映画界に多大な貢献を果たした映画人を称えるアカデミー賞名誉賞の受賞式が8日(現地時間)にロサンゼルスで開催され、宮崎駿監督が表彰された。日本人としては、1990年に受賞した黒澤明監督以来24年ぶりとなる。『千と千尋の神隠し』がアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した際も、『ハウルの動く城』『風立ちぬ』が候補になったときも渡米しなかった宮崎監督が出席するとあって、授与式には世界の注目が集まった。宮崎監督のプレゼンターを務めたのは、1987年から親交のあるジョン・ラセター監督。妻のナンシーさんと出会った翌日に『ルパン三世カリオストロの城』の抜粋映像を見せたことがきっかけで結婚に至ったエピソードを語り、作品には「アドベンチャーとハート、アクションとユーモアがあった。洗練された独自のスタイルと、人間の行動に対する素晴らしい観察眼があった」と絶賛。「宮崎作品を観るたびに、映画作りについて新たに学んでいる」と語った。オスカー像を受け取った宮崎監督は「私の家内が、お前は幸運だとよく言います。一つは、紙と鉛筆とフィルムの最後の時代の50年に、私がつきあえたことだと思います。それから、私の50年間に、私たちの国は一度も戦争しませんでした。戦争でもうけたりはしましたけれど、でも戦争をしなかった。そのおかげが、僕らの仕事にとっては、とても力になったと思います」と語った。そして、一緒に名誉賞を受賞した94歳の女優、モーリン・オハラに会えたことについて、「これはすごいことです。こんな幸運はありません」と顔をほころばせた。実は73歳の宮崎監督は今回の受賞者の中で最年少。アイルランド出身で94歳のモーリン・オハラのほか、『昼顔』などルイス・ブニュエル作品や大島渚監督の『マックス、モン・アムール』などを手がけたフランスの脚本家で83歳のジャン・クロード・カリエール、人道的活動で知られる映画人を称える「ジーン・ハーショルト人道賞」は87歳のハリー・ベラフォンテが受賞した。(text:Yuki Tominaga)
2014年11月11日ローランドは、星野楽器とのコラボレーションにより、「TAMA」ブランドのアコースティック・ドラムと電子ドラム音源システムを組み合わせたハイブリッド型ドラム・キット「Silverstar "Cocktail-JAM" Hybrid Kit」を発売すると発表した。販売開始は11月下旬。価格は税抜9万4,000円。「Silverstar "Cocktail-JAM" Hybrid Kit」は、TAMAの小型アコースティック・ドラム「Silverstar "Cocktail-JAM"」に、ローランドの電子ドラム音源「TM-2」と、演奏情報を検出するトリガー・ピックアップ「RT-10T」、「RT-10S」を組み合わせたハイブリッド型ドラム・キット。アコースティック・ドラムの音にエレクトロニック系の音色を重ねて鳴らしたり、一般的なドラム・セットには含まれないパーカッション・サウンドを追加するなどして、印象的で多彩な音色による演奏表現が可能だという。また、同梱のドラム音源「TM-2」は、SDカードに入れた好みのオーディオ・ファイル(WAV)を演奏に合わせて再生することも可能で、あらかじめ曲に合わせたフレーズや効果音などを用意しておけば、演奏と同期したさまざまな演出を行うことが可能だ。一方、TAMA「Silverstar "Cocktail-JAM"」は、通常のドラム・セットの2/3~半分以下という、限られたスペースでも設置して演奏を楽しめるコンパクトなタイプで、付属の専用バッグに収納してどこにでも持ち運ぶことが可能となっている。
2014年11月07日第27回東京国際映画祭は10月31日にメイン会場であるTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたクロージングセレモニーで各賞を発表し、閉幕した。コンペティション部門では米仏合作『神様なんかくそくらえ』が最高賞にあたる東京グランプリと最優秀監督賞の2冠を達成。また、日本から唯一コンペに臨んだ吉田大八監督『紙の月』は最優秀女優賞(宮沢りえ)と観客賞をダブル受賞した。ディズニー大ヒット作『GOG』監督が、第27回東京国際映画祭のコンペ審査委員長に就任!受賞者会見に臨んだ吉田監督は「女優宮沢りえの映画、と言うと語弊があるが、僕自身がそれくらい女優賞を欲しかった。彼女にとって大きな喜びだったはずだし、監督としても重みを感じている」と喜びのコメント。また、観客賞受賞については「決してわかりやすい映画ではないし、シンプルに共感できる内容ではないだけに、観終わったお客さんが気に入ってくれたのは、ものすごく励みになりました」と語った。コンペティション部門の審査員長を務めた映画監督のジェームズ・ガンは、「コンペティション部門全体を通して、何かに追い詰められ『愛したい』『愛されたい』という気持ちが根底に流れていた」と総括。その上でニューヨークをさまよう薬物中毒者を描いた『神様なんかくそくらえ』を「最もインスピレーションを刺激された作品。映像、語り口、演技のバランスが一番良かった。もちろん、審査員の間では意見が割れることもあったが、議論を重ねることで、最終的には満場一致だった」と評した。第27回東京国際映画祭の主な受賞結果は、以下の通り。東京グランプリ:『神様なんかくそくらえ』最優秀監督賞:ジョシュア&ベニー・サフディ監督(『神様なんかくそくらえ』)審査員特別賞:『ザ・レッスン授業の代償』最優秀女優賞:宮沢りえ(『紙の月』)最優秀男優賞:ロベルト・ビェンツキェビチ(『マイティ・エンジェル』)最優秀芸術貢献賞:『草原の実験』WOWOW賞:『草原の実験』観客賞:『紙の月』取材・文:内田 涼
2014年11月01日宮沢りえが第27回東京国際映画祭において『紙の月』での演技で「最優秀女優賞」を受賞。本作は「観客賞」にも輝いた。なお最高賞「東京グランプリ」は米仏合作の『神様なんてくそくらえ』が獲得。こちらも「監督賞」との2冠となった。宮沢さんは艶やかな着物姿で来場。すでに『紙の月』が映画祭に訪れた観客の投票による「観客賞」を受賞したことは授賞式前に発表されていたが、「女優賞」と併せて堂々の2冠獲得となった。審査員の韓国人監督イ・ジェハンは宮沢さんの受賞を「満場一致の決定」と説明。「意味深さと奥深さ、繊細さと脆さを表現し、目で全てを語り、真の自由を求めていた。そして何より、美しい」と称賛を送った。宮沢さんは、信じられないといった表情。なかなか言葉が出てこないようで「なんか震えています…」と苦笑い。「おみくじで大吉を当てて『やったー!』と思う気持ちの中で、『自分を引き締めなくては』と思う気持ちと似ています」と心境を語った。久々の映画主演となったが「7年ぶりということで、不安や緊張もありましたが、吉田大八監督の粘り強く厳しい、でも愛がたくさんこもった演出で、手ごわい役を乗り越えることが出来ました。もし(トロフィーが)半分に出来るなら半分は『最優秀演出賞』で監督にあげたい」と感謝の思いを口にし、席に戻ると吉田監督とガッチリと抱き合った。吉田監督は「観客賞」受賞に「映画を観た後で、コンペの素晴らしい作品の中でこの映画を『好き』と仰って下さった方が一番多いという重みを感じてます。これからの励みにしていきたい」と喜びを語った。「最優秀男優賞」はポーランド映画『マイティ・エンジェル』でアルコール依存症の主人公を熱演したロベルト・ヴィエンツキェヴィチが受賞。本人不在のため、監督が代わりにトロフィーを受け取った。そして、ジョシュア&ベニー・サフディの兄弟監督による作品で、ヘロイン中毒の若者たちを生々しく描いた『神様なんてくそくらえ』が最高賞の「東京グランプリ」と「監督賞」をW受賞。ジョシュアは「2つも受賞して本当に嬉しいです。この映画祭のコンペティションに入選したと聞いたとき『これ以上のことはない』と思いつつ、“極端”を描いたこの作品が日本の方に受け入れてもらえうるのでは?と感じもしました。東京に感謝したいと思います」と挨拶。ベニーは「いろんな犠牲を払いながら作り上げた作品だったけど、思いを込めて作り上げました」と感慨深げに語る。主演のアリエル・ホームズは「何て言っていいか…ありがとうございます」、共演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズは「Thank you very very very very very very much!」と短い言葉に感激と喜びの思いをうかがわせた。この他、日本映画を対象にした日本スプラッシュ部門では安藤サクラ、新井浩文が出演する『百円の恋』が「作品賞」を受賞。同部門の「スペシャル・メンション(特別賞)」には沖田修一監督が無名の俳優ばかりを起用して作り上げた『滝を見に行く』が受賞した。<第27回東京国際映画祭/受賞結果一覧>■東京グランプリ:『神様なんてくそくらえ』■最優秀監督賞:ジョシュア・サフディ&ベニー・サフディ(『神様なんてくそくらえ』)■最優秀女優賞:宮沢りえ(紙の月』)■最優秀男優賞:ロベルト・ヴィエンツキェヴィチ(『マイティ・エンジェル』)■最優秀芸術貢献賞:『草原の実験』■WOWOW賞:『草原の実験』■アジアの未来 作品賞:『ゼロ地帯の子どもたち』■国際交流基金 特別賞:『遺されたフィルム』■日本映画スプラッシュ 作品賞:『百円の恋』■日本映画スプラッシュ スペシャル・メンション:『滝を見に行く』■SAMURAI賞:北野武/ティム・バートン■観客賞:『紙の月』(text:cinemacafe.net)
2014年10月31日サンタバーバラ映画祭が俳優に対して贈る最高賞、モダン・マスター賞の受賞者に、マイケル・キートンが決まった。サンタバーバラ映画祭は、毎年1月末から2月初めにかけて行われる。小規模だが、賞レースの真っ最中に実施されるため、オスカーに向けてのキャンペーンに有効と考えられている。キートンは、現在北米で限定公開中のアルハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に主演。主演男優部門で有力候補とささやかれている。映画祭側は、キートンの長くユニークなキャリアに対してこの賞を贈ると声明を発表しているが、『バードマン…』での名演が選考に大きく影響したのは明らかだ。『バードマン…』でキートンが演じるのは、かつてスーパーヒーロー役で大人気を集めたハリウッド俳優。近年はキャリアがまったくぱっとせず、ブロードウェイで劇を演出し、復活をはかろうとする。共演はエドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、エマ・ストーン、ザック・ガリフィアナキスら。日本公開は2015年の春。文:猿渡由紀
2014年10月22日女優の宮沢りえが、主演映画『紙の月』(11月15日公開)で、第28回山路ふみ子女優賞を受賞したことが15日、明らかになった。同映画は、『八日目の蝉』(2011年公開)などで知られる直木賞作家・角田光代の同名ベストセラー小説を原作に、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督がメガホンを取った作品。東京国際映画祭のコンペティション部門の日本代表にも選ばれている。バブル崩壊直後の1994年を舞台に、巨額横領事件を巻き起こす主婦・梅澤梨花を宮沢が演じた。山路ふみ子賞とは、映画人の育成、功績を称える目的で毎年開催している賞。宮沢が同賞を受賞したのは、『父と暮らせば』(2004年)以来2度目となる。女優賞を2度受賞するのは、吉永小百合に続く史上2人目の快挙。「平凡な主婦が無自覚の内に変貌していく姿を、美しくも重厚に描き、圧倒的な演技を披露したこと」が評価された。(C)2014「紙の月」製作委員会
