子どもに「ダメ!」と言うのはダメ? 子どもをきちんと叱れない親たち
では、子どもに「ダメ!」と言ってはダメなのでしょうか。私の答えは、ノーです。つまり、子どもが禁止すべき行動をとったときに、親は「ダメ!」と言って、行動を押さえるべきなのです。これをしないと、自分をコントロールできない子どもになってしまいます。
重要なのは、「行動の禁止」と「人格の禁止」を区別することです。
「人格の禁止」は×です。「あなたは、まったくダメな子ね!もう!」などと厳しく叱り続けると、子どもの中に「ぼくはどうせダメな子なんだ」と、自己否定感を募らせ、生きる意欲を奪ってしまいます。
一方、「行動の禁止」は〇です。
してはいけない行動を抑制するしつけは重要です。
このとき、大切なポイントは、「人格を否定された」と子どもが感じないように、穏やかに、説明的に「なぜ、〇〇をしてはだめなのか」を理性的に子どもに、それがダメな理由が理解できるように、説明しながら、語りかけることです。「だめでしょ、それは! あんたはまったくもう!」などと、大声で怒鳴りながら叱っていると、親の側は「行動の禁止」をしているつもりでも、子どもの側からすると「人格を否定された」と感じて、生きる意欲を奪うことになってしまうのです。
■いい子育て=手間ひまかけた子育て
ここまで、読まれて「なんだか。たいへんだな」「説明するって大変なんだよな。面倒くさい」と思った方もいることと思います。
そうです。
いい子育てには「手間ひまかける」ことがいちばん大切なのです。
子どもと「友だち親子」になって、ダメなことも「ダメ」と言わない子育ては省エネ子育て。
逆に、いつも「あんたはダメな子ね!」と感情的に怒鳴り続けるのも、省エネ子育て。一見、真逆でも、どちらも「手抜きの子育て」なのです。
子どもに、なぜそれがダメなのかをわかるように、ていねいに説明するのは、かなり骨の折れる作業です。時間もエネルギーもかかります。しかも、「人格の否定」と伝わらないように、穏やかに、かつ、真剣に、話してわかってもらう必要があります。
もう一度言います。よい子育ては「手間ひまかけた子育て」です。
あなたの子どもの『考える芽』を育てる3つの方法。教室での10年で気づいた大切なこと