連載記事:「幸せ力」の育て方
テレビやスマホを見せすぎると、子どもの知能や発達が遅れる(「幸せ力」の育て方 Vol.14)
乳幼児期からスマホなどのメディアに長時間触れていると、言語発達の遅れやコミュニケーション力の低下を引き起こすと日本小児科医会が警鐘を鳴らしています。
スマホやテレビ、DVDの影響について、発達心理学と認知心理学が専門の内田伸子先生にお話を伺いました。
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メディアの影響で知能が遅れ、脳が萎縮する!?
「発達心理学者のジンマーマンやメルツォフらは、2ヵ月~24ヵ月の乳幼児を6年間追跡し、言語発達や知能について調査しました。
すると、年月を追うごとに知能が遅れていく子どもたちがいました」
原因は何だったのでしょうか。
「知能が低下していく子どもたちには、乳幼児用の教育番組や早期知能開発のビデオを1日1時間以上視聴させられているという共通点がありました」
「その子たちは、脳の言語理解をつかさどる部位、ウェルニッケ野が萎縮していました。
もともとは健康に生まれた赤ちゃんたちが、親の浅はかさのために『脳の発達遅滞を引き起こさせ、特別なサポートが必要な子たちにしてしまった』(論文の表現の翻訳より)のです」
メディアを拒絶した子どもたちは知能を回復できた
「3歳ごろになって、知能を回復した子どもたちがいました。
それは、音と光の強烈な刺激を嫌がって逃げ出したり、ビデオの操作ができるようになったので自分で止めたりした子たちでした。
つまり、テレビやビデオの視聴をやめた子たちだけが、さらなる知能の低下を防ぐことができたのです」
現在の日本でも、教育のためのテレビやDVDが人気で、お子さんに見せている家庭がたくさんあります。
長時間の視聴はさせないよう気をつけたいですね。