長寿な市区町村ランキング 川崎市麻生区、長生きの秘密は「坂道歩き」と「趣味の充実」
さらに田中教授は、麻生区民の健康に対する意識の高さにも注目しているという。
「生活習慣病の予防のための特定健診やがん検診の受診率の高さは、区民の健康リテラシー、つまり健康意識の高さを表します。このことが、食生活の乱れをコントロールすることにもつながるのでしょう。社会参加による人との交流は、ただ会話をするだけの場合と異なり、約束や連絡をするため、脳によりよい刺激になるのです」
■仕事よりも趣味が好きな麻生区民
元気な老後を過ごすには、長く働くことが重要だとよくいわれているが、前出の高齢者実態調査で「あなたは今後も収入がともなう仕事をしたい(続けたい)と思いますか」との問いでは、65歳以上の麻生区民の51・8%が「仕事をしたくない」と回答。ほかの区に比べて仕事への情熱は低いらしい。
その一方、趣味を通じた交流や友人と接する機会があると回答した人はほかの区に比べて多い。また、「川崎市地域福祉実態調査」(’19年度)によると、麻生区民は地域活動やボランティア活動に参加したことがある人の割合がほかの区よりも高い。
つまり、趣味など、自分の選んだ活動で社会と結びついていることが、長寿につながる可能性があるのだ。