新生児メレナ、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症ってどんな病気?
今回は、新生児メレナ、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の解説と、赤ちゃんに不足しやすいビタミンKを補う方法や新生児期の出血症予防についてお話しします。
新生児期に不足しやすいビタミンK
ビタミンKは、出血を止める蛋白質(凝固因子)を作るのに必要なものです。このため、ビタミンKが不足すると、出血が止まりにくくなります。
通常は、腸の中の細菌が作ったビタミンKを利用して出血を止めるのに役立てますが、母親のおなかの中にいる間、胎児の腸には細菌がなくてビタミンKを作り出すことができないので、胎盤を通して母親から受け取ります。しかしながら、ビタミンKは胎盤を通りにくいため、生まれたばかりの赤ちゃんの体内に十分な量が蓄えられていません。生まれてすぐ腸内に十分な量の細菌が増えるわけではないため、ビタミンKを補わないと不足します。赤ちゃんはビタミンKが不足すると、消化管出血や脳出血を起こすことがあります。
日本国内の産科施設では、赤ちゃんにビタミンK2シロップを予防的に投与して、出血を予防します。
新生児メレナ、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症とは?
ビタミンKが不足して起こる病気をビタミンK欠乏性出血症と呼びます。赤ちゃんに起こるビタミンK欠乏症は発症する時期によって、新生児ビタミンK欠乏性出血症と乳児ビタミンK欠乏性出血症に区別します。
新生児ビタミンK欠乏性出血症は、生まれてから生後7日目までに起こります。生後2~4日目に起こりやすく、血を吐いたり、便に血が混じったりします。しかしながら、生まれて間もないこの時期は、母体内で飲み込んだ血液や羊水を吐いたり、授乳を始めておっぱい(乳頭)の傷から出た血液を飲んで吐くなど、母親由来の血液を吐血や血便として排泄することがあります。赤ちゃんの排便時に直腸や肛門に傷ができて、血液が便に混ざることもあります。母親由来の血液なのか、赤ちゃんの出血なのか判断が難しいので、入院中であれば医師や助産師、看護師へ相談しましょう。
退院後このような症状があれば、出産した病院や小児科を受診しましょう。
受診の際に、吐いたものや便が付着した衣類やおむつをビニール袋に入れて持参する、あるいは写真に撮って見せると診断に役立ちます。乳児ビタミンK欠乏性出血症は、生後8日目以降~生後3カ月の間に起こります。