5月23日に日本公開を控えているニール・ブロムカンプ監督の最新映画『チャッピー』より、主人公の人工知能ロボット「チャッピー」がthreezeroによってアクションフィギュア化され、2015年10月に発売されることが決定した。現在「GOOD SMILE ONLINESHOP」にて予約受付中で、価格は29,074円(税別)。『チャッピー』は、難民エイリアンと人類の対峙を描いて全世界で大ヒットした『第9地区』(2010年)、未来の格差社会を鋭く描いた『エリジウム』(2013年)などで知られるニール監督の最新作。彼が新たに挑むのは、2016年のヨハネスブルグを舞台に成長するAIを搭載した人型ロボット「チャッピー」を主人公にした監督の原点的野心作で、チャッピーを演じるのは、『第9地区』『エリジウム』とニール・ブロムカンプ監督の盟友ともいえるシャールト・コプリー。そのほか、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーヴァー、デーヴ・パテルら、豪華俳優陣たちが名を連ねている。今回は香港で有名なオリジナル玩具クリエイターである王剣峰氏が創立した玩具ブランドthreezeroによってフィギュア化。1/6スケール、全高約30.5cmのフル可動フィギュアとなる。劇中の姿を忠実に再現したハイディテールな造形、リアルなウェザリングを含む緻密な塗装が施され、目および頭部右側面にはLED点灯ギミックを搭載。付属の差し替えパーツで目の表情も変更可能となっている。また、武器としてAKS-74Mライフルが付属。商品価格は29,074円(税別)で、「GOOD SMILE ONLINESHOP」の予約締切は、2015年6月17日21:00。商品の発売および発送は、2015年10月を予定している。TM & (C)MRC II Distribution Company L.P. and Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
2015年04月14日映画監督の北野武が、13日に放送されたフジテレビ系バラエティ番組『SMAP×SMAP』(毎週月曜22:00~、13日は22:15~)で、「監督は役者に関わってはいけない」との持論を展開した。今回、「BISTROSMAP」のコーナーに、映画『龍三と七人の子分たち』(4月25日公開)の北野武監督と、出演者の藤竜也、中尾彬、安田顕、萬田久子が登場。北野監督の現場での様子について中尾と藤が「不愛想」「日本一不愛想」と明かし、監督自身も「一言も口きいてないのよ」と語った。中居正広が「何でコミュニケーションとらないんですか?」と聞くと、「それが一番ダメなんだよ。監督と役者のコミュニケーションなんてやるから、間抜けな映画撮っちゃう」と北野監督。「擁するに、役者に関わっちゃいけないの。常に客観的に」と続け、「食事したり酒飲んだりすると、情が出るでしょ。そうしたら冷静にその役者を見れなくなるから」と説明した。萬田も「本当に目を合わせてくださらない」「武さんのお声を聞いたことがなかった」と現場の様子を告白。北野監督は、テントの中にこもってモニターをチェックし、何かあったら助監督を通して指示をしていたという。それでも、「不愛想なんですけど救いもあるんですよ」と藤。「時々、よっぽど気に入った時に、"天の岩戸"から出てきて、おもしろかったよって。そのインパクト!」と語った。北野監督はまた、「お笑い出身だから、一発OKにしたいのよ。2回目、3回目と重ねるたびに新鮮さがなくなって」との考えも明かした。
2015年04月14日ハードコア・パンクバンドのBRAHMAN(ブラフマン)のメンバーの素顔を追った映画『ブラフマン』の公開が7月4日に決定し、今作で映画監督デビューを飾るクリエイティブディレクター箭内道彦氏が手がけたポスターが公開された。BRAHMANは1995年に東京で結成。1998年に1stアルバム『A MAN OF THE WORLD』をリリースして以降も着実に新曲を発表し続け、さらにヨーロッパやアジアでもツアーを行うなど日本以外でも活動を展開している。2011年の東日本大震災以降は被災地の復興支援の活動を続ける中、『霹靂』『露命』と2枚のシングルをリリース。ボーカルのTOSHI-LOWは、2003年に女優のりょうと結婚したことでも注目を集めた。公開されたポスターに映しだされているのは、ツアーで訪れた福島県阿武隈川沿いにたたずむ彼らの後ろ姿。写真・題材とも箭内監督の手によるもので、映画では20年間走り続けてきた彼らの"ノンフィクション"が描かれているという。今回、監督のみならず撮影も担当した箭内氏は、タワーレコードの「NO MUSIC,NO LIFE.」などで知られるクリエイティブディレクター。今まで映画監督のオファーを断り続けていたが、「ただ、僕が知っている、ブラフマンの、愛すべきあの4人を、ただスクリーンに映すことであればできると、今回の受諾は、あくまでイレギュラーなものになりました」と経緯を説明。「何かすごいアクシデントが起きたり、血や涙が流れたり、そういった期待に応えることのできる映画には、絶対にならない気がしています」とエンターテインメント系の映画とは一線を画した作品であることを強調した。(C)2015 映画「ブラフマン」製作委員会
2015年04月10日福岡・博多を拠点に活動するアイドルグループ「HKT48」が4月8日(水)、東京・明治座で上演する「HKT48 指原莉乃座長公演」をスタートさせた。140年の歴史を誇る同劇場で、女性アイドルグループが単独公演を行うのは初めてとなる。座長を務める指原さんは、「演技が下手なので、最初で最後の舞台になると思う」と相変わらずの自虐コメント。それでも「未熟ですが、メンバー全員で稽古を重ねたので、成長した私たちを見ていただければ」とアピールし、「もし失敗したら、責任はみんなにありますし、成功すれば、それは私の手柄です!」と笑いを誘っていた。また、悩んだ挙句、6月6日(土)に福岡・ヤフオクドームで開催される「第7回AKB48選抜総選挙」への出馬を表明したばかりで、「福岡で開催されるのをゴリ押しと言われるのは、不本意。でも出るからには、1位を目指します!」とセンター奪還を宣言。「地元なので、一人でも多くランクインするといいですね」とHKTメンバーの躍進にも期待を寄せた。芝居とコンサートの2部構成となる「HKT48 指原莉乃座長公演」。第1部では、スーパー歌舞伎を手がけてきた演出家で劇作家の横内謙介氏が書き下ろしたオリジナルの人情喜劇『博多少女歌舞伎「博多の阿国の狸御殿」』を上演し、第2部は『HKT48ライブ「踊る!たぬき祭り」』と題したコンサートを繰り広げる。本公演には座長の指原をはじめ、オーディションで厳選された宮脇咲良、兒玉遥、穴井千尋、今田美奈、植木南央、多田愛佳、熊沢世莉奈、坂口理子、田島芽瑠、朝長美桜、松岡菜摘、村重杏奈、本村碧唯、森保まどか、矢吹奈子が出演している。4月23日(木)まで全15公演。(text:cinemacafe.net)
