妊婦検診で「尿糖」が陽性と言われたら!?判定後に気をつけたいこと
今回は、妊婦健診の尿検査で尿糖+(陽性)と判定されたときに知っておいてほしいことをお話しします。
尿糖とは
尿糖とは、尿の中に現れた糖のことです。 食事をすると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、糖を調節する作用が体に備わっています。人間の活動するエネルギー源となる糖は、血液によって全身の細胞や組織へ運ばれ、すい臓から分泌されるインスリンの働きで細胞へ取り込まれます。通常、腎臓内で尿が作られるとき、血液中の糖は再吸収されて、尿の中には現れません。
妊娠中は、おなかの中の赤ちゃんの成長のために、たくさんの糖分を必要とするため、胎盤がインスリンの働きを抑えるホルモンを分泌して、血糖を高めに維持します。また、胎盤でインスリンを壊す酵素ができたりと、妊娠前よりもインスリンが効きにくく、結果的に血液中に糖が多くなりやすい状態です。血液中の糖が多くなりすぎて、腎臓での再吸収が追いつかなくなると、そのまま尿の中に糖が混ざり、尿検査では尿糖+(陽性)という判定になります。
妊婦健診では、妊婦さんと赤ちゃんの健康状態を把握するために、基本的な検査の1つとして、尿検査をします。妊婦さんが紙コップに採取して提出した尿に、尿試験紙を浸して、色の濃度によって+(陽性)や-(陰性)を判定します。
妊婦健診で尿糖の有無を判定する理由
妊娠中に尿糖の有無を判定することで、腎機能の低下や妊娠糖尿病(GDM)の早期発見と妊娠経過を把握するのに役立てます。 腎臓や糖尿病などの病気以外でも、糖分の多い飲食物の影響やストレスなどによって一時的に尿糖は現れることがあります。尿糖+(陽性)の場合、他の検査項目の結果と照らし合わせて、病的な尿糖なのか、一時的なものかを医師や助産師が判断します。
尿糖+(陽性)と判定されたら妊娠糖尿病?
妊娠糖尿病は、尿検査ではなく、血液検査で判定します。尿糖+(陽性)が1回でも出たら妊娠糖尿病というわけではありません。また、尿糖-(陰性)でも血液検査で妊娠糖尿病と診断されることもあります。 妊娠経過が順調でも尿糖が出ることはあります。ほとんどの妊婦さんは、血糖値の上昇に合わせてインスリンの分泌量が増えるため、次回の健診時には尿糖が出なくなることが普通です。