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世間はお盆休みですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。休暇をとられている方も、世間のカレンダーとは逆にお仕事の方も、お子さんが夏休みのこの時期に色々と考えることがあるのではないでしょうか。本日は、ジュニアサッカー(少年サッカー)の保護者向け情報サイト「サカイク」で2020年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった「考える力」をテーマにした記事をランキングでご紹介します。サッカーを通して子どもを自立させる方法など参考になることがたくさんありますので、ぜひいま一度ご覧ください。第3位サッカーは一人ではできないから助け合いが大事。選手権常連の矢板中央高校が大事にする「サッカーを通じて社会で生きる力」「うち(矢板中央)はプロを多数輩出する学校ではないからこそ、選手同士の『助け合い』など社会で生きる力をつけさせて送り出す」という高橋健二監督。どのようにしてサッカーを通じてその力を身につけさせているのかを伺いました。「90分の試合は人生と一緒。人生において人は一人で生きていけるか?」サッカーは一人ではできない。だから助け合いの精神が大事記事を読む>>第2位今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!? 自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと「最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い印象の子が増えている」それ感じてた、ハッとした(でも親の自分もそうかも)、わかる、ちょっと耳が痛い......など多くの保護者の反応をいただいたこの記事が2位でした。「今現在」幼さが残るだけならいずれ成長して実年齢相応になりますが、いつまでも子ども扱いして自立を防ぐのはよくありません。いずれ社会に出る子どもたちをどう導けばいいのか。進学塾「VAMOS」の代表で、日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組む富永雄輔さんに伺いました。子どもが幼いのではなく、大人が幼い子どもを作っている記事を読む>>第1位ゼロ百思考でいきなり「自立しろ」は無理、今どきの子どもに必要な自立へのステップとは「最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い」がテーマの記事がワンツーフィニッシュという結果になりました。物事についてゼロか百かで考えてしまうこともあるかもしれませんが、子どもの自立においてはゼロか百かで判断できるものではありませんよね。自分の指針となるマニュアルを求める親が多い「まだ子どもだから」「子どもを傷つけたくないから」など自分に都合のいい意見だけを切り取って子どもに対峙する。失敗しないよう親が先回りしてつまづく要因を取り除いて甘やかされた子は勉強でもスポーツでも中途半端になってしまうのだそう。今どきの子どもたちを段階的に自立させるために意識してほしいことを伺ったのでご覧ください記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。【保護者、指導者の皆さんへ】連日猛暑続きで夏バテが続いている方もいらっしゃるのではないですか?まだまだ暑い日は続きますが、お父さんお母さんの疲労回復のためにこちらの記事をご紹介しますので、参考にしてリフレッシュしてくださいね。バスクリンのお風呂博士に聞いた「正しい入浴と睡眠の知識」>>
2020年08月12日最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い印象の子が増えている、それは大人に原因がある。ということを前編でお送りしました。子どもが忘れ物をしてツライ思いをしないようにと、いつまでも学校の道具やサッカーの準備を親がすべてやってあげていませんか?進学塾「VAMOS」の代表で、日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組む富永雄輔さんは、子どもの自立には勉強でもサッカーでも普段の生活の部分がとても大事だと言います。後編では、わが子を徐々に自立させるために保護者に意識していただきたいことを伺いました。(取材・文:前田陽子)(写真は少年サッカーのイメージです)<<前編:今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!?自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと■親に大切なのは我慢する勇気――子どもを甘やかしてしまう原因は何だと思いますか?