2014年10月16日今では世界的に人気が高いスタジオジブリの映画。海外では「千と千尋の神隠し」のアカデミー賞やベルリン国際映画祭金熊賞などで有名となりました。そんなジブリ作品のキャラクターや描写は、海外の人にはどう見られているのでしょうか。そこで、日本在住の外国人20名に「スタジオジブリの映画で最も絵がかわいいと思うものは?」と質問してみました。■となりのトトロ(ロシア/20代前半/女性)■となりのトトロ(イギリス/20代前半/女性)■となりのトトロ(ドイツ/40代前半/女性)■となりのトトロ(中国/20代後半/女性)■となりのトトロ(スペイン/30代後半/男性)■となりのトトロ(アメリカ/20代後半/男性)■となりのトトロ!(アルゼンチン/30代前半/男性)■となりのトトロ(マレーシア/30代前半/男性)■となりのトトロ(スウェーデン/40代後半/女性)■となりのトトロ(ペルー/30代前半/男性)圧倒的な人気で票を集めたのがこの作品。1988年4月公開、絵コンテを宮崎駿、作画監督を佐藤好春が担当しました。宮崎駿が日本アニメーション在籍中から構想を練っていた一本です。昭和30年代前半の日本を舞台に、田舎に引っ越してきたサツキ&メイ姉妹と不思議な生物「トトロ」の交流を描いたファンタジー。トトロの原型は、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」にあり、大トトロ(ミミンズク)が1,302歳、中トトロ(ズク)が679歳 、小トトロ(ミン)が109歳という設定だったそう。むくむくとした形で、ぬいぐるみなどとしても人気のキャラクターです。ボンネットバスの形をした「ネコバス」、壁の穴から飛び出してくる「まっくろくろすけ」など、丸みを帯びた形や質感を思わせる描写が、かわいらしさを感じさせるのでしょう。■崖の上のポニョ(タイ/30代後半/女性)■崖の上のポニョ(イスラエル/30代後半/女性)2008年7月公開。絵コンテを宮崎駿、作画監督を近藤勝也、高坂希太郎、賀川愛らが担当しました。海沿いの町を舞台に、「人間になりたい」と願う魚の子ポニョと、5歳の少年宗介の交流を描く物語です。童話「人魚姫」を参考としながらも日本を舞台に変え、西欧的かつキリスト教的な要素が出ないようにしたのだとか。構想は広島県の鞆の浦にこもって行われ、海や波の描写に特に力を入れて制作されています。また作画をすべて手書き(彩色、撮影はデジタル)で行っており、その結果、絵が素朴なタッチとなって、それまでの作品とは異なる新しい印象が生まれました。現在は金魚のような形のポニョですが、アイデア段階ではカエルに似た魚の形で、人間になった時の髪や衣装なども大きく違っていたそう。もしこちらのデザインで進められていたら「かわいい」というイメージにはならなかったかも!?■魔女の宅急便(トルコ/30代前半/女性)■魔女の宅急便(台湾/40代前半/男性)1989年7月公開。原作は角野栄子「魔女の宅急便」、絵コンテは宮崎駿と近藤喜文、作画監督を大塚伸治、近藤勝也、近藤喜文が担当しました。田舎から都会に上京した少女・キキが魔女の力を使い、相棒の黒猫ジジや町の少年トンボたちと成長していくストーリーです。キキの髪型は、初期はロングヘア、ふたつ括り、金髪などいろいろな設定があったものの、結果的に現在のショートヘアと赤いリボンに。描写の難しさから決まった形とは言え、暗色ワンピースのよいアクセントになっています。背景は、ストックホルムやゴットランド島ヴィスビュー、アイルランドなどさまざまな街を参考に描かれているそう。ちなみに、ヤマト運輸が制作に名を連ねているのは、この作品を制作する際に「宅急便」が同社の登録商標と判明しスポンサー要請を行ったから。最初は難色を示していたものの、黒猫が登場するとのことで許可が下りたのだそうですよ。ちょっと気になる小ネタです。■千と千尋の神隠し(フィリピン/40代前半/女性)2001年7月公開。アカデミー賞受賞や日本歴代興行収入第1位など、国内外で評価の高かった作品です。絵コンテを宮崎駿、作画監督を安藤雅司/高坂希太郎/賀川愛の3名で担当。少女・千尋が迷い込んだ神様の町での出来事を、謎の少年・ハクや町の住人たちの交流とともに描いています。千尋やハクはキリッとしたりりしさの反面、稚児衣装をまとった年代らしく時に子どもらしさを見せるので、かわいらしさがより感じられるのでしょう。また、ぽってりとしたおなかがかわいいネズミやオオトリ様、一見グロテスクながらユーモラスさもある湯婆婆や坊など、幅広い「かわいさ」を見せる作品とも言えます。■耳をすませば(ブラジル/20代後半/男性)1995年7月公開。原作は柊あおいの同名マンガで、絵コンテを宮崎駿と近藤喜文が、作画監督を高坂希太郎が担当しました。内容は、本を介して進む、本好きの14歳・雫とヴァイオリン職人を目指す聖司の恋愛成長譚。背景には東京の多摩市と武蔵野市の描写が多く、聖蹟桜ヶ丘駅西口広場には「耳をすませばモデル地案内マップ」が設置されているほどです。14歳の女の子のフレッシュさ、想像の世界のファンタジックさはもちろんですが、電車に乗り込んできたムーンや人形の「バロン」など随所に登場する猫も「かわいさ」を感じさせるひとつの要素。毛並みやまるまるとした形に思わず顔がほころびます。■メインの動物(韓国/40代後半/男性)ジジやぽんぽこ、トトロ(は動物ではないですが…)など、ジブリの描く動物はみなユーモラスさや哀愁まで表現する豊かさを持ちつつ、全体的にはかわいらしいという印象。それが、子どもから大人まで心を惹きつける要素のひとつになっているのでしょう。また、各作品の項でもご紹介したように、やわらかそう、ふかふかしそう…などの質感が伝わる描写もポイント。作品全体を通してかわいらしい印象を与えてきたことが、本回答からは伺えます。回答がばらけた「かっこいいと思うジブリ作品」とは異なり、トトロが圧倒的な票を集めた今回のアンケート。「魔女の宅急便」や「耳をすませば」など、猫こがポイントになる作品が挙がっているのもポイントです。フカフカした質感や丸みを帯びた動物にかわいらしさを感じる感覚は万国共通なのですね。
2014年10月15日第33回バンクーバー国際映画祭に招待されていた映画『バンクーバーの朝日』(12月20日公開)が現地時間の10日、「観客賞(Rogers People’s Choice Award)」を受賞した。同映画は、第33回バンクーバー国際映画祭(9月25日~10月10日)「特別招待作品(ガラプレゼンテーション)部門」に正式招待され、ワールドプレミア上映を実施。妻夫木聡、亀梨和也、石井裕也監督が現地を訪れ、現地の日系人やカナダ人から熱烈な歓迎を受けた。バンクーバー国際映画祭は1982年よりカナダの都市バンクーバーで開催されている、北米最大規模の国際映画祭の1つ。国内外の映像作品を紹介し、北米の映画産業活性化の一助になっているとともに、東アジア作品の発掘と育成にも力を入れている。「観客賞」は、同映画祭で最も観客から支持を得た作品に贈られており、昨年は、福山雅治主演の『そして父になる』(2013年、是枝裕和監督)が受賞。2年連続で日本の作品が観客賞に選ばれることとなった。映画『バンクーバーの朝日』は、戦前のカナダ・バンクーバーで、差別や貧困の中にあってもフェアプレーの精神で戦い抜き、白人社会からも賞賛と圧倒的な人気を勝ち得た野球チーム"バンクーバー朝日"を題材にした作品。監督は石井裕也、出演は妻夫木聡、亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮、佐藤浩市ほか。(C)2014「バンクーバーの朝日」製作委員会
2014年10月14日日本人歴代最年少で最優秀女優賞2月15日、第64回ベルリン国際映画祭の授賞式が行われ、山田洋次監督(82)の「小さいおうち」(公開中)に出演した女優の黒木華(はる、23)が日本人歴代最年少で最優秀女優賞に値する銀熊賞を受賞した。周囲の力で手にした賞黒木は名前が呼ばれた瞬間、何が起きたのかわからなく「私のことじゃないでしょ?」と思ったがその後、跳び上がりそうなくらいパニック状態になったという。審査員からは、女性が活躍する作品が多数あったが、黒木さんの演技力が群を抜いていた。女性をすてきに描いた作品として、黒木さんに女優賞を差し上げたが、山田監督を含め、作品を代表したもの」(スポーツ報知よリ)と黒木の高い演技力を評価したことが説明された。今春スタートのNHK朝ドラ「花子とアン」にも出演する。今から注目していきたい。黒木 華(くろき・はる)1990年3月14日、大阪府生まれ。23歳。京都造形芸術大3年の10年、NODA・MAP「ザ・キャラクター」で舞台デビュー。同年9月の「表に出ろいっ!」でダブルキャストのヒロインに選ばれる。11年、「東京オアシス」で映画初出演。13年、映画「シャニダールの花」で初主演。ほかの出演作に、ドラマ「純と愛」「リーガルハイ」など。3月スタートのNHK朝ドラ「花子とアン」では主人公・花子(吉高由里子)の妹・かよを演じる。(スポーツ報知より)【参考リンク】「小さいおうち」
2014年02月18日皆さんはゴールデンラズベリー賞をご存知だろうか。世の中にはアカデミー賞やゴールデングローブ賞といった数多くの映画賞が存在するが、そうした中でもひときわ異彩を放っているのが、このゴールデンラズベリー賞である。というのも、普通なら映画賞はその年の優れた作品に対して贈られるものだが、ゴールデンラズベリー賞は「その年の"最低"の映画」に贈られるという大変不名誉な賞なのだ。……しかも、授賞式はアカデミー賞の前夜ときたもんだ。いやはや、アメリカらしいといえばらしいユーモアセンスである。もっとも、この賞は単につまらない映画というよりは、「ある意味おもしろいんだけど個性的すぎる作品」や「前評判が高すぎてがっかり感が強かった映画」などが選ばれることも多い。むしろ、選ばれたことで注目を集め、評価されることさえある。よって、映画ファンにとっては、アカデミー賞と同様に見逃せない賞でもあるのだ。そんなゴールデンラズベリー賞の季節が今年もやってきた。いったいどんな作品が受賞するのか今から楽しみで仕方ないが、その前に前回のゴールデンラズベリー賞のおさらいをしておこう。ちょうど、前回受賞した2作品「スノーホワイト」と「バトルシップ」が、WOWOWで3月2日深夜に放送される。それぞれの見どころを紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。○もの◯け姫オマージュ?な「スノーホワイト」第33回のゴールデンラズベリー賞で最低主演女優賞を受賞したクリステン・スチュワートが出演している作品。作品賞こそ逃したものの、ツッコミどころ満載の展開はゴールデンラズベリー賞にふさわしい。といっても誤解しないでいただきたいのは、この映画、それをわかって見るとかなり面白いということだ。物語のベースになっているのは、誰もが知るグリム童話「白雪姫」だ。日本でもおなじみの名作童話だが、それを本作では大胆にアレンジしている。……"大胆にアレンジ"するのはいいのだけど、本作の場合はそれがちょっと大胆すぎたかな、という印象だ。何しろ、原作のほのぼの感はゼロ!