連載記事:「幸せ力」の育て方

気をつけて! 早期教育や習い事の落とし穴(「幸せ力」の育て方 Vol.2)

「幸せ力」の育て方

「幸せ力」の育て方

自分の子どもが大人になったとき、「勉強はできるけれど、就職できない」「就職したけれど、仕事がつらくて病気になりそう」「収入は高いけれど、友だちがいなくて孤独」などという状態にはなってほしくありません…

前回、「想像力が大切」というお話を内田伸子先生に伺いました。
ほかにも幼児期から伸ばしておきたい大切な能力があります。それは、自分で考える力「自律的思考力」です。

ところが早期教育や習い事によって、この自律的思考力が失われることがあるそう。内田先生のお話をもとに詳しくお伝えします。

「子どものため」と思って行う早期教育には思わぬ落とし穴が

© kdshutterman - Fotolia.com


早期の詰めこみ教育は百害あって一利なし

「子どもの頃の知能が大人になっても維持されるのか、心理学ではずいぶん昔から研究されてきました。
その結果わかったのは、早くから先取りの学習をすることは、大人になってからの成功や幸せを保証するものではないということです」

小さい時の知能は、「よい学校に入学し、よい会社に就職して、経済的にゆとりのある生活ができるかどうか」または「自己実現にむかって充実した人生を送れるかどうか」ということとはあまり関係がないのだそうです。

「それどころか、先取り学習は子どもの成長にマイナスの影響を与えることがあります」と内田先生は警鐘を鳴らします。


せっかく訓練をしても、何もしなかった子たちに追いつかれる

「『子どもの発達研究の分野のパイオニア』といわれるアメリカの発達心理学者、アーノルド・ゲゼルが、幼児期の一卵性の双子たちを別々にした比較研究をしました。

1つのグループには階段の昇り降りや積み木の遊び方を訓練し、もう1つのグループには何の訓練もしませんでした。
直後に行ったテストでは訓練をした子どもたちのほうが成績がよかったのですが、3ヵ月ほど経つと訓練しなかった子どもたちが追いついたのです」

これは、訓練をしても意味はない、というだけではありません。
その後、これらの子どもたちを思春期まで追跡調査したところ、驚くべきことがわかりました。


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