2015年04月08日哀川翔主演、品川ヒロシ監督映画『Zアイランド』(5月16日公開)の映画連動企画として、オリジナルドラマ『Zアイランド~関東極道炎上篇~』が4月27日から動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」で配信される。本作は、哀川翔演じる宗形組組長・宗形と宿敵・反町(木村祐一)の対決の始まりが明かされ、不死身の感染者「Z」の襲撃に立ち向かう姿が描かれた映画に繋がる物語。劇中には映画主要キャストをはじめ、半グレ集団・関東狂走会のリーダー役に俳優の村上淳、村上と共に闘う元自衛官の兄弟役に俳優の上地雄輔と中尾明慶、ほかにも女優の黒沢あすからが参加する。舞台は映画『Zアイランド』の10年前。勢力拡大を図る反町組が、宗形組の弟分である半グレ集団の関東狂走会と衝突したことをきっかけに、武闘派組長、極悪非道の宿敵、元自衛官の半グレなど総勢13人の無法者たちによる、命とプライドを賭けたバトルが巻き起こる。哀川とは久しぶりの共演となった村上は、「哀川さんが入ってくる時の現場の雰囲気の変わりようを久しぶりに感じることができてうれしかったです」と語り、「お笑い芸人の方も多く出演されてますが、こういうさまざまなジャンルの方々が入る現場が好きなので、楽しかったです」と充実感をうかがわせる。一方、村上率いる関東狂走会のメンバーを演じる上地は、「笑顔や純粋に楽しんでいる様子を演じつつも、スイッチが入った瞬間に戦闘モードになって、何を考えているかわからない、猟奇的な一面を見せるような、役の中での振り幅を広く見せることを意識しました」と役作りのこだわりを説明。さらに映画の見どころについて、「監督もこだわり、今回の撮影の中で最も時間をかけた殺陣は、みんなが生身の身体で傷を作ってけがしながらでも稽古して作りあげたシーンなので、ぜひ注目してください」とアピールした。映画に引き続きメガホンをとった品川監督は、「(dビデオは)暴力描写とかアクションに特化していいというので、他の映画に比べ重点的に収録しています。今や映画も好きなことできないところもあって、やっぱり皆で見るような映画が好まれる中で、映画じゃできないようなことを全部dビデオで実現しました」とコメント。映画版よりハードに描いたというアクションシーンには、趣味で習い始めた格闘技の影響もあるそうで、「その中でもナイフトラッピングと呼ばれるアクションシーンがあるのですが、今回1番やりたかったところなので、そこはぜひ見てもらいたいです」と明かす。映画で主演を務めた哀川は、自身の演じた役柄を「ちょっと古いタイプの極道で、義理人情を大切にする昔かたぎなんですよ。あえて余計な事もしないし色んな所に口は出さないけど、親子の絆や自分の組のこと、人と人とのやりとりはきっちりしていて、極道の世界ではほそぼそと生きてる、そんなキャラクター」と、その魅力を分析。自身の芸能生活30周年を記念した映画のプロローグとなることもあり、「この作品を見てから、5月16日公開初日に合わせて見に来てくれると、より一層映画を理解できて楽しめると思うんで、ぜひ見てください」と呼びかけた。(C)2015「Zアイランド」製作委員会
2015年03月25日山田洋次監督にとって『男はつらいよ』以来、約20年ぶりの本格的喜劇映画となる『家族はつらいよ』(2016年3月12日公開)で、制作サイドが「挑戦のシーン」と語る場面の写真が6日、公開された。本作では、『東京家族』(2013年)で一家を演じた橋爪功、妻夫木聡、蒼井優ら8人のキャスト出演。「また次は、この家族で喜劇がやれたらいいですね」と山田監督と俳優陣の間で交わされた言葉をきっかけに再結集し、全く別の家族の今を生きる姿が描かれる。今回公開された場面写真は「家族会議」のシーンで、橋爪功と吉行和子の熟年夫婦と長男の妻(夏川結衣)、長女の夫(林家正蔵)、妻夫木聡と蒼井優の次男カップルが一堂に会している。この約20分にも及んだ長尺のシーンについて、制作サイドは「喜怒哀楽すべてが詰め込まれた挑戦のシーン」と説明。山田監督の「鋭い演出」により、5日間をかけて撮影されたという。結婚50年を迎えようとする夫婦を突如襲った離婚の危機。まさかの"熟年離婚"騒動に、子どもたちは大慌て。さらに、この騒動をきっかけに開かれた家族会議では全員の不満があちらこちらから噴出。果たしてこの家族はどうなってしまうのか。(C)2016「家族はつらいよ」製作委員会
2015年03月06日映画『クレヨンしんちゃん』シリーズの傑作を集めたオールナイト上映会が、3月28日に東京・池袋の新文芸坐で開催され、野原ひろし役の藤原啓治と原恵一監督が出演することが明らかになった。新文芸坐では、定期的にアニメ雑誌『アニメスタイル』との共同企画でアニメ作品をセレクトしたオールナイト上映会を開催。上映前にはクリエイターや出演者によるトークイベントも実施され、合わせて見どころとなっている。3月28日のオールナイト上映は、映画『クレヨンしんちゃん』の傑作選で、主人公の野原しんのすけの父親である野原ひろしにスポットをあてたプログラム。上映作品は、野原一家の活躍を描いた娯楽大作の第5作『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』(1997年公開)、名作として高く評価されている第9作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年公開)、昨年公開の最新作でひろしがロボットになってしまう第22作『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(2014年公開)の3本。さらに歴代映画『クレヨンしんちゃん』の予告編大会も予定されている。トークの出演者は、野原ひろし役の藤原啓治と、上映作品の「暗黒タマタマ大追跡」「オトナ帝国の逆襲」を手がけ、新作アニメ映画『百日紅』の公開を控えた原恵一監督。トークは藤原がメインとなり、原監督が藤原啓治に質問をする形で進んでいくという。上映会の前売り券は3月4日よりチケットぴあ、新文芸坐窓口で発売開始。(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014
2015年03月03日タレントの関根勤が初監督を務める映画『騒音』。このほど、本作の主題歌に大ブレイク中の人気芸人「どぶろっく」が担当することが明らかになった。「どぶろっく」が、映画の主題歌を手がけるのは本作が初となる。東京都S区。再開発に沸き立つ平和な街に、突如出現した謎の生物。人間の抵抗力を奪う有毒ガスを吐きながら、二足歩行で人々を襲う不気味な怪物の正体は「地底人」だった。逃げ惑う事しかできない区民たち。戦う術もなく、誰もが諦めかけたそのとき、有毒ガスへの耐性を持つ者が現れた。彼らはなぜかみんな、家庭や職場で虐げられている「ダサくてしょぼいオヤジ」たちだった。愛する家族、愛するS区を守るため立ち上がった五人の男たち!彼らは果たしてS区の救世主となれるのか?地底人と最低人たちの戦いがいま、始まる――。関根勤100周年(生誕60年+芸能生活40周年)を記念した本作には、温水洋一 、村松利史、飯尾和樹、岩井ジョニ男、酒井敏也、YOU、関根麻里、廣田あいか(私立恵比寿中学)、天野ひろゆき、ウド鈴木など個性的俳優陣が集結するなか、渡辺哲、タモリ、明石家さんま、車だん吉、小堺一機、戸田恵子、千葉真一、そして語りに山寺宏一となんとも超豪華なキャストが顔を揃える。2004年に結成した「どぶろっく」。「もしかしてだけど~」の歌ネタでブレイクしたが、今回は映画をイメージしオヤジたちへ向けた切ないバラード調の曲を制作。「どぶろっく」の2人は「映画『騒音』の主題歌『テカる星屑達』のイメージは、映画に散りばめられている笑いだけではなく、オヤジたちが格好つかないんだけど一生懸命で、報われなかったりもするんだけど、頑張っている。もの哀しくて切ない。そんな感じを出してみたいと思ってつくりました」と曲に込めた想いを語った。日本を代表するオヤジ俳優たちの哀愁漂う、せつない背中を「どぶろっく」のバラードで後押しする。『騒音』は5月23日(土)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年02月27日三池崇史監督、歌手のさだまさしらが24日、東京国際フォーラムにて行われた映画『風に立つライオン』(3月14日公開)の完成披露試写会に出席し、舞台あいさつを行った。