2019年7月7日 11:00
89歳ベンチプレス選手「トイレで立てなくなり、競技を始めた」
「お尻上げて!」
「いける、いけるっ!」
ここは茨城県水戸市にある「オリバー・ボディビル&フィットネスクラブ」。本格的なマシンが並ぶなか、黙々とトレーニングに励むのは女子ベンチプレス世界最高齢選手である奥村正子さん(89)。
背筋も腰もまっすぐに伸びた奥村さんは先日、千葉県成田市で開催された世界大会(70歳以上の部・47kg級)で42.5kgのバーベルを上げ、見事5回目のゴールドメダルを獲得。
この日、午前10時半から2時間かけたハードなトレーニングの後、爽やかな笑顔でインタビューに答えてくれた。
「今日もまた課題ができたわ!家に帰って反省よ」
そう言って汗をぬぐう奥村さんがベンチプレスを始めたのは72歳のころ。
「若いころから選手だった人より、遅く始めた人のほうがむちゃもしないから長続きするのよ。よく飽きもせず17年も続いたと思うわ」
奥村さんがこの道を極めるきっかけは“トイレ”。50歳のとき、突如、和式トイレで立ち上がることができなくなり、「これはいけない」と運動の必要性を痛感。
始めたころは2kgのダンベルをやっと持てるくらいだった奥村さんが、いまや世界一の力持ちなのだから、人生はわからない。