最新作『VORTEX ヴォルテックス』のギャスパー・ノエ監督が、本作で2画面分割を採用した秘話とその心境について語ったコメントが届いた。これまで挑発的な作品で注目を集めてきたギャスパー・ノエ監督が、ホラー映画の帝王ダリオ・アルジェントを主演に迎え、2画面(スプリットスクリーン)で、決して交わることのない夫と妻、人生最後の日々を映し出した本作。本作の最大の特徴ともいえるのが、2画面同時に映し出される“スプリットスクリーン”の演出。『CLIMAX クライマックス』(2018)『ルクス・エテルナ 永遠の光』(2019)と過去にもスプリットスクリーンの手法を部分的にとりいれてきたギャスパー・ノエ監督。今回は、ほぼ全編スプリットスクリーンで、老夫婦人生最期の日々を描いた。この度解禁された本編映像でも、老夫婦それぞれの生活が2画面で描かれている。ある日の朝、心ここにあらずといった様子でふらふらと雑貨屋へ入る妻(フランソワーズ・ルブラン)と、寝起きのパジャマ姿のまま熱心にタイプライターを打つ映画評論家の夫(ダリオ・アルジェント)。彼は、妻のことが気になり、携帯で電話をかけるが、妻は全く電話に気づくことはない。そして、夫は仕方なく、電話をきり、妻を探しに行こうとする様子が2画面同時進行で映し出される。スプリットスクリーンについて監督は、「最初、数シーンだけをスプリットスクリーンで撮影する予定で、映画の全期間に渡って敢行するつもりは元々なかったんだ」と明かす。「けれども編集室で、登場人物の1人がフレームから離れ、もう一方が1人だけになったとき、彼または彼女が何をしているのかを、同時に、かつ、ずっと見ていたかったことに気づいたんだ。スプリットスクリーンによって、同時並行で進行しているのに、決して交わることのない2つのトンネルをたどっているように感じられるんだ。“人生の道”と言ってもいいかもしれない。取り返しのつかないほど分離された2人なんだ。この演出は、優れた空間ロジックが必要で、私は常に頭の中でルービックキューブを解いているような感覚に陥り、夜はよく眠れなかったよ」と、スプリットスクリーンに至った経緯とその狙いについて語った。さらに、自身の心境について、「『カノン』(1998)と短編『SIDA(原題)』(2006)を除けば、私は本当にティーンエイジャーのためのティーンエイジャーについての映画しか作ってこなかったように感じる。この年になって、私はようやく少しだけ大人になりつつあるのかもしれない。未知の世界に入り込んでいる」と新たな境地に入ったことを告白している。『VORTEX ヴォルテックス』は12月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:VORTEX ヴォルテックス 2023年12月8日よりヒューマントラストシネマ渋谷、 新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – LES CINEMAS DE LA ZONE - KNM – ARTEMIS PRODUCTIONS – SRAB FILMS – LES FILMS VELVET – KALLOUCHE CINEMA
2023年12月03日12月8日(金) より公開される映画『VORTEX ヴォルテックス』より、本編映像が公開された。本作は、新作のたびにその実験的な試みと過激描写で世界中を挑発し続けてきた鬼才ギャスパー・ノエ監督が、「暴力」「セックス」を封印、「病」と「死」をテーマに自身の経験を経て新たな世界を作り上げた最新作。人はどう死んでいくのか?誰もが目をそむけたくなる現実を、真正面から冷徹なまでにまざまざと描く。主演は、80歳にして初主演を果たしたホラー映画界の巨匠ダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』(1973) の娼婦役で鮮烈な映画デビューを飾り伝説的な女優となったフランソワーズ・ルブラン。スプリットスクリーンの画面分割によって、老夫婦の日常が2つの視点から同時進行で映し出される。公開されたのは、心臓病を患う夫(ダリオ・アルジェント)と、認知症の妻(フランソワーズ・ルブラン)の、自宅での各々の行動を映し出すシーン。夫は執筆作業中、ふと部屋の中がガス臭いことに気づきキッチンを覗くと、なんとガス栓が開いたままの状態に。わざとガス栓を開けっぱなしにしていたのか、それとも認知症によるものなのか、妻は素知らぬ表情で、ガス栓を閉め窓を開ける夫の姿を見つめるのだった。映像は淡々としたシーンながら、我々の現実の日常でも起こりうるかもしれないアクシデントを2画面で映し出すことでより緊迫感あるものに。日が経つごとに認知症が悪化していき、予測の難しい行動をとっていく妻が映し出され、老夫婦の行く末を案じてしまうような内容となっている。本作には、認知症の妻を演じたルブランの存在は必要不可欠だったようで、ギャスパー・ノエ監督は「フランソワーズの演技を一瞬たりとも見逃したくはなかったんだ。『ママと娼婦』でフランソワーズを発見して以来、私はフランソワーズを崇拝しているんだ」と、熱烈に支持している。映画『VORTEX ヴォルテックス』本編映像<作品情報>『VORTEX ヴォルテックス』12月8日(金) 公開■オリジナルポストカード付き特別鑑賞券価格:1,600円(税込)特典:オリジナルポストカード(※数量限定)『VORTEX ヴォルテックス』前売特典オリジナルポストカード イメージ公式HP:
2023年11月22日ギャスパー・ノエ監督が最新作『VORTEX ヴォルテックス』(12月8日(金) 公開)を引っ提げて、約4年ぶりに来日。11月14日(火) に都内映画館で行われた先行プレミア上映会に参加し、日本の大親友である塚本晋也監督とトークを繰り広げた。昨年開催されたフランス映画祭2022横浜での来日を自身の持病によるドクター・ストップによってキャンセルしたノエ監督は、念願のリベンジ来日に喜色満面。本作の上映を待ちわびる日本の観客に向けて「久々に来日が叶って本当に嬉しい。日本のみんなにこうして出会えて、そして映画まで上映してもらえて……。今回の映画は今までのようにセックス&バイオレンスはテーマにしていなくて、センチメンタルな映画だよ。これを観て全員に泣いてもらいたいね」と期待を込めて挨拶した。ギャスパー・ノエ監督イタリアンホラーの鬼才ダリオ・アルジェントを起用して完成させた『VORTEX ヴォルテックス』。2021年のコロナ禍での撮影について「当時はコロナ禍で誰も自分が感染したくないと怖がってとても緊張感のある独特な撮影だった。ダリオからは“俺はセリフなんて覚えられないぞ”と言われたけれど、役者全員にはシークエンスのみ教えて会話はすべてアドリブだった。それゆえに、ある種ドキュメンタリーに近い形に見えると思う」と振り返った。1992年に『鉄男II BODY HAMMER』で訪れたアボリアッツ国際ファンタスティック映画祭でノエ監督と初めて出会ったという塚本は「映画祭に到着して最初に会ったのがギャスパーで、その映画祭で観た『カルネ』があまりにも素晴らしくて度肝を抜かれた。それから映画祭に行く度に彼と再会して親睦を深めた」と交流歴を回想。またフランス映画祭2022横浜で『VORTEX ヴォルテックス』を鑑賞しており「本当に絶句するというか……。自分の両親を亡くした時の感情が生々しく蘇ってきたハードな映画でした。ギャスパーのこれまでの映画とは違い暴力もセックスもないけれど、歯ぎしりするような恐ろしさと深い愛を感じる作品だった」と感想を述べた。塚本晋也奇しくも11月25日(土) には塚本の新作『ほかげ』が公開される。すでに本作を鑑賞しているノエ監督は「塚本監督作の中で最も真面目で怖い映画だと思う。趣里さんをはじめ、俳優陣が信じられないくらい素晴らしい。晋也のスタイルはとても印象深くて、日本の戦後という厳しい時代を描いていて強烈な印象を受けた。『ほかげ』も『VORTEX ヴォルテックス』もお互いの監督作の中で最も真面目であり、心理的ホラーの要素があるね」と共通点を挙げながら絶賛した。また、ノエ監督はアルジェントを俳優として起用した理由について「彼はとてもフレンドリーで優しくて面白く、カメラにも慣れている。カリスマ性があり、そして私の父同様に喋るときに身振り手振りが激しい男だ。そこに僕は親近感を覚えた。だから今回の役は彼以外頭に思い浮かばなくて、間を取り持ってくれたダリオの娘さんには“暴力もセックスシーンもないから安心してね!”と伝えてもらった」とベストキャスティングだと胸を張った。アルジェント監督作『シャドー』が『鉄男』に強い影響を与えたという塚本は「あの当時のアルジェントは怖い顔というイメージがあったけれど、『VORTEX ヴォルテックス』では親しみ深いおじいちゃんになっていてビックリ。そして演技があまりにも素晴らしい。妻を演じたフランソワーズ・ルブランも本当に病気を患っている人を出演させたのか?と思うくらいにリアルだった」と舌を巻いていた。塚本は映画監督のみならず俳優としても活躍しており、ノエ監督は「僕はマーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』が大好きで、中でも晋也はスコセッシ映画で十字架に縛り付けられた俳優としては最高の演技を見せていた」と評し「将来的に日本で映画を作る機会があったら、是非とも晋也に出てほしい」とラブコール。これには塚本も「その時はぜひお願いします!」と満面の笑みで、会場を盛り上げた。最後にノエ監督は「映画が終わった時に、全員が泣いてくれることを期待しているよ。もし泣かない人がいたら、それは失敗作だということになるので……是非とも泣いてください!」とユーモアを交えて日本公開への期待を口にしていた。<作品情報>『VORTEX ヴォルテックス』12月8日(金) 公開公式サイト: RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – LES CINEMAS DE LA ZONE - KNM – ARTEMIS PRODUCTIONS – SRAB FILMS – LES FILMS VELVET – KALLOUCHE CINEMA