大沢たかおが主演を務める本作は、アフリカ・ケニアで医療活動に従事する日本人医師・島田航一郎(大沢)とその周囲の人々の物語。ケニアの雄大な自然と長崎の五島列島を舞台に、三池監督が国境を超えた心の奇跡を描く。大沢は、さだまさしが1987年に発表した同名楽曲に感銘を受け、小説化と映画化を熱望。さだ自ら書き下ろした2013年発表の小説をもとに、大沢の主演で今回の映画化が実現した。これまで『殺し屋1』(2001年)、『悪の教典』(2012年)、『神さまの言うとおり』(2014年)などバイオレンス系の作品を多数手がけてきたことでも知られている三池監督。2012年には、当時AKB48に所属していた大島優子が、『悪の教典』の試写会で悲惨な描写に耐え切れずに涙を浮かべながら途中退席し、「私はこの映画が嫌いです。命が簡単に奪われていくたびに、涙が止まりませんでした」と語ったことでも話題になった。しかし、本作はそんな作風からは一転。"命のバトン"がテーマとなっている。三池監督は緊張した面持ちで登壇すると、「映画で感動していただくと同時に、映画を撮ることによって映画監督も社会人として更生できるんだなと。映画はやっぱりすごいもの。ダメな監督をちゃんとした人間に」と自虐コメントを交え、「さださんの思いからはじまって、島田航一郎のように自分たちも生きることができるんじゃないか」と感慨深げに語った。また、「一人ずつ感動する場所や泣ける場所が人生によって違うと思いますので。自分の中で感じていただければ」と本作に込めた思いを伝え、放映時間を「2時間18分54秒」と正確に報告。「ただ、さださんの歌が9分…それを引いていただくと2時間10分ぐらいの映画」とエンディング曲の長さに触れつつ、観客の笑いを誘った。これを受けてさだは、「映画を長くしたさだです」とあいさつ。本作を「すばらしいです。三池監督らしからぬ、どんどんどんどん人を殺しませんし、そういう意味では意外性のあるすばらしい作品」と絶賛した。この日はそのほか、出演者の大沢たかお、石原さとみ、真木よう子、鈴木亮平、萩原聖人も出席した。
2015年02月25日「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015」のクロージングセレモニー&授賞式が2月22日(日)に開催され、グランプリにAV業界の一端を描いた、自身もAV監督である50歳の森川圭監督による『メイクルーム』が選ばれた。これまでクエンティン・タランティーノや入江悠など若き才能を発掘し、若手監督の登竜門というイメージの強い「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」だが、50歳はグランプリ受賞監督としては過去最高齢となる。『メイクルーム』は森川監督が自身の経験やメイクスタッフへの取材を基に、AV撮影現場のメイクルームでのドタバタを描いた群像劇。森川監督は約30年前に助監督としてキャリアをスタートさせ、元「AKB48」の中塚智実主演のホラー作品『エクステ娘 劇場版』で商業映画の監督を務めたこともあるが、基本的には「AVをメインで撮影、監督してきた」とのこと。4年ほど前に本作の元となる舞台を自ら制作し小劇場で上演したが「舞台でしかできないものをという思いで作ったつもりでしたが、十分に映画で行けると思った」とプロットやセリフ、設定などはそのままに、本物のAV女優を起用して今回の映画を制作した。グランプリとして『メイクルーム』というタイトルが読み上げられると、森川監督は壇上に上がるも「何と言っていいか…、何か(賞を)いただけたらと思ってましたが、まさかグランプリを獲れるとは思ってなかったです」と驚いた様子だった。一緒に映画祭を訪れた関係者は監督を残して既に夕張を後にしてしまっていたが「みんな、獲ったよ!」とトロフィーを掲げ喜びを口にした。「オフシアター・コンペティション」部門の審査委員長を務めた大森一樹監督は『メイクルーム』の受賞と森川監督について「50歳と聞いてびっくり。若いことばかりがもてはやされるけど、その意味で50歳の監督にあげられたのは嬉しい。映画はある程度年齢がいって、世の中を知ったところでメッセージを伝えられる芸術。若けりゃ若い方がいいという映画祭の風潮に対し、ひとつのメッセージになる」と50歳のグランプリ監督を祝福した。森川監督は改めて年齢および、AV監督という経歴について触れ「僕の周りでAVを撮っている方は、みんな名前を変えてます。一般の映画を撮れなくなる可能性が高いし、CMも撮れないので。でも自分は、名前変えずにどこまでやれるのか?とやってきた。延々と続けて、50になってこういう形で賞をいただけて…。僕くらいの年でも評価してもらえるという事実ができて嬉しい」と気概を口にすると共に改めて受賞の喜びを語った。本作は現時点では劇場公開は未定で、今後、公開に向けて動いていくという。次回作について尋ねられると「許されるならパート2をやりたい。(本作の)3か月後の話で、脚本も出来上がってて、完結編になります」と明かした。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015」は2月23日(月)まで開催中。(text:cinemacafe.net)
2015年02月23日ユアン・マクレガーがピューリッツァー賞受賞の小説の映画化で監督デビューすることになった。主演も兼ねるという。ユアンが監督するのはフィリップ・ロス原作の小説「American Pastoral」(原題)の映画化で、ベトナム戦争時代の物語。順風満帆な生活を送ってきたビジネスマンの主人公が、愛娘が反体制活動に参加しテロ行動を起こしたことによって、人生が大きく変わってしまう。当初は『ソルト』のフィリップ・ノイス監督がメガホンをとる予定だったが、降板が決まり、すでに主演に決定していたユアンが監督挑戦へ意欲を見せた。ユアンは「何年も前から監督をやりたいと思い続け、語るべき物語が見つかるまで待っていました。この脚本はまさにそのストーリーがあったのです」と18日(現地時間)にコメントを発表した。主人公の妻をジェニファー・コネリー、娘をダコタ・ファニングが演じる。監督・主演を兼ねる大役への挑戦を「楽しみにしています」と語るユアン。撮影はペンシルヴェニア州ピッツバーグで来月から開始を予定している。(text:Yuki Tominaga)
2015年02月20日映画『ムーミン南の海で楽しいバカンス』が間もなく公開になる。日本でも愛され続けているトーべ・ヤンソンの人気作を映画化した作品だが、監督を務めたハンナ・ヘミラは、原作のテイストをアニメに盛り込むことにこだわったという。来日時に話を聞いた。その他の写真『ムーミン』シリーズは1945年に発表され、今でも根強い人気を誇っているシリーズで、ムーミン谷で暮らすムーミン一家と仲間たちの物語を描いている。今回の劇場版ではムーミン一家とイタズラ好きのリトルミイが地中海沿岸のリビエラにバカンスに出かけて騒動に巻き込まれる物語が描かれる。本作は全世界で44の言語に翻訳されており、テレビアニメシリーズは124か国で放映された。当然、これまでもいくつもの映画化企画があがったが、ヘミラ監督は「近頃のアニメは3DやCGが主流ですがムーミンの場合、立体にすると造形が難しいので原作の資質を失わずにアニメ化するのはハードルが高かったのではないでしょうか?」と分析する。そこで監督たちは、トーべの姪ソフィア・ヤンソンの承諾を得て、全編を手描きの2Dアニメで映画化することにした。「2Dの手描きアニメは現在の主流ではありませんから、スタジオを見つけるのも苦労しました。しかし、私たちはトーべさんに対するオマージュとしてこの映画を作りたかったし、彼女の線の美しさを活かしたかったので、手描きアニメにしたのです」。製作陣のこだわりは脚本作りにも反映されている。