「思い出して受け止めるんだ」震える夫の手。妻を絶望に追い込んだ悲しい現実<僕たちは親になりたい>
子どもが生まれてから、育児は妻の美咲に任せっきりで、家庭をかえりみない自分本位な行動が続いていた拓也。ある日の夜、赤ちゃんのお世話をめぐって、拓也と言い合いに発展。自分と娘に全く関心を持たない拓也に対して、怒りが爆発してしまいます。美咲は拓也に「妊活は前向きな気持ちだったの?」と質問するのですが、拓也からは「妊活をしいないほうが良かったと後悔してる……」という答えが返ってきてしまいます。その回答にショックを受けた美咲。
さらに、拓也は追い打ちをかけるように「俺には赤ちゃんの泣き声が聞こえない」と言い始めると、赤ちゃんを美咲から奪い上げてしまったのです。
今すぐやめるように拓也に必死で伝えた美咲。しかし、「現実を見るんだ!!」と拓也は言い返します。
「泣いてるのは美咲のほうだ!」そうハッキリと口にした拓也のその手には、しっかりと犬の人形が握りしめられていたのでした。
「ちゃんと思い出して…」夫の言葉に妻は言葉を失って…
「ちゃんと思い出して……!受け止めるだ……!」
そう言うと、
これまでのことを話し始めた拓也。
「今度こそは……って
明るい未来を夢見てた」
「だけど……っ」
赤ちゃんの誕生を待ち望んでいた拓也と美咲。
しかし、悲しい現実が2人を突然襲ったのです。
悲しさのあまり、犬の人形を手にすると、
「花ちゃん」と言って抱きしめる美咲。
拓也はその光景をただ黙って眺めることしか、
できませんでした。
◇◇◇
赤ちゃんに会えることを楽しみに過ごしていた日々。美咲がどんな思いで人形を抱きしめて、人形にすがっていたのか……。美咲の受けた心のダメージは、計り知れないものだったのではないでしょうか。
また、そんな美咲を近くで見ていた拓也だからこそ、美咲の心の痛みが分かり、何も言葉をかけられなかったのかもしれませんね……。
著者:マンガ家・イラストレーター ちなきち
「本当は分かってるんだろ」夫が問いただすと、妻は涙を浮かべて<僕たちは親になりたい>