子どもを子ども扱いして甘やかしてしまう原因のひとつに、SNSをはじめとする情報収集ツールがあると思っています。親御さん世代の人は盛んに使っていて、そこから典型的なマニュアルを入手している方もいるようですね。今の小学生の親世代は、ちょうど厳しい教えがNGとされてきた変換期で育っているため、教育への観念が同じ世代でも大きく異なります。そういった背景から親自身が結論を持っていないので自分の指針となるマニュアルを求める方が多いように思います。結果、「まだ子どもだから」「子どもを傷つけたくないから」など自分に都合のいい意見だけを切り取って子どもに対峙するので、子どもに甘くなるのだと思います。――親世代がちょうどマニュアルがあることが当たり前な世代ですよね。どうしても指針を欲してしまいます。親がブレると子どももブレます。親が真偽不明な情報に惑わされると子どもも混乱してしまうのはわかりますよね。また、甘やかされた子は勉強でもスポーツでも中途半端になってしまいます。自立させなければいけないことに、親は早く気が付かなければいけません。失敗した経験は子どもをおのずと成長させます。ですので早いうちにたくさんトライをして、たくさんエラーを経験させましょう。例えば、子どもが考えて実践した勉強のやり方で結果が出なくてもその方法を否定してはいけません。そのまま続けるのか、勉強法を変えるのか。それは子どもがまた考えて、トライすればいいのです。勉強なら、そんな経験を受験にまだ間に合う小学5年生、中学2年生の段階でたくさん失敗することは大切だと思います。失敗している間は、親は極力口出しを控えることも大事なことです。失敗を子どもに負わせ続けることを我慢する勇気が親に必要なのです。さらに、今は結果を見る時期なのか、経過を見るべき時期なのかを見極めること。勉強なら小5は過程を学ぶときで、小6は結果を見るときです。もっと短いスパンで考えてもいいですね。今度のテストは算数は結果を見て、苦手な国語はこれまでやってきたプロセスが良かったかどうかを見るとか。結果と過程のどちらに着目するかの基準を持っていると良いと思います。親が子どもにその時、何を学ばせたいかをはっきりすること。それをしないと、結局あれもこれもになってしまいます。■ゼロか100ではなく、徐々に手を放す――子どもの自立を考えたときに大切なのは日々の生活なのかなと思います。そう思います。現在海外で活躍しているサッカー選手の多くは、練習以外の時間を現地の言葉を習得するための勉強などに多くの時間を割いています。そういった努力はほとんど報道されませんが、一流選手たちは練習以外で努力していることがたくさんあります。親御さんにはそこに気づいてほしいですね。勉強にしてもサッカーにしても、上を目指すなら生活の部分がとても大事です。親が口を出し、手を出すことのすべてがダメではないと思いますよ。たとえば九九ができない子に割り算をしろと言っても無理なことです。ベースとなる知識は教えてあげないといけません。教えるステップと手を放すステップが重要なのですが、子どもが失敗することを心配して手を放せない親がとても多いと思います。いきなりすべてのことから手を放す必要はありません。部分ごとに手を放せばいいのです。例えばサッカーなら、練習場は試合会場まで一緒に行くけれど、準備はひとりでやらせる。試合会場へのアクセスを考えさせて、一緒に行くとか。少しずつで良いのです。いろいろな自立のさせ方があると思います。付くのと離れるのを段階的にすることを意識してほしいですね。中学生になったから、高校生になったからと、いきなりすべてをつき放すのではなく、子どもの様子を見ながら徐々にでいいと思います。そして親もトライ&エラーを繰り返していくこと。親がエラーする様子を見せることも、子どもにとっては「失敗してもいいんだ」という教訓になります。■親もアップデートが必要――子どもたちの習い事のスタートが低年齢化していると思います。やはり早く始めないとダメなのでしょうか?ひと昔前に比べて、塾もサッカーなどの習い事も、スタートする年齢が下がってきています。その結果、小1の段階でうまい子がたくさんいます。小学校から始めようとクラブに入った子が同じ練習をしたときに、幼稚園から始めていた子はできて、小学校から始めた子はできないということがたくさんあります。そんな時に小学校から始めた子が「自分はダメだ」とあきらめてしまう子がいるんです。できないのではなくて、やり方を知らないだけなのに。それなのに子どもも親も諦めてクラブを辞めてしまう、これはとても不幸なことだと思います。正当な競争をさせないことでつまづきやチャレンジがないので、ぬるい環境で甘えが出てきてしまうのです。そして甘えが多いと精神的に幼い子が増えます。そういった子を増やさないためには、正当な競争が必要だと思います。過度な椅子取りゲームは精神的にもきついですが、適度な刺激を子どもに与え続けると考え方は変わってくるはずです。一生懸命挑戦してみて、それでも思ったような結果が出なかったり、別の目標をに向かうことを決断することもあるかもしれません。ですが、目標を変えることは挫折ではなく新たなことへのチャレンジなのです。