鎖のモチーフを付けたり、大きなタッセルがついたテニスラケット、ロウソクのヘッドピースなど非現実的で無秩序なモチーフは、私たちの夢の中での風景を思わせる。カラーパレットはアースカラーや、ホワイトやグレーで基本的にナチュラルな風合いだが、単色のレッドワンピースなど主張の強いアイテムも。カーキのブルゾンの胸元に配された動物は歴代のルックで登場したキャラクター達で、10周年の意味合いも込めている。最後は忌野清志郎の「デイ・ドリーム・ビリーバー」の女性ボーカルアレンジが流れ、締めくくられたショー。柔らかな夢を私たちに見せると同時に、10年経っても色褪せないデザイナーの夢を反映していたコレクションだった。
2016年10月23日ディスカバード(DISCOVERED)の2017年春夏コレクションが、2016年10月20日(木)に東京・表参道ヒルズで発表された。今季のテーマは“stick out”。1993年にリリースされたザ・ブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)のアルバムに影響を受け、パンクロックの冷たい印象を服に落とし込んだ。序盤は、ブラックのベロア、レザー、メッシュなど冷徹な印象を与える素材で黒の多様性を表現。ハードなブラックアイテムにグリーンのソックス、ピンクのアームカバーなどの小物をスタイリングし、レイブパンクの雰囲気を漂わせる。ショーが進むにつれ、グレーのヒョウ柄テーラードジャケット、深みのあるブルーのベロアセットアップなどが登場し、カラーパレットはブラックからだんだん多彩に変化していく。幾何学柄のカラフルなグラフィックはポストモダンを表したもので、シャツやオールインワンに配され存在感を放つ。ピンクとブルーのグラデーションニットやホワイトのパーカーなど淡いカラーのアイテムが並ぶが、パステルイエローのジーンズにダメージ加工を施したり、ショート丈のトラウザーやベルト、サンダルにスタッズを光らせたりすることでヒリヒリとした空気感をキープ。ロックに携わる人達のはみ出る精神性を、服を通して刺激的に私達の目に焼き付けていた。
2016年10月23日アン ソフィー マドセン(Anne Sofie Madsen)の2017年春夏コレクションが、2016年10月20日(木)に東京・渋谷ヒカリエで発表された。東京での発表は、昨シーズンに続き2度目となる。ファーストルックは、ブラックのオールインワン。パンツ部分の布が太ももあたりまで分裂し、歩くたびに揺れて舞う。テーマは“failure(失敗)”。まともな形の服に至らない不完全さが危うい雰囲気を醸し出す、フェミニンなワードローブが展開された。この未完成さを象徴するのは、切りっぱなしの素材を組み合わせたルックたちだ。レザー、スエード、オーガンザ…。厚みも質感も異なる異素材のピースを、まるでテープを貼ったように重ねたり、待ち針で留めただけのようにして繋ぎ合わせ、ワンピースやスカートに仕立てていく。切りっぱなしの布からは糸が飛び出し、縫い合わす糸も処理されずに垂れ下がったまま。このディテールは、より思い切ったフリンジという形になって現れた。服から飛び出す細かい付属物が空中で遊ぶ様子は、観る者になんともいえない浮遊感を味わせる。また、柔らかい素材にギャザーを入れて服全体に這わせたルックからも儚さが漂う。終盤になると、ランジェリーを彷彿とさせるアイテムの登場によって、この危ういフェミニンさは決定的となった。光沢のある肌色のスリップのようなワンピース、また、肌が透けたミニ丈のドレス。ライン状にあしらわれたスワロフスキークリスタルの輝きが、“失敗”を超えた先の良き未来を示唆しているようだ。アン ソフィー マドセンは、「人は皆、“失敗”を元に成長していく。失敗の感覚を入れることで、デザインにもユニークさを出したかった。」と語る。未完成の服が導く次なる形状への期待感が、あらゆる可能性を秘めたワードローブの魅力を伝えてくれた。
