「ごめんね。結局自分の希望を押し付けてた」妻の手を握ると夫は謝り始めて<僕たちは親になりたい>
2度に渡り、美咲は愛する夫・拓也との子どもを授かったものの、どちらも残念な結果に終わってしまいました。そのショックから、美咲はいつしか犬の人形を赤ちゃんだと思い込むようになり、「花ちゃん」と呼んでお世話をしてかわいがっていました。人形をわが子のようにお世話する美咲に対して、どう接していいのか分からず、向き合うことから逃げていた拓也。しかし、2人で言い合いになったことをキッカケに、「本当は分かってるんだろ!?」と美咲に強く問いかけると、美咲は声を挙げて泣き出してしまったのでした。
今までの悲しみを洗い流すかのように、たくさん泣いた美咲と拓也。
しばらくしてから落ち着つくと、2人は寝室で横になってしました。拓也は「ごめんね……」と言い出すと、今まで思っていたことを話し始めて……?
夫がこれまでの自分の行動を振り返り始めて…
「もう何を言っても今更っていう感じだけど、
俺、美咲の話をちゃんと聞いてるつもりだったんだ」
そう話し始めると、拓也は言葉を続けます。
「でも思い返してみたら、
結局自分の希望を押し付けてたなって……」
「寄り添うフリをして
誘導してたってわかったよ……」
話をひたすら黙って聞いている美咲。
「花ちゃんのことも、
それで美咲の傷が癒えるならって
見て見ぬふりをしてた……」
拓也は申し訳なさそうに、そう口にしたのでした。
◇◇◇
過去の自分の行動を後悔しながらも、美咲に謝罪の言葉を口にした拓也。「花ちゃんのことも見て見ぬふりをしてた」と言っていましたが、"それで傷が癒えるなら"と美咲をそのままにしていたのは、美咲の気持ちが分かるからこその拓也なりのやさしさだったのかもしれません。
著者:マンガ家・イラストレーター ちなきち
「なんて声をかけたらいいのか分からなくて」夫の謝罪を妻は黙って聞いていて<僕たちは親になりたい>