親はつい挫折をさせたくなくて手を出してしまいますが、チャレンジととらえられれば、応援することができるのではないでしょうか。今回のコロナ禍で実感された方も多いと思いますが、10年後どころか、少し先の将来は予想がつかない社会に変化する可能性もあるのです。大人が考えている以上に子どもを取り囲む環境は進化して、これまで以上に変わっていきます。AI、プログラミングなどを小学生時代から学ぶことは、親世代には経験がなかったこと。ですから、親もアップデートが必要です。向上心を持っている親は、子どもへの植え付け方がとても上手ですよ。子どものためにも、自分たちが変わることに躊躇しない親がいいですね。<<前編:今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!?自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)などがある。進学塾「VAMOS(バモス)」ホームページはこちら>>
2020年06月30日みなさんのお子さんは、年齢なりに自分の事を自分でできますか?親御さんがあれこれ手をかけたり、「こうしなさい」と先回りして口出ししてしまっていませんか。わが子がつまづいて挫折してほしくないばかりに親がつまづきそうな要因を取り除いてしまう......。そうすることが子どもの自立を阻んでいるとしたら?「最近の子どもは実年齢よりマイナス4歳ぐらい幼い印象の子が増えている」と、進学塾「VAMOS」の代表で、日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組む富永雄輔さんは言います。はたしてそれはなぜでしょうか。子どもを年齢なりに自立させるために親はどうすればいいのかを伺いましたのでご覧ください。(取材・文:前田陽子)(写真は少年サッカーのイメージです)■以前に比べて、子どもたちは実年齢より4歳幼い!?――大学入試に親が同行することが普通となりつつありますが、どう思われていますか?受験のみ、住まい探しなどは別の機会に行う前提ですが、保護者世代の方々の経験として、遠方に入試に行く際に、子どもが女子だとまれに親御さんが会場まで一緒に行く方もいたと思いますが、男子の場合はなかったですよね。最近は男女問わず親がついていくことも増えつつあり、子どもの方も親と一緒に行くのが安心という子もいるようです。そういった、自分で行動する面なども含め、今の子たちは実年齢より4歳くらい幼い印象です。ここ5~6年、特に男の子に幼さが残っていると感じることが多いですね。同様の事は、同業者の中でも聞くことが増えました。「幼い」と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが、悪いことばかりではないと思います。どの子もずっと幼いままでいるわけではなく、成長が緩やかなだけで、どこかで追いつきますので、たとえ今お子さんが他の子より精神的に未熟だとしても心配しすぎないでください。では、どうして今の子どもたちが幼いかというと、子どもたちがダメージを受けると立ち上がれないからです。「挫折したら立ち上がれない」「レールを外れたら戻れない」という空気があり、それでも立ち上がれる子はいるのですが、多くの場合は自分の子が大きな挫折をしたら立ち上がれないことがわかっているから、わが子にダメージを与えないようにと親が先回りをして、つまづく要素を取り除いてしまう。その悪循環が突き進みすぎていると感じています。――確かに。子どもたちを守ってあげたいという気持ちはわかりますが。それで社会に出て大丈夫かと心配になります。生物の世界には生存競争があって、勝ち残らなければいけないという本能があります。少し前から「徒競走で順位をつけない」「サッカーでレギュラーを決めない」「成績をつけない」という動きがあります。サッカーで選手全員にチャンスを与えようという主旨はわかりますが、社会に出て全員が同じ条件で同様なチャンスが与えられることは100%ありません。子どもの幼さを増長している要因のひとつは、大人がチャンスを強制的に与えるからだと考えています。昔の部活では、部内の競争を経て18名のメンバーが決められ、そこからスタメンの11名を目指す。全員に与えられたチャンスを生かせるか、生かせないかは個人の努力や力で、その過程が子どもたちを成長させました。けれど、今の子どもたちはチャンスが過度に与えられることで競争する必要がない=無理やり成長をしなくて良くなっているのです。■子どもが幼いのではなく、大人が幼い子どもを作っている――プロとして活躍している選手たちの子ども時代はもっと大人だったと思いますか?近年様々なジャンルでトップ層の子どもは考えがしっかりして成熟している子も多いと思います。サッカーでいうと、今、スペインで活躍している久保建英選手は18歳ですが、20年前の18歳に比べて格段と大人です。インタビューの受け答えなども、とてもしっかりしていますよね。