「私たちはオリジナルに立ち戻りつつ、エンターテインメントとしてしっかりと楽しめる映画を作りたいと思いました。この映画はトーべさんの書籍のエピソードを原作にしていますが、そのまま映画化してしまうと15分か20分にしかなりません。ですから、彼女が描いた他のエピソードやスタイルを借りながら話を膨らませて、動きや音楽や色彩を駆使して映画作りを進めていきました。このドラマは1950年代にトーべさんがお母様とリビエラに旅に出た際の思い出や想いが反映されたものです。ですから、彼女の体験をムーミンに置き換えて綴った物語でもあるのです」。手間のかかる手描きアニメを採用し、白黒のコミックに色彩を追加し、原作を繰り返し読み込んで脚本作りがされた本作は、監督の語る通り、トーべ・ヤンソンが描こうとしたムーミンの世界そのままだ。アニメシリーズやグッズでムーミンに親しんできた日本の観客は、どこか懐かしく、同時に新鮮な想いを抱くだろう。「この映画はフィンランドやスウェーデンだけでなく欧州圏やアラブ諸国、香港、オーストラリアなど数々の国で公開が決まっています。私は『ムーミン』は“コミュニティ”と、大きな意味での“家族”を描いた物語だと思っていますから、異なったコミュニティでこの映画が公開されて、観客がこの映画をどのように観てくれるのか楽しみにしています」。『劇場版ムーミン南の海で楽しいバカンス』2月13日(金) 全国ロードショー
2015年02月12日累計発行部数1,000万部を突破した漫画『テラフォーマーズ』(集英社)が2016年公開に向けて実写化されることが決定し、三池崇史監督がメガホンを取ることが12日、明らかになった。原作は、2011年に漫画雑誌『ミラクルジャンプ』で連載を開始し、2012年には『週刊ヤングジャンプ』に移行。昨年7月から11月にかけて、人気キャラクターを主人公にしたスピンオフなど合計3作品が連載され、同年8月にはテレビアニメ化されるなど、多方面でその人気が広がっている。物語の舞台は西暦2599年。火星に苔とゴキブリを放ち、苔の黒さで太陽光を吸収させて人が住める環境へと人為的に変化させるテラフォーミング計画。その環境下で人型へと進化したゴキブリを駆除するために、15人の若者が地球から火星へと送り込まれた。"テラフォーマー"とは500年で急速に進化した"ゴキブリ"のことをさしている。撮影開始は5月中旬を予定しており、ロケ地やキャスト情報については順次発表される。三池監督は「『スゲー漫画』から『スゲー映画』が生まれることを証明しようと思う」と宣言し、「映画をナメたら火傷するぞ!」と自信満々に呼びかけている。一方、原作・原案担当の貴家悠氏は「映画になります…!! 母さん…『あんたの漫画ゴチャゴチャしてて全く何やってるのか分かんないけど、就職はいつすんの?』とはもう言わせません…映画になるんですよ、母さんッ!!!」と感激のコメント。作画担当の橘賢一氏は実写化の話に最初は驚きを隠せなかったものの、三池監督が手がけることを聞いて「ああ、これはいける…ッ!」と確信したという。
2015年02月12日ゴキブリが超進化する…という斬新な設定で連載当初から話題となったコミック「テラフォーマーズ」(集英社刊)が実写映画化されることが決定!三池崇史監督がメガホンを握り、2016年に公開することが明らかとなった。原作は、「このマンガがすごい!2013」オトコ編で第1位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2013」では第2位を獲得し、現在11巻まで出版されている単行本の累計発行部数は1,000万部を突破している人気作だ。昨年には、テレビアニメ化&OVA化も果たしている。原作コミックでの物語は、火星のテラフォーミング(※人為的に惑星の環境を変化させ、人類の住める星に改造すること)用に放たれたゴキブリが人型へと進化…一方、地球では火星から飛来した未知のウイルスが蔓延する。そのワクチンを作るためウィルスのサンプルを手に入れようと、特殊な人体改造・MO手術を施された人間たちが火星で壮絶なバトルを繰り広げるSF作品だ。今回の実写映画化にあたり、原作の貴家悠さんは「映画になります…!! 母さん…『あんたの漫画ゴチャゴチャしてて全く何やってるのか分かんないけど、就職はいつすんの?』 とはもう言わせません…映画になるんですよ、母さんッ!!!」と喜びを爆発させる。一方、作画の橘賢一さんは「実写映画にしてもらえるかも、という話を聞いてはじめに出た言葉は『まじで!?』でした」とオファー当時をふり返る。「どういう風に実写映画にするのか…、僕にはまったく見当がつかなかったのです。しかし、メガホンをとるのが三池監督に決まり、『ああ、これはいける…ッ!』と直観しました」とすでに光明は見えたとコメントを寄せている。実写映画化にあたっては2年ほど前から準備を始めてきたそう。三池監督も「『スゲー漫画』から『スゲー映画』が生まれる事を証明しようと思う。映画をナメたら火傷するぞ!」と相当な気合いで臨む様子。ロケ地やキャスト情報などはまだベールに包まれているが、果たしてキャスティングは?火星に巣喰う人型ゴキブリ“テラフォーマー”は特殊メイクなのか、CGで描くのか?三池監督の手腕に注目が集まりそうだ。実写映画『テラフォーマーズ』は、5月中旬より撮影開始を予定、2016年に公開される。(text:cinemacafe.net)
2015年02月12日山田悠介の小説を基に繰り返し映像化されてきた『リアル鬼ごっこ』を園子温監督がオリジナルのストーリーと設定で映画化することが発表になった。登場人物は全員女性で、トリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜がヒロインを演じる。小説『リアル鬼ごっこ』は、2001年に発表され、発行部数200万部を突破するベストセラーになり、映画が5作品公開され、連続ドラマ化されるなど現在も人気を集めている。今回、園監督は原作にインスパイアされたオリジナルの脚本を執筆。修学旅行中に謎の“瞬殺ストーム”に追われる高校生ミツコ(トリンドル)、なぜか花嫁になり豚の顔をした花婿と結婚式を挙げさせられる高校生ケイコ(篠田)、マラソンレース中にマシンガンをぶっ放す女教師に追われる高校生いずみ(真野)が必死に逃げる過程で、なぜ彼女たちが追われているかが明らかになっていく。園監督は「今、連続して、『ラブ&ピース』『ひそひそ星』と、オリジナルを作っていて、この作品もオリジナルストーリーとして3本目になりますが、前2本とも僕のファンが期待しているようなグロテスクな作品ではないので、そういう意味では、この作品はみんなが僕に求めているもの、期待している園子温作品を久々に出せると思います」と言い、「トリプルヒロインの3人とも、みなさんが思っている、例えば『トリンドルさんだったらこうでしょ』という像は破壊され、新鮮な新しい彼女達が見えるかと思います。彼女達にとっても今後、役どころが増えていくような幅の広がりが日々見えています」と語っている。プロデューサーの谷島正之氏は「本作は単なるリブート企画ではありません。まったく新しい、オリジナルなリアル鬼ごっこを作りたかった。だから園子温監督を招いた」と説明。「観客の想像を裏切り、期待を上回る、それが映画だと思ってつねに製作していますが、園子温は撮影の時点から、毎日目の前でそれが起こっています」とコメントしている。映画は10日のクランクアップを目指して現在、撮影中で、7月に公開される。『リアル鬼ごっこ』7月11日(土)、全国ロードショー