2016年10月23日シナ スイエン(sina suien)の2017年春夏コレクションが、2016年10月19日(水)に東京・青山で発表された。今シーズンは、デザイナー・有本ゆみこが訪れた新潟の西明寺から着想を受け、僧侶の衣服=袈裟、着物、インドのサリーなどをイメージしたウェアを披露。モデルがゆっくりと登場し、手になにやらキューブのようなものを手にしている。よく見るとスピーカーで、独特の音色が辺りに鳴り響いてゆく。そんな中登場する衣服は、インドの民族衣装である「サリー」の要素をあらゆるところに感じさせた。淡いブルーやパープル、ベージュの色彩に映える、美しいゴールドの装飾と刺繍。目を凝らすと、スパンコールやビーズ使いも見られ手の込んだディテールに気づく。ウェアと共に音の欠片が歩き回り、まるで“刺繍のオーケストラ”が出現する。さらに、ロングワンピースはレオパード、チェック、ドットと異なる柄の布を縫い合わせたかのような、パッチワーク風のデザインに。元来「袈裟」は、身に纏う僧侶が世間で不要となった布を自ら縫い合わせ、進行の旗印に昇華していたという。そんなストーリーとのつながりを感じさせた。他にも、左前合わせのドレスやガウンの帯使いは、着物からのインスピレーションを感じさせる。いずれもバックスタイルでの絶妙な肌見せや、肌が透けるレース使いによって、妖艶な雰囲気を醸し出しているのが特徴だ。 着た人が眠るように、心地よく陶酔するさまを込めて名付たというブランド名を感じさせる、優艶な服と演出であった。
2016年10月22日テンボ(tenbo)の2017年春夏コレクションが、2016年10月19日(水)、東京・表参道ヒルズのスペース オーにて発表された。毎シーズン洋服を通じメッセージを投げかけるテンボがテーマに選んだのは、「ハンセン病」だ。完全な治療法が確立される前の時代に発生した、感染者や感染の疑いがある者への差別や隔離運動である「無癩県運動」。その被害者は感染者自身にとどまらず、その子供達にも広がっていたという。ワードローブを彩るテキスタイルには、その子供達や被害者の姿や心の叫びをイラストで表現。ポップな印象に込められたメッセージに観衆の心が奪われる。療養所から故郷を想う人々は、その街に帰ることができないことが多い。その“望郷”の思いは、姿を変え、あらゆる人を美しく彩る洋服になる。展示をデザインに落とし込んだシャツワンピースを身に纏うのは、着る人の個性を引き立てるような役割を果たしていた。ショーの終盤には、四季をイメージした4つのドレスが。ライウェイが季節に埋め尽くされると、ハンセン病回復者の槙ミヨさんが白のドレスで登場した。井上あずみによる『故郷』が響き渡る中、これまでの苦労や苦悩を、ファッションという媒介を通じて投げかけ、重くなりがちなテーマを前向きなイメージで捉えさせてくれるコレクションとなった。
2016年10月22日ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2017年春夏コレクションが、2016年10月19日(水)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。モーレス、モラル、マナー。今シーズンは、集団における規律を意味するその3つの言葉を念頭に置いた。始まりを飾ったのは、シンプルなスーツに透明感ある白いコートを合わせたルック。2ルック目もハーフパンツのスリムなフォーマルスタイルだ。しかし、1人、2人と姿を現すごとに最初にあったテーマとはかけ離れていく。ダブルブレストのデフォルメされたコートや、袖が膝程にまでだらんと伸びたシャツなど、元来正装に用いられるはずのアイテムがアレンジされている。アイテム同士がぶつかることで、その規律はさらに緩和。シャツにはシャツを羽織って、あるいはデニムのルックに“きっちりと”サスペンダーを合わせて、さらにはストッキングを連想させるヌーディーなトップにだらんとベルトののびたトレンチコートを合わせて…。