勉強でも東大に入って「東大王」などに出ている子たちは、勉強だけでなく、幅広い知識や柔軟な発想が求められるクイズもできる。どの子も非常に要領が良くて、セルフプロデュースに長けているんです。天が二物を与えた子がたくさん出てきている一方で、前述したように幼い子どもたちも増えているという状況です。――同年代の子どもたちで差が出るのは、なぜでしょう。今の子どもたちは自分で選択せず、大人が与えた環境の中で過ごしています。それは子どもにとって言い訳しやすい状況です。そういう状況を大人が用意し続けた結果が、子どもの成長を妨げていると感じています。『親が出すぎる→過度な公平な機会を与える→順位を付けない→厳しくしない→成長しない』そんな循環ができてしまっています。順位付けをしない、厳しくしないというのは、指導者からするととても楽なことなのです。チームを強化する必要がないので、子どもたちを公平に扱うことさえすればいいだけですから。プロセスに重点を置いて楽しもうという方針にも利点はたくさんありますが、結果を求められないことは指導者にとって非常に楽という側面もあるのです。今の子どもたちはいろいろなことから守られすぎている結果、幼さが残っているのかなと思いますね。何でもかんでも厳しくしなければいけないとは言いません。けれど、競争をさせたら出来る子はたくさんいます。子どもは頑張れるのに、大人がその環境を取り除いてしまうので、頑張り方を知らない子が多すぎるのです。■親は現実を直視しよう――親はどう接していくべきだと考えますか?親御さんの多くが、現実を直視できていないと感じています。日本代表やオリンピック代表を見れば、おのずと過保護で伸びる子が少ないというのはわかるはず。サッカーは飛び級が許されているので、高校生でプロになる子も少なくありません。プロになったら何歳であろうと大人と一緒にプレーをします。15~16歳で大人扱いをしてあげなければいけないことに、親が早く気が付くことが重要です。プロを目指しているのではないので......。と思う人もいるかもしれません。けれど、自分の学年より上のカテゴリーの試合に出る機会がサッカーには多くあります。上の年代の人たちと一緒にプレーをして、自分の意見を言う。そういう環境は身近にあると思います。子どもは勝手に大きくなりません。親の関わり方によって、子どもの成長が変わることを肝に銘ずること。親が周囲の人たちにどう接していくべきかを考え、実行することで子どもの今後が左右されるのです。富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)などがある。進学塾「VAMOS(バモス)」ホームページはこちら>>
2020年06月22日2020年からの教育改革は、明治維新以来のもっとも劇的な改革であると言われています。新しい学習指導要領がめざすのは「十分な知識・技能」「答えがひとつに定まらない問題に自ら解を見出していく思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の育成です。これまでの知識偏重の教育から脱却し、「知識をどのように使うのか」に重点が置かれるようになるわけです。大学入試も大きく変わります。この大きな教育改革によって、「頭がいい子」の定義も大きく変わると予想されます。単にたくさんの知識を持っているだけでは不十分で、「自分以外の人ともうまく関わりながら豊富な知識を活用できる子」が高く評価される時代がやってくるのです。中には「うちの子勉強好きじゃないんだよね」「なんか読解力が低い気が......」「スマホばっかりしているんですけど」とお悩みの保護者の皆さんもいるかと思います。ですが、そんな親が心配する行動や変化こそ子どもが伸びるサインなのだそう。サッカーでも勉強でも、子どもが伸びるためには親のかかわりが重要です。今回は、入塾テストなしで難関校に続々合格する塾の先生で、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる進学塾VAMOS代表・富永雄輔さんに、子どもの伸びしろを最大限伸ばすヒントが詰まった最新著書「それは子どもの学力が伸びるサイン!」(廣済堂出版)のからいくつかのヒントをいただくこの短期連載。最終回となる今回は、子どもを賢くする「チャンス!」の事例をお届けします。子どもたちが夢に向かい、進路を決める時に納得した決断を出すために大事なことでもあります。「それは子どもの学力が伸びるサイン!」これからは「自分以外の人ともうまく関わりながら豊富な知識を活用できる子」が高く評価される時代がやってくるのです(写真は少年サッカーのイメージです)■日常の出来事は、子どもを賢くするチャンスにつながるこんにちは。私は東京・吉祥寺に本部を置く学習塾「VAMOS(バモス)」の経営者として、10年以上子どもたちの指導にあたってきた富永雄輔です。また、一方で日本サッカー協会登録仲介人として、サッカー選手のエージェント業務も行っています。私の塾では入塾テストを一切行っていませんが、ありがたいことに難関校と言われる学校に合格するお子さんたちが多くいらっしゃいます。