2015年02月09日『ドロップ』『漫才ギャング』『サンブンノイチ』など映画監督としても活躍する芸人・品川ヒロシの監督最新作『Zアイランド』。このほど本作で映画初出演を果たす、歌手でドラマーのシシド・カフカの“ゾンビ化”した姿が公開された。謎の病気が蔓延した島“Zアイランド”を舞台に、ヤクザ同士の抗争に加え、ゾンビとの熾烈な戦いを描く本作。主人公・宗形組組長の宗形を演じるのはベテラン俳優・哀川翔。さらに鶴見辰吾、鈴木砂羽、宮川大輔、窪塚洋介、般若など個性的な面々が名を連ねている。そんな本作でカフカさんは、ナースの直美役として登場。普段のクール&ビューティーな美貌を封印し“ゾンビメイク”での演技に挑戦したが、ゾンビ化の感想については「ゾンビに変身したのは初めてでしたので、何か強い仮面を与えられたようでゾンビ化した後の“直美”は、より大胆に演じられた様に思います」と語る。さらに、「なかなか自身の演技を素直には観る事が出来ないのですが、ある登場人物の指を食べているシーンは楽しんで観る事が出来ました」とも告白。カフカさんは本作で劇伴のドラムも担当しているとのこと。ドラマーと女優、2つのシシド・カフカの魅力に注目だ。『Zアイランド』は5月16日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年02月05日2月13日(金)に横浜で映画監督や撮影監督を目指す人に向けたセミナー“PFF映画製作特別セミナー VOL.1~第23回PFFスカラシップ作品『過ぐる日のやまねこ』の撮影テクニックについて~”が開催される。その他の写真イベントは、“CINEMA EOS SYSTEM SPECIAL SEMINAR”の第一部としてブリリア ショートショート シアターで開催され、映画『過ぐる日のやまねこ』の上映の後、本作を手がけた鶴岡慧子監督、撮影を担当した小川努氏、日本映画界を代表する撮影監督のひとり、柳島克己撮影監督が登壇し、効果的な撮影方法やテクニックなどについて語り合う。イベントは入場無料だが、完全招待制でPFFの公式サイトで参加希望を受け付けている。『過ぐる日のやまねこ』は、幼少期に体験した父の死を機に当時の記憶が曖昧な時子と、身近な人の死によって孤独感を抱えている高校生・陽平が田舎町で出会い、行動を共にする過程で、ふたりの“死”にまつわる真実が明らかになっていく様を描いた作品。PFF映画製作特別セミナー VOL.1~第23回PFFスカラシップ作品『過ぐる日のやまねこ』の撮影テクニックについて~2月13日(金) 14時開始会場:ブリリア ショートショート シアター入場無料・完全招待制
2015年02月04日映画『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督の新作『あの日の声を探して』が4月24日(金)より公開されることが決定し、ポスタービジュアルが発表された。アザナヴィシウス監督は、映画公開に合わせて、3月18日(水)と19日(木)に来日する。その他の画像本作は、アザナヴィシウス監督が、1946年にアカデミー賞4部門にノミネートされた名作『山河遥かなり』から着想を得て製作した人間ドラマで、1999年、ロシアに侵攻されるチェチェンを舞台に、両親を殺され、声を失った9歳の少年ハジが辿る運命を描く。「私が監督として立ちたい場所にある作品」とアザナヴィシウス監督が語る本作は、グルジアでのロケを敢行し、全編手持ちカメラを用いて、徹底的にリアリティを追求した作品になっているという。オーディションで選ばれた素人のチェチェンの少年が主人公ハジを演じ、『アーティスト』のベレニス・ベジョ、『キッズ・オールライト』のアネット・ベニングら実力派俳優が脇を固めている。『あの日の声を探して』4月24日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
2015年02月03日北野武監督の最新作『龍三と七人の子分たち』の公開を記念して、劇中で大暴れする主人公ら“ジジイたち”のイラストをプリントした“痛快!モバイルクリーナーステッカー”付特別鑑賞券・ムビチケカードが、1月31日(土)より全国の上映劇場で発売されることが決定した。その他の写真本作は、引退した元ヤクザの親分が昔の仲間たちと団結して、世直しのため、詐欺集団のガキどもに立ち向かう姿を描いたジジイ大暴れエンタテインメント。主演の藤竜也が龍三を演じ、その子分である7人のジジイを近藤正臣、中尾彬、小野寺昭、品川徹、樋浦勉、伊藤幸純、吉澤健が演じる。モバイルクリーナーステッカーは、ステッカーとしてモバイル機器の裏に貼り付けることができ、剥がせばクリーナとしても使えるグッズ。イラストは全10種類あり、龍三親分とジジイ7人のほか、安田顕演じる若造詐欺師集団のボス・西と、ビートたけし演じる刑事・村上の2種類がレアキャラとして用意されている。イラストの横には龍三親分の「義理も人情もありゃしねぇ」など、それぞれの決めゼリフもプリントされている。今回の特典は、本編完成後に実施した試写アンケートで「ジジイたちのキャラが濃い!」や「ジジイたちがかわいい!」と支持されたことを受けて、藤、近藤、中尾ら超ベテラン俳優たちが演じる“ジジイたち”をかわいいイラストにすることが決まったという。『龍三と七人の子分たち』4月25日(土)全国ロードショー
2015年01月30日今年、生誕100年を迎える市川崑監督の傑作『雪之丞変化』『炎上』『おとうと』が4Kデジタル復元され、2月から開催される第65回ベルリン映画祭のフォーラム部門で上映されることが決定した。その他の写真市川崑は、アニメーターとして活動した後、1948年に『花ひらく』で監督デビュー。『ビルマの竪琴』『東京オリンピック』『犬神家の一族』『ぼんち』『野火』など数々の傑作を発表し、徹底的にこだわり抜いた画作りと観客をアッと驚かせる語り口で人気を博した。このほど4Kデジタル復元されたのは3作品。『雪之丞変化』は名優・長谷川一夫の当たり役・中村雪之丞を主役に据えた作品で、大胆な色使いと構図が特徴的な1作。『炎上』は監督と繰り返しタッグを組んできた市川雷蔵を主演に迎えて三島由紀夫の小説『金閣寺』を映画化した作品だ。幸田文の小説を名脚本家・水木洋子が脚色した『おとうと』は岸惠子、川口浩を出演者に向かえた傑作で、カメラマン宮川一夫が“銀残し”という手法を用いて描いた色彩も高く評価された。今回の復元は現存する最良のフィルムを4Kを超える解像度でスキャンし、ゴミや傷、色むらをすべてデジタルで補正。公開時の質感を最大限に尊重して復元を行ったという。今回の映画祭出品について岸惠子は「深川の土手に桜の木を植えて、『おとうと』が撮影されたのは54年もむかし。その古いフイルムが、市川崑監督の生誕100年を記念して新技術のお蔭で蘇りました。女優としての私に大事な道しるべをくれた『おとうと』。今の若い方たちにはどんなふうに観ていただけるのでしょう?心配と希望で胸が高鳴ります」とコメントしている。また、3作品が3月に開催される第39回香港映画祭にも出品されるほか、監督の生誕100周年を記念する様々な企画が進行中だという。