あげればきりがないが、根本は制服であっても最初の念頭に置いた3つの言葉からはかけ離れたものばかりである。終盤には、片袖のないトップスやアウターまで登場する。さらに片側は、袖山部分が外れてしまっていて肌があらわになっている状態。それなのに、今までだらんと前を空けてきていたシャツはピタッと一番上のボタンまで閉めて、トレンチコートはしっかりベルトを結んだ丁寧な着こなしだ。デザイナーの北澤武志と佐藤絵美子曰く、モーレス、モラル、マナーという言葉に繋がるようなフォーマルなものをストリートのユーモアで工夫したという。また、時折見せた官能的な露出は、規律とは真逆にある人間の羞恥な部分をとらえたもの。そして、佐藤が先シーズンから今シーズンに至るまでの中で出産し、子供への想いがさらなる遊び心あるデザインに繋がったようだ。今回が節目の10シーズン目。2人が作り出すファッションの“規律”はこれからも私たちを楽しませてくれそうだ。
2016年10月22日2016 Tokyo 新人デザイナーファッション大賞のプロ部門デザイナーによるジョイントショーと同大賞アマチュア部門ショーを2016年10月19日(水)に、東京・渋谷ヒカリエにて開催した。■プロ部門プロ部門のデザイナージョイントショーでは、大賞プロ部門でビジネス支援を受けている31名のデザイナーのうち5名の2016年最新作品を披露した。ミーンズワイル(meanswhile)2016年の審査で最高位を獲得したミーンズワイルのデザイナー藤崎尚大。彼が掲げるブランドコンセプトは「日常着である以上、服は衣装ではなく道具である」「身体に最も近い道具」「デザインは目的ではなく手段」だ。メインとなったのは、マウンテンパーカーやハーフカーゴパンツで、まさにそのコンセプトを反映したようなもの。特に、象徴的だったのは“リュックを背負える”マウンテンパーカー。背部と裾にジッパーがぐるりと装着されていて、変形できるような仕組みになっている。また、機能美を追求するブランドならではの軽い素材感も印象的であった。ヘルマフ アンド ロディタス(HELMAPH & RODITUS)透明感のあるテキスタイルを、Tシャツとショートパンツに重ねたスタイルが目立った。カジュアルともエレガントともとらえられるルックの首元には、ボリューミーなラッフルを。さらに、動きのあるレースを明るい黄色であしらうことでポップな表情も作りだすなど、あらゆるものをハイブリッドさせた女性らしいスタイリングを提案した。リュシオルジャンピエール(LUCIOLE_JEAN PIERRE)ファーストルックに登場させたのは、袖に刺繍を施したブルゾンと細身のパンツをあわせたロックテイスト溢れるスタイル。続くどのスタイルをとっても、バランスのとれた着崩しが魅力だ。例えば、ジャケットはひじのところまで腕まくりして、わざと裏地のフォーマルストライプをみせ、そこから垂れる長い袖のストリート感で中和。一方、パンチのあるレザージャケットには緩いパーカーとストレートワイドパンツを合わせていた。■アマチュア部門数々の有名デザイナーを輩出し、若手クリエイターの登竜門となっているファッション大賞のアマチュア部門。今回は世界9か国の国と地域から6,672点のデザイン画のエントリーがあり、その中から25人の精鋭たちの作品が最終審査にノミネート。サポートサーフェス(support surface)デザイナーの研壁宣男、ネ・ネット(Né-net)デザイナーの髙島一精らによって選ばれた5名が本日発表された。大賞 文部科学大臣賞に選ばれたのは、上田康子服飾専門学校・ファン ティ カム トゥ(PHAN THI CAM TU)。ベトナム人留学生の彼女が、今回の受賞作で発表したテーマは「KINTSUGI」だ。日本人でも「金継ぎ」を知っている人はそう多くないのではないだろうか。割れてしまった陶磁器を金で装飾して仕上げるこの技法は、接着されたことによってまた異なる美学を生み出す。彼女の作品は、人体を忘れるほど丸く、ところどころに再構築された跡があるドレスルック。まるで陶器に色を乗せたようなブルーとグリーンのマーブルの色合いと「金継ぎ」で魅せたゴールドのディテールが日本人の心に響くものになっていた。