剣と魔法、血と戦いに彩られたファンタジーになっているのである。えっ、どういうこと!?主人公はクリステン・スチュワート演じるスノーホワイト。言わずと知れた白雪姫である。国中から愛される姫君だったスノーホワイトだが、父王が魔女ラヴェンナを妃として迎えたことから運命は一変する。ラヴェンナは王を殺害して国を奪い、スノーホワイトを塔に幽閉したのだ。やがて成長したスノーホワイトは、ラヴェンナに殺される寸前で脱出。黒い森へと逃れるのだった――。「本当は怖いグリム童話」というシリーズがあるが、「もし本当に白雪姫の物語があったなら、こうだったんじゃないか」と思えるような内容だ。世界観はディズニーというよりはロード・オブ・ザ・リングのような中世ファンタジー世界で、魔法の鏡や毒りんご、7人の小人といった原作ならではの要素もしっかりと登場する(7人の小人は全員単なる小さいオッサンだけど……)。原作の重要なシーンや小道具がどんなアレンジで登場するのかを予想しながら見るのも、本作の楽しみ方の一つである。とはいえ、原作以外のオリジナル要素も満載だ。たとえばスノーホワイトが逃げ込んだ森で出会う白い鹿は、どう見ても「も◯のけ姫」のシシ神様である。なんかちょっとコダマっぽい精霊みたいなのも出てくるし、どう考えても意識しているとしか思えない。しかもこのシーン、映画全体から考えると別にいらないのである。「ああ、監督が『もの◯け姫』が好きで、これをやりたかったんだろうな」とニヤニヤできる場面である。とまぁこんなふうに様々な楽しみ方ができる本作だが、なぜか主演のクリステン・スチュワートがゴールデンラズベリー賞を受賞してしまっている。これ、クリステン・スチュワートが悪いというのではなく、悪の女王様役のシャーリズ・セロンがすごすぎたのだ。何しろ彼女は元モデルという美貌の持ち主で、さらにアカデミー賞やゴールデングローブ賞も受賞した経験を持つ超実力派女優!本作でもその演技力と存在感は圧倒的で、悪の女王ラヴェンナとして神々しいまでの演技を見せてくれている。「白雪姫」は穿った見方をするなら、白雪姫と悪の女王が比較され、対立する物語。その意味では本作も、クリステン・スチュワートとシャーリズ・セロンの女優対決の映画なのだ。若手の有望株クリステン・スチュワートではあるが、さすがに比較されてしまうと相手が悪いと言わざるを得ない。本作がゴールデンラズベリー賞を受賞してしまったのは、そのあたりにも理由があるのかも?●ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化「バトルシップ」続いては、アルゼンチンの雑誌から発表されたボードゲームの『Battleship』を原案として制作されたハリウッド超大作。ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念作品で、2億ドル以上の制作費がかけられたものすごい映画である。○ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化「バトルシップ」ゴールデンラズベリー賞では、人気歌手でもある女優リアーナが最低助演女優賞を受賞してしまっている。本作の見どころは、なんといっても米海軍と日本の海上自衛隊とが共に戦う熱い展開だろう。舞台となるのは太平洋ハワイ沖。宇宙から飛来したエイリアンと人類との手に汗握る攻防が繰り広げられるのだ。主人公はテイラー・キッチュ演じる米海軍大尉のアレックス・ホッパー。そして、浅野忠信演じる自衛官のナガタだ。米海軍と海上自衛隊が参加する環太平洋合同演習がハワイ近海で行われていたちょうどそのとき、太平洋各地に5つの謎の物体が飛来する。物体の正体は宇宙から飛来したエイリアンの戦闘メカ。アレックスは、地球征服を目指すエイリアンの攻撃によって艦長を失った米海軍の駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズの指揮を執ることになり、海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」のナガタらと協力してエイリアンを迎え撃つことになる――。本作の魅力の一つは、2億ドルをかけたというド派手なバトルシーンだ。エイリアンが操る巨大戦艦と人類側の戦艦との撃ち合いはもちろん、エイリアンと人間の肉弾戦や、ボール型の戦闘メカに次々と破壊されていく市街地など、遠慮なく破壊しまくる派手なバトルがたまらない。エイリアンの造形が比較的に人間に近かったり、ちゃんと宇宙服を着ていたりと、妙にリアリティを追求しているところにも注目したいところだ。とはいえ、本作は単純なドンパチ映画ではない。アレックスの人間的成長や、ナガタとのライバル関係など、ヒューマンドラマとしても見どころ満載の映画なのだ。さらに、アクション映画としても展開が練られている。エイリアン側は全力をもって人類を滅亡させにきているのではなく、やってきたのは様子見、つまり先遣隊なのだ。しかも地球に突入する際、事故で一機を失っている。このことから、彼らは本気で人類を滅亡させにかかるのではなく、まずは地球の通信所を乗っ取って母艦に応援を呼ぼうとしている。文明的にはエイリアンが圧倒しているが、戦力としてはまだ人類に勝てる見込みがあり、応援を呼ばれる前に潰さなければならない――この部分が本作のキモだ。まるで戦略シミュレーションゲームのような刻一刻と変わる展開が面白い本作だが、ボードゲームが原案と聞けばそれも納得。ゲーム的な展開をハリウッドが本気で実写化するとこうなるんだぜと言わんばかりだ。物語はラストに向かうにつれてさらに斜め上に進んでいく。「え、そんなのアリなの!?」と思わずツッコんでしまう超展開からの盛り上がりは最高潮だ。細かいツッコミどころを言い出したらキリがないが、本作はそういう楽しみ方をする映画ではない。人類 VS エイリアン。主人公とライバルの成長と友情。ハリウッドが本気を出して作った、ド派手で緊張感あふれるバトルシーン。それでもって最後は誰も予想しなかった展開を迎えて気持よくスッキリ!これぞエンターテインメント映画だろう。前述した通り、今年のゴールデンラズベリー賞を前に、「スノーホワイト」と「バトルシップ」がWOWOWで放送される。放送日は「スノーホワイト」が3/2(日)深夜3:50、「バトルシップ」が3/2(日)深夜1:35だ。(スノーホワイトは他特集にも登場し、2/11(火・祝)午前9:35と2/15(土)よる6:45にも登場する)詳細はこちらをご覧いただきたいが、まだ見たことがないという人は、この機会にぜひ。
2014年02月11日映画『しあわせの隠れ場所』(2009年)以来、2度目のアカデミー賞主演女優賞の獲得が期待されているサンドラ・ブロックが13日、映画『ゼロ・グラビティ』PRのために来日することが明らかになった。宇宙空間での船外活動中に、予期せぬ事故によりスペースシャトルを失ってしまったメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)の様子を描いた同作。世界43カ国でNo.1を獲得し、全米週末興行ランキング3週連続第1位を記録するなど、すでに全世界で約470億円以上もの興行成績を収めている。このたび、来日が決定したS・ブロックは、2006年9月の映画『イルマーレ』PR以来、7年ぶり5度目の来日となる。12月4日に開催される来日記者会見と5日に行われるジャパン・プレミアイベントに登壇予定だ。同作で宇宙飛行士という難役に挑んだS・ブロックは、無重力を表現するため体力づくりに、撮影中毎日のようにワークアウトを敢行。体をシェイプアップし、男性のような強靭な体を手に入れたという。同作での役作りについてS・ブロックは「女性らしさと母性をすべて消したわ。だから身体を鍛えていくうちに体型も変化していったし、自分の体をただのマシンのようにしたの。それが彼女の心にも影響して、必要なミッションをこなしていくのに役に立ったの。だから大変だったけれど、それだけの価値はあったわ」と振り返る。また、作品の見所については「この素晴らしい作品を観て、最後には生まれ変わったような気分になるはずよ。劇場を出た後で、"今日を素敵な日にするためには何をしよう、もう時間を無駄にしたくない"と思って欲しいわ。勿体ないってね」とコメントしている。なお、同作の来日記者会見とジャパンプレミアには、S・ブロックのほか、アルフォンソ・キュアロン監督と同作の製作を務めたデイビッド・ヘイマンも登場する。映画『ゼロ・グラビティ』は12月13日より、全国公開。
2013年11月13日フランス映画祭2013において「最も面白い」と評価され、最高賞である「観客賞」を受賞した『タイピスト!』。オードリー・ヘップバーンらを見て50年代の女性を研究し役作りに当たったヒロイン役のデボラ・フランソワと彼女が纏う50年代テイストのファッションに注目が集まっている。本作は天然系ヒロインのローズがタイプライターの世界大会を目指して奮闘する物語。キュートなガールズムービーでありながら、背景にあるポップな50年代カルチャーや“スポ根”的な感動もあり見所は充分。レジス・ロワンサル監督はローズ役のデボラに対し、50年代の女性の体型や立ち居振る舞いを学ぶため『麗しのサブリナ』、『マイ・フェア・レディ』、『昼下がりの情事』、『パリの恋人』といったオードリー・ヘップバーン作品やマリリン・モンローを研究するよう指示。デボラはヘップバーンのヘアスタイルであるポニーテールをローズのスタイルに取り入れ、見事に50年代の女性に変身して見せた。ローズがタイピストの世界大会で着ているピンクのドレスには、デボラ自身の意見を反映。『百万長者と結婚する方法』で3人の女優がディナー・パーティーに到着するシーンで着ているような、オフショルダーのドレス。デボラが一目で気に入ったという生地を使用し、その時代のファッション誌から色を選んだ。「『月並みじゃないか?』と言う監督に、私と衣装の女性スタッフ全員で抗議したの。女性たちが生地に目の色を変えているのを見て、彼が折れたわ!」とデボラは笑う。衣装スタッフのシャルロット・ダヴィッドによる、ヒロインのローズとライバルのマリーの衣装の対比もおもしろい。田舎娘のローズは、可愛らしい花柄のドレスが中心の50年代スタイル。裕福なアメリカ人と結婚してモダンな家に住むマリーは、髪にリボンを巻き、ピッタリとしたカーディガンと短いパンツ、バレエシューズの60年代初期のスタイルという具合だ。ほとんどの衣装が作品のための特注ということからも、本作のファッションにかける意気込みが伝わってくる。本作を鑑賞する際には、ローズやマリーの可憐なファッションにぜひとも注目を!『タイピスト!』は8月17日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:タイピスト! 2013年8月17日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開(C) 2012 - copyright : Les Productions du Trésor - France 3 Cinéma - France 2 Cinéma - Mars Films - Wild Bunch - Panache Productions - La Cie Cinématographique - RTBF (Télévision belge)(C) Photos - Jaïr Sfez
