持久力の高い高齢者は作業記憶も優れる:新たな脳内メカニズムを解明
と認知機能の一つである作業記憶能力の関連性、さらにこの背景にある脳の前頭前野の活動パターンについて、近赤外光脳機能イメージング装置を用いて、高齢者と若年成人、また、有酸素能力に差がある高齢者を比較して検討しました。作業記憶能力テストを行った結果、高難度の課題に取り組む高齢者において、若年成人では動員が見られなかった前頭前野の部位が活性化していました。すなわち、高齢者は脳機能の低下を補うように前頭前野の多くの領域を代償的に動員し、高難度の課題を遂行していることを確認しました。
また有酸素能力の高い高齢者では作業記憶能力テスト中の代償的な脳活動が特に活発で、有酸素能力の高さが作業記憶能力テストの高成績につながっている可能性が示されました。このことから、高齢期に作業記憶能力を維持するためには、有酸素能力を維持・向上させる、習慣的な運動などが効果的であると推測されます。
本研究の成果は、神経科学系の国際学術雑誌「Imaging Neuroscience」に2024年5月10日付で公開されました。【背景】
認知機能の一つである作業記憶能力は情報を一時的に貯蔵・操作する能力で、主に前頭前野がその働きを担っています。