2016年10月22日ヨハン クー(Johan Ku)の2017年春夏コレクションが、東京・渋谷ヒカリエで2016年10月19日(水)に発表された。今季のインスピレーションとなったのは、イギリスの映画『JUBILEE(邦題:聖なる年)』。1578年、エリザベス一世は大魔術師ジョン・ディーに呼び出された天使エアリエルに、来世の英国を案内される。そこは墜落しきった無法地帯の世界だった、、。パンク調の音楽が鳴り響く中、映画の舞台=英国を感じさせるチェック柄のウェアが登場。レッドやピンクなど鮮やかなカラー使いをし、上にスタッズを散りばめたり、異なるサイズ感の柄を組み合わせたり、またはパンツに空いた穴からパターンが顔を出したりと様々だ。さらに、シルバースタッズが肩や手首から飛び出すガウンや無数の穴が空いたトップス、切り裂かれたスカートが英国の“パンクスタイル”を彷彿させる。そんなスタイルを助長するのが、ヘッドギアのようなアクセサリー。チェーンやトゲが無数に生え、無骨なパンクを完成させる。さらに後半展開される、トップスからシャツ、アウターまであるゆるウェアを染めあげるプリント使い。ロンドン出身のフォトグラファー・Andrew Penkethと共に手掛けたデザインは、映画に登場するエリザベス一世を彷彿させる巨大な王冠や、空き缶・安全ピン・アクセサリー・スタッズなど様々なものが、無秩序にばらまかれた混沌としたもの。まるで映画で登場した来世の英国=「無法地帯」を感じさせた。
2016年10月22日まとふ(matohu)が2017年春夏コレクションを2016年10月18日(火)、東京・表参道で発表した。今シーズンのテーマは「うつくし」。「美しい」という意味ではなく、古語での解釈に則った「かわいい」「愛らしい」という意味合い。平安時代の『枕草子』にも「なにもなにも、小さきものは、皆うつくし」という一節が登場するほど、日本では昔からこういった美意識があったようだ。着た人・見た人が「かわいい」と感じることで、心が和らぎ、優しい気持ちになるような服作りをしたとデザイナー・堀畑裕之と関口真希子は語る。まとふのフィルターを通した「かわいい」は、少しファニーなモチーフへ落とし込まれた。無数に並ぶピーナッツや飛び回るツバメ、さらに「小さき人」とデザイナー達が名付けた、小人が踊り回るようなモチーフがジャケットやパンツ、トップスなど、あらゆるウェアに刺繍されている。また、Aラインのワンピースやスカートは、ふんわりとしたドレープやギャザーを採用することで、柔らかく甘い空気感を出した。肌が透けるレース使いのトップスも、そんな雰囲気を助長する。先シーズンも登場した「オートモード平田」の石田欧子デザイナーとのコラボレーションハット。今回は、まるで陶芸品が歪んだような、独特なフォルムが特徴で、着こなしのアクセントに取り入れられた。ここ何シーズンか、“日本の美意識”をテーマに服作りをしてきた「まとふ」。完結した暁には、大きな展覧会を開催し、これまでのウェアをまとめて見られる機会を作るそうだ。
2016年10月21日ティート トウキョウ(tiit tokyo)は、東京ファッション・ウィーク2日目の2016年10月18日(火)、2017年春夏ウィメンズコレクションを発表した。テーマは「leave」。シンプルで飽きのこないデザインに、ノスタルジックなムードや危うい少女性などを溶け込ませ、独自の世界観を構築しているデザイナーの岩田と滝澤。今季彼らは、自分らしく生きられずにもがきながらも前進する一人の女性をミューズに据えた。誰にもぶつけられない孤独感、心の奥底に秘めた焦燥感。そんな複雑な感情は、多種多様なオリジナルテキスタイルで表現する。シルク糸を用いたツイード、ファンシーカラーの糸を織り込んだカットジャカード。