2013年07月19日“最高の映画”を決する「アカデミー賞」とは反対に、その年に公開された中で“最低の映画”を決める「第33回ゴールデン・ラズベリー賞」(通称:ラジー賞)の授賞式が23日(現地時間)に行われ、『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』が「最低映画賞」、「最低女優賞」を含む最多7部門を制してしまった。同シリーズはラジー賞の常連でありながら、これまで1度も受賞したことはなかったものの、シリーズ完結編で見事に散る結果となった。同作は全10部門・11ノミネートを記録していた。この『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』で「最低女優賞」を受賞してしまったクリステン・スチュワートは、なんと2日前に足の裏の親指のつけねを深く切ってしまうという事故に見舞われ、ラジー賞翌日の24日の第85回アカデミー賞授賞式には、「リーム・アクラ(REEM ACRA)」の美しいクリーム色のレースドレスに松葉杖という姿で現れるハメとなった。まさに踏んだり蹴ったりとはこのことである。しかし、プレゼンターを務めるクリステンは、助演女優賞を受賞したアン・ハサウェイに呼び止められ、松葉杖でステージに上がるのかと尋ねられると「いいえ、足を引きずってでも歩くわ」と気丈に答え、プロ根性を見せた。クリステンには、ビートニク小説の代表作としていまなお愛されるジャック・ケルアックの小説「路上」を基にした映画『On the Road』(原題)に出演後、新米詐欺師を演じるロマンティック・コメディー『Focus』(原題)、エリザベス・バンクスと共演する『The Big Shoe』(原題)そして『スノーホワイト』の続編撮影が控えている。ぜひ、ラジー賞受賞の汚名を返上してもらいたいものだ。前年の同賞を『ジャックとジル』での1人2役で全部門制覇したアダム・サンドラーの新作コメディー映画『That’s My Boy』(原題)は「最低男優賞」と「最低脚本賞」の2冠を獲得。また浅野忠信の出演で話題になった『バトルシップ』からは、リアーナが「最低助演女優賞」を受賞している。【「第33回ゴールデン・ラズベリー賞」受賞結果一覧】●最低映画賞『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』●最低監督賞ビル・コンドン(『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』)●最低女優賞クリステン・スチュワート(『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』、『スノーホワイト』)●最低男優賞アダム・サンドラー(『That’s My Boy』)●最低助演女優賞リアーナ(『バトルシップ』)●最低助演男優賞テイラー・ロートナー『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2』●最低スクリーン・アンサンブル賞『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』●最低脚本賞『That’s My Boy』(原題)●最低リメイク・パクリ・続編映画賞『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』●最低スクリーン・カップル賞マッケンジー・フォイ&テイラー・ロートナー(『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2』)(text:Mieko Nakaarai)■関連作品:トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン part2 2012年12月28日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 2011 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.第85回アカデミー賞 [アワード] 2013年2月24日(現地時間)、ハリウッド・コダックシアターにて授賞式が開催
2013年02月25日2月25(月)、ついに授賞式を迎えた世界最大の映画の祭典「第85回アカデミー賞」。様々なセレブたちが詰めかけた、この華やかな戦い。デザイナーの故石岡瑛子遺作となった『白雪姫と鏡の女王』で、今年唯一のノミネートとなった日本人として注目を集めていた「衣装デザイン賞」だったが、惜しくも受賞ならず。受賞を果たしたのは、キーラ・ナイトレイ主演で贈る『アンナ・カレーニナ』のジャクリーン・デュランが初の栄冠に輝いた。文学史上、最も美しく、最も哀しい愛の物語と言われるロシアの文豪レフ・トルストイの最高傑作「アンナ・カレーニナ」を映画化。物語は、19世紀末のロシアを舞台に満ちあふれる美貌を持ち、政府高官のカレーニンの妻であるアンナ・カレーニナ(キーラ)の破滅的な愛に溺れていく姿を描いたものだ。特集:アカデミー賞のBEST(text:cinemacafe.net)■関連作品:第85回アカデミー賞 [アワード] 2013年2月24日(現地時間)、ハリウッド・コダックシアターにて授賞式が開催アンナ・カレーニナ 2013年3月29日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開(C) 2012 Focus Features LLC. All rights reserved. photography by Eugenio Recuenco,Laurie Sparham
2013年02月25日近年、質・量ともに高水準を誇っているアニメ・特撮映画は、アカデミー賞をはじめ、国内外の賞を受賞することも多く、言うまでもなく日本映画の重要な一角を占めるジャンルへと成長した。今年は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や『ONE PIECE FILM Z』などの注目作が続々と公開され、劇場に足を運ぶ回数が増えたアニメファンも多かったのではないだろうか。そこで今回は、年の瀬の総決算として「2012年公開のアニメ・特撮映画でもっとも面白かった作品」を女性406名に聞いてみた。>>男性編も見るQ.2012年公開のアニメ・特撮映画でもっとも面白かった作品は?(単一回答)1位『おおかみこどもの雨と雪』 30.1%2位『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 17.0%3位『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』 12.3%4位『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚 新京都編 後編』9.7%5位『映画 ONE PIECE FILM Z』6.8%6位『ももへの手紙』 5.4%7位『マダカスカル3』 4.0%8位『メリダとおそろしの森』 3.3%9位『映画 図書館戦争 革命のつばさ』 3.2%10位 『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE 』 2.8%次点 『探偵コナン 11人目のストライカー』2.2%1位は、『時をかける少女』で国内外のアニメの賞を総なめにし、『サマーウォーズ』に続く細田守監督の最新作『おおかみこどもの雨と雪』。親子をテーマにしているだけあって「母親の強さを学んだ!映像も綺麗でよかった」(24歳/金融・証券/事務系専門職)という声が大部分を占めた。感動的なストーリーとともに、宮崎あおい、大沢たかおといったキャストも女性には惹きになったようで1位を獲得。2位は、テレビシリーズはもちろん、前作からも大幅に舵を切った『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』。「予想外の展開にびっくり!」(30歳/その他/その他)というように、予想の斜め上をゆくストーリーはファンのみならずさまざまな考察や議論を巻き起こし、来るべき最終章・第4作へ向けての期待感を大幅に引き上げる仕上がりで、劇場公開後1カ月で興行収入45億円を記録。そして、3位は2011年に放送されたヒーローアクションアニメの映画化作品『劇場版 TIGER&BUNNY-The Beginning-』は、テレビシリーズの第1話と第2話をベースに、新作カットや第2話と第3話の間となる新規エピソードも描いている。やはり女性票が圧倒的で「テレビアニメを全部見ていた自分でも楽しめる内容だった」(23歳/医療・福祉/販売職・サービス系)という声が寄せられている。■総評男性編では2位だった『おおかみこどもの雨と雪』は、ハートウォーミングなストーリーが支持を集め、1位に。興行収入では2位の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や5位の『映画 ONE PIECE FILM Z』に届かないものの、11月末の時点で観客動員数341万人を突破、興行収入は41.8億円を記録。今年の代表作として挙げる人はこの2作を上回っている。細田監督は制作にあたり「1人の女性が、恋愛・結婚・出産・子育てを通じて自立する過程」を描いたと語っており、2時間で13年間という"時間"を丸ごと描き出すというアニメーションという手法だからこそ実現可能なエンターテインメント作品となった。ニュータイプのヒーローアニメとして話題を集めた『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』も女性人気が高かった作品。現在は第2弾『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』の制作が進められており、テレビシリーズのその後を描く完全新作になるという。テレビアニメの劇場版が多くランクインした男性編と異なり、ディズニー作品『メリダとおそろしの森』、ドリームワークス・アニメーション作品『マダガスカル3』もランクインしている女性編は実にバラエティ豊か。年末年始の休日を利用して、ランキング内の見ていない作品をチェックするのもいいかもしれない。(文・塩澤真樹/C-side)調査時期:2012年12月6日~20日調査対象:マイナビ ニュース会員調査数:女性406名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【女性編】『100万回生きたねこ』や『大奥』など12月公開"お正月映画"の中で最も期待度の高い作品ランキング【女性編】No.1ヒーローアニメランキング、1位はあのキャラ!!最新作公開記念! 劇場版『ONE PIECE』ランキングTOP10発表完全版(画像などあり)を見る