2015年01月21日カンヌをはじめ各国の映画祭で高い評価を集める河瀬直美監督の映画『2つ目の窓』のブルーレイ&DVDが本日リリースされたのを記念して、河瀬監督が作品に込めた思いを語る特典映像の一部が公開された。特典映像の一部本作は、河瀬監督が自身のルーツである奄美大島を舞台に、ふたりの高校生の初恋と成長、そして彼らを取り巻く大人たちの生き方を通して、命のつながりや人と自然との共存について描いた作品。オーディションで選ばれた村上虹郎と吉永淳が主演を務め、杉本哲太、松田美由紀、渡辺真起子、村上淳らが共演する。『萌の朱雀』『沙羅双樹』『殯〈もがり〉の森』など河瀬監督がオリジナル脚本で手がけた作品としては7作目となる本作は、カンヌ映画祭コンペティション部門に正式出品されたほか、ウラジオストク映画祭でグランプリを受賞、サハリン映画祭では主演女優賞(吉永淳)を受賞した。このほど公開された特別映像は、ブルーレイ&DVDに収録される特典映像の一部を抜粋したもので、リリースに際して河瀬監督は「奄美大島の自然は世界一です。朝日の神々しさ、満月の夜の神秘、そのどれもがフィルムに刻まれている。そこに少年少女のほとばしる生命力。言葉では言い表せないものの数々を繰り返しブルーレイ&DVDで体感してください」とコメントを寄せている。本日リリースされたブルーレイ&DVDは特典映像満載の2枚組仕様で、初回版にはスペシャルアウターケースとブックレットが付いてくるほか、制作日記が封入される。特典映像には、メイキング・オブ・『2つ目の窓』、ナビゲーション番組(映画『2つ目の窓』から見える風景 カンヌの窓から/奄美の窓から)、カンヌ映画祭記などが収録される。『2つ目の窓』ブルーレイ&DVD 発売中ブルーレイ:5500円(税別)DVD:4500円(税別)発売・販売元:ポニーキャニオン(C)「FUTATSUME NO MADO」JAPANESE FILM PARTNERS, COMME DES CINEMAS, ARTE FRANCE CINEMAS, LUIS MINARRO
2015年01月21日映画『愛のむきだし』(2009年)や『ヒミズ』(2012年)などで知られる園子温監督が初めて特撮怪獣映画に挑戦する最新作『ラブ&ピース』が、主演に長谷川博己を迎え、2015年初夏に全国公開されることが决定した。園監督のオリジナル作品で、初の特撮を用いた演出で挑む本作は、一人の冴えないサラリーマンを主人公に、崩壊する東京の街に巨大化した"LOVE"=愛の怪獣が東京の街に現れるという驚愕の超展開。「血が出ない」「誰も死なない」「エロくない」とこれまでの"園子温ワールド"のイメージと一線を画しながらも、園監督らしい展開はそのままに、愛と希望と夢で綴られた極上エンターテインメントに仕上がっているという。園監督は「この作品は俺の魂の集大成だ」と本作への意気込みを語っている。キャスト陣は、うだつの上がらない日々を過ごすサラリーマンの鈴木良一を長谷川が演じ、彼が想いを寄せる女性・寺島裕子を麻生久美子、物語の鍵を握る謎の老人役を西田敏行が務める。そのほか、渋川清彦、奥野瑛太、マキタスポーツ、深水元基、手塚とおる、田原総一郎、水道橋博士、宮台真司、茂木健一郎、津田大介、真野恵里菜、神楽坂恵、松田美由紀と豪華出演陣が集結。さらには、本作の特撮を駆使したキャラクターたちの声に、星野源、中川翔子、犬山イヌコ、大谷育江と、個性的な俳優・声優たちが名を連ねている。園監督作品では二度目の出演となる長谷川は「一人の冴えないサラリーマンがロックスターになる、そして怪獣が出てくる特撮映画だ、と聞いて一体どんな映画なのか想像がつきませんでしたが」と前置きしつつ、「出来上がった作品をみて不覚にも涙しました。見る人たちそれぞれにカタルシスのある作品です」と称賛。「過酷な撮影は、二度と園監督の作品に出たくない! とも思わせましたが、やはりやって良かった! また新たな一面を引き出していただきました。園子温監督の自由な発想、魂の叫び、また皆さんが度肝を抜かれる事となるでしょう」と期待を寄せている。また、麻生は「ストーリーもファンタジーで心に響き、今まで観たことのない素敵なとんでもない映画。やっぱり園さんの才能は計り知れない凄さがあると思いました。」、西田は「出来上がった作品は素晴らしく、手に汗握りながら最初から最後まで楽しく観ました。とても園子温監督らしい映画だと思います」とそれぞれに太鼓判。特にTVドラマ『時効警察』で園監督作品に出演した麻生は「衣装合わせの時には、とにかくダサく、色気はゼロで麻生久美子だとわからない感じでやって欲しいと言われたので、今までにない自分を引き出して貰えそうでワクワクしたのを覚えています」と撮影を振り返っている。そして発表に合わせて、本作のティザービジュアルと特報映像も公開。ティザービジュアルを手がけたのは、漫画家・イラストレーターとして活躍している山田章博氏で、アートディレクションは本編で特技監督を務めている特撮界の俊英・田口清隆氏が担当している。(C)「ラブ&ピース」製作委員会
2015年01月20日ジャン=リュック・ゴダール監督の『さらば、愛の言葉よ』が、約60人から成る全米映画批評家協会のベスト作品賞を受賞した。次点は、リチャード・リンクレイター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』。『さらば、愛の言葉よ』は、3Dで撮影された、実験的かつ野心的な69分の映画。昨年のカンヌ映画祭のコンペティション部門で上映され、審査員特別賞を受賞している。その他の画像主演男優賞は『ミスター・ターナー(原題)』のティモシー・スポール、主演女優賞は『Two Days, One Night(英題)』のマリオン・コティヤールが受賞。助演男優賞は『ウィプラッシュ(原題)』のJ・K・シモンズ、助演女優賞は『6才のボク~』のパトリシア・アークエットが獲得した。監督賞には『6才のボク~』のリンクレイター、脚本賞には『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソンが輝いた。文:猿渡由紀
2015年01月05日『アナと雪の女王』は今年度最大のヒット映画、主題歌の「レット・イット・ゴー」はもはや知らない人はいないというほどの人気曲となった。本作の監督ジェニファー・リーはなんと、主題歌「レット・イット・ゴー」の“あまりの人気に”謝罪をしたのだと「The Hollywood Reporter」のインタビューにて明らかにした。「1年前、人々に会って私が誰だか分かるとみんな、“ああ!歌が大好きだよ。いつも歌ってるんだ”って言ってきたの」とジェニファーは語った。「雪だるまつくろう」「生まれてはじめて」など数々のヒット曲に恵まれた今作だが、日本でも“ありのままで”のフレーズで大きく話題になった「レット・イット・ゴー」は群を抜いて人気であり、まさに不動の地位を確立しているといえるだろう。ジェニファーは「いまもみんな『うん。まだ聞き続けてるよ』って言うの。(ここまでくると)“ありがとう”から“ごめんなさい”になってしまったわ」と、人気のあまり申し訳なく思っていることを語った。また、女王エルサ役のイディナ・メンゼルも過去に同じような謝罪をしている。彼女も「CBS Sunday Morning」にて、「子どもがうんざりするほどこの曲を流している両親のみなさんに謝るわ」と世界中の親たちに同情を寄せていた。人気がありすぎて謝罪というのも贅沢な話だ。すでに続編の公開も決定している、監督の気持ちとは裏腹に(?)まだまだ人気は続きそうだ。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アナと雪の女王 2014年3月14日より2D/3Dで同時公開(C) Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
2014年12月17日サンフランシスコ映画批評家協会が、『6才のボクが、大人になるまで』を今年の最優秀映画に選んだ。同作品からは、ほかにリチャード・リンクレーター監督が監督賞を、パトリシア・アークエットが助演女優賞を受賞したほか、編集賞も獲得した。その他の写真主演男優賞に輝いたのは、『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のマイケル・キートン。主演女優賞は『アリスのままで』のジュリアン・ムーア、助演男優賞は『バードマン…』のエドワード・ノートン。脚本賞は『バードマン…』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、脚色賞は『Inherent Vice(原題)』のポール・トーマス・アンダーソン、外国語映画賞はポーランドの『Ida(原題)』が獲得した。文:猿渡由紀
