「とっても幸せだったよ!!」お別れの瞬間、妻は精一杯思いのたけを叫んで <僕たちは親になりたい>
2度に渡り、美咲は愛する夫・拓也との子どもを授かったものの、どちらも残念な結果に終わってしまいました。そのショックから、美咲はいつしか犬の人形を赤ちゃんだと思い込むようになり、「花ちゃん」と呼んでお世話をしてかわいがっていました。人形をわが子のようにお世話する美咲に対して、どう接していいのか分からず、向き合うことから逃げていた拓也。しかし、2人で言い合いになったことをキッカケに、美咲と向き合うことを決意します。拓也がこれまで逃げていた自分の行動を謝罪すると、美咲も本音を話したことで2人の仲は修復したのでした。
拓也との関係性を修復できたことで、安心した気持ちで眠りについた美咲。するとその日の夜、昔の愛犬・コロと亡くなってしまった娘を乗せたベビーカーが夢に登場したのでした。
(はなちゃんとお別れをするときが来たんだ……)そう頭で分かっていながらも、いろいろな感情が込み上げてくる美咲。
力いっぱい娘の名前を呼ぶと、自分の本音を話し始めて……。
娘とお別れの瞬間、涙が溢れて止まらなくて…
「はなちゃんと一緒に過ごした時間……!
とっても幸せだったよ……!!」
「本当はもっと一緒にいたくて……
抱っこしたくて……!!欲を言えば、
お話しもしてみたかった……!!」
はなちゃんへのいろいろな思いが溢れ出し、
涙が止まらない美咲。
「だけど……!!姿かたちは変わっても、
私たちはまた会えると思うから……!!」
美咲は精一杯の笑顔を作ると、
はなちゃんに向かって「またね!」と手を振ります。
すると次の瞬間、はなちゃんを乗せたベビーカーと、
愛犬・コロは消えてしまったのでした。
◇◇◇
はなちゃんに向かって、自分の思いをぶつけた美咲。溢れ出てくる涙に、時折言葉を詰まらせる場面もありましたが、はなちゃんを笑顔で見送ろうと努める姿勢に、美咲のやさしさと強さを感じました。