九州大病院の医師が警鐘 奥歯がないと認知症リスク1.5倍に!【前編】
かみ合わせがない人や歯がない人が、必ず認知症になるというわけではないが、“奥歯のかみ合わせ”が関連するであろう理由について、鮎川さんはこう説明する。
「人は食事をするとき、上下の奥歯をかみ合わせることで食物を砕き、“食塊”という塊にして飲み込みやすくします。ところが奥歯が欠損してかみ合わせが不十分だと、うまく“食塊”ができません。どうしても軟らかいうどんやお粥など炭水化物がメインの食事になりがちで、その結果、筋肉をつくる栄養素のタンパク質が不足してしまうのです」
タンパク質が不足すると、筋肉が落ちて足腰が弱くなり引きこもりがちに。飲み込む力も弱まり、人との会話や刺激も減るので、認知症リスクが高まるのだという。
運動やコミュニケーションにまで影響する“奥歯”だが、年齢とともに欠損するリスクも高まる。「歯を失ういちばんの原因は、15歳以上の全年齢で2人に1人がかかっている“歯周病”です。歯と歯茎の隙間の歯周ポケットに“プラーク”が入り込んで炎症がひどくなると、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラになるのです」(鮎川さん、以下同)
気づいたときには“手遅れ”ということが少なくないという。