日本高血圧学会が4月改訂予定「高血圧の降圧目標値」とは
そうなると、血圧130という数値は、まだすぐに治療を始めるほどではないのだろうか?
「実はこの数字は、欧米で高血圧基準値の見直しが行われている、その“最近の流れ”を受けてのものといえます。アメリカでは、’17年にいちはやく『130/80』以上がすべて『高血圧症』と診断されるように基準が改訂されました。’18年には、欧州高血圧学会と欧州心臓病学会が、基準値を『140/90』で据え置いたまま、『降圧目標』を『130/80』未満に引き下げています。それらの大きな根拠となったのが、アメリカ国立心肺血液研究所が行った『SPRINT』という臨床試験の結果でした」
’15年に発表された「SPRINT」は、糖尿病のない高血圧患者9,361人を対象に実施され、投薬によって降圧目標を「上140未満」と「上120未満」の2クラスに設定してそれぞれの「心筋梗塞や脳卒中の発生率」と「全死亡率」を比較したもの。上120未満の人は上140未満の人に比べて、心筋梗塞や脳卒中の発生率で約25%、全死亡率で約27%低いという結果が出た。
「この調査が、血圧は低ければ低いほど“健康で長生きできる”という理屈の裏付けになった。