2012年12月30日近年、質・量ともに高水準を誇っているアニメ・特撮映画は、アカデミー賞をはじめ、国内外の賞を受賞することも多く、言うまでもなく日本映画の重要な一角を占めるジャンルへと成長した。今年は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や『ONE PIECE FILM Z』などの注目作が続々と公開され、劇場に足を運ぶ回数が増えたアニメファンも多かったのではないだろうか。そこで今回は、年の瀬の総決算として「2012年公開のアニメ・特撮映画でもっとも面白かった作品」を男性363名に聞いてみた。>>女性編も見るQ.2012年公開のアニメ・特撮映画でもっとも面白かった作品は?(単一回答)1位『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 32.7%2位『おおかみこどもの雨と雪』 17.6%3位『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』前編・後編 10.3%4位『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』 7.5%5位『探偵コナン 11人目のストライカー』6.8%6位『映画 ONE PIECE FILM Z』6.5%7位『宇宙戦艦ヤマト2199』6.0%8位『機動戦士ガンダムUC episode5「黒いユニコーン」』5.8%9位『009 RE:CYBORG』3.2%10位 『ベルセルク』黄金時代篇I・II 3.0%次点 『アシュラ』2.9%1位は、公開からわずか9日間で200万人を動員した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』。本作は「かつてテレビで見たエヴァが、新たな表現と映像美でよみがえった!」(25歳/その他/その他)という声のとおり、テレビシリーズ中盤の流れを踏まえつつも大幅に新展開へと舵を切った第2作『破』を経て、まったく新しい第3作となった。テレビシリーズに登場しない使徒や新キャラクターの活躍、そして衝撃の展開はファンだけでなく、その外側の人々も巻き込み、大きな話題となった。2位はアニメファンからの評価が高い『時をかける少女』や『サマーウォーズ』を手がけた細田守監督の最新作『おおかみこどもの雨と雪』。「久しぶりにアニメで泣いた」(26歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)という意見が圧倒的で、主人公・花と"おおかみおとこ"の出会いをきっかけに恋愛から結婚、彼女たちの子供である"雨"と"雪"の出産と子育て、そして成長と自立の13年間を描いた大作。3位は2011年に惜しまれつつ終了したテレビアニメの総集編である『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』前編・後編。「テレビシリーズの面白さがばっちり伝わってきた」(28歳/情報・IT/技術職)という意見のほか、テレビのダイジェスト版を超えるクオリティを称賛する声も寄せられた。■総評2012年アニメ・特撮映画の注目作品として外せないのは、1位の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』だろう。新劇場版4部作の3作目に当たる本作では、2作目の『破』以上に想像のつかない新たなストーリーが展開され、劇場公開後1カ月で興収45億円を記録し、大ヒットとなった。また、アンケート時期の関係でランキングは6位に終わったものの、尾田栄一郎が総合プロデュース、人気放送作家の鈴木おさむが脚本を務め、12月15日に公開された映画『ONE PIECE FILM Z』も公開10日間で261万人を記録。『ヱヴァ』に負けず劣らずの好調なスタートを切っている。この2つの作品はアニメの枠を飛び越え、日本映画史を塗り替える大記録を達成することは間違いないだろう。原作ありきや、テレビアニメの劇場版がランキングを占める中で、唯一オリジナル作品となった『おおかみこどもの雨と雪』は、細田作品としての期待を裏切ることなく、前作『サマーウォーズ』以上という評価の声もある。また、原作のスケール感を余すところなく伝えた『ベルセルク』シリーズ、特撮としては唯一のランクインとなった『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』は子供たちとともに往年の特撮ファンを唸らせ、今年を代表する作品と言える。2012年に続き、2013年も注目の話題作が続々公開され、アニメ・特撮ファンには楽しみな1年になりそうだ。(文・塩澤真樹/C-side)調査時期:2012年12月6日~20日調査対象:マイナビ ニュース会員調査数:男性363名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【男性編】『007』『ONE PIECE』『仮面ライダー』など12月公開"お正月映画"の中で最も期待度の高い作品ランキング男性編】No.1ヒーローアニメランキング、1位は誰だ!?完全版(画像などあり)を見る
2012年12月30日先日、ノミネートが発表された第70回ゴールデングローブ賞にて、主演のマリオン・コティヤールがドラマ部門の主演女優賞に、そして外国語映画賞に選出された『君と歩く世界』。本国・フランスでは『最強のふたり』に続くスマッシュヒットを記録し、当週のハリウッド作品を抜き初登場2位を獲得した本作の予告編がこのたびポスター・ビジュアルと共に、遂に解禁となった。南仏・アンティーブの観光名所・マリンランドのシャチ調教師・ステファニーを突然襲った事故は、彼女の人生を一変させた。満場の拍手を浴びながら、シャチによる華麗なショーを指揮している最中にステージが崩壊し、両脚を失う大怪我を負ってしまったステファニー。絶望の海に沈む彼女が出会ったのは、他者への愛を表現する術を知らないアリという名の不器用な男。哀れみの目を向けず、妙な気づかいもせず、自分に接してくるアリに不思議な魅力を感じたステファニーは、すでに諦めかけていた生きる喜びを呼び覚まされ、自らの意思で未来へ踏み出す力を掴み取っていく。宝石のようにきらめく幾つもの人生の発見に満ちあふれ、いかなる痛みや悲しみに打ちひしがれても這い上がり、時には生まれ変わることさえできる人間のもつ可能性を息を飲むような迫真のリアリティで描き出す本作。中でも注目すべきは“両足をなくした女性”という難役中の難役に挑んだマリオンの渾身の演技だ。今回公開となった予告編では、ステファニーとアリそれぞれの葛藤や、次第に変わっていく2人の姿が映し出される。同時公開となったポスター・ビジュアルにも「光射す方へ一歩ずつ2人で」とあるが、彼らはそれぞれの生きる希望をどのように見つけ、再び自身の人生を歩み始めていくのだろうか。美しい音楽で彩られる素晴らしい映像世界をひと足お先に堪能してみては。『君と歩く世界』は2013年4月6日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。※こちらの予告編はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:君と歩く世界 2013年4月6日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© Why Not Productions - Page 114 - France 2 Cinéma - Les Films du Fleuve – Lunanime
2012年12月19日女優の吉永小百合が12月18日(火)、都内のホテルで開かれた「第37回報知映画賞」の表彰式に出席。『北のカナリアたち』での熱演が評価された吉永さんは、28年ぶりに同主演女優賞を獲得したが「みなさんから良い作品だという声をたくさんいただき、手応えもあった。もしかしたら、作品賞かなと期待していたので、私ひとりでいいのか…という思いがあります」と恐縮した様子。それでも『北のカナリアたち』、『ALWAYS 三丁目の夕日’64』の2作品で助演男優賞を受賞した森山未來、お祝いに駆けつけた共演者の満島ひかり、撮影を手がけた木村大作氏とステージに居並び、『北のカナリアたち』がこの日の“主役”となった。「今年は決選投票で、僅差だったと伺っています」(吉永さん)という通り、大接戦となった作品賞を制したのは、内田けんじ監督の『鍵泥棒のメソッド』。内田監督の受賞を祝おうと、堺雅人、広末涼子、香川照之という豪華キャスト陣が駆けつけ表彰式を彩った。「終始ワハハと笑いながら、楽しく平和に撮影した。だから、逆にインタビューで答えることがなくて、インタビュアーさんを困らせちゃったほど」(堺さん)、「素っ裸のまま、銭湯ですっ転ぶ(笑)。そんなたった1秒のシーンを、丸一日かけて撮影したのが昨日のよう」(香川さん)。ちなみに、広末さんは体調不良で声が出ず、挨拶こそなかったが、その分男優2人が丁々発止のやりとりで盛り上げ役を買って出るなどチームワークは相変わらず。内田監督も「この映画は、とにかくキャストが良かった」と喜びの笑顔を見せていた。また、高倉健が約6年ぶりの出演作『あなたへ』で、第2回(1977年)以来の主演男優賞を受賞した。スケジュールの都合で表彰式は欠席となったが、「今回の受賞を励みに、これからも精進していきたい」とメッセージを寄せ、さらなる飛躍を誓うと、会場からは大きな拍手が沸き起こった。高倉さんの代理として、同作がなんと20本目のタッグとなる盟友・降旗康男監督が登壇し、「健さんを鉄に例えるのも何ですが(笑)、『鉄は熱いうちに打て』という言葉もあるように、とにかく早く次の作品を撮りたい」と次なる21本目に期待感。「ぜひ面白い企画で、健さんを誘い出してくれれば、友人として嬉しい」と映画関係者が集う会場でアピールしていた。<「第37回報知映画賞」受賞結果一覧>作品賞・邦画部門:『鍵泥棒のメソッド』(内田けんじ監督)作品賞・海外部門:『アルゴ』(ベン・アフレック監督)主演男優賞:高倉健(「『あなたへ』)主演女優賞:吉永小百合(『北のカナリアたち』)助演男優賞:森山未來(『ALWAYS 三丁目の夕日’64』『北のカナリアたち』)助演女優賞:安藤サクラ(『愛と誠』『その夜の侍』)監督賞:吉田大八監督(『桐島、部活やめるってよ』)新人賞:満島真之介(『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』)新人賞:能年玲奈(『カラスの親指』)■関連作品:鍵泥棒のメソッド 2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会あなたへ 2012年8月25日より全国東宝系にて公開© 2012「あなたへ」製作委員会ALWAYS三丁目の夕日‘64 2012年1月21日より全国東宝系にて公開© 2012 「ALWAYS三丁目の夕日‘64」製作委員会 北のカナリアたち 2012年11月3日より全国にて公開© 2012『北のカナリアたち』製作委員会愛と誠 2012年6月16日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012「愛と誠」製作委員会その夜の侍 2012年11月17日より全国にて公開© 2012「その夜の侍」製作委員会桐島、部活やめるってよ 2012年8月11日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012「桐島」映画部©朝井リョウ/集英社11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち 2012年6月2日より全国にて公開カラスの親指 2012年11月23日より全国にて公開© 道尾秀介・講談社/2012「カラスの親指」フィルムパートナーズアルゴ 2012年10月26日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