2023年11月16日映画『VORTEX ヴォルテックス』が、2023年12月8日(金)に公開される。監督はギャスパー・ノエ。ギャスパー・ノエ監督映画『VORTEX ヴォルテックス』映画『VORTEX ヴォルテックス』は、『カノン』『アレックス』『エンター・ザ・ボイド』『CLIMAX クライマックス』など、実験的な試みと過激描写で問題作を生み出してきた監督ギャスパー・ノエが手掛ける群像劇。嫌悪、蔑み…と人間たちの難しい感情を描き続けてきた鬼才だが、本作『VORTEX ヴォルテックス』では、“人はどう死んでいくのか?”という誰もが目を背けたくなるような現実を真正面から見つめ、冷徹なまでに描いている。映画『VORTEX ヴォルテックス』では、認知症を患う妻と心臓病を抱える夫の人生最期の日々を、スプリットスクリーンの画面分割により、夫婦それぞれの視点から同時進行で映し出していく。次第に日常が崩れ去り、迫りくる“逃れられない運命”により、静かに、しかし確実にゆっくりと破滅へと向かう人々の人間模様が描かれる。心が通わない家族、不測の出来事、やがて訪れる死など、暴力なき恐怖の渦に吸い込まれ、老夫婦が“死ぬまで”を追体験できる映画となっている。主演はダリオ・アルジェント&フランソワーズ・ルブラン主演を務めるのは、1977年の『サスペリア』をはじめ『サスペリアPART2』『ダークグラス』などを手がけ、ホラー映画の帝王とも称された80歳にして初主演を飾るダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』の娼婦役で鮮烈な映画デビューを飾ったフランソワーズ・ルブラン。死よりも恐ろしい“現実”をまざまざと感じさせる、不穏な空気感を生み出す演技に注目だ。夫...ダリオ・アルジェント作家であり心臓病を患っている。日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがて、日常生活に支障をきたすようになる。妻...フランソワーズ・ルブラン元精神科医。徐々に認知症が進行していく。息子...アレックス・ルッツふたりの息子。両親を心配しつつも、家を訪れ金を無心する。映画『VORTEX ヴォルテックス』あらすじ作家である夫と元精神科医で認知症を患う妻。離れて暮らす息子は2人を心配しながらも、家を訪れ金を無心する。心臓に持病を抱える夫は、日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがては日常生活に支障をきたすように。そして、ふたりに人生最期の時が近づいていた…。【作品詳細】映画『VORTEX ヴォルテックス』公開日:2023年12月8日(金)監督・脚本:ギャスパー・ノエ出演:ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ原題:VORTEX字幕翻訳:横井和子配給:シンカ提供:キングレコード、シンカ
2023年09月28日ギャスパー・ノエ監督最新作『VORTEX ヴォルテックス』が12月8日(金)より全国公開されることが決定。ポスタービジュアルと予告編が解禁された。作家である夫と元精神科医で認知症を患う妻。離れて暮らす息子は2人を心配しながらも、家を訪れ金を無心する。心臓に持病を抱える夫は、日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがて、日常生活に支障をきたすようになる。そして、2人に人生最期の時が近づいていた…。新作を発表するたび、その実験的な試みと過激な描写で物議を醸してきたギャスパー・ノエ監督の最新作は、「病」と「死」をテーマに自身の経験を経て描く老夫婦の物語。昨年の「フランス映画祭2022 横浜」で上映され、大きな話題を呼んだ。主演は、80歳にして初主演を果たしたホラー映画の帝王ダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』の娼婦役で鮮烈な映画デビューを飾り伝説的な女優となったフランソワーズ・ルブラン。演技とは思えない奇跡の名演で、次第に破滅へと向かっていく老いた夫婦を体現した。解禁された予告編では、本作を象徴するスプリットスクリーンのシーンが盛り込まれており、心臓病を患う“夫”と認知症が進行する“妻”という、余命いくばくもない2人と、離れて暮らす“息子”(アレックス・ルッツ)の姿がとらえられている。一見仲睦まじい夫婦の日常を描いていくのかと思いきや、次第に日常が崩れ去り、誰もが目を背けている【逃れられない運命】が無情にも迫りくる…。静かに、しかし確実にゆっくりと破滅へと向かっていく人々の人間模様を予感させる予告編となっている。本作で映画初主演および本格的な演技初挑戦となった、ホラーの巨匠ことダリオ・アルジェントの姿にも注目だ。併せてポスタービジュアルも解禁。薔薇が敷き詰められ、まるで“棺桶”を連想させるような枠の中で瞳を閉じる夫(ダリオ・アルジェント)と、妻(フランソワーズ・ルブラン)の老夫婦が映し出されている。「人生は、夢の中の夢」という意味深なキャッチコピーも添えられ、2人を待ち受ける逃れられない老いや孤立、死…そしてギャスパー・ノエ監督が本作で描く、死よりも恐ろしい「現実」を否が応でも感じさせる不穏に満ちたものへと仕上がった。『VORTEX ヴォルテックス』は12月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2023年09月25日