思春期が、子どもに社会モラルを教えるラストチャンスなわけ(前編)
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思春期の子どもの扱いは難しく、これまでのようなしつけがしづらくなります。ですから、子どもに何をどう教えたらよいかわからなくなって、何となく子どもとの関係が薄くなってしまいがちですね。でも、この時期だからこそ教えるのに適したこともあります。それは、「社会における道徳意識(モラル)」です。どういうことなのか少し詳しく見ていきましょう。
■なぜ思春期は社会の道徳意識を教える時期なの?
12歳~13歳頃といえば、思春期真っただ中。この時期には、前頭前野がすごいスピードで発達していきます。この頃になると、前頭前野にある細胞が突然大きくなるのです。
前頭前野とは、大脳の前頭葉の中に存在する領域で、「記憶」「思考」「創造性」「感情コントロール」などをつかさどる脳内の最高中枢です。人間とほかの動物の脳を比較した場合、大きく違うのが前頭前野で、人間の脳の部位でもっとも発達している部分です。従って、頭の良い人、発想が豊かな人、新しい物を造り出す人などは、前頭前野が発達していると考えられています。
前頭前野はこの時期になると、何もしなくても成長するのかというと、それは違います。前頭前野の急成長をもたらすきっかけ、それは「反抗」です。反抗期は「これから前頭前野が活性化するよ、大人になるための訓練が始まるよ」という合図でもあるのです。
大人が言うことに対して反発をします。するとその次には、「ではどうしたらよいのか」ということを自分で考えなければならなくなります。
このことこそが、前頭前野にとっての大きな刺激となるのです。脳の成長は、反抗なしには始まらないのです。
前頭前野が急成長するということは、脳が何かを会得しやすくなっているということです。そんな脳の成長時期であり、子どもから大人へとポジションが移っていく時期だからこそ、社会における道徳意識(社会のモラル)をしっかりと脳に叩き込むべきなのです。そしてこの時期を逃してしまったら、もう脳に道徳意識が定着することはないとも考えられています。