2012年12月18日12月13日(現地時間)に発表となった第70回ゴールデングローブ賞。このたびアカデミー賞の前哨戦としても注目度の高い本賞の外国語映画賞部門に、日本でも大ヒットを記録した『最強のふたり』を始め、マリオン・コティヤール主演『君と歩く世界』、ミヒャエル・ハネケ監督最新作『愛、アムール』、『A Royal Affair』(原題)、『Kon-Tiki』(原題)がノミネートされたことが明らかとなった。本国・フランスでの公開時には、『最強のふたり』に続くスマッシュヒットで当週のハリウッド作品を抜き初登場第2位を獲得、2012年の映画祭でも続々と受賞を果たすなど満を持してのゴールデン・グローブ賞のノミネートとなった『君と歩く世界』。フランスを代表する名匠ジャック・オディアールと組み、“両足をなくした女性”という難役に挑んだマリオンは本作で、見事ドラマ部門での主演女優賞にもノミネートを果たしている。マリオンは2012年ハリウッド映画祭に本作が出品された際、主演女優賞を受賞。来年の1月14日(現地時間)での授賞式にも期待ができそうだ。そして、外国語映画賞にノミネートされたもう一つの注目作が、誰しもが避けて通れない「老い」と「死」の淵に立つ夫婦の姿を、巨匠ミヒャエル・ハネケ監督が描く『愛、アムール』。2012年カンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞、ヨーロッパ映画賞では作品賞を始め監督賞、主演男優賞、主演女優賞の主要4部門を受賞するなど快進撃を続ける本作。12月13日時点では、39個のノミネート、18個の受賞という驚異の記録をもつ本作の今後のゆくえにも注目だ。さらにノミネートされた『A Royal Affair』は正気でない王と結婚した若い王妃が、彼女の内科医と秘密の恋に落ちていき、国を変えるために彼との革命を決意するストーリー。そして『Kon-Tiki』では、筏・コンティキ号を建造し1947年に南アメリカからポリネシアへの航海に挑戦した人類学者であり海洋生物学者のトール・ヘイエルダールらの航海を描いた映画となっている。そして本国・フランスでは3人に1人が観たと言われ、各国の大統領なども関心を寄せる社会現象を巻き起こした『最強のふたり』も、もちろんノミネートを果たしている。果たして今年の外国語映画賞を制するのはどの作品か!?引き続き賞レースのゆくえから目が離せない。第70回ゴールデン・グローブ賞の授賞式は2013年1月13日(現地時間)に開催。■関連作品:君と歩く世界 2013年4月6日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© Why Not Productions - Page 114 - France 2 Cinéma - Les Films du Fleuve – Lunanime愛、アムール 2013年3月9日よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座ほかにて公開© 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinéma - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunk最強のふたり 2012年9月1日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 SPLENDIDO/GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION/TEN FILMS/CHAOCORP
2012年12月14日昨日、発表された今年のゴールデン・グローブ賞(GG賞)のノミネート結果。映画界最大の祭典に向けて、本場ハリウッドを始め、大きな盛り上がりを見せる今年の賞レースだが、このほど、同賞にて『ヒッチコック』で主演女優賞・ドラマ部門にノミネートを果たしたヘレン・ミレンから喜びのコメントが到着した。1959年、ヒッチコックは新作『サイコ』の製作に挑んでいた。後にサスペンス映画の金字塔と称えられ、現代に至るまで多くのクリエイターに影響を与え続けているヒッチコック最大のヒット作だ。だが当時、映画史上かつてない斬新さゆえに、ヒッチコックは資金難など数々の試練にぶつかり、さらに最大の味方のはずの妻・アルマとの関係まで揺らぎ始める。監督として、そして夫として、ヒッチコックは岐路に立たされるのだった――。斬新な演出方法で世界に衝撃を与え、“サスペンスの神”と謳われた巨匠アルフレッド・ヒッチコックと、彼を支えた妻アルマ・レヴィルとの知られざる物語を描いた本作。昨日、発表された第70回GG賞でのノミネートを含め、主人公・ヒッチコックを演じたアンソニー・ホプキンスの名演と並び、各方面からその評判の高さが聞こえていた妻・アルマ役のヘレン。今回届いたコメントでは、「この度はノミネートいただきまして、誠に光栄です。私が演じたヒッチコックの妻・アルマ。この映画『ヒッチコック』でも描かれている彼女のヒッチコック作品への貢献が認めてもらえたことを心の底から感謝いたします!」と喜びを語っている。過去にイギリス王室の舞台裏を描いた『クィーン』(’07)で、アカデミー賞主演女優賞を受賞した実績を持つ大女優・ヘレン。母国・イギリスでは、“デイム”(=ナイトの女性版)の称号を与えられおり、その役者としても、ひとりの女性としても美しく逞しい彼女の名演に期待せずにはいられない。『ヒッチコック』は2013年春、全国にて公開。■関連作品:第70回ゴールデン・グローブ賞 [アワード] 2012年12月13日(現地時間)にノミネート発表、2013年1月13日に授賞式開催ヒッチコック 2013年春、全国にて公開© 2012 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.
2012年12月14日L.A.映画批評家協会の作品賞に、ミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』が選ばれた。次点はポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』だった。『愛、アムール』は、老人の介護問題を扱う人間ドラマ。国境を越えて共感を呼ぶ傑作で、今年のカンヌ映画祭でも、最高賞パルムドールに輝いている。次点に終わった『ザ・マスター』は、アンダーソン監督が監督賞を受賞。『ザ・マスター』は他部門でも大健闘し、主演男優部門でホアキン・フェニックス、助演女優部門でエイミー・アダムスが受賞している。主演女優に輝いたのは『愛、アムール』のエマニュエル・リヴァと、『世界でひとつのプレイブック』のジェニファー・ローレンス。助演男優には『Beasts of the Southern Wild』のドワイト・ヘンリーが選ばれた。先に発表されたニューヨーク映画批評家サークル賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞ではキャスリン・ビグロー監督の『ゼロ・ダーク・サーティ』が圧巻したが、同作品はL.A.批評家賞では編集部門にとどまった。過去にもニューヨークとL.A.の批評家賞は意見が大きく分かれてきたが、オスカーの結果と合致する率では、歴史的にニューヨークのほうが圧倒的に高い。『愛、アムール』2013年3月9日(土)公開文:猿渡由紀
2012年12月10日アニメ界の“アカデミー賞”と言われるアニー賞で、主要8部門ノミネートを果たし、すでに公開を迎えている全米では大ヒット記録を打ち立てた『パラノーマン ブライス・ホローの謎』が、2013年3月に日本に上陸することが決定し、このほどその最新ビジュアルがお披露目となった。舞台は、300年前に“魔女狩り”の現場になったと言われている町ブライス・ホロー。そこに住む、ホラー映画や悪霊伝説が大好きな11歳の少年・ノーマン。しかも彼は、死んだ人たちと会話することのできる変わった能力をもっていた。そんな誰にも理解されない能力のせいで、家族関係は悪化し、学校でも毎日イジメられて、すっかり変わり者扱いされてしまっていた。そんなある日、ノーマンは疎遠になっていた叔父さんに再会し、衝撃の事実を打ち明けられ…。アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた『コララインとボタンの魔女 3D』を手がけたハリウッド最高峰のアニメーション製作会社ライカ・エンターテインメントが、構想10年、制作期間3年を費やして完成させた最新3Dストップモーション・アニメで描かれる本作。死者と話せる少年・ノーマンが、300年前に封印された町(ブライス・ホロー)の秘密を解き明かす奇妙な大冒険が繰り広げられる。全米公開時では、興行収入が55,867,900ドル(12月2日時点)と、ストップモーション・アニメの名手ティム・バートン監督が手がけた『ティム・バートンのコープス・ブライド』(’05年)を抜き、ストップモーション・アニメの歴史上トップ5に入る好成績を収めている。さらに、今回解禁されたビジュアルからもお分かりいただける通り、一コマ一コマ丁寧に描かれた本作は、アニメ界の“アカデミー賞”と称されるアニー賞で『フランケンウィニー』や『メリダとおそろしの森』、『シュガー・ラッシュ』と並び「アニメーション映画賞」にノミネート。さらに、そのほか「監督賞」を含む計8部門でノミネートを果たしており、アカデミー賞でのゆくえにも今後、注目が集まりそうだ。『パラノーマン ブライス・ホローの謎』は2013年3月29日(金)よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開。■関連作品:パラノーマン ブライス・ホローの謎 2013年3月29日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開2012,アメリカ,東宝東和
2012年12月05日ニューヨーク映画批評家サークル賞が現地時間3日午後発表された。作品賞はキャスリン・ビグロー監督の『ゼロ・ダーク・サーティ』。監督賞もビグローが受賞した。その他の写真『ゼロ・ダーク・サーティ』は、オサマ・ビンラディンを探すCIAの努力の裏側を描くスリラー。実話に基づいた話で、製作が始まってからビンラディンが実際に殺されてしまったため、脚本の書き直しなど大きな変更を強いられたという。ビグローは前作『ハート・ロッカー』で女性として史上初めてオスカー監督賞に輝いているが、このアワードシーズンでも大健闘しそうだ。主演のジェシカ・チャステインにも高い評価が集まっているが、ニューヨークの批評家たちは、『The Deep Blue Sea』のレイチェル・ワイズに主演女優賞を与えた。主演男優賞は『リンカーン』のダニエル・デイ=ルイス。助演男優賞は『Bernie』『Magic Mike』のマシュー・マコノヒー、助演女優賞は『リンカーン』のサリー・フィールド。外国語映画賞はカンヌ映画祭でパルムドールを受賞したミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』、アニメ賞はティム・バートン監督の『フランケンウィニー』に与えられた。文:猿渡由紀Jonathan Olley(C)2012 CTMG. All rights reserved