豊かな光沢を纏ったシースルー地は、タフなデニム地やハードなレザーと交差し、力強さと可憐さを同じ舞台で共存させる。言葉にするのが難しい不安定な感情は、自由なスタイリングで体現した。バックラインと袖口をレースアップしたシャツは、リボンを緩めて襟を落として着崩したり、床にはうほど長いリボンを袖から垂れ流したり。フェミニンなドレスも左右で異素材を繋ぎ合わせもので、その個性を潰すかのようにさらに異素材パッチワークのドレスをレイヤード。コートだって前身頃をサイドにずらして着こなし、ノーマルからは距離を取った。涙が流れる目元は(メイクでツヤ感を与えた)、衝動的な彼女の姿へとリンクさせる。装いもメイク同様、感情的な要素を持ち合わせていて、服地の上で男性性と女性性が融合されている。ビックサイズのレザージャケットには花刺繍とリボンを、ミリタリージャケットにはフリルを。ツイードのセットアップも、ライダースディテールをぶつけてマニッシュに仕上げた。ただ、その洋服デザインもコーディネートも躍動感という点では長けていて、苦しい中でも歩みを進めるブランドミューズの姿に重なっていく。
2016年10月21日トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1er Vol)が2017年春夏コレクションを2016年10月18日(火)に渋谷ヒカリエにて発表した。デザイナー・前田徳子(Tokuko Maeda)本人が世界各地を旅して得たインスピレーションを落とし込んでいくトクコ・プルミエヴォル。今季のテーマはコートダジュールで、現地の文化・色・雰囲気のエッセンスが詰め込まれていた。コレクション前半はレモンのプリントを施したブラックのワンピースや、イエローのシースルーアイテムで爽やかな印象。これはイタリアとフランスの国境の街、マントンで開催されたレモン祭がヒントになっており、大ぶりな首飾りからピアスまでレモンがふんだんに使われている。音楽が変わると同時にプリントのイメージは、葡萄、さくらんぼ、苺など、ヨーロッパの温暖な気候で育つヨーロッパの果物へと変化。ブラックのレースにアップリケ刺繍で大胆にアクセントを加えていた。さざなみが聞こえ会場が青い光に包まれると思うと、今度はエビやタコ、海藻など海の生き物がアーティスティックなモチーフが現れる。まるで洋服の中に海の世界が広がっているような全面プリントのセットアップなど、ターコイズやペルシャンブルーなど様々な青を組み合わせて幻想的に海を表現していた。シルエットは全体を通してリラックスしたものであり、麦わら帽やサンダルでまるで本当にリゾートに旅しているような気分に。デザイナーが自分の軸をしっかり持ち、流行に左右されず旅の中で見たものを落とし込んだ洋服を見ることで、私たちも同時に旅を追体験できるようなコレクションに仕上がっていた。
2016年10月21日「東京ラーメンショー2017」が、駒沢オリンピック公園 中央広場にて開催される。期間は2017年10月26日(木)から11月5日(日)まで。今年で9回目を迎える東京ラーメンショー。今年は、日本各地のご当地ラーメン、地域の食材を用いて町おこしの一環として生まれた新ご当地ラーメンが集結。さらに、数店舗の有名店が協力して作り出した、ここでしか食べられない「オリジナルコラボラーメン」も登場する。ラインナップは、全部で36種類を予定している。2016年開催時には、東京「エビスコ酒場」と富山「つけめん えびすこ」が、ラーメン1杯につき100個以上のアサリを使った海のうま味たっぷりの海鮮塩中華そばを創作。そして、味噌ラーメンのスペシャリティ「東京スタイルみそらーめん ど・みそ」と「MisoNoodleSpot 角栄」が織りなす渾身の1杯「越後味噌中華ソバ~雪国新潟米麹の香り~」も提供された。また「富山ブラック麺家いろは」の富山ブラックがラスト出店となり、煮干しの香りが際立つ風味豊かなブラックで集大成の1杯を創り上げた。