2014年12月16日特撮怪獣映画『ゴジラVSビオランテ』(1989年)をはじめとした平成『ゴジラ』シリーズの特技監督で知られる川北紘一さんが5日、肝不全のため都内の病院で死去したことがわかった。72歳だった。川北さんが代表取締役を務めるドリーム・プラネット・ジャパンがFAXを通じて発表し、葬儀、告別式は近親者で営まれた。喪主は妻繁子さん。後日お別れの会が予定されている。川北さんは、東宝の特殊撮影係を経て、『ウルトラマン』シリーズで知られる円谷英二特技監督をはじめ、有川特技監督、中野特技監督に師事。1972年には、特撮TVドラマ『ウルトラマンA』で特撮を初演出している。そして、平成『ゴジラ』シリーズと呼ばれる『ゴジラVSビオランテ』(1989年)から『ゴジラVSデストロイア』(1995年)までの計6作品で特技監督を務め、現在のところゴジラ映画における"特技監督"の肩書をもつ最後の人物だった。(『ゴジラ 2000ミレニアム』以降は「特殊技術」というクレジットに変わる)。初代・特技監督の円谷英二氏に師事した川北さんは、怪獣映画の草創期を知る人物で、文字通り"特撮の生き字引"として活躍した。2003年には、株式会社ドリーム・プラネット・ジャパンを設立して代表取締役に就任し、平成『ゴジラ』シリーズのスタッフを集めて特撮TVドラマ『超星神グランセイザー』を制作。以降の「超星神シリーズ」、2006年に公開された特撮映画『超星艦隊セイザーX~戦え!星の戦士たち』の特撮演出を担当した。2013年には、大阪芸術大学の客員教授も務め、「映像美術論」という講座で学生に特撮を教えていた。川北さんは今年9月のインタビューにて「今はデジタルで何度でも撮り直しが利くし後で加工もできるから、学生は片っ端からバシャバシャ撮っちゃうんだよ(笑)。だけどそれじゃあ新しい映像作りというものは生まれない。そのために特撮の、やり直しがきかない緊張感というものを教えてるんだ。やっぱり特撮は現場で学ぶしかないからね。座学なんかじゃ何も学べないんだ」「彼らの中から1人でも次の映像作りを支える監督やスタッフが育ってくれればいいなあと思ってるんだけどね」と自身の特撮への想いを伝えていた。twitterでは、川北監督が特技監督を務め、1989年に公開された『ガンヘッド』にマット画の助っ人として参加した"怪獣絵師"で知られるイラストレーターの開田裕治氏、『超星神グランセイザー』の制作時に企画デザインを描いたというアニメーション監督、メカニックデザイナーのさとうけいいち氏、『ガンヘッド』や『ゴジラVSビオランテ』などで従事したアベユーイチ監督など、多く関係者や親交のあった人々から続々と追悼メッセージが寄せられている。
2014年12月11日9月の東京開催に続き、京都、名古屋、神戸、福岡での開催を控える「第36回ぴあフィルムフェスティバル」(PFF)。東京では特別企画「映画監督への道~私を駆りたてるもの~」と題し、公開中の『超能力研究部の3人』や来年公開の『味園ユニバース』など話題作を発表し続ける山下敦弘監督のトークセッションが行なわれた。地方開催を前に改めて山下監督に、この特別企画のテーマに沿ってPFF、そして映画作りについて話を聞いた。その他の写真大阪芸術大学在学中から映画を制作してきた山下監督。PFFとの関わりについて「先輩の熊切(和嘉/映画監督)さんが、『鬼畜大宴会』でPFF準グランプリを獲ったこともあり、自分も出そうと思ったんですが、ちょうど自分の卒制の『どんてん生活』が大阪の作品の特集上映の形でPFFで上映されて、コンペには出せなかったんですよ」と語る。ゆえに自作を出品することはなかったが「僕は大阪で作っていたけど、PFFは全国から来た人たちが一堂に会して“同期”のような感覚で刺激し合っていて、そういう交流の場がうらやましい気持ちもありましたね」と明かす。「やはり認められたいという気持ちはあった。賞を獲れば次にも繋がるし自信にもなる。負けることも多いけど、それがバネにもなった。そこでの競い合いってすごく重要でしたし、自分の作品が海外の人の目に触れるというのはすごく感動的でした」。既にメジャー作品の監督として十二分に認知される存在になった。「まだ自分の中では“プロ”とか“映画監督”という立場に関して揺れ動いてる……」と苦笑しつつ、映画作りの“原動力”についてはこんな話も。「初期の衝動、自分の中から出てくる『やりたいこと』というのはすごく大事ですが、でもそれは最初の1~2本ですよ。そこから先、何ができるか?いまの自分は企画をいただいたり、原作にヒントをもらって作る場合も多いけど、例えば『このキャストなら魅力的な作品ができそう』とか『こうすれば面白い』という、他人の企画が“譲れない”自分の作品になる瞬間がある。その感覚が大事だなと思います」。さらに原動力を突き詰めれば「『他人と違うことがしたい』とか『モテたい』とかだった(笑)」。それでも「作ってる最中は夢中で、全力を注いだら、その分だけ返ってくるリアクションや感動があった」と言葉に力を込める。「それは映画祭であれ、大学であれ周りの人間がいたから。若い人たちにとっては機材などの点で映画作りが以前より手軽になったと思いますが、だからこそ『映画は一人では作れない』という言葉の意味を強く感じます」。取材・文・撮影:黒豆直樹第36回PFFぴあフィルムフェスティバル12月13日(土)から19日(金)まで京都シネマ12月18日(木)から21日(日)まで愛知県芸術文化センター12月20日(土)から23日(火・祝日)まで神戸アートビレッジセンター2015年1月3日(土)から9日(金)まで京都シネマで開催
2014年12月11日映画監督・写真家の長谷井宏紀が、ヴェネチア映画祭「カレッジシネマ部門」にて日本人として初めて選出されたことが発表され、イタリア・フィリピン合作で製作される長編映画『BLANKA』(仮)で長編映画監督デビューを果たすことが決定した。ヴェネチア映画祭の「カレッジシネマ部門」は、世界中から新人映画監督を発掘し育成するプロジェクトで、今年は世界中から約400ほどの応募があり、12企画(イギリス、イタリア、フランス、ポルトガル、ブルガリア、スリランカ、ニュージーランド、アルゼンチン、ブラジル、ブルガリアなど)が選ばれ、最終選考では3つのプロジェクト(イタリア、ポーランド、アメリカの企画)に絞られた。この3作品は、ヴェネチア・ビエンナーレとヴェネチア国際映画祭より出資を受け製作されることが決定。2015年9月のベネチア映画祭にてプレミア上映が行われる予定となっている。これまで、世界各国の映画や映画祭で活動する一方、CHARAや「THE BACK HORN」などのミュージックビデオなども手掛けるなど、幅広いフィールドで活躍してきた長谷井さん。今回の『BLANKA』(仮)では、脚本・監督を務め、現在イタリア人プロデューサのフラミーニョ・ザドラ(ドルジェ・フィルム)と制作に入っているとのこと。作品自体は、フィリピン・マニラの路上で生きる子どもたちを主人公としたロードムービーとなるようで、すべてストリート・キャスティングで俳優を採用するとのことだ。(text:cinemacafe.net)