そんなお子さんと親御さんのかかわりを見てきた経験から、子どもが気になる行動をしたときは、大人がそれを「サイン」とみなし、適切なタイミングでフォローしていけば、学力も思考力もぐっと伸びると実感しています。今日はこんな過ごし方は、子どもを賢くする「チャンス」!の事例をご紹介します。社会が多様化している今、子どもの生活は親が子どもだった時代とは違ってしまっています。それを踏まえて、日常のさまざまな出来事を子どもを賢くするチャンスにつなげましょう。そのための方法をお教えします。■お金の話をする-生きる力を育てるチャンス日本人はとかく、お金の話を避ける傾向があります。そのため、お金に関する教育も諸外国に比べ、かなり遅れているのが現状です。自己破産を多く扱う弁護士さんの話によれば、そもそも自分の収入に応じた生活を営むという当たり前のことができない若い世代が非常に多いのだとか。金融リテラシー、つまりお金に関する知識や判断力が身につかないまま大人になっているにもかかわらず、一方ではクレジットカード、モバイル決済などのサービスが気楽に利用できる社会は出来上がっています。便利さの裏にあるリスクをきちんと理解せぬまま安易に利用してしまった結果、金銭的な窮地に陥るケースが後を絶たないのだそうです。仮想通貨などの新しい金融商品も続々と登場しましたが、その仕組みを理解できなければ、その恩恵にあずかることはできません。年金などの社会制度の行く末も不透明な未来を生き抜くためには、お金に対する正しい知識と理解は欠かせないでしょう。そのためにも、家庭での会話において、お金の話をタブーにしないことはとても大事です。お金の話は成績の話に通じるものがあります。努力はもちろん大事ですが、受験生に必要なのは客観的な数字。いいか悪いかは別にして、定量的に数字を見せて、現実的かどうか子どもに判断させることが受験には必要です。最近の学校教育では、子どもに定量的な目標をあまりもたせないことが多いのですが、ただ「がんばる」だけでは、子どものモチベーションはなかなか長続きしません。数字で表す目標を掲げることで、それに向かって自分の勉強を続けられます。受験においては、「がんばる」「一生懸命」などの抽象的な言葉をなるべく使わない習慣をつけるほうがよいと私は考えています。■「キラキラした姿」ばかりでなく、現実をきちんと教えるですから、将来の職業の話をするときも、小学生くらいまでは、夢や希望がもてるキラキラした姿だけを話題にしていけばよいでしょうが、中学生以降のお子さんには、その仕事で具体的にどれくらいの報酬があるのかという、シビアな部分に触れておくのも大事だと思います。私はサッカー選手のエージェントの仕事もしているのですが、思うことがあります。小学生ならサッカー選手を無邪気に夢見るのもいいでしょう。でも、中学生くらいからは、海外のチームに所属し、日本代表に選ばれて、夢のような年俸を得られる選手はほんの一握りであること。さまざまな試練を乗り越えてJリーガーにはなれたとしても、J3の選手の場合はサラリーマンの平均年収を稼ぐのがやっとという金銭的な現実から目を背けさせてはいけません。もちろん、お金だけが大事なわけではないですし、「だからあきらめなさい」ではありません。たとえ、年収が高くなくても「夢を与える仕事を選びたい」という判断は尊重すべきだし、ひと握りの日本代表という夢を追いかけ続けるにしても、自分の実力を冷静に見たうえであれば、否定する必要はないです。その夢を肯定するか、調整するか、思い切ってあきらめるのかは、あくまでも本人の判断なのです。しかし、私が言いたいのは、その判断材料に「お金」の情報を与えないのは、大人として無責任ではないか、ということです。みんながお金持ちになれるかのようなイメージだけを抱かせ、現実を見せないのは、少なくとも中学生以上の子どもに対しては、むしろ酷だと思うのです。お金の現実を知り、そのうえで判断し、その夢に対して自分なりの着地点を見つけることも、大事な「生きる力」のひとつなのです。■親も子もスマホの画面にばかり夢中になっていない?コミュニケーション能力を「持って生まれたものだからしょうがない」と諦めないでください。親子の会話で身につけられる力です(写真は少年サッカーのイメージです)そもそも大規模な教育改革が実施される理由がまさに、「十分な知識・技能」「答えがひとつに定まらない問題に自ら解を見出していく思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を備え、自分以外の人ともうまく関わりながら豊富な知識を活用できる、そのような人材を社会が求めているからにほかなりません。これまで経験したこともない大きな改革ゆえに、いったい何が起こるのか、どういう準備が必要なのかと不安を抱えている親御さんも多いかもしれませんが、ひとつ間違いなく言えるのは、「コミュニケーション能力の高さ」はこれからますます大きな武器になることです。コミュニケーション能力を、持って生まれた才能のように勘違いする方が多いのですが、決してそうではありません。