2012年12月04日オスカーの前哨戦と言われる「N.Y.映画批評家協会賞」が12月3日(現地時間)に発表となり、キャスリン・ビグロー監督の最新作『ゼロ・ダーク・サーティ』が作品賞、監督賞、撮影賞の3部門を受賞!この喜ばしい報せと共に、本作の主演ジェシカ・チャスティンの場面写真が解禁となった。2011年5月2日に実行されたオサマ・ビンラディン捕縛作戦、そして暗殺…。『ハート・ロッカー』でアカデミー賞作品賞・監督賞を受賞したビグロー監督が、本作で2001年9月11日からその日まで、実際にはどんな計画が立てられ、何が行われてきたのかを描き出す。タイトルにもなっている“ゼロ・ダーク・サーティ”とは午前12:30を表す米軍軍事用語。そして、ビンラディンの捕縛作戦を決行した時刻を表しているものだ。11月に行われたアメリカ大統領選への影響が懸念され、箝口令が敷かれていた本作は、ビンラディン捜索から捕縛に至るまでの道のりを事実に基づき忠実に描くと共に、追跡劇に関わった人々の苦悩を衝撃的かつ赤裸々に、そしてリアルに再現した内容になっているという。主演のジェシカは、この作戦に加わったテロリストの追跡を専門に活動する若きCIA分析官・マヤを演じている。今回、解禁となった写真の1枚では、ジェシカは髪を一つに結び、どこか思い詰めたような表情をしている。反対にその長い髪を垂らしたもう1枚の写真では、茫然としたような、取り乱した表情にも見える。ビンラディン殺害は、襲撃を行ったネイビーシールズばかりに注目が集まっていたが、実際にはこのひとりの女性が大きなカギを握っていたという新たなる真実を綿密な取材記録をもって描かれるようだ。12月19日の全米での限定公開を前に、早くもアカデミー賞候補としての呼び声が高い本作。長きにわたりその存在を追跡し、ビンラディンを追いつめていくマヤの執念と使命を、ジェシカがどう演じているかに期待が高まる。『ゼロ・ダーク・サーティ』は2013年2月15日(金)よりTOHO シネマズ有楽座ほか全国にて公開。■関連作品:ゼロ・ダ−ク・サーティ 2013年2月15日より全国にて公開Jonathan Olley © 2012 CTMG. All rights reserved
2012年12月04日今年の第65回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いたミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』が、2012年ヨーロッパ映画賞の主要賞4つを総なめにした。来年の3月9日(土)にも日本公開予定の本作は、主役の2人ジャン=ルイ・トランティニャンとエマニュエル・リヴァがヨーロピアン・アクター賞とヨーロピアン・アクトレス賞を、ミヒャエル自身もヨーロピアン・ディレクター賞を受賞し、さらに作品がヨーロピアン・フィルム賞に選ばれた。ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが北米配給権を獲得している本作は、秋の映画祭シーズンで賛否両論を巻き起こした話題作だ。さらに『愛、アムール』は、来年に開催されるアカデミー賞で外国語映画賞の最有力との呼び声も高い。■関連作品:愛、アムール 2013年3月9日よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座ほかにて公開© 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinéma - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunk
2012年12月04日ノーベル賞に数学賞がないのをご存じでしょうか? ノーベル数学賞がない代わりに、数学のノーベル賞と言われているのが『フィールズ賞』です。天才が受賞するこのフィールズ賞の面白い話をまとめてみました。まずノーベル賞に数学賞がないのが不思議です。数学は数式で世界の森羅万象を表そうとするもので、最も美しい科学と言ってもいいでしょう。もし宇宙人と接触することがあったら、同じ宇宙に生きる者同士として、数式はきっと通じるに違いありません。では、なぜノーベル賞にこの重要な数学部門がないのでしょうか。これには諸説ありますが、ノーベルの個人的な恨みつらみがその原因とする説があります。■あいつに取らせたくない!スワェーデンにマグナス・グスタフ・ミッタク-レフラー(1846年~1927年)という数学者がいました。ノーベルさんは彼が嫌いで、彼にノーベル賞を取らせたくないのでノーベル賞に数学部門を設けなかったという説。■数学者に彼女をとられたノーベルは生涯独身を貫きましたが、ノーベルが好きだった女性を数学者に取られてしまったので、数学者に恨み骨髄。それでノーベル賞に数学部門を設けなかったという説。いずれにしてもあまりカッコのいい話ではありませんね(笑)。さてフィールズ賞です。これは1936年、カナダ人の数学者ジョン・チャールズ・フィールズ(1863年~1932年)が提唱して設立された数学賞です。4年に一度開催される世界数学者会議で選出されます。面白いのは年齢制限があることです。40歳までの素晴らしい業績を上げた数学者に贈られます。また人数制限もあって1回につき4人までとなっています。■日本人数学者は3人も受賞!日本人数学者もフィールズ賞を受賞しています。小平邦彦先生(1954年受賞)、広中平祐先生(1970年受賞)、森重文先生(1990年受賞)の3人です。小平邦彦先生(1915年~1997年)は『調和積分論、二次元代数多様体の分類』によって、広中平祐先生(1931年~)は『標数0の体上の代数多様体の特異点の解消、および解析多様体の特異点の解消』によって、森重文先生(1951年~)は『3次元代数多様体の極小モデルの存在定理』によって受賞されました。■14歳で独力で発見ノルウェーのアトル・セルバーグ(1917年~2007年)先生は1950年にフィールズ賞を受賞していますが、「栴檀は双葉より芳し」とはよく言ったもので、若い時から数学に素晴らしい才能を発揮していました。有名なエピソードですが、14歳の時にすでに独力でベルヌーイ(1700年~1782年)が考えた公式を独力で発見したというのです。第二次世界大戦時にはドイツがノルウェーに侵攻。先生も祖国のために戦いますが、投獄されてしまいます。しかし占領下のノルウェーでも研究を続け、戦後先生の業績が花開くことになったのでした。■隠居生活にフランスのアレクサンドル・グロタンディーク先生(1928年~)は1966年にフィールズ賞を受賞しています。1つの命題を突き詰めて考え続けるという数学の特性ゆえでしょうか、数学者には隠居生活に入る人が多いようです。グロタンディーク先生も変わった人で、今世紀最大の数学者と賞されながら1970年頃になると、自らが設立した『フランス高等科学研究所』も辞め、数学の世界と距離を置き、1991年には家族も振り捨てて隠居生活に入ってしまいました。現在も(生きているだろうけど)消息は不明とされています。■特別賞を出さなくちゃ!イギリスのアンドリュー・ワイルズ先生(1953年~)は年齢制限にひっかかりながらもフィールズ賞を受賞した唯一の学者です。というのは、360年もの長きに渡って幾多の天才たちの挑戦を阻んできた『フェルマーの最終定理』の証明をやってのけたからです。証明論文は1995年に発表されていますが、この時ワイルズ先生は42歳。フィールズ賞の規定に引っかかりますが、さすがにこの快挙に賞を出さないわけにはいかなかったのです。またこの歴史的証明には、岩澤健吉先生(1917年~1998年)の『岩崎理論』が決定的な役割を果たしました。日本人としても誇らしいことですね。■賞を根こそぎ辞退数学の面白いところは証明しなくてはならない点です。どんなに一見正しそうな命題、定理があったとしても、それが証明できなくては数学的な前進にならないのです。近年、数学界ではミレニアム懸賞問題の1つ『ポアンカレ予想』が解決されました。解いたのは、ロシアのグリゴリー・ヤコヴレヴィチ・ペレルマン先生(1966年~)です。ちなみにミレニアム懸賞問題とは、アメリカのクレイ研究所が2000年に発表した数学の7つの未解決問題のことで、それぞれに100万ドルの懸賞金がかけられています。ペレルマン先生は2002年、2003年に亘って論文を『arXiv』(アーカイブと読みます。数学、物理学などの論文が上げられるサーバ)に発表。約4年がかりでその証明が正しかったと認知されました(!)。結果、2006年にフィールズ賞に選出されましたが受賞を辞退。2010年には懸賞金をかけたクレイ研究所から、ポアンカレ予想の解決者として認定されましたが、それも辞退。ペレルマン先生の消息は不明で、新たなる問題に取り組んでいると言われます。フィールズ賞を受賞するような先生方は例外なく天才で、しかも天才ゆえに面白いエピソードに事欠きません。論文の方はとても理解できませんが、先生方の人間性には興味を引かれますね。さて、みなさんは数学は好きでしたか?(高橋モータース@dcp)
2012年10月31日『白いリボン』に続き、2作品連続でカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝き、本年度アカデミー賞外国語映画賞最有力との呼び声高い、オーストリアの巨匠ミヒャエル・ハネケ監督作『愛、アムール』が2013年3月9日(土)より日本公開されることが決定した。パリの高級アパートで静かに暮らすジョルジュとアンヌは、80代の元ピアノ教師の老夫婦。教え子がピアニストで活躍する姿を誇らしげに感じ、お互いを思いやりながら日々を送る2人だったが、妻が病で突然倒れ、穏やかだった日常に少しずつ変化が訪れる…。これまでカンヌ国際映画祭でのパルムドールを始め、スペインのサンセバスチャン国際映画祭で国際批評家連盟大賞、ダーバン国際映画祭で最優秀賞を受賞、さらにアテネ国際映画祭でオープニング作品に選出されるなど各国の映画祭を席巻してきた本作。主人公となる老夫婦を『男と女』、『愛する者よ、列車に乗れ』などで知られる名優ジャン=ルイ・トランティニャン、日本とフランスの合作映画であるアラン・レネ監督作『二十四時間の情事』で知られるエマニュエル・リヴァが演じる。この先、12月にはヨーロピアンフィルムアワード、1月にはゴールデングローブ賞、2月にはセザール賞が控えており、アカデミー賞のノミネーションが1月10日(火)に、受賞結果が2月24日(日)発表となるが、本作が今回の賞レースにどのように絡んでいくのか、注目が集まる。『愛、アムール』は2013年3月9日(土)よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座ほかにて公開。■関連作品:愛、アムール 2013年3月9日よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座ほかにて公開© 2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinéma - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunk
2012年10月30日10月20日(土)より東京・六本木ヒルズを中心に開催されていた第25回東京国際映画祭が10月28日(日)に閉幕。各賞が発表され、フランス映画の『もうひとりの息子』が最高賞の「東京サクラ グランプリ」と最優秀監督賞(ロレーヌ・レヴィ監督)の2冠を獲得。昨年の『最強のふたり』に続いて2年連続でフランス映画が最高賞を受賞する結果となった。また一般観客の投票で選ばれる「観客賞」を日本から出品された松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ 3D』が受賞した。授賞式に先立って六本木ヒルズではグリーンカーペットイベントが開催され、各出品作品の監督や俳優陣、各賞の審査員、公式クロージング作品でクリント・イーストウッド主演の『人生の特等席』のロバート・ロレンツ監督らがグリーンカーペットを歩いた。東京 サクラ グランプリの栄誉に輝いた『もうひとりの息子』の舞台はイスラエル。兵役義務のためにイスラエル軍への入隊の準備をしていた青年・ヨセフが、両親の実の子ではなくパレスチナ西岸出身のパレスチナ人家族の息子とすり替わって育てられていたことを知り、価値観や信念を見つめ直していく姿を描く。ロレーヌ・レヴィ監督は最初に監督賞受賞を告げられ「光栄ですし、この映画は幸せを運んでくれました。この幸せをチームで分け合いたい」と笑顔で語っていたが、続いてグランプリ受賞が発表されると「これは本当のこと?」と信じられない様子。スタッフ、キャスト陣への感謝を述べると共に「イスラエルとパレスチナの子供たちにこの賞を捧げたい」と語った。主人公・ヨセフ役のジュール・シトリュクは「監督、非常にユニークな役のオファーをありがとう。この役を通じて素晴らしい経験をすることができました」と喜びを語った。最優秀男優賞は韓国映画『未熟な犯罪者』主演のソ・ヨンジュが獲得。壇上へ上がったヨンジュは「感謝の言葉しか出てきません。映画祭に出席すること自体、大きな経験でありプレッシャーでした。その中でこのような素晴らしい賞をいただけて嬉しいです」と満面の笑みを浮かべた。本作は審査員特別賞も獲得しており、カン・イグァン監督、共演女優のチョン・イェジンも壇上で共に喜びを分かち合った。最優秀女優賞はトルコ・ドイツ共作の『天と地の間のどこか』で、都会と地方を結ぶハイウェイ沿いのドライブインで働き、都会に憧れながらもどうにもならない思いを抱える少女を好演したネスリハン・アタギュルに送られた。アタギュルは緊張した表情で「母が喜んでくれると思います」と語った。日本映画の多様性を世界に紹介することを目的とした「日本映画・ある視点」の作品賞は、2005年に実際に起こった、少女がタリウムを実の母に飲ませたて殺害を図った事件(いわゆる“タリウム少女事件”)をモチーフにした『GFPバニー -タリウム少女のプログラム-』が受賞した。土屋豊監督は本作制作費用の400万円を自ら負担したこと、宣伝のためにさらに200万円が必要であることを告白。費用不足の中でも自身の作品を世に送り出そうとする国内のクリエイターたちの思いを代弁した。過激な内容だけに賛否が分かれる本作だが「双方の意見いただけたのはよかったと思います」と異なる多様な意見、称賛と批判を歓迎した。また、『フラッシュバックメモリーズ 3D』で観客が選出するグランプリとも言える観客賞に輝いた松江監督は、映画の完成が映画祭開催の3日前だったことを明かし「映画祭の上映を見ながら完成させたような状態でした」と語る。交通事故で高次脳機能障害を患い、記憶の維持に障害を抱えるミュージシャンGOMAのリハビリを経ての復活への過程を描いた本作。映画の中では彼のスタジオライブや過去の映像演奏も映し出されるが、監督は改めてGOMAさんや関係者への敬意と感謝の思いを口にした。なお、松江監督の本映画祭での受賞は第22回で「日本映画・ある視点」に出品された『ビデオテープ』の作品賞受賞に続き2回目となる。このほかアジア映画を対象にした「アジアの風」部門の最優秀アジア映画賞がトルコ映画の『沈黙の夜』に送られ、審査員の意見が大きく分かれたことを考慮して“スペシャル・メンション”として『兵士、その後』、『老人ホームを飛びだして』、『ブワカウ』の3作品の名が挙げられた。環境問題や自然との共生をテーマにした作品を集めた「natural TIFF」部門より選出される「TOYOTA Earth グランプリ」には、インドのシク教総本山の寺院で毎日行われる10万食分もの無料の食事提供がどのように行われているかを圧巻の映像で映し出した『聖者っからの食事』が輝いた。授賞式ののち、今年最後の上映作品となる公式クロージング作品『人生の特等席』のロバート・ロレンツ監督が舞台挨拶に登壇。本作の上映をもって記念すべき25回目の東京国際映画祭は幕を閉じた。第25回東京国際映画祭 受賞一覧【コンペティション部門】■東京 サクラ グランプリ:『もうひとりの息子』■最優秀監督賞:ロレーヌ・レヴィ(『もうひとりの息子』)■最優秀男優賞:ソ・ヨンジュ(『未熟な犯罪者』)■最優秀女優賞:ネスリハン・アタギュル(『天と地の間のどこか』)■最優秀芸術貢献賞:パンカジ・クマール(『テセウスの船』撮影監督)■審査員特別賞:『未熟な犯罪者』■観客賞:『フラッシュバックメモリーズ 3D』【日本映画・ある視点部門】■作品賞:『GFPバニー -タリウム少女のプログラム-』【アジアの風部門】■最優秀アジア映画賞:『沈黙の夜』■スペシャルメンション:『兵士、その後』/『老人ホームを飛びだして』/『ブワカウ』【natural TIFF】■TOYOTA Earth グランプリ:『聖者からの食事』■特別賞;『ゴミ地球の代償』特集「東京国際映画祭のススメ2012」■関連作品:第25回東京国際映画祭 [映画祭] 2012年10月20日から10月28日まで東京にて開催テセウスの船© 2012 Fortissimo Amsterdam未熟な犯罪者© 2012 NATIONAL HUMAN RIGHTS COMMISSION OF KOREA & SOUTH PARK FILM All Rights Reserved.フラッシュバックメモリーズ 3D© SPACE SHOWER NETWORKS.inc天と地の間のどこか人生の特等席 2012年11月23日より丸の内ピカデリー3ほか全国にて公開© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.もうひとりの息子© Rapsodie Production - Cité Films
2012年10月29日テレビ界のアカデミー賞とも言われる米国エミー賞の結果が23日(日本時間24日)に発表され、注目のドラマ・シリーズ作品賞は『HOMELAND』が受賞した。その他の写真エミー賞は、世界の放送業界において顕著な実績のあった番組や俳優、プロデューサー、制作技術者に贈られる賞で、1949年にハリウッドで行われた第1回の授賞式以来、今年で64回目を迎える。授賞式の模様はアカデミー賞と同じく全米で放送される。今年の作品賞ではABC、CBS、NBCの3大ネットワーク局のドラマが1作品もノミネートされず、HBO、AMCなどのケーブル局作品が名を連ねた。中でも、5年連続で作品賞を受賞するかで注目を集めていた『MAD MEN』は、惜しくも逃し『HOMELAND』が受賞した。『HOMELAND』は、作品賞のほか脚本賞と、ダミアン・ルイスが主演男優賞を、クレア・デインズが主演女優賞をそれぞれ受賞し、ドラマ・シリーズの主要部門4冠を獲得した。コメディ・シリーズでは、『モダン・ファミリー』が3年連続で作品賞を受賞したほか、監督賞など4賞を受賞する結果となった。『HOMELAND』は、日本ではFOXCRIMEで10月よりリピート放送予定(10/18開始、毎週月~金曜17:00~18:00)、『モダン・ファミリー』はFOXチャンネルでシーズン2が現在放送中(毎週日曜23:30~24:00)。またエミー賞授賞式の模様は、日本ではAXNチャンネルで9月29日(土)20時よりノーカット完全版で放送される。第64回エミー賞(2012)主な受賞結果●ドラマ・シリーズ部門【作品賞】『HOMELAND』【主演男優賞】ダミアン・ルイス『HOMELAND』【主演女優賞】クレア・デインズ『HOMELAND』【監督賞】ティモシー・ヴァン・パタン『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』【脚本賞】アレックス・ガンサほか『HOMELAND』【助演男優賞】アーロン・ポール『ブレイキング・バッド』【助演女優賞】マギー・スミス『ダウントン・アビー』●コメディ・シリーズ部門【作品賞】『モダン・ファミリー』【主演男優賞】ジョン・クライヤー『Two And A Half Men』【主演女優賞】ジュリア・ルイス=ドレイファス『Veep』【監督賞】スティーヴン・レヴィタン『モダン・ファミリー』【脚本賞】ルイス・C・K『Louie』【助演男優賞】エリック・ストーンストリート『モダン・ファミリー』【助演女優賞】ジュリー・ボーウェン『モダン・ファミリー』●ミニシリーズ/テレビムービー部門【作品賞】『ゲーム・チェンジ大統領選を駆け抜けた女』
2012年09月24日6日から開催されていたトロント映画祭が、現地時間16日に閉幕した。観客賞を受賞したのは、デビッド・O・ラッセル監督の『Silver Linings Playbook』。園子温監督の『希望の国』は、今年新設されたNETPAC賞を受賞した。その他の写真カンヌやヴェネチア映画祭と違い、トロント映画祭では、映画祭が選んだ審査員が話し合って賞を決めることはしない。観客もチケットを買って映画を観られるオープンな映画祭で、観客が投票する観客賞が最高賞となる。『アメリカン・ビューティ』『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のスピーチ』など、トロントで観客賞を取った映画がオスカーで作品賞を取ったケースは多く、近年、トロントの動向はますます注目されている。『Silver Lining Playbook』は、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロらが出演し、家族の関係を描く、笑いと感動にあふれる物語。次点はベン・アフレックが監督する『アルゴ』。1979年に起こったイランにおけるアメリカ人捕虜救出の裏側にあった本当の作戦を描く、スリル満点の娯楽作だ。また、ミッドナイト・マッドネス部門で上映された作品を対象にする観客賞は、マーティン・マクドナー監督の『Seven Psychopaths』に贈られた。園子温監督の『希望の国』が受賞したNETPAC賞は、Network for the Promotion for Asian Cinemaが選出するもので、今年新設されたもの。トロントでワールドプレミア、あるいは海外プレミアをしたアジア映画の中から選ばれる。『希望の国』は10月20日(土)、『アルゴ』は10月27日(土)日本公開。『Silver Lining Playbook』の日本公開は未定。『希望の国』10月20日(土) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー『アルゴ』10月27日(土) 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー取材・文:猿渡由紀
2012年09月19日