2014年11月28日2015年1月、シネスイッチ銀座ほかで公開されるイギリス映画『おみおくりの作法』。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で「監督賞」含む4賞ほか、数多くの映画祭を席巻してきた本作は、身寄りなく亡くなった人を弔う仕事をする公務員、いわば“イギリス版おくりびと”のような主人公の物語。本作のようにいままでなかなか知られなかった職業や、初めて耳にする職業にスポットをあてた映画は数多い。今回は、そんな一風変わった仕事を描いた映画の数々をピックアップ。また、本作のようにコツコツ真面目に仕事と向き合うことから人生が輝きだす主人公たちにも注目してみた。『おみおくりの作法』は、ひとりきりで亡くなった人を弔う、几帳面で誠実なロンドン市の民生係ジョン・メイが、故人の人生を紐解き、人と出会うことで新たな人生を歩みだす物語。死者にも、誰に対しても丁寧にあたたかく向き合う主人公の姿と思いがけないラストには、万国共通に観る者の胸を打ち、ヴェネチア国際映画祭始め、世界各国の映画祭で数多くの賞を受賞した。監督は大ヒット作『フル・モンティ』を生み出した名プロデューサー、ウベルト・パゾリーニ。死と向き合う民生係という難しい役どころを情感豊かに演じるのは、『戦火の馬』『思秋期』などで知られる、イギリスを代表する名優、エディ・マーサン。また、共演には、大ヒットTVシリーズ「ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館」で注目されているジョアンヌ・フロガットなど、個性的な俳優が集結する。こんなお仕事まで! 映画から知る珍しい職業の数々例えば、本作『おみおくりの作法』の舞台となったイギリスでは、実際に主人公のジョン・メイと同じ仕事をしている民生係は存在するものの、その職業についての認知度は低く、映画を観るまで「こういった職業があることすら知らなかった!」とも言われていたという。日本でも、葬儀にあたり亡くなった人の体を清め、おくりだす納棺師という職業の主人公を描いた『おくりびと』では、納棺師という職業に初めてスポットが当てられた。同作は改めて日本の葬儀様式や死生観、“おみおくり”について考えさせる作品となり、第81回アカデミー賞「外国語映画賞」受賞するなど、海外でもそれは受け入れられていた。また、パゾリーニ監督のプロデューサー作『フル・モンティ』では、やむなく男性ストリッパーとなった男たちを描いており、“クリニクラウン”(クリニック+クラウン:道化師)と呼ばれる個性的な医師が主人公となるロビン・ウィリアムズ主演『パッチ・アダムス』、武器商人を描いた『ロード・オブ・ウォー』、風俗店の風変わりなサービスを描く『やわらかい手』、数学者の苦悩を描いた『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』、映画予告編や映画音楽の製作者が登場する『ホリデイ』、ピアニストの演奏中に楽譜をめくる『譜めくりの女』などのほか、スパイク・ジョーンズ監督がオスカー「脚本賞」を受賞した『her/世界でひとつの彼女』では、“手紙の代筆行”をしている主人公とOSとの恋がテーマとなった。堺雅人主演、沖田修一監督の『南極料理人』では、南極観測隊員たちのために基地で食事を作る料理人が主人公となり、思いもよらない南極での生活や、限られた食材(生もの一切なし)で食事を作る工夫と困難、そして食事を通して人々の想いが繋がっていく様がコミカルに描かれていた。一方、オスカー俳優フォレスト・ウィテカーが主演した『大統領の執事の涙』では、1950~80年代という激動の時代のアメリカで、アイゼンハウワー、ケネディ、ニクソン、レーガンら8人の大統領のもとで歴史を目撃してきた黒人の執事の人生に迫ったことも記憶に新しい。イギリス発といえば、ジュリアン・ジャロルド監督『キンキーブーツ』では、倒産寸前の靴工場で、ひょんなことから知り合ったドラァグクイーン(キウェテル・イジョフォー)の助言を元に女物の紳士靴=キンキーブーツを作り出し、再起をかける靴職人(ジョエル・エドガートン)を描き、次第に育まれてゆくふたりの友情も見どころとなっていた。頑張った分だけ人生が輝くことを教えてくれる、お仕事映画さらに、『おみおくりの作法』では、主人公ジョン・メイはプライベートも仕事も、何事も丁寧に規則正しくこなす人物だが、彼が最後に担当した“おみおくり”の仕事と真剣に向き合うことによって、その人生が変化していく姿も物語の重要なテーマだ。仕事が人生のすべてではなくても、仕事によって人生が変わる可能性はある。優しい視点から、そう教えてくれる映画は、これまでにも数多く公開されてきた。黒澤明監督によるヒューマンドラマの名作『生きる』では、志村喬演じる、仕事の情熱を失った定年間際の市役所市民課長が、自身が余命いくばくもないと知ったことから、残された時間の中で「自分にできること」について改めて考え、仕事への情熱を取り戻す姿が描かれている。ウィル・スミスの親子共演が話題となった『幸せのちから』が描くのは、事業の失敗により一度はホームレスにまでなりながら、最終的には成功をつかみ、億万長者となった実在の男の半生。愛する息子との生活のため、証券会社の正社員をめざす父親の奮闘は単なるサクセスストーリーではなく、父子の愛情や絆を感じさせた。家族の絆といえば、マット・デイモン主演、キャメロン・クロウ監督『幸せへのキセキ』は、自宅として買い取った動物園を再生させるべく、飼育員や地域住民と協力して苦難を乗り越えていく男の物語だった。半年前に妻を失った悲しみや、意思疎通が難しくなっていた子どもたちとの関係は、動物という命と向き合う仕事を通じて修復されていった。また、ジョン・メイの生真面目さは、第37回日本アカデミー賞「最優秀作品賞」受賞作『舟を編む』で、松田龍平が演じた辞書編集者・馬締にも通じるものがある。馬締だけでなく、一人ひとりが言葉に対して真摯に取り組み、8年もの年月をかけて1冊の辞書が完成するまでの裏側を見せつつ、まじめに生きるものの達成を見せていた。まじめにコツコツと慎ましく生きてきたものの、不況のため職を失い、次から次へと災難が降りかかてしまう、アキ・カウリスマキ監督の『浮き雲』の夫婦も同様だ。だが、レストラン経営という新たな活路を見いだし、奮闘する彼らの真面目さとふたりの絆は、最後には小さな幸せを運んできてくれた。ちょっと珍しいお仕事でも、丁寧に向き合い、自分の人生を見い出していく主人公たち。それまで真面目にコツコツ頑張ってきた努力が報われる、そんな心に染みる感動のラストは、どの作品でも共通項といえそうだ。『おみおくりの作法』は2015年1月、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2014年11月26日『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ監督が、60年代末に活躍した歌手ジャニス・ジョプリンの伝記映画を監督することになった。主演にはエイミー・アダムスが決まっている。ジョプリンの人生を映画化する企画はハリウッドに長い間上がっており、ピンクやリリー・テイラーが主演候補に挙がったこともある。アダムスが主演に決まったのは4年前で、当時は『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレスが監督する予定だった。後にはリー・ダニエルが監督候補に挙がり、ようやくヴァレ監督に落ち着いた形だ。ヴァレ監督の最新作は、来月北米公開予定の『ワイルド(原題)』。主演のリース・ウィザースプーンは、来年のオスカーで主演女優部門の有力候補と言われている。また、ヴァレ監督は最近、ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ主演の『Demolition(原題)』を撮り終えている。アダムスの次回作は、来月北米公開予定のティム・バートン監督作『ビッグ・アイズ』。過去に、レネ・ゼルウェガーもジョプリンを演じることに興味を示し、自ら主演とプロデューサーを兼ねる『Piece of My Heart』という企画を立ち上げたが、実現しないまま終わった。文:猿渡由紀
2014年11月25日