多くの子どもたちと接している中で私が強く感じるのは、優れたコミュニケーション能力を発揮する子には、ご家庭でたくさんの会話を重ねているという共通点があることです。ネット時代であろうとも、コミュニケーション能力は顔を突き合わせたコミュニケーションによって磨かれます。大きな力を発揮するのは、日常的な親子間のコミュニケーションなのです。しっかり顔を見て、表情の変化にも気を配りながら、お子さんと会話をしていますか?親も子もスマホの画面にばかり夢中になっていませんか?新しい教育システムであなたのお子さんがチャンスをつかむのか、ピンチに陥るのか──。その鍵を握るのは、新世代のお子さんの価値観に寄り添い、サインをキャッチし、理解しながら、コミュニケーションを図ろうとする、そんな親御さんの姿勢にあることをどうか忘れないでください。富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)などがある。
2020年02月19日思考力、判断力、表現力といった問題解決能力やコミュニケーション能力などこれからを「生き抜く」力。これからの「教育改革」ではこれまでのような知識偏重ではなく、知識をどう使うか、主体性を持って仲間と強調しながらやり遂げる力など、これまでの「頭の良い子」とは違った賢さが求められるようになります。中には「うちの子勉強好きじゃないんだよね」「なんか読解力が低い気が......」「スマホばっかりしているんですけど」とお悩みの保護者の皆さんもいるかと思います。ですが、そんな親が心配する行動や変化こそ子どもが伸びるサインなのだそう。サッカーでも勉強でも、子どもが伸びるためには親のかかわりが重要です。今回は、入塾テストなしで難関校に続々合格する塾の先生で、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる進学塾VAMOS代表・富永雄輔さんに、子どもの伸びしろを最大限伸ばすヒントが詰まった最新著書「それは子どもの学力が伸びるサイン!」(廣済堂出版)のからいくつかのヒントをいただくこの短期連載。今回は、保護者の関心も高い「習い事と塾の両立」についてお届します。「それは子どもの学力が伸びるサイン!」自分で決断できた子の方がモヤモヤがなく集中して取り組めるのです(写真は少年サッカーのイメージです)■習い事はいつ辞める?それとも続けた方が良いもの?こんにちは。私は東京・吉祥寺に本部を置く学習塾「VAMOS(バモス)」の経営者として、10年以上子どもたちの指導にあたってきた富永雄輔です。また、一方で日本サッカー協会登録仲介人として、サッカー選手のエージェント業務も行っています。私の塾では入塾テストを一切行っていませんが、ありがたいことに難関校と言われる学校に合格するお子さんたちが多くいらっしゃいます。そんなお子さんと親御さんのかかわりを見てきた経験から、子どもが気になる行動をしたときは、大人がそれを「サイン」とみなし、適切なタイミングでフォローしていけば、学力も思考力もぐっと伸びると実感しています。さて、受験のシーズンですね。毎年この時期が近づくと多くの保護者の方から寄せられる質問があります。「習い事と塾の両立について」の相談です。お子さんの受験が近づくと、保護者の方から「ほかの習い事はいつやめさせればいいか」「それとも続けたほうがよいのか」といった相談を受けることがよくあります。親としては、「スポーツも続けたほうが体力がついて、勉強にも集中できるのではないか」と思ったり、逆に、「習い事はさっさとやめるべきではないか」という心配も生まれてくるのでしょう。まず、無理に「文武両道」をめざす必要はまったくありません。本人が望んでないのに、親が「スポーツも塾もがんばりなさい」と無理強いするのはNGです。小・中学生はまだそこまで体力はありません。一方で、本人が両立できそうもないと感じているけど、その習い事は好きなので、悩んでいるケース。その場合は、たとえば、「2か月休めば、またチームに戻れるよ」とか「3か月後の試合には出られるように、コーチに話しておくから」とか、親が促すのがよいでしょう。受験が終われば再開できるとわかれば、本人は安心して受験に集中できます。このように本人が迷っているときは、優先順位は親がつけるのがベストです。■自分で決めた子の方が上手に切り替えられる。親が焦りすぎないで子どもが続けたがっている場合は?また、子どもが習い事を続けたいと思っているのに、親に習い事をストップさせられてしまった場合、モヤモヤしたまま、かえって勉強に集中できないケースもあります。そこは無理にやめさせたりはしないでください。「◯◯の大会が終わったら」などと自分自身でやめ時を決められた子や、「このまま両立するのは無理だな」といい意味であきらめられた子は、上手に気持ちを切り替えられます。夏休みが終わっても習い事をやめる気配が一向に見えないと、焦りはじめる親御さんも多いのですが、勉強のギアが一気に上がりはじめる受験直前の11月、12月あたりになると、習い事を一旦やめる決断をする子がほとんどです。