牛の角煮ととろけるチャーシューをたっぷり盛り味玉も乗せた豪華なトッピングも見所となった。今年は全国からどんなラーメンが揃うのか。前半6日間、後半5日間をそれぞれ分け、楽しいコンテンツを盛り込む予定だ。【開催概要】東京ラーメンショー2016会期:2017年10月26日(木)~11月5日(日)第1幕:10月26日(木)~10月31日(火)第2幕:11月1日(水)~11月5日(日)※食材等の状況により、早めに終了する場合有り。※10月31日、11月5日は18:00終了。会場:駒沢オリンピック公園 中央広場住所:東京都世田谷区駒沢公園1-1入場料:無料※ラーメンを食べるには、てラーメンチケット1杯850円(税込)と引き換え。 ※セブン-イレブンでの前売券の販売は9月1日(金)より発売【問い合わせ先】東京ラーメンショー2017実行委員会TEL:03-3490-3810
2016年10月21日ウジョー(Ujoh)の2017年春夏コレクションが、2016年10月17日(月)に渋谷・ヒカリエで発表された。ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)による若手デザイナーサポートプログラムの支援を受け、先シーズンはイタリア・ミラノでコレクションを発表したブランドだ。今季は春らしいフラワーモチーフが至る所に。まるでヴィンテージウェアを彷彿させる、スモーキーなレッド・ブルー・ホワイト・パープルの花々がスカートやトップス、パンツの上で可憐に咲く。軽やかな素材感も春の風を運ぶ。歩く度にはらむシフォンや艶やかなシルクを多用し、ウェアはすべてビッグシルエットながら、女性らしい雰囲気を醸し出している。また、パタンナー出身の西崎が作り出す、鮮やかなカッティングは今シーズンも健在だ。春の代名詞とも言えるトレンチコートは、うしろと横の部分に大胆な切り込みが入り、歩く度にリズミカルなフォルムが生まれる。スカートにも大胆なスリットを、シャツはまるで再構築されたように、横から伸びた布がビスチェのように前面で結ばれて、独特の着こなしに。異なる布を貼り合わせたようなウェアも目を引く。そんな中、顔を覗かせるマスキュリンさがスパイスに。ドロップショルダーのセットアップスーツのほか、足元に合わせたメンズライクなウィングチップシューズ、レザーサンダルが全体を締めている。
2016年10月20日X’masスペシャルコラボ!株式会社ハーバー研究所が2016年12月1日(木)に「~キレイは開運のカギ!~2017年HAPPYメイク ビューティセミナー」を開催する。人気女性誌など多数の占いコーナーを担当する星のメッセンジャー立木冬麗先生とハーバービューティプロデューサー廣森知恵子氏とのスペシャルコラボにより、2017年の開運がテーマのトークショーとメイクアップセミナーが行われる予定だ。運気をあげてキレイになる第1部は立木冬麗先生による2017年の運勢や運気アップのヒントが紹介される。第2部では美容業界38年の廣森知恵子氏による、今秋全色一斉発売されたハーバーの無添加ミネラルメイクカラーを使用した、幸運を引き寄せるためのメイクアップ講座など。ラッキーカラーを取り入れることで2017年もHAPPYでキレイを目指していく。第3部は軽食と、今話題のオレンジワインセミナーを楽しむことができ、終了後には撮影会も行われる。「~キレイは開運のカギ!~2017年HAPPYメイク ビューティセミナー」は2016年12月1日(木)に大手門タワー・JXビル1F「3×3 Lab Futureサロン」にて19:00~21:00までで、受付は18:30から。ハーバー化粧品のお土産付きで1人4,320円、ハーバー会員は3,240円となっている。WEBか電話の完全予約制で定員が50名なのでお早めに。来年の運気アップを目指して参加してみるのも楽しいかもしれない。【参考】※株式会社ハーバー研究所プレスリリース(@PRESS)
2016年10月20日