“猛毒黄砂”の恐るべき健康被害…飛散翌日に心筋梗塞患者が1.45倍増の「衝撃データ」
その大気汚染による死因には、肺気腫などの慢性呼吸器疾患、肺炎などの呼吸器感染症がありますが、もっとも多く、半数近くを占めたのが心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患でした」
国立環境研究所が20033年から2007年にかけて行った調査では、黄砂濃度の高い日は、通常の日に比べて救急搬送が12%増え、心臓病と脳卒中に限ると21%増になった。
2017年に論文「黄砂飛来の翌日に急性心筋梗塞が増える可能性」を発表した、前出の小島さんが研究の経緯を語る。
「通常、心筋梗塞は冬場に多く、夏場に少ない傾向があります。しかし暖かくなった4月、5月に、突如、患者が増える日があることから、黄砂との関係を調べてみました」(小島さん、以下同)
気象庁が定めた黄砂観測日(肉眼で目視できる距離が10キロ未満の日)をもとに、熊本県内の21の医療機関の心筋梗塞全患者の状況を分析した。「すると、黄砂が観測された翌日は、観測されなかった日に比べ、急性心筋梗塞の患者が1.45倍も増えました。とくに、75歳以上の高齢者・高血圧・糖尿病・非喫煙者・男性・慢性腎臓病といった因子を複数持っている人ほど、黄砂によって急性心筋梗塞を発症しやすいという結果でした」