中には、結局最後まで両立し続けて、限られた時間の中ですばらしい集中力を発揮し、よい結果をつかみとる子も珍しくはありません。仮に「第一志望校合格」の成功は手に入れられなかったとしても、好きなことに全力で取り組みながら受験にも挑んだ経験は長い目で見れば決してムダにはならないでしょう。そもそも、かんたんにやめる決断ができないほど、熱中できる何かがあるのは、とてもすばらしいことですから、その気持ちは十分に理解してあげていただきたいです。■子どもが無用なトラブルで傷つかないために事前リサーチも大事辞める時のゴタゴタでその後のつきあいが気まずくなったりしないためのリサーチや日頃のつきあいは大事です(写真は少年サッカーのイメージです)ただ、気をつけていただきたいのは、やめたいときに自由にやめにくい習い事もあることです。ここ数年、サッカーや野球、バスケットなどのチームスポーツに取り組んでいた子が、受験を理由にチームをやめようとしても、なかなかやめさせてもらえない話を耳にするようになりました。「1人でも欠けてしまうと試合に出られない」というチーム事情が絡む場合はさらに深刻で、慰留を振り切ってやめた結果、親子ともにその後のつきあいが気まずくなるケースもあります。やめる、やめないでトラブルになれば、子どもも傷ついてしまいますから、それを避けるためにも、野球やサッカーなどのチームに所属する場合は、やめやすいかどうかを事前にきちんと確認しておくと安心です。富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手がけ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)などがある。
2020年02月05日思考力、判断力、表現力といった問題解決能力やコミュニケーション能力などこれからを「生き抜く」力。小学生のお子さんがいらっしゃる保護者のみなさんは、2020年からの「教育改革」でもそれらが求められていることを実感されているのではないでしょうか。これまでのような知識偏重ではなく、知識をどう使うか、主体性を持って仲間と強調しながらやり遂げる力など、これまでの「頭の良い子」とは違った賢さが求められるようになるのです。中には「うちの子勉強好きじゃないんだよね」「なんか読解力が低い気が......」「スマホばっかりしているんですけど」とお悩みの保護者の皆さんもいるかと思います。ですが、そんな親が心配する行動や変化こそ子どもが伸びるサインなのだそう。サッカーでも勉強でも、子どもが伸びるためには親のかかわりが重要です。今回は、入塾テストなしで難関校に続々合格する塾の先生で、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる進学塾VAMOS代表・富永雄輔さんに、子どもの伸びしろを最大限伸ばすヒントが詰まった最新著書「それは子どもの学力が伸びるサイン!」(廣済堂出版)の中からいくつかのヒントをいただきました。数回に分けてお送りするのでお楽しみください。適切なフォローで学力や思考力など可能性が最大限に伸びるのです(写真は少年サッカーのイメージです)■親世代の「正解」が通用しない現代の子どもの伸ばし方こんにちは。私は東京・吉祥寺に本部を置く学習塾「VAMOS(バモス)」の経営者として、10年以上子どもたちの指導にあたってきた富永雄輔です。また、一方で日本サッカー協会登録仲介人として、サッカー選手のエージェント業務も行っています。私の塾では入塾テストを一切行っていませんが、ありがたいことに難関校と言われる学校に合格するお子さんたちが多くいらっしゃいます。そんなお子さんと親御さんのかかわりを見てきた経験から、子どもが気になる行動をしたときは、大人がそれを「サイン」とみなし、適切なタイミングでフォローしていけば、学力も思考力もぐっと伸びると実感しています。一方、長年塾を経営して、非常に強く感じるのは、子どもたちの様子がここ数年で急激に変わったことです。10年前の子どもと今の子どもは、まったく異質であると言っても過言ではありません。しかし、変わったのは子どもたちだけではなく、この10年の間に人々の生活や社会的な価値観や、学校教育そのものが激変しています。中でも、親御さんが特に感じるのは、インターネット社会、スマホ社会の到来ではないでしょうか?ネットの人口普及率は2005年末には70%を突破。その後、スマホの普及率は、2014年には全世代平均で60%台、2019年2月には80%台となりました。物心ついた頃には、まわりにスマホが当たり前にある――そんな世代こそ、私が近頃、塾で出会うようになった子どもたちです。変化の早いこの時代は、親と子の世代間ギャップが以前とはまるっきり次元が違うのです。このギャップこそが、今の親世代にさまざまな教育の悩みをもたらしています。なぜなら、自分たちが「これが正しい」「こうすべきだ」と教えられてきたことがまったく通用しないからです。また、共働きや、塾や習い事に毎日のように通う子も増えているため、親が子どもと接する時間は短くなってきています。そんな中、「うちの子は本当に大丈夫なのだろうか」と不安になることもあるでしょう。しかし、心配しないでください。親が心配になる子どもの行動や変化こそが、実は伸びる「サイン」です。このサインには、学力だけでなく、好奇心や自立心、思考力なども育まれるヒントが詰まっています。今の子どもたちが発するサインの本当の意味や、子どもを伸ばすための「チャンス」や「ピンチ」の生かし方、そしてスマホなどの「デジタルの生かし方」について解き明かしていきます。ピンチだと思っていたことが実はチャンスだったり、その逆だったりと意外な結果が見えてくるかもしれませんが、かつての常識は今や非常識、というくらいの変化が本当に起こっていることを受け入れていただきたいのです。■勉強は「よい会社に入るために」するものではないまず、お子さんが「勉強は何かになるためにするもの」と思っているのなら、それは違います。勉強する目的を、「自分の可能性を広げるため」とか「おもしろいことを言うためには最低限の知識がいるから」など、幅広い意味でとらえてほしいのです。そのためには、親が「何かになるために、勉強しなさい」とはあまり言わないほうがいいですね。たとえば、「よい会社に入るために」とか「医者になるために」などと言いすぎてはいけません。お子さんが「eスポーツのプレイヤーになりたい」「ユーチューバーになりたい」などと言い出した場合、親はどうしたらよいかわからないでしょう。しかし、それは、親世代がかつて抱いていた「サッカー選手になりたい」「歌手になりたい」という夢と同じようなイメージで捉えるほうがいいと思います。「スポーツ選手になりたい」という夢は健全で、「ユーチューバーやeスポーツのプレイヤーになりたい」という夢はバカバカしいというのは、子どもの価値観からすると納得できません。ユーチューバーやeスポーツのプレイヤーとして、億単位で稼ぐ人たちは大きな話題となりますが、当然ながらそのような人はほんのひと握りです。そういう意味でもスポーツ選手と状況は似ています。その域に達するためには、ある程度の生まれもった才能と、それこそ血のにじむような努力が必要なのです。そのような努力が必須だと、小学校高学年以上の子どもであれば知っていてもいいでしょう。結局、プロスポーツ選手にしろ、ユーチューバーにしろ、eスポーツプレイヤーにしろ、十分な稼ぎを得られるレベルにまで到達できる確率は低いのです。つまり、食べていけない確率のほうが明らかに高いわけですから、そのことだけに集中するリスクは計り知れないという事実も、小学校高学年くらいになったら、しっかり子どもに理解させるべきです。■スポーツや社会で必要な「賢さ」を身につけるための基礎学力は重要サッカーでも海外で活躍したいと思ったら語学の勉強が必要です(写真は少年サッカーのイメージです)もちろん、「スポーツ選手」や「ユーチューバー」「eスポーツプレイヤー」いう夢を描くこと自体を否定する必要はありません。低いとは言っても、それを実現させる可能性もあります。激動する時代を生き抜くために欠かせないのは、できるだけ多くの将来の選択肢です。さまざまな「勉強」をしていれば、選択肢は確実に増えます。だから今、何をめざしているとしても、子どもたちに基礎学力は身につけてほしいのです。スポーツ選手も、ユーチューバーも、eスポーツプレイヤーも、学歴が不要な職業だからと言って、これからの時代も「賢さ」は必須です。そのための基礎学力が重要であることも子どもに伝えましょう。ユーチューバーやスポーツ選手にあこがれる子が、勉強にやる気が出るちょっとしたワザとしては、高学歴のユーチューバー(ネット検索すると複数出てきます)、英語をしゃべれるサッカーの吉田麻也選手や野球の菊池雄星選手、大学受験の一般入試とサッカーを両立させた岩政大樹選手の存在を子どもに教えるとよいでしょう。また、eスポーツでは東大出身の選手がめざましい活躍をしています。学歴自体の価値が下がっている今、「いい大学、いい会社に行くために勉強しなさい」というだけでは、もう子どもには通じません。富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。入塾テストを行わず、先着順で子どもを受け入れるスタイルでありながら、中学受験から高校受験、大学受験まで、毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。少人数制の個別カリキュラムを組みながら、子供に合わせた独自の勉強法により驚異の合格率を実現して話題に。小さな学習塾ながら、論理的な学習法や、子供の自主自立を促し、自分で考える力の育成に効果的と、保護者から圧倒的な支持を集めている。日本サッカー協会登録仲介人として若手プロサッカー選手の育成も手かげ、アスリートと学習教育に共通する「成長プロセス」の体系化にも取り組んでいる。